JPH0551075B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、冷凍装置の圧縮機などに使用する
スクロール形流体機械の給油構造に関する。

（従来の技術） 従来この種スクロール形流体機械は、例えば特
願昭59−127212号に開示されているごとく、密閉
ケーシングの内方上部に、固定スクロールと公転
スクロールとを架構を介して支持すると共に、該
架構に駆動軸を、内輪と外輪及び転動体とから成
る軸受を介して回転自由に支持する一方、この駆
動軸の上部を前記公転スクロールに、また下部を
モータにそれぞれ連結して、該モータの駆動に伴
う前記駆動軸の回転駆動により、前記公転スクロ
ールを前記固定スクロールに対し公転駆動させ
て、これら固定スクロールと公転スクロールとの
間で冷媒を圧縮するごとくしている。

しかして前記スクロール形流体機械において
は、第３図に示すごとく、前記架構４に形成する
軸受ハウジング４１に軸受６を支持しているので
あつて、この軸受６に給油する給油構造は、駆動
軸５の内部に軸方向に延びる給油通路１１を形成
すると共に、前記軸受ハウジング４１の底壁と前
記軸受６の下面との間に、該軸受６の下面に対接
するスラスト受面１４ａをもち、かつこのスラス
ト受面１４ａに放射状に延びる複数の油溝１４ｂ
を形成した第４図に示すようなスラストプレート
１４を介装させる一方、前記駆動軸５における前
記軸受６の下部と対向する箇所に、前記給油通路
１１に連通する油路１２を形成し、前記給油通路
１１から汲上げられる潤滑油を、前記油路１２及
びスラストプレート１４の油溝１４ｂを介して前
記軸受６、なかんずく該軸受６の内輪６ａと転動
体６ｃとの摺接部分、及び該転動体６ｃと外輪６
ｂとの摺接部分に給油するごとくしている。

（発明が解決しようとする問題点） ところで前記のごときスクロール形流体機械に
おいては、前記軸受６の内輪６ａと前記スラスト
プレート１４との間に、前記駆動軸５による大き
なスラスト荷重がかかることから、前記内輪６ａ
とスラストプレート１４との対接面に給油して、
該対接面を全面的に潤滑する必要がある。しかる
に前記従来の給油構造では、前記軸受６における
内輪６ａの下面で、前記スラストプレート１４の
油溝１４ｂと対向する一部だけには、給油するこ
とが可能であるが、前記スラストプレート１４の
スラスト受面１４ａで、各油溝１４ｂ間に位置す
る前記プレート１４の内周側部分、つまり第４図
にａで示した領域には、給油することが困難であ
り、換言すれば前記内輪６ａとスラストプレート
１４との対接面を全面的に潤滑することは困難で
あり、これが原因で前記軸受６の内輪６ａ又はス
ラストプレート１４の焼付事故を招いたりするこ
とがあつた。

本発明は以上のごとき問題に鑑みて成したもの
で、その目的は、前記駆動軸の回転駆動に伴い前
記軸受の内輪に発生する遠心力を利用して、この
遠心力で前記内輪と前記スラストプレートとの対
接面に給油して全面的に油膜を形成することによ
り、前記軸受及びスラストプレートの焼付事故を
防止することができる給油構造を提供することに
ある。

（問題点を解決するための手段） 本発明にかかるスクロール形流体機械の給油受
構造は、第１図及び第２図に示すごとく構成した
もので、密閉ケーシング１の内部に固定スクロー
ル２と公転スクロール３とを架構４を介して支持
すると共に、該架構４に駆動軸５を、内輪６ａ、
外輪６ｂ、転動体６ｃ及び保持器６ｅから成る軸
受６を介して回転自由に支持し、前記駆動軸５に
より前記公転スクロール３を前記固定スクロール
２に対し公転駆動させるごとくしたスクロール形
流体機械において、前記駆動軸５に軸方向に延び
る給油通路１１を設けると共に、前記軸受６にお
ける内輪６ａの下部内周面にテーパ状内面をもつ
環状凹部６ｄを形成し、この環状凹部６ｄに対向
する前記駆動軸５の対向部位に、前記給油通路１
１に連通する油路１２を設ける一方、前記軸受６
の下方における前記架構４と駆動軸５との間の隙
間を狭くして、該駆動軸５と前記凹部６ｄとの間
に油溜ｓを形成し、前記内輪６ａの下面と、該下
面に対向するスラスト受面１４ａとの間で半径方
向外方に、前記内輪６ａの回転による遠心力で前
記油溜ｓ内の潤滑油を給油するごとく成したこと
を特徴とする。

