JPH0551252A - セラミツク焼成体及びその製造方法 - Google Patents

セラミツク焼成体及びその製造方法

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JPH0551252A
JPH0551252A JP3232411A JP23241191A JPH0551252A JP H0551252 A JPH0551252 A JP H0551252A JP 3232411 A JP3232411 A JP 3232411A JP 23241191 A JP23241191 A JP 23241191A JP H0551252 A JPH0551252 A JP H0551252A
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JP
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aluminum titanate
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fired body
oxide
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JP3232411A
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Shogo Suzuki
省伍 鈴木
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、チタン酸アルミニウムに粉末添加
物と繊維添加物を添加して低熱膨張で且つ高強度のセラ
ミック焼成体及びその製造方法を提供する。 【構成】 このセラミック焼成体は、チタン酸アルミニ
ウムに、添加物としてケイ素、鉄、ジルコニウムの酸化
物(粉末添加物)を少なくとも1種を添加し、且つSi
−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を添加したもの
である。粉末添加物の添加量は3〜15wt%を添加
し、Si−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維添加物
の添加量を1〜10wt%を添加したものである。ケイ
素、鉄、ジルコニウム等の酸化物による結晶粒の制御効
果、粒界強化効果に加え、繊維による架橋効果によるク
ラック伝播の抑制等の複合効果によって強度を大幅に向
上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、チタン酸アルミニウ
ムを含んだ低熱膨張率で且つ高強度のセラミック焼成体
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、低熱膨張率のセラミック材料と
してチタン酸アルミニウムAl2 TiO5 がある。この
チタン酸アルミニウムAl2 TiO5 材料については、
その焼成体は低熱膨張性の特性を有しており、その融点
は1860℃と高く、高温耐熱セラミック材料として期
待されている。そして、チタン酸アルミニウムは、低熱
膨張性及び低熱伝導性により、自動車の排気ポート等の
部品、金属溶湯るつぼ等断熱性を必要とする場所、熱衝
撃の大きい場所に使用されている。
【0003】しかしながら、チタン酸アルミニウムの機
械的強度は、約1〜2kg/mm2であり、十分な強度
を有していない。そこで、チタン酸アルミニウムの強度
上の問題を解決するため、チタン酸アルミニウムに添加
物、繊維、ウィスカー等を加えて強度を改善することが
試みられている。このチタン酸アルミニウムは、熱膨張
率に熱履歴があり、温度によっては分解を起こす。即
ち、チタン酸アルミニウムは、800〜1300℃では
ルチルTiO2 とコランダムAl2 3 とに分解する。
また、チタン酸アルミニウムは結晶軸間の熱膨張差が大
きく、熱膨張率の異方性が大きいため、焼成体を作製す
る場合に、粒径が2〜3μm以上になると、冷却時に、
粒界や粒内にマイクロクラックが生成される。そのた
め、機械的強度が低下し、一般に3kg/mm2 以下で
あり、高強度を有する技術分野には用いられていないの
が現状である。そこで、チタン酸アルミニウムの上記分
解性や低強度性を改善するため、従来、種々の添加物が
検討されている。
【0004】例えば、特公昭56−7996号公報に
は、低熱膨張セラミックスが開示されている。該低熱膨
