JPH055890B2

JPH055890B2 -

Info

Publication number: JPH055890B2
Application number: JP62239677A
Authority: JP
Inventors: Keiichiro Oono; Shoichi Kikuchi; Hiroto Arata; Shuji Fukuba
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1987-09-24
Filing date: 1987-09-24
Publication date: 1993-01-25
Also published as: JPS6483641A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕この発明はパイプ拡管等に用いるエキスパンダ
ーコーンに関するものである。〔従来の技術〕例えば、UOパイプは、Ｕ字形およびＯ字形に
成形加工したのち、溶接接合してパイプを製造す
る。この段階のパイプは真円度が不十分なため拡
管工程でパイプを拡げながら真円度等の寸法精度
を向上させる。この工程を第４図に示す。第４図において、傾斜をもつた外形のコーン２
の上をセグメント３がスライドして、パイプ１を
拡管する。このコーン２に要求される特性として
は、セグメント３がコーン上を摺動するため、摩
擦係数が小さく、摩擦熱による耐焼着性、さらに
圧縮応力による耐疲労破壊性および耐摩耗性等が
要求される。このためミクロ組織的に板状の黒鉛
を有する低合金片状黒鉛鋳鉄を使用し、黒鉛の面
積率を増大し、この黒鉛に給油することで耐焼着
性を防止しており、片状黒鉛鋳鉄以外の材質は耐
焼着性から使用できないとされていた。〔発明が解決しようとする問題点〕しかしながら、片状黒鉛鋳鉄は材質の強度が小
さいため、耐焼着性は良好であるが、長期間使用
すると疲労破壊が生じる。又、板厚が大きいパイ
プを拡管すると破損する問題があつた。又、破損
を防止するため鋳鍛鋼品を使用すると焼着が生じ
る問題があつた。この問題を解決するため、西独特許
DT2258360のように構造変更を行うことが知ら
れている。これを第５図に示す。第５図はコーン
２にセグメント受け台４をボルト接合する。この
場合、拡管時にセグメント３に作用する圧下力を
受けるが、コーン２に溝がないため応力集中が生
じなく、これによつて破損を防止しようとするも
のである。しかし、この方法はセグメントと受け台４間の
摩擦係数が大となり、実機の拡管作業に使用する
と作動上のトラブルが多発する難点がある。本発明はこのようなエキスパンダーコーンが持
つ問題を有利に解決したものである。〔問題を解決するための手段〕本発明は、重量％で重量でＣ：2.5〜4.0％、
Si：1.50〜3.0％、Mn：1.0％以下、Ni：0.5〜2.5
％、Cr：0.5％以下、Mo：0.20〜2.0％、Mg：
0.03〜0.10％を含み、残部Fe及び不可避不純物か
らなる球状黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーンであ
つて、焼入れ焼戻し後の組織が球状黒鉛とベイナ
イトであることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製エキ
スパンダーコーン及び重量でＣ：2.5〜4.0％、
Si：1.50〜3.0％、Mn：1.0％以下、Ni：0.5〜2.5
％、Cr：0.5％以下、Mo：0.2〜2.0％、Mg：0.03
〜0.10％を含み、残部Fe及び不可避不純物からな
る球状黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーンであつ
て、焼入れ焼戻し後の組織が球状黒鉛とベイナイ
トであり表面に浸硫窒化処理層を有することを特
徴とする球状黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーンで
ある。〔作用〕コーンの要求特性として、耐焼着性、耐疲労強
度、耐摩耗性等がある。従来は耐焼着性から板状
の黒鉛が存在する片状黒鉛鋳鉄を使用していた
が、耐焼着性を向上させる板状の黒鉛は黒鉛先端
に応力集中が生じ強度を低下させ、強度はほぼ40
Kg／mm²が限度である。そこで、本発明においては、黒鉛を球状化する
ことにより、黒鉛先端部の応力集中を低下させほ
ぼ80Kg／mm²以上の高強度のエキスパンダーコーン
用材料とするものである。又この材料は合金を添
加しているため、マトリツクスがベイナイト化す
るとともに炭化物を一部晶出させて耐摩耗性を向
上させるものである。尚、耐焼着性について検討
した結果、実験的に黒鉛と炭化物の比率やコーン
の表面粗度との関係から前述の成分範囲のものの
表面粗度を５ミクロン以下とすることが好まし
く、かくすることにより片状黒鉛鋳鉄と同等以上
の耐焼着性を得ることができる。又表層部に硫黄
と窒素を浸入させ、鉄との化合物を生成させる浸
硫窒化処理を行う事で耐焼着性が著しく改善され
る。したがつてエキスパンダーコーンに浸硫窒化
処理を行う事により更に諸特性に優れたコーンが
得られる。つぎに本発明のエキスパンダーコーンは強度お
よび耐焼着性を向上するため、Ni、Moを添加し
て、焼入、焼戻し処理を行つて、マトリツクスを
ベイナイトにすることでこれらの問題を解決した
ものである。又、表面に浸硫窒化処理層を設ける
事で疲労強度が無処理の場合に比較して、約10％
向上し、表層部に生じた窒化物は耐摩耗性を向上
させる。このように、浸硫窒化処理を設けること
は耐疲労破壊に対しても有利である。つぎに、本発明エキスパンダーコーンの材質の
化学成分の限定について説明する。炭素：黒鉛を晶出させるため必須で、2.5％以下
では黒鉛量が不足して、耐焼着性が劣る。4.0
％以上は強度が小さくなる。シリコン：シリコンは炭素ととも黒鉛量を決定
し、1.5％以下では黒鉛量が不足し、3.0％以上
では靭性が劣化する。マンガン：マンガンは通常Ｓと結合してＳの悪影
響を除去すると共に、ベイナイトを安定する
が、一方粒界に偏析し、靭性を劣化させるため
最大で1.0％とする。通常は0.2〜0.5％が望まし
い。ニツケル：ニツケルは溝部の耐摩耗性や強度を向
上させるため、焼入深度を向上させるため添加
する。0.5％以下では溝部の焼入深度が不足し、
2.5％以下は経済的に不必要である。通常1.5％
〜2.0％が望ましい。クロム：クロムは耐摩耗性を向上させるため炭素
の一部を炭化物にする。0.5％以上では炭化物
量が多すぎて、耐焼着性が悪化する。通常0.1
％〜0.3％添加する。モリブデン：モリブデンはニツケルと共に焼入に
よる硬度の増大に用いる。0.2％以下では硬度
不足で、2.0％以上は経済的に不必要である。
通常0.3〜1.0％が望ましい。マグネシユーム：マグネシユームは球状化のため
に用い、0.03％以下では球状化せず、0.1％以
上は脆化する。〔実施例〕本願の実施例に先だち本願要旨であるベイナイ
ト化の作用・効果を確認するため試験片を作成し
代表的な機械的性質を調査した。結果を表１に示
す。

