JPH0551290B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 産業上の利用分野 本発明の利用分野は、蛍光強度分布の描写記録
のための技術装置、中でも蛍光染料の経路を光電
的に、写真的に、活動写真的に、およびテレビ技
術的に描写記録するための網膜カメラおよび細隙
灯である。

従来の技術 蛍光血管造影には周知のように励起光用フイル
タと遮蔽用フイルタとの組合せが用いられる。励
起光用フイルタは照明光路内に存在して光源との
共同作用のもとにその用いた蛍光指示薬のための
励起光線を提供する。遮蔽用フイルタの作用は蛍
光光線を描写記録装置へ導くことおよび励起用光
線を遮断することである。

励起光用フイルタとしては通常干渉フイルタが
用いられ、一方遮蔽用フイルタとしては干渉フイ
ルタのみならず着色ガラスエツジフイルタ
（Farbglaskantenfilter）も用いられる。この分
野の現在の技術水準は更にその映像品質に大きな
バラツキが存在すると言うことによつて特徴付け
られる。これは（熟練した写真家の場合でさえ）
コントラストの低い撮影やコントラストの高過ぎ
る撮影をもたらし、これは細部再現性の低下およ
び中でも低い蛍光集中値のものの再現性の損失に
結び付く。それによつて医者にとつて重要な種々
の情報が失われ、そして場合によつては誤つた判
断に導く。

更にまた、血管撮影像は測定技術的種々の目的
にますます多く用いられるようになつている。こ
の場合にその偏差の大きな映像品質および中でも
しばしば現われる局部的過剰露光は著しく障害と
なり、そしてときにはそのような目的に使用する
ことを無意味なものにしてしまう。

発明が解決しようとする問題点 それら公知の技術における欠点の原因としては
フイルタのエツジの向きの製造条件に基づく僅か
なばらつきに対してその使用可能な蛍光光線の感
度が高過ぎることが一つとしてあげられる。これ
は個々の装置の間の差異として現われる。もう一
つの原因としては、それぞれの患者自身の眼に依
存して強く異なる蛍光集中値
（Fluoreszeinkonzentrationswert）とその眼およ
び眼底の光学媒体としての特性にばらつきがある
こととの重なりにおいて、その描写記録用基材、
中でも光電材料の感応の暗スレスホールド
（Dunkelschwelle）が、熟練した写真家の場合に
さえその映像品質に著しく大きなバラツキの部分
をもたらすと言うことである。

現在典型的に用いられている励起光用フイルタ
と遮蔽フイルタとの組合せでは映像の明るさの調
節、フイルム感度の選択或いは描写記録のための
絞りを選ぶことによつて個別的にある一定範囲の
最適化しか達成することができない。

本発明の課題は、コントラスト、描写記録用基
材の局部的コントロールおよび細部再生、中でも
蛍光集中値の低いものの細部抽出描写の最適の状
態を個別の用途に対して自由に選ぶことができる
ようにすることである。

〔発明の構成〕

問題点を解決するための手段 本発明によれば、上述のフイルタエツジの向き
を個別的に選ぶことができるように形成し、それ
によつてこれがその都度の限界条件に最適に適合
することができるようにする。このために遮蔽フ
イルタおよび励起光用フイルタは干渉フイルタと
して構成され、そして光路内で傾斜させることが
できるように配置される。映像品質に対する要求
が低いときは両方のフイルタのうちの一方を自由
に動かすことができるだけで充分であり、それに
よつて遮蔽フイルタは着色ガラスエツジフイルタ
として構成することができる。

作 用 本発明によつて達成される効果は次の通りであ
る。

それら干渉フイルタを傾けることによつて励起
光用フイルタおよび遮蔽フイルタのスペクトルを
短波長側へスライドさせることができる。それら
両フイルタを同じ角度だけ傾けた場合に、蛍光指
示薬の吸収スペクトルと励起スペクトルとのフイ
ルタコンビネーシヨンの極めて効果的な調整がで
きる。このことは、蛍光指示薬の吸収スペクトル
と蛍光スペクトルとの間の交差波長
（Schnittwellenlaenge）に対してそれらフイルタ
が対称の位置にあることを示す。眼科治療学にお
いて通常的なNa−フルロオレツセインの血液中
の蛍光スペクトルが水溶液中のNa−フルオレツ
セインのそれと異なつていると言うことは知られ
ている。血液中の蛍光スペクトルはより高い波長
側へスライドされている。本発明による技術手段
によればそのフイルタコンビネーシヨンを対応的
に傾けることによつてそれぞれの用途に適合させ
ることができる。すなわち例えば房水中の蛍光の
測定と血管中の蛍光測定とに対して、それらの吸
収最大が異なつているにも拘らず同じフイルタコ
ンビネーシヨンを最適に使用することができる。

