JPH0556793B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、乾式消火設備と湿式消火設備を有
するコークス炉において、コークス窯出し作業中
に乾式消火設備のプレチヤンバーの在庫が上限に
達した場合の乾式消火車（以下バケツト車とい
う）の運転から湿式消火車（以下消火車という）
の運転に自動切り換えする自動運転制御方法に関
する。

従来技術とその問題点 従来、コークス炉において乾留終了後の赤熱コ
ークスは、炭化室から押出機により押し出されて
消火車に積載され、消火塔において散水消火され
ていた。

しかし、近年赤熱コークスの保有する顕熱回
収、散水消火時の粉塵飛散防止を主目的として、
窒素ガス等の不活性ガスにより赤熱コークスを消
火する乾式消火設備が多く採用されている。

この乾式消火設備は、プレチヤンバー上部より
赤熱コークスを投入し、冷却塔下部から吹込まれ
る不活性ガスと熱交換させて冷却し、冷却された
コークスは下部から順次切り出し、赤熱コークス
との熱交換により高温となつた不活性ガスは、ボ
イラー等の熱交換器に導入して熱回収し、冷却さ
れた不活性ガスは除塵機に導いて除塵したのち、
ブロワにより冷却塔下部に循環される。

上記乾式消火設備のプレチヤンバーの在庫量測
定は、プレチヤンバーの上下部に設けたγ線利用
のレベル計により在庫の上限と下限が測定され、
上限（ただし余分に１窯分の投入が可能）と下限
の間の在庫量は、投入量と冷却塔からの切り出し
量に基づいて計算している。しかしながら、赤熱
コークスの投入量や冷却塔からの冷コークス切り
出し量は、１窯あるいは１回の切り出しで何トン
という程度の概略的な計算であり、突如としてプ
レチヤンバーの在庫量が上限レベルに到達するこ
とがある。このような場合には、コークス炉の窯
出しを一時中断するか、あるいは湿式消火に切り
換えて窯出しを続行するかの何れかである。

一方、コークス工場においては、自動化による
省力を目的として作業機械の自動制御が導入され
ており、前記乾式消火設備のバケツト車も自動化
されている場合が多い。

しかしながら、乾式消火設備が設けられている
コークス工場においては、バケツト車を自動化し
ていても、湿式消火車を自動化している例はほと
んどない。これは湿式消火車を使用するのは、コ
ークス乾式消火設備のボイラーの定期官庁検査時
等極めて短期間に限定されるためである。

自動制御されるバケツト車と作業員の運転する
湿式消火車の双方を同時に運転することは、危険
であり、特にコークバケツト巻き上げ方式が直吊
り方式（バケツト車から直接巻き上げ機でコーク
バケツトを上げ下げする方式）の場合、湿式消火
車が巻き上げ機の直下を通過することになり、万
一の事故を回避する必要がある。

したがつて、バケツト車と湿式消火車の双方を
自動制御する場合において、乾式消火設備のプレ
チヤンバーの在庫上限により湿式消火に切り換え
時、バケツト車の自動運転を停止した時点で直ち
に湿式消火車に自動運転指令を発信しても、湿式
消火車のブレーキあるいは貨車傾転用に使用する
圧空の圧力が所定圧力に上昇していなければ、運
転することはできず、窯出し遅れの原因となる。

発明が解決しようとする問題点 この発明は、前記乾式消火設備の切り出し渋滞
等によりプレチヤンバーの在庫が上限に達し、湿
式消火に切り換える場合、あるいはプレチヤンバ
ーの在庫量と切り出し量との関係から判断して、
湿式消火から乾式消火に切り換える場合の窯出し
遅れを回避できるバケツト車と消火車の自動運転
制御方法を提供するものである。

問題点を解決するための手段 本発明者等は、前記乾式消火設備のバケツト車
と湿式消火設備の消火車の双方を自動制御するに
ついて種々検討の結果、乾式消火設備のプレチヤ
ンバーの在庫上限により湿式消火車の車上制御装
置に運転準備指令を発信し、又、プレチヤンバー
の在庫量が上限を切つた信号によりバケツト車の
車上制御装置に運転準備指令を発信することによ
り、前記窯出し遅れを生ずることなく、バケツト
車と消火車の切り換え制御できることを究明し、
この発明を完成させた。

すなわちこの発明は、コークス乾式消火設備の
プレチヤンバーに設けたレベル計からのプレチヤ
ンバー在庫上限信号を中央制御装置に入力し、該
信号に基づいて消火車の制御装置に運転準備指令
を発信し、プレチヤンバーへさらに１窯投入信号
により消火車制御装置へ自動運転開始信号を発信
し、かつ、プレチヤンバーの在庫と冷却塔からの
切り出し速度に基づいて消火車からバケツト車へ
の切り換え可能の可否を判断し、可能時のみバケ
ツト車制御装置へ自動運転開始信号を発信するこ
とを要旨とする。

