JPH0553115U - Ｘ線管の陰極構体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この考案は、フィラメント支持棒が機械的に安
定に支持され、陰極フィラメントの位置の変化が抑制さ
れるＸ線管の陰極構体を提供することを目的とする。 【構成】この考案のＸ線管の陰極構体は、陰極フィラメ
ント４を支持するフィラメント支持棒５が筒状固定部材
９を介して集束電極１に電気的に絶縁されて固定されて
なり、更に上記の筒状固定部材は、集束電極に固着され
る側６ａがセラミックスでフィラメント支持棒に固着さ
れる側６ｂが金属であって、且つ途中にセラミックスと
金属の含有量が徐々に変化する領域６ｃを有する傾斜機
能材により構成されてなり、上記の目的を達成すること
が出来る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はＸ線管の陰極構体に係り、特にそのフィラメント支持棒を集束電極 に電気的に絶縁して固定する筒状固定部材の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、Ｘ線管の陰極構体は、図３および図４に示すように構成され、図３は全 体を示し、図４は図３の要部を取出し拡大して示している。

【０００３】 即ち、カップ状集束電極１１の一面には、略長方形の集束溝１２及びこの集束 溝１２に続くフィラメント固定孔１３が穿たれている。そして、集束溝１２には 螺旋状陰極フィラメント１４が配置され、この陰極フィラメント１４の両端はそ れぞれフィラメント支持棒１５に固着されている。尚、図では一方のフィラメン ト支持棒１５のみ示している。このフィラメント支持棒１５は、フィラメント固 定孔１３内に位置して集束電極１１の外に延びている。そして、フィラメント固 定孔１３の内面には、筒状の固定用絶縁部材１６がフィラメント支持棒１５と離 隔して固着されている。フィラメント支持棒１５の一部外周には、金属支持筒１ ７が固着され、この金属支持筒１７は固定用絶縁部材１６に接し、先端がかしめ により固定されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記のような従来の構造では、金属支持筒１７と固定用絶縁部材１ ６のかしめ不足により、陰極フィラメント１４にガタが発生し、Ｘ線管の焦点不 良，陰極フィラメント１４の集束溝１２内壁への接触などの恐れがある。 この考案は、フィラメント支持棒が機械的に安定に支持され、陰極フィラメン トの位置の変化が抑制されるＸ線管の陰極構体を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 この考案は、陰極フィラメントを支持するフィラメント支持棒が筒状固定部材 を介して集束電極に電気的に絶縁されて固定されてなり、更に上記の筒状固定部 材は、集束電極に固着される側がセラミックスでフィラメント支持棒に固着され る側が金属であって、且つ途中にセラミックスと金属の含有量が徐々に変化する 領域を有する傾斜機能材により構成されてなるＸ線管の陰極構体である。

【０００６】

【作用】

この考案によれば、フィラメント支持棒が機械的に安定に支持され、陰極フィ ラメントの位置の変化が抑制される。

【０００７】

【実施例】

以下、図面を参照して、この考案の一実施例を詳細に説明する。 この考案によるＸ線管の陰極構体は、図１および図２に示すように構成され、 図１は全体を示し、図２は図１の要部を取出し拡大して示している。

【０００８】 即ち、カップ状集束電極１の一面には、略長方形の集束溝２及びこの集束溝２ に続くフィラメント固定孔３が穿たれている。そして、集束溝２には螺旋状陰極 フィラメント４が配置され、この陰極フィラメント４の両端はそれぞれフィラメ ント支持棒５に固着されている。尚、図では一方のフィラメント支持棒５のみ示 している。このフィラメント支持棒５はフィラメント固定孔３内に位置して集束 電極１の外に延びているが、このフィラメント支持棒５は筒状固定部材６を介し て集束電極１に電気的に絶縁されて固定されている。

【０００９】 この場合、筒状固定部材６は径大部６ａと径小部６ｂとからなっている。径大 部６ａは、その外周面が集束電極１のフィラメント固定孔３内面に固着され、そ の内周面はフィラメント支持棒５と離隔している。径小部６ｂは、その内周面が フィラメント支持棒５に矢印方向に溶接固着されている。更に、筒状固定部材６ の径大部６ａつまり集束電極１に固着される側はセラミックスで径小部６ｂつま りフィラメント支持棒５に固着される側は例えば鉄，ニッケルなどの金属であっ て、且つ途中にセラミックスと金属の含有量が徐々に変化する領域６ｃを有する 傾斜機能材により構成されている。

【００１０】 ここで、傾斜機能材について説明する。今、Ａ，Ｂ２つの材料を接合すると両 者の長所を利用出来るが、熱膨脹率の違いから曲がったり、剥がれたりし易いと いう難点がある。しかし、傾斜機能材は境界面で材質をＡからＢに徐々に変化さ せて焼結したものであり、こうした欠点を解消出来るものである。尚、詳しくは 例えば雑誌「工業材料」第３８巻第１２号，第１４号（平成２年１０月，同１１ 月発行）に紹介されているものである。

【００１１】 このような結果、従来行なわれた固定用絶縁部材と金属支持筒とのかしめ作業 が不要となる。又、かしめ不十分から発生していた陰極フィラメントのガタによ るＸ線管の焦点不良，陰極フィラメントの集束溝内壁への接触などの恐れがない

【００１２】 。

【考案の効果】

この考案によれば、筒状固定部材は、集束電極に固着される側がセラミックス でフィラメント支持棒に固着される側が金属であって、且つ途中にセラミックス と金属の含有量が徐々に変化する領域を有する傾斜機能材により構成されている ので、フィラメント支持棒が機械的に安定に支持され、陰極フィラメントの位置 の変化が抑制される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係るＸ線管の陰極構体を
示す縦断面図。

【図２】図１の要部を取出し拡大して示す縦断面図。

【図３】従来のＸ線管の陰極構体を示す縦断面図。

【図４】図３の要部を取出し拡大して示す縦断面図。

【符号の説明】

１…集束電極、２…集束溝、３…フィラメント固定孔、
４…陰極フィラメント、５…フィラメント支持棒、６…
固定部材、６ａ…径大部、６ｂ…径小部、６ｃ…領域。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 陰極フィラメントを支持するフィラメン
   ト支持棒が筒状固定部材を介して集束電極に電気的に絶
   縁されて固定されてなるＸ線管の陰極構体において、 上記筒状固定部材は、上記集束電極に固着される側がセ
   ラミックスで上記フィラメント支持棒に固着される側が
   金属であって、且つ途中に上記セラミックスと上記金属
   の含有量が徐々に変化する領域を有する傾斜機能材によ
   り構成されてなることを特徴とするＸ線管の陰極構体。