JPH0559103A - 共役ジエン系重合体の製造法 - Google Patents

共役ジエン系重合体の製造法

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JPH0559103A
JPH0559103A JP24017591A JP24017591A JPH0559103A JP H0559103 A JPH0559103 A JP H0559103A JP 24017591 A JP24017591 A JP 24017591A JP 24017591 A JP24017591 A JP 24017591A JP H0559103 A JPH0559103 A JP H0559103A
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)希土類元素の有機化合物、(b)有機
アルミニウム化合物および(c)ハロゲン含有ルイス酸
化合物からなる複合触媒の存在下に、共役ジエン類を重
合し、次いでカルボン酸、酸ハロゲン化物及び酸無水物
から選ばれるカルボン酸化合物をカップリング剤として
添加し、反応させる共役ジエン系重合体の製造法。 【効果】 本発明により高いシス1,4−結合含率と増
大された分子量又は重合体分子鎖の分岐構造を有すると
ともに、優れたゴム特性と加工性能、低い溶液粘度を示
す共役ジエン系重合体を、高効率に製造することができ
る。得られた重合体は、タイヤ各部位あるいはホース、
防振ゴムの原料ゴム等の自動車部品、工業用品の用途、
さらには樹脂強化剤としての用途に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類元素系触媒によ
り共役ジエンを重合し、次いで得られた重合体溶液にカ
ルボン酸、酸ハロゲン化物及び酸無水物から選ばれるカ
ルボン酸化合物類をカップリング剤として添加し、反応
させることによって重合体分子量を増大又は重合体鎖を
分岐化させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高い1,4−シス結合含率を有する共役
ジエン系重合体の製造方法は既に多数の方法が公知にな
っている。特にニッケル、コバルト、チタン等の遷移金
属化合物を主成分とする複合触媒を用いて得られるブタ
ジエン重合体は、一般にはシス結合含率が90%を越え
るものであり、リチウム基材触媒による低シスブタジエ
ン重合体と共に工業的に製造されており、各種ゴム用途
に広く使用されている。
【0003】また、高シスブタジエン重合体を製造する
他の方法として、希土類金属化合物を主成分とする複合
触媒を用いる方法も知られている。この場合に得られる
ブタジエン重合体は、遷移金属触媒によって得られる高
シスブタジエン重合体に比較して、粘着性に優れるとい
った特長を有するとされている(Kautschuku
nd Gummi Kunst stoffe,第22
巻、293頁、1969年刊行参照)。
【0004】しかし、この種の複合触媒の主成分である
希土類金属化合物あるいはこれらの複合触媒全体の重合
溶媒に対する溶解性は十分でなく、不均一になる場合も
あり、その触媒活性は不十分なものであった。また、得
られるブタジエン重合体の分子量分布は広いものとな
り、それ故、弾性特性等のゴム性能も一般の高シスブタ
ジエンゴムに比較して特に優れるものではなかった。
【0005】これらの希土類金属を主成分とする複合触
媒の欠点を改良すべく種々の試みも既になされている。
例えば、重合触媒を重合系への添加に先立ち、小量の共
役ジエンの存在下に予備反応し、活性を向上させる方法
(特公昭47−14729号公報)、複合触媒の主成分
である希土類金属化合物として、希土類金属のアルコラ
ートを用いる方法、特定された三級カルボン酸のネオジ
ム塩を用いて複合触媒の溶解性を改善した方法(特開昭
54−40890号公報、特開昭55−66903号公
報)、あるいは特定された有機リン酸のネオジム塩を主
成分として用いる方法(Pyoc.China−US
Bilateral Symp.Polym.Che
m.Phys.1979,382(1982年刊行)参
照)等が知られている。これらの改良された触媒技術に
よれば、比較的分子量分布の狭い高シスブタジエン重合
体を高活性に得ることができ、その重合体の物理的性能
においても優れるものとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、希土類金
属化合物を主成分とする複合触媒によって、高いシス含
率の共役ジエン重合体が得られることは既に知られてい
る。しかし、得られる重合体は一般に分岐構造の少ない
直鎖重合体であるため、従来の高シス共役ジエン重合体
に比較して、強度性能、弾性性能等のゴム材料として基
本性能には優れるものの、用途によっては他のゴム等の
高分子材料や各種充填剤等との混合性もしくは加工操作
