JPH0552711A - タイヤ走行試験機におけるキヤンバ付角装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 角度スペーサの交換及びタイヤの反転を必要
とせず、簡単な機構で大きなキャンバ角、例えば、±６
０°の間をすべて自動的に付与できるタイヤ走行試験機
におけるキャンバ付角装置を提供する。 【構成】 床面上に立設され垂直方向に上下２点の支点
７を有する支点部材６と、この支点部材６の支点７で端
部が軸支され床面上をコロ３で揺動する側面視コ字型の
エンドフレーム１と、エンドフレーム１のコ字内をスラ
イド自在であり、タイヤ１３を回転自在に支持するキャ
リッジ２と、キャリッジ２をドラム状の代用路面９に向
かって付勢する付勢手段８とを備えたタイヤ走行試験機
におけるキャンバ付角装置において、床面に前記支点７
を中心とする円弧状ラック４を設置し、前記エンドフレ
ーム１にモータ１５で駆動され円弧状ラック４に噛み合
うピニオン５を取り付けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイヤの耐久性能を試
すタイヤ走行試験機に関するものであり、特に、タイヤ
の斜め走行時（キャンバ付角状態）でのタイヤの耐久試
験を行うタイヤ走行試験機におけるキャンバ付角装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】タイヤの走行試験は、新製品の開発や改
良をする過程や、製品化されたタイヤの性能をチェック
する抽出試験などで行われ、使用状態と同じ条件をタイ
ヤに与え長時間走行させることにより、その破損状況や
耐久時間を測定するものである。それには、直線走行に
加えてコーナリングなどの場面を想定し、斜めに傾いた
状態（キャンバ付角状態）でタイヤを走行させて試験を
行う必要がある。実験室内において一定のキャンバ角を
与えたタイヤを長時間走行させるようなタイヤ走行試験
機としては、横倒しにした円筒状のドラムの側面をタイ
ヤが走行するようにした代用路面と、代用路面に対しキ
ャンバ角だけ傾き、タイヤを回転自在に支持しつつ所定
の荷重を掛けてタイヤを代用路面に押しつけるキャンバ
付角装置とからなっている。このキャンバ付角装置はい
ろいろな角度のキャンバ角を付角できるように、代用路
面とタイヤとの接地点を中心として回転自在にピンで固
定して、もう一方の端が±キャンバ角だけ円弧を描いて
揺動するようになっている。

【０００３】特に、これを揺動させる装置として従来で
は油圧シリンダを用いている。つまり、前記円弧の接線
方向の床面上に油圧シリンダを固定し、キャンバ付角装
置の円弧を描いて揺動する側の端に油圧シリンダの腕を
取り付け、この油圧シリンダのストロークで円弧を描か
せ、所望するキャンバ角を設定している。この時、キャ
ンバ角が小さければ、ストロークの短い小規模の油圧シ
リンダで間に合う。また、キャンバ角の変化に対応する
接線の向きの変化に応じて、油圧シリンダ自身もある程
度揺動できるように設置することもある。なお、油圧シ
リンダの代わりにスクリュジャッキとＡＣモータを用い
るものもある

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したタイヤ走行試
験機が一般に取り扱う乗用車用のタイヤではキャンバ角
が最大±１０°程度で、従来ではこれで充分であるとさ
れていた。しかし近年、スポーツとして盛んに用いられ
需要の増えてきたモータサイクルは極端に傾いた斜め走
行を行い、そのタイヤの形状は、普通のタイヤに比べ接
地面が広くとられ、キャンバ角は±６０°程度と大き
い。こうしたタイヤの性能耐久試験の必要性は、その需
要の増加とともに高まっている。従来のキャンバ付角装
置では、キャンバ角θを最大±１０°と小さく見積もっ
ていることから、キャンバ付角装置の一方の端が描く円
弧の長さが短くてすむので、小規模の油圧シリンダのス
トロークでこと足りていた。しかしながら、±６０°程
度の大きなキャンバ角となると、キャンバ付角装置の描
く円弧も大きくなり、これを、この油圧シリンダのスト
ロークで補おうとすれば、当然それに見合う大きなスト
ローク長さを有する大規模な油圧シリンダが必要とな
る。それに、キャンバ角の変化に対応して接線の向きも
大きく変わるので、床面上に接線方向を向いて備えつけ
られる油圧シリンダも接線の向きの変化につれて大きく
揺動するような構造を要求され、構造が複雑になるとい
う問題点を有していた。