作 用 乾式消火設備のプレチヤンバーの在庫を検出
し、在庫が上限に達した際、消火車の運転制御装
置に運転準備指令を発し、プレチヤンバーにさら
に１窯分の赤熱コークスが投入されたとき、消火
車の運転開始を指令して運転を切り換え、又プレ
チヤンバーの在庫が在庫上限より下降したときバ
ケツト車の車上制御装置に運転準備を指令し、消
火車からバケツト車へ運転を切り換えることによ
り、窯出し遅れによるむだな待ち時間を省いて効
率よくコークス炉の窯出し作業を行なうことがで
きる。

実施例 この発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

この発明を実施するには、乾式消火設備と湿式
消火設備を有するコークス炉団においてバケツト
車と消火車はいずれも自動制御運転できるように
構成される。今、その一例について説明する。

第１図、第２図において、Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはコ
ークス炉団であり、１は乾式消火設備、２−１は
第１消火塔、２−２は第２消火塔、３はバケツト
車、４−１は第１消火車、４−２は第２消火車、
５は消火車及びバケツト車の走行レール、５−１
は側線、６はコークガイド車、７−１，７−２は
コークワーフ、８は押出機、８−１は押出機の走
行レール、１０はコークス炉、１１は装炭車、１
２は石炭塔である。

上記コークス炉団における通常の操業パターン
は乾式消火設備の稼動により１台のバケツト車を
運転して行われるが、乾式消火設備のプレチヤン
バーの在庫が上限に達したときは、乾式消火設備
と湿式消火設備を併用して操業する。

そして、操業に伴う押出機８とバケツト車３、
消火車４−１，４−２の運転は、データ伝送を併
せ行ない得る撚り合せ対型誘導無線ケーブル（以
下IRケーブルという）９−１，９−２をそれぞ
れ走行レール８−１と走行レール５に並設した非
接触による絶対番地位置検出装置を用いて自動制
御する。その運転自動制御機構の概要を第２図に
示す。

制御機構は、地上局１３を中心に消火車及びバ
ケツト車の車上局１４（以下消火車車上局１４と
いう）と押出機車上局１５からなる分散システム
で構成し、車上局１４及び押出機車上局１５と地
上局１３とはIRケーブル通信で結合され、又乾
式消火設備１とはシーケンサーを有する中央操作
室１６を介して結合される。

上記制御機構における地上局１３は消火車車上
局１４を介して乾式消火設備及び湿式消火設備と
の間に窯出しスケジユール、バケツト車と消火車
の位置検知、各種インターロツク情報、その地各
種情報の授受が行われ、逆に消火設備から地上局
に対しては冷却塔プレチヤンバー在庫及び上限レ
ベル、切出し量情報、その他各種情報が授受され
る。又、地上局１３と押出機車上局１５との間に
は、押出機の位置検出、押出しインターロツク情
報、集塵機運転指令及び作業指令が授受される。

バケツト車３のブロツク作業／１窯における基
本作業パターンは第３図に示す。

すなわち、消火車車上局１４と地上局１３との
間では、 ａ 窯出しスケジユールに従いバケツト車に目的
地走行指令、 ｂ バケツト車から正常停止通知、 ｃ 押出機から地上局に押出し開始通知、インタ
ーロツク確認、冷却塔受骸可通知、 ｄ 押出機から地上局に押出し完了通知、 ｅ バケツト車に乾式消火設備への走行指令、 ｆ バケツト車から正常位置停止通知、 ｇ 空バケツト受完了通知、 ｈ バケツト車へ移動走行指令、 ｉ バケツト車から正常位置停止通知、 ｊ バケツト渡し完了通知、 ｋ バケツト車に次窯への走行指令（窯出し継
続）、または休止位置への走行指令（窯出し終
了）、 の授受が行われ、走行制御は車上局により行われ
る。

又、消火車４−１，４−２のブロツク作業／１
窯における基本作業パターンは第４図に示す。

すなわち、消火車車上局１４と地上局１３の間
では、 ａ 窯出しスケジユールに従い消火車に目的地走
行を指令、 ｂ 消火車から正常停止通知、 ｃ 押出機から押出し開始通知、インターロツク
確認、 ｄ 消火車から受骸終了通知、 ｅ 消火車に消火塔への走行指令、 ｆ 消火塔に散水指令、 ｇ 消火車から散水水切完了指令、 ｈ 消火車にワーフヘの走行指令、 ｉ 消火車から正常停止通知、 ｊ 消火車にワーフ払い出し指令、 ｋ 消火車から傾転終了通知、 の信号の授受が行われ、走行制御は車上局により
行われる。