本発明のもう一つの顕著な効果はその遮蔽フイ
ルタと励起光用フイルタとのオバーラツピングを
干渉フイルタの傾斜によつて自由に選ぶことがで
きるようにしたことである。両方のフイルタのス
ペクトルは逆方向に回動できるので、一方のフイ
ルタの長波長側エツジともう一方のフイルタの短
波長側エツジとの交点を蛍光スペクトルの交差波
長に対して任意にスライドさせることができる。
このように両フイルタのスペクトルのオバーラツ
ピングの大きさを選ぶことができることによつ
て、さらに描写記録に有効な励起光線出力即ち露
光の有効領域を決定することができる。この場合
にこの調節はその励起光用光線の有効領域の最大
値が描写記録装置の暗スレスホールドの値と等し
くなるように選ばれることによつて、一方におい
て蛍光と励起光との間の最大のコントラストが保
証されるばかりでなく、他方において極めて低い
蛍光強度の描写記録も保証されるようにすること
ができる。この装置の性能は極めてばらつきの大
きな媒体について操作しようとする場合に著し
い。主としてそれら種々の光学的媒体内で後方散
乱された励起光に起因する障害的な散乱光をその
フイルタコンビネーシヨンの対応的に調節された
高い遮断性能によつて無害にすることができる。
強い反射性または後方散乱性の眼底についても同
様のことが当てはまる。他方において必要の場合
には高いコントラストを用いることなく眼底構造
を蛍光染料の経路に加えて励起光において描写す
ることも可能である。また例えば等密度線画描
（Aequeidensitentechnik）の利用のために、描
写記録の局部的過変調での最大コントラストおよ
び弱い蛍光集中値の消去も可能である。この場合
にも再び高い遮蔽効果が達成され、それによつて
その暗スレスホールド以下の低い蛍光強度の部分
は消去される。

フイルタの調節は人手によつて行なうか、また
は測定値によつてコントロールすることができ
る。これに対しては本発明によれば励起光スペク
トルに合致させた光電的受光装置によつてフイル
タ面における露光強さを結像方向にその遮蔽フイ
ルタの前および後ろにおいて測定する。遮蔽フイ
ルタの手前の値は眼底の露光（閃光段階）の調節
に用いられ、一方後方の値はフイルタオバーラツ
ピングの調節のために、その用いた露光（閃光段
階）、フイルムの暗スレスホールドおよび絞り調
節の考慮のもとに用いられる。描写記録過程の間
に本発明によればもう一つの受光装置によつて上
記遮蔽フイルタの背後で追加的にその蛍光光線が
測定される。この測定値は描写記録の間に眼底の
露光の補正のために用いることができる。

本発明に従う技術手段は描写記録条件を各用途
および個々の患者に個別的に最適に適合化させる
ことを可能とするばかりでなく、それに加えて描
写記録の全ての時点において最適条件の調節をも
可能とする。この場合に各制御信号は血管撮影像
の評価に際して考慮するために追加的に表示記録
させることができる。例えば蛍光ホトメトリー的
測定に対しては中でもその励起光を蛍光から明瞭
に分離することと、できるだけ最大の蛍光信号を
得ることとの間で最適状態を達成することが必要
である。暗スレスホールドの問題はここでは写真
の場合と同様に信号の雑音によつて与えられる。
本発明に従う技術手段によればこのような用途に
対しても、そのフイルタコンビネーシヨンの製造
の上で何等極端な要求条件を課す必要なく、最適
状態を実現することができる。

実施例 以下本発明を、Na−フルオレツセインによる
蛍光血管造影法のための網膜カメラの実施例によ
つて説明する。

添付図は本発明の実施例の網膜カメラの光路内
の配置を示す。共通の光路１は公知のように照明
光路２、描写記録光路３および観測光路４に分割
される。

光路１の図において左端に患者の眼Ａ、そして
右端に観察者Ｂが位置し、光源Ｌは光路２の下端
に、またカメラＣは光路３の下端に位置する。さ
らに光路１中には、開口反射鏡１５および回動反
射鏡１６が配置されており、光源Ｌから発する照
明光路は、前記開口反射鏡１５で転向し、患者の
眼Ａを照明し、次に患者の眼から出た光は、光路
１より回動反射鏡１６が光路中より外ずされてい
る時は、観察者Ｂに達する。また回動反射鏡１６
が光路１中に置かれた時には、光路３へ転向され
る。

