JPH0558623A - 凝集粒子の含有量が少なく粒子分布の狭い水酸化アルミニウム及びその製造方法 - Google Patents

凝集粒子の含有量が少なく粒子分布の狭い水酸化アルミニウム及びその製造方法

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JPH0558623A
JPH0558623A JP3238843A JP23884391A JPH0558623A JP H0558623 A JPH0558623 A JP H0558623A JP 3238843 A JP3238843 A JP 3238843A JP 23884391 A JP23884391 A JP 23884391A JP H0558623 A JPH0558623 A JP H0558623A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種フィラー材として汎用性の優れた水酸化
アルミニウム及びその製造方法としてアルミン酸ソーダ
溶液からの析出過程でそのような水酸化アルミニウムを
直接得ることを提案するものである。 【構成】 本発明は、重量基準による平均二次粒子径が
6〜16μmであり、30μm以上の粒子含有量が10
重量%以下であり、且つ4μm以下の含有量が20重量
%以下で、BET比表面積が1m2 /g以下であると共
に凝集度指標が1.6以下である水酸化アルミニウムに
関し、又その製造法として過飽和度1.1〜1.8のア
ルミン酸ソーダ溶液にMF値10以上で平均粒径が3〜
10μmの粉砕ジプサイト種子を5g/l以上添加して
水酸化アルミニウムを析出させる方法に関するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、凝集粒子の含有量が少
なく粒子分布の狭い水酸化アルミニウム及びその製造方
法に関するものであり、汎用度の高い水酸化アルミニウ
ムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、水酸化アルミニウムは、アルミナ
用加工原料として用いられると共に、それ自身での用途
も拡大している。例えば、合成樹脂の充填材として電線
被覆ケーブルや半導体封止或いは人造大理石などに適用
され、又歯磨用研磨材などにも利用されている。これら
の用途には難燃性・低煙性・無毒性・電気絶縁性及び曲
げ強度や耐クラック性等の機械的特性などが期待される
が、これらに共通して水酸化アルミニウムの分散性・充
填性、それを用いた製品の均一性・安定性が求められ
る。それらに対応出来るように粗大粒子や微細粒子が少
なく、粒度の揃った球状に近い微粒な水酸化アルミニウ
ムが要求されている。このような要請に応えるように粒
度や粒子形状を制御した汎用性の高い微粒な水酸化アル
ミニウムを得る方法として、(a)微粉砕機による粉砕
法(特開平1−275422号)、(b)分級機による
分級(特開平1−198658号)、(c)遠心分離機
でスラリー解砕する方法(特開平2−199020号)
等のように粗粒を含んだ凝集粒子を解砕・粉砕或いは分
級する方法が提案されているが、いずれも収率の低下や
従来の製造工程に新たな工程が付加されることによる高
コスト化を招いていた。また、水酸化アルミニウムの析
出工程で粉砕種子を用いて微粒のものを得る方法が、例
えば特公表昭59−501902号などにも提案されて
いる。しかし、このような方法で得られたものは一次粒
子が微粒のものであるにしても凝集度が高いために、解
砕或いは粉砕処理が必要であると共に凝集粒子間に遊離
ソ−ダ分などを吸蔵し易い等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
たような汎用性の高い微粒水酸化アルミニウムの基本特
性が何んであり、それを充足する安価な製造方法として
どのような手段が適切であるかを検討した。その結果、
バイヤー法の水酸化アルミニウム析出過程で凝集粒子の
発生を抑制することが望ましく、そのためにはアルミン
酸ソーダ溶液から新しい析出粒子の発生を極力抑制し、
添加する種子上での種子成長による方法が最適であるこ
とを見出した。このような知見から更に検討を続け、特
定の過飽和度のアルミン酸ソーダ溶液中に特定性状の粉
砕種子を添加する方法が好適であることを見出した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の水酸化アルミニ
ウムは、重量基準による二次粒子の平均粒径(D2 )が
6〜16μm、30μm以上の粒子含有量が10重量%
以下で、且つ、4μm以下の含有量が20重量%以下で
あり、且つBET比表面積が1m2 /g以下であると共
に、凝集度指標である二次粒子の平均粒径(D2 )と一
次粒子の平均粒径(D1 )との比(D2 /D1 )が1.