そして、乾式冷却装置１は第５図に示すよう
に、冷却塔１−１の上部開口から赤熱コークスを
プレチヤンバー１−４内に供給し、下部排出口か
ら冷却したコークスを切出し装置１−２へ排出す
るように設け、塔上部に設けた小煙道１−３と塔
下部に設けたガス室との間に配管して不活性ガス
（窒素ガス等）の循環路２０を形成し、その途中
に排熱ボイラ１７と循環ブロワ１８が設けられて
いる。又、赤熱コークスを入れたバケツト３−１
は巻上げ機３−２により吊上げて冷却塔１−１の
上部開口に移動して赤熱コークスをプレチヤンバ
ー内に装入するように構成されている。

上記冷却塔１−１の塔内上部のプレチヤンバー
１−４にば在庫上限センサー１９を設ける。この
在庫上限センサー１９は、上限位置に達したのち
更に１バケツト分の赤熱コークスを装入してもコ
ークス溢れを起さないレベルに設定する。

そして、在庫の上限レベルは乾式消火設備制御
用シーケンサーで監視されており、その情報は常
時地上局１３で検知するように構成されている。

今、乾式消火設備を使つて操業している際の湿
式消火設備への切り換えを第６図について説明す
る。在庫上限センサー１９で検出された上限レベ
ル情報に基づいて地上局１３から消火車車上局１
４に運転準備指令を発信し、これを受信した消火
車車上局１４は消火車のコンプレツサーを始動す
る。そして、上限レベルに達したのち、更に１バ
ケツト分の赤熱コークスが投入されてシーケンサ
ーより地上局１３に消火車切り換え要求を受けた
のち、バケツト車の自動運転スケジユールは停止
する。そののち、バケツト車から消火車への作業
組合せ変更を行い、かつ地上局１３から消火車車
上局１４へ自動運転再開指示を与え、消火車の自
動運転を開始する。

又、冷却塔１−１の在庫、切出し速度を地上局
１３で計算し、冷却塔へのコークス投入で窯出し
スケジユールが継続できると判断できたとき、第
７図に示すように「消火車からバケツト車への切
り換え」の信号を発し消火車の全自動運転スケジ
ユールを停止する。そして、その後は前記バケツ
ト車から消火車への切り換えと同じ操作を経てバ
ケツト車の自動運転を開始する。

以上の切り換え自動操作により、冷却塔はコー
クス溢れを生じることなく、安全操業を継続して
行うことができる。

発明の効果 この発明は、乾式消火設備を主とし、湿式消火
設備を従として設置したコークス工場において、
バケツト車と消火車を共に窯出しスケジユールに
基づいて自動運転すると同時に両者間の切り換え
運転を自動化し、かつ乾式消火設備のプレチヤン
バーの在庫を検出し、在庫が上限に達した際湿式
消火への切り換え準備を指令することにより、切
り換え時の窯出し遅れを回避でき、又自動制御運
転により安全操業を確保できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を実施したコークス工場の概
略図、第２図は同上における押出機及びバケツト
車、消火車の運転自動制御機構を示す説明図、第
３図はバケツト車の基本作業パターンを示すブロ
ツク図、第４図は消火車の基本作業パターンを示
すブロツク図、第５図はこの発明の実施による乾
式消火設備の概略を示す説明図、第６図はこの発
明の実施によりバケツト車から消火車へ運転を切
り換える際のフローシート、第７図は同じく消火
車からバケツト車へ運転を切り換える際のフロー
シートである。 １……乾式消火設備、１−１……冷却塔、１−
２……切出し装置、１−３……小煙道、１−４…
…プレチヤンバー、２−１……第１消火塔、２−
２……第２消火塔、３……バケツト車、３−１…
…バケツト、３−２……巻上げ機、４−１……第
１消火車、４−２……第２消火車、５……走行レ
ール、５−１……側線、６……コークガイド車、
７−１……第１コークワーフ、７−２……第２コ
ークワーフ、８……押出機、８−１……走行レー
ル、９−１，９−２……IRケーブル、１０……
コークス炉路、１１……装炭車、１２……石炭
塔、１３……地上局、１４……消火車車上局（バ
ケツト車車上局も同じ）、１５……押出機車上局、
１６……中央操作室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ コークス乾式消火設備と湿式消火設備を有す
   るコークス炉において、乾式消火設備のプレチヤ
   ンバーに設けたレベル計からのプレチヤンバー在
   庫上限信号を中央制御装置に入力し、該信号に基
   づいて湿式車の車上制御装置に運転準備指令を発
   信し、プレチヤンバーへさらに１窯投入信号によ
   り湿式消火車の車上制御装置へ自動運転開始信号
   を発信し、かつプレチヤンバーの在庫と冷却塔か
   らの切り出し速度に基づいて湿式消火車から乾式
   消火車への切り換え可能の可否を判断し、可能時
   のみ乾式消火車の車上制御装置へ自動運転開始信
   号を発信することを特徴とする乾式消火車と湿式
   消火車の自動運転制御方法。