JPH055295A - 湿潤柔軟性の良好なセラミツク繊維紙およびその製造方法 - Google Patents

湿潤柔軟性の良好なセラミツク繊維紙およびその製造方法

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JPH055295A
JPH055295A JP3151597A JP15159791A JPH055295A JP H055295 A JPH055295 A JP H055295A JP 3151597 A JP3151597 A JP 3151597A JP 15159791 A JP15159791 A JP 15159791A JP H055295 A JPH055295 A JP H055295A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸液速度が速く、湿潤時において柔軟であ
り、かつ湿潤時において強度を有するセラミック繊維紙
を提供すること。 【構成】 アルミナ・シリケート繊維等のセラミック繊
維80〜89重量%、ガラス繊維5〜15重量%、針葉
樹パルプ1〜5重量%および前記各繊維の結合剤3〜7
重量%からなるセラミック繊維紙または前記各組成成分
からなるシート状物を140〜160℃で5分間以上乾
燥することを特徴とするセラミック繊維紙の製造方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保温・断熱成形体、強化
複合材料としてあらゆる産業分野に利用されているセラ
ミック繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミック繊維は他の人造無機繊維と同
様に、剛直でもろく折り曲げに弱い。この繊維をシート
化するためにはセラミック繊維だけではシート状物質を
成形できないので、副材料としてガラス繊維、有機繊維
等を混合し、その後結合剤で繊維を接着させてシート状
物質を得る方法が一般的である。セラミック繊維紙はそ
の素材の特性を生かして断熱材等の材料として使用され
る(例えば、紙パ技協誌、黒沢、41(10)、163
〜169(1987)参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】セラミック繊維紙から
なるシートを目的に合致するように加工させる。その加
工方法のなかセラミック繊維紙のハニカム構造体を作製
する加工方法として通常の場合、図1に示すように常態
で機械的な方法で行われる。繊維紙1を一対のコルゲー
タロール2間を通してコルゲート加工する。このとき接
着ロール3を介してセラミック繊維紙1の一方の面に接
着剤4を塗布する。一方のコルゲータロール2と接する
プレスロール5には前記セラミック繊維紙1とは反対方
向に第2のセラミック繊維紙6が搬送されて来ているの
で接着剤4の塗布された面とこの第2のセラミック繊維
紙6が接着され、片段ペーパー7が得られる。しかし、
より高い加工精度を求めたり、生産性を追求するために
図2に示すようにセラミック繊維紙を予め水溶媒に含浸
させ湿潤状態にした後、コルゲート加工される場合もあ
る。この湿潤加工方法によると紙の湿潤により、セラミ
ック繊維紙のスプリングバックがなくなり、加工精度が
上がる。
【0004】ところが、セラミック繊維紙は湿潤時(水
溶媒含浸時)の吸液速度が遅いことが問題点としてあっ
た。その原因はシートを構成しているセラミック繊維が
疎水性であり、結合剤が表面にバリアーを形成している
ためと推定される。また、セラミック繊維紙を構成して
いる繊維が剛直であり、結合剤が剛直な被膜を形成して
いるため、湿潤時にも加工・成形ができないという欠点
があった。そこで、本発明の目的は吸液速度が速く、湿
潤時において柔軟であり、かつ湿潤時において強度を有
するセラミック繊維紙を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成により達成される。すなわち、セラミック繊維80
〜89重量%、ガラス繊維5〜15重量%、針葉樹パル
プ1〜5重量%および前記各繊維の結合剤3〜7重量%
を含む湿潤柔軟性の良好なセラミック繊維紙または、前
記各組成成分からなるシート状物を140〜160℃で
5分間以上乾燥することを特徴とする湿潤柔軟性の良好
なセラミック繊維紙の製造方法である。
【0006】本発明でのセラミック繊維紙のベース繊維
となるセラミック繊維とはアルミナ・シリケート繊維、
酸化クロム添加アルミナ・シリケート繊維またはシリカ
繊維のことをいい、ガラス繊維はここではセラミック繊
維とは言わないこととする。セラミック繊維の使用量は
セラミック繊維紙の全重量の80重量%未満にならない
範囲で用いる。80重量%未満になるとセラミック繊維
紙の熱収縮が大きくなる。また、89重量%を超えると
本発明の意図するセラミック繊維の物性の改善ができな
くなる。
【0007】ガラス繊維は、微細な空隙を増加させてセ
ラミック繊維紙の湿潤時の吸液速度を早くするためおよ
びセラミック繊維と他の繊維との絡み合いを良くするた
めに添加される。その直径が2.0〜0.8μmのもの
は繊維の絡み合い性に寄与するので好ましい。ただし、
直径が2.0〜0.8μm以外のガラス繊維、たとえば