6以下であることを特徴とするものである。又、本発明
の水酸化アルミニウムの製造方法は、バイヤ−法によっ
て得られた過飽和アルミン酸ソーダ水溶液の過飽和度を
1.1〜1.8に維持しつつ、下記の式(以下、「式
1」という)で表わされるMF値が10以上で且つ平均
粒子径が3〜10μmの粉砕ジプサイト種子を添加し
て、その種子成長によって水酸化アルミニウムの析出を
図ることを特徴とするものである。
【0005】
【数2】
【0006】分散性・充填性に優れた汎用性の高い水酸
化アルミニウムとしては、粗大粒子や微細粒子が少なく
て粒度分布がシャープであると共に、球状で凝集度が小
さく、比表面積が小さいことが必要であり、これらの条
件を包括的に満足する水酸化アルミニウムは、次の各条
件を満足するものである。 1)二次粒子の平均粒径D2 が6〜16μm、30μm
以上の粒子の含有量が10重量%以下であり、且つ4μ
m以下の含有量が20重量%以下であることが必要であ
る。即ち、例えば樹脂フィラ−材として使用するとき、
30μm以上が10重量%を越えると、硬化前の樹脂混
合物中での沈降が顕著となり、その成形物の均一性を欠
いたり表面光沢や耐汚染性も低下するので好ましくな
い。また、歯磨き剤に於いてはザラツキ感が強くなり好
ましくない。一方、微粒の4μm以下が20重量%を越
えるようになると、充填された樹脂の流動性が低下して
高充填性が損なわれ成形性が低下するので好ましくな
い。 2)BET比表面積が1m2 /g以下であること、更に
は0.3〜1m2 /gが好ましい。1m2 /gを越える
ものであると、吸油量が大となり樹脂と混練した時に高
粘度化してしまい成形性が損なわれ、充填量を上げられ
ないなどの問題を生じる。また、水分等が吸着され易く
なりフィラ−としての安定性が低下したり、歯磨き剤に
於いては添加成分が吸着され易くなり、添加成分による
所望の効果が低下してしまう。更に、シランカップリン
グ剤などにより表面処理を施す場合には処理剤の必要量
が多くなってしまう問題もある。
【0007】3)凝集度指標である二次粒子の平均粒径
(D2 )と一次粒子の平均粒径(D1 )との比(D2
1 )が1.6以下であり、更に好ましくは1〜1.2
であることが必要であって、1.6を越えると樹脂への
分散性が悪化し、成形加工性が低下するので好ましくな
い。なお、ここで二次粒子の平均粒径(D2 )は重量基
準による直径中央値であり、粒度分布は44μm以上を
乾式ふるいにより、44μm通過分はMicro-meritics社
製セディグラフ5000ETを用いて求めたものであ
る。セディグラフ測定は試料濃度:約10%、分散液:
ヘキサメタリン酸ソ−ダ5×10-4モル/l,超音波分
散前処理:15分にて行った。また、一次粒子の平均粒
径(D1 )は、「工業材料」誌、第38巻第12号第1
14頁に示されるようにして、SEM写真より二次粒子
を構成している一次粒子を二次元的に透明シ−トにトレ
−スし、日本アビオニクス社製画像解析装置ExceI - II
A TVIP-4100 により求めたものである。更に、BET比
表面積は、N2 ガス吸着法により測定した。 4)更に、好ましくは、純度が99%以上であり、ソ−
ダ分がNa2 Oとして0.1重量%以下であると、フィ
ラ−材として適用するに際して難燃性・電気絶縁性・樹
脂との密着性等を維持するために好ましい。また、人造
大理石等の美観を重視する製品の場合には、白さや色合
せの自由度の点からハンタ−白色度が95以上であるこ
とが好ましい。
【0008】以下に、上記特性を満足する水酸化アルミ
ニウムを析出法にて製造する方法を説明する。 1)アルミン酸ソーダ溶液の調製 バイヤ−法で得られる過飽和アルミン酸ソーダ溶液とし
ては、汎用されているボーキサイト鉱石に苛性ソーダを
作用させてアルミナ分を抽出し残渣の赤泥を分離して得
るバイヤー法により直接製造される抽出液、又はバイヤ
ー法抽出液から析出させて得た水酸化アルミニウムを再
度苛性ソーダ溶液に溶解して得られた溶解液等を含むも
のであり、これにより工業的に安価な水酸化アルミニウ
ムを得ることが出来る。
【0009】前者による場合、バイヤー法による抽出条
件は、ボーキサイト鉱石の産地やその種類によって異な
るが、例えばボーキサイトをアルミナとして10〜30
0g/lになるように70〜180g/lの苛性ソーダ
水溶液に添加して60〜150℃で30分〜10時間常