性等に問題を有するものであった。特に、HIPS(ゴ
ム強化された耐衝撃性ポリスチレン)等の樹脂改質剤と
しての用途においては、製造時の直鎖状ゴムのスチレン
溶液の溶液粘度が極めて高くなるため、HIPS特性や
HIPS製法にもよるが、一般に分岐構造導入による溶
液粘度低減に対する要求が極めて強かった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
を解決するために鋭意検討した結果、希土類元素系触媒
により共役ジエンを重合し、次いでカルボン酸、酸ハロ
ゲン化物及び酸無水物から選ばれるカルボン酸化合物類
と反応させることによって、重合体分子量を増大又は重
合体鎖を分岐化させることができ、これにより得られる
重合体はそのゴム材料としての優れた特性を保持したま
まで、上記の課題を解決できることを見いだし本発明に
到達した。
【0008】ところで、技術は全く異なるが、共役ジエ
ン類のアニオン重合技術においては多種の末端カップリ
ング剤が公知である。カップリング剤の例としては、マ
ルチエポキシド、マルチイソシアネート、マルチイミ
ン、マルチアルデヒド、マルチケトン、各種カルボン酸
エステル、マルチ酸無水物、マルチハライド、一酸化炭
素および二酸化炭素等の化合物が挙げられる。
【0009】しかしながら、本発明者が鋭意検討した結
果、希土類元素を主成分とする複合触媒を用いる重合に
於ては、これらのカップリング剤を用いた場合のカップ
リング効率は、反応条件にもよるが一般には低いもので
あるのに対し、驚くべきことに、カルボン酸、酸ハロゲ
ン化物及び酸無水物から選ばれるカルボン酸化合物をカ
ップリング剤として用いた場合には、特異的に極めて高
い重合体分子量の増大効果もしくは重合体鎖の分岐化効
果を達成できることを見いだし、本発明に到達したもの
である。
【0010】即ち本発明は、(a)希土類元素の有機化
合物、(b)有機アルミニウム化合物及び(c)ハロゲ
ン含有ルイス酸化合物からなる複合触媒の存在下に、共
役ジエン類を塊状重合又は炭化水素溶媒中で溶液重合
し、次いでカルボン酸、酸ハロゲン化物及び酸無水物か
ら選ばれるカルボン酸化合物類をカップリング剤として
添加し、反応させることを特徴とする新規共役ジエン系
重合体の製造法を提供するものである。
【0011】カップリング剤であるカルボン酸、酸ハロ
ゲン化物及び酸無水物から選ばれるカルボン酸化合物類
は、好ましくは下記の一般式(1)で規定されるカルボ
ン酸、一般式(2)で規定される酸ハロゲン化物、一般
式(3)で規定される分子間の酸無水物及び一般式
(4)で規定される分子間の酸無水物から選ばれる化合
物である。
【0012】
【化2】
【0013】ここに、R1 、R2 、R3 およびR5 は炭
素数1〜10,000、さらに好ましくは1〜1,00
0、特に好ましくは1〜100の範囲の脂肪族、脂環族
または芳香族炭化水素基である。R4 は炭素数1〜5
0、特に好ましくは1〜20の範囲の脂肪族、脂環族ま
たは芳香族炭化水素基である。また、nは1〜5,00
0、さらに好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜
10の範囲の整数であり、Xはフッ素、塩素、臭素又は
ヨウ素のハロゲン原子であり、特に好ましいハロゲン原
子は塩素又は臭素原子である。nの数を選ぶことによっ
てカップリング剤の官能数、ひいては得られる共役ジエ
ン系重合体の枝分れ数を自由に調整できる。
【0014】一般式(1)で示されるカルボン酸の好ま
しい具体例として、酢酸、ステアリン酸、アジピン酸、
マレイン酸、安息香酸、アクリル酸、メタアクリル酸、
フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、メリット酸、ポリメタアク
リル酸エステル化合物又はポリアクリル酸エステル化合
物の全あるいは部分加水分解物等を挙げることができ
る。
【0015】一般式(2)で示される酸ハロゲン化物の
好ましい具体例として、塩化アセチル、塩化プロピオニ
ル、塩化ブチリル、塩化イソブチリル、塩化アクリロイ
ル、塩化ベンゾイル、塩化オキサリル、塩化スクシニ
ル、塩化アセチル、臭化ベンゾイル、臭化オキサリル、
ヨウ化アセチル、ヨウ化ベンゾイル、フッ化アセチル又
はフッ化ベンゾイル等を挙げることができる。
【0016】一般式(3)で示される分子間の酸無水物
の好ましい具体例として、無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水ヘプタン酸、
無水安息香酸又は無水ケイ皮酸等を挙げることができ
る。一般式(4)で示される分子内の酸無水物の好まし
い具体例として、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、
無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸、
