JPH0551787A - 溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れたクロメート処理鋼板 - Google Patents

溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れたクロメート処理鋼板

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JPH0551787A
JPH0551787A JP18784991A JP18784991A JPH0551787A JP H0551787 A JPH0551787 A JP H0551787A JP 18784991 A JP18784991 A JP 18784991A JP 18784991 A JP18784991 A JP 18784991A JP H0551787 A JPH0551787 A JP H0551787A
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JP
Japan
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chromate
corrosion resistance
coating
treated steel
concentration
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JP18784991A
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Ikuo Kikuchi
郁夫 菊池
Toshio Odajima
壽男 小田島
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を有
し、かつ優れた溶接性をも確保できるクロメート処理鋼
板である。 【構成】 鋼板表面にCr8〜14重量%、Ni0.1
〜1.0重量%未満、残部ZnとするZn−Cr−Ni
系合金めっき層を形成し、その上層にクロメート皮膜層
を形成したことを特徴とするクロメート処理鋼板であ
る。 【効果】 表面処理鋼板として、自動車、家電、建材等
の品質及び耐用年数の向上に優れた効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、家電、建材等に
使用される溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き
性、特に加工部や疵付部において耐食性及び耐穴明き性
に優れたクロメート処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板、
あるいは各種の亜鉛系合金めっき鋼板は、耐食性が優れ
ることから自動車、家電製品、建材等に汎用されてい
る。近年、特に耐食性に優れた表面処理鋼板に対する要
求がますます強くなり、このような鋼板の需要は今後急
速に増加する傾向にある。
【0003】例えば自動車業界では、冷寒地帯における
冬期の道路凍結防止用の岩塩散布により、自動車車体が
激しい腐食環境に曝されるため、安全上の観点からさら
に優れた耐食性及び耐穴明き性を有する表面処理鋼板が
強く要求されている。また建材業界では、建築構造物の
長寿命化に対する要求から表面処理鋼板の大量採用や、
さらにその鋼板に電着塗装(以後、ED塗装と呼ぶ)を
施すことが急速に広がりつつあり、塗装後の耐食性や耐
穴明き性に優れた表面処理鋼板の要求が益々強くなる傾
向にある。
【0004】このような要求に対し、亜鉛の溶解を抑制
する元素を含有させた各種の合金めっき鋼板や、さらに
これらの合金めっき鋼板の上層にクロメート皮膜層を形
成したクロメート処理鋼板が数多く提案されている。
【0005】このようなクロメート処理鋼板において、
耐食性は下地のめっき層に負うところが大きく、上層の
クロメート層もミクロ的に均一でないため、必ずしも耐
食性は十分ではない。これまで開示されている技術は、
下地のめっき層がZn−Co,Zn−Mn,Zn−N
i,Zn−Fe系合金めっき等であり、特にZn−Ni
系合金めっきを下地のめっき層として用いたクロメート
処理鋼板は、通常のZnめっきを用いたものに比べ未加
工時の耐食性には優れている。しかし、加工後の裸耐食
性及び塗装後の耐食性は必ずしも十分ではない。
【0006】さらに、下地のめっき層として前記の合金
めっきよりも優れた耐食性を有するZn−Cr系めっき
