JPH0559618A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH0559618A
JPH0559618A JP3238727A JP23872791A JPH0559618A JP H0559618 A JPH0559618 A JP H0559618A JP 3238727 A JP3238727 A JP 3238727A JP 23872791 A JP23872791 A JP 23872791A JP H0559618 A JPH0559618 A JP H0559618A
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JP
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fiber bundle
liquid
fluff
fiber
sizing agent
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JP3238727A
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English (en)
Inventor
Kikuji Komine
喜久治 小峰
Yoshio Uenoyama
良雄 上野山
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Publication date
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06BTREATING TEXTILE MATERIALS USING LIQUIDS, GASES OR VAPOURS
    • D06B3/00Passing of textile materials through liquids, gases or vapours to effect treatment, e.g. washing, dyeing, bleaching, sizing, impregnating
    • D06B3/02Passing of textile materials through liquids, gases or vapours to effect treatment, e.g. washing, dyeing, bleaching, sizing, impregnating of fibres, slivers or rovings
    • DTEXTILES; PAPER
    • D02YARNS; MECHANICAL FINISHING OF YARNS OR ROPES; WARPING OR BEAMING
    • D02JFINISHING OR DRESSING OF FILAMENTS, YARNS, THREADS, CORDS, ROPES OR THE LIKE
    • D02J3/00Modifying the surface

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 融膠着度の低い炭素繊維を製造する場合にお
いても、工程通過性が良く、製造歩留りが高く、外見上
毛羽のない炭素繊維を製造することができ、しかもボビ
ンから炭素繊維を解舒してプリプレグや複合材を作る際
のボビンからの解舒性を向上せしめ、糸扱いを良好なも
のとすると同時に、外観上の見映えが良く且つプリプレ
グや複合材にした時の物性が高く、商品価値の高い、炭
素繊維の製造方法を提供する。 【構成】 入口ローラ4から液中へと導入された繊維束
Fは、ガイドローラ6にて一部開繊され、一部の毛羽は
このガイドローラ6を通過する際に繊維束から切断され
るか、或は繊維束間に埋入される。繊維束表面から突出
して未だに存在する毛羽は、繊維束が出口ローラ8へと
案内される過程にて、繊維束の回りに回転する液体流れ
によって、繊維束の外周囲に毛羽fの根元の方から緩や
かに絡み付き付着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般には炭素繊維(本
明細書にて「炭素繊維」とは、特に明記しない場合には
炭素繊維のみならず黒鉛繊維をも含めて使用する。)の
製造技術に関するものであり、特に炭素化或は黒鉛化し
た炭素繊維(繊維束)に発生する毛羽をこの繊維束に絡
ませることによって外見上毛羽をなくした炭素繊維の製
