JPH0549962B2 - - Google Patents
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- JPH0549962B2 JPH0549962B2 JP58204955A JP20495583A JPH0549962B2 JP H0549962 B2 JPH0549962 B2 JP H0549962B2 JP 58204955 A JP58204955 A JP 58204955A JP 20495583 A JP20495583 A JP 20495583A JP H0549962 B2 JPH0549962 B2 JP H0549962B2
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Landscapes
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〔発明の利用分野〕
本発明は、プラスチツク光学部品に係わり、特
に、多層反射防止膜を有するレンズ、フイルタ等
のプラスチツク光学部品に関する。
に、多層反射防止膜を有するレンズ、フイルタ等
のプラスチツク光学部品に関する。
プラスチツクレンズ、プラスチツクフイルタ等
のプラスチツク光学部品(以下、プラスチツクレ
ンズで総称する)においては反射防止コーテイン
グにより透過率を向上させることが重要である。
プラスチツクレンズはガラスレンズに比して、軽
量、量産性が良好等の利点を有する反面、一般に
屈折率が低いので、単層反射防止コーテイングで
は不充分であり、多層反射防止コーテイング(以
下、マルチコーテイングと称す)により透過率を
向上させなければならない。しかし、プラスチツ
クレンズにマルチコーテイングを施すことは容易
ではなく、、例えば、プラスチツクの表面にまず
該プラスチツクとの密着性の良い熱硬化性樹脂を
塗布硬化させてからマルチコーテイングする方法
等が提案されているが、かかる方法においては塗
布膜の膜厚を一定に維持することが困難なため
に、プラスチツクレンズの面積度を悪化させてし
まうおそれがある。
のプラスチツク光学部品(以下、プラスチツクレ
ンズで総称する)においては反射防止コーテイン
グにより透過率を向上させることが重要である。
プラスチツクレンズはガラスレンズに比して、軽
量、量産性が良好等の利点を有する反面、一般に
屈折率が低いので、単層反射防止コーテイングで
は不充分であり、多層反射防止コーテイング(以
下、マルチコーテイングと称す)により透過率を
向上させなければならない。しかし、プラスチツ
クレンズにマルチコーテイングを施すことは容易
ではなく、、例えば、プラスチツクの表面にまず
該プラスチツクとの密着性の良い熱硬化性樹脂を
塗布硬化させてからマルチコーテイングする方法
等が提案されているが、かかる方法においては塗
布膜の膜厚を一定に維持することが困難なため
に、プラスチツクレンズの面積度を悪化させてし
まうおそれがある。
本発明者は、上記の熱硬化性樹脂膜を使用せず
に密着性の良いマルチコーテイングの構成につい
て検討を行つた結果、アクリルレンズにおいて
は、アクリルレンズ側から第1層SiO、第2層を
MgF2とする2層マルチコーテイングを施すのが
良く、スチレンレンズあるいはポリカーボネート
レンズにおいては、第1層SiO、第2層をZrO2、
第3層をMgF2とする3層マルチコーテイングを
施すのが良いことが判つた。
に密着性の良いマルチコーテイングの構成につい
て検討を行つた結果、アクリルレンズにおいて
は、アクリルレンズ側から第1層SiO、第2層を
MgF2とする2層マルチコーテイングを施すのが
良く、スチレンレンズあるいはポリカーボネート
レンズにおいては、第1層SiO、第2層をZrO2、
第3層をMgF2とする3層マルチコーテイングを
施すのが良いことが判つた。
一方、プラスチツクレンズに、プラスチツクレ
ンズ側から、第1層をAl2O3、第2層をMgF2と
