JPH0551819A - 低摩耗性遠赤外線放射性複合繊維 - Google Patents

低摩耗性遠赤外線放射性複合繊維

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JPH0551819A
JPH0551819A JP3223612A JP22361291A JPH0551819A JP H0551819 A JPH0551819 A JP H0551819A JP 3223612 A JP3223612 A JP 3223612A JP 22361291 A JP22361291 A JP 22361291A JP H0551819 A JPH0551819 A JP H0551819A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紡糸性が良好で、装置類の摩耗、損傷がな
く、遠赤外線放射効果による保温性の高い複合繊維を提
供すること。 【構成】 ZrO2 /SiO2 /Fe2 3 のような遠
赤外線放射能を有する酸化物セラミックスを3〜30重
量%含有するポリマーを鞘成分とし、ポリエステルを芯
成分とする芯鞘型複合繊維において、該セラミックスを
予め、メルトインデックス15〜50のオレフィン系ポ
リマーで前処理後、メルトインデックス1〜10のオレ
フィン系ポリマー中に分散させてその表面を被覆して用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常温において効率よく
遠赤外線を放射し、かつ摩耗性の低い遠赤外線放射性複
合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルミナ系、ジルコニア系、
マグネシア系等のセラミックスは、遠赤外線を放射する
ことが知られている。また、遠赤外線を人体に照射する
と皮下近傍の細胞分子を刺激し内部発熱による温熱効果
があること、血行を良くし、健康を増進することが知ら
れており、さらに抗菌作用があるともいわれている。
【0003】近年、前記遠赤外線効果を有する繊維製品
を製造するために、前記遠赤外線放射能を有する酸化物
セラミックスを合成繊維に含有させる方法が多数提案さ
れている。例えば、特開昭61−12908号公報、特
開昭63−92970号公報、特開昭63−12697
1号公報、特開昭63−196710号公報、特開平2
−61120号公報が挙げられる。
【0004】特開昭61−12908号公報において
は、繊維となした後に酸化物セラミックスを吸着もしく
は吸尽させるものであり、繊維に吸着、吸尽させる量に
は自ずと限界があり、効果は殆どないのが実情である。
また、特開昭63−196710号公報にて提案されて
いるセラミックスを合成繊維内部に含有せしめる方法
は、充分な遠赤外線放射効果を得るためには、セラミッ
クスの含有率を高める必要があるが、その場合は紡糸性
が悪化し、また、繊維表面にセラミックスが露出するた
め、後加工工程(紡績、カード工程等)で繊維が接触す
る各種ガイド類などの装置の摩耗、損傷が激しく実用性
に乏しい。
【0005】かかる後工程での問題を解決するために、
繊維を芯・鞘構造となし、芯部にセラミックス含有ポリ
マーを配した複合繊維が特開昭63−92720号公報
に提案されている。この方法によると、確かに装置類の
損傷は防止できるが、放射された遠赤外線が、鞘部によ
って吸収されてしまい、効果が充分に発揮されない。充
分な効果を発揮させようとするとセラミックス含有量を
かなり多くするか、鞘部の肉厚を極めて薄いものにしな
ければならず、所期の効果が得られたとしても、紡糸技
術の点で極めて困難を呈する。
【0006】また、特開昭63−126971号公報で
は、セラミックスを含有するポリマーを芯部に配した芯
・鞘型複合繊維となした後、アルカリ液によって被覆層
の一部を除去してセラミックス含有層を表面に露出させ
る技術が開示されているが、アルカリ処理によるコスト
高や、溶解のコントロールの困難さからくる製品品質の
バラツキなど、とても実用に耐えうるとは考え難い。
【0007】さらに、特開平2−61120号公報に
は、繊維断面が極端な凹凸を有しその凹部にセラミック
スを含有するポリマーを配し、その凸部にセラミックス
を含有しないポリマーを配して、該凸部によって装置な
どへの損傷を減少させようとする技術が開示されている
が、繊維断面の特殊さから判断して、これも実用に耐え
うる技術とは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、紡糸性が良好であり、装置類の摩
耗、損傷がなく、充分な遠赤外線放射効果による保温性
の高い複合繊維を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、遠赤外線放射
