JPH0559619A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH0559619A
JPH0559619A JP23872891A JP23872891A JPH0559619A JP H0559619 A JPH0559619 A JP H0559619A JP 23872891 A JP23872891 A JP 23872891A JP 23872891 A JP23872891 A JP 23872891A JP H0559619 A JPH0559619 A JP H0559619A
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JP
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fiber bundle
fluff
fiber
liquid
yarn
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JP23872891A
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English (en)
Inventor
Kikuji Komine
喜久治 小峰
Yoshio Uenoyama
良雄 上野山
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 融膠着度の低い炭素繊維を製造する場合にお
いても、工程通過性が良く、製造歩留りが高く、外見上
毛羽のない炭素繊維を製造することができ、しかもボビ
ンから炭素繊維を解舒してプリプレグや複合材を作る際
のボビンからの解舒性を向上せしめ、糸扱いを良好なも
のとすると同時に、外観上の見映えが良く且つプリプレ
グや複合材にした時の物性が高く、商品価値の高い、炭
素繊維の製造方法を提供する。 【構成】 入口ローラ4から液中へと導入された予備炭
化後の繊維束Fは、ガイドローラ6にて一部開繊され、
一部の毛羽はこのガイドローラ6を通過する際に繊維束
から切断されるか、或は繊維束間に埋入される。繊維束
表面から突出して未だに存在する毛羽は、繊維束が出口
ローラ8へと案内される過程にて、繊維束の回りに回転
する液体流れによって、繊維束の外周囲に毛羽fの根元
の方から緩やかに絡み付き付着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般には炭素繊維(本
明細書にて「炭素繊維」とは特に明記しない場合には炭
素繊維のみならず黒鉛繊維をも含めて使用する。)の製
造技術に関するものであり、特に予備炭化繊維束に発生
する毛羽をこの繊維束に絡ませることによって外見上毛
羽をなくし、その後に、この繊維束を焼成炉に通糸して
炭素化或は黒鉛化する炭素繊維の製造方法に関するもの
である。本発明は、ピッチ系高強度、高弾性率炭素繊維
を連続的に製造する際に好適に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】例えばピッチ系炭素繊維は、紡糸後、集
束しそして合糸された200〜50000フィラメント
(単繊維)からなるピッチ繊維束を線状で連続不融化処
理し、次いで線状で連続的に予備炭化、炭化、更には必
要に応じて黒鉛化処理を行なうことによって、屈曲のな
い直線性の良い繊維が製造される。場合によっては、繊
維束は一定のテンションが掛けられた状態にて焼成処理
がなされる。
【0003】しかしながら、このような製造方法によれ
ば製造された炭素繊維の融膠着度が高いという欠点があ
った。
【0004】融膠着を低減する方法としては、炭素繊維
の製造工程に使用される油剤を選択する方法、繊維束に
掛けるテンションを加減する方法、繊維束をローラやバ
ーで機械的に開繊処理する方法、予備炭化を微量の酸素