無水フタール酸又はスチレン−無水マレイン酸共重合体
等を挙げることができる。
【0017】また、本発明の目的を損なわない範囲で、
カップリング剤分子中に、例えばエーテル基、3級アミ
ノ基等の非プロトン性の極性基を含むものであっても構
わない。カップリング剤はこれらの化合物の2種以上の
混合物であってもよい。さらに、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、フリーのアルコール基、フェノール基を含
む化合物を不純物として含むものであってもよい。
【0018】本発明の共役ジエン重合体の製造法におい
て用いられる複合触媒を構成する成分(a)である希土
類元素化合物は下式で表される。
【0019】
【化3】LnY3 ここにLnは希土類元素である。具体的にはスカンジウ
ム、イットリウムまたは原子番号が57〜71の周期律
表のランタニド系列希土類元素である。中でもランタ
ン、セリウム、プラセオジム、ネオジムおよびガドリウ
ムが好ましく、特にネオジムが性能および工業的入手の
し易さのバランスの点から好ましい。また、これらの希
土類元素は2種以上の混合物であってもよい。また、Y
は酸の残基を示す。好ましい例としてはアルコール、フ
ェノール、チオアルコール、チオフェノール、アミン、
カルボン酸、有機リン酸、有機亜リン酸の塩の形などで
ある。
【0020】アルコール型化合物(アルコキサイド及び
フェノキサイド)としては、一般式
【0021】
【化4】
【0022】で表され、R6 は好ましくは炭素数1〜4
0の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキル置換フ
ェニル基またはアルキル置換ナフチル基である。好まし
いアルコール又はフェノールの具体例としては2ーエチ
ルーヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステア
リルアルコール、ノニルフェノール、ベンジンアルコー
ル等が挙げられる。
【0023】チオアルコール型化合物(チオアルコキサ
イド、チオフェノキサイド)としては、一般式
【0024】
【化5】 で表され、R7 は好ましくは炭素数1〜40の範囲のア
ルキル基、アルケニル基、アルキル置換フェニル基また
はアルキル置換ナフチル基である。
【0025】希土類金属のアミン化合物としては、一般
【0026】
【化6】 で表され、R8 は好ましくは炭素数1〜40の範囲のア
ルキル基、アルケニル基、アルキル置換フェニル基又は
アルキル置換ナフチル基である。
【0027】希土類元素のカルボン酸化合物としては、
一般式
【0028】
【化7】 で表され、R9 は好ましくは1〜40の範囲のアルキル
基、アルケニル基、アルキル置換フェニル基またはアル
キル置換ナフチル基である。
【0029】希土類元素化合物における各アルキル基あ
るいはアルケニル基は直鎖状、分岐状もしくは環状であ
ってもよい。またカルボキシル基は炭化水素に対して、
1級、2級又は3級のいづれの結合であってもよい。好
ましいカルボン酸の具体例としてはオクタン酸、2ーエ
チルーヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香
酸、ナフテン酸、バーサチック酸10(シェル化学の商
品名)が挙げられる。
【0030】希土類元素の有機リン酸化合物としては、
一般式
【0031】
【化8】
【0032】で表され、R10、R11は、同一または異な
り、好ましくは1〜40の範囲のアルキル基、アルケニ
ル基、アルキル置換フェニル基あるいはアルキル置換ナ
フチル基である。特にアルキル基あるいはアルケニル基
は直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。好まし
い有機リン酸化合物の具体例として、トリス(リン酸ジ
ー2ーエチルヘキシル)、トリス(リン酸ジノニルフェ
ニル)が挙げられる。
【0033】希土類元素の有機亜リン酸化合物として
は、一般式
【0034】
【化9】
【0035】で表され、R12、R13は同一または異な
り、好ましくは1〜40の範囲のアルキル基、アルケニ
ル基、アルキル置換フェニル基またはアルキル置換ナフ
チル基である。特にアルキル基またはアルケニル基は直
鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。好ましい有
機亜リン酸化合物の具体例として、トリス(亜リン酸ジ
−2−エチルヘキシル)、トリス(亜リン酸ジノニルフ
ェニル)が挙げられる。
【0036】本発明の共役ジエン重合体の製造法におい
て用いられる複合触媒を構成する成分(b)である有機
アルミニウム化合物は、下式で表される。
【0037】
【化10】
【0038】ここにR14は炭素数1〜20、好ましくは
