JP2005004010A - 湿式画像形成装置用の転写部材 - Google Patents
湿式画像形成装置用の転写部材Info
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Abstract
【課題】湿式画像形成装置用の転写部材の表層の抵抗値のバラツキを低減すると共に、表層から液体現像剤の溶媒の進入がなく良好な耐久性を実現する。
【解決手段】湿式画像形成装置10に用いられ、感光体や中間転写媒体である中間転写ベルト11から液体現像剤15を画像形成媒体17に転写させる転写ローラ1となる転写部材において、少なくとも表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されたゴム組成物を用いて形成されている。該イオン導電性ゴムは10重量%以上をエピクロルヒドリンゴムとし、液体現像剤15の溶媒に対する膨潤率を10%以下としている。
【選択図】 図2
【解決手段】湿式画像形成装置10に用いられ、感光体や中間転写媒体である中間転写ベルト11から液体現像剤15を画像形成媒体17に転写させる転写ローラ1となる転写部材において、少なくとも表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されたゴム組成物を用いて形成されている。該イオン導電性ゴムは10重量%以上をエピクロルヒドリンゴムとし、液体現像剤15の溶媒に対する膨潤率を10%以下としている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の湿式画像形成装置用の転写部材に関し、詳しくは、感光体から中間転写媒体に、該中間転写媒体から画像形成媒体に液体現像剤を用いて画像に転写させる転写部材において、その表層の改質し、抵抗値のバラツキを低減すると共に、表層から液体現像剤の溶媒の進入がなく良好な耐久性を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉砕トナーや重合トナー等の乾式現像剤を用いた乾式画像形成装置は、高画質化のために、重合トナーの使用が急速に広まっている。粉砕トナーに比べ、重合トナーは、5μm程度の微粒子化及び球形や扁平形等の形状調整が容易であると共に、粒径分布が極めて均一であることから、極めて高画質な画像を容易に得ることができる。
しかしながら、乾式現像剤において、トナーを微粒子とするとトナーのブロッキング等の問題が生じ、微粒子を安定してコントロールするのが困難である。また、微粒子化されたトナーの飛散により人体に影響を及ぼす恐れもある。
【0003】
このため、近年、上記のような乾式現像剤ではなく、微粒子の飛散等の問題が発生しない、トナーと溶媒とを含む液体現像剤(湿式現像剤)を用いた湿式画像形成装置が注目されており、液体現像剤や、湿式画像形成装置を構成する各部材の研究が行われている。特に、湿式画像形成装置の転写部材は、乾式画像形成装置とは異なる性能が要求されるため、その研究が重要視されている。
具体的には、乾式画像形成装置の転写部材では、主に電気的な特性により乾式現像剤を中間転写媒体や紙等の画像形成媒体に転写する。そのため、乾式画像形成装置の転写部材には、適度な電気抵抗値と柔軟性(適度なニップ)が求められる。
【0004】
これに対し、湿式画像形成装置の転写部材は、トナーと溶媒を含む液体現像剤を、感光体又は中間転写媒体から画像形成媒体に転写させるために、感光体又は中間転写媒体に画像形成媒体を介して当接され、溶媒に対してせん断力を与えることで液体現像剤をこすりとり、紙やフィルム等の画像形成媒体に転写させるものである。
【0005】
従って、湿式画像形成装置の転写部材には、均一なせん断力を得るために、転写部材の表面の表面粗さが小さいこと、液体現像剤の溶媒の膨潤や接触による表面の摩耗がないこと等が要求されている。また、湿式画像形成装置用の転写部材は、液体現像剤を電気的に引き寄せる機能を必要とするため、均一な電気的特性を有し抵抗値がバラツキにくいことも要求されており、これらの要求性能を満たすために種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、特開2000−98753号公報(特許文献1)では、感光体上に液体現像剤を用いて形成された画像が転写され表面に少なくともシロキサン構造を骨格とするポリマー(シリコーン樹脂)を含有し表面抵抗が調整された転写媒体を備えた画像形成装置が提案されている。また、この転写媒体に導電性金属酸化物を添加することで表面抵抗を下げることが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−98753号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、転写媒体の表層がシリコーン樹脂であることから、機械的強度が乏しく表層の削れ等が生じやすいという問題がある。特に、表層がシリコーン樹脂塗料として塗布された場合、低分子のシリコーン樹脂が未反応あるいは反応物の状態で残存し、これが液体現像剤の溶媒により抽出される恐れがある。このように、液体現像剤の溶媒が表層中に進入する恐れがあると共に、せん断力がかかる転写部材として用いるには機械的強度に劣り、耐久性が不十分であるという問題がある。
【0009】
また、特許文献1では、導電性を得るために、数十nm〜数百nm程度の導電性金属酸化物をポリマーに分散させているが、金属酸化物の粒子の分散性により抵抗値が左右され、転写媒体の表層で抵抗値のバラツキが生じやすく、転写画像の濃度ムラ等の画像不良が生じやすいという問題がある。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、湿式画像形成装置用の転写部材の表層の抵抗値のバラツキを低減すると共に、表層から液体現像剤の溶媒の進入がなく良好な耐久性を実現することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、液体現像剤を使用する湿式画像形成装置に用いる転写部材であって、
少なくとも表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されていると共に抵抗値調整用として導電性フィラーが配合されていないゴム組成物を用いて形成され、上記液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としていることを特徴とする湿式画像形成装置用の転写部材を提供している。
【0012】
転写部材の表層を上記構成とすると、イオン導電性ゴムにより導電性が付与され、抵抗値にバラツキが発生しやすい導電性フィラーを用いていないため、あるいは導電性フィラーを用いても抵抗値を調整しない程度しか配合していないことより、表層の抵抗値のバラツキを低減することができる。
なお、導電性フィラーを添加する場合には、上記ゴム組成物に導電性フィラーを添加しなかった場合に対して、導電性フィラーを添加した場合の抵抗値の低下が、500Vの電圧印加時で抵抗値の常用対数値が0.5以下に抑えられる範囲で添加している。
【0013】
また、トナーと溶媒とを含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としているため、表層からの溶媒の進入が低減され、転写部材の使用時に溶媒の影響を受け難く連続使用が可能となる上に、長期に渡って使用しても表層が破壊することがなく、優れた耐久性を実現することができる。よって、本発明の転写部材は、転写画像の濃度ムラ等の画像不良を生じさせることなく液体現像剤を画像形成媒体に転写することができ、長期に渡り高画質を得ることができる。