張セラミックスは、チタン酸アルミニウムに対してケイ
素、ジルコニウムの少なくとも1種をSiO2 、ZrO
2 に換算して0.05〜10.0重量%含有するもので
ある。これらの添加物の効果として、チタン酸アルミニ
ウムの結晶粒子の成長抑制と、熱的に安定で且つ熱履歴
にともなう強度低下が少ないことを挙げている。
【0005】また、特開昭56−140073号公報に
は、低熱膨セラミックス及びその製造法が開示されてい
る。該低熱膨セラミックスは、チタン酸アルミニウムに
MgO,SiO2 ,Fe2 3 ,TiO2 及びAl2
3 の添加物を添加し、強度向上や低分解性を確保するも
のである。また、チタン酸アルミニウムに酸化ジルコニ
ウムや酸化ケイ素を添加し、強度向上及び分解抑制を図
っている。
【0006】また、特開平1−115867号公報に
は、セラミックス焼成体及びその製造方法が開示されて
いる。該セラミックス焼成体は、チタン酸アルミニウム
セラミックスであり、セラミックスウィスカーを0.1
〜25重量%含有し、マグネシウム、ケイ素、鉄、クロ
ム、ジルコニウム及び希土類元素のすくなくとも1種の
酸化物を0.1〜25重量%含有するものである。該セ
ラミックス焼成体は、チタン酸アルミニウムに炭化ケイ
素ウィスカー或いは窒化ケイ素ウィスカーを添加し、チ
タン酸アルミニウムの亀裂伝播を防止することにより、
機械的強度の向上を試みている。
【0007】また、米国特許第2776896号明細書
には、チタン酸アルミニウムにタルク(MgO、SiO
2 を含む)や粘土(SiO2 、Al2 3 等を含む)の
鉱物を添加している。
【0008】更に、特公昭56−7996号公報には、
チタン酸アルミニウムにZrO2 やSiO2 のうち少な
くとも1種を添加し、チタン酸アルミニウムの分解を抑
え、強度を増大させることが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のチタン酸アルミニウムの強度改善では、チ
タン酸アルミニウムの強度は最高でも5kg/mm2
あり、構造材料として使用するには十分な強度ではな
い。
【0010】ところで、チタン酸アルミニウムに添加物
を添加する効果として、チタン酸アルミニウムの結晶格
子のチタンの部分が添加物と置換固溶して安定な結晶と
なって分解を防止するもの、又は、添加物が粒界に存在
してその粒界を強化し、強度向上を果たすもの、或い
は、粒成長を抑制して粒界に発生するマイクロクラック
サイズを抑制し、高強度化を図る等が考えられる。
【0011】チタン酸アルミニウムの焼成体に生成する
マイクロクラックは、粒子と粒界相の界面で、その線膨
張率の異方性により生成するものである。従って、マイ
クロクラックの大きさを抑制するためには、粒子の大き
さ制御が必要であり、粒子の大きさの制御することで強
度も向上させることができる。チタン酸アルミニウムに
存在するマイクロクラックサイズが小さければ、強度は
向上する。しかしながら、マイクロクラックサイズが小
さすぎると、熱膨張率は大きくなり、チタン酸アルミニ
ウムの低熱膨張性が失われるということになる。
【0012】チタン酸アルミニウムに上記の添加物を添
加することによって、強度向上と分解抑制がある程度改
善されてきたが、これらの添加物を多量に添加した場合
には、強度向上は図れるものの、添加物の熱膨張率が材
料全体の熱膨張率に影響を与え、チタン酸アルミニウム
の本来の低熱膨張率でない材料、例えば、熱膨張率が2
×10- 6 /℃以上の材料となってしまう。熱膨張率が
上がると、耐熱衝撃性も低下し、チタン酸アルミニウム
の材料としての特性が低くなる。従って、チタン酸アル
ミニウムに適度な量の添加物により、粒界を強化し、分
解を抑制し、粒径を制御する必要がある。
【0013】例えば、チタン酸アルミニウムに上記の添
加物、即ち、MgO,SiO2 ,Fe2 3 ,Ti
2 ,Al2 3 及び酸化ジルコニウムを添加した場合
に、これら添加物の作用は、チタン酸アルミニウムと固
溶体を作り、分解性を抑制し、また、焼結時の粒成長を
抑えてマイクロクラックの大きさをも小さくし、強度向
上を図るものであるが、従来の条件での分解抑制効果に
は限界があり、例えば、燃焼室を形成する材料としては
不十分なものであった。
【0014】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、エンジンの排気ポート、燃焼室等
の部品を形成する材料が強度3kg/mm2 以上で且つ