2から8の範囲の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基、または炭素数6〜20、好ましくは6〜12の範囲
のアルキル置換芳香族炭化水素基を表す。 l(エル)は
0、1または2、好ましくは0または1であり、Hは水
素原子を示す。
【0039】好ましい有機アルミニウム化合物の具体例
としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシク
ロヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイド
ライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチ
ルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウ
ムジハイドライド等が挙げられ、特に好ましい例として
はトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライドを挙げることができる。ま
た、これらの2種以上の混合物であっても構わない。
【0040】本発明の共役ジエン重合体の製造法におい
て用いられる複合触媒を構成する成分(c)であるハロ
ゲン元素含有ルイス酸化合物は、周期律表のIII b、IV
bまたはVbに属する元素のハロゲン化合物、好ましく
はアルミニウム元素のハライドないしは有機金属ハライ
ドが挙げられる。ハロゲン元素としては塩素または臭素
が好ましい。
【0041】これらの化合物の例としては、メチルアル
ミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライ
ド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニ
ウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、
ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウ
ムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエ
チルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムク
ロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチル
アルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブ
ロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチ
ルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウム
セスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニ
ウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチ
モン、三塩化リン、五塩化リンおよび四塩化錫があり、
特に好ましい例としてはジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイ
ド、エチルアルミニウムセスキブロマイドおよびエチル
アルミニウムジブロマイドが挙げられる。
【0042】本発明の製造法において使用される複合触
媒の各成分の量もしくは組成比は、その目的によって異
なるものとなる。共役ジエン類単量体100gあたり、
一般には成分(a)の使用量は0.01〜5ミリモルで
あり、好ましくは0.05〜1ミリモルの範囲で使用で
きる。また一般には成分(b)の使用量は、0.1〜5
0ミリモル好ましくは0.5〜10ミリモルの範囲で使
用できる。さらに成分(c)の使用モル量はその分子中
に含まれるハロゲン原子数で異なるものとなり、希土類
元素(Ln)1モルに対するハロゲン原子数で表し、一
般にはハロゲン原子/Ln=1〜6、好ましくは2〜4
の範囲で使用できる。
【0043】本発明の製造法によって用いることのでき
る単量体としては、一般にはブタジエン、イソプレン、
ピペリレン、ジメチルブタジエン等の炭素数4〜8の範
囲の共役ジエン化合物あるいはその混合物から選ぶこと
ができ、最も好ましい単量体はブタジエンである。また
スチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物共存下に重合
もしくはビニル芳香族化合物と共重合することも可能で
ある。
【0044】本発明の製造法は、塊状重合もしくは溶液
重合法によって実施される。溶液重合法を用いる場合に
使用できる重合溶媒としては、一般にはn−ペンタン、
n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の沸点が200℃以下の脂肪族炭化水