チョップドストランド(繊維直径モノフィラメント3〜
30μm、繊維長さ4〜40mm)を用いても良い。ま
た、ガラス繊維の含有量は5〜15重量%の範囲で用い
られる。ガラス繊維の含有量が15重量%を超えるとセ
ラミック繊維、針葉樹パルプおよび結合剤のいずれかが
適性範囲以下になってしまう。ガラス繊維の長さは長い
方が好ましいが、繊維径が細く、絡み合った状態の物の
繊維長を測定する有効な手段がないのでその範囲は特定
できない。ガラス繊維の組成は特に限定はないが、安価
で繊維径の種類が豊富なので含アルカリケイ酸塩ガラス
または無アルカリケイ酸塩ガラスが好ましい。
【0008】有機繊維はセラミック繊維紙の物性には寄
与しないけれど、外観光沢を保つため加えることができ
が、光沢を出すためには2重量%以上加える必要があ
る。その使用量が5重量%を超えるとセラミック繊維紙
の耐熱性が低下する。有機繊維としては、合成繊維、天
然繊維いずれでもよいが、ポリアクリロニトリル、アク
リロニトリル−塩化ビニル共重合体等の繊維が製品の外
観上好ましい。
【0009】針葉樹(Nadel Holz)パルプ
(以下、Nパルプと言うことがある。)は松、ツガ、モ
ミ等を原材料としたクラフト蒸解法によって作られたパ
ルプである。このNパルプをビーターで濾水度200〜
300ミリリットルまで叩解したものを使う。Nパルプ
使用の目的は親水性であるNパルプを混合することでセ
ラミック繊維紙の濡れ性が改善され、湿潤時の吸液速度
が増加する。さらにNパルプは容易にフィブリル化する
ため繊維のからみ合いに寄与して湿潤時の強度保持効果
がある。Nパルプの使用量が1重量%未満であると湿潤
時の吸液速度が遅くなり、繊維紙の層間強度が低下して
層間剥離が発生する。また、5重量%を超えると、結合
剤と有機繊維およびNパルプの含有量が10重量%を超
えることとなり、耐熱性がなくなり、繊維紙が硬くなり
すぎ、表面にヒビ割れが発生する。
【0010】結合剤についての限定は特になく、前記各
成分を結合することのできるものなら以下なる結合剤で
も使用可能である。ただし、通常のエマルジョン系の結
合剤は熱を加えて揮発分(水、溶剤その他)を飛ばして
皮膜を作らせるが、揮発分(特に水)の移動と共にエマ
ルジョン粒子が熱の加わる部分に移動する。従ってセラ
ミック繊維紙の表面裏面の表層部に結合剤の量が多くな
る。これに対して、感熱凝固型結合剤は使用されている
乳化剤の曇点が低いため、エマルジョン粒子の移動がな
くなり繊維紙の表層だけでなく、内部でも皮膜の生成が
起こる。繊維紙内部で皮膜が生成することにより接着力
が生じて、アルミナ・シリケート繊維紙の層間剥離が起
こりにくくなる。そこで、感熱凝固型結合剤を用いるこ
とか好ましい。代表的な感熱凝固型結合剤は熱硬化性樹
脂のポリエーテルウレタンを主成分とする固形分40重
量%のエマルジョンである。また、結合剤の使用量の範
囲はセラミック繊維紙の耐熱性が損なわれない範囲、即
ち7重量%未満で用いる必要がある。しかし、実用上は
セラミック繊維紙の用途上、有機物は少ない方が望まし
いが、3重量%未満では層間剥離に対して添加効果がな
い。また、使用量が7重量%を超えると剛度が高くな
り、表面ヒビ割れが発生するおそれもある。従って好ま
しい範囲は3〜7重量%である。
【0011】なお、セラミック繊維紙の製造方法(抄造
方法)は通常の方法であるので詳細な説明は省略する。
【0012】前記各成分を含む繊維紙は140℃〜16
0℃の温度範囲で5分間以上、好ましくは10分間以上
乾燥させる。上記乾燥時間で乾燥温度が140℃未満で
は結合剤の架橋密度が低い範囲となるため、湿潤強度が
500g未満となる。また、上記乾燥時間で乾燥温度が
160℃以上では結合剤の架橋反応が進み、その結果湿
潤剛度が150mgを超えてしまう。こうして、吸液速
度は50秒以下、湿潤剛度は150mg未満、湿潤強度
が500gを超える熱収縮率2%未満の耐熱性セラミッ
ク繊維紙が得られる。
【0013】
【作用】セラミック繊維紙を構成する繊維自体は疎水性
であるが、毛細管現象により吸液速度の改善は可能であ
る。従ってセラミック繊維紙を構成する材料に微細な空
隙を形成する物質であるガラス繊維を添加し、さらに、
親水性の材料(Nパルプ)を加えることでセラミック繊
維紙の濡れ性が改善され、吸液速度が速くなる。
【0014】また、セラミック繊維紙の湿潤時における
柔軟性は主として結合剤に何を選択するかおよびその結
合剤の架橋密度の程度によって決定される。従って架橋
密度を目的とする柔軟性に合致するようにコントロール
すれば良い。結合剤の架橋密度は結合剤に加わる熱量に
よっても支配されるから現実的な対応としては結合剤の
付着したセラミック繊維紙の乾燥温度を加減することで
可能である。
【0015】湿潤時において、セラミック繊維紙が強度
を有するためには結合剤の量を増すか、架橋密度をあげ
れば良い。しかし、湿潤柔軟性との兼合いで結合剤によ
る方法は採用しがたい。他の方法として繊維どうしのか
らみ合いを増すことが考えられる。主体繊維であるセラ
ミック繊維はからみ合わないので、これに微細なガラス
繊維と容易にフィブリル化するNパルプを添加すると、
これらが主体繊維を仲立ちして、繊維間のからみ合いを