熱膨張率2.6×10- 6 /℃以下であることが必要で
あることから、該条件を満たす材料を得るため、チタン
酸アルミニウムの低熱膨張という特性を活かしつつ、特
定の添加物を適度な量添加することによってチタン酸ア
ルミニウムの強度を増強させるセラミック焼成体及びそ
の製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、次のように構成されている。即ち、
この発明は、チタン酸アルミニウムに、添加物としてケ
イ素、鉄、ジルコニウムの酸化物を少なくとも1種とS
i−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を添加したこ
とを特徴とするセラミック焼成体に関する。
【0016】また、このセラミック焼成体は、前記酸化
物の添加量を3〜15wt%とし、且つ前記繊維の添加
量を1〜10wt%としたものである。
【0017】或いは、この発明は、チタン酸アルミニウ
ムの母相として酸化アルミニウムと酸化チタンを混合し
た原料粉末に、酸化ケイ素又はジルコン、ケイ素、鉄、
ジルコニウム等の酸化物及びSi−Ti−C−Oの結合
構造を有する繊維を添加して原料粉を作り、該原料粉に
水と分散剤を加えて混合してスラリーを作り、該スラリ
ーを成形型に流し込んで成形体を成形し、該成形体の乾
燥後に前記成形体を所定温度で焼成したことを特徴とす
るセラミック焼成体の製造方法に関する。
【0018】
【作用】この発明によるセラミック焼成体及びその製造
方法は、上記のように構成されており、次のように作用
する。即ち、このセラミック焼成体は、チタン酸アルミ
ニウムに、添加物としてケイ素、鉄、ジルコニウムの酸
化物を少なくとも1種とSi−Ti−C−Oの結合構造
を有する繊維を添加したので、チタン酸アルミニウムの
低熱膨張の特性を活かした状態で、強度を増強できる。
【0019】そして、このセラミック焼成体は、前記酸
化物(即ち、粉末添加物)の添加量が多くなると、チタ
ン酸アルミニウムの強度は増強するが、熱膨張率が上が
り低熱膨張の特性が損なわれるが、前記酸化物の添加量
を3〜15wt%としたので、3〜5kg/mm2 の範
囲の強度を確保でき、2.6×10- 6 /℃以下の熱膨
張率に抑えることができる。また、前記繊維の添加量が
10wt%以上に多くなると、強度が低下するが、前記
繊維の添加量を1〜10wt%としたので、前記繊維の
添加量の上昇でセラミック焼成体の強度を低下させるこ
とがない。
【0020】或いは、この発明によるセラミック焼成体
の製造方法は、チタン酸アルミニウムの母相として酸化
アルミニウムと酸化チタンを混合した原料粉末に、ケイ
素、鉄、ジルコニウムの酸化物及びSi−Ti−C−O
の結合構造を有する繊維を添加して原料粉を作り、該原
料粉に水及び分散剤を加えて混合してスラリーを作り、
該スラリーを成形型に流し込んで成形体を成形し、該成
形体の乾燥後に前記成形体を所定温度で焼成したので、
ケイ素、鉄、ジルコニウム等の酸化物による結晶粒の制
御効果、粒界強化効果に加え、繊維による架橋効果によ
るクラック伝播の抑制等の複合効果によって強度を大幅
に向上できる。
【0021】
【実施例】以下、図1、図2、図3、図4及び表1を参
照して、この発明によるセラミック焼成体及びその製造
方法の実施例を説明する。図1はこの発明によるセラミ
ック焼成体の製造方法の一実施例を示す処理フロー図、
図2はこの発明によるセラミック焼成体における添加物
の添加量に対する熱膨張率を示すグラフ、図3はこの発
明によるセラミック焼成体における粉末添加物の添加量
に対する曲げ強度を示すグラフ、及び図4はこの発明に
よるセラミック焼成体における繊維添加物の添加量に対
する曲げ強度を示すグラフである。図2において、縦軸
に熱膨張率α(×10- 6 /℃)を示し、横軸に粉末添
加物の添加量W(wt%)を示す。図3において、縦軸
に曲げ強度M(kg/mm2 )を示し、横軸に粉末添加
物の添加量W(wt%)を示す。更に、図4において、
縦軸に曲げ強度M(kg/mm2 )を示し、横軸に繊維
添加物の添加量W(wt%)を示す。
【0022】この発明によるセラミック焼成体は、チタ
ン酸アルミニウムAl2 TiO5 に、添加物としてケイ
素Si、鉄Fe、ジルコニウムZrの酸化物(即ち、粉
末添加物)を少なくとも1種と、Si−Ti−C−Oの
結合構造を有する繊維を添加したものである。しかも、
このセラミック焼成体では、前記酸化物の添加量を3〜