する構成が特開昭56−110901号に述べられている
が、この構成をアクリルレンズに適用すると、常
温(20℃)では密着性が良く、クラツクの発生も
ないが、80℃の高温試験に12時間曝らすとクラツ
クが発生し、透過率が大幅に減少することが判つ
た。これに対し、上記のSiOを第1層、MgF2を
第2層とする構成では、80℃に12時間放置しても
クラツクの発生はなく、密着性も良好であつた。
また、Al2O3はSiOに比して融点が高く、蒸着時
の輻射熱によつてプラスチツクレンズが変形し面
精度の劣化を引き起こす恐れがある。
ンズ側から、第1層をAl2O3、第2層をMgF2と
する構成が特開昭56−110901号に述べられている
が、この構成をアクリルレンズに適用すると、常
温(20℃)では密着性が良く、クラツクの発生も
ないが、80℃の高温試験に12時間曝らすとクラツ
クが発生し、透過率が大幅に減少することが判つ
た。これに対し、上記のSiOを第1層、MgF2を
第2層とする構成では、80℃に12時間放置しても
クラツクの発生はなく、密着性も良好であつた。
また、Al2O3はSiOに比して融点が高く、蒸着時
の輻射熱によつてプラスチツクレンズが変形し面
精度の劣化を引き起こす恐れがある。
このように、SiOはプラスチツクとの密着性が
良く、80℃の高温試験においてもクラツクの発生
がない等の利点を有しているが、特開昭56−
121001号にも記載されているように、経時変化が
大きいという欠点があり、これまでSiOを使用し
たマルチコーテイングは実用化されていなかつ
た。
良く、80℃の高温試験においてもクラツクの発生
がない等の利点を有しているが、特開昭56−
121001号にも記載されているように、経時変化が
大きいという欠点があり、これまでSiOを使用し
たマルチコーテイングは実用化されていなかつ
た。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、
高い透過率を維持し、SiOを用いてマルチコーテ
イングを施こしたプラスチツク光学部品を提供す
るにある。
高い透過率を維持し、SiOを用いてマルチコーテ
イングを施こしたプラスチツク光学部品を提供す
るにある。
この目的を達成するために、本発明は、第1層
を形成するSiOの初期屈折率が1.69以上、1.74以
下であることを特徴とする。
を形成するSiOの初期屈折率が1.69以上、1.74以
下であることを特徴とする。
本発明者等はSiOの経時変化を把握するために
以下のような実験を行なつた。すなわち、アクリ
ル板の片面に種々の屈折率と所定の膜厚dのSiO
薄膜を真空蒸着により作成し、透過率を測定する
ことにより屈折率を求め、経過時間に対する屈折
率の変化をプロツトした。ここで、透過率から屈
折率を求める方法は、アクリル板の屈折率をn=
1.492とし、透過率Tmを Tm={1−(n1−n)2/(n1+n)2}・{1−(n−
1)2/(n+1)2} より算出し、SiOの屈折率n1とTmのグラフを作
成し、このグラフからSiOの屈折率を読み取るも
のである。なお、上記SiO薄膜の膜厚dはn1×d
=λ/4とし、波長λをd線付近(590nm)に
くるように設定し、蒸着時間をコントロールして
所定の膜厚dを得た。また、上記の透過率Tmは
d線の透過率をとつている。
以下のような実験を行なつた。すなわち、アクリ
ル板の片面に種々の屈折率と所定の膜厚dのSiO
薄膜を真空蒸着により作成し、透過率を測定する
ことにより屈折率を求め、経過時間に対する屈折
率の変化をプロツトした。ここで、透過率から屈
折率を求める方法は、アクリル板の屈折率をn=
1.492とし、透過率Tmを Tm={1−(n1−n)2/(n1+n)2}・{1−(n−
1)2/(n+1)2} より算出し、SiOの屈折率n1とTmのグラフを作
成し、このグラフからSiOの屈折率を読み取るも
のである。なお、上記SiO薄膜の膜厚dはn1×d
=λ/4とし、波長λをd線付近(590nm)に