（作用） しかして前記駆動軸５の回転駆動に伴い前記給
油通路１１から汲上げられた潤滑油は、前記油路
１２を介して前記軸受６の内輪６ａに形成した環
状凹部６ｄに至るのであり、また前記駆動軸５の
回転駆動時には、前記軸受６の内輪６ａが追従回
転されて、該内輪６ａに遠心力が発生することか
ら、この遠心力により前記環状凹部６ｄに至つた
潤滑油が、前記内輪６ａと該内輪６ａに対接する
スラスト受面１４ａとの間で半径方向外方に給油
され、前記内輪６ａとスラスト受面１４ａとの間
に全面的に油膜が形成され、この油膜により前記
内輪６ａとスラスト受面１４ａとが確実に潤滑さ
れるのである。

（実施例） 以下本発明にかかるスクロール形流体機械の給
油構造を図面の実施例によつて説明する。

第２図に示すスクロール形流体機械は、密閉ケ
ーシング１の内方上部に、固定スクロール２と公
転スクロール３を架構４を介して支持し、かつ前
記ケーシング１の下部位置にモータＭを配置する
と共に、前記架構４に上下方向に向かつて延びる
駆動軸５を、内輪６ａ、外輪６ｂ、転動体６ｃ及
び保持器６ｅとから成るスラスト軸受６を介して
回転自由に支持する一方、前記駆動軸５の上部を
前記公転スクロール３に、また下部を前記モータ
Ｍに連結して、該モータＭに伴う前記駆動軸５の
回転駆動により、前記公転スクロール３を前記固
定スクロール２に対し公転駆動させ、これら固定
スクロール２と公転スクロール３との間でガス状
流体を圧縮するごとくしている。

また前記駆動軸５の前記公転スクロール３と対
向する下方位置に、カウンタウエイト７を取付け
ると共に、該カウンタウエイト７上にドライブピ
ン８ａとリミツトピン８ｂを介してバランスウエ
イト９ａをもつスイングリンク９を取付け、該ス
イングリンク９の前記駆動軸５に対して偏心した
位置に前記公転スクロール３のボス部３ａを軸受
支持する一方、前記架構４と前記公転スクロール
３との間にオルダムリング１０を介装させ、該オ
ルダムリング１０により前記公転スクロール３の
自転を防止して公転駆動させるごとくしている。

第１，２図に示した実施例では、前記架構４に
軸受ハウジング４１を設けて、この軸受ハウジン
グ４１に前記軸受６を内装すると共に、前記軸受
６の下部と前記軸受ハウジング４１の底壁との間
に、上面にスラスト受面１４ａをもつスラストプ
レート１４を介装させ、該プレート１４のスラス
ト受面１４ａで前記軸受６の下面を支持するごと
くしている。

しかして前記架構４と駆動軸５との間に介装す
る前記軸受６への給油構造を、次のごとく構成す
るのである。

即ち、第１図に詳しく示すごとく、前記駆動軸
５の内部に、軸方向に延びる給油通路１１を貫通
形成すると共に、前記軸受６における内輪６ａの
下部内周面にテーパ状内面をもつ環状凹部６ｄを
形成して、該凹部６ｄと対向する前記駆動軸５
に、前記給油通路１１に連通する油路１２を形成
する一方、前記軸受ハウジング４１の底壁に形成
する軸孔の内面と駆動軸５の外周面との間の隙間
を狭くして、前記凹部６ｄと前記駆動軸５との間
に油溜ｓを形成するのである。斯くして前記駆動
軸５の回転駆動時に、前記軸受６における内輪６
ａのテーパ状内面に発生する遠心力により、前記
油溜ｓ内の潤滑油を、前記内輪６ａの下面と前記
スラストプレート１４のスラスト受面１４ａとの
間で半径方向外方に給油して、前記内輪６ａとス
ラスト受面１４ａとの間に油膜を全面的に形成
し、この油膜により前記内輪６ａの下面とスラス
ト受面１４ａとの間を潤滑するごとくなすのであ
る。