15wt%とし、繊維添加量を1〜10wt%としたも
のである。これによって、エンジンの排気ポートの材料
として好ましい熱膨張率と強度を有するセラミック焼成
体を得ることができる。即ち、このセラミック焼成体
は、チタン酸アルミニウムの低熱膨張の特性を活かした
所定の範囲、即ち、2.6×10- 6 /℃以下の熱膨張
率に抑え、また、十分な強度、即ち、3〜5kg/mm
2 の範囲の強度を確保できる。
【0023】この発明によるセラミック焼成体につい
て、チタン酸アルミニウムに添加する粉末添加物の添加
量W(wt%)と熱膨張率α(×10- 6/℃)との関
係は、繊維添加物の添加量W(wt%)を1wt%の一
定量とした場合に、図2に示すような測定結果を得た。
また、チタン酸アルミニウムに添加する粉末添加物の添
加量W(wt%)と曲げ強度M(kg/mm2 )との関
係は、繊維添加物の添加量W(wt%)を1wt%の一
定量とした場合に、図3に示すような試験結果を得た。
図2に示すように、この発明によるセラミック焼成体に
上記添加物を添加した場合には、添加量W(wt%)と
熱膨張率α(×10- 6 /℃)との関係は曲線Aと曲線
Bとの間に存在する結果を得た。また、上記各種の添加
物を添加した場合には、添加物の添加量W(wt%)と
曲げ強度M(kg/mm2 )との関係は曲線Cと曲線D
との間に存在する結果を得た。
【0024】また、この発明によるセラミック焼成体に
ついて、チタン酸アルミニウムに添加する繊維添加物の
添加量W(wt%)と曲げ強度M(kg/mm2 )との
関係は、粉末添加物の添加量W(wt%)を3wt%の
一定量とした場合に、図4に示すような試験結果を得
た。図4に示すように、この発明によるセラミック焼成
体に上記添加物を添加した場合には、添加量W(wt
%)と曲げ強度M(kg/mm2 )との関係は曲線Eの
特性を示す結果を得た。
【0025】このセラミック焼成体は、図2及び図3の
グラフから考慮すると、チタン酸アルミニウムに対する
粉末添加物の添加量については次のようなことが分か
る。まず、チタン酸アルミニウムに繊維添加物を一定値
の1wt%添加した下で、チタン酸アルミニウムに粉末
添加物、即ち、ケイ素Si、鉄Fe、ジルコニウムZr
の酸化物を少なくとも1種を15wt%以上添加したも
のは、図2に示すように、熱膨張率αが大きくなり過ぎ
ることが分かる。また、チタン酸アルミニウムに粉末添
加物を3wt%以下添加したものは、図3に示すよう
に、曲げ強度Mが所望の強度を確保できないものとな
る。従って、チタン酸アルミニウムに添加する粉末添加
物の添加量は3〜15wt%の範囲であることが好まし
い。
【0026】また、このセラミック焼成体は、図4のグ
ラフから考慮すると、チタン酸アルミニウムに対する繊
維添加物の添加量については次のようなことが分かる。
即ち、図4に示すように、チタン酸アルミニウムに粉末
添加物即ち上記酸化物を一定値の3wt%添加した下
で、チタン酸アルミニウムに繊維添加物、即ち、Si−
Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を添加する場合
に、添加量が1wt%で強度は3kg/mm2 であり、
添加量の増加に伴って曲げ強度Mは大きくなり、10w
t%添加したものは、曲げ強度Mが最も強くなり、それ
以上の量の添加は曲げ強度Mを弱める試験結果となって
いる。従って、チタン酸アルミニウムに添加する繊維の
添加量は1〜10wt%の範囲であることが好ましい。
【0027】次に、この発明によるセラミック焼成体の
製造方法を、図1及び表1を参照して説明する。図1は
この発明によるセラミック焼成体の製造方法の製造工程
を示す処理ブロック図、及び表1はこの発明によるセラ
ミック焼成体の製造方法で製造したセラミック焼成体と
比較例との成分と強度を示す表である。
【表1】
【0028】このセラミック焼成体の製造方法におい
て、チタン酸アルミニウムの母相として、酸化アルミニ
ウムAl2 3 と酸化チタンTiO2 とを化学量論比で
混合した原料粉末(即ち、チタン酸アルミニウムの原料
粉末)に、ケイ素Si、鉄Fe、ジルコニウムZr等の
酸化物Fe2 3 及びSi−Ti−C−Oの結合構造を
有する繊維を添加して原料粉を作り、該原料粉に水と分
散剤を加えてボールミルにて混合してスラリーを作り、
該スラリーを成形型に流し込んで成形体を製作し、該成
形体の乾燥後に前記成形体を所定温度で焼成したもので
ある。
