JPH065098U - Ｘ線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この考案は、ステムを溶着する際のリ−ドワイ
ヤにかかる応力を吸収して変形を防止したＸ線管を提供
することを目的とする。 【構成】この考案のＸ線管は、集束電極１の集束孔内に
設けられたカソ−ドフィラメント２を支持するタ−ミナ
ル３の外周にスリ−ブ４が嵌合固着され、このスリ−ブ
とガラスステム６に植設されたリ−ドワイヤ７ｂ，７ｃ
との間に、薄肉の折り曲げ部を有する中継接続金具９が
設けられてなり、上記の目的を達成することが出来る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はＸ線管に係り、特にその陰極構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、一般的な回転陽極型Ｘ線管は、図３に示すように、真空容器１１の内部 の一方にロ−タ１２に支持された陽極タ−ゲット１３が配置され、それに対応し て陰極構体１４が配置されている。この陰極構体１４は、管軸から隔たった位置 に集束電極１を有し、その内部にカソ−ドフィラメント２が配置されている。こ れら集束電極１やカソ−ドフィラメント２は、それぞれリ−ドワイヤ７によりガ ラスステム６に植設された外部リ−ド７ａに電気的に接続されている。

【０００３】 ところで陰極構体１４は、集束電極１の集束孔内に螺旋状のカソ−ドフィラメ ント２が設けられ、このカソ−ドフィラメント２の両端はそれぞれタ−ミナル３ に固着されている。このタ−ミナル３の外周には、スリ−ブ４と絶縁端子５が嵌 合されている。一方、ガラスステム６にニッケル製の外部リ−ド７ａが植設され 、このリ−ド７ａにＬ字状のリ−ドワイヤ７ｂが接合されている。このリ−ドワ イヤ７ｂに波状に折り曲げられたニッケル製の薄板リボン８が接合され、この薄 板リボン８にリ−ドワイヤ７ｃが接合され、このリ−ドワイヤ７ｃがスリ−ブ４ に接合されている。尚、スリ−ブ４とリ−ドワイヤ７ｃ，リ−ドワイヤ７ｃと薄 板リボン８，薄板リボン８とリ−ドワイヤ７ｂ，リ−ドワイヤ７ｂとリ−ドワイ ヤ７ａ，リ−ドワイヤ７ａとガラスステム６の各接合は、いずれも抵抗溶接によ り行なわれている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

一般に、集束電極１とカソ−ドフィラメント２の相対的な位置関係は、タ−ゲ ット上の電子ビ−ム焦点の状態に大きく影響を与える。このため、集束電極１と カソ−ドフィラメント２の組立て精度は非常に高い精度が要求される。

【０００５】 ところで、従来のＸ線管では、機械的応力を吸収するため薄板リボン８が設け られているが、この薄板リボン８の目的は、高温時のリ−ドワイヤ７ｂ，７ｃの 膨脹によるカソ−ドフィラメント２の変形およびずれの防止の他に、リ−ドワイ ヤに伝えられた機械的応力によるカソ−ドフィラメント２の変形およびずれを防 止することにある。確かに、機械的応力の除去は可能であるが、リ−ドワイヤ７ ｃとスリ−ブ４を抵抗溶接する時に、既に機械的応力が発生し、カソ−ドフィラ メント２の変形もしくはずれを生じてしまう。 この考案は、ステムを溶着する際のリ−ドワイヤにかかる応力を吸収して変形 を防止したＸ線管を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は、集束電極の集束孔内に設けられたカソ−ドフィラメントを支持す るタ−ミナルの外周にスリ−ブが嵌合固着され、このスリ−ブとガラスステムに 接続されたリ−ドワイヤとの間に、薄肉の折り曲げ部を有する中継接続金具が設 けられてなるＸ線管である。

【０００７】

【作用】

この考案によれば、中継接続金具の円筒部とスリ−ブの接合を非加圧状態で行 なうため、カソ−ドフィラメントに無用な応力を生じることがない。

【０００８】

【実施例】

以下、図面を参照して、この考案の一実施例を詳細に説明する。 この考案によるＸ線管の陰極構造は図１および図２に示すように構成され、従 来例（図２）と同一箇所には同一符号を付すことにする。