圧又はオートクレーブ加圧下で抽出する。その具体的な
抽出方法は、使用するボーキサイト鉱石の品位などによ
って最適なものとすればよく、一段処理或いは二段処理
など適宜の方法でよい。そして、ろ過機で抽出残渣であ
る赤泥を分離してアルミン酸ソーダ母液を得て、所望に
より脱けい酸処理・脱鉄処理・脱有機酸処理等を行ない
所定の純度、例えばアルミナ換算で98.0重量%以上
の純度のアルミン酸ソーダ溶液を得る。抽出時のアルミ
ン酸ソーダ溶液は、高温にあるので抽出後のろ過や精製
処理或いはその後の貯液の為のハンドリング等の途上に
於いて積極的に冷却したり放熱することによる抽出液の
冷却が生じ、その為、降温後に於いてアルミン酸ソーダ
溶液の過飽和溶液となる。この場合、過飽和度は、その
時の現実のアルミン酸ソーダ溶液中の溶解アルミナ濃度
をCとし、これと同条件に於けるアルミナの飽和濃度を
Csとするときに、C/Cs比で表わされるものであ
る。この過飽和度が余り高いとアルミン酸ソーダ溶液か
ら直接結晶核が発生し、凝集度の高い結晶が析出し易く
なるので好ましくなく、本発明では、抽出以降の全過程
において過飽和度を1.1〜1.8の範囲とする。即
ち、析出時のアルミナ濃度の変化までを勘案した抽出条
件とし、抽出後のろ過・精製処理を経て析出操作が完了
するまでの工程に於ける温度管理或いは析出割合等を適
切に管理することによって、抽出以降の全過程において
過飽和度が1.1〜1.8を維持するようにする。
【0010】一方、後者による場合には、バイヤ−法で
適宜常法によって得られた水酸化アルミニウムをアルミ
ナ濃度として10〜300g/lとなるように、又、ソ
−ダ(Na2 Oとして)濃度70〜180g/lになる
ように苛性ソ−ダ水溶液に90〜110℃で溶解して、
析出時に過飽和度が1.1〜1.8になるような溶解液
として調製される。なお、その溶解に先立ち又は溶解後
に適宜の精製処理を施すことを何ら妨げるものではな
い。この方法により、前者に較べてより高純度で白色度
の高い水酸化アルミニウムを得ることが出来る。上述に
よる水酸化アルミニウムを過飽和に溶解している抽出液
又は溶解液等に由来する過飽和アルミン酸ソーダ溶液に
おいて過飽和度が1.8を越えると、添加する種子以外
に結晶核が発生して凝集度の高い水酸化アルミニウムが
析出するようになるので好ましくなく、一方1.1未満
では、過飽和度が低く過ぎて析出速度も遅くなり生産性
も悪くなり好ましくない。
【0011】2)析出用添加種子 本発明では、式1で表されるMF値10以上の粉砕ジプ
サイトを種子として用いて、その種子面に水酸化アルミ
ニウムを析出させるものである。ここで、MF値とは、
アルコア社のG.Roach等が1988年に「Pro-ce
edings of AXAA88 Conference」誌(319〜328
頁)上で「MorphologyAnalysis of X-Ray Diffracti
on」と題して発表したモルフォロジー・ファクター(M
F値)であり、ジプサイト型水酸化アルミニウムをX線
回折測定した時の(002)面の回折強度と(110)
面及び(200)面の合計の回折強度との比で表わされ
る結晶粒子の形状係数で、前述の式1によって算出され
る値である。具体的には島津製作所社製XD−3型X線
回折装置を使用して、線源40kv×30mA、発散ス
リット幅1mm、散乱スリット幅1mm、受光スリット
幅0.3mmの条件で回折ピ−ク強度(cps)を測定
し、MF値を算出した。ここでX線回折測定されるジプ
サイト結晶の六角板面が(002)面に相当し、その六
角板面に垂直な柱の面が(200)面及び(110)面
に相当するものであって、測定されるX線回折強度が測
定試料に存在する各面の面積比に比例するものである。
そして、本発明者らは、MF値が大きいほど粉砕によっ
て露出された結晶面が成長に対して活性度の高い表面積
部となることに想到して種々検討した。その結果、アル
ミン酸ソーダ溶液の過飽和度が1.1〜1.8の範囲に
維持されている場合には、式1で表わされるMF値が1
0以上、好ましくは10〜12にある粉砕種子を用いる
と、新たな結晶核の生成を抑えて種子成長させて、球状
水酸化アルミニウム粒を得ることが可能であることを見
出した。その場合、得られる水酸化アルミニウムの性状
を前述の条件を満足するものとするためには、粉砕ジプ
サイト種子がMF値10以上を満足すると共に、その種
子の平均粒径が3〜10μmであることが必要である。