素、脂環族炭化水素または芳香族炭化水素が好ましい。
重合溶媒はこれらの2成分の混合物であっても当然構わ
ない。また、メチレンクロライドやクロルベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素やケトン化合物やエーテル化合物、
トリアルキルアミン化合物等の非プロトン性の極性有機
溶媒を少量含むことも可能であり、条件により複合触媒
の重合溶媒への溶解性ひいては重合活性を改善できる。
【0045】本発明の製造法における重合温度は、−3
0〜150℃、好ましくは10〜120℃、特に好まし
くは30〜100℃で実施される。重合反応形式は回分
法あるいは連続法のいずれにおいても利用できる。ま
た、重合に先立って、共役ジエン単量体の共存下あるい
は非共存下に、触媒成分の一部の組合せ、あるいは全て
を予備反応あるいは熱成反応することも本発明の製造方
法においては可能である。
【0046】本発明の製造法においては、重合反応が所
定の重合率を達成した後、カップリング剤を添加し、反
応させることによって重合体分子量を増大もしくは重合
体鎖を分岐化される。カップリング剤の使用量は重合活
性末端量に対して当量となるような量が分子量最大増加
もしくは最大枝分れに最適の量と考えられる。しかし所
望のカップリング度によって、いかなる範囲のカップリ
ング剤量も使用できる。
【0047】一般には有機アルミニウムの炭素−金属結
合あたり0.01〜1.5当量、好ましくは0.1〜1
当量のカップリング剤量で使用する。この場合、カルボ
ン酸化合物はカルボン酸結合単位あたりポリマー活性末
端3分子、酸ハロゲン化物は酸ハロゲン結合単位あたり
ポリマー活性末端2分子、酸無水物は酸無水物結合単位
あたりポリマー活性末端4分子と反応すると考えられる
ので、当量数計算には考慮する必要がある。カップリン
グ剤は単独もしくは不活性炭化水素溶液として添加する
ことができる。またカップリング剤は一度に、分割して
あるいは連続的に添加できる。カップリング反応はその
反応性によっても異なるが、通常重合温度に近い温度
で、数分から数時間行う。
【0048】本発明の製造法においては、カップリング
反応を行った後、必要により重合停止剤、重合体安定剤
を反応系に加え、共役ジエン系重合体の製造における公
知の脱溶媒、乾燥操作、例えばスチームストリッピング
乾燥、加熱乾燥等により重合体を回収できる。重合停止
剤は、水もしくはプロトン性の極性有機化合物等から選
ぶことができる。後者の例としては、各種のアルコー
ル、フェノール、カルボン酸化合物を挙げることができ
る。
【0049】また重合体安定剤は公知の共役ジエン系重
合体の安定剤,酸化防止剤から選ぶことができる。これ
らの特に好ましい例としては2,6−ジ−tert−ブチル
−4−メチルフェノール、トリノニルフェニルホスフェ
ート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジア
ルキルジフェニルアミン、N−アルキルジフェニルアミ
ン等が挙げられる。
【0050】本発明は上述のとおり、高いシス1,4−
結合含率と増大された分子量又は重合体分子鎖の分岐構
造を有するとともに、優れたゴム特性と加工性能、低い
溶液粘度を示す共役ジエン系重合体を、高能率に製造す
る方法を提供するものである。得られた重合体は、その
ゴム特性、加工性能における優れた特長を生かす各種用
途、例えば必要により他の合成ゴム又は天然ゴムと混合
し、シレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等
のタイヤ各部位の用途、又はホース、窓枠、ベルト、防
振ゴムの原料ゴム等の自動車部品、工業用品の用途、さ
らには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化
剤としての用途に利用でき、これにより優れた性能、効
果を発揮できる。
【0051】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、分析方法は次のとおりである。 (1)1,4−シス含率は赤外分光光度計を用いて測定
し、モレロ法にてデーター処理して求めた。 (2)分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーを用い、THF(テトラヒドロフラン)を展開溶剤と
して測定した。 (3)カップリング率はGPCデーターピーク解析を行
い、ポリマー中に含まれるカップリングポリマーの重量
含率を示す。
【0052】実施例1および比較例1 十分に乾燥した1000ml耐圧オートクレーブの内部
を乾燥窒素で十分置換し、重合に用いた。実施例1は、
90gの1,3−ブタジエンを含む600gのシクロヘ
キサン混液をオートクレーブ内に圧入した後,2−イソ
プロピル−5−メチルヘキサン酸ネオジム0.27ミリ
モル、ジイソブチルアルミニウムハイドライド4.4ミ