造方法に関するものである。本発明は、ピッチ系高強
度、高弾性率炭素繊維のみならずPAN系炭素繊維を連
続的に製造する際に好適に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】例えばピッチ系炭素繊維は、紡糸後、集
束しそして合糸された200〜50000フィラメント
(単繊維)からなるピッチ繊維束を線状で連続不融化処
理し、次いで線状で連続的に予備炭化、炭化、更には必
要に応じて黒鉛化処理を行なうことによって、屈曲のな
い直線性の良い繊維が製造される。場合によっては、繊
維束は一定のテンションが掛けられた状態にて焼成処理
がなされる。
【0003】しかしながら、このような製造方法によれ
ば製造された炭素繊維の融膠着度が高いという欠点があ
った。
【0004】融膠着を低減する方法としては、炭素繊維
の製造工程に使用される油剤を選択する方法、繊維束に
掛けるテンションを加減する方法、繊維束をローラやバ
ーで機械的に開繊処理する方法、予備炭化を微量の酸素
含有雰囲気で行なう方法(特開平3−8807号公報)
などが提案されている。
【0005】このように、繊維束の融膠着を低減した場
合には、繊維束の集束の度合が低下し、繊維束が「ふわ
ふわ」した状態となり、短い毛羽や5〜10cmにも達
する長い毛羽を多量に発生するという問題が生じた。こ
の毛羽の発生は、炭素化或は黒鉛化工程の後に単に炭素
繊維にサイジング剤を付与して毛羽を集束したとして
も、改善し得るものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】炭素化又は黒鉛化した
繊維束は、焼成後直ちにボビンに巻取られるか、或は焼
成後にサイジング剤付与工程を経てボビンに巻き取られ
る。
【0007】いずれにしても、毛羽の多い糸は、ボビン
に巻取られるまでの工程におけるローラに巻き付き易く
工程通過性が悪く、更にはボビンへの巻き形状が悪いと
いう問題点があった。
【0008】又、毛羽が多く且つ巻き形状の悪い糸は、
ボビンから解舒(巻戻)してプリプレグや複合材を製造
する際にボビンからの解舒(巻戻)性が悪く、毛羽に起
因する糸の交差が起こり、糸が破断し易く、それにより
更に毛羽や糸切れが誘発されるので、糸扱いが極めて悪
いという問題が生じた。又、毛羽立った糸は、プリプレ
グや複合材を作る時に、品質の均一性や性能を損うとい
う欠点をも有している。
【0009】特公昭62−24525号には、特にPA
N系黒鉛化繊維を製造するに際して、炭素繊維を連続的
に焼成し、該炭素繊維に水を付与して集束した後、20
00〜3000℃の不活性雰囲気下で延伸比1.01〜
1.06にて黒鉛化することにより、毛羽、糸切れ防止
を行なう方法が開示され、又、特公昭63−54808
号公報は、焼成した炭素繊維に例えば分子量10万以上
のポリエチレンオキサイドなどの水性液を付着して黒鉛
化処理を行なうPAN系黒鉛繊維の製造法を開示する。
【0010】これらの方法は、毛羽の発生と、糸切れ防
止に対して或る程度の改善効果はあるものの、繊維束の
融膠着が少なく繊維束がふわふわした状態であって、し
かも短い毛羽や、長さが5〜10cmにも達する長い毛
羽が多量に発生する状態では、その効果が十分に発揮さ
れるものではなかった。特に、ピッチ系炭素繊維の高弾
性品の製造においては、糸が高弾性率であるが故にその
効果は小さかった。
【0011】又、上記方法は、炉通糸前の前処理であ
り、従って炉通糸後の処理により毛羽が再発するという
問題を有していた。
【0012】更に、特開昭58−214530号公報及
び特開昭59−36727号公報には、アクリル系繊
維、ピッチ繊維などを耐炎化(不融化)するに際して、
糸条に空気流を噴射して、フィラメントを相互に交絡せ
しめ、毛羽の発生をなくして耐炎化(不融化)処理する
方法が提案されてはいるが、ピッチ系炭素繊維の製造の
場合は、不融化したピッチ繊維の強度が約0.01GP
aと脆弱なために、空気流噴射時に糸切れを起こし、毛
羽が逆に発生し、この方法を採用することはできない。
【0013】本発明者らは、焼成した繊維束、特にピッ
チ系炭素繊維に発生した毛羽は、炭素繊維を水或はサイ
ジング剤などの液体中に連続的に通糸し、炭素繊維の周
囲にこの液体を回転(旋回)させることにより、毛羽を
炭素繊維の周囲にきれいに巻き付け、付着させることが
でき、外見上、毛羽のない炭素繊維を製造し得ることを
見出した。本発明は斯る新規な知見に基づきなされたも
のである。