また、前記軸受ハウジング４１の周壁に突出壁
４１ａを設けて、この突出壁４１ａと、前記カウ
ンタウエイト７との間に隙間１３ａを形成すると
共に、前記架構４の立上壁に通孔１３ｂを開設す
る一方、前記架構４の外周壁と前記ケーシング１
との間に通孔１３ｃを設けて、これら隙間１３ａ
と通孔１３ｂ，１３ｃとにより戻し通路を形成す
るのである。斯くして前記軸受６の内輪６ａと、
前記スラストプレート１４のスラスト受面１４ａ
との間から給油される潤滑油は、前記軸受６の内
輪６ａと転動体６ｃとの間、及び該転動体６ｃと
外輪６ｂとの間に供給されて、これら各部を潤滑
しながら上方へと移流させ、前記軸受６の上方に
至つた潤滑油は、前記隙間１３ａから各通孔１３
ｂ，１３ｃを経て前記ケーシング１の下方貯溜部
１ａに還流させられるのである。

図の実施例では、前記スラストプレート１４の
前記軸受６に対接するスラスト受面１４ａに、放
射方向に延びる複数の油溝１４ｂを形成し、この
各油溝１４ｂからも前記軸受６の内輪６ａと転動
体６ｃとの間、また該転動体６ｃと外輪６ｂとの
間に、それぞれ給油可能としている。

尚、前記駆動軸５の下端部には前記ケーシング
１の油貯溜部に臨むポンプ要素（図示せず）を取
付けており、該ポンプ要素により前記駆動軸５内
の給油通路１１に潤滑油を汲上げるごとくしてい
る。

（発明の効果） 以上説明したごとく本発明にかかるスクロール
形流体機械の給油構造では、前記駆動軸５に軸方
向に延びる給油通路１１を設けると共に、前記軸
受６における内輪６ａの下部内周面にテーパ状内
面をもつ環状凹部６ｄを形成し、この環状凹部６
ｄと対向する前記駆動軸５に、前記給油通路１１
に連通する油路１２を設ける一方、前記軸受６の
下方における前記架構４と駆動軸５との間の隙間
を狭くして、該駆動軸５と前記凹部６ｄとの間に
油溜ｓを形成し、該油溜ｓ内の潤滑油を前記内輪
６ａの回転による遠心力で、前記内輪６ａの下面
と該下面に対向するスラスト受面１４ａとの間で
半径方向外方に給油するごとくしたから、前記軸
受６の内輪６ａとスラスト受面１４ａとの間に油
膜を全面的に形成することができ、この油膜によ
り前記内輪６ａとスラスト受面１４ａ間の確実な
潤滑が可能となつて、前記軸受６などの焼付事故
を未然に防止できるに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の給油構造を示す断面図、第２
図は同給油構造を実施したスクロール形流体機械
の縦断面図、第３図及び第４図は従来例を示す図
面である。 ２……固定スクロール、３……公転スクロー
ル、４……架構、５……駆動軸、６……軸受、６
ａ……内輪、６ｂ……外輪、６ｃ……転動体、６
ｄ……環状凹部、６ｅ……保持器、１１……給油
通路、１２……油路、１４ａ……スラスト受面、
ｓ……油溜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 固定スクロール２及び公転スクロール３を備
   え、この公転スクロール３を、架構４に内輪６
   ａ、外輪６ｂ、転動体６ｃ及び保持器６ｅをもつ
   軸受６を介して回転自由に支持する駆動軸５によ
   り駆動するごとくしたスクロール形流体機械にお
   ける前記軸受６の給油構造であつて、前記駆動軸
   ５に給油通路１１を設けると共に、前記内輪６ａ
   の下部内周面にテーバ状内面をもつ環状凹部６ｄ
   を形成し、この環状凹部６ｄに対向する前記駆動
   軸５の対向部位に、前記給油通路１１に連通する
   油路１２を設ける一方、前記軸受６の下方におけ
   る前記架構４と駆動軸５との間の隙間を狭くし
   て、前記凹部６ｄを油溜として形成し、前記内輪
   ６ａの下面と、該下面に対向するスラスト受面と
   の間で半径方向外方に、前記内輪６ａの回転によ
   る遠心力で前記油溜の油を給油するごとく成した
   ことを特徴とするスクロール形流体機械の給油構
   造。