含有雰囲気で行なう方法(特開平3−8807号公報)
などが提案されている。
【0005】しかしながら、特に、予備炭化工程までの
工程において繊維束の融膠着度を低下させた場合には、
繊維束の集束の度合が低下し、繊維束がふわふわした状
態となり、短い毛羽や、長さが5〜10cmにも達する
長い毛羽を多量に発生するという問題が生じた。
【0006】この繊維束の表面に発生した「毛羽」は、
焼成工程で切断されて、焼成炉の入口及び出口に堆積し
て堆積物を形成し、炉内糸道を狭くする。従って、焼成
炉へと通糸される繊維束はこの堆積物に接触して、糸切
れを起こしたり、更に毛羽の発生を助長することとな
る。この毛羽の発生は、炭素化或は黒鉛化工程の後に単
に炭素繊維にサイジング剤を付与して毛羽を集束したと
しても、改善し得るものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】予備炭化し、炭素化又
は黒鉛化した繊維束は、焼成後直ちにボビンに巻取られ
るか、或は焼成後にサイジング剤付与工程を経てボビン
に巻き取られる。
【0008】いずれにしても、毛羽の多い糸は、上述の
ように焼成炉における繊維束の通糸性を悪化させるのみ
ならず、ボビンに巻取られるまでの工程におけるローラ
に巻き付き易く工程通過性が悪く、更にはボビンへの巻
き形状が悪いという問題点があった。
【0009】又、毛羽が多く且つ巻き形状の悪い糸は、
ボビンから解舒(巻戻)してプリプレグや複合材を製造
する際にボビンからの解舒(巻戻)性が悪く、毛羽に起
因する糸の交差が起こり、糸が破断し易く、それにより
更に毛羽や糸切れが誘発されるので、糸扱いが極めて悪
いという問題が生じた。又、毛羽立った糸は、プリプレ
グや複合材を作る時に、品質の均一性や性能を損うとい
う欠点をも有している。
【0010】特公昭62−24525号には、特にPA
N系黒鉛化繊維を製造するに際して、炭素繊維を連続的
に焼成し、該炭素繊維に水を付与して集束した後、20
00〜3000℃の不活性雰囲気下で延伸比1.01〜
1.06にて黒鉛化することにより、毛羽、糸切れ防止
を行なう方法が開示され、又、特公昭63−54808
号公報は、焼成した炭素繊維に例えば分子量10万以上
のポリエチレンオキサイドなどの水性液を付着して黒鉛
化処理を行なうPAN系黒鉛繊維の製造法を開示する。
【0011】これらの方法は、毛羽の発生と、糸切れ防
止に対して或る程度の改善効果はあるものの、繊維束の
融膠着が少なく繊維束がふわふわした状態であって、し
かも短い毛羽や、長さが5〜10cmにも達する長い毛
羽が多量に発生する状態では、その効果が十分に発揮さ
れるものではなかった。特に、ピッチ系炭素繊維の高弾
性品の製造においては、糸が高弾性率であるが故にその
効果は小さかった。
【0012】又、上記方法は、炉通糸前の前処理であ
り、従って炉通糸後の処理により毛羽が再発するという
問題を有していた。
【0013】更に、特開昭58−214530号公報及
び特開昭59−36727号公報には、アクリル系繊
維、ピッチ繊維などを耐炎化(不融化)するに際して、
糸条に空気流を噴射して、フィラメントを相互に交絡せ
しめ、毛羽の発生をなくして耐炎化(不融化)処理する
方法が提案されてはいるが、ピッチ系炭素繊維の製造の
場合は、不融化したピッチ繊維の強度が約0.01GP
aと脆弱なために、空気流噴射時に糸切れを起こし、毛
羽が逆に発生し、この方法を採用することはできない。
【0014】本発明者らは、特にピッチ系炭素繊維の製
造においては、予備炭化した繊維束に発生した毛羽は、
繊維束を水などの液体中に連続的に通糸し、繊維束の周
囲にこの液体を回転(旋回)させることにより、毛羽を
繊維束の周囲にきれいに巻き付け、付着させることがで
き、しかも、この繊維束を焼成炉へと通糸し炭素化或は