【０００５】そこで、大きなキャンバ角を付加するため
に、従来のキャンバ付角装置のタイヤを取り付ける軸を
傾けて、タイヤが斜めに回転自在となるようにした。即
ち、従来のタイヤを回転自在に支持する軸が垂直に取り
付けられている面に、所定の角度傾いた回転自在の軸を
有する角度スペーサをネジで取り付け、その角度スペー
サの軸にタイヤを取り付けるようにした。これにより、
例えば、５０°の角度スペーサで４０°〜６０°（５０
°±１０°）の角を付角することができる。

【０００６】しかし、この角度スペーサは試験する角度
が限られているので、範囲外の角度を試験する時には、
そのつど、交換しなければならない。また、タイヤの一
方の面だけ、例えば、５０°の角度スペーサで４０°〜
６０°しか試験できないのでその反対側の面−４０°〜
−６０°の試験にはタイヤを一端外し、ひっくり返す作
業が必要となる。これらのスペーサ交換とタイヤ交換の
作業には非常に手間がかかり不便であるという問題点を
有している。

【０００７】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、角度スペーサの交換及びタイヤの反転を必要と
せず、簡単な機構で大きなキャンバ角、例えば、±６０
°の間をすべて自動的に付与できるタイヤ走行試験機に
おけるキャンバ付角装置を提供することを目的としてい
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のタイヤ走行試験機におけるキャンバ付角装
置は、床面上に立設され垂直方向に上下２点の支点を有
する支点部材と、この支点部材の支点で端部が軸支され
床面上をコロで揺動する側面視コ字型のエンドフレーム
と、エンドフレームのコ字内をスライド自在であり、タ
イヤを回転自在に支持するキャリッジと、キャリッジを
ドラム状の代用路面に向かって付勢する付勢手段とを備
え、床面に前記支点を中心とする円弧状ラックを設置
し、前記エンドフレームにモータで駆動され円弧状ラッ
クに噛み合うピニオンを取り付けたものである。

【０００９】

【作用】キャンバ付角装置の一端を回転自在に固定し、
他端の描く円弧上に円弧状ラックを敷設し、この円弧状
ラックに噛み合いモータで駆動するピニオンをキャンバ
付角装置に取り付け、キャンバ付角装置が円弧状ラック
に沿って自動的に揺動する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１は、本発明のタイヤ走行試験機におけるキ
ャンバ付角装置の側面図、図２は図１のＢ−Ｂ断面図、
図３は図１のＡ−Ａ断面図、図４は全体の配置を示す上
面図である。

【００１１】図において、１はエンドフレーム、２はキ
ャリッジ、３はコロ、４はラック、５はピニオン、６は
支持枠、７はピン、８は荷重負荷装置、９はドラムであ
る。

【００１２】図１において、エンドフレーム１は側面か
ら見てコの字型であり、その上下の腕の末端１ａは、ド
ラム状の代用路面９の脇に垂直に設置される支持枠６の
内側上下に突設された腕１０にピン７で回転自在に支持
されている。エンドフレーム１はピン７を支点にして円
弧を描き揺動可能である。図２に示されるように、この
支持枠６は四角枠状に組まれた角材であり、床面に立設
されている。エンドフレーム１の垂直枠１１には荷重負
荷用シリンダ８が取り付けられ、エンドフレーム１のコ
の字内のガイド溝１ｂにスライド自在に支持されるキャ
リッジ２と連結して、キャリッジ２に回転自在に取り付
けられるタイヤ１３をドラム９に押しつける。エンドフ
レーム１の垂直枠１１の下面には円弧状ラック上を転動
するコロ３が軸支されエンドフレーム１を水平面内で揺
動可能に支持している。また、垂直枠１１の側面にはモ
ータ１５が取り付けられベアリング１７で支持されるモ
ータ１５の駆動軸１６の下端にピニオン５が取り付けら
れ、このピニオン５が床面上に敷設される円弧状ラック
４と噛み合う。

