JPH056074A - 帯電付与材 - Google Patents

帯電付与材

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JPH056074A
JPH056074A JP3618991A JP3618991A JPH056074A JP H056074 A JPH056074 A JP H056074A JP 3618991 A JP3618991 A JP 3618991A JP 3618991 A JP3618991 A JP 3618991A JP H056074 A JPH056074 A JP H056074A
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敬三 野中
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裕彦 吉田
Katsuya Yamaguchi
勝也 山口
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 [構成] 本発明は、表面をハロゲン化処理した、弾性
体中に導電性物質を分散した半導電性弾性体層を含んだ
ことを特徴とする帯電付与材である。 [効果] 特定のSP値のポリマーを含有した帯電付与
材または特定の低極性のポリマーを含有した帯電付与材
のハロゲン化処理によって表面の極性が上がり、帯電の
付与性能の均一化および環境に対する安定化が図れる。
また均一な帯電を長期にわたって安定して得ることがで
きる。帯電体表面のハロゲン化処理によって摩擦係数が
低下し非粘着性が改良され、異物が付着しなくなるので
帯電体の汚染がなくなる。また均一な帯電を長期にわた
って安定して得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真複写機などに
用いられる感光ドラムや転写搬送ベルトに対して、一様
な帯電を付与するために用いられる帯電付与材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】たとえば電子写真複写機は、感光体の表
面に原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付
着させてトナー像を形成し、このトナー像を複写紙に転
写することによって複写を行うものである。この場合、
感光体表面に静電潜像を形成させるには、光導電体であ
る感光体表面を予め帯電させ、その帯電部分に対して原
稿像を光学系を介して投射し、露光された部分の帯電を
消すことによって静電潜像をつくるということが行われ
ている。
【0003】上記静電潜像の形成に先立って感光体表面
を帯電させる方式として、従来からコロナ放電方式が採
られている。コロナ放電方式は、感光体表面に対してコ
ロナ放電器からコロナ放電を施し帯電処理するものであ
る。この方式では、コロナ放電を行うために一般に5〜
10KVという高圧電源を使用するため、万全な安全策
をとる必要があるうえ、放電に伴い有害なオゾンを発生
するという難点がある。
【0004】そこで、現在では米国特許2934650
号に開示されるように、導電性ローラや導電性ベルトな
どの帯電付与材を用いて感光体を帯電させる、接触帯電
方式が考えられている。具体的にはこの方式は、1〜2
KV程度の電圧を外部から印加した導電性ローラ等の帯
電付与材を、被帯電体である感光体表面に接触させるこ
とによって、感光体表面を所定の電位に帯電させるもの
である。
【0005】図3および図4は、上記の接触帯電方式を
電子写真複写機に適用した接触帯電装置の概略を示す断
面図である。帯電ローラを用いた方法を図3に、帯電ベ
ルトを用いた方法を図4に示す。
【0006】図3を参照して帯電ローラを用いた方法で
は、被帯電体であるドラム状電子写真感光体1は矢符a
で示す方向に所定の速度で周方向に回転駆動され、一
方、上記感光体1に接触させた帯電付与材である帯電ロ
ーラ2は、感光体1の回転に伴い矢符bで示す方向に従
動回転する。電源3は直流電圧または直流電圧と交流電
圧とを重畳した電圧を帯電ローラ2に印加する。なお、
感光体1の表面には有機半導体、アモルファスシリコ
ン、セレン、酸化亜鉛などを含む光導電性半導体材料か
ら成る感光層4が形成されている。
【0007】また、図4を参照して帯電ベルト5を用い