【0014】従って、本発明の目的は、融膠着の低い炭
素繊維を製造する場合において、焼成炉からボビンへの
巻取り工程に至るまでの工程通過性が良く、即ち、製造
歩留りが高く、外見上毛羽がなく、ボビンに巻取った時
の巻き形状の良い炭素繊維を製造する方法を提供するこ
とである。
【0015】本発明の他の目的は、ボビンから炭素繊維
を解舒(巻戻)してプリプレグや複合材を作る際に、ボ
ビンからの解舒性が良く、糸扱いが良好であって、且つ
繊維束の開繊性が良好で、プリプレグや複合材の物性が
高く、更には、外観上の見映えが良く、商品価値の高
い、炭素繊維の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
炭素繊維の製造方法にて達成される。要約すれば、本発
明は、炭素化或は黒鉛化した繊維束を連続的に液体中に
通糸し、繊維束の外周囲に液体を回転させることによ
り、繊維束に発生した毛羽を繊維束に絡ませることを特
徴とする炭素繊維の製造方法である。使用される液体と
しては、水又は沸点200℃以下の液体とされ、必要に
応じて、炭素繊維用サイジング剤を含む水又は沸点20
0℃以下の液体を使用し得る。
【0017】
【実施例】以下、本発明に係る炭素繊維の製造方法を図
面に則して更に詳しく説明する。
【0018】例えば、ピッチ系炭素繊維の製造方法を例
にとって説明すると、通常、200〜50000フィラ
メント(単繊維)からなるピッチ繊維束を線状で連続不
融化処理し、次いで線状で連続的に予備炭化、炭化、更
には必要に応じて黒鉛化処理を行なうことによって炭素
繊維が得られが、特に、融膠着の少ない炭素繊維を製造
する場合にはその表面に毛羽が発生する。
【0019】本発明に従えば、図1に図示するように、
焼成炉100にて炭素化或は黒鉛化した炭素繊維(繊維
束)Fは毛羽処理装置1へと導入される。
【0020】本実施例にて、毛羽処理装置1は、液体A
を貯留する貯槽2と、炭素化或は黒鉛化した繊維束Fを
液中へと案内する入口ローラ4と、繊維束Fを液中に位
置せしめ、必要に応じて繊維束を一部開繊するガイドロ
ーラ6と、繊維束を液中より外部へと案内する出口ロー
ラ8と、貯槽2中の液体Aに回転(旋回)流を与えるた
めの駆動モータMを備えたポンプ手段10とを有する。
【0021】貯槽2中に貯留される液体Aとしては、
水、沸点200℃以下の液体、炭素繊維用サイジング剤
を含む水、又は炭素繊維用サイジング剤を含む沸点20
0℃以下の液体であって、粘度が25℃において0.1
〜5.0センチポイズとされるものが好適に使用され
る。
【0022】水としては、水道水など一般の水も使用で
きるが、通常はイオン交換処理等で得られる電気伝導率
が2μS/cm以下の純水を使用する。沸点200℃以
下の液体としては、炭化水素油、アルコール類、ケトン
類、シリコーン油などを使用する。
【0023】炭素繊維用サイジング剤としては、公知の
ものを使用できるが、通常平均分子量が3000以下の
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹
脂或はこれらの2種以上の混合物などを、目的に応じて
使用する。
【0024】サイジング剤は、エチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイドなどを付加させて水に溶解させる
が、自己乳化する形にして或は乳化剤で乳化し水エマル
ジョンの形にして使用する。又は、上記の沸点200℃
以下の液体で溶解して用いても良い。サイジング剤は
0.01〜5wt%の濃度になるようにして用いる。
【0025】上記構成において、繊維束Fは、入口ロー
ラ4にて案内されて液中へと導入され、次いでガイドロ
ーラ6を介して出口ローラ8へと導出される。繊維束F
の通糸速度は、0.1〜10m/分とされる。又、本実
施例で好ましくは、貯槽2に配置される各ローラ4、
6、8間の配置構成は、図1を参照して、入口ローラ4
と出口ローラ8間の距離(L)と、入口ローラ4(出口
ローラ8)とガイドローラ6間の高さ(H)との比(L
/H)は4〜20とされる。又、各ローラ4、6、8
は、ステンレススチールのような金属製ローラ、黒鉛製
ローラ、テフロン樹脂ローラ、テフロン樹脂をコートし
たローラ、炭素繊維強化複合樹脂などの複合材によるロ
ーラなどが使用され、通常直径が30〜200mmのも
のが好適に使用される。
【0026】本発明によれば、液体Aは、少なくともガ
イドローラ6と出口ローラ8との間にては、図2に図示
するように、ポンプ手段10にて繊維束Fの周囲を矢印
