JPH0557348B2

JPH0557348B2 -

Info

Publication number: JPH0557348B2
Application number: JP60002193A
Authority: JP
Inventors: Yasuto Nakai
Original assignee: Furukawa Aluminum Co Ltd
Current assignee: Furukawa Aluminum Co Ltd
Priority date: 1985-01-11
Filing date: 1985-01-11
Publication date: 1993-08-23
Also published as: JPH0639651B2; JPH0649575A; JPS61163233A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は、特に被削性（切削屑処理性、切削仕
上面の良好さ）、熱間押出加工性等に優れた溶体
化処理及び焼入れの不要な非熱処理型快削アルミ
ニウム合金材の製造方法に関するものである。な
お本明細書においてAl合金材の組成％は、重量
％を意味するものとする。（従来の技術）従来は、切削用アルミニウム合金として、Al
−Cu系の2011合金等及びAl−Mg−Si系の6262合
金等のいわゆる熱処理型アルミニウム合金が使わ
れている。しかし、熱処理型アルミニウム合金は
高い温度での溶体化処理とその後の焼入れ工程を
必要とする。これらのアルミニウム合金は、いわゆる熱処理
を施さないと所定の性能即ち切削性、強度の向上
をはかることができない。ところでこれらの熱処理型Al合金は溶体化処
理、焼入れにより、材料内部に不均一な応力が発
生し、その後の切削加工時に十分な寸法精度が得
にくい欠点があつた。特に、素棒を精密機械部品に冷間鍛造後、溶体
化処理、焼入れする場合は、残留応力が大きくそ
の応力除去が困難で切削後の寸法精度が得にくい
欠点があつた。一方、このような溶体化処理とその後の焼入れ
工程を必要としない、いわゆる非熱処理型の切削
アルミニウム合金として従来からJIS5056合金が
あり、更にこの合金の被削性を向上させたものに
特開昭53−57111号に開示されている如く、所定
量のSi，Cu，Sn，Pb及びCrをAl−Mg系合金に
含有させたものがある。しかし従来の非熱処理型快削アルミニウム合
金、例えば前述の特開昭53−57111号記載のもの
は、JIS5056合金に比べ耐食性、加熱による陽極
酸化皮膜の耐剥離性などの性能を損なうことなく
被削性が改良され、一応諸性能のバランスがとれ
てはいるものの、本来の被削性の面で、なお十分
とはいえず最近の高くなつてきている要求水準を
満足するのが困難となつてきている。又従来の
JIS5056合金、前記改良合金は元来Al−Mgベー
ス合金であるため熱間押出性が悪く、押出加工性
の点でも問題があつた。従つて本発明の目的の第１は、強度、押出加工
性、冷間鍛造性、耐食性を従来合金と同等に維持
し、更に被削性を改善した新規な非熱処理型快削
アルミニウム合金材の製造方法を提供することに
ある。更に本発明の目的の第２は、被削性ととも
に熱間押出加工性を改善した非熱処理型快削アル
ミニウム合金材の製造方法を提供することにあ
る。（問題点を解決するための手段）本発明者は上記目的を達成するため鋭意研究を
重ねた結果Al−Mg系合金に所定量のSi，Cu，
Zr，Fe及びPb，SnもしくはPb，Bi，Snを含有
させたAl合金鋳塊を均質化処理、続いて熱間押
出後、加工率20％以下で冷間加工（抽伸）する製
造方法を採用することにより、前述の第１の目的
を満足する非熱処理型快削アルミニウム合金材が
得られることを見出した。又上記Al合金に、更
にZnを0.1〜2.0％含有させたAl合金とすることに
より、被削性を損なうことなく熱間押出性を大幅
に改善できることを見出し、前記第２の目的も達
成することがわかつた。本発明は、これらの知見
に基づきなされるに至つたものである。すなわち、本発明の第１発明はSi0.3〜1.0％、
Fe0.1〜1.0％、Cu0.1〜0.5％、Mg2〜５％、
Zr0.05〜0.2％及びPb，Snを合計で0.5〜2.5％又
はPb，Bi，Snを合計で0.5〜2.5％含有し、残部
Alと不可避の不純物よりなるアルミニウム合金
鋳塊を均質化処理、続いて熱間押出加工を行つた
後、20％以下の冷間加工を行う非熱処理型快削ア
ルミニウム合金材の製造方法であり、第２発明はSi0.3〜1.0％、Fe0.1〜1.0％、Cu0.1
〜0.5％、Mg2〜５％、Zr0.05〜0.2％、Pb，Snを
合計で0.5〜2.5％又はPb、Bi、Snを合計で0.5〜
2.5％含有し、更にZn0.1〜2.0％を含有し、残部
Alと不可避の不純物よりなるアルミニウム合金
鋳塊を均質化処理、続いて熱間押出加工を行つた
後、20％以下の冷間加工を行う非熱処理型快削ア