上記膨潤率は好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下が良い。なお、液体現像剤の溶媒に対する膨潤率とは、表層が溶媒を含んだときの表層の重量変化の割合である。
【0014】
転写部材の表層は、安定性と耐食性の面から1mm以上の厚みが好ましく、電気抵抗の均一性の面からは単体から形成されていることが好ましい。
【0015】
上記液体現像剤の溶媒はパラフィン系オイルであり、上記イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴム、NBR,CRからなる極性ゴムのうち少なくとも1種類を含んでいる。
【0016】
イオン導電性ゴムとして上記の極性ゴム、特にハロゲン系ゴムを用いると溶媒に対する膨潤率を低減することができ、特に、エピクロルヒドリンゴムは、膨潤率の低減効果に優れる。よって、イオン導電性ゴムの10重量%以上をエピクロルヒドリンゴムとすることが好ましい。
イオン導電性ゴムはエピクロルヒドリンゴムのみとしても良いが、ブレンドする場合には、他のゴムは極性ゴムが好ましく、エピクロルヒドリンゴムは10重量以上100重量%以下が好ましい。
具体的には、イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴムに加え、上記NBR,CR、あるいは、ウレタンゴムの少なくとも1種類を含有していることが好ましい。なお、ウレタンゴムとしてはエチレンオキサイドを分子内に有し不飽和度の低いものが好ましい。
【0017】
エピクロルヒドリンゴムとしては、種々のエピクロルヒドリン系重合体が挙げられる。例えば、エピクロルヒドリン単独重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
中でも、エチレンオキサイド含量が55mol%以上95mol%以下であるエピクロルヒドリン系重合体が好ましく、速い加硫速度を維持したまま、抵抗値を低減することができる。
【0018】
上記ゴム以外にも、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、その他各種不飽和ゴム、熱可塑性ゴム等のエラストマー材料等を1種又は複数種用いることもできる。
【0019】
パラフィン系オイルは、他の溶媒に比べて比較的低コストで、安全性、臭気性にも優れているため、液体現像剤の溶媒として好適であるが、このようなパラフィン系オイル及びその他従来公知の液体現像剤用の溶媒に対しても、表層への進入を低減することができる。
なお、パラフィン系オイルとしては、松村石油研究所製の流動パラフィン系溶剤であるモレスコホワイトP−40,P−55,P−60,P−70,P−80,P−85,P−100,P−150,P−200、モレスコバイオレンスU−6,U−7,U−8、出光石油化学製のイソパラフィン系溶剤IPソルベント2028,2835等が挙げられる。
【0020】
上記ゴム組成物には、エピクロルヒドリンゴムの重量に対し、受酸剤が1重量%以上5重量%以下の割合で配合されていることが好ましい。これは、1重量%よりも少ないと、エピクロルヒドリンの加硫反応時に発生する塩化水素による加硫阻害および感光体汚染を防止する効果が生じにくいためである。一方、5重量%よりも多いと、硬度が上昇しやすいためである。
受酸剤としては、分散性に優れるためハイドロタルサイトが好ましく、その他、マグサラット等を用いることもできる。
【0021】
上記ゴム組成物は、加硫剤としてエチレンチオウレアと硫黄を併用していることが好ましい。エピクロルヒドリンゴムをエチレンチオウレアで加硫すると圧縮永久歪みが低減され耐久性が良好である上に、研磨加工時の精度確保が容易かつ良好であり、さらには紫外線による酸化膜形成効果も高くなり有用である。
硫黄及びエチレンチオウレアに代表されるチオウレア類は、別々の反応機構で互いに妨げ合うことなく独立に働き得るため、チオウレア類の加硫系により低圧縮永久歪みを実現できるると共に、硫黄加硫系により加硫速度を速くすることができ、生産性を向上することができる。
イオン導電性ゴム100重量部に対して、硫黄は0.1重量部以上5.0重量部以下が好ましく、エチレンチオウレアは0.2重量部以上3.0重量部以下が好ましい。なお、加硫剤としては、トリアジン誘導体、その他のチオウレア類、各種モノマー等を用いることもできる。
【0022】
ゴム組成物には、ステアリン酸等の各種加工助剤、第4級アンモニウム塩等の導電剤、ジオクチルフタレート(DOP)等の可塑剤を、イオン導電性ゴムの導電性に影響を及ぼさない範囲で配合することができる。なお、可塑成分が5%を上回ると、溶媒への染み出しが生じやすくなるため好ましくない。また、表層の劣化防止のため、本発明の効果を損なわない範囲で、各種老化防止剤を配合することができる。なお、発泡剤を配合し発泡体とすることもできるが、表層は非発泡で形成されていることが好ましい。
【0023】
上記転写部材は、感光体から中間転写媒体に、あるいは/および該中間転写媒体から画像形成媒体に画像を転写する転写ロールとして好適に用いられる。
【0024】
上記転写部材の圧縮永久歪みは1%〜15%とすることが好ましい。
上記圧縮永久歪みの範囲とすると、繰り返しの使用による転写部材のへたりがなく、寸法安定性に優れ、耐久性をより向上することができる。なお、圧縮永久歪みは、JISK6262「加硫ゴムの永久ひずみ試験方法」の規定に従い、測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮割合は試験片の厚みの25%として測定している。
【0025】
また、転写部材の表面粗さRzは5μm以下であることが好ましい。これにより、均一なせん断力を得ることができ、せん断力が与えられ液体現像剤が転写される際に、溶媒中に存在する色材がむらになることがないため、良好な画像を得ることができる。表面粗さRzとは、JIS B0601に定義された材料の表面粗さを表すパラメータである。
【0026】
具体的には、鏡面研磨機等を用いて転写部材の表面を研磨し表面粗さRzを調整することができる。また、未処理又は脂肪酸処理された炭酸カルシウム等のフィラー量をイオン導電性ゴム100重量部に対して25〜80重量部配合することで、表面粗さRzを小さくすることができる。特に、脂肪酸処理された炭酸カルシウムを30〜80重量部、導電又は弱導電のカーボンブラックを本発明の効果を損なわない範囲で2〜70重量部配合するのが効果的である。導電又は弱導電のカーボンブラックは、10重量部以上、さらには20重量部以上がより好ましいが、70重量部より多いと硬度が高くなる上に、カーボンブラックによる導電性がイオン導電性ゴムによる導電性を上回り抵抗値にバラツキが生じやすくなる。カーボンブラックを配合する場合には、大粒径でストラクチャーの発達が小さいカーボンを多く添加することが好ましい。例えば、サーマルカーボンブラックやファーネスカーボンブラックを20〜50重量部配合するのが好ましい。
【0027】
表層の硬度を調整し、転写部材の表層への溶剤の進入をさらに抑制するために、表層を酸化させ酸化膜を形成することもできる。酸化膜を形成するには、100nm〜400nmの紫外線の照射が効果的である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明の湿式画像形成装置用の転写部材は、図1に示すように、略円筒状の転写ローラ1とされ、転写ローラ1の中空部に円柱状のシャフト2が圧入されている。
【0029】
転写ローラ1は、表層のみならず全体が、イオン導電性ゴムにより導電性が付与された以下のゴム組成物を用いて加硫形成されている。
ゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム30重量部とNBR70重量部との2種のイオン導電性ゴムが混合されると共に、脂肪酸処理された炭酸カルシウム40重量部、導電性カーボンブラック2重量部、硫黄1重量部、エチレンチオウレア0.6重量部が配合されている。また、エピクロルヒドリンゴムの重量の3重量%のハイドロタルサイトが配合されている。
【0030】
上記ゴム組成物には、カーボンブラックが含有されているが、カーボンブラックの配合により抵抗値が大きく低下する程度には含まれておらず、カーボンブラックの存在やその分散性が導電性に影響を及ぼすことはない。
【0031】
転写ローラ1は、トナーと溶媒を含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率が5.8%であり、圧縮永久歪みが9.5%であり、表面粗さRzが3.5μmである。また、転写ローラ1はシャフト2が装着された状態で500Vの電圧印加時の電気抵抗が10の7.8乗Ωであり、抵抗値の周ムラが1.3である。
【0032】
転写ローラ1が用いられる第1実施形態の湿式画像形成装置10として、図2に示すように、中間転写ベルト11からなる中間転写媒体を用いた転写機構を有する構造が挙げられる。
【0033】
湿式画像形成装置10は、転写ローラ1を二次転写ローラとして用いており、中間転写ベルト11、感光体12、感光体12を帯電させる帯電器13、画像を画像形成媒体17に定着させる定着ローラ14、4色の液体現像剤15(15a、15b、15c、15d)、画像形成媒体供給トレー16、感光体12上を洗浄するクリーニングブレード18を備えている。
【0034】
具体的には、互いに回転する転写ローラ1と中間転写ベルト11との間に紙やフィルム等の画像形成媒体17が狭持されながら挿通され、転写ローラ1により液体現像剤15の溶媒に対してせん断力が与えられると共に、帯電された転写ローラ1により液体現像剤15を電気的に引き寄せ、液体現像剤15をこすりとり画像形成媒体17に転写させる転写機構を有している。本実施形態では、液体現像剤15の溶媒をパラフィン系オイルとしている。
【0035】
湿式画像形成装置10によって画像が形成される場合、まず、感光体12が図中の矢印の方向に回転し、感光体12が帯電器13により帯電された後に、レーザーLが感光体12の非画像部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。
【0036】
次に、液体現像剤15aが感光体12上に供給されて、帯電画線部に液体現像剤15aが付着し1色目の画像が形成される。この液体現像剤15aの画像は中間転写ベルト11上へ転写する。同様にして、感光体12上に形成された液体現像剤15b〜15dの各色の画像が中間転写ベルト11上に転写され、中間転写ベルト11上に4色の液体現像剤15(15a〜15d)からなるフルカラー画像が一旦形成される。
【0037】
画像形成媒体供給トレー16から画像形成媒体17が送られ、このフルカラー画像は、転写ローラ1の上記転写機構により中間転写ベルト11から、画像形成媒体17上へ転写される。その後、所定の温度に加熱されている定着ローラ14を通過することで画像が画像形成媒体17の表面へ定着される。
【0038】
転写ローラ1は、表層を含む全体が上記ゴム組成物を用いて形成されており、表層は液体現像剤15の溶媒に対する膨潤率が低いため、溶媒が転写ローラ1の表層に進入することがない上に、抵抗値のバラツキも小さいため、画像不良を生じることなく、中間転写ベルト11から画像形成媒体17へ画像を転写することができ、高画質の画像を得ることができる。
【0039】
また、転写ローラ1が用いられる第2実施形態の湿式画像形成装置20として、図3に示すように、中間転写媒体を用いず、感光体22から液体現像剤25を画像形成媒体27に転写させる転写機構を有する構造が挙げられる。
【0040】
湿式画像形成装置20は、上記同様に、転写ローラ1、感光体22、帯電器23、定着ローラ24、液体現像剤25、画像形成媒体供給トレー26、クリーニングブレード28を備えている。液体現像剤25は、供給ローラ29aと現像ローラ29bを介して感光体22に供給させる構成としている。
【0041】
本実施形態では、転写ローラ1は、感光体22に当接され、画像形成時には、互いに回転する転写ローラ1と感光体22との間に画像形成媒体27が狭持されながら挿通され、転写ローラ1により液体現像剤25の溶媒に対してせん断力が与えられると共に、帯電された転写ローラ1により液体現像剤25を引き寄せ、液体現像剤25をこすりとり画像形成媒体27に転写させる転写機構を有している。
【0042】
湿式画像形成装置20によって画像が形成される場合、まず、感光体22が図中の矢印の方向に回転し、帯電器23によって感光体22が帯電された後に、レーザーLが感光体22上に露光される。その後、液体現像剤25が感光体22上に供給され、画像が現像され、感光体22上に現像された画像が感光体22と共に回転する。
次に、画像形成媒体供給トレー26から画像形成媒体27が送られ、感光体22上の画像は、転写ローラ1の上記転写機構により感光体22から、画像形成媒体27上へ転写される。その後、所定の温度に加熱されている定着ローラ24を通過することで画像が画像形成媒体27の表面へ定着される。
【0043】
上記同様の理由により、転写ローラ1は、画像不良を生じることなく、感光体22から画像形成媒体27へ画像を転写することができ、高画質の画像を得ることができる。
【0044】
イオン導電性ゴムとして、エピクロルヒドリンゴム以外に、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム,ウレタンゴム等を1種又は複数種混合しても良い。また、上記実施形態では、上記ゴム組成物をローラ状に形成しているが、シート状あるいはベルト状に形成し、シャフト等の芯体やゴム層等の基層に被覆して転写部材として用いることもできる。
【0045】
以下、本発明の湿式画像形成装置用の転写部材の実施例、比較例について詳述する。
実施例及び比較例について下記の表1の配合材料をバンバリーミキサで混練りし得られたゴム組成物をプレスにより、160℃×30分の条件で、内径19mm、外径32mmのチューブ状に加硫して転写ローラを作製した。
外周面に導電性接着剤が塗布された外径20mmのシャフトを、転写ローラの中空部に圧入して、160℃のオーブン内で装着し、その後、端部を調整した。円筒研磨機で転写ローラの外周面をトラバース研磨した後、鏡面仕上げ機で鏡面状に仕上げ、外径30mm(公差0.05)で所定の表面粗さRzに仕上げた。
【0046】
【表1】
【0047】
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー製エピクロマーCG102)は、エチレンオキサイド/エピクロルヒドリン/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%である。
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー製エピクロマーD)は、エチレンオキサイド/エピクロルヒドリン/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が39モル%/61モル%/0モル%である。
【0048】
NBRーIの日本ゼオン製ニッポール401LLは、ニトリル量が25%未満の低ニトリルNBRである。
NBRーIIの日本ゼオン製ニッポールDN223は、液状NBRを50%含有させた中高ニトリルNBRである。