にて示すように回転(旋回)流動される。又、斯る液体
の回転流は、図3に示すように、繊維束の通糸方向に対
して成す角度(θ)が30〜90°にて交差する平面
(V)内にて行なわれるのが好適である。
【0027】このように構成することによって、入口ロ
ーラ4から液中へと導入された繊維束Fは、ガイドロー
ラ6にて一部開繊され、一部の毛羽はこのガイドローラ
6を通過する際に繊維束から切断されるか、或は繊維束
間に埋入される。繊維束表面から突出して未だに存在す
る毛羽は、繊維束が出口ローラ8へと案内される過程に
て、繊維束の回りに回転する液体流れによって、図3に
示すように、繊維束の外周囲に毛羽fの根元の方から緩
やかに絡み付き付着する。従って、本発明にて重要なこ
とは、貯槽2及び各種ローラ4、6、8の配置構成及び
ポンプ手段10の性能などは、繊維束Fが貯槽2を通過
する間に毛羽fが繊維束Fの回りに1〜100回絡み付
き付着するように液体Aを繊維束Fの回りに好適に回転
せしめるべく選択すべきである。
【0028】繊維束Fは、毛羽fが絡み付いた状態にて
毛羽処理装置1から外部へと案内されるが、繊維束Fに
絡み付いた毛羽は液体の粘性にて繊維束Fに付着した状
態を維持し、外見上毛羽のない繊維束Fが形成される。
その後、この繊維束Fはサイジング剤付与工程にて炭素
繊維用サイジング剤が付与され、その後乾燥工程を経て
ボビンに巻取られ、炭素繊維製品とされる。このサイジ
ング剤付与工程にて付与される炭素繊維用サイジング剤
としては前記したようなサイジング剤が付与される。従
って、もし毛羽処理装置1の液体Aとして炭素繊維用サ
イジング剤を含む液を使用した場合には、その後の上記
サイジング剤付与工程を省略しても良い。
【0029】図4には、多数本の繊維束Fを通糸して毛
羽処理する際の一実施例を示す。多数本の繊維束Fを貯
槽2内へと同時に通糸する場合には、各繊維束F間には
6〜20mmの間隙を設け、この実施例によれば、毛羽
処理装置の毛羽処理領域において、通糸方向に沿って所
定長さにわたって、各繊維束F間に回転流案内板20を
設置し、各繊維束Fにおいてその周囲に回転流が発生す
るように構成することができる。
【0030】又、他の実施例によれば、前記案内板20
の代わりに、単に各繊維束F間を仕切る目的でメッシュ
状の仕切り板(図示せず)を配置することができ、これ
によって、一つの繊維束Fの毛羽が隣接する繊維束Fに
巻き付く、所謂「毛羽ブリッジング」を防止することが
可能である。
【0031】上記実施例では、繊維束Fは焼成炉を出た
後に毛羽処理を行なうものとして説明したが、繊維束F
は焼成炉を出た後、表面処理(サイジング剤付与)後に
毛羽処理を行なっても良い。
【0032】又、本発明は、ピッチ系炭素繊維ばかりで
なく、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の製造にも使用
できる。
【0033】次に、実施例について本発明の方法を更に
詳しく説明する。
【0034】実施例1 光学的異方性相を98%含み、軟化点は265℃、キノ
リン不溶分は29.5%の炭素繊維用ピッチを500孔
の紡糸口金を有する溶融紡糸機(ノズル孔径:直径0.
3mm)に通し、355℃で200mmHgの窒素ガス
圧で押し出して紡糸した。
【0035】紡糸した500本のフィラメントはエアー
サッカーで略集束してオイリングローラに導き、糸に対
して約0.2重量%の割合で集束用油剤を供給し、50
0フィラメントから成るピッチ繊維束を形成した。油剤
としては、25℃における粘度が14cstのメチルフ
ェニルポリシロキサンを使用した。
【0036】該ピッチ繊維束は、ノズル下部に設けた高
速で回転する直径210mm、幅200mmのステンレ
ス鋼製のボビンに巻き取り、約500m/分の巻き取り
速度で10分間紡糸した。
【0037】次いで、ピッチ繊維束を巻いた前記ボビン
6個を解舒し、そしてオイリングローラを使用して耐熱
性油剤を付与しながら合糸し、3000フィラメントか
ら成るピッチ繊維束を形成し、他のステンレス製ボビン
に巻取った。
【0038】合糸時に油剤としては25℃で40cst
のメチルフェニルポリシロキサン(フェニル基含有量4
5モル%)を使用した。付与量は糸に対し0.5%であ
った。
【0039】以上の如くにして製造したピッチ繊維束
を、不融化炉及び予備炭化炉を使用して、それぞれ不融
化及び予備炭化した。
【0040】本実施例で使用した不融化炉は、5つの個