発生させ、湿潤時の加工に耐える強度を有するようにな
る。
【0016】
【実施例】本発明の実施例を説明する。セラミック繊維
としてアルミナ・シリケート繊維を用いた例を示す。ア
ルミナ・シリケート繊維としはイソライト工業(株)製
のカオウールバルクLS(商標名)を用いた。カオウー
ルバルクLSは径(2.0〜3.0μm)×長さ(短繊
維〜250mm)を持ち、含有成分はAl2347〜5
1%、SiO249〜53%からなる。ガラス繊維Aは
日本硝子繊維(株)製のチョップドストランド(9μm
×13mm)であるRES13GP10WS(商標名)
を用い、ガラス繊維Bは日本硝子繊維(株)製の含アル
カリガラス(径:0.7〜0.9μm)であるCMLF
208(商標名)を用いた。有機繊維としては鐘ケ淵化
学(株)製のアクリロニトリル塩化ビニル共重合体繊維
(直径:10〜20μm、長さ:10〜25mm)であ
るカネカロンSNL(商標名)を用いた。結合剤として
は大日本インキ化学(株)製の感熱凝固型結合剤である
ボンディック1510(商標名)を用いた。上記各組成
成分を通常の方法で抄造して150±5℃で10分間乾
燥させ、セラミック繊維紙を作製した。
【0017】得られたセラミック繊維紙の湿潤時の物性
の測定方法については次の通りである。湿潤時の吸液速
度の測定はJIS P8122に従って行った。そし
て、吸液速度50秒以下を○とし、50秒を超えるもの
を×とした。湿潤強度はJISP8135に準拠して、
浸漬時間を10秒として測定した。500gを超えるも
のを○とした。また、湿潤剛度は前処理として20℃の
水に10秒浸漬し、JISL1096に従って測定を実
施した。150mg未満を○とした。耐熱性は1000
℃×100時間での熱収縮率を測定し、収縮率2%未満
のものを○とした。また、比較例として各組成成分の含
有量と乾燥温度が本発明の範囲外のものについても同様
に物性の測定を行った。その結果を表1、2、3に示
す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】上記表に示すように、実施例1〜4の吸液
速度、湿潤時の剛性、強度は満足すべきものであったが
比較例に示すとおり、Nパルプの含有量が少な過ぎると
吸液速度、湿潤時の剛性が不足し、湿潤強度も劣る場合
がある。Nパルプの含有量が多すぎると耐熱性に悪影響
が出る。また、各組成成分は本発明の範囲内にあって
も、乾燥温度と時間が本発明の範囲外になると湿潤時の
物性が生産性、加工精度の点で満足しないものとなる。
【0022】なお、前記実施例において、アルミナ・シ
リケート繊維紙を作製し得る範囲を可能な範囲として、
本発明の範囲を適性範囲(いずれも重量%)とすると表
4に示すようになる。
【0023】
【表4】
【0024】上記実施例ではセラミック繊維としてアル
ミナ・シリケート繊維を用いた例をしめているが酸化ク
ロム含有アルミナ・シリケート繊維およびシリカ繊維を
ベース繊維としても良い。
【0025】
【発明の効果】本発明によって得られるセラミック繊維
紙は湿潤時の吸液速度が早く、湿潤時において柔軟であ
り、加工に耐える強度を有する。そのためセラミック繊
維紙の加工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック繊維紙の通常の波付け加工装置の概
観図である。
【図2】セラミック繊維紙の湿潤波付け加工装置の概観
図である。
【符号の説明】
1 セラミック繊維紙 2 コルゲータロール 3 接着剤ロール 5 プレスロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 17/46 13/40 7199−3B D21H 5/18 D 7199−3B 1/34 J 7199−3B 3/48

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 セラミック繊維80〜89重量%、ガラ
    ス繊維5〜15重量%、針葉樹パルプ1〜5重量%およ
    び前記各繊維の結合剤3〜7重量%を含むことを特徴と
    する湿潤柔軟性の良好なセラミック繊維紙。 【請求項2】 セラミック繊維80〜89重量%、ガラ
    ス繊維5〜15重量%、針葉樹パルプ1〜5重量%およ
    び前記各繊維の結合剤3〜7重量%の各組成成分を含む
    シート状物を140〜160℃で5分間以上乾燥するこ
    とを特徴とする湿潤柔軟性の良好なセラミック繊維紙の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006037269A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Nippon Sheet Glass Co Ltd 耐熱セラミックシート
JP2020063760A (ja) * 2018-10-16 2020-04-23 イソライト工業株式会社 断熱材及びその製造方法
CN111925224A (zh) * 2020-07-11 2020-11-13 巩义市泛锐熠辉复合材料有限公司 一种气凝胶毡用硅酸铝纤维纸及其制备方法

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