【００１３】図３において、タイヤ１３はキャリッジ２
に設けられた軸１２に回転自在に取り付けられ、キャリ
ッジ２はエンドフレーム１のガイド溝１ｂに沿って荷重
負荷シリンダ８により図面手前方向に設置されるドラム
９に向かって付勢される。エンドフレーム１にブラケッ
ト１８で取り付けられるモータ１５の駆動軸１６は、横
方向の負荷に耐えるためブラケット１９でエンドフレー
ム１に固定されるベアリング１７で支持され、その下端
にピニオン５が取り付けられている。なお、モータ１５
には、回転数を正確に制御し、始動，停止，逆転等の動
作が連続的に行えるサーボモータを用いると、スイッチ
操作で簡単に所定の角度にエンドフレーム１を移動させ
ることができ、しかも、タイヤを走行させながら、キャ
ンバ角を変化させることもできる。

【００１４】図４において、円弧状ラック４は、エンド
フレーム１の支点となるピン７を中心とし中心角１２０
°の円弧状である。タイヤ１３とドラムの接地面９ａに
対しエンドフレームが直角に置かれている時が、タイヤ
が路面に対し垂直立って走行する直線走行状態であり、
キャンバ角が０°の状態である。そして、図の２点鎖線
位置にエンドフレーム１が揺動している時が、コーナリ
ングなどでタイヤがθ°傾いて斜めに走行している状態
（キャンバ付角がθ°の状態）である

【００１５】次に、図４において、本発明のタイヤ走行
試験機におけるキャンバ付角装置の作動を説明する。キ
ャリッジ２にタイヤ１３を回転自在に取り付け、荷重負
荷シリンダ８を作動させると、タイヤ１３は代用路面９
に押しつけられる。この状態で代用路面９を回転させる
と、それに押しつけられたタイヤ１３も回転する。この
時、ドラムの回転速度を変えれば、所望するスピードを
タイヤに与えて試験することができる。つぎに、モータ
１５を駆動させると円弧状のラック４の歯と噛み合うピ
ニオン５が回転し、エンドフレーム１はラック４上を揺
動する。例えば、ピニオン５が方向に回転すると、ラ
ック４上を方向に揺動し、キャンバ角が所望する角度
θになったところでモータ１５を止めるとエンドフレー
ム１は２点鎖線位置で停止する。この時、モータ１５に
ＡＣサーボモータを用いれば、所望する角度に見合う回
転数をモータに指示するだけで、簡単に所定の角度でエ
ンドフレーム１を停止させることができる。

【００１６】なお、本発明のタイヤ走行試験機における
キャンバ付角装置を設置する場所は便宜上、床面に設置
するとして話を進めてきたが、床面とは限らず、基盤と
なるコモンベース上に乗っても同じものである。

【００１７】

【発明の効果】本発明のタイヤ走行試験機におけるキャ
ンバ付角装置は、必要とするキャンバ角を補う中心角を
有する円弧状ラックと、それに噛み合いモータで駆動す
るピニオンを用いたことにより、簡単な機器構成で、大
きな角度のキャンバ付角状態のタイヤ走行試験が行え、
円弧状ラックの中心角内でキャンバ角を簡単に変化させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のタイヤ走行試験機におけるキャンバ付
角装置の側面図である。

【図２】図１のＢ−Ｂ断面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】本発明のタイヤ走行試験機におけるキャンバ付
角装置の上面図である。

【符号の説明】

１ エンドフレーム ２ キャリッジ ４ 円弧状ラック ５ ピニオン ６ 支持枠（支点部材） ７ ピン（支点） ８ 荷重負荷装置（付勢手段） ９ ドラム（代用路面） １３ タイヤ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床面上に立設され垂直方向に上下２点の
   支点を有する支点部材と、この支点部材の支点で端部が
   軸支され床面上をコロで揺動する側面視コ字型のエンド
   フレームと、エンドフレームのコ字内をスライド自在で
   あり、タイヤを回転自在に支持するキャリッジと、キャ
   リッジをドラム状の代用路面に向かって付勢する付勢手
   段とを備えたタイヤ走行試験機におけるキャンバ付角装
   置において、床面に前記支点を中心とする円弧状ラック
   を設置し、前記エンドフレームにモータで駆動され円弧
   状ラックに噛み合うピニオンを取り付けたことを特徴と
   するタイヤ走行試験機におけるキャンバ付角装置。