JPH055662B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は平坦部と曲面部もしくは凹凸部とを有
する金属製室内建具の上記平坦部と曲面部もしく
は凹凸部とを同時にしかも均一にオフセツト印刷
を施す印刷方法に関する。

一般に、オフセツトグラビア印刷機は版ロー
ル、転写ロール、レジユーサーロール、被印刷物
搬送コンベアー等から構成されており、このオフ
セツトグラビア印刷機を用いて印刷する場合に
は、まず版ロールに印刷インキを供給し、この版
ロールの印刷模様を転写ロールに転写し、この転
写ロールを搬送コンベアーにより搬送されてきた
被印刷物に圧接し、転写ロールの印刷模様（所定
の文字や図柄等を表示する印刷インキ）を被印刷
物表面に転写することにより印刷を行うものであ
る。この際、転写ロールに付着した印刷インキ
は、転写ロールが１回転する毎に、この転写ロー
ルに圧接されレジユーサー（シンナー）液が供給
されるレジユーサーロールにより洗浄除去され、
清浄面が得られるもので、このようにして洗浄さ
れた転写ロールは再度版ロールから新たに印刷模
様が転写され、新旧の印刷模様が二重に転写され
ることのない機構になつているものである。

しかしながら、従来のこの種のオフセツトグラ
ビア印刷法においては、表面が曲面部もしくは凹
凸部を有するアルミニウム等の金属製室内建具
（被印刷物）を印刷する場合、転写ロールをこれ
ら曲面部もしくは凹凸部に圧接しても転写ロール
表面が曲面部もしくは凹凸部形状に追随して変形
し得ない場合があり、このため曲面部や凹凸部に
対し良好な印刷を施し得ない場合があつた。例え
ば、第１図に示すように、被印刷物ａの凹部ｂに
対して印刷を行うため、転写ロールｃを被印刷物
ａに圧着しても転写ロールｃが凹部ｂの形状通り
に変形せず、凹部ｂに転写ロール未接触部ｄが生
じてこの未接触部ｄが印刷されずに残つたり、不
鮮明な印刷となることがあつた。本発明者らの検
討によると、このような未印刷部或いは不鮮明な
印刷部が生じる原因は、転写ロールの物性、例え
ば軟質度、弾性及び復元度等が関係し、特に冬季
のように外気温が下がり、転写ロールの表面温度
が低下してくると転写ロールの軟質度、弾性及び
復元度が低下し、更に外気温により冷却された被
印刷物（金属製室内建具）が転写ロールの弾性等
に影響を与え、１〜２mm以下の凹部にさえ印刷が
困難になるものであり、このように印刷されるべ
き面が凹凸面を有する異形の被印刷物に対して転
写ロールで印刷する場合、転写ロールの材質と物
性が重要な因子となることを知見したものであ
る。

本発明者らは、上記事情に鑑み、印刷すべき表
面が平坦部と曲面部もしくは凹凸部とを有する金
属製室内建具に対し、平坦部と曲面部もしくは凹
凸部とを同時に均一にしかも鮮明に印刷する方法
について鋭意研究を進めた結果、転写ロールの表
面温度をレジユーサーロールに供給するレジユー
サー液を用いて一定の範囲内に保持することによ
り上記目的を達成したものである。

即ち、本発明は、被印刷物表面に転写ロールを
圧接し、このロールから被印刷物表面に所望の文
字、図柄等を表示する印刷インキを転写して、被
印刷物に印刷を施す方法において、前記転写ロー
ルの少なくとも表面層をシヨアー硬度５〜50度に
形成し、この転写ロールにレジユーサーロールを
圧接し、このレジユーサーロールに15〜50℃に加
熱もしくは冷却したレジユーサー液を供給して前
記転写ロールに付着した印刷インキをレジユーサ
ーロールにより洗浄することにより上記転写ロー
ルの表面温度を15〜50℃の範囲の一定温度に維持
すると共に、この転写ロールを平坦部と曲面部も
しくは凹凸部表面を有する金属製室内建具の表面
に圧接追随させ、前記転写ロールから前記金属製
室内建具表面に所望の文字、図柄等を表示する印
刷インキを転写して、金属製室内建具にオフセツ
ト印刷を施すもので、これによつて印刷すべき表
面が平坦でなくとも確実に転写ロールをその印刷
すべき表面形状に追随して変形させ、これによつ
て曲面部もしくは凹凸部を有する被印刷面に確実
に良好な印刷を施すことを可能としたものであ
る。