を用いたクロメート処理鋼板(特開平1−177386
号公報)も提案されている。その提案内容はCr5〜4
0%含有する亜鉛−クロム系電気めっき層の表面にクロ
メート皮膜を形成せしめたことを特徴とする亜鉛−クロ
ム系電気めっき鋼板である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら最近の傾
向として、自動車用鋼板は裸耐食性のみならず、塗装後
の耐食性、特に加工部や疵付部における耐食性や耐穴明
き性に優れたものでなければならない。
【0008】これに対し、前述した下地めっき層がZn
−Co,Zn−Mn,Zn−Ni,Zn−Fe系合金め
っき等であるクロメート処理鋼板は、しごきや延びが加
わる加工を行うと、疵付部や下地めっき層のクラック部
から腐食が広がり、その耐食性は大幅に低下する。ま
た、端面や疵付部において赤錆発生し易く、塗装後の耐
食性及び耐穴明き性も満足されるものではない。
【0009】また、特開平1−177386号公報のク
ロメート処理鋼板では、Cr濃度が上がるにつれて、加
工部においても裸耐食性は向上する。特にCr濃度10
重量%以上では、Crの難溶性腐食生成物が保護皮膜と
して均一に腐食部を覆うため優れた裸耐食性を示す。
【0010】しかし、Zn−Cr系合金めっき層ではめ
っき層Cr濃度の増加にともない、めっき層とクロメー
トとの反応性が低下するため、Zn−Ni系合金めっき
層上に形成されるクロメート皮膜のような緻密で耐食性
に優れたクロメート皮膜は形成され難い。
【0011】従って、Zn−Cr系めっき層におけるめ
っき層−クロメート層間の密着性は従来のZn−Ni系
めっき層に比べて低く、水、酸素、塩素イオン等の腐食
因子が侵入し易い傾向にある。そのため塗装後、加工部
や疵付部において塗膜下での腐食が進行し易い傾向にあ
り、塗装後の耐食性は必ずしも十分とは言えない。ま
た、めっき層Cr濃度の増加にともない溶接性も低下
し、Cr濃度10%以上では十分に満足されるものでは
ない。
【0012】本発明は上記問題に鑑みなされたもので、
優れた溶接性を示し、かつ加工部や疵付部において塗装
後の耐食性及び耐穴明き性に、極めて優れたクロメート
処理鋼板を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、Znを主成分
とし、CrとNiを特定濃度に限定したZn−Cr−N
i系合金めっき層を形成し、その上層にクロメート皮膜
を形成したことを特徴とするクロメート処理鋼板であ
り、詳しくは、鋼板表面にCr濃度8〜14重量%、N
i濃度0.1〜1.0重量%未満、残部Znとするめっ
き層を形成し、その上層にクロメート皮膜層を形成した
ことを特徴とする溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐
穴明き性に優れたクロメート処理鋼板である。
【0014】なお前記の特開平1−177386号公報
には、ZnとCrを主体とするめっき層中に、さらにF
e,Ni,Co,Mn,Sn,Sb,Al,Mo,W,
Ti,Si,Cu,Na,Mg,P,O,C等が少量含
有される電気めっき層も開示される。このめっき層にお
いて副成分であるFe,Ni,Co,Mn,Sn,S
b,Al,Mo,W,Ti,Si,Cu,Na,Mg,
P,O,C等が少量であればCrの難溶性腐食生成物の
形成を阻害することなく、ZnとCrの2成分系のみか
らなるめっき層を用いて、上層にクロメート皮膜を形成
せしめたクロメート処理鋼板と同様の耐食性を示すと記
載される。
【0015】その具体例として、Zn:88%,Cr:
11%,Ni:1%の組成を有するZn−Cr系電気め
っき層の上層に、電解型クロメートを総Cr量で20mg
/m2 形成せしめた鋼板が開示される。
【0016】本発明は、副成分としてNiのみを選択
し、かつその濃度を0.1〜1.0重量%未満に限定す
ると共に、更にCr濃度を8〜14重量%に限定するZ
n−Cr−Ni系合金めっき層を用い、その上層にクロ
メート皮膜層を形成したことを特徴とするクロメート処
理鋼板であり、優れた溶接性を示し、かつ加工部や疵付
部において極めて優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性
を得ることができる。
【0017】さらに本発明者等の調査結果によれば、特
開平1−177386号公報の前記した具体例(Zn:
88%,Cr:11%,Ni:1%)からなる電気合金