能を有する酸化物セラミックスを3〜30重量%含有す
るポリマーを鞘成分とし、ポリエステルを芯成分とする
芯鞘構造の複合繊維であって、該セラミックスが予め、
メルトインデックス(JIS K6760)15〜50
のオレフィン系ポリマー中で前処理された後、メルトイ
ンデックス1〜10のオレフィン系ポリマー中に分散し
て被覆されたものであることを特徴とする低摩耗性遠赤
外線放射性複合繊維である。
【0010】本発明において使用される酸化物セラミッ
クスとしては、例えばアルミナ(Al2 3 )系、マグ
ネシア(MgO)系、ジルコニア(ZrO2 )系、チタ
ニア(TiO2 )系のほか、二酸化ケイ素(Si
2 )、酸化クロム(Cr2 3)、フェライト(Fe
2 ・Fe3 4 )、スピネル(MgO・Al
2 3 )、セリア(CeO2 )、ベリリア(BeO)な
どが挙げられる。
【0011】かかる酸化物セラミックスのうち、30℃
における遠赤外線放射率が4.5〜300μmの領域で
65%以上を有するものが好ましく、75%以上を有す
るものがさらに好ましい。
【0012】また、酸化物セラミックスは、その一次粒
子径が0.2〜5μmであることが好ましく、1μm以
下であることがさらに好ましい。一次粒子径が0.2μ
m未満では凝集が激しく繊維中への分散が困難になり実
用的でない。一方、5μmを超えると細デニールの曳糸
性や繊維物性が低下してくる。
【0013】本発明の複合繊維の鞘成分用のポリマーと
しては、特に限定されないが、熱可塑性ポリマー、例え
ばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナロン6,
6などのポリアミドなどが好ましく用いられる。
【0014】一方、芯成分のポリマーとしては、製品の
物性などの面から、繊維形成能が優れている必要がある
ため、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートなどのポリエステルが用いられる。す
なわち本発明においては、鞘成分として酸化物セラミッ
クスを含有するポリマーを使用するため、鞘成分のみで
は曳糸性が悪く、かつ繊維物性も劣ったものしか得られ
ないので、芯成分には繊維形成能に優れ、かつ繊維物性
の優れたものを使用する必要があるのである。
【0015】鞘成分と芯成分の比率は70/30〜40
/60(重量比)の範囲であることが好ましい。芯成分
の比率が30重量%未満では曳糸性が悪くなり、一方、
鞘成分の比率が40重量%未満になると充分な遠赤外線
放射性能を得るためには、鞘成分中の酸化物セラミック
スの割合を多くする必要があり、やはり曳糸性に問題が
あり、安定した生産は困難である。
【0016】本発明において、鞘成分中の酸化物セラミ
ックスの含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜15
重量%とする必要がある。該セラミックスの含有量が3
重量%未満では遠赤外線放射性能が不充分で満足すべき
性能は得られない。一方、30重量%を超えると、複合
繊維の曳糸性が著しく低下して繊維化が困難になるだけ
でなく、繊維物性も劣ったものとなるため好ましくな
い。
【0017】本発明においては、酸化物セラミックスと
して、予めオレフィン系ポリマー中に分散されて該ポリ
マーで被覆されたものを使用する。硬度の高い酸化物セ
ラミックスの表面を遠赤外線の吸収性が低く透過性の高
いオレフィン系ポリマーで被覆することによって保護膜
を形成して、装置類の摩耗、損傷を低減させるためであ
る。
【0018】かかる目的を達成できる皮膜としては、で
きるだけ強固な皮膜が好ましいが、このような皮膜を形
成できるオレフィン系ポリマーは一般に溶融粘度が高い
ため酸化物セラミックスのような微粒粉体の均一な分散
が困難で、凝集が激しくなり、複合繊維の鞘部に含有せ
しめたときに曳糸性を著しく低下させ、繊維形成が困難
となる。
【0019】本発明においては、この問題を解決するた
め、遠赤外線の吸収性が低く、酸化物セラミックスの均
一な分散が容易な、溶融粘度の低いオレフィン系ポリマ
ー中に酸化物セラミックスの微粒粉体を分散させる前処
理を行うことにより、前記のような溶融粘度の高いオレ
フィン系ポリマーとの相溶性を高めた後、溶融粘度の高
いオレフィン系ポリマー中に酸化物セラミックスを分散
させることにより、酸化物セラミックスの表面に強固な
保護膜を形成することを可能にした。
【0020】本発明において用いられるオレフィン系ポ
リマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、これ