ルミニウム合金材の製造方法である。次に本発明に係るアルミニウム合金の各成分の
作用と限定理由について以下に説明する。 Mg2〜５％は合金に所定の強度を与えるのに
必要であり、主硬化元素成分である。Mgが５％
をこえると押出性が悪くなる。又２％未満では強
度が不足する。 Cu0.1〜0.5％は被削性の向上に作用する。この
ようなCuの添加は、切削屑を細かくするばかり
でなく、切削仕上面をも滑らかにする効果がある
が、0.5％をこえると耐食性を劣化させる。0.1％
未満では上記の効果が不足する。 Si0.3〜1.0％は被削性を大幅に改善する効果が
ある。Siが1.0％をこえいると切削屑は更に細か
くなるものの切削仕上面が粗くなる。0.3％未満
では上記の効果が不足する。 Zr0.05〜0.2％は結晶粒の微細化、強度改善及
び耐応力腐食割れ性改善の作用がある。Zrが0.2
％をこえると、粗大な晶出物を形成しやすく被削
性を劣化させる。0.05％未満では前述の効果が不
足する。 Pb、Snの合計含有量又はPb，Bi，Snの合計含
有量0.5〜2.5％は、被削性を改善する効果があ
り、いずれも下限値未満ではその改善効果が不足
し、上限値をこえると粗大な化合物を作り、熱間
押出加工性、表面処理性及び耐食性を劣化させ
る。 Fe0.1〜1.0％は結晶粒の微細化及び被削性の改
善効果があるが、1.0％をこえるとその効果が飽
和し、0.1％未満ではその効果が不足する。又第２発明におけるZn0.1〜2.0％は被削性、強
度を劣化させることなく熱間押出性を大幅に改善
する。しかし2.0％をこえると耐食性劣化させる。
又0.1％未満ではその効果がない。なお本発明において不可避の不純物とは、
Mn、Zn（但し、第２発明の場合）、Ｖ、Ni、Ti
等を言い、Al地金に当初から含有されている微
量の成分をいう。又Ti、又はTiBは鋳塊組織の
微細化剤として、0.05％以下添加することが好ま
しい。本発明のアルミニウム合金材の製造方法は、ま
ず各成分を含有する鋳塊を作り、このようにして
得られたアルミニウム合金鋳塊を、400〜550℃で
１〜24時間均質化処理した後、390〜530℃で熱間
押出加工を行い管、棒材として、次いでこれを冷
間加工（主として抽伸）して目的の切削用アルミ
ニウム合金管、棒材とする。冷間加工を行う場合、冷間加工率は20％以下に
することが重要である。冷間加工率が20％をこえ
ると被削性が大幅に劣化するからである。（発明の効果）本願第１発明法によつて得られるAl合金材は、
被削性が優れると共に、強度、冷間鍛造性及び耐
食性が優れ、これらの性能のバランスが良いとい
う優れた効果を有する。又本願第２発明法である
Znを含有した合金を使用する場合は、前記効果
のほかに熱間押出加工性を大幅に改善する効果を
有する。更に本発明法によつて得られるAl合金材は非
熱処理型であるので、溶体化処理とその後の焼入
れ工程を省略できることによるコストダウンと、
この工程省略により、低残留応力化が達成でき、
この管、棒材の切削加工時の寸法精度の大幅な向
上を図ることができる。（実施例）次に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明す
る。実施例第１表に示す種々の組成の合金鋳塊を調製し
た。この９インチφの棒状鋳塊を500℃で４時間
均質化処理した後、430℃に加熱して熱間押出加
工を行つた。押出材の形状は全て丸棒とし、第１
表に示す所定の冷間加工率にて抽伸加工したもの
の外径が全て40mmφになるよう、押出材の外径を
変化させた。上記工程における本材の押出加工性及び抽伸加
工材の被削性、冷間鍛造性、耐食性などを下記の
試験方法によつて試験した。その結果を第２表に
示す。〔試験方法〕 (1) 被削性切削試験条件切削工具：JIS33−３型切削速度：250ｍ／min 送り：0.1mm／rev 切込み量：１mm 潤滑油：使用せずａ切削屑処理性切削屑100個当りの重量（ｇ／100個）を測定
し、次の基準で判定する。 ◎……50未満 ○……50以上100未満 △……100以上150未満 ×……150以上ｂ切削仕上面切削仕上面の最大粗さRmax（μm）を測定し、
次の基準で判定する。 ◎……５未満 ○……５以上10未満 △……10以上20未満 ×……20以上 (2) 押出加工性押出時の変形応力（Kg／cm²）を測定し、次の基
準で判定する。 ◎……550未満 ○……550以上750未満 △……750以上 (3) 冷間鍛造性常温にて据込鍛造を行い割れが発生する限界据
込比（％）を測定し、次の基準で判定する。 ◎……40以上 ○……30以上40未満 △……20以上30未満 ×……20未満 (4) 耐食性 10μmの硫酸による陽極酸化皮膜を形成させた
試験材をJISZ2371に基づき100時間塩水噴霧試験
を行い、発生した単位面積当りのピツト数（個／
cm²）を測定し、次の基準で判定する。 ◎……０〜１ ○……２〜３ △……４〜５ ×……６以上