〔実施例〕

以下、本発明につき第２図以下の図面を参照し
て更に詳しく説明する。

本発明の印刷法は、上述した通り、転写ロール
の少なくとも表面層をシヨアー硬度５〜50度に形
成し、この転写ロールにレジユーサーロールを圧
接し、このレジユーサーロールに15〜50℃に加熱
もしくは冷却したレジユーサー液を供給して前記
転写ロールに付着した印刷インキをレジユーサー
ロールにより洗浄することにより上記転写ロール
の表面温度を15〜50℃の範囲の一定温度に維持す
ると共に、この転写ロールを平坦部と曲面部もし
くは凹凸部表面を有する金属製室内建具の表面に
圧接追随させ、前記転写ロールから前記金属製室
内建具表面の所望の文字、図柄等を表示する印刷
インキを転写して、金属製室内建具にオフセツト
印刷を施すことを特徴とするものである。

即ち、第２図は上記間接加熱方式を採用したオ
フセツトグラビア印刷機の一例を示すもので、図
中１は版ロール、２は版ロールドクターであり、
インキタンク３中のインキ５がインキ循環ポンプ
４により版ロール１に供給され、版ロールドクタ
ー２により余分なインキがかき取られ、版ロール
１に所望の文字や図柄等を表示すべきインキが保
持される。６は前記版ロール１に圧接された転写
ロールであり、版ロール１からこの転写ロール６
にインキが転写されると共に、この転写ロール６
とこれと所定間隔を存して配置された押圧ロール
７との間に被印刷物８が送られることにより、こ
の被印刷物（金属製室内建具）８表面に前記転写
ロール６から所望の文字や図柄等を表示するイン
キが転写され、被印刷物８表面が印刷されるもの
である。なお、９は転写ロールドクターである。
また、１０は転写ロール６と圧接状態に配置され
たレジユーサーロールであり、このレジユーサー
ロール１０にはレジユーサータンク１１内のレジ
ユーサー液が循環ポンプ１２により供給され、こ
のレジユーサー液が供給されたレジユーサーロー
ル１０に転写ロール６が互いに同方向に回転して
いる状態で圧接されることにより、転写ロール６
が洗浄、清浄化されるものである。

そして、このようなオフセツトグラビア印刷機
において、上記レジユーサー液の循環経路中に温
度調節機能を付加した加熱冷却装置１３が配設さ
れ、レジユーサー液を適宜な温度に加熱又は冷却
し、このように所定温度範囲に維持したレジユー
サー液をレジユーサーロール１０に供給すること
によりレジユーサーロール１０を所定温度に加熱
もしくは冷却し、このロール１０を介して転写ロ
ール６を間接的に所定温度に加熱もしくは冷却す
るものである。なお、レジユーサー液の温度調節
は転写ロール６の表面温度からの信号Ｓによつて
制御される。

ここで、転写ロールの表面温度は、15〜50℃、
特に20〜35℃の範囲とするもので、この温度範囲
の一定温度に転写ロール表面温度を維持すること
により、印刷すべき面が曲面部もしくは凹凸部を
有する被印刷物をも良好に印刷することができ
る。この場合、印刷すべき面に比較的深い凹部が
あるときは転写ロールの表面温度は30〜35℃とす
ることがより好ましい。

本発明印刷法は、印刷が施される表面が平坦部
と曲面部もしくは凹凸部とを有する障子の組子、
付子等の金属製室内建具の印刷に採用されるもの
であり、このように印刷されるべき表面が平坦部
と曲面部もしくは凹凸部とを有する被印刷物に対
して転写ロールで印刷する場合、上述したように
転写ロールを所定温度範囲に維持すると共に、転
写ロールのライニングの材質及びその物性を選定
することが印刷を均一にしかも鮮明に行うために
重要な因子である。

この場合、転写ロールの材質としては、ポリウ
レタン樹脂、SBR、BR、IR、CR、IIR、NBR
等の合成ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等を挙
げることができるが、特にその表面層をポリウレ
タン樹脂で形成することが最も好適である。また
この場合、転写ロールの表面硬度は、シヨアー硬
度で５〜50度、特に10〜20度とする。シヨアー硬
度が50度より大きくなると被印刷物の曲面部もし
くは凹凸部への印刷が不完全になる場合がある。
従つて、本発明を実施するに当つて、転写ロール
の少なくとも表面層の材質としてシヨアー硬度が
10〜20度のもの、特にポリウレタン樹脂を用いる
と共に、この転写ロールを上述したようにレジユ
ーサー液により15〜50℃の温度範囲に加熱もしく
は冷却して転写ロールの表面温度を一定の温度に
維持し、転写ロールの物性、例えば軟質度、弾
性、復元度を所望のものに制御するのが好適であ
る。