らの変性体であるエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ
レン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチル
メタクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合
体、エチレン・メタクリル酸共重合体、またはこれらと
第3成分との三元共重合体などが挙げられるが、これら
になんら限定されるものではない。
【0021】酸化物セラミックスの前処理に用いられる
溶融粘度の低いオレフィン系ポリマーは、メルトインデ
ックス(JIS K6760)が15〜50、好ましく
は15〜30のものである。メルトインデックスが15
未満では酸化物セラミックスの分散が困難であり、一
方、50を超えると、溶融粘度が低すぎ表面保護膜の形
成に使用される溶融粘度の高いオレフィン系ポリマーと
相溶性が悪く酸化物セラミックスの均一な分散が困難と
なり曳糸性が低下し好ましくない。
【0022】また、表面保護膜を形成するための溶融粘
度の高いオレフィン系ポリマーは、メルトインデックス
が1〜10、好ましくは1〜7のものである。メルトイ
ンデックスが1未満では溶融粘度が高すぎ、前処理され
た酸化物セラミックスの分散が困難であり、この場合も
曳糸性が低下し好ましくなく、一方10を超えると装置
類の摩耗、損傷低減効果が小さい。
【0023】酸化物セラミックスをメルトインデックス
15〜50のオレフィン系ポリマーで前処理した後、メ
ルトインデックス1〜10のオレフィン系ポリマー中に
分散させる方法としては、まずメルトインデックス15
〜50のオレフィン系ポリマーを溶融させ、そのなかへ
酸化物セラミックスを添加し、混練することによって、
該セラミックスを凝集させることなくその表面をオレフ
ィン系ポリマーで被覆した後、メルトインデックス1〜
10のオレフィン系ポリマーを用いて、同様にしてメル
トインデックス15〜50のオレフィン系ポリマーで表
面を被覆された酸化物セラミックスをメルトインデック
ス1〜10のオレフィン系ポリマー中に分散させる方法
を挙げることができる。
【0024】前記前処理の具体的な方法としては、酸化
物セラミックスとオレフィン系ポリマー粉末を加圧ニー
ダーに入れ、オレフィン系ポリマーの融点より高い温度
に加熱混練してオレフィン系ポリマーを溶融させた後、
冷却、粉砕する方法が挙げられる。
【0025】オレフィン系ポリマーによる前処理または
分散に用いられる設備としては、一般的にニーダー、バ
ンバリー・ミキサー、二軸混練機が挙げられる。
【0026】メルトインデックス1〜10のオレフィン
系ポリマー中に分散された酸化物セラミックス粒子の断
面形状としては、酸化物セラミックスの表面の第1層に
メルトインデックス15〜50のオレフィン系ポリマー
の膜、第2層にメルトインデックス1〜10のオレフィ
ン系ポリマーの膜が均一に形成された形状でも、その表
面にメルトインデックス15〜50のオレフィン系ポリ
マーの膜(第1層)が形成された酸化物セラミックスの
微粒子がメルトインデックス1〜10のオレフィン系ポ
リマー(第2層)中に分散している形状であっても、さ
らには、酸化物セラミックスがメルトインデックス15
〜50のオレフィン系ポリマー(第1層)中に分散して
形成された粒子の表面にメルトインデックス1〜10の
オレフィン系ポリマー膜(第2層)が形成された形状で
あってもよい。
【0027】本発明において行われる前処理によりメル
トインデックス15〜50のオレフィン系ポリマーでそ
の表面を被覆された酸化物セラミックスは、他のオレフ
ィン系ポリマーとの相溶性が向上しており、メルトイン
デックス1〜10のオレフィン系ポリマーと混練しても
凝集することなく、容易に均一に分散せしめることがで
き、該セラミックスの表面には強固なオレフィン系ポリ
マーの皮膜が形成され、これを芯・鞘型複合繊維の鞘部
に含有せしめた場合、酸化物セラミックスが繊維表面に
存在するため、極めて効率よく遠赤外線を放射し、かつ
該セラミックスの表面は強固なオレフィン系ポリマーで
被覆されているため、各種ガイド類等の装置の摩耗、損
傷が極めて少ないという画期的な遠赤外線放射性複合繊
維が得られるのである。
【0028】前記のようにして得られた、オレフィン系
ポリマーで表面を被覆された酸化物セラミックスを芯・
鞘型複合繊維の鞘部に含有せしめるためには、通常の溶
融紡糸に用いられる一軸もしくは二軸のエクストルーダ
ーによれば容易に目的を達成することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例1〜3、比較例1〜9 波長4.5〜30μmの範囲内の放射率が30℃におい
て70%以上で、平均放射率が75%、平均粒径が0.