【表】表から明らかなように引張り強さ硬さ共に大き
くベイナイト化の効果があらわれている。次に本発明の実施例として26インチのUOパイ
プ拡管用のエキスパンダーコーンを製造した。こ
の化学成分は以下のとおりである。なお、Ｐ、Ｓは不可避不純物である。

【表】上記の成分の鋼を遠心鋳造法で２本製造したの
ち、表２に示す熱処理条件で熱処理を実施した。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明のエキスパンダーコーン
は疲労強度と耐焼着性、耐摩耗性等に優れた性能
を有するものである。即ち従来エキスパンダーコ
ーンは片状黒鉛材以外は使用できないとされ、こ
のため強度不足から破壊していた従来材に比べ
て、著しく寿命延長が計れるのみならず、大きい
応力が生じる事から、従来、厚肉パイプの拡管が
できなかつたが、本発明のエキスパンダーコーン
を用いればこのようなパイプの拡管も容易に可能
になる等、実用上顕著な効果を示すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例材と従来材との引張り強
さの比較を示す図、第２図は本発明実施例材と従
来材との回転疲労強度の比較を示す図、第３図は
本発明実施例材と従来材との焼着性の比較を示す
図、第４図ａ，ｂはUOパイプの拡管状況を示す
説明図、第５図は従来技術の説明図で構造変更し
たコーン、セグメントの取り付けを示す図であ
る。１……パイプ、２……エキスパンダーコーン、
３……セグメント、４……セグメント受台。

Claims

【特許請求の範囲】１重量でＣ：2.5〜4.0％ Si：1.50〜3.0％ Mn：1.0％以下 Ni：0.5〜2.5％ Cr：0.5％以下 Mo：0.20〜2.0％ Mg：0.03〜0.10％を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる球状
黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーンであつて、焼入
れ焼戻し後の組織が球状黒鉛とベイナイトである
ことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製エキスパンダー
コーン。２重量でＣ：2.5〜4.0％ Si：1.50〜3.0％ Mn：1.0％以下 Ni：0.5〜2.5％ Cr：0.5％以下 Mo：0.20〜2.0％ Mg：0.03〜0.10％を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる球状
黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーンであつて、焼入
れ焼戻し後の組織が球状黒鉛とベイナイトであ
り、表面に浸硫窒化処理層を有することを特徴と
する球状黒鉛鋳鉄製エキスパンダーコーン。