室R1〜R5を有し、入口に近接した室R1は190℃
に、室R2は220℃に、室R3は250℃に、室R4
は280℃に、室R5は310℃に加熱し保持した。
又、不融化炉内には富酸素ガス(酸素・窒素の混合ガ
ス:混合比50/50)を導入し、ファンにより強制的
に撹拌した。ピッチ繊維束は不融化炉内を0.3m/分
にて移動し、又該繊維束には繊維束緊張手段にて20g
のテンションをかけた。
【0041】このようにして不融化されたピッチ繊維束
は、連続して予備炭化炉へ送給した。
【0042】本実施例によれば、予備炭化炉は入口部よ
り400℃、500℃、600℃、700℃、1100
℃へと階段状に上昇する態様にて加熱保持され、且つ炉
内を微量酸素含有雰囲気とするために1000ppmの
酸素を含有する窒素ガスが供給された。予備炭化に要し
た時間は7分であった。
【0043】不融化ピッチ繊維束は、予備炭化炉内を通
糸される間に微量酸素含有雰囲気下での加熱により、予
備炭化されると同時に膠着が解除された。
【0044】該予備炭化繊維束は、強度1.5GPa、
弾性率120GPaであった。又、予備炭化繊維束は、
膠着が除去(脱膠着)されており、綿状にふわふわとな
っていて、しなやかなものであった。この予備炭化繊維
束の膠着度は9%であった。
【0045】次に、脱膠着処理された予備炭化繊維束
は、通常の方法に従って最高温度2500℃にセットさ
れた焼成炉に連続的に通して焼成し、ボビンに巻取っ
た。焼成時に繊維束には200gのテンションが付与さ
れた。
【0046】このようにして得た黒鉛繊維(繊維束)F
は、黒鉛化前の予備炭化繊維束と同様に、膠着の少ない
ふわふわしたしなやかな繊維であり、膠着度は10%で
あった。黒鉛化前に比較すると膠着度は上昇している
が、実質的に黒鉛化による膠着の増加は見られなかっ
た。
【0047】この黒鉛繊維についてJISーRーD60
1に規定する樹脂含浸ストランド試験法により樹脂含浸
ストランドの引張強度を測定した結果、そのストランド
強度は350Kg/mm2 であった。
【0048】得られた黒鉛繊維Fには、長さ1m当た
り、長さが1mm以上の毛羽が210本見られ、その内
5〜10cm長の長い毛羽が71本見られた。
【0049】この黒鉛繊維Fを、図1に示すと同様の毛
羽処理装置1に導入した。即ち、使用した横長型の貯槽
2におけるローラ4、6、8の配置構成は、長さ(L)
が2m、高さ(H)が0.2m、幅0.6mであり、L
/H=5であった。貯槽2内には液体Aとしてイオン交
換水を入れ、イオン交換水Aは、下側から吸い上げ、上
方に吐き出すタイプの撹拌機(特殊機化工業株式会社
製:商品名「TKミキサー」)をポンプ手段10として
使用して上下方向に撹拌した。イオン交換水Aの温度は
25℃であり、その粘度は1センチポアズであった。
【0050】繊維束Fと、液体(イオン交換水)Aの旋
回方向(上下方向)との角度θ(図3)は60°であっ
た。
【0051】ガイドローラ6は、V溝やU溝のない直径
50mmのステンレス製平型ローラを使用し、ローラ6
上で繊維束Fが開繊できる構造のものを使用した。他の
ローラ4、8も同様に直径50mmのステンレス製平型
ローラを使用した。
【0052】繊維束Fの通糸速度は1m/分であり、繊
維束Fの周囲を回る液体の回転数(旋回度)は、30回
/分であった。従って、1本の毛羽は、毛羽処理中に3
0回の巻き付け作用を受けることになる。
【0053】上述のような毛羽処理により、毛羽処理装
置1の出口では、繊維束Fには短い毛羽も、長い毛羽も
見掛け上見られなかった。この繊維束Fを170℃、5
分間で、乾燥した。
【0054】その後、この繊維束Fは、ビスフェノール
A系エポキシ樹脂を乳化剤で乳化した炭素繊維用サイジ
ング剤を2wt%含むサイジング剤槽を通してサイジン
グ剤を付与した。次いで、この繊維束Fを130℃、5
分間で乾燥したが、このときも繊維束に毛羽の発生はな
かった。
【0055】その後、この繊維束Fを直径80mm、幅
280mmのボビン(紙管)に500m巻取った。巻き
形状はきれいであり、毛羽の発生もなかった。
【0056】この糸を20m/分でボビンから解舒し、
ドラムワインダーでプリプレグを製造したが、ボビン上
の糸残りや、毛羽立ちはなく、解舒性は良好であった。
【0057】又、プリプレグを作る時の繊維束の開繊性
は良好で、製造したプリプレグは均質で、毛羽のない高
品質のものであった。
【0058】実施例2 ポリアクリロニトリルを原料とするフィラメント数30
00本からなる炭素繊維を、2500℃の炉を通して黒