更に、この場合、2μm以下の含有量が25重量%以下
であることがより好ましく、それにより所望の性状の水
酸化アルミニウムをより製造し易くなる。このような性
状の粉砕ジプサイト種子は、例えば、別ラインのバイヤ
ー法工程で得られた30〜60μmの乾燥ジプサイト型
水酸化アルミニウムをパルベライザ−、ピンミル、ハン
マ−ミル又はジェットミル等の衝突型粉砕機で乾式粉砕
して3〜10μmに粉砕することによって提供される。
【0012】3)水酸化アルミニウムの析出処理 前述の抽出液又は溶解液から由来する過飽和度1.1〜
1.8にあるアルミン酸ソーダ溶液(Na2 O濃度とし
て70〜180g/l)を40〜85℃に保持しつつ、
MF値10以上で平均粒子径3〜10μmの粉砕ジプサ
イト種子を5g/l以上、好ましくは5〜50g/l添
加して48〜96時間撹拌しなら徐々に冷却することに
よって上述の性状を有する水酸化アルミニウムを得るこ
とが出来る。この場合、析出完了時のアルミン酸ソーダ
溶液の過飽和度も1.1〜1.8の範囲に止めるもので
あって、粉砕ジプサイト種子の添加量が5g/l未満で
あると、析出速度も低下すると共に二次結晶核が発生し
凝集粒子が発生し易くなるので好ましくなく、5〜50
g/lの範囲が安定した析出を行なう上に好適である。
このようにして得られた析出水酸化アルミニウムは、常
法通り、ろ過分離され乾燥され、ろ液のアルミン酸ソー
ダ溶液は適宜循環母液として使用される。
【0013】4)所望による後工程 このようにして得られた水酸化アルミニウム結晶は、従
来法によって得られたものより球状度が高いが、ジプサ
イト特有の鋭角部を有するため、球状度の要求が極めて
高い場合には、析出工程に続いて更に次のような球状化
工程を付加することが出来る。即ち、(a)一旦、ろ過
分離して得た水酸化アルミニウムケーキを、飽和溶解度
以下のアルミン酸ソーダ溶液中に分散させ、結晶表面の
鋭角部を部分溶解することによって球状化する方法、或
いは(b)析出スラリーをそのまま比較的弱い剪断場、
例えば遠心ポンプ、遠心分離機又はコロイドミル等を通
過させることによって結晶の鋭角部を研磨する方法、及
び(c)これらの組合せによる方法等によって、球状化
処理を施すことが出来る。
【0014】
【作用】本発明は、粉砕ジプサイト種子が有する結晶成
長速度の大きな活性面に優先的に水酸化アルミニウムが
析出する現象を利用するものであって、その場合、適度
の過飽和度のアルミン酸ソーダ溶液に一定以上のMF値
を有する粉砕種子を一定濃度以上に添加することによっ
て、凝集度が少なく粒度分布の狭い(シャ−プな)水酸
化アルミニウムを析出し得ることを利用するものであ
る。即ち、過飽和アルミン酸ソーダ溶液から直接新しい
結晶核が発生する場合には、必然的に凝集度の大きいも
のとなり易いと共に、結晶成長速度の異なる結晶の存在
により得られる粒子の粒度分布も広い範囲に亘ることが
多い。これに対して、本発明の場合、ほぼ同一結晶成長
速度の種子結晶面上に析出させるので、得られる析出粒
子も粒子分布が狭くほぼ同一粒径のものとなる。その
際、六角板状面上に結晶成長するので、元の種子とは異
なる球状粒子化が生じ、又高密度化するので高比表面積
化が抑制されることになる。これによって、フィラー材
としての汎用性に優れた水酸化アルミニウムが得られ
る。
【0015】
【実施例】以下に実施例・比較例により本発明をより具
体的に説明するが、これに限定されるものでない。 実施例1 ボーキサイト鉱石を苛性ソーダ水溶液で抽出して得たア
ルミン酸ソーダ溶液(Na2 O135g/l、Al2
3 127g/l)を80℃に保持して、過飽和度C/C
s=1.34とした。これに、平均粒径50μmのジプ
サイト粉末(日本軽金属社製商品名「B53」)をピン
ミル(マキノ産業社製マキノ式NO.1型粉砕機)で粉
砕して得られたMF値11.6の粉砕種子を10g/l
の割合で添加して、72時間保持して析出処理し、ろ過
分離した後乾燥した。得られた水酸化アルミニウムの特
性は、表1に示す通りであった。 実施例2 実施例1においてアルミン酸ソーダ溶液の保持温度のみ
を70℃に変化させることによって過飽和度を1.79
とし、それ以外は同一条件で析出、ろ過、乾燥を行っ
た。その結果を表1に示すが、析出温度の低下と共に析
出粒子の微粒化が生じ、且つ凝集度の増加が見られる。 実施例3 実施例1において粉砕種子量のみを5g/lに変化させ