【０００９】 即ち、集束電極１の集束孔内にカソ−ドフィラメント２が設けられ、このカソ −ドフィラメント２の両端はそれぞれタ−ミナル３に接続されている。このタ− ミナル３の外周には、スリ−ブ４と絶縁端子５が嵌合されている。一方、Ｘ線管 のガラスステム６にはニッケル製の外部リ−ド７ａが植設され、この外部リ−ド ７ａにはＬ字状のリ−ドワイヤ７ｂが接合されている。このリ−ドワイヤ７ｂに はリ−ドワイヤ７ｃが接合され、このリ−ドワイヤ７ｃの先端には中継接続金具 ９が設けられている。この中継接続金具９は薄肉の波形折り曲げ部９ａおよびこ れと一体の円筒部９ｂからなり、この円筒部９ｂがスリ−ブ４に接合される。

【００１０】 この場合、中継接続金具９の折り曲げ部９ａは厚さ０．７５ｍｍのニッケル板 を３度折り曲げ加工を施したもので、これに一体に続く円筒部９ｂは直径２．４ ｍｍ，長さ３ｍｍに設定され、リ−ドワイヤ７ａ，７ｂ，７ｃは長さ５０ｍｍ、 ガラスステム６は直径３０ｍｍ，厚さ３ｍｍのガラス円板からなっている。そし て、スリ−ブ４と円筒部９ｂ，折り曲げ部９ａとリ−ドワイヤ７ｃ，リ−ドワイ ヤ７ｃとリ−ドワイヤ７ｂ，リ−ドワイヤ７ｂと外部リ−ド７ａ，外部リ−ド７ ａとガラスステム６とを、それぞれ接合する。この時、円筒部９ｂとスリ−ブ４ とは、非加圧状態で接合する。その接合方法としては、レ−ザ光による溶接，ろ う付け，半田付け等が挙げられる。そのため、スリ−ブ接合部分の形状をスリ− ブ４に対し密着性の良好な薄肉円筒部９ｂにしてある。

【００１１】 このような陰極構造により、円筒部９ｂとスリ−ブ４の接合時における機械的 応力が生じなくなった。その結果、カソ−ドフィラメント２に直接触れることが ない限り、カソ−ドフィラメント２にかかる全ての機械的応力および振動を除去 することが可能となる。

【００１２】

【考案の効果】

この考案によれば、カソ−ドフィラメントを支持するタ−ミナルの外周に嵌合 固着されたスリ−ブとガラスステムに植設されたリ−ドワイヤとの間に、薄肉の 折り曲げ部を有する中継接続金具が設けられているので、ガラスステムを溶着す る際のリ−ドワイヤにかかる応力を吸収することが出来る。従って、陰極組立て 後、カソ−ドフィラメントに接触しないかぎり、いかなる条件においてもカソ− ドフィラメントの変形やずれが生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係るＸ線管の陰極構造を
示す斜視図。

【図２】図１の分解斜視図。

【図３】従来のＸ線管を示す概略図。

【図４】従来のＸ線管の陰極構造を示す斜視図。

【符号の説明】

１…集束電極、２…カソ−ドフィラメント、３…タ−ミ
ナル，４…スリ−ブ、５…絶縁端子、６…ガラスステ
ム、７ａ，７ｂ，７ｃ…リ−ドワイヤ、９…中継接続金
具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 集束電極の集束孔内に設けられたカソ−
   ドフィラメントを支持するタ−ミナルの外周にスリ−ブ
   が嵌合固着され、このスリ−ブがガラスステムに接続さ
   れたリ−ドワイヤに接続されてなるＸ線管において、 上記スリ−ブと上記リ−ドワイヤとの間に、薄肉の折り
   曲げ部を有する中継接続金具が設けられてなることを特
   徴とするＸ線管。