【表】

【表】上記第２表の結果より、比較法試験No.８，９は
被削性が、又比較法試験No.10は耐食性が良くない
ことがわかる。更に比較法試験No.11は被削性特に
切削屑処理性が劣る。更に比較法試験No.12は、被
削性が○印で本発明の如く非常に良好（◎）とは
言えない。これに対し、本発明法試験No.１〜５
は、特に被削性が非常に良好（◎）である。又本
発明法試験No.６，７（合金にZnを添加したもの）
は、従来法試験No.11，12に比較し他の特性を損な
うことなく押出加工性が非常に改善されているこ
とがわかる。表には示さないが、本発明法による
材料について耐応力腐食割れ性及び陽極酸化皮膜
の熱による耐剥離性についても試験したが、結果
は非常に良好であつた。なお、比較法試験No.13，
14は、合金Ｂ，Ｆについて押出後の冷間加工率を
各々27％、47％で抽伸加工を行つたもので、加工
率が20％をこえるため、被削性が悪い。所定の合
金成分の範囲内で、押出後、20％以下の冷間加工
率を施したもの（試験No.１〜７）は、いずれの特
性も優れていることがわかる。

Claims

【特許請求の範囲】１ Si0.3〜1.0％（wt％以下同じ）、Fe0.1〜1.0
％、Cu0.1〜0.5％、Mg2〜５％、Zr0.05〜0.2％及
びPb，Snを合計で0.5〜2.5％又はPb，Bi，Snを
合計で0.5〜2.5％含有し、残部Alと不可避の不純
物よりなるアルミニウム合金鋳塊を均質化処理、
続いて熱間押出加工を行つた後、20％以下の冷間
加工を行うことを特徴とする非熱処理型快削アル
ミニウム合金材の製造方法。２ Si0.3〜1.0％（wt％以下同じ）、Fe0.1〜1.0
％、Cu0.1〜0.5％、Mg2〜５％、Zr0.05〜0.2％及
びPb，Snを合計で0.5〜2.5％又はPb，Bi，Snを
合計で0.5〜2.5％含有し、更にZn0.1〜2.0％を含
有し、残部Alと不可避の不純物よりなるアルミ
ニウム合金鋳塊を均質化処理、続いて熱間押出加
工を行つた後、20％以下の冷間加工を行うことを
特徴とする非熱処理型快削アルミニウム合金材の
製造方法。