黒鉛化を行なった場合には、焼成炉に毛羽による堆積物
の発生は見受けられず、外見上、毛羽のない炭素繊維を
連続して製造し得ることを見出した。本発明は斯る新規
な知見に基づきなされたものである。
【0015】従って、本発明の目的は、融膠着の低い炭
素繊維を製造する場合において、焼成炉からボビンへの
巻取り工程に至るまでの工程通過性が良く、即ち、製造
歩留りが高く、外見上毛羽がなく、ボビンに巻取った時
の巻き形状の良い炭素繊維を製造する方法を提供するこ
とである。
【0016】本発明の他の目的は、ボビンから炭素繊維
を解舒(巻戻)してプリプレグや複合材を作る際に、ボ
ビンからの解舒性が良く、糸扱いが良好であって、且つ
繊維束の開繊性が良好で、プリプレグや複合材の物性が
高く、更には、外観上の見映えが良く、商品価値の高
い、炭素繊維の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
炭素繊維の製造方法にて達成される。要約すれば、本発
明は、予備炭化した繊維束を連続的に液体中に通糸し、
繊維束の外周囲に液体を回転させることにより、繊維束
に発生した毛羽を繊維束に絡ませ、その後この繊維束を
炭素化或は黒鉛化することを特徴とする炭素繊維の製造
方法である。使用される液体としては、水又は沸点20
0℃以下の液体とされ、必要に応じて、焼成時に分解残
渣の少ない且つ付与時に集束性の良いポリマーを含む水
溶液を使用し得る。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係る炭素繊維の製造方法を図
面に則して更に詳しく説明する。
【0019】例えば、ピッチ系炭素繊維の製造方法を例
にとって説明すると、通常、200〜50000フィラ
メント(単繊維)からなるピッチ繊維束を連続不融化処
理し、次いで連続的に予備炭化、炭化、更には必要に応
じて黒鉛化処理を行なうことによって炭素繊維が得られ
るが、特に、予備炭化工程までの工程において融膠着度
を低下させると、その表面に毛羽が発生した炭素繊維が
製造される。
【0020】本発明に従えば、図1に図示するように、
予備炭化炉100において、不活性雰囲気下にて400
〜1500℃程度にまで予備炭化され、表面に毛羽が発
生した繊維束Fが毛羽処理装置1へと導入される。
【0021】本実施例にて、毛羽処理装置1は、液体A
を貯留する貯槽2と、予備炭化した繊維束Fを液中へと
案内する入口ローラ4と、繊維束Fを液中に位置せし
め、必要に応じて繊維束を一部開繊するガイドローラ6
と、繊維束を液中より外部へと案内する出口ローラ8
と、貯槽2中の液体Aに回転(旋回)流を与えるための
駆動モータMを備えたポンプ手段10とを有する。
【0022】貯槽2中に貯留される液体Aとしては、
水、沸点200℃以下の液体、又は焼成時に熱分解残渣
が少なく、付与時に集束性の良いポリマーを含む水溶液
であって、粘度が25℃において0.1〜50センチポ
アズとされるものが好適に使用される。
【0023】水としては水道水など一般の水も使用でき
るが、通常はイオン交換処理などで得られる電気伝導率
が2μS/cm以下の純水を使用する。沸点200℃以
下の液体としては、炭化水素油、アルコール類、ケトン
類、シリコーン油などを使用する。
【0024】本発明では、毛羽処理後の繊維束の集束性
を改善するために必要に応じて集束用のポリマーを繊維
束に付与する。この場合、焼成後の残渣を少なくして焼
成後の繊維の融膠着を少なくするために焼成時に熱分解
性の良いポリマーを使用する。該ポリマーとしては、窒
素雰囲気中で100℃/分で600℃まで昇温し、60
0℃で5分間保持した時の残渣が5wt%以下、好まし
くは2wt%以下のものが好適に使用できる。
【0025】該ポリマーとして、平均分子量が1000
〜1000000のエチレングリコールのエチレンオキ
サイド付加物、クロロピレンオキサイド付加物、エチレ