くるように設定し、蒸着時間をコントロールして
所定の膜厚dを得た。また、上記の透過率Tmは
d線の透過率をとつている。
第1図にSiOの種々の屈折率の常温(20℃)で
の経時変化を示す。このように、SiOの屈折率
は、屈折率の初期値によらず、経過時間の逆対数
にしたがつて一様に減少する。第2図に放置温度
を60℃、80℃とした時のSiOの屈折率の経時変化
を示す。第2図から、放置温度を高くするに従
い、屈析率減少の傾きが大となることが判つた。
第3図はこの傾きを絶対温度Tの逆数に対してブ
ロツトしたものである。第3図から明らかなよう
に、屈折率減少の傾きが1/Tに対して直線関係
にあるが、これは、SiOがSiO2に一次反応的に変
化するためであると考えられた。したがつて、
SiOの経時変化は、第1図,第2図から、その全
容をほぼ把握することができ、これにより、任意
の屈折率を持つSiOの屈折率の経時変化を予想で
きる。
の経時変化を示す。このように、SiOの屈折率
は、屈折率の初期値によらず、経過時間の逆対数
にしたがつて一様に減少する。第2図に放置温度
を60℃、80℃とした時のSiOの屈折率の経時変化
を示す。第2図から、放置温度を高くするに従
い、屈析率減少の傾きが大となることが判つた。
第3図はこの傾きを絶対温度Tの逆数に対してブ
ロツトしたものである。第3図から明らかなよう
に、屈折率減少の傾きが1/Tに対して直線関係
にあるが、これは、SiOがSiO2に一次反応的に変
化するためであると考えられた。したがつて、
SiOの経時変化は、第1図,第2図から、その全
容をほぼ把握することができ、これにより、任意
の屈折率を持つSiOの屈折率の経時変化を予想で
きる。
第4図に、第5図のように、プラスチツク基
材、例えば、アクリルレンズ1上に第1層として
光学的膜厚λ0/4のSiO層2、第2層として光学
的膜厚λ0/4のMgF2層3の2層マルチコーテイ
ングを施し、このSiO屈折率を変えた時の分光透
過率特性を示す。この場合、設計波長λ0を550n
m、アクリルレンズの屈折率を1.49、MgF2の屈
折率を1.38とした。第4図において、曲線31は
SiOの屈折率を1.66としたもの、曲線32,33,
34はそれぞれSiOの屈折率を1.60、1.55、1.50と
したものである。このようにSiOの屈析率によつ
て分光透過率特性が変化するが、これらの変化を
定量的に評価するために、本発明者等はC線
(656nm)、d線(588nm)、F線(486nm)での
各透過率の平均値をとり、屈折率に対するこの平
均値をプロツトした。これを第6図に示す。第6
図において、横軸はSiOの屈折率でかつ縦軸はC
線、d線およびF線の平均の透過率である。この
図から、上記2層マルチコーテイングにおいて
は、SiOの屈折率を1.55以上にすることにより、
98%以上の透過率を得ることができ、極めて良好
な反射防止膜が得られることがわかる。
材、例えば、アクリルレンズ1上に第1層として
光学的膜厚λ0/4のSiO層2、第2層として光学
的膜厚λ0/4のMgF2層3の2層マルチコーテイ
ングを施し、このSiO屈折率を変えた時の分光透
過率特性を示す。この場合、設計波長λ0を550n
m、アクリルレンズの屈折率を1.49、MgF2の屈
折率を1.38とした。第4図において、曲線31は
SiOの屈折率を1.66としたもの、曲線32,33,
34はそれぞれSiOの屈折率を1.60、1.55、1.50と
したものである。このようにSiOの屈析率によつ
て分光透過率特性が変化するが、これらの変化を
定量的に評価するために、本発明者等はC線
(656nm)、d線(588nm)、F線(486nm)での
各透過率の平均値をとり、屈折率に対するこの平
均値をプロツトした。これを第6図に示す。第6
図において、横軸はSiOの屈折率でかつ縦軸はC
線、d線およびF線の平均の透過率である。この
図から、上記2層マルチコーテイングにおいて
は、SiOの屈折率を1.55以上にすることにより、
98%以上の透過率を得ることができ、極めて良好