リモル、エチルアルミニウムセスキクロライドをCl/
Nd=3の元素比になるように添加し、50℃で2時間
重合を行った。
【0053】重合後、カップリング剤としてトリメシン
酸クロリドを0.38ミリモル添加し、50℃で1時間
反応させた。反応後はBHT[2,6−ビス(tert−ブ
チル)−4−メチルフェノール]の10wt%のメタノ
ール/シロクヘキサン混合溶液10mlで反応を停止さ
せ、さらに大量のメタノールで重合体を分離させ、50
℃で真空乾燥した。
【0054】比較例1は、カップリング剤を添加しない
他は実施例1と同様の条件で実施した。このようにして
得られた重合体の収率、1,4−シス含率、分子量等の
測定結果を表1に示す。またGPC測定結果を図1に示
す。図中、1は実施例1の、また、2は比較例1の重合
体の各流出カウントにおける重合体の相対濃度を示す。
【0055】実施例2〜5 実施例2〜5は、トリメシン酸クロリドに代えて、表2
に記載したカップリング剤を表中に記載の量使用し、そ
れ以外の重合条件は実施例1と同様にして実施した。結
果を表2に示す。
【0056】実施例6〜8 実施例6〜7はカップリング剤としてトリメシン酸クロ
リドにかえてイソフタール酸クロリドを表3に記載の添
加量用いた。それ以外の重合条件は実施例1と同様にし
て実施した。結果を表3に示す。
【0057】実施例9〜11 実施例9〜11は、2−イソプロピル−5−メチルヘキ
サン酸ネオジムにかえて表4記載の有機ネオジムを用い
た。それ以外の重合条件は実施例1と同様にして実施し
た。結果を表4に示す。
【0058】実施例12 実施例12は、2−イソプロピル−5−メチルヘキサン
酸ネオジム0.27ミリモルと、ジイソブチルアルミニ
ウムハイドライド4.4ミリモルを予め少量のブタジエ
ンモノマー存在下に、窒素雰囲気下、ガラスボトル中で
混合し、10分間予備反応させ、さらにエチルアルミニ
ウムセスキクロライドをCl/Nd=3の元素比になる
ように添加し、1時間熟成させたものを用いた。重合温
度は45℃、重合時間は8時間とし、それ以外の条件は
実施例1と同様に実施した。結果を表5に示す。
【0059】実施例13〜15 実施例13〜15は、ジイソブチルアルミニウムハイド
ライドにかえて表6記載の有機アルミニウムを用いた。
それ以外の重合条件は実施例1と同様にして実施した。
結果を表6に示す。
【0060】実施例16〜18 実施例16〜18は、エチルアルミニウムセスキクロラ
イドにかえて、表7記載のハロゲン含有ルイス酸を、C
l/Nd=3元素比になる如く用いた。それ以外の重合
条件は実施例1と同様にして実施した。結果を表7に示
す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】本発明により高いシス1,4−結合含率
と増大された分子量もしくは重合体分子鎖の分岐構造を
有するとともに、優れたゴム特性と加工性能、低い溶液
粘度を示す共役ジエン系重合体を、高効率に製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1の重合体のGPC測定結
果を示す図である。
【符号の説明】
1 実施例1の重合体 2 比較例1の重合体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)希土類元素の有機化合物、(b)
    有機アルミニウム化合物及び(c)ハロゲン含有ルイス
    酸化合物 からなる複合触媒の存在下に、共役ジエン類を塊状重合
    又は炭化水素溶媒中で溶液重合し、次いでカルボン酸、
    酸ハロゲン化物及び酸無水物から選ばれるカルボン酸化
    合物類をカップリング剤として添加し、反応させること
    を特徴とする共役ジエン系重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 カップリング剤として、下記の一般式
    (1)で規定されるカルボン酸、一般式(2)で規定さ
    れる酸ハロゲン化物、一般式(3)で規定される分子間
    の酸無水物及び一般式(4)で規定される分子間の酸無
    水物から選ばれるカルボン酸化合物類を用いることを特
    徴とする請求項1記載の共役ジエン系重合体の製造法。 【化1】 ここに、R1 、R2 、R3 およびR5 は炭素数1〜1
    0,000の範囲の脂肪族、脂環族又は芳香族炭化水素
    基であり、R4 は炭素数1〜50の範囲の脂肪族、脂環
    族または芳香族炭化水素基である。またnは1〜5,0
    00の範囲の整数であり、Xはハロゲン原子である。
  3. 【請求項3】 共役ジエンが1,3−ブタジエン及び/
    又はイソプレンである請求項1又は2記載の共役ジエン
    系重合体の製造法。
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