EPDMは三井化学社製のEPT4045を用いた。
なお、実施例1〜3、比較例2では、ハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A−2)を、エピクロルヒドリンゴムの重量の3重量%含有した。
エチレンチオウレアは、川口化学製、アクセル22−Sを用いた。
【0049】
(実施例1)
イオン導電性ゴムとして、エピクロルヒドリンゴムのみを用い、液体現像剤に対する膨潤率を1.0%とした。
(実施例2、3)
イオン導電性ゴムとしてエピクロルヒドリンゴム30重量部とNBR70重量部を混合して用いたが、実施例2と実施例3では性質が異なるゴムとした。各々、膨潤率を5.8%、2.3%とした。
【0050】
(比較例1)
転写ロールを基層と表層の2層構造とした。基層はNBRーIにカーボンブラックを含有させて導電性を付与した。表層はシリコーン樹脂に導電性酸化チタンを配合し導電性を付与した。加硫成形した基層の表面に、シリコーン樹脂を塗布して表層を形成した。表層の厚みは0.1mmとした。表層の膨潤率は1.5%であった。
(比較例2)
イオン導電性ゴムとしてエピクロルヒドリンゴム10重量部、NBRーIを70重量部、EPDMを20%を混合して用いた。膨潤率が10.5%であった。
【0051】
実施例1〜3、比較例2において、カーボンブラックが含有されているが、ごく少量であるため、カーボンブラックに起因する抵抗値の低下は極めて微少であり、いずれもイオン導電性ゴムにより導電性が付与された。
【0052】
上記実施例及び比較例について、後述する方法により、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0053】
(液体現像剤の溶媒に対する膨潤率(重量変化率)評価)
転写ローラをパラフィンオイル中、23℃で1日放置したときの放置前後の転写ローラの重量変化を膨潤率として測定した。比較的粘度の高い炭素数が10以上のパラフィンオイルを用いた。
【0054】
(耐久評価(表層の削れ))
図4に示すように、2つの駆動ローラ31a、31bにポリイミドベルト32を張架し、転写ローラ30と対向する金属ロール33とでポリイミドベルト32を狭持して転写ローラ30をポリイミドベルト32に当接させた。ポリイミドベルト32上に、パラフィンオイルPを途切れないように一定厚みで塗布し続けた状態で、転写ローラ30及びポリイミドベルト32を回転させて転写ローラ30の表層をパラフィンオイルPと接触させた。かきとり装置34により余分なパラフィンオイルをかきとった。ポリイミドベルト32は10000回回転させ、このときの転写ローラ30の表層の削れを評価した。
【0055】
(電気抵抗の周ムラ)
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図5に示すように、シャフト42を通した転写ローラ41をアルミドラム43上に当接搭載し、電源44の+側に接続した内部抵抗r(10kΩ)の導線の先端をアルミドラム43の一端面に接続すると共に電源44の−側に接続した導線の先端を転写ローラ41の他端面に接続して通電を行った。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。
この装置において、印加電圧をEとすると、ロール抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。
シャフト42の両端に500gずつの荷重Fをかけ、アルミドラム43を回転数30rpmで回転させることで転写ローラ41を回転させた状態で、印加電圧Eを500Vかけたとき、1周内の周ムラ((周方向の電気抵抗の最大値/周方向の電気抵抗の最小値)の比率)を求めた。
【0056】
(電気抵抗測定)
図5に示す装置を用い、温度23℃、相対湿度55%の環境中で、印加電圧を500Vかけたときの転写ロールの電気抵抗値(Ω)を測定した。表中には電気抵抗の常用対数値を示す。電気抵抗値は106Ω以上109Ω以下、好ましくは106Ω以上108Ω以下であるのが良い。
【0057】
表1に示すように、実施例1は、抵抗値の周ムラの値が小さく抵抗値のばらつきが極めて小さく、表層の削れはわずかに発生したものの使用上の問題はない程度であり良好な耐久性を示した。また、実施例2,3は、抵抗値の周ムラの値が小さく抵抗値のばらつきが小さい上に、表層の削れもなく耐久性が非常に優れていた。
【0058】
一方、比較例1は、導電性フィラーにより導電性が付与されているため、抵抗値の周ムラの値が大きく抵抗値にばらつきが見られた上に、表層がシリコーン樹脂であるため機械的強度が不足し膨潤率は小さいものの表層の削れが発生し、耐久性に劣っていた。また、比較例2は、イオン導電性ゴム中のエピクロルヒドリンゴムの重量が15重量%と小さいため、膨潤率が10.5%と大きく、パラフィンオイルの進入により強度が低下し表層の削れが生じ、耐久性に劣っていた。
【0059】
なお、上記耐久評価測定では、イミドベルトに転写ローラを当接させたが、ベルトの表層がウレタン等の比較的低硬度な材料からなる場合、転写ローラはJIS−A硬度で60以上、好ましくは、70以上の高硬度とすることが好ましい。高硬度とするには、▲1▼フィラー量を増加して実現する方法と、▲2▼ゴムの高硬度とする方法とがあるが、トナー溶媒への影響を考慮すると、上記▲1▼は好ましくなく、▲2▼の転写ローラのゴムを高硬度とする方が好ましい。この▲2▼の方法としては、例えばブレンドするゴムとして、高ニトリルのNBRを用いるころが有効である。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、転写部材の表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されているため、導電性フィラーを用いて導電性が付与されるのに比べ、表層の抵抗値のバラツキを低減することができる。また、イオン導電性ゴム中、エピクロルヒドリンゴムを10重量%以上とし、トナーと溶媒とを含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としているため、表層の機械的な劣化及び溶媒による膨潤を防止することができ、優れた耐久性を得ることができる。
【0061】
よって、本発明の転写部材は、転写画像の濃度ムラ等の画像不良を生じさせることなく、感光体又は中間転写媒体から液体現像剤を画像形成媒体に転写させることができ、長期に渡り高画質を得ることができる。このため、複写機、ファクシミリ、プリンター等の湿式画像形成装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写部材の概略図である。
【図2】中間転写媒体を用いた第1実施形態の湿式画像形成装置の概略構成図である。
【図3】中間転写媒体を用いない第2実施形態の湿式画像形成装置の概略構成図である。
【図4】転写ローラの表層の耐久性試験方法の説明図である。
【図5】転写ローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 転写ローラ
2 シャフト
10、20 湿式画像形成装置
11 中間転写ベルト
12、22 感光体
15、25 液体現像剤