た方法では、ローラ6a,6bに電圧をかけることによ
って、帯電ベルト5を介してドラム状電子写真感光体1
表面の感光層4に電荷が付与される。この他、ブレード
形状の帯電付与材が用いられる場合もある。
【0008】ここで帯電の安定性は画像に大きく影響す
るため、帯電付与材である帯電ローラ2や帯電ベルト5
などが、感光体4に安定に接触することが必要となって
くる。
【0009】帯電ローラ2を用いた方法では、帯電ロー
ラ2の表面に弾性体などを用いて、感光体4との接触面
積を大きくすることによって安定な帯電が可能となる。
このため材質の硬度が低いことが望ましい。
【0010】また、帯電ベルト5を用いた方法では、図
4に示すように2本のローラ6a,6bで帯電ベルト5
を感光体4にはわせることによって感光体4との接触面
積を大きくしている。この帯電ベルト5は感光体4に密
着し、また感光体4に傷をつけないように材質の硬度が
低いことが望ましい。
【0011】すなわち、帯電ローラ2を用いる場合も帯
電ベルト5を用いる場合も、共にその材質は柔軟性が要
求され、硬度が低いことが望ましい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、帯電ロ
ーラ2や帯電ベルト5に硬度の低い材質を用いると、一
般的に粘着性が増し、トナー等の異物が付着し易くな
る。この異物は感光体4などに再付着し、画像に汚れが
生じたり、感光体への帯電ムラを招いたりする。
【0013】ここで帯電の安定性は画像に大きく影響す
るため、帯電付与材である帯電ローラ2や帯電ベルト5
などが、大きな範囲のみならず微小領域においても均一
な抵抗を有していることが要求される。抵抗の不均一性
はそのまま感光体4上の帯電の不均一性に表れ、その結
果として画像のムラなどの不具合を生じる。このため抵
抗を均一に作り込むことが必要となる。ここで、樹脂材
料は一般的に絶縁性であるため、導電性の付与は導電性
の微粒子、たとえばカーボンブラック、グラファイトな
どを樹脂中に分散することにより行っている。
【0014】しかしながら一般的に帯電ローラなどで用
いられている抵抗率104 〜1010Ωcmの素材におい
ては、一般的にこれら導電性粒子の均一な分散が困難で
あるために、均一な抵抗値のものを作り込むことは困難
であり、同じ試料内で抵抗値にばらつきが生じたり、試
料間のばらつきも大きいものとなる。ここで、極性の高
い、すなわちSP(Solubility Parameter)値の高いポ
リマーをマトリックスに用いることで、かかる抵抗のば
らつきを改善することができる。
【0015】これは極性の高いポリマーは、ポリマー自
体の抵抗が低く、導電性微粒子の分散の不均一性がある
場合、その抵抗のばらつきに対する影響を受けにくいた
めと考えられる。しかしながら、このようなSP値の高
いポリマーは一般的に吸湿しやすく温度湿度の影響によ
り抵抗が大きく変化するため、環境により画像濃度や画
像品質が大きく変わるなどといった不具合が生じてしま
う。つまり、極性の高いポリマーを用いると帯電の均一
性は得られるが環境に影響されるという欠点が生じる。
【0016】一方、極性の低いポリマーを用いると環境
に対する安定性は得られるが帯電の不均一性は得にくい
という欠点が生じる。すなわち、ポリマーの極性が低い
と導電性粒子(カーボンブラックが代表物)との相互作
用が小さくなり、混合が不均一になりやすい。たとえば
混合時に分散させにくく凝集塊などが生じてしまう。ま
た均一に分散させたものでも加硫、成形時の粘度低下に
より再凝集あるいは分離がおこり、導電性粒子を含まな
い領域が生じてしまう。この領域は全くの絶縁性である
ため、帯電ローラやベルトにした場合、その部分だけ全
く電荷がのらないという現象が生じたりしてしまう。
【0017】したがって本発明の目的は、均一な帯電を
行うことができ、しかも環境変化の影響を受けにくい帯
電付与材を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの相反す
る矛盾を解決するため研究を重ねた結果、1つの方策に
たどりついた。これは極性の低いポリマーをマトリック
スに用いて成形の後、表面のみの極性を上げるというも
のである。これにより帯電の均一性が図れ、しかも高極
性ポリマー程には環境変化による影響を受けないという
ものである。ここで成形物表面の極性を上げる方法とし