遮蔽フイルタ１１と励起光用フイルタ５とは励
起光用フイルタ５の長波長側エツジ（50％値）が
510nmのところに、そして遮蔽フイルタ１１の短
波長側エツジ（50％値）が530nmのところにある
ようになつている。これらフイルタはカメラにお
ける通常的なそれぞれの位置に配置されており、
そして35°の角度まで傾斜させることができるよ
うになつている。これによつて両方のスペクトル
は約35nm程スライドさせることができ、従つて
充分なスライド範囲が存在する。この傾斜は励起
光用フイルタ５に対してのみならず、遮蔽フイル
タ１１に対しても互いに独立にステツプモータ制
御装置によつて駆動される。その制御信号はコン
ピユータ１７から送られて来る。描写記録用光路
３内に光線分割器８が遮蔽フイルタ１１の手前
に、そして光線分割器９が遮蔽フイルタ１１の後
方に配置されている。光線分割器８の光線はより
長波長のエツジ長さ（480nm）を有する固定され
た励起光用フイルタ６を介して青色感光性受光装
置１２へ導かれる。その受光装置の信号は第１信
号としてコンピユータ１７へ送り込まれ、、そし
て眼底から反射された光を測定する。この信号は
経験によれば空相におけるその期待されるべき蛍
光強度に対する重要な指標である。光線分割器９
からの光線はもう一つの光線分割器１０を経て光
電式受光装置１３または１４に導かれる。これら
光路の一方の中に520nmの短波長のエツジを有す
る固定の遮蔽フイルタ７が存在している。このも
のの信号は蛍光強度を測定して第２の信号として
コンピユータ１７に送り込まれる。両受光装置１
３および１４からの信号の差額は描写記録に有効
な青色部分を表わす。この差額は第３の信号とし
てコンピユータ１７に送り込まれる。コンピユー
タ１７へのその他の入力信号としては通常の各パ
ラメータに加えてフイルムの種類、作用因子およ
び最適化のための基準がある。

上記の作用因子は経験に基づき決定される値で
あつてこれによれば、場合により現われる、例え
ば瞳の狭いこと、指示薬注入量が少ないこと、無
水晶体などのような追加的に蛍光を低下させる
種々の因子を初期露光エネルギーの計算に際して
考慮することができる。上記の最適化のための基
準は、患者の年齢、水中の蛍光か血液中の蛍光か
のどちらかに合わせること、或いは例えばコント
ラストを最適に合わせること、細部再生描写また
は最大コントラスト等のような映像品質について
の諸基準、所望の局部的過剰露光、蛍光の弱い細
部の除去、背景構造の描写、最大の細部識別、
個々の映像の最適化および血管造影順序等であ
る。

それらの入力信号に対応してコンピユータは閃
光強度およびフイルター傾斜についての基礎調節
を作動させる。最初のブランク撮影によつて第１
信号を用いて閃光強度が、そして第３信号を用い
てそれら入力された各パラメータに依存して励起
光用フイルタ５と遮蔽フイルタ１１とのオバーラ
ツピングが傾斜によつて補正される。

そのようにして次の映像のための最適の調節が
その都度もたらされる。第２信号による蛍光の最
初の記録によつてこの信号は閃光強度の調節の役
目を分担する。個々の撮影についてのその都度決
定される調節値は必要の場合に表示される。

【図面の簡単な説明】

添付図は網膜カメラとしての本発明の実施例に
おける光路内の配置を図式図で示す。 １……共通光路、２……照明光路、３……描写
記録光路、４……観測光路、５……励起光用フイ
ルタ、６……固定された励起光用フイルタ、７…
…固定された遮蔽用フイルタ、８，９，１０……
光線分割器、１１……遮蔽用フイルタ、１２，１
３，１４……受光装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 励起光用−遮蔽用フイルタと、照明、観測お
   よび眼底の個々の部分の映像や光線強度を記録す
   るための光学系とからなる、蛍光血管造影を最適
   化する装置において、 励起光用フイルタ５および遮蔽用フイルタ１１
   が光学系の照明光路２または記録光路内３で傾斜
   可能に配置されていること、光線分割器８ともう
   一つの励起光用フイルタ６とを経て光電的受光装
   置１２が結像側で上記遮蔽用フイルタ１１の前に
   置かれていること、および更にもう二つの光電的
   受光装置１３，１４が結像方向へ上記遮蔽用フイ
   ルタ１１の背後にそれぞれ一つの光路を介して配
   置されており、その際上記最後にあげた光電的受
   光装置１３，１４の一つの前に更にもう一つの遮
   蔽用フイルタ７が置かれていることを特徴とす
   る、上記装置。 ２ 励起光用フイルタおよび遮蔽用フイルタが好
   ましくは干渉フイルタとして構成されている、特
   許請求の範囲第１項記載の装置。 ３ 励起光用フイルタおよび遮蔽用フイルタの傾
   斜を対応的調節装置によつて人手で自由に選ぶこ
   とができる、特許請求項の範囲第１項記載の装
   置。 ４ 各光電的受光装置の信号を好ましくはコンピ
   ユータに送り込む、特許請求の範囲第１項に記載
   の装置。 ５ 最適化の基準のためおよび操作の種類のため
   の入力キーボードが設けられていて、これが上記
   コンピユータに接続されている、特許請求の範囲
   第１ないし第４項にのいずれか一つに記載の装
   置。 ６ 干渉フイルタ傾動用の位置決め装置が上記コ
   ンピユータに接続されていてこれによつて制御さ
   れる、特許請求の範囲第１、第２および第４項の
   いずれか一つに記載の装置。