17、27 画像形成媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の湿式画像形成装置用の転写部材に関し、詳しくは、感光体から中間転写媒体に、該中間転写媒体から画像形成媒体に液体現像剤を用いて画像に転写させる転写部材において、その表層の改質し、抵抗値のバラツキを低減すると共に、表層から液体現像剤の溶媒の進入がなく良好な耐久性を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉砕トナーや重合トナー等の乾式現像剤を用いた乾式画像形成装置は、高画質化のために、重合トナーの使用が急速に広まっている。粉砕トナーに比べ、重合トナーは、5μm程度の微粒子化及び球形や扁平形等の形状調整が容易であると共に、粒径分布が極めて均一であることから、極めて高画質な画像を容易に得ることができる。
しかしながら、乾式現像剤において、トナーを微粒子とするとトナーのブロッキング等の問題が生じ、微粒子を安定してコントロールするのが困難である。また、微粒子化されたトナーの飛散により人体に影響を及ぼす恐れもある。
【0003】
このため、近年、上記のような乾式現像剤ではなく、微粒子の飛散等の問題が発生しない、トナーと溶媒とを含む液体現像剤(湿式現像剤)を用いた湿式画像形成装置が注目されており、液体現像剤や、湿式画像形成装置を構成する各部材の研究が行われている。特に、湿式画像形成装置の転写部材は、乾式画像形成装置とは異なる性能が要求されるため、その研究が重要視されている。
具体的には、乾式画像形成装置の転写部材では、主に電気的な特性により乾式現像剤を中間転写媒体や紙等の画像形成媒体に転写する。そのため、乾式画像形成装置の転写部材には、適度な電気抵抗値と柔軟性(適度なニップ)が求められる。
【0004】
これに対し、湿式画像形成装置の転写部材は、トナーと溶媒を含む液体現像剤を、感光体又は中間転写媒体から画像形成媒体に転写させるために、感光体又は中間転写媒体に画像形成媒体を介して当接され、溶媒に対してせん断力を与えることで液体現像剤をこすりとり、紙やフィルム等の画像形成媒体に転写させるものである。
【0005】
従って、湿式画像形成装置の転写部材には、均一なせん断力を得るために、転写部材の表面の表面粗さが小さいこと、液体現像剤の溶媒の膨潤や接触による表面の摩耗がないこと等が要求されている。また、湿式画像形成装置用の転写部材は、液体現像剤を電気的に引き寄せる機能を必要とするため、均一な電気的特性を有し抵抗値がバラツキにくいことも要求されており、これらの要求性能を満たすために種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、特開2000−98753号公報(特許文献1)では、感光体上に液体現像剤を用いて形成された画像が転写され表面に少なくともシロキサン構造を骨格とするポリマー(シリコーン樹脂)を含有し表面抵抗が調整された転写媒体を備えた画像形成装置が提案されている。また、この転写媒体に導電性金属酸化物を添加することで表面抵抗を下げることが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−98753号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、転写媒体の表層がシリコーン樹脂であることから、機械的強度が乏しく表層の削れ等が生じやすいという問題がある。特に、表層がシリコーン樹脂塗料として塗布された場合、低分子のシリコーン樹脂が未反応あるいは反応物の状態で残存し、これが液体現像剤の溶媒により抽出される恐れがある。このように、液体現像剤の溶媒が表層中に進入する恐れがあると共に、せん断力がかかる転写部材として用いるには機械的強度に劣り、耐久性が不十分であるという問題がある。
【0009】
また、特許文献1では、導電性を得るために、数十nm〜数百nm程度の導電性金属酸化物をポリマーに分散させているが、金属酸化物の粒子の分散性により抵抗値が左右され、転写媒体の表層で抵抗値のバラツキが生じやすく、転写画像の濃度ムラ等の画像不良が生じやすいという問題がある。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、湿式画像形成装置用の転写部材の表層の抵抗値のバラツキを低減すると共に、表層から液体現像剤の溶媒の進入がなく良好な耐久性を実現することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、液体現像剤を使用する湿式画像形成装置に用いる転写部材であって、
少なくとも表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されていると共に抵抗値調整用として導電性フィラーが配合されていないゴム組成物を用いて形成され、上記液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としていることを特徴とする湿式画像形成装置用の転写部材を提供している。
【0012】
転写部材の表層を上記構成とすると、イオン導電性ゴムにより導電性が付与され、抵抗値にバラツキが発生しやすい導電性フィラーを用いていないため、あるいは導電性フィラーを用いても抵抗値を調整しない程度しか配合していないことより、表層の抵抗値のバラツキを低減することができる。
なお、導電性フィラーを添加する場合には、上記ゴム組成物に導電性フィラーを添加しなかった場合に対して、導電性フィラーを添加した場合の抵抗値の低下が、500Vの電圧印加時で抵抗値の常用対数値が0.5以下に抑えられる範囲で添加している。
【0013】
また、トナーと溶媒とを含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としているため、表層からの溶媒の進入が低減され、転写部材の使用時に溶媒の影響を受け難く連続使用が可能となる上に、長期に渡って使用しても表層が破壊することがなく、優れた耐久性を実現することができる。よって、本発明の転写部材は、転写画像の濃度ムラ等の画像不良を生じさせることなく液体現像剤を画像形成媒体に転写することができ、長期に渡り高画質を得ることができる。
上記膨潤率は好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下が良い。なお、液体現像剤の溶媒に対する膨潤率とは、表層が溶媒を含んだときの表層の重量変化の割合である。
【0014】
転写部材の表層は、安定性と耐食性の面から1mm以上の厚みが好ましく、電気抵抗の均一性の面からは単体から形成されていることが好ましい。
【0015】
上記液体現像剤の溶媒はパラフィン系オイルであり、上記イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴム、NBR,CRからなる極性ゴムのうち少なくとも1種類を含んでいる。
【0016】
イオン導電性ゴムとして上記の極性ゴム、特にハロゲン系ゴムを用いると溶媒に対する膨潤率を低減することができ、特に、エピクロルヒドリンゴムは、膨潤率の低減効果に優れる。よって、イオン導電性ゴムの10重量%以上をエピクロルヒドリンゴムとすることが好ましい。
イオン導電性ゴムはエピクロルヒドリンゴムのみとしても良いが、ブレンドする場合には、他のゴムは極性ゴムが好ましく、エピクロルヒドリンゴムは10重量以上100重量%以下が好ましい。
具体的には、イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴムに加え、上記NBR,CR、あるいは、ウレタンゴムの少なくとも1種類を含有していることが好ましい。なお、ウレタンゴムとしてはエチレンオキサイドを分子内に有し不飽和度の低いものが好ましい。
【0017】
エピクロルヒドリンゴムとしては、種々のエピクロルヒドリン系重合体が挙げられる。例えば、エピクロルヒドリン単独重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