めっき層の上層に電解型クロメート皮膜をクロム付着量
(総Cr量)で20mg/m2 形成せしめた鋼板は、Cr
濃度が11%と高いため裸耐食性においてはかなり優れ
るものの、Ni濃度が1%と高いため、塗装後に加工部
や疵付部において腐食がある程度進行すると塗膜下でN
i濃縮層が形成され、鋼板(Fe)とNi濃縮層との間
で電位の逆転が起こるため、特に疵付部において赤錆が
出やすく、塗装後の耐食性及び耐穴明き性が劣る問題が
ある。
【0018】
【作用】本発明は、Znを主成分とし、CrとNiを特
定濃度に限定したZn−Cr−Ni系合金めっき層を形
成し、その上層にクロメート皮膜層を形成したことを特
徴とするクロメート処理鋼板であり、以下に本発明例に
ついて詳細に説明する。図1は、目付量を20g/m2
一定にし、Cr濃度を種々変化させたZn−Cr系合金
めっき層を形成し、その上層に市販の塗布型クロメート
皮膜を総Cr量で50mg/m2 形成したクロメート処理
鋼板の溶接性評価結果を示す。
【0019】また図2は、目付量を20g/m2 一定に
し、Cr濃度及びNi濃度を種々変化させたZn−Cr
−Ni系合金めっき層を形成し、その上層に市販の塗布
型クロメート皮膜を総Cr量で50mg/m2 形成したク
ロメート処理鋼板の溶接性評価結果を示す。
【0020】溶接性はスポット溶接を行い、ナゲット径
が4mmφ以下になるまでの連続打点数で以下のように4
段階で評価した。 ◎:3500点以上 ○:2500点以上〜3500点未満 △:1500点以上〜2500点未満 ×:1500点未満 図1から明らかなように、Zn−Cr系クロメート処理
鋼板の溶接性は、Cr濃度が増加するにつれ次第に低下
する。これに対し図2から明らかなように、Zn−Cr
−Ni系クロメート処理鋼板では、Ni濃度0.1〜
3.0重量%でかつCr濃度14重量%以下の範囲で極
めて優れた溶接性を示すが、Ni濃度0.1重量%未満
あるいは3.0重量%超では溶接性が低下する。また、
Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板においても、C
r濃度14重量%超では溶接性が低下する傾向にある。
【0021】ここで、Zn−Cr−Ni系クロメート処
理鋼板において、Niを特定濃度に限定することによ
り、Zn−Cr系クロメート処理鋼板に比べ、極めて広
いCr濃度域において優れた溶接性を示す理由は以下の
ように推測される。
【0022】Zn−Cr系合金めっき層は、Zn−Ni
系合金めっき層に比べ比較的軟らかく、電極チップの圧
力によるめっき層の変形が大きい。また、Zn及びCr
が電極チップへ拡散し易く連続溶接性が劣る傾向にあ
る。このZn−Cr系合金めっき層にNiを共析させる
ことにより、溶接時の電極チップへのZn及びCrの拡
散が抑制されると同時に、めっき層がやや硬くなること
により、電極チップの圧力によるめっき層の変形が小さ
くなり、溶接部に電流が集中し易くなることが、Zn−
Cr−Ni系クロメート処理鋼板における溶接性の飛躍
的向上要因と推測される。
【0023】一方、Ni濃度が0.1重量%未満では、
電極チップへのZn及びCrの拡散抑制効果が低く、ま
たNi濃度が3.0重量%超あるいはCr濃度14重量
%超では、めっき層が脆くなり過ぎて電極チップの圧力
によりめっき層が破壊されるため、溶接性が向上しない
ものと思われる。
【0024】次に、目付量を20g/m2 一定にし、C
r濃度を種々変化させたZn−Cr系合金めっき層を形
成し、その上層に市販の塗布型クロメート皮膜を総Cr
量で50mg/m2 形成したクロメート処理鋼板に、図3
に示すビード付きU曲げ加工を行った後、市販のカチオ
ン型ED塗装を20μmの膜厚で実施し、更に図4に示
すようにカッターナイフを用いて素地に達するクロス状
の疵(クロスカット)を入れたものについて、塗装後の
耐食性及び耐穴明き性を評価した結果を図5及び図6に
示す。図3の(a)は評価位置を示す。
【0025】また、目付量を20g/m2 一定にし、C
r濃度及びNi濃度を種々変化させたZn−Cr−Ni
系合金めっき層を形成し、その上層に市販の塗布型クロ
メート皮膜を総Cr量で50mg/m2 形成したクロメー
ト処理鋼板についても同様にビード付きU曲げ加工・E
D塗装・クロスカットを行い、塗装後の耐食性及び耐穴
明き性を評価した結果を図7及び図8に示す。
【0026】ビード付きU曲げ加工は図3に示すよう
に、押しつけ荷重(B.H.F):1.5ton で実施し
た。塗装後の耐食性及び耐穴明き性の評価試験は、以下