ンオキサイド/プロピレンオキサイドの混合体の付加物
が用いられる。
【0026】他のポリマーとしては平均分子量が100
00以下のC1 〜C12脂肪族アルコールのエチレンオキ
サイド付加物、クロロピレンオキサイド付加物、エチレ
ンオキサイド/プロピレンオキサイドの混合体の付加物
が用いられる。
【0027】その他、平均分子量が3000以下のビス
フェノールAのエチレンオキサイド付加物、又は平均分
子量3000以下の低分子量のエポキシ樹脂が使用でき
る。
【0028】これらの多くのものは水溶性であるので水
に溶かして、水に不溶のものは乳化剤などで乳化分散し
て用いられる。又、該ポリマーは、0.01〜5wt%
の濃度の液にして付与される。
【0029】上記構成において、繊維束Fは、入口ロー
ラ4にて案内されて液中へと導入され、次いでガイドロ
ーラ6を介して出口ローラ8へと導出される。繊維束F
の通糸速度は、0.1〜10m/分とされる。又、本実
施例で好ましくは、貯槽2に配置される各ローラ4、
6、8間の配置構成は、図1を参照して、入口ローラ4
と出口ローラ8間の距離(L)と、入口ローラ4(出口
ローラ8)とガイドローラ6間の高さ(H)との比(L
/H)は4〜20とされる。又、各ローラ4、6、8は
ステンレススチールのような金属製のローラ、黒鉛製ロ
ーラ、テフロン樹脂ローラ、テフロン樹脂をコートした
ローラ、炭素繊維強化複合樹脂などの複合材によるロー
ラなどが使用され、通常直径が30〜200mmのもの
が好適に使用される。
【0030】本発明によれば、液体Aは、少なくともガ
イドローラ6と出口ローラ8との間にては、図2に図示
するように、ポンプ手段10にて繊維束Fの周囲を矢印
にて示すように回転(旋回)流動される。又、斯る液体
の回転流は、図3に示すように、繊維束の通糸方向に対
して成す角度(θ)が30〜90°にて交差する平面
(V)内にて行なわれるのが好適である。
【0031】このように構成することによって、入口ロ
ーラ4から液中へと導入された繊維束Fは、ガイドロー
ラ6にて一部開繊され、一部の毛羽はこのガイドローラ
6を通過する際に繊維束から切断されるか、或は繊維束
間に埋入される。繊維束表面から突出して未だに存在す
る毛羽は、繊維束が出口ローラ8へと案内される過程に
て、繊維束の回りに回転する液体流れによって、図3に
示すように、繊維束の外周囲に毛羽fの根元の方から緩
やかに絡み付き付着する。従って、本発明にて重要なこ
とは、貯槽2及び各種ローラ4、6、8の配置構成及び
ポンプ手段10の性能などは、繊維束Fが貯槽2を通過
する間に毛羽fが繊維束Fの回りに1〜100回絡み付
き付着するように液体Aを繊維束Fの回りに好適に回転
せしめるべく選択すべきである。
【0032】繊維束Fは、毛羽fが絡み付いた状態にて
毛羽処理装置1から外部へと案内されるが、繊維束Fに
絡み付いた毛羽は液体の粘性にて繊維束Fに付着した状
態を維持し、外見上毛羽のない繊維束Fが形成される。
その後、この繊維束は、炭素化或は黒鉛化するための焼
成炉(図示せず)へと送給され、炭素繊維用サイジング
剤が付与された後ボビンに巻取られ、炭素繊維製品とさ
れる。炭素繊維用サイジング剤としては公知のものを使
用できる。
【0033】所望に応じて、上記毛羽処理装置1内の液
体Aは水として繊維束に毛羽を絡ませた後、その後に繊
維束に前記の焼成時に熱分解残渣の少ないポリマーを含
む水を付与し、毛羽を繊維束により強固に付着せしめる
構成とすることもできる。
【0034】図4には、多数本の繊維束を通糸して毛羽
処理する際の一実施例を示す。多数本の繊維束Fを貯槽
2内へと同時に通糸する場合には、各繊維束F間には6
〜20mmの間隙を設け、この実施例によれば、毛羽処
理装置の毛羽処理領域において、通糸方向に沿って所定
長さにわたって、各繊維束F間に回転流案内板20を設