本発明の印刷法によれば、転写ロールの表面硬
度をシヨアー硬度５〜50度にすると共に、レジユ
ーサー液により転写ロールの表面温度を15〜50℃
の範囲の一定温度に維持したので、印刷が施され
るべき金属製室内建具（被印刷物）の表面が平坦
部と曲面部もしくは凹凸部とを有していても、転
写ロールが上記温度範囲に維持されていることに
より外気温の変化にかかわらず曲面印刷に必要と
する軟質度、弾性、復元度等の転写ロールの物性
が一定に保持され、転写ロールが曲面部もしくは
凹凸部形状に確実に追随して変形し、平坦部と曲
面部もしくは凹凸部とを同時にかつ均一に印刷し
得るもので、曲面部、凹凸部が平坦部と何ら変わ
ることなく印刷されるものである。例えば、第３
図に示したように、転写ロール６が所定温度範囲
に維持され、転写ロール６の物性、即ち軟質度、
弾性、復元度等が適宜な状態に保持されて、被印
刷物８の凹部８ａの形状に応じて転写ロール６が
変形し、かつ印刷が終了すると転写ロール６は元
の状態に復元し、次いでインキがレジユーサーロ
ールにより洗浄され、以上の繰り返しがスムーズ
に進行するため、均一印刷が可能となつたもので
ある。

またこの場合、本発明によれば、レジユーサー
液の温度を調節するだけでよく、簡便であると共
に、従来の装置をそのまま変更なく用いることが
できる。

従つて、本発明によれば、室内建具の付子等の
凹凸のある形材の印刷が簡単かつ確実に行われ、
また木目印刷を行う場合印刷面の木目が鮮明にな
つて安定化し、このため本発明法は金属製室内建
具等の印刷法として優れたものであり、従来は冬
季において転写ロールが寒さのため変形すると元
の状態に復元できない等の現象があつたが、本発
明法にはこのような不都合は生ぜず、かつ転写ロ
ールの損傷が大幅に減少したものであり、更に管
理も容易である上、安価なものである。

以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的
に説明する。

［実施例、比較例］ オフセツトグラビア印刷法において、第２図の
ようなレジユーサー液加温及び冷却装置を従来の
オフセツトグラビア印刷機に附帯せしめ、20〜25
℃に温度調節を行つたレジユーサー液をポリウレ
タン樹脂製転写ロールとレジユーサーロールとの
間に供給し、転写ロールをレジユーサー温度と同
一にした。次いで、第４図に示すような中空で同
一面上に平坦部Ｆと曲面部Ｒとを有する形状の被
印刷物〔金属製室内建具（アルミニウム製の障子
組子）〕８に上記転写ロールを圧着させながら印
刷を行つた。その結果、平坦部Ｆ及び曲面部Ｒ共
に均一で鮮明な印刷面が得られた。

比較のため、通常のオフセツトグラビア印刷機
を用い、ポリウレタン樹脂製転写ロールによりそ
の表面温度を調節することなく第４図に示した被
印刷物に印刷を行つたが、平坦部Ｆにのみ印刷さ
れ、曲面部Ｒ、特にその最深部は全く印刷されな
かつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来法に従つて印刷すべき面に凹部を
有する被印刷物に転写ロールを圧接した状態を示
す概略断面図、第２図は本発明の実施に用いる装
置の一例を示す概略説明図、第３図は本発明法に
従つて印刷すべき面に凹部を有する被印刷物に転
写ロールを圧接した状態を示す概略断面図、第４
図は被印刷物の一例を示す断面図である。 １……版ロール、６……転写ロール、８……被
印刷物、１０……レジユーサーロール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 転写ロールの少なくとも表面層をシヨアー硬
   度５〜50度に形成し、この転写ロールにレジユー
   サーロールを圧接し、このレジユーサーロールに
   15〜50℃に加熱もしくは冷却したレジユーサー液
   を供給して前記転写ロールに付着した印刷インキ
   をレジユーサーロールにより洗浄することにより
   上記転写ロールの表面温度を15〜50℃の範囲の一
   定温度に維持すると共に、この転写ロールを平坦
   部と曲面部もしくは凹凸部表面を有する金属製室
   内建具の表面に圧接追随させ、前記転写ロールか
   ら前記金属製室内建具表面の所望の文字、図柄等
   を表示する印刷インキを転写して、金属製室内建
   具にオフセツト印刷を施すことを特徴とする印刷
   方法。