【0029】このセラミック焼成体の製造方法の一実施
例(実施例1)として、チタン酸アルミニウムの母相と
して酸化チタンと酸化アルミニウムとを1モルずつの化
学量論比で混合し(ステップ11)、チタン酸アルミニ
ウム原料粉末を作った(ステップ12)。この原料粉末
に、添加物となるろう石として酸化ケイ素SiO2 を1
0wt%、粉末添加物として酸化鉄を5wt%、繊維添
加物としてSi−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維
成分〔例えば、チラノ繊維(商品名)〕を2wt%添加
して混合し(ステップ13)、添加物含有原料粉末を作
った(ステップ14)。次いで、この添加物含有原料粉
末の100部に対して20部の水と2部の分散剤を添加
し(ステップ15)、ボールミルにて混合してスラリー
を作った(ステップ16)。
【0030】次に、上記工程によって製造したスラリー
を石膏型等の成形型に注入し(ステップ17)、成形型
にスラリーの水分を吸水させてスラリーを固化させて成
形体を製作した(ステップ18)。固化した成形体を成
形型から脱型し(ステップ19)、成形体を乾燥した
(ステップ20)。乾燥した成形体を1450℃で4時
間焼成を行い(ステップ21)、セラミック焼成体を得
た(ステップ22)。
【0031】このセラミック焼成体の製造方法の別の実
施例(実施例2)として、チタン酸アルミニウムの母相
として、酸化チタンと酸化アルミニウムとを1モルずつ
の化学量論比で混合したチタン酸アルミニウム原料粉末
に対して、ろう石として酸化ケイ素の代わりにジルコン
を10wt%、及び酸化鉄を5wt%を添加し、上記繊
維添加物を2wt%添加して混合してスラリーを作製し
た。以後の製造工程は上記工程と同様に行ってセラミッ
ク焼成体を作製した。
【0032】このセラミック焼成体の製造方法で製造し
たセラミック焼成体の強度を比較するため、3種の比較
例のセラミック焼成体を製造した。各比較例のセラミッ
ク焼成体は、上記実施例1の製造工程と同様の工程で製
造した。比較例1として、チタン酸アルミニウムに粉末
添加物として酸化ケイ素を10wt%及び酸化鉄を5w
t%を添加したセラミック焼成体を製造した。比較例2
として、チタン酸アルミニウムに粉末添加物として酸化
ケイ素を10wt%、酸化鉄を5wt%及び炭化ケイ素
ウィスカーを2wt%添加したセラミック焼成体を製造
した。この場合、炭化ケイ素ウィスカーとしては、径
0.1〜100μm、長さ30〜100μmのものを用
いた。また、比較例3として、チタン酸アルミニウムに
粉末添加物として酸化ケイ素を10wt%、酸化鉄を5
wt%及び窒化ケイ素ウィスカーを2wt%添加したセ
ラミック焼成体を製造した。更に、繊維とチタン酸アル
ミニウムとのなじみをよくするため、1400℃で約1
時間加熱し、ウィスカー表面に酸化膜を形成した。
【0033】表1に示すように、実施例1で作製したセ
ラミック焼成体の強度は、8.0kg/mm2 であり、
また、実施例2で作製したセラミック焼成体の強度は、
7.0kg/mm2 であった。これに対して、比較例1
で作製したセラミック焼成体の強度は、4.0kg/m
2 であり、比較例2で作製したセラミック焼成体の強
度は、5.0kg/mm2 であり、また、比較例3で作
製したセラミック焼成体の強度は、4.2kg/mm2
であった。以上のことから分かるように、ケイ素、鉄、
ジルコニウム等の酸化物による結晶粒の制御効果、粒界
強化効果に加え、繊維による架橋効果によるクラック伝
播の抑制等の複合効果によって強度を大幅に向上できる
ものである。これに対して、従来のように、チタン酸ア
ルミニウムにセラミックウィスカーを添加するもので
は、ウィスカー表面が酸化するため、酸化によるウィス
カーの強度が大きく低下し、ウィスカーによる強度強化
の効果が低下するものである。また、繊維添加物を添加
しないセラミック焼成体は明らかに強度が低下すること
が分かる。従って、この発明によるセラミック焼成体
は、従来のチタン酸アルミニウムを含むセラミック焼成
体の強度よりも強度を高くすることができる。
【0034】この発明によるセラミック焼成体は、表1
から明らかなように、チタン酸アルミニウムに繊維添加
物を添加することが強度を向上させることが分かる。従
って、チタン酸アルミニウムに対する表1における粉末
添加物の添加量は15wt%であり、チタン酸アルミニ
ウムの低熱膨張率の特性を活かすためには、添加物の添
加量を低減しなければならないので、各比較例の強度で