て、それ以外は同一条件で析出、ろ過、乾燥を行った。
その結果を同様に表1に示すが、析出速度が遅い分だけ
粒径が大きく、凝集度を増加する傾向となっている。 実施例4 バイヤ−法で得られた水酸化アルミニウムを苛性ソーダ
水溶液に溶解して実施例1と同一濃度のアルミン酸ソー
ダ溶液を調製し、それ以降は実施例1と同一条件で析
出、ろ過、乾燥処理を行なった。その結果を同様に表1
に示すが、実施例1とほぼ同様な粒度特性が得られてお
り、粉体の白色度の向上が見られる。
【0016】比較例1 実施例1に用いたアルミン酸ソーダ過飽和溶液の保持温
度を60℃として、過飽和度を2.13として、それ以
外は実施例1と同一条件で析出・ろ過・乾燥処理を行な
った。その結果を表1に示すが、過飽和度が大きいため
微細粒子の混入が多く、凝集度も著しく高くなってい
る。 比較例2 実施例1に於いて、使用する粉砕種子を振動ボールミル
で粉砕して得たMF値6.0の種子に代えた以外は、同
一の析出・ろ過・乾燥処理を行なった。その結果を表1
に示すが、MF値が低いため結晶の凝集が進行し、平均
粒径が著るしく大きくなると共に、凝集度も極めて高い
値となっている。 比較例3 実施例1に於いて、使用する粉砕種子を湿式ビーズミル
を使用して粉砕して製造したMF値6.9の種子に代
え、その添加量も5g/lとした以外は、同一の析出・
ろ過・乾燥を行なった。その結果を表1に示すが、種子
のMF値が低いこと及び添加量が少ないことが、微細粒
子の増加と高い凝集度をもたらしている。 比較例4 従来の粉砕法の適用例として、バイヤ−法水酸化アルミ
ニウム(日本軽金属社製商品名BW53・平均粒径50
μm)を振動ボ−ルミルによって乾式粉砕して平均粒径
9.3μmのものを調製したが、その結果を表1に示
す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明による水酸化アルミニウムは、シ
ャープな粒度分布を持ち、凝集度が低く比表面積が小さ
くほぼ球状に近い粒子であるので、樹脂との混合分散や
脱泡撹拌等の処理時に微粉化して高粘度化したりする問
題を発生することなく各種フィラー材として汎用性が優
れている。また、従来用途別に生産していた時に較べて
大量生産化が可能になり低コストのものを提供可能で、
それを適用した製品の拡販が可能となった。更に、本発
明の製造方法によれば、析出段階で所望の性状の水酸化
アルミニウムが得られるので、生産工程で特殊な新たな
設備を必要としたり後工程での解砕や粉砕加工が不要で
ありこれによって生産コストの上昇を抑えらると共に、
球状に近くシャープな粒度分布を持つ水酸化アルミニウ
ムが得られるので樹脂フィラ−として適用した場合に高
充填量を達成出来、また凝集度が低いので粒子間に介在
するソ−ダ分などの不純物の混入も防止される等のメリ
ットがある。
フロントページの続き (72)発明者 石原 充 静岡県清水市三保4025番地1 日本軽金属 株式会社清水工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 析出法で得られた水酸化アルミニウムで
    あって、 1)二次粒子の平均粒径(重量基準)が6〜16μmで
    あり、30μm以上の粒子含有量が10重量%以下で、
    且つ4μm以下の含有量が20重量%以下であると共
    に、 2)BET比表面積が、1m2 /g以下であり、且つ、
    凝集度指標である二次粒子の平均粒径と一次粒子の平均
    粒径との比が1.6以下であることを特徴とする凝集粒
    子の含有量が少なく粒子分布の狭い水酸化アルミニウ
    ム。
  2. 【請求項2】 バイヤ−法で得られた過飽和アルミン酸
    ソーダ水溶液の過飽和度を1.1〜1.8に維持しつ
    つ、下記の式で表わされるMF値が10以上で且つ平均
    粒子径3〜10μmである粉砕ジプサイト種子を5g/
    l以上添加して、その種子成長によって水酸化アルミニ
    ウムの析出を図ることを特徴とする凝集粒子の含有量が
    少なく粒子分布の狭い水酸化アルミニウムの製造方法。 【数1】
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Cited By (8)

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