置し、各繊維束Fにおいてその周囲に回転流が発生する
ように構成することができる。
【0035】又、他の実施例によれば、前記案内板20
の代わりに、単に各繊維束F間を仕切る目的でメッシュ
状の仕切り板(図示せず)を配置することができ、これ
によって、一つの繊維束Fの毛羽が隣接する繊維束Fに
巻き付く、所謂「毛羽ブリッジング」を防止することが
可能である。
【0036】本発明に従って、予備炭化した繊維束を毛
羽処理し、次いで炭素化或は黒鉛化した繊維束に毛羽発
生が多少見られることがあるが、このときは、上述した
毛羽処理を焼成後の繊維束に更に実施しても良い。特
に、繊維束に黒鉛化処理を行なう場合には、黒鉛化処理
後に毛羽処理を施しても良いが、炭素化した後に毛羽処
理を行ない、その後に黒鉛化処理することも可能であ
る。
【0037】又、場合によっては、更に、ピッチ繊維の
合糸や不融化したピッチ繊維について、本発明にて説明
したと同じ方法にて毛羽処理を行うことも可能である。
【0038】本発明は、上記説明ではピッチ系炭素繊維
に関連して行なったが、ピッチ系炭素繊維ばかりでな
く、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の製造にも適用で
きる。
【0039】次に、実施例について本発明の方法を更に
詳しく説明する。
【0040】実施例1 光学的異方性相を98%含み、軟化点は265℃、キノ
リン不溶分は29.5%の炭素繊維用ピッチを500孔
の紡糸口金を有する溶融紡糸機(ノズル孔径:直径0.
3mm)に適し、355℃で200mmHgの窒素ガス
圧で押し出して紡糸した。
【0041】紡糸した500本のフィラメントはエアー
サッカーで略集束してオイリングローラに導き、糸に対
して約0.2重量%の割合で集束用油剤を供給し、50
0フィラメントから成るピッチ繊維束を形成した。油剤
としては、25℃における粘度が14cstのメチルフ
ェニルポリシロキサンを使用した。
【0042】該ピッチ繊維束は、ノズル下部に設けた高
速で回転する直径210mm、幅200mmのステンレ
ス鋼製のボビンに巻き取り、約500m/分の巻き取り
速度で10分間紡糸した。
【0043】次いで、ピッチ繊維束を巻いた前記ボビン
6個を解舒し、そしてオイリングローラを使用して耐熱
性油剤を付与しながら合糸し、3000フィラメントか
ら成るピッチ繊維束を形成し、他のステンレス製ボビン
に巻取った。
【0044】合糸時に油剤としては25℃で40cst
メチルフェニルポリシロキサン(フェニル基含有量45
モル%)を使用した。付与量は糸に対し0.5%であっ
た。
【0045】以上の如くにして製造したピッチ繊維束
を、不融化炉及び予備炭化炉を使用してそれぞれ不融化
及び予備炭化した。
【0046】本実施例で使用した不融化炉は、5つの個
室R1〜R5を有し、入口に近接した室R1は190℃
に、室R2は220℃に、室R3は250℃に、室R4
は280℃に、室R5は310℃に加熱し保持した。
又、不融化炉内には富酸素ガス(酸素・窒素の混合ガ
ス:混合比50/50)を導入し、ファンにより強制的
に撹拌した。
【0047】ピッチ繊維束は不融化炉内を0.3m/分
にて移動し、又該繊維束には繊維束緊張手段にて20g
のテンションをかけた。
【0048】このようにして不融化されたピッチ繊維束
は、連続して予備炭化炉へ送給した。
【0049】本実施例によれば、予備炭化炉は入口部よ
り400℃、500℃、600℃、700℃、1100
℃へと階段上に上昇する態様にて加熱保持され、且つ炉
内を微量酸素含有雰囲気とするために1000ppmの
酸素を含有する窒素ガスが供給された。予備炭化に要し
た時間は7分であった。
【0050】不融化ピッチ繊維束は、予備炭化炉内を通
糸される間に微量酸素含有雰囲気下での加熱により、予
備炭化されると同時に膠着が解除された。