に示すサイクルの腐食試験を用いて行った。
【0027】
【外1】
【0028】塗装後の耐食性の評価は上記サイクルを1
サイクルとし、クロスカット部の赤錆発生率が50%に
達するまでのサイクル数で、以下のように4段階で評価
した。 ◎:120サイクル以上 ○: 80サイクル以上〜120サイクル未満 △: 40サイクル以上〜 80サイクル未満 ×: 40サイクル未満 また、塗装後の耐穴明き性の評価は、200サイクル後
のクロスカット部の最大板厚減少量を測定し、以下のよ
うに4段階で評価した。 ◎:0.1mm以下 ○:0.1mm超〜0.3mm以下 △:0.3mm超〜0.5mm以下 ×:0.5mm超 図5及び図6から明らかなように、Zn−Cr系クロメ
ート処理鋼板の塗装後の耐食性及び耐穴明き性は、Cr
濃度が増加するにつれ向上し、Cr濃度10〜14重量
%の領域で比較的良好である。それ以上のCr濃度で
は、めっき層の加工性が低下するため、加工によりめっ
き層が破壊され塗装後の耐食性及び耐穴明き性は低下す
る傾向にある。Zn−Cr系クロメート処理鋼板におい
て、Cr濃度10〜14重量%の領域で耐食性及び耐穴
明き性が比較的良好になるのは、めっき層の加工性及び
耐食性の双方が優れる領域がこのCr濃度域にあるため
と思われる。
【0029】これに対し、図7及び図8から明らかなよ
うに、Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板では、N
i濃度0.1〜1.0重量%未満で、かつCr濃度8〜
14重量%の範囲で、Zn−Cr系クロメート処理鋼板
に比べ、極めて優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を
示す。一方、Ni濃度0.1重量%未満あるいは1.0
重量%以上、Cr濃度8重量%未満あるいは14重量%
超では、塗装後の耐食性及び耐穴明き性は低下する。こ
こで、Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板におい
て、Cr及びNi濃度を特定濃度に限定することによ
り、Zn−Cr系クロメート処理鋼板に比べ、極めて優
れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を示す理由は以下の
ように考えられる。
【0030】クロメート処理鋼板において塗装後に加工
部や疵付部の耐食性が優れるためには、めっき層自身が
加工性及び耐食性に優れていると同時に、さらに上層に
形成されるクロメート皮膜がめっき層との密着性に優
れ、かつ耐食性に優れたものでなければならない。
【0031】本発明のZn−Cr−Ni系クロメート処
理鋼板において、めっき層のNiは主に次の2つの作用
を持ち、それぞれの作用の相乗効果により初めて、極め
て優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を発揮するもの
と考えられる。
【0032】第一に、Niの作用は緻密で難溶性の腐食
生成物の形成促進にある。CrはZnと共析することに
より、不働態化せず活性状態を維持してZnとともに鋼
板素地に対する犠牲防食作用に加担する。その際に、特
定濃度のNi(0.1〜1.0重量%未満)が存在する
ことにより、加工部や疵付部等の腐食が進行し易い部位
においてNiの濃縮層が形成されることなく、Zn及び
Crの腐食生成物は微量のNiを含む難溶性で極めて緻
密な保護皮膜となり、水、酸素、塩素イオン等の腐食因
子の侵入を抑制する効果が極めて高くなると考えられ
る。
【0033】第二に、Niの作用は密着性及び耐食性に
優れた緻密なクロメート皮膜の形成にある。Zn−Cr
系合金めっき層では、Cr濃度の増加にともないめっき
層とクロメートとの反応性が低下するため、めっき層自
身の耐食性が優れるCr濃度域では、密着性及び耐食性
に優れた緻密なクロメート皮膜の形成が阻害される。そ
のため従来の電解型クロメートや塗布型クロメート、反
応型クロメート等何れのクロメート処理液を用いても密
着性及び耐食性に優れた緻密なクロメート皮膜が形成さ
れ易いZn−Ni系合金めっき層に比べ、Zn−Cr合
金めっき層ではめっき層−クロメート皮膜界面やクロメ
ート皮膜層中への腐食因子の侵入に対する抑制効果が低
く、塗装後に加工部や疵付部において膨れを伴う塗膜下
での腐食が進行し易い傾向にある。
【0034】これに対し、Ni及びCrを特定濃度(N
i濃度が0.1〜1.0重量%未満で、かつCr濃度が
8〜14重量%)に限定したZn−Cr−Ni系合金め
