JPH06174412A - 走査トンネル顕微鏡加熱探針及び探針ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】加熱可能で中心対称性が高く且つ剛性が高い探
針及び探針ホルダを提供することにある。 【構成】中心電極２１に固定された探針２と探針先端部
付近１に溶接されたヘアピン型電導線１０と該電導線１
０を固定する外側電極２２とで構成される。 【効果】探針先端を常に清浄に保つことができ且つ熱歪
み・外部振動に強く高速走査可能な走査トンネル顕微鏡
を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は走査トンネル顕微鏡に係
り、特にその探針部分の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の走査トンネル顕微鏡探針ホルダ
は、探針の加熱機構を持たないものでは円筒形状のもの
が多く用いられている。しかし、安定した走査トンネル
顕微鏡像を得るには探針先端部を加熱清浄化することが
必要である。図２は加熱を行うために探針に電流を流す
機能を持った従来方式の探針ホルダを示す。この従来例
では二つの電極２０を持ち、電極の間に渡したヘアピン
型電導線１０に電流を流し、探針先端部１を加熱するよ
うになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来法の探針ホ
ルダは中心対称性に乏しく、このため探針の加熱或いは
試料の加熱によって探針ホルダの温度が変化した場合の
熱歪みが中心対称にならず、結果として探針先端部の位
置が大きくずれるという問題がある。

【０００４】また、電導線１０が探針先端部１を支える
機能も兼ねているため、電導線を細くして加熱に必要な
電流値を下げ、探針ホルダの温度変化を少なくしようと
した場合には探針先端部１を支える強度も低下すること
になり、探針の耐振動性能・高速走査性能の低下が起こ
るといった問題もある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明のホルダは、探針加熱電流を流すための二つ
の電極が概ね同心状になっている。また、上記同心状電
極の一方に固定される線材の全部或いは一部の断面積が
他方に固定される線材の断面積と異なっている。

【０００６】

【作用】本発明の作用を図１を用いて説明する。探針加
熱電流を流すための二つの電極２１及び２２が概ね同心
状になっているため、探針ホルダの探針走査機構３０へ
の固定機構も含めて同心状に設計することが容易にな
り、このため探針先端部１の加熱或いは試料の加熱によ
って探針ホルダの温度が変化した場合に熱変形が探針２
を中心に発生し、探針先端部１の位置の変化は最小に抑
えることができる。

【０００７】また、外側電極２２に螺を切り、この螺に
よって探針ホルダを探針走査機構へ固定することによ
り、十分小さく、且つ、剛性のある探針ホルダ交換機構
を構成することができる。このとき、中心電極２１は摩
擦による接触で電気的に接続される。

【０００８】探針先端部分の剛性と加熱電流の最少化と
のトレードオフは、探針先端部分を支える部分と探針と
加熱する部分とを分離することによって解決できる。す
なわち、ヘアピン型電導線１０と探針２の断面積が異な
れば良い。この時、断面積の小さい方が加熱を担当し、
他方が探針先端部を支える働きをする。用いる材料にも
よるが、十分に機能の分離を行うためには両者の断面積
比にして１：２以上の差がある方がよい。また断面積の
差は大きい方が好ましいが、一方をあまりにも細くした
場合には取扱いが困難になり、また寿命が短くなるなど
の問題もあるため、断面積比にして１：１００以下にな
る方が好ましい。

【０００９】線材全体の断面積を変える方法に対し、よ
り効率的に探針先端部分のみを加熱するために探針の先
端部近傍のみの断面積を小さくする方法も有効である。
これにより探針ホルダの温度変化をより小さくすること
が可能になる。探針先端部のみの断面積を小さくする方
法は、電解研磨，機械研磨，２種類の線材の溶接などの
方法がある。

【００１０】

【実施例】図１に本発明の一実施例を示す。本実施例
は、中心電極２１に固定された探針２と探針先端部１付
近に溶接されたヘアピン型電導線１０と電導線を固定す
る外側電極２２とで構成される。ヘアピン型電導線１０
は外側電極２２に２箇所で固定される。探針２及びヘア
ピン型電導線１０の固定は摩擦による固定でも良いが、
溶接或いは螺子固定を用いる方がより望ましい。本実施
例ではヘアピン型電導線１０の直径は探針２の直径の半
分以下であるため、電流を流すことによって加熱される
部分は主に電導線１０であり、また探針先端部分１を主
に支えている部分は探針２になる。本実施例では外側電
極２２に螺が切ってあり、探針走査機構３０と探針ホル
ダを分離・結合することができる。

【００１１】図３に本発明の他の実施例を示す。本実施
例では探針２の直径はヘアピン型電導線１０の直径の半
分以下であるため、電流を流すことによって加熱される
部分は主に探針２であり、また探針先端部分１を主に支
えている部分は電導線１０になる。

【００１２】図４に本発明の更に他の一実施例を示す。
本実施例では探針２の探針先端部１近傍の直径が探針の
根元付近の直径よりも細くなっている。加熱はこの細く
なった部分で集中的に行われ、探針ホルダの加熱を最小
限にすることが可能である。

【００１３】

【発明の効果】探針先端を常に清浄に保つことができ且
つ熱歪み・外部振動に強く高速走査可能な走査トンネル
顕微鏡を実現できる。これにより、低真空内或いはガス
雰囲気中或いは分子線照射中など探針への不純物吸着が
問題となる状況でも安定した走査トンネル顕微鏡像を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による走査トンネル顕微鏡加熱探針ホル
ダの一実施例を示す断面図。

【図２】従来の走査トンネル顕微鏡加熱探針ホルダを示
す断面図。

【図３】本発明による走査トンネル顕微鏡加熱探針ホル
ダの他の一実施例を示す断面図。

【図４】本発明による走査トンネル顕微鏡加熱探針ホル
ダの更に他の一実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１…探針先端部、２…探針、１０…ヘアピン型電導線、
２０…電極、２１…中心電極、２２…外側電極、３０…
探針走査機構。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】探針に電流を流して上記探針を加熱する機
   構を有する走査トンネル顕微鏡に用いる探針ホルダで、
   上記電流を流すための二つの電極が概ね同心状になって
   いることを特徴とする走査トンネル顕微鏡加熱探針ホル
   ダ。
2. 【請求項２】請求項１記載の探針ホルダに搭載される走
   査トンネル顕微鏡の探針であって、上記同心状電極の一
   方に固定される線材の断面積が他方に固定される線材の
   断面積と異なっていることを特徴とする走査トンネル顕
   微鏡加熱探針。
3. 【請求項３】請求項１記載の探針ホルダに搭載される走
   査トンネル顕微鏡の探針であって、上記同心状電極に固
   定される２本の線材のうちいずれか一方の線材の探針先
   端部付近における断面積が上記線材を上記電極に固定し
   ている部分の断面積よりも小さくなっていることを特徴
   とする走査トンネル顕微鏡加熱探針。
4. 【請求項４】請求項２または３において、上記断面積の
   異なる線材の断面積比が１：２以上１：１００以下であ
   る走査トンネル顕微鏡加熱探針。