9μmの酸化物セラミックス(ZrO2 /SiO2 /F
2 3 =64/35/1)と第1層用に用いるメルト
インデックス15〜50のオレフィン系ポリマーを加圧
ニーダーにてその融点より100〜150℃高い温度で
溶融混練後、冷却、粉砕して表面にオレフィン系ポリマ
ーの皮膜を有する酸化物セラミックスの微粒子を得た。
この微粒子と第2層用に用いるメルトインデックス1〜
10のオレフィン系ポリマーを二軸混練機にてその融点
より100〜150℃高い温度で溶融混練後、冷却、粉
砕し、表面をメルトインデックスの異なる2種類のオレ
フィン系ポリマーで被覆された酸化物セラミックスの微
粒子(平均粒径1.0〜1.1μm)を得た。
【0030】次いで、こうして得られた酸化物セラミッ
クスの微粒子と35℃、o−クロロフェノール中におけ
る極限粘度が0.640のポリエチレンテレフタレート
を酸化物セラミックスの含有量が所定量となるように溶
融ブレンドして鞘成分とし、極限粘度0.640のポリ
エチレンテレフタレートを芯成分として、吐出量重量比
が50:50になるように芯・鞘型複合紡糸装置に供給
し、孔径0.5mmφの口金より紡出して、紡速700m
/分で巻き取った。
【0031】得られた未延伸糸を集束して400万デニ
ールとし、温水中70℃で3倍に延伸、捲縮を付与した
後、140℃で熱セットして、繊維長51mmにカット
し、得られた原綿を紡績して40番手糸を得た。該紡績
糸をLAWSON-HEMPILL社製の糸摩耗試験機にて摩耗性の評
価を行った。
【0032】評価方法は以下のとおりである。すなわ
ち、該紡績糸を編み針(KFPS46.58G12)に
通し、角度30度、張力20gで編み針の穴と接触走行
させ、穴の摩耗状態を比較した。
【0033】判定の基準は以下の通りとした。1,00
0m走行後の編み針の穴の状態が、 ◎:摩耗痕が全く見られない〜糸導がわかる程度の僅か
な摩耗が見られる。 ○:糸の入り側のみに摩耗痕が見られる。 △:糸の入り側に摩耗痕が見られ、出側にも僅かな摩耗
が見られる。 ×:糸の入り側と出側にはっきりと摩耗痕が見られる。
【0034】また、得られた紡績糸より平織の織物を
得、これを腕に付着させて、皮膚温度の変化を測定し
た。この結果、摩耗性の評価結果および紡糸性を表1に
併せて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の遠赤外線放射性複合繊維は、紡
糸性が良好であり、含有する酸化物セラミックスの表面
がオレフィン系ポリマーで被覆されているため、従来多
発していた装置、設備類の摩耗、損傷がなく、かつ芯・
鞘型複合繊維の鞘部に酸化物セラミックスを含有してい
るので良好な遠赤外線放射性能を有する、優れた紡績
糸、不織布などを効率よく生産することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/92 Q 7199−3B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠赤外線放射能を有する酸化物セラミッ
    クスを3〜30重量%含有するポリマーを鞘成分とし、
    ポリエステルを芯成分とする芯鞘構造の複合繊維であっ
    て、該セラミックスが予め、メルトインデックス(JI
    S K6760)15〜50のオレフィン系ポリマー中
    で前処理された後、メルトインデックス1〜10のオレ
    フィン系ポリマー中に分散して被覆されたものであるこ
    とを特徴とする低摩耗性遠赤外線放射性複合繊維。
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