っき層は、Niの存在によって、Cr6+及び/又はCr
3+を含有する酸性処理液との反応性が高められると同時
に、めっき層表面のZn2+のクロメート層への溶出が抑
制されるため、前記したいずれのクロメート処理液を用
いても密着性及び耐食性に優れた緻密なクロメート皮膜
が形成される。また、これらのクロメート皮膜は加工を
受けても損傷が少なく、Cr6+による優れた自己補修効
果と緻密なクロメート皮膜層自身のバリアー効果に優
れ、腐食因子の侵入に対して優れた抑制効果を発揮する
ものと考えられる。
【0035】一方、Ni濃度0.1重量%未満では、前
記したNiの効果がほとんど認められない。また、Ni
濃度1.0重量%以上では、密着性及び耐食性に優れた
緻密なクロメート皮膜は形成されるものの、塗装後に加
工部や疵付部等の部位において、腐食がある程度進行す
るとNi濃縮層が形成され、そのNi濃縮層と鋼板素地
(Fe)との間に電位の逆転現象が起こり、鋼板素地の
溶解が促進される。即ち、換言すると赤錆が発生するた
め、塗装後の耐食性及び耐穴明き性が低下することにな
る。
【0036】また更に、Ni濃度が0.1〜01.0量
%未満の範囲であっても、Cr濃度8重量%未満では、
めっき層自身の耐食性が十分ではなく、Cr濃度14重
量%超ではめっき層の加工性が低下するために、加工部
における塗装後の耐食性及び耐穴明き性が低下するもの
と考えられる。
【0037】従って、以上のことから明らかなように、
前記した特定範囲に限定されるNi及びCr濃度(Ni
濃度0.1〜1.0重量%未満、Cr濃度8〜14重量
%)のZn−Cr−Ni系合金めっき層を用い、その上
層にクロメート皮膜層を形成したクロメート処理鋼板に
よれば、塗装後に加工部や疵付部等において腐食進行速
度が極めて遅く、かつある程度腐食が進行してもNi濃
縮層が形成されることが無く(換言すると、塗装後にN
i濃縮層の形成による鋼板素地(Fe)との電位逆転現
象による赤錆発生が認められず)、長期間にわたって犠
牲防食作用及び保護皮膜によるバリアー効果が維持さ
れ、極めて優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を有
し、かつ溶接性にも優れたクロメート処理鋼板が得られ
ることを初めて見出した。
【0038】このことから本発明では、クロメート処理
鋼板製造に際し、鋼板の表面にCr濃度8〜14重量
%、Ni濃度0.1〜1.0重量%未満、残部Znとす
るZn−Cr−Ni系合金めっき層を形成し、その上層
にクロメート皮膜層を形成することとする。ここで本発
明のクロメート処理鋼板を製造する際に用いるクロメー
トは、公知の電解型クロメート処理、塗布型クロメート
処理、反応型クロメート処理等のいずれも適用可能であ
る。
【0039】電解型クロメート処理としては、クロム酸
に硫酸、各種リン酸及びリン酸塩類、ハロゲンイオンを
添加するもの、及び/またはSiO2 ,Al2 3 ,M
gO,TiO2 等の水分散型ゾル類を添加するもの、C
o,Mg等の金属イオンを微量添加するものも適用でき
る。
【0040】塗布型、反応型クロメート処理としては、
Cr6+とCr3+イオンに加えて、各種リン酸及びリン酸
塩類やフッ化物類を添加するもの、無機コロイド類やシ
ランカップリング剤を添加するもの、及び/または有機
樹脂を添加するものも適用可能である。
【0041】また、そのクロメート皮膜層の皮膜量は、
総Cr量として30〜120mg/m2 が適用可能であ
る。30mg/m2未満ではクロメート皮膜層が薄いた
め、加工による耐食性の低下が大きく満足されるレベル
に達しないことが多い。また、120mg/m2 超では溶
接性が悪化し実用上好ましくない。
【0042】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例とともに表1
に示す。 (1)めっき条件 冷延鋼板を電解アルカリ脱脂し、電解酸洗した後、以下
の条件によりめっきを行った。めっき液流速:0.8〜
1.5m/分、温度:50℃、pH=1.2〜1.4の
硫酸浴を用いた。めっき浴の組成は、Zn2+イオン:5
0〜70g/l、Cr3+イオン:20〜40g/l、N
2+イオン:0〜30g/l、Na+ イオン:20g/
l、ポリエチレングリコール:1〜2g/lとし、Cr
及びNiの含有率はそれぞれの添加量及び電流密度等に
より制御し、めっき付着量は20g/m2 とした。
【0043】(2)クロメート処理 電解型クロメート処理 クロム酸:30g/l、Co2+イオン:2.3g/l、