てはハロゲン化処理が適当であるという結論に達した。
【0019】また、本発明者らは、帯電ローラや帯電ベ
ルトなどの帯電体の表面の非粘着性を改善するために種
々の試行を行った結果、帯電体表面の摩擦係数を低下さ
せることが粘着性を改良することに結びつくことを見出
し、さらに、摩擦係数を低下させ非粘着性を改良する方
法としてはハロゲン化処理が適当であるという結論に達
し、本発明を完成させるに至った。
【0020】すなわち本発明は、表面をハロゲン化処理
した弾性体中に、導電性物質を分散した半導電性弾性体
層を含んでなることを特徴とする帯電付与材である。
【0021】上記したハロゲン化処理は、具体的には弾
性体表面をハロゲン酸水溶液と含ハロゲン酸化剤の混合
物に含浸させて行われる。ハロゲン酸と含ハロゲン酸化
剤の反応によってハロゲンラジカルが発生し、これによ
って弾性体表面のポリマーにハロゲンが導入されると考
えられる。ハロゲンの添加によって弾性体表面は改質さ
れ、極性が大きくなるとともに、摩擦係数が低下する。
【0022】ハロゲン化処理のうち、最も一般的に用い
られるのは塩素化処理であり、以下塩素化処理の具体的
方法について示す。
【0023】使用する薬品はたとえば塩酸(HCl)、
サラシ粉(CaCl(ClO)H2O)、水(H2O)で
ある。
【0024】塩酸ラジカル発生の反応式は、
【0025】
【化1】 CaCl(ClO)H2O+2HCl→CaCl2 +2Cl・+2H2O である。
【0026】塩酸およびサラシ粉の濃度は、水に対して
0.01%〜5%程度である。これ以上の濃度にする場
合、含浸の時間を極力短くするなどの注意が必要とな
る。塩素によるゴムの腐食が起こり、割れが生じたり形
状の保持ができなくなる場合があるからである。
【0027】また、含浸時間は約0.3%塩素濃度で約
5〜30分程度である。ただし、塩酸およびサラシ粉濃
度、含浸時間は、弾性体の材質によって当然異なってく
るので適宜選択すべきである。弾性体を処理溶液に含浸
したのち水洗いし、表面にある塩素または塩化カルシウ
ムなどを完全に除去し、次いで乾燥し塩素化処理は終了
する。
【0028】次に、ハロゲン化処理が行われる帯電付与
材について説明する。図1はローラ形状の帯電付与材の
斜視図である。図1を参照して、芯棒7の外表面には、
弾性体であるゴムマトリックス中にカーボンブラックや
金属粉末などの導電性物質を分散させた半導電性弾性体
層8が、芯棒7の軸方向両端付近の一部を被覆しないで
残して同心円状に形成されている。芯棒7は金属シャフ
トまたはそれに準ずるものである。この材質としてたと
えば塩素に腐食されやすい材質を用いる場合は、ハロゲ
ン化処理において処理液にふれないようにする。
【0029】上記半導電性弾性体層8のJIS硬度は、
感光体との密着性を高め接触面積を大きくするためにで
きるだけ小さくすることが望ましい。硬度60以上にな
ると感光体への帯電特性が不安定になる場合がある。
【0030】体積固有抵抗率はおおむね105 〜1012
Ωcmの間に設定され、好ましくは107 〜1012Ωc
mである。ただし、この値はどのような条件で帯電を行
うか、たとえば感光体の種類や感光体と帯電付与材間の
電圧などによって当然変わってくるので適宜選択すべき
である。
【0031】また、体積固有抵抗の部分的バラツキは1
桁程度に抑える。部分的バラツキが大きいと、感光体へ
の帯電状態は電気抵抗の部分的バラツキによってそのま
ま影響を受け、帯電ムラが生じる。105Ωcm以下の
抵抗では、たとえば感光体の傷などからリークが起こり
電荷がのらなくなるという現象が起こる場合がある。
【0032】マトリックスゴムの材質は特に制限される
ものではなく、通常のゴム弾性を有するものであれば広
範囲の材料を使用することができる。分子内に二重結合
を有するものがハロゲン化処理の効果が出やすいが、二
重結合がないものについても効果は認められる。
【0033】マトリックスゴムの材質は極性の低いもの
が好ましいが様々な検討を行った結果、おおむねSP値
8.7程度以下であれば本発明の趣旨に沿うものであ
る。SP値が大きくなればなるほど、つまり極性が大き
くなればなるほど空気中の水分の影響を受けやすくな
る。つまり放置環境により内部に存在する水分量が変化
することになる。この水分は不純物イオンのキャリアー
として働く、このイオンが移動しやすくなることはつま