中でも、エチレンオキサイド含量が55mol%以上95mol%以下であるエピクロルヒドリン系重合体が好ましく、速い加硫速度を維持したまま、抵抗値を低減することができる。
【0018】
上記ゴム以外にも、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、その他各種不飽和ゴム、熱可塑性ゴム等のエラストマー材料等を1種又は複数種用いることもできる。
【0019】
パラフィン系オイルは、他の溶媒に比べて比較的低コストで、安全性、臭気性にも優れているため、液体現像剤の溶媒として好適であるが、このようなパラフィン系オイル及びその他従来公知の液体現像剤用の溶媒に対しても、表層への進入を低減することができる。
なお、パラフィン系オイルとしては、松村石油研究所製の流動パラフィン系溶剤であるモレスコホワイトP−40,P−55,P−60,P−70,P−80,P−85,P−100,P−150,P−200、モレスコバイオレンスU−6,U−7,U−8、出光石油化学製のイソパラフィン系溶剤IPソルベント2028,2835等が挙げられる。
【0020】
上記ゴム組成物には、エピクロルヒドリンゴムの重量に対し、受酸剤が1重量%以上5重量%以下の割合で配合されていることが好ましい。これは、1重量%よりも少ないと、エピクロルヒドリンの加硫反応時に発生する塩化水素による加硫阻害および感光体汚染を防止する効果が生じにくいためである。一方、5重量%よりも多いと、硬度が上昇しやすいためである。
受酸剤としては、分散性に優れるためハイドロタルサイトが好ましく、その他、マグサラット等を用いることもできる。
【0021】
上記ゴム組成物は、加硫剤としてエチレンチオウレアと硫黄を併用していることが好ましい。エピクロルヒドリンゴムをエチレンチオウレアで加硫すると圧縮永久歪みが低減され耐久性が良好である上に、研磨加工時の精度確保が容易かつ良好であり、さらには紫外線による酸化膜形成効果も高くなり有用である。
硫黄及びエチレンチオウレアに代表されるチオウレア類は、別々の反応機構で互いに妨げ合うことなく独立に働き得るため、チオウレア類の加硫系により低圧縮永久歪みを実現できるると共に、硫黄加硫系により加硫速度を速くすることができ、生産性を向上することができる。
イオン導電性ゴム100重量部に対して、硫黄は0.1重量部以上5.0重量部以下が好ましく、エチレンチオウレアは0.2重量部以上3.0重量部以下が好ましい。なお、加硫剤としては、トリアジン誘導体、その他のチオウレア類、各種モノマー等を用いることもできる。
【0022】
ゴム組成物には、ステアリン酸等の各種加工助剤、第4級アンモニウム塩等の導電剤、ジオクチルフタレート(DOP)等の可塑剤を、イオン導電性ゴムの導電性に影響を及ぼさない範囲で配合することができる。なお、可塑成分が5%を上回ると、溶媒への染み出しが生じやすくなるため好ましくない。また、表層の劣化防止のため、本発明の効果を損なわない範囲で、各種老化防止剤を配合することができる。なお、発泡剤を配合し発泡体とすることもできるが、表層は非発泡で形成されていることが好ましい。
【0023】
上記転写部材は、感光体から中間転写媒体に、あるいは/および該中間転写媒体から画像形成媒体に画像を転写する転写ロールとして好適に用いられる。
【0024】
上記転写部材の圧縮永久歪みは1%〜15%とすることが好ましい。
上記圧縮永久歪みの範囲とすると、繰り返しの使用による転写部材のへたりがなく、寸法安定性に優れ、耐久性をより向上することができる。なお、圧縮永久歪みは、JISK6262「加硫ゴムの永久ひずみ試験方法」の規定に従い、測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮割合は試験片の厚みの25%として測定している。
【0025】
また、転写部材の表面粗さRzは5μm以下であることが好ましい。これにより、均一なせん断力を得ることができ、せん断力が与えられ液体現像剤が転写される際に、溶媒中に存在する色材がむらになることがないため、良好な画像を得ることができる。表面粗さRzとは、JIS B0601に定義された材料の表面粗さを表すパラメータである。
【0026】
具体的には、鏡面研磨機等を用いて転写部材の表面を研磨し表面粗さRzを調整することができる。また、未処理又は脂肪酸処理された炭酸カルシウム等のフィラー量をイオン導電性ゴム100重量部に対して25〜80重量部配合することで、表面粗さRzを小さくすることができる。特に、脂肪酸処理された炭酸カルシウムを30〜80重量部、導電又は弱導電のカーボンブラックを本発明の効果を損なわない範囲で2〜70重量部配合するのが効果的である。導電又は弱導電のカーボンブラックは、10重量部以上、さらには20重量部以上がより好ましいが、70重量部より多いと硬度が高くなる上に、カーボンブラックによる導電性がイオン導電性ゴムによる導電性を上回り抵抗値にバラツキが生じやすくなる。カーボンブラックを配合する場合には、大粒径でストラクチャーの発達が小さいカーボンを多く添加することが好ましい。例えば、サーマルカーボンブラックやファーネスカーボンブラックを20〜50重量部配合するのが好ましい。
【0027】
表層の硬度を調整し、転写部材の表層への溶剤の進入をさらに抑制するために、表層を酸化させ酸化膜を形成することもできる。酸化膜を形成するには、100nm〜400nmの紫外線の照射が効果的である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明の湿式画像形成装置用の転写部材は、図1に示すように、略円筒状の転写ローラ1とされ、転写ローラ1の中空部に円柱状のシャフト2が圧入されている。
【0029】
転写ローラ1は、表層のみならず全体が、イオン導電性ゴムにより導電性が付与された以下のゴム組成物を用いて加硫形成されている。
ゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム30重量部とNBR70重量部との2種のイオン導電性ゴムが混合されると共に、脂肪酸処理された炭酸カルシウム40重量部、導電性カーボンブラック2重量部、硫黄1重量部、エチレンチオウレア0.6重量部が配合されている。また、エピクロルヒドリンゴムの重量の3重量%のハイドロタルサイトが配合されている。
【0030】
上記ゴム組成物には、カーボンブラックが含有されているが、カーボンブラックの配合により抵抗値が大きく低下する程度には含まれておらず、カーボンブラックの存在やその分散性が導電性に影響を及ぼすことはない。
【0031】
転写ローラ1は、トナーと溶媒を含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率が5.8%であり、圧縮永久歪みが9.5%であり、表面粗さRzが3.5μmである。また、転写ローラ1はシャフト2が装着された状態で500Vの電圧印加時の電気抵抗が10の7.8乗Ωであり、抵抗値の周ムラが1.3である。
【0032】
転写ローラ1が用いられる第1実施形態の湿式画像形成装置10として、図2に示すように、中間転写ベルト11からなる中間転写媒体を用いた転写機構を有する構造が挙げられる。
【0033】
湿式画像形成装置10は、転写ローラ1を二次転写ローラとして用いており、中間転写ベルト11、感光体12、感光体12を帯電させる帯電器13、画像を画像形成媒体17に定着させる定着ローラ14、4色の液体現像剤15(15a、15b、15c、15d)、画像形成媒体供給トレー16、感光体12上を洗浄するクリーニングブレード18を備えている。
【0034】