【0051】該予備炭化繊維則は、強度1.5GPa、
弾性率120GPaであった。又、予備炭化繊維束は、
膠着(脱膠着)されており、綿状にふわふわとなってい
て、しなやかなものであった。この予備炭化繊維束の膠
着度は9%であった。
【0052】得られた予備炭化繊維Fには、長さ1m当
たり、長さが1mm以上の毛羽が150本見られ、その
内5〜10cm長の長い毛羽が20本見られた。
【0053】この予備炭化繊維Fを、図1に示すと同様
の毛羽処理装置1に導入した。即ち、使用した横長型の
貯槽2におけるローラ4、6、8の配置構成は、長さ
(L)が2m、高さ(H)が0.2m、幅0.6mであ
り、L/H=5であった。貯槽2内には液体Aとしてイ
オン交換水を入れ、イオン交換水Aは、下側から吸い上
げ、上方に吐き出すタイプの撹拌機(特殊機化工業株式
会社製:商品名「TKミキサー」)をポンプ手段10と
して使用して上下方向に撹拌した。イオン交換水A温度
は25℃であり、その粘度は1センチポアズであった。
【0054】繊維束Fと、液体(イオン交換水)Aの旋
回方向(上下方向)との角度θ(図3)は60°であっ
た。
【0055】ガイドローラ6は、V溝やU溝のない直径
50mmのステンレス製平型ローラを使用し、ローラ6
上で繊維束Fが開繊できる構造のものを使用した。他の
ローラ4、8も同様に直径50mmのステンレス製平型
ローラを使用した。
【0056】繊維束Fの通糸速度は1m/分であり、繊
維束Fの周囲を回る液体の回転数(旋回度)は、30回
/分であった。従って、1本の毛羽は、毛羽処理中に3
0回の巻き付け作用を受けることになる。
【0057】上述のような毛羽処理により、毛羽処理装
置1の出口では、繊維束Fには短い毛羽も、長い毛羽も
全く見られなかった。この繊維束Fを170℃、5分間
で、乾燥した。
【0058】次に、毛羽処理された予備炭化繊維束は、
通常の方法に従って最高温度2500℃にセットされた
焼成炉に連続的に通して焼成し、前記と同じサイジング
剤を付与した後ボビンに巻取った。焼成時に繊維束には
200gのテンションが付与された。
【0059】このようにして得た黒鉛繊維(繊維束)F
は、黒鉛化前の予備炭化繊維束と同様に、膠着の少ない
ふわふわしたしなやかな繊維であり、膠着度は10%で
あった。黒鉛化前に比較すると膠着度は上昇している
が、実質的に黒鉛化による膠着の増加は見られなかっ
た。
【0060】2日間連続運転を得たが、この間黒鉛化炉
の糸道の閉塞は見られず、黒鉛化後の繊維の毛羽は、繊
維束1m当たり、長さが1mm以上の毛羽が20本であ
り、その内長さが5〜10cmの長い毛羽は、殆ど見ら
れず毛羽は予備炭化後より大幅に減少した。
【0061】その後、この繊維束FはビスフェノールA
系エポキシ樹脂を乳化剤で乳化したサイジング剤を2w
t%含むサイジング剤槽を通してサイジング剤を1.5
wt%付与した。次いで、この繊維束Fを130℃、5
分間で乾燥したが、このときも繊維束に毛羽の発生はな
かった。
【0062】この黒鉛繊維についてJIS−R−D60
1に規定する樹脂含浸ストランド試験法により樹脂含浸
ストランドの引張強度を測定した結果、そのストランド
強度は340Kg/mm2 であった。
【0063】その後、この繊維束Fを直径80mm、幅
280mmのボビン(紙管)に500m巻取った。巻き
形状はきれいであり、毛羽の発生もなかった。
【0064】この糸を20m/分でボビンから解舒し、
ドラムワインダーでプリプレグを製造したたが、ボビン
上の糸残りや、毛羽立ちはなく、解舒性は良好であっ
た。
【0065】又、プリプレグを作る時の繊維束の開繊性
は良好で、製造したプリプレグは均質で、毛羽のない高
品質ものであった。
【0066】実施例2 予備炭化した繊維束の周囲に水を回転させて毛羽処理を
行った後、ビスフェノールA系エポキシ樹脂を乳化剤で
乳化したサイジング剤0.5wt%を含むサイジング剤
