JPH05514U - 自動車用内装部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両の側方からの衝撃に対して、この衝撃を有
効に吸収して乗員を確実に保護することを可能にした自
動車用内装部品を提供することを目的とする。 【構成】芯材１１裏面に固着される衝撃吸収パッド２０
として、軟質発泡体２１と硬質発泡体２２との複合体を
使用する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車用ドアトリム等の自動車用内装部品に関するもので、特に 、車両に対して側方からの衝撃に対してその衝撃吸収性を向上させた自動車用内 装部品に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、図６に示すように、自動車室内のドアパネルに内装される自動車用ド アトリム１は、保形性ならびに車体パネルへの取付剛性を備えた芯材２と、この 芯材２の表面に積層され、クッション性を有するパッド材３と、それらの外周を 被覆する装飾性を備えた表皮材４とから構成されている。

【０００３】 そして、芯材２としては、樹脂板あるいはバインダとして合成樹脂を含浸させ た木質系マット等をプレス成形することにより所要形状に成形されたものを使用 し、パッド材３としては、ポリウレタンフォームあるいはポリエチレンフォーム 等のクッション機能を備えた発泡体が使用され、かつ、表皮材４としては、表面 感触、表面外観の優れたクロスあるいはＰＶＣシート等が使用され、これらの素 材を一体に成形加工することにより自動車用ドアトリム１が製作される。

【０００４】 さらに、ドアトリム１の内面側には、車体パネル５との間に衝撃吸収パッド６ が設置されており、ある程度の衝撃に対して、この衝撃吸収パッド６により衝撃 吸収を図り、乗員を保護している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の衝撃吸収パッド６の構成としては、軟質ポリウレタンフ ォーム等の軟質材料、あるいはアクリルフォーム等の硬質材料などの単一材料の 使用しか行なわれておらず、衝撃吸収パッド６の機能としては、図７のグラフに おいて実線で示す理想曲線のように、所定値までは付加荷重に対して圧縮率が小 さくて、初期衝撃吸収機能が得られ、所定値を越えた場合には付加荷重に対して 圧縮率が大きくなるのがよい。

【０００６】 しかしながら、単一の軟質材料を使用した場合に、図７のグラフで点線で示す ように、衝撃に対してほぼ一定の割合の圧縮率を示し、初期衝撃吸収機能が得ら れないという欠点があった。

【０００７】 さらに、単一の硬質材料を使用した場合では、図７のグラフで一点鎖線で示す ように、初期衝撃吸収機能が得られるものの、それを越えた場合の衝撃に対して は圧縮率が小さく、大きな荷重に対してその衝撃吸収機能は理想のものにかけ離 れたものとなっている。

【０００８】 本考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、本考案の目的とするとこ ろは、特に、側方からの衝撃吸収機能に優れ、乗員の保護機能を高めた自動車用 内装部品を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、所要形状に成形された芯材と、この芯 材裏面の適宜位置に固着され、車体パネルとの間のスペーサとして機能する衝撃 吸収パッドとを備えた自動車用内装部品において、 前記衝撃吸収パッドは、軟質発泡体と硬質発泡体との複合体から構成されてい ることを特徴とする。

【００１０】

【作用】

以上の構成から明らかなように、衝撃吸収パッドは、硬質発泡体と軟質発泡体 との複合体から構成されることにより、両者の長所、すなわち初期の衝撃に対す る硬質発泡体の初期衝撃吸収機能と、軟質発泡体の付加荷重に対して大きな圧縮 率を呈する性質を併用することにより、側方からの衝撃に対して、有効な衝撃吸 収性能が得られる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案に係る自動車用内装部品の実施例について、添付図面を参照しな がら詳細に説明する。

【００１２】 図１は本考案を自動車用ドアトリムに適用した実施例を示す断面図、図２ない し図４は本考案の別実施例を示す要部断面図、図５は本考案と従来例との作用を 比較して示すグラフである。

【００１３】 図１において、この自動車用ドアトリム１０は、ハードボード，樹脂板等を所 要形状にプレス成形してなる芯材１１と、この芯材１１の表面側に貼着され、適 度のクッション性と表面装飾性を備えた表皮材１２と、芯材１１の裏面所定箇所 に接着固定され、車体パネル３０との間のスペーサとなる衝撃吸収パッド２０と から大略構成されている。