り電気抵抗が変化することにつながる。
【0034】これゆえ、SP値が8.7を超えて高くな
ればなるほど、この傾向が強くなり、環境により電気抵
抗が変化しやすくなる。またSP値が過剰に低くなれば
カーボンとの相溶性が悪くなり、ムラが出やすくなるた
め塩素化処理を用いる。この値を満たすゴム種として
は、たとえばメチレンゴム、エチレンゴム、プロピレン
ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジ
エンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、
スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、イソブテン
ゴム、イソブテンイソプレンブチルゴム、あるいはメタ
クリル酸ブチルエステル、メタクリル酸イソブチルエス
テル、メタクリル酸sec−ブチルエステル、メタクリ
ル酸n−ヘキシルエステル、メタクリル酸イソボルニル
エステル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸オクチ
ルエステル、メタクリル酸ステアリルエステルなどから
成るゴム、ブチルゴム、テトラフルオロエチレンゴム、
スチレンジビニルベンゼンゴム、スチレンnブチルメタ
クリレートゴム、スチレンイソブチルメタクリレートゴ
ム、α−メチルスチレンアクリロニトリルゴム、オキシ
ジメチルシリコンゴム、シリコンゴム等が挙げられる。
またこれらの混合物あるいは共重合体でもよい。
【0035】またこれらに他の極性ポリマーをブレンド
したときは、ブレンド物としてのSP値が8.7程度で
あればよい。
【0036】SP値はたとえばPolymer Handbookなどの
文献を参照してもよいが、実測する場合はたとえば文献
などによりSP値のわかっているいろいろな溶媒との溶
解性とにより求める方法が使用できる。これは、SP値
がほぼ等間隔になるように選んだ種々の溶媒にポリマー
を溶解させ、これらのうち完全にポリマーを溶解させた
溶媒のSP値の中央値でそのポリマーのSP値を規定す
るものである。すなわち、溶媒にポリマーが溶解すると
いうことは、そのポリマーのSP値に近いSP値の溶媒
に溶解するということであるから、ポリマーを各種SP
値の異なる溶媒に溶解させて、下記表1のデータが得ら
れたら、8.6と8.4の中間の値8.5をそのポリマ
ーのSP値と規定する。
【0037】
【表1】
【0038】天然ゴムやブタジエンゴムのように、分子
の主鎖に二重結合を持つものであればその二重結合が開
裂し塩素が付加する。エチレンプロピレンターポリマー
(EPDM)等の側鎖に二重結合を持つものであればそ
の側鎖が開裂する。このように分子構造の差によって塩
素化処理の行いやすさなどは当然異なるため、各材料に
合わせて塩素化処理液の濃度や含浸速度をコントロール
することが必要となってくる。
【0039】また、硬度などの点から考慮すると、低結
晶性のゴム材を選ぶことが好ましい。また、硬度を下げ
るために可塑剤などを添加してもよいが、経時変化およ
び環境変化などによって表面への析出などが起こる場合
があるので、添加剤の種類や添加量はゴム材の種類や使
用環境に対応して、適宜選択される。さらに、圧縮によ
るゴムの永久歪が大きいものでは、感光体に押しつけら
れる時間が長くなる場合には、ローラが円筒面の一部を
成す形状に凹状に変形するため、この点についても注意
が必要となる。
【0040】導電性物質としてはカーボンブラックをは
じめとして、金属粉末、導電性繊維など有機、無機を問
わず使用できる。ただし所望の導電レベルを任意に設定
できるものが好ましい。
【0041】帯電ローラは、たとえば次のようにして図
1に示す形状に製造する。すなわち、金属シャフト7の
外周に導電性接着剤を塗布し、これを金型に入れ、ゴム
に導電性カーボンブラックを配合したゴム組成物を添加
し、加硫したのち脱型し、研磨する。こうして金属シャ
フト7の外周に同心円状に半導電性弾性体層8が形成さ
れる。
【0042】帯電付与材10は上記したローラ形状の
他、ベルト形状やブレート形状にしてもよい。
【0043】たとえば、図2を参照してベルト形状の帯
電付与材11は、内側に導電層9を設け、その外周に抵
抗率105 〜1012Ωcm程度の半導電性弾性体層8を
設けるのが最も適当である。ベルトは二軸以上のローラ