Cl- イオン:0.3g/l、浴温:40℃の処理液を
用いて、めっき板に陰極電解し、クーロン量調整により
クロメート皮膜量を調節した。 塗布型クロメート処理 クロム酸:50g/l(Cr6+イオン:50%、Cr3+
イオン:50%)、PO4 3-イオン:65g/l、シラ
ンカップリング剤:12g/lからなる処理液をめっき
板にロールコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥し
た。クロメート皮膜量は液の希釈率とロールコーターの
圧加力及び回転数で調節した。 反応型クロメート処理 クロム酸:50g/l、PO4 3-イオン:20g/l、
NaF:0.5g/l、K2 TiF6 :4g/lからな
る処理液をめっき板にスプレーし、100℃で乾燥し
た。クロメート皮膜量は液の希釈率とスプレー時間で調
節した。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、Ni濃度を0.
1〜1.0重量%未満、Cr濃度を8〜14%の範囲に
限定したZn−Cr−Ni系合金めっき層を下地として
用い、その上層にクロメート皮膜層を形成したことを特
徴とするクロメート処理鋼板によって初めて、溶接性な
らびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れたクロメー
ト処理鋼板が得られるものである。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、塗装後に極めて優れた
耐食性、耐穴明き性を有し、同時に溶接性にも優れたク
ロメート処理鋼板が得られ、高い耐食性を必要とする自
動車、家電製品、建材等の品質及び耐用年数の向上に資
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zn−Cr系クロメート処理鋼板におけるCr
濃度と溶接性の関係を示す図表である。
【図2】Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板におけ
るCr及びNi濃度と溶接性の関係を示す図表である。
【図3】ビード付きU曲げ加工の形状及び塗装後の耐食
性及び耐穴明き性の評価を実施した試料位置と形状を示
す図面である。
【図4】ビード付きU曲げ加工の形状及び塗装後の耐食
性及び耐穴明き性の評価を実施した試料位置と形状を示
す図面である。
【図5】Zn−Cr系クロメート処理鋼板におけるCr
濃度と塗装後の耐食性及び耐穴明き性の関係を示す図表
である。
【図6】Zn−Cr系クロメート処理鋼板におけるCr
濃度と塗装後の耐食性及び耐穴明き性の関係を示す図表
である。
【図7】Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板におけ
るCr及びNi濃度と塗装後の耐食性及び耐穴明き性の
関係を示す図表である。
【図8】Zn−Cr−Ni系クロメート処理鋼板におけ
るCr及びNi濃度と塗装後の耐食性及び耐穴明き性の
関係を示す図表である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面にCr濃度8〜14重量%、
    Ni濃度0.1〜1.0重量%未満、残部ZnとするZ
    n−Cr−Ni系合金めっき層を形成し、その上層にク
    ロメート皮膜層を形成したことを特徴とする溶接性なら
    びに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れたクロメート
    処理鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05112891A (ja) * 1991-08-21 1993-05-07 Nkk Corp 耐食性、めつき密着性および化成処理性に優れた亜鉛−ニツケル−クロム合金電気めつき鋼板
US7352869B2 (en) 2003-06-05 2008-04-01 Honda Motor Co., Ltd. Apparatus for and method of actively controlling vibratory noise, and vehicle with active vibratory noise control apparatus

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