な反射防止膜が得られることがわかる。
第7図に、第8図に示すように、プラスチツク
基材、例えば、スチレンレンズ4上に、第1層と
して光学的膜厚λ0/4のSiO層5、第2層として
光学的膜厚λ0/2のZrO2層6、第3層として光
学的膜厚λ0/4のMgF2層7の3層マルチコーテ
イングを施し、このSiOの屈折率を変えた時の分
光透過特性を示す。この場合に、設計波長λ0を
550nm、スチレンレンズの屈折率を1.59、ZrO2
の屈析率を2.05、MgF2の屈折率を1.38とした。
第7図において、曲線61はSiOの屈折率を1.70
としたもので、曲線62,63,64はそれぞれ
SiOの屈析率を1.60、1.56、1.50としたものであ
る。第9図に第7図から得られるかかる3層マル
チコーテイングにおけるC線、d線およびF線の
平均透過率とSiOの屈折率の関係を示す。この第
9図から、SiOの屈折率を1.55以上、望ましくは
1.56以上にすることにより99%以上の極めて良好
な透過率特性が得られることが判る。また、ポリ
カーボネートレンズに上記と同様な3層マルチコ
ーテイングを施した場合においても、ポリカーボ
ネートの屈折率が1.58であるため、スチレンレン
ズとほぼ同じてあり、SiOの屈折率が1.55以上の
時の良好な透過率特性を得ることができる。
基材、例えば、スチレンレンズ4上に、第1層と
して光学的膜厚λ0/4のSiO層5、第2層として
光学的膜厚λ0/2のZrO2層6、第3層として光
学的膜厚λ0/4のMgF2層7の3層マルチコーテ
イングを施し、このSiOの屈折率を変えた時の分
光透過特性を示す。この場合に、設計波長λ0を
550nm、スチレンレンズの屈折率を1.59、ZrO2
の屈析率を2.05、MgF2の屈折率を1.38とした。
第7図において、曲線61はSiOの屈折率を1.70
としたもので、曲線62,63,64はそれぞれ
SiOの屈析率を1.60、1.56、1.50としたものであ
る。第9図に第7図から得られるかかる3層マル
チコーテイングにおけるC線、d線およびF線の
平均透過率とSiOの屈折率の関係を示す。この第
9図から、SiOの屈折率を1.55以上、望ましくは
1.56以上にすることにより99%以上の極めて良好
な透過率特性が得られることが判る。また、ポリ
カーボネートレンズに上記と同様な3層マルチコ
ーテイングを施した場合においても、ポリカーボ
ネートの屈折率が1.58であるため、スチレンレン
ズとほぼ同じてあり、SiOの屈折率が1.55以上の
時の良好な透過率特性を得ることができる。
以上のように、プラスチツクレンズにSiOを含
む2層あるいは3層マルチコーテイングを施した
場合、SiOの屈折率が1.55以上であれば非常に良
好な透過率を得ることができる。通常、ビデオカ
メラ等の家庭電化製品においては、常温で5年間
以上あるいは80℃高温放置試験1ヶ月以上にさら
されても実用性能を維持しなければならない。こ
のような条件の下においてもSiOの屈折率を1.55
以上に維持するためには、第2図から明らかなよ
うに、80℃1ヶ月放置により、屈折率が1.62から
1.55に減少し、また、第1図から明らかなよう
に、20℃5年間放置で屈折率が1.69から1.62に減
少するから、初期のSiOの屈折率を1.69以上にす
れば良い。すなわち、蒸着終了後1時間のSiOの
屈所率(初期の屈折率)を1.69以上にすれば、常
温放置5年間、かつ80℃放置1ヶ月間を経た後に
おいても、SiOの屈折率は1.55以上を維持してお
り、したがつてコーテイングの実用性能を維持す
ることが可能となる。
む2層あるいは3層マルチコーテイングを施した
場合、SiOの屈折率が1.55以上であれば非常に良
好な透過率を得ることができる。通常、ビデオカ
メラ等の家庭電化製品においては、常温で5年間
以上あるいは80℃高温放置試験1ヶ月以上にさら
されても実用性能を維持しなければならない。こ
のような条件の下においてもSiOの屈折率を1.55