具体的には、互いに回転する転写ローラ1と中間転写ベルト11との間に紙やフィルム等の画像形成媒体17が狭持されながら挿通され、転写ローラ1により液体現像剤15の溶媒に対してせん断力が与えられると共に、帯電された転写ローラ1により液体現像剤15を電気的に引き寄せ、液体現像剤15をこすりとり画像形成媒体17に転写させる転写機構を有している。本実施形態では、液体現像剤15の溶媒をパラフィン系オイルとしている。
【0035】
湿式画像形成装置10によって画像が形成される場合、まず、感光体12が図中の矢印の方向に回転し、感光体12が帯電器13により帯電された後に、レーザーLが感光体12の非画像部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。
【0036】
次に、液体現像剤15aが感光体12上に供給されて、帯電画線部に液体現像剤15aが付着し1色目の画像が形成される。この液体現像剤15aの画像は中間転写ベルト11上へ転写する。同様にして、感光体12上に形成された液体現像剤15b〜15dの各色の画像が中間転写ベルト11上に転写され、中間転写ベルト11上に4色の液体現像剤15(15a〜15d)からなるフルカラー画像が一旦形成される。
【0037】
画像形成媒体供給トレー16から画像形成媒体17が送られ、このフルカラー画像は、転写ローラ1の上記転写機構により中間転写ベルト11から、画像形成媒体17上へ転写される。その後、所定の温度に加熱されている定着ローラ14を通過することで画像が画像形成媒体17の表面へ定着される。
【0038】
転写ローラ1は、表層を含む全体が上記ゴム組成物を用いて形成されており、表層は液体現像剤15の溶媒に対する膨潤率が低いため、溶媒が転写ローラ1の表層に進入することがない上に、抵抗値のバラツキも小さいため、画像不良を生じることなく、中間転写ベルト11から画像形成媒体17へ画像を転写することができ、高画質の画像を得ることができる。
【0039】
また、転写ローラ1が用いられる第2実施形態の湿式画像形成装置20として、図3に示すように、中間転写媒体を用いず、感光体22から液体現像剤25を画像形成媒体27に転写させる転写機構を有する構造が挙げられる。
【0040】
湿式画像形成装置20は、上記同様に、転写ローラ1、感光体22、帯電器23、定着ローラ24、液体現像剤25、画像形成媒体供給トレー26、クリーニングブレード28を備えている。液体現像剤25は、供給ローラ29aと現像ローラ29bを介して感光体22に供給させる構成としている。
【0041】
本実施形態では、転写ローラ1は、感光体22に当接され、画像形成時には、互いに回転する転写ローラ1と感光体22との間に画像形成媒体27が狭持されながら挿通され、転写ローラ1により液体現像剤25の溶媒に対してせん断力が与えられると共に、帯電された転写ローラ1により液体現像剤25を引き寄せ、液体現像剤25をこすりとり画像形成媒体27に転写させる転写機構を有している。
【0042】
湿式画像形成装置20によって画像が形成される場合、まず、感光体22が図中の矢印の方向に回転し、帯電器23によって感光体22が帯電された後に、レーザーLが感光体22上に露光される。その後、液体現像剤25が感光体22上に供給され、画像が現像され、感光体22上に現像された画像が感光体22と共に回転する。
次に、画像形成媒体供給トレー26から画像形成媒体27が送られ、感光体22上の画像は、転写ローラ1の上記転写機構により感光体22から、画像形成媒体27上へ転写される。その後、所定の温度に加熱されている定着ローラ24を通過することで画像が画像形成媒体27の表面へ定着される。
【0043】
上記同様の理由により、転写ローラ1は、画像不良を生じることなく、感光体22から画像形成媒体27へ画像を転写することができ、高画質の画像を得ることができる。
【0044】
イオン導電性ゴムとして、エピクロルヒドリンゴム以外に、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム,ウレタンゴム等を1種又は複数種混合しても良い。また、上記実施形態では、上記ゴム組成物をローラ状に形成しているが、シート状あるいはベルト状に形成し、シャフト等の芯体やゴム層等の基層に被覆して転写部材として用いることもできる。
【0045】
以下、本発明の湿式画像形成装置用の転写部材の実施例、比較例について詳述する。
実施例及び比較例について下記の表1の配合材料をバンバリーミキサで混練りし得られたゴム組成物をプレスにより、160℃×30分の条件で、内径19mm、外径32mmのチューブ状に加硫して転写ローラを作製した。
外周面に導電性接着剤が塗布された外径20mmのシャフトを、転写ローラの中空部に圧入して、160℃のオーブン内で装着し、その後、端部を調整した。円筒研磨機で転写ローラの外周面をトラバース研磨した後、鏡面仕上げ機で鏡面状に仕上げ、外径30mm(公差0.05)で所定の表面粗さRzに仕上げた。
【0046】
【表1】
【0047】
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー製エピクロマーCG102)は、エチレンオキサイド/エピクロルヒドリン/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%である。
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー製エピクロマーD)は、エチレンオキサイド/エピクロルヒドリン/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が39モル%/61モル%/0モル%である。
【0048】
NBRーIの日本ゼオン製ニッポール401LLは、ニトリル量が25%未満の低ニトリルNBRである。
NBRーIIの日本ゼオン製ニッポールDN223は、液状NBRを50%含有させた中高ニトリルNBRである。
EPDMは三井化学社製のEPT4045を用いた。
なお、実施例1〜3、比較例2では、ハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A−2)を、エピクロルヒドリンゴムの重量の3重量%含有した。
エチレンチオウレアは、川口化学製、アクセル22−Sを用いた。
【0049】
(実施例1)
イオン導電性ゴムとして、エピクロルヒドリンゴムのみを用い、液体現像剤に対する膨潤率を1.0%とした。
(実施例2、3)
イオン導電性ゴムとしてエピクロルヒドリンゴム30重量部とNBR70重量部を混合して用いたが、実施例2と実施例3では性質が異なるゴムとした。各々、膨潤率を5.8%、2.3%とした。
【0050】
(比較例1)
転写ロールを基層と表層の2層構造とした。基層はNBRーIにカーボンブラックを含有させて導電性を付与した。表層はシリコーン樹脂に導電性酸化チタンを配合し導電性を付与した。加硫成形した基層の表面に、シリコーン樹脂を塗布して表層を形成した。表層の厚みは0.1mmとした。表層の膨潤率は1.5%であった。
(比較例2)
イオン導電性ゴムとしてエピクロルヒドリンゴム10重量部、NBRーIを70重量部、EPDMを20%を混合して用いた。膨潤率が10.5%であった。
【0051】
実施例1〜3、比較例2において、カーボンブラックが含有されているが、ごく少量であるため、カーボンブラックに起因する抵抗値の低下は極めて微少であり、いずれもイオン導電性ゴムにより導電性が付与された。
【0052】
上記実施例及び比較例について、後述する方法により、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0053】
(液体現像剤の溶媒に対する膨潤率(重量変化率)評価)