6a,6bによって駆動され、その駆動ローラ6a,6
bを一部導電性にすることでベルトに電圧をかけるとよ
い。
【0044】導電層9は、ジョイントベルト、シームレ
スベルトのいずれでもよい。また、材質は金属、導電性
フィラーを分散させたプラスチックゴム材料など適宜使
用できる。フィルム状の平滑性は必須ではなく、たとえ
ば導電性繊維の織物や、コード状物をラセン形に巻きつ
けたものでもよい。
【0045】導電層9の外周に形成する半導電性弾性体
層8の厚みt1は、ベルトに要求される抵抗率と、半導
電性弾性体層8を形成する材料の抵抗率によって決定さ
れ、本質的には他の要因の影響を受けない。しかし、実
用的には摩耗や擦傷の発生を考慮する必要があるので、
望ましくは0.5mm以上の厚さがあることが好まし
い。
【0046】上記した2層構造のベルトの他に、半導電
性弾性体層8から成る単層構造のベルトを用いてもよ
い。この場合はベルトを介して導電ローラ6a,6bと
感光体が接触するようにすればよい。
【0047】ベルトの作製方法としては一般的な押し出
し成形などを用いればよいが、できるだけ継ぎ目や継ぎ
目の段差をなくすようにする。
【0048】以上のようにして、表面をハロゲン化処理
した帯電ローラ、帯電ベルトなどの帯電付与材を作製す
ることができる。
【0049】
【作用】本発明に従えば、帯電付与部材の表面をハロゲ
ン化処理することによって、表面のみの極性を上げこれ
によって均一な帯電が可能でしかも環境変化の影響を受
けにくい帯電付与部材を得ることができる。
【0050】さらに、本発明に従えば、帯電体の表面を
ハロゲン化処理することによって、摩擦係数を低減し、
非粘着性を改良した帯電体を得ることができる。
【0051】
【実施例】マトリックスゴムとしてEPDM(日本合成
ゴム株式会社製、EP−21)、導電性物質として導電
性カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、トーカ
ブラック#5500)を用いた。配合比は、 EPDM 100重量部 カーボンブラック 25重量部 ステアリン酸 1重量部 TS 1.5重量部 M 0.5重量部 イオウ 1.5重量部 である。ここでTS、Mは加硫促進剤であり、テトラメ
チルチウラム・モノスルファイドおよび2−メルカプト
ベンゾチアゾールである。これらを混練し、ゴム組成物
を調整した。
【0052】図1に示すように、直径6mm、長さ23
8mmのステンレス鋼から成る金属シャフト7の突出さ
せる軸方向両端部を除く外周面に導電性接着剤を塗布
し、その上からゴム組成物を巻きつけ、金型に入れ加硫
した。そののち脱型し、研磨してゴム部の長さ224m
m、ゴムの肉厚3mmの帯電ローラ10を作製した。
【0053】この帯電ローラ10を、以下で述べる画像
試験材における取付状態と同じ状態で、金属シャフト7
と帯電ローラ10表面との間の電気抵抗値を測定したと
ころ108 Ωであった(500V印加時の電流より算出
した)。
【0054】この帯電ローラ10にハロゲン化処理とし
て塩素化処理を行う。塩素化処理溶液は、塩酸(市販3
5%溶液)120重量部、サラシ粉7重量部、水800
重量部の割合で調合した塩酸濃度4.5%の溶液であ
る。この溶液に15分間帯電ローラ10を含浸させたの
ち、流水で十分にすすぎ完全に処理溶液を取り除き、熱
風で表面を十分乾燥した。
【0055】また上記のようにして得られた帯電ローラ
10を、実際に電子写真プリンタ(ヒューレットパッカ
ード社製レーザジェットIIP)に取付けて性能を比べ
た。
【0056】塩素化処理を行ったものは、行っていない
ものに比べて使用開始直後の初期画像においては画像に
おいてむらがなく良好なものが得られた。
【0057】また4000枚ランニング後については、
塩素化処理を行ったものについては初期画像に比べてほ
とんど変化がみられなかったのに対し、行わなかったも
のについては100枚目ですでに帯電ローラ10にトナ
ーが付着し、黒く汚れていた。また1000枚目以降で
はトナーが感光体に移行して露光不良を生じ、画像抜け
が生じた。この他、画像に字汚れがみられるようになっ
た。
【0058】また比較例として極性の高いポリマーであ
るNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム(日本合成