以上に維持するためには、第2図から明らかなよ
うに、80℃1ヶ月放置により、屈折率が1.62から
1.55に減少し、また、第1図から明らかなよう
に、20℃5年間放置で屈折率が1.69から1.62に減
少するから、初期のSiOの屈折率を1.69以上にす
れば良い。すなわち、蒸着終了後1時間のSiOの
屈所率(初期の屈折率)を1.69以上にすれば、常
温放置5年間、かつ80℃放置1ヶ月間を経た後に
おいても、SiOの屈折率は1.55以上を維持してお
り、したがつてコーテイングの実用性能を維持す
ることが可能となる。
次に、SiOの初期の屈折率を1.69以上にするた
めの蒸着条件について、第10図を参照して説明
する。第10図はSiOの初期の屈折率と到達真空
度の関係を示したものである。同図から明らかな
ように、SiOの初期の屈折率は到達真空度に強く
依存し、到達真空度を10-4Torrから3×
10-5Torrまで変化させることにより、1.58から
1.83までのSiOの初期の屈折率を得ることができ
る。この場合に、到達真空度以外の蒸着条件は、
蒸着速度10Å/sec、レンズと蒸発源の距離800
mm、蒸発源は電子銃ソースである。なお、通常、
到達真空度等の蒸着条件は、蒸着装置に強く依存
するため、絶対値は必ずしも本発明における値と
は一致しないが、屈折率と到達真空度の相対関係
は第10図のようになることは明らかである。第
10図から、SiOの初期の屈折率を1.69以上にす
るためには到達真空度を2×10-5Torr以上に高
めれば良く、一方、到達真空度を1×10-5を
Torr以上に高めると、SiO薄膜に吸収が生じ、と
くに、500nm以下での透過率が大幅に減少する
ことが判つた(第10図中に×印で示した)。し
たがつて、この吸収のために、SiOの屈折率が
1.74以上のものは反射防止膜として不適当であ
る。以上のように、SiOの初期の屈折率を1.69以
上にするとともに、良好な反射防止膜を得るため
の条件は、2×10-5Torr〜1×10-5Torrにする
ことである。
めの蒸着条件について、第10図を参照して説明
する。第10図はSiOの初期の屈折率と到達真空
度の関係を示したものである。同図から明らかな
ように、SiOの初期の屈折率は到達真空度に強く
依存し、到達真空度を10-4Torrから3×
10-5Torrまで変化させることにより、1.58から
1.83までのSiOの初期の屈折率を得ることができ
る。この場合に、到達真空度以外の蒸着条件は、
蒸着速度10Å/sec、レンズと蒸発源の距離800
mm、蒸発源は電子銃ソースである。なお、通常、
到達真空度等の蒸着条件は、蒸着装置に強く依存
するため、絶対値は必ずしも本発明における値と
は一致しないが、屈折率と到達真空度の相対関係
は第10図のようになることは明らかである。第
10図から、SiOの初期の屈折率を1.69以上にす
るためには到達真空度を2×10-5Torr以上に高
めれば良く、一方、到達真空度を1×10-5を
Torr以上に高めると、SiO薄膜に吸収が生じ、と
くに、500nm以下での透過率が大幅に減少する
ことが判つた(第10図中に×印で示した)。し
たがつて、この吸収のために、SiOの屈折率が
1.74以上のものは反射防止膜として不適当であ
る。以上のように、SiOの初期の屈折率を1.69以
上にするとともに、良好な反射防止膜を得るため
の条件は、2×10-5Torr〜1×10-5Torrにする
ことである。
以下に上記説明に基づいて、本発明によるプラ
スチツク光学部品の製造方法の具体例について説
明する。
スチツク光学部品の製造方法の具体例について説
明する。
具体例 1
第5図に示すように、アクリルレンズ1上に、
第1層2としてSiO層を、第2層3としてMgF2
を共に真空蒸着で作成した。SiO層2の蒸着条件
は、到達真空度2×10-5Torr、蒸着速度10Å/
sec、電子銃のパワーは6kV、47mAであり、
λ0/4の所定の膜厚まで蒸着した。MgF2層3は