転写ローラをパラフィンオイル中、23℃で1日放置したときの放置前後の転写ローラの重量変化を膨潤率として測定した。比較的粘度の高い炭素数が10以上のパラフィンオイルを用いた。
【0054】
(耐久評価(表層の削れ))
図4に示すように、2つの駆動ローラ31a、31bにポリイミドベルト32を張架し、転写ローラ30と対向する金属ロール33とでポリイミドベルト32を狭持して転写ローラ30をポリイミドベルト32に当接させた。ポリイミドベルト32上に、パラフィンオイルPを途切れないように一定厚みで塗布し続けた状態で、転写ローラ30及びポリイミドベルト32を回転させて転写ローラ30の表層をパラフィンオイルPと接触させた。かきとり装置34により余分なパラフィンオイルをかきとった。ポリイミドベルト32は10000回回転させ、このときの転写ローラ30の表層の削れを評価した。
【0055】
(電気抵抗の周ムラ)
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図5に示すように、シャフト42を通した転写ローラ41をアルミドラム43上に当接搭載し、電源44の+側に接続した内部抵抗r(10kΩ)の導線の先端をアルミドラム43の一端面に接続すると共に電源44の−側に接続した導線の先端を転写ローラ41の他端面に接続して通電を行った。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。
この装置において、印加電圧をEとすると、ロール抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。
シャフト42の両端に500gずつの荷重Fをかけ、アルミドラム43を回転数30rpmで回転させることで転写ローラ41を回転させた状態で、印加電圧Eを500Vかけたとき、1周内の周ムラ((周方向の電気抵抗の最大値/周方向の電気抵抗の最小値)の比率)を求めた。
【0056】
(電気抵抗測定)
図5に示す装置を用い、温度23℃、相対湿度55%の環境中で、印加電圧を500Vかけたときの転写ロールの電気抵抗値(Ω)を測定した。表中には電気抵抗の常用対数値を示す。電気抵抗値は106Ω以上109Ω以下、好ましくは106Ω以上108Ω以下であるのが良い。
【0057】
表1に示すように、実施例1は、抵抗値の周ムラの値が小さく抵抗値のばらつきが極めて小さく、表層の削れはわずかに発生したものの使用上の問題はない程度であり良好な耐久性を示した。また、実施例2,3は、抵抗値の周ムラの値が小さく抵抗値のばらつきが小さい上に、表層の削れもなく耐久性が非常に優れていた。
【0058】
一方、比較例1は、導電性フィラーにより導電性が付与されているため、抵抗値の周ムラの値が大きく抵抗値にばらつきが見られた上に、表層がシリコーン樹脂であるため機械的強度が不足し膨潤率は小さいものの表層の削れが発生し、耐久性に劣っていた。また、比較例2は、イオン導電性ゴム中のエピクロルヒドリンゴムの重量が15重量%と小さいため、膨潤率が10.5%と大きく、パラフィンオイルの進入により強度が低下し表層の削れが生じ、耐久性に劣っていた。
【0059】
なお、上記耐久評価測定では、イミドベルトに転写ローラを当接させたが、ベルトの表層がウレタン等の比較的低硬度な材料からなる場合、転写ローラはJIS−A硬度で60以上、好ましくは、70以上の高硬度とすることが好ましい。高硬度とするには、▲1▼フィラー量を増加して実現する方法と、▲2▼ゴムの高硬度とする方法とがあるが、トナー溶媒への影響を考慮すると、上記▲1▼は好ましくなく、▲2▼の転写ローラのゴムを高硬度とする方が好ましい。この▲2▼の方法としては、例えばブレンドするゴムとして、高ニトリルのNBRを用いるころが有効である。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、転写部材の表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されているため、導電性フィラーを用いて導電性が付与されるのに比べ、表層の抵抗値のバラツキを低減することができる。また、イオン導電性ゴム中、エピクロルヒドリンゴムを10重量%以上とし、トナーと溶媒とを含む液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としているため、表層の機械的な劣化及び溶媒による膨潤を防止することができ、優れた耐久性を得ることができる。
【0061】
よって、本発明の転写部材は、転写画像の濃度ムラ等の画像不良を生じさせることなく、感光体又は中間転写媒体から液体現像剤を画像形成媒体に転写させることができ、長期に渡り高画質を得ることができる。このため、複写機、ファクシミリ、プリンター等の湿式画像形成装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写部材の概略図である。
【図2】中間転写媒体を用いた第1実施形態の湿式画像形成装置の概略構成図である。
【図3】中間転写媒体を用いない第2実施形態の湿式画像形成装置の概略構成図である。
【図4】転写ローラの表層の耐久性試験方法の説明図である。
【図5】転写ローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 転写ローラ
2 シャフト
10、20 湿式画像形成装置
11 中間転写ベルト
12、22 感光体
15、25 液体現像剤
17、27 画像形成媒体
Claims (5)
- 液体現像剤を使用する湿式画像形成装置に用いる転写部材であって、
少なくとも表層は、イオン導電性ゴムにより導電性が付与されていると共に抵抗値調整用として導電性フィラーが配合されていないゴム組成物を用いて形成され、上記液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を10%以下としていることを特徴とする湿式画像形成装置用の転写部材。 - 上記液体現像剤の溶媒はパラフィン系オイルであり、上記イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム,クロロプレンゴムからなる極性ゴムのうち少なくとも1種類を含む請求項1に記載の湿式画像形成装置用の転写部材。
- 上記イオン導電性ゴムは、10重量%以上のエピクロルヒドリンゴムを含んでいる請求項1または請求項2に記載の湿式画像形成装置における転写部材。
- 上記イオン導電性ゴムはエピクロルヒドリンゴムを含み、加硫剤としてエチレンチオウレアと硫黄を併用し、圧縮永久歪みを1%〜15%としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の湿式画像形成装置用の転写部材。
- 感光体から中間転写媒体に、あるいは/および該中間転写媒体から画像形成媒体に画像を転写する転写ロールとして成形され、その表面粗さRzが5μm以下である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の湿式画像形成装置用の転写部材。
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JP2018077432A (ja) * | 2016-11-11 | 2018-05-17 | 住友ゴム工業株式会社 | 半導電性ローラ |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003168373A patent/JP2005004010A/ja active Pending
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