【００１４】 さらに詳しくは、上記衝撃吸収パッド２０は、芯材１１面側に発泡倍率４０倍 のスチレン系フォーム等の軟質発泡体２１を位置させ、車体パネル３０側に発泡 倍率２５倍のアクリルフォーム等の硬質発泡体２２を位置させた複合体から構成 されているのが特徴である。

【００１５】 なお、図中符号２３は擦れ音防止機能をもつ不織布を示す。

【００１６】 したがって、車両の側方からの衝撃に対して、車体パネル３０の弾性により衝 撃の一部を軽減するとともに、残りの衝撃は、車体パネル３０側の硬質発泡体２ ２により初期衝撃吸収が行なわれ、かつトリム１０側の軟質発泡体２１が付加荷 重に対して圧縮するため、衝撃が有効に吸収され、ドアトリム１０を通じて乗員 に伝わる衝撃はわずかなものとなり、優れた乗員保護機能が得られる。

【００１７】 次いで、図２乃至図４は本考案の別実施例を示すもので、図２は、角柱状の軟 質発泡体２１のブロックを硬質発泡体２２の凹部内に接着固定したもの、また図 ４は、断面台形状の軟質発泡体２１のブロックを硬質発泡体２２の凹部内に接着 固定したもの、更に図５は、軟質発泡体２１と硬質発泡体２２とを嵌め合い接合 して、接着剤を不要とした実施例であり、図２乃至図４の実施例においても、軟 質発泡体２１と硬質発泡体２２との相乗効果により優れた衝撃吸収性能が得られ る。

【００１８】 上記衝撃吸収パッド２０の衝撃吸収機能は、図５に二点鎖線で示すように、実 線で示す理想曲線とほぼ同一の軌跡を示しており、点線および一点鎖線で示す従 来例のものに比べ、理想曲線により近いことから、従来のものに比べ衝撃吸収機 能に優れていることが容易に理解できる。

【００１９】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案による自動車用内装部品は、芯材の裏面に硬質発泡 体と軟質発泡体ととの複合体からなる衝撃吸収パッドを設定するという構成であ り、車両の側方からの衝撃に対して、硬質発泡体および軟質発泡体のもつ相互の 衝撃吸収能力の長所を相乗的に組み合わせるというものであり、特に、従来、側 方からの衝撃に対して保護手段が講じられていない実情から鑑みて、乗員の安全 保護機能に大きく貢献することができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用した自動車用ドアトリムの構成を
示す断面図。

【図２】本考案の別実施例を示す要部断面図。

【図３】本考案の別実施例を示す断面図。

【図４】本考案の別実施例を示す断面図。

【図５】本考案と従来例との衝撃吸収性能を比較して示
すグラフ。

【図６】従来の自動車用ドアトリムの構成を示す断面
図。

【図７】従来の衝撃吸収パッドの衝撃吸収性能を理想曲
線と対比して示すグラフ。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム １１ 芯材 １２ 表皮材 ２０ 衝撃吸収パッド ２１ 軟質発泡体 ２２ 硬質発泡体 ２３ 不織布 ３０ 車体パネル

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所要形状に成形された芯材（１１）と、こ
   の芯材（１１）裏面の適宜位置に固着され、車体パネル
   （３０）との間のスペーサとして機能する衝撃吸収パッ
   ド（２０）とを備えた自動車用内装部品において、前記
   衝撃吸収パッド（２０）は、軟質発泡体（２１）と硬質
   発泡体（２２）との複合体から構成されていることを特
   徴とする自動車用内装部品。
2. 【請求項２】軟質発泡体（２１）と硬質発泡体（２２）
   とがそれぞれ嵌め合い接合されていることを特徴とする
   請求項１記載の自動車用内装部品。
3. 【請求項３】衝撃吸収パッド（２０）の表面側に擦れ音
   防止用の不織布（２３）が貼着されていることを特徴と
   する請求項１，２記載の自動車用内装部品。