は好ましくない。そこで、チタン酸アルミニウムに粉末
添加物と繊維添加物を添加して、チタン酸アルミニウム
の低熱膨張率の特性を活かすように、各添加物の添加量
を低減できれば、エンジンの部品等の工業部品として極
めて有効なセラミック焼成体の材料を提供できることに
なる。
【0035】
【発明の効果】この発明によるセラミック焼成体及びそ
の製造方法は、上記のように構成されており、次のよう
な効果を有する。即ち、このセラミック焼成体は、チタ
ン酸アルミニウムに、添加物としてケイ素、鉄、ジルコ
ニウムの酸化物を少なくとも1種とSi−Ti−C−O
の結合構造を有する繊維を添加したので、チタン酸アル
ミニウムの低熱膨張の特性を活かした状態でセラミック
焼成体の強度を向上させることができる。
【0036】また、このセラミック焼成体は、前記酸化
物の添加量を3〜15wt%とし、前記繊維の添加量を
1〜10wt%としたので、前記酸化物の添加量が多く
なると、チタン酸アルミニウムの強度は増強する反面、
熱膨張率が上がり低熱膨張の特性が損なわれるが、前記
酸化物の添加量を3〜15wt%としたので、3〜5k
g/mm2 の範囲の強度を確保でき、2.6×10- 6
/℃以下の熱膨張率に抑えることができる。また、前記
繊維の添加量が10wt%以上に多くなると、強度が低
下するが、前記繊維の添加量を1〜10wt%としたの
で、前記繊維の添加量の上昇でセラミック焼成体の強度
は低下しない。
【0037】或いは、この発明は、酸化アルミニウムと
酸化チタンを混合した原料粉末に、酸化ケイ素又はジル
コン、ケイ素、鉄、ジルコニウム等の酸化物及びSi−
Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を添加して原料粉
を作り、該原料粉に水及び分散剤を加えて混合してスラ
リーを作り、該スラリーを成形型に流し込んで成形体を
成形し、該成形体の乾燥後に所定の温度で焼成したの
で、ケイ素、鉄、ジルコニウム等の酸化物即ち粉末添加
物による結晶粒を制御効果、粒界強化効果に加え、前記
繊維添加物による架橋効果によるクラック伝播の抑制等
の複合効果によって強度を大幅に向上できる。即ち、ジ
ルコンは粒界に存在して粒界の強化と低熱膨張化に寄与
し、熱膨張率を負に大きくし、また、添加量が多くなる
に従って強度も増加する。チタン酸アルミニウムに酸化
鉄等の粉末添加物を添加することによって、鉄等の元素
は粒界は勿論のこと粒内にも存在することから、鉄等の
元素はチタンと置換固溶し、粒成長を抑制し、マイクロ
クラックの大きさを適度に小さくし、強度を確保する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセラミック焼成体の製造方法の
一実施例を示す処理フロー図である。
【図2】この発明によるセラミック焼成体における粉末
添加物の添加量と熱膨張率との関係を示すグラフであ
る。
【図3】この発明によるセラミック焼成体における粉末
添加物の添加量と曲げ強度との関係を示すグラフであ
る。
【図4】この発明によるセラミック焼成体における繊維
添加物の添加量と曲げ強度との関係を示すグラフであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸アルミニウムに、添加物として
    ケイ素、鉄、ジルコニウムの酸化物を少なくとも1種と
    Si−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を添加した
    ことを特徴とするセラミック焼成体。
  2. 【請求項2】 前記酸化物の添加量を3〜15wt%と
    し、且つ前記繊維の添加量を1〜10wt%としたこと
    を特徴とする請求項1に記載のセラミック焼成体。
  3. 【請求項3】 チタン酸アルミニウムの母相として酸化
    アルミニウムと酸化チタンを混合した原料粉末に、酸化
    ケイ素又はジルコン、ケイ素、鉄、ジルコニウム等の酸
    化物及びSi−Ti−C−Oの結合構造を有する繊維を
    添加して原料粉を作り、該原料粉に水と分散剤を加えて
    混合してスラリーを作り、該スラリーを成形型に流し込
    んで成形体を成形し、該成形体の乾燥後に前記成形体を
    所定温度で焼成したことを特徴とするセラミック焼成体
    の製造方法。
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