SiO層2に引き続き、蒸着速度10Å/sec、電子
銃のパワー6kV、30mAで、λ0/4の所定の膜厚
まで蒸着した。この具体例によれば、初期のC
線、d線およびF線の平均の透過率は98.3%であ
り、長期にわたつて良好な透過率を維持した。ま
た、80℃の高温試験後においても、クラツクの発
生がなく、セロフアンテープを用いた剥離強度試
験においても剥離はなかつた。
第1層2としてSiO層を、第2層3としてMgF2
を共に真空蒸着で作成した。SiO層2の蒸着条件
は、到達真空度2×10-5Torr、蒸着速度10Å/
sec、電子銃のパワーは6kV、47mAであり、
λ0/4の所定の膜厚まで蒸着した。MgF2層3は
SiO層2に引き続き、蒸着速度10Å/sec、電子
銃のパワー6kV、30mAで、λ0/4の所定の膜厚
まで蒸着した。この具体例によれば、初期のC
線、d線およびF線の平均の透過率は98.3%であ
り、長期にわたつて良好な透過率を維持した。ま
た、80℃の高温試験後においても、クラツクの発
生がなく、セロフアンテープを用いた剥離強度試
験においても剥離はなかつた。
具体例 2
第8図に示すように、スチレンレンズ4上に、
第1層5としてSiO層を、第2層6としてZrO2層
を、第3層7としてMgF2層を真空蒸着にて作成
した。SiO層5を前記具体例1と同様な蒸着条件
で作成する前に、Arガスを1×10-4Torrまで導
入し、200Wの高周波電圧をあ印加して2分間の
イオンボンバードを行い、スチレンとSiOの密着
性の向上を図かつた。ZrO2の蒸着条件は、蒸着
速度6〜8Å/sec、電子銃パワー6kV、420mA
であり、λ0/2の所定の膜厚まで蒸着した。
MgF2の蒸着条件は、前記具体例1と同様であつ
た。この具体例によれば、初期のC線、d線およ
びF線の平均の透過率は99.5%であり、長期にわ
たつて良好な透過率を維持した。
第1層5としてSiO層を、第2層6としてZrO2層
を、第3層7としてMgF2層を真空蒸着にて作成
した。SiO層5を前記具体例1と同様な蒸着条件
で作成する前に、Arガスを1×10-4Torrまで導
入し、200Wの高周波電圧をあ印加して2分間の
イオンボンバードを行い、スチレンとSiOの密着
性の向上を図かつた。ZrO2の蒸着条件は、蒸着
速度6〜8Å/sec、電子銃パワー6kV、420mA
であり、λ0/2の所定の膜厚まで蒸着した。
MgF2の蒸着条件は、前記具体例1と同様であつ
た。この具体例によれば、初期のC線、d線およ
びF線の平均の透過率は99.5%であり、長期にわ
たつて良好な透過率を維持した。
また、上記具体例2において、スチレンレンズ
に代えてポリカーボネートレンズ上に同様な反射
防止膜を施したが、この場合においても、長期間
にわたつて良好な透過率を維持し、80℃の高温放
置試験後においてもクラツクの発生がなく、良好
な透過率特性が得られた。
に代えてポリカーボネートレンズ上に同様な反射
防止膜を施したが、この場合においても、長期間
にわたつて良好な透過率を維持し、80℃の高温放
置試験後においてもクラツクの発生がなく、良好
な透過率特性が得られた。
以上説明したように、本発明によれば、SiOの
初期屈折率を1.69以上、1.74以下にしたものであ
るから、長期間にわたつて透過率を充分に高く維
持することができて反射防止作用が向上し、上記
従来技術の欠点を除いて優れた機能のプラスチツ
ク製の光学部品を提供することができる。
初期屈折率を1.69以上、1.74以下にしたものであ
るから、長期間にわたつて透過率を充分に高く維
持することができて反射防止作用が向上し、上記
従来技術の欠点を除いて優れた機能のプラスチツ
ク製の光学部品を提供することができる。
第1図および第2図はSiOの屈折率の経時変化
を示すグラフ図、第3図はSiOの屈折率の減少の
傾きと1/Tの関係を示すグラフ図、第4図は2
層マルチコーテイングの分光透過率特性を示すグ
ラフ図、第5図は本発明によるプラスチツク光学
部品の一実施例を示す概要