鉛化及び脱サイジング剤処理を行なった。その結果、得
られた黒鉛繊維Fは長さ1m当たり、長さが1mm以上
の毛羽が180本あり、その内5〜10cm長の長い毛
羽が42本とされる、ふわふわした繊維束になった。
【0059】この繊維束Fを実施例1に記述したのと同
様の毛羽処理装置1に導入し、実施例1と同様に処理し
た。毛羽処理装置1の出口では、短い毛羽も、長い毛羽
も見掛け上見られなくなった。
【0060】この繊維束Fを乾燥した後、実施例1と同
様にサイジング剤を付与し、再乾燥後500m巻取っ
た。この糸を20m/分でボビンから解舒したが、糸残
りや毛羽立ちはなく、解舒性は良好であった。
【0061】比較例1 毛羽処理装置1にて、貯槽2内の液体Aを繊維束Fの周
囲に回転させなかった以外は実施例1と同様に処理し
た。
【0062】この場合、繊維束Fの進行方向に沿って出
ている毛羽は、或る程度繊維束Fに集束することができ
たが、進行方向に向かって出ている毛羽については、こ
のような集束効果は見られず、反り返ってしまい、かえ
って毛羽立ちがひどいものとなった。
【0063】乾燥後、サイジング剤を付与し、再乾燥後
実施例1と同様に500mボビンに巻取った。サイジン
グ剤を付与しても集束性が悪く、毛羽立ちは改善できな
かった。巻取り後の巻き形状も毛羽立ちのため不良であ
った。
【0064】巻取ったボビンから繊維束Fを解舒した
が、20m解舒した所で、ボビン上に開繊した繊維が糸
残りし、これにより繊維束が切断した。
【0065】
【発明の効果】以上の如くに構成される本発明の炭素繊
維の製造方法によれば、融膠着度の低い炭素繊維を製造
する場合においても、工程通過性が良く製造歩留りが良
く、外見上毛羽のない炭素繊維を製造することができ、
しかもボビンから炭素繊維を解舒してプリプレグや複合
材を作る際にボビンからの解舒性を向上せしめ、糸扱い
を良好なものとすることができ、開繊性も良好である。
更に、本発明にて製造された炭素繊維は、外観上の見映
えが良く、プリプレグや複合材にした時の物性が高く、
商品価値が高いという特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維の製造方法を実施する毛
羽処理装置の一実施例の構成図である。
【図2】図1の線I-I に取った断面図である。
【図3】繊維束回りの液体の流体流れを説明する斜視図
である。
【図4】本発明に係る炭素繊維の製造方法を実施する毛
羽処理装置の他の実施例の構成図である。
【符号の説明】 1 毛羽処理装置 2 貯槽 4 入口ローラ 6 ガイドローラ 8 出口ローラ 10 ポンプ手段 20 案内板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素化或は黒鉛化した繊維束を連続的に
    液体中に通糸し、繊維束の外周囲に液体を回転させるこ
    とにより、繊維束に発生した毛羽を繊維束に絡ませるこ
    とを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維束に発生した毛羽を繊維束に絡ませ
    た後に、炭素繊維用サイジング剤を付与することを特徴
    とする請求項1の炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 液体は、水、沸点200℃以下の液体、
    炭素繊維用サイジング剤を含む水、又は炭素繊維用サイ
    ジング剤を含む沸点200℃以下の液体であることを特
    徴とする請求項1の炭素繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8818504B2 (en) 2004-12-16 2014-08-26 Cardiac Pacemakers Inc Leadless cardiac stimulation device employing distributed logic
CN110042583A (zh) * 2019-04-27 2019-07-23 北京化工大学 一种碳纤维激光石墨化上浆设备及方法

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CN110042583B (zh) * 2019-04-27 2023-06-30 北京化工大学 一种碳纤维激光石墨化上浆设备及方法

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