槽を通して、サイジング剤を0.4wt%付与した以外
は実施例1と同様に処理した。
【0067】このサイジング剤(ポリマー)の平均分子
量は1000であり、600℃の窒素雰囲気中で5分熱
分解した時の残渣は、0.9wt%であった。
【0068】この場合、黒鉛化炉の糸道の閉塞が若干見
られたが、黒鉛化後の繊維束の毛羽は、繊維束1m長当
り、長さが1mm以上の毛羽は10本であり、長い毛羽
は殆ど見られなかった。又、繊維の融膠着度は13%と
若干増加していた。
【0069】比較例1 毛羽処理装置1にて、貯槽2内の水を繊維束Fの周囲に
回転させなかった以外は実施例1と同様に処理した。
【0070】この場合、繊維束Fの進行方向に沿って出
ている毛羽は、ある程度繊維束Fに集束することができ
たが、進行方向に向かって出ている毛羽については、こ
のような集束効果は見られず、反り返ってしまい、かえ
って毛羽立ちがひどいものとなった。
【0071】黒鉛化を通して焼成したところ、毛羽によ
り黒鉛化炉の糸道の閉塞が見られ、炉から出てきた毛羽
は繊維束1m当り、長さが1mm以上の毛羽が150本
であり、このうち5〜10cm長の長い毛羽は50本あ
り、毛羽立ちがひどいものであった。
【0072】乾燥後、サイジング剤を付与し、再乾燥後
実施例1と同様に500mボビンに巻取った。サイジン
グ剤を付与しても集束性が悪く、毛羽立ちは改善できな
かった。巻取り後の巻き形状も毛羽立ちのため不良であ
った。
【0073】巻取ったボビンから繊維束Fを解舒した
が、30m解舒した所でボビン上に開繊した繊維が糸残
りし、これにより繊維束が切断した。
【0074】
【発明の効果】以上の如くに構成される本発明の炭素繊
維の製造方法によれば、融膠着度の低い炭素繊維を製造
する場合においても、焼成炉の糸道の閉塞や、それによ
る毛羽発生もなく、工程通過性が良く、製造歩留りが良
好であって、しかも外見上毛羽のない炭素繊維を製造す
ることができ、更にはボビンから炭素繊維を解舒してプ
リプレグや複合材を作る際にボビンからの解舒性を向上
せしめ、糸扱いを良好なものとすることができ、開繊性
も良好である。更に、本発明にて製造された炭素繊維
は、外観上の見映えが良く、プリプレグや複合材にした
時の物性が高く、商品価値が高いという特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維の製造方法を実施する毛
羽処理装置の一実施例の構成図である。
【図2】図1の線I-I に取った断面図である。
【図3】繊維束回りの液体の流体流れを説明する斜視図
である。
【図4】本発明に係る炭素繊維の製造方法を実施する毛
羽処理装置の他の実施例の構成図である。
【符号の説明】
1 毛羽処理装置 2 貯槽 4 入口ローラ 6 ガイドローラ 8 出口ローラ 10 ポンプ手段 20 案内板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予備炭化した繊維束を連続的に液体中に
    通糸し、繊維束の外周囲に液体を回転させることによ
    り、繊維束に発生した毛羽を繊維束に絡ませ、その後こ
    の繊維束を炭素化或は黒鉛化することを特徴とする炭素
    繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 液体は、水又は沸点200℃以下の液体
    である請求項1の炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 沸点200℃以下の液体は、600℃の
    窒素雰囲気中で熱分解した時の残渣が5wt%以下のポ
    リマーを含む水溶液である請求項2の炭素繊維の製造方
    法。
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