ゴム株式会社製、N250S)マトリックスを用いてロ
ーラの作製を行った。配合を記す。
【0059】 NBR 100重量部 カーボンブラック 25重量部 ステアリン酸 1重量部 ZnO 3重量部 イオウ 1.5重量部 CZ 1重量部 ここでCZは加硫促進剤であり、N=シクロヘキシル−
2−ベンゾチアジル・ソルフェナマイドである。このN
BRを用いた帯電ローラは前述したような初期画像にお
いては画像にむらがなく良好なものが得られたが、環境
試験においては気温および湿度を10℃10%より35
℃80%と変化させてみると画像の濃淡が大きく変わる
といった現象が生じた。
【0060】また4000枚ランニングテストにおいて
は、100枚目ですでに帯電ローラにトナーが付着し、
黒く汚れていた。また1000枚目以降ではトナーが感
光体に移行し露光不良を生じ、画像抜けが生じた。この
他、画像に字汚れが見られるようになった。このような
実際結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下のよ
うな効果が得られた。
【0063】(1)帯電付与材表面のハロゲン化処理に
よって表面の極性が上がり帯電の均一性が得られた。ま
た、帯電付与材表面のハロゲン化処理によって摩擦係数
が低下し非粘着性が改良されるので、異物が付着しなく
なり、帯電体や感光体の汚染がなくなる。また、均一な
帯電が長期にわたって安定して得られる。
【0064】本発明はその抵抗の部分的なバラツキがあ
っても表面を塩素化処理することにより帯電の安定性を
図ろうとするものである。
【0065】SP値の低いつまり極性の小さいポリマー
におこりやすい現象は、前述したようにカーボンとポリ
マーの分離現象があるこれが表面等に存在すると、その
部分のみ高抵抗な領域となる(1010〜1015Ωc
m)。この場合、たとえば表面が塩素化処理されている
と、このような高抵抗な部分でも表面は1010〜1011
Ωcm程度となり、電荷の横よりの流れ込みが期待でき
る。
【0066】(2)表面のみ極性が高いため環境変化の
影響を受けにくく帯電付与性能が安定である。
【0067】(3)ハロゲン化処理により表面のクリー
ニング性が良好になり異物付着による画像に対する欠
陥、乱れがなくなった。
【0068】(4)帯電体の硬度は低く維持されている
ので、一様な帯電を行うことができる。
【0069】(5)摩擦係数が低下することによって、
帯電体と感光体との摩擦に伴う互いの損傷が回避され
る。
【0070】(6)上記(1)〜(5)から本発明の帯
電体をたとえば電子写真複写機に用いると、美しい画像
を長期にわたって安定して得ることができる。
【0071】(7)本発明のハロゲン化処理は帯電付与
材の表面のみをハロゲン化するものである。したがっ
て、たとえば帯電ローラにおいては、芯棒と半導電性弾
性体層との間の電気抵抗、帯電ベルトにおいては導電層
と半導電性弾性体層との間の電気抵抗はほとんど影響を
受けない。したがって導電性の設計はゴムの配合などで
行い、表面機能の付与はハロゲン化処理で行うといった
分担が容易になる。
【0072】また、特にコーティングなどと異なり、表
面に他の層をコーティングする必要はなく、層間の密着
性や接着性を考慮しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の帯電ローラ10の斜視図で
ある。
【図2】本発明の一実施例の帯電ベルト11の断面図で
ある。
【図3】帯電ローラを用いた接触帯電装置の概略を示す
断面図である。
【図4】帯電ベルトを用いた接触帯電装置の概略を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 感光体 2 帯電ローラ 3 電源 4 感光層 5,11 帯電ベルト 6 ローラ 7 芯棒 8 半導電性弾性体層 9 導電層 10 帯電ローラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面をハロゲン化処理した弾性体中に、
    導電性物質を分散した半導電性弾性体層を含んでなるこ
    とを特徴とする帯電付与材。
  2. 【請求項2】 弾性体を主体的に構成するポリマーのS
    P値が8.7程度以下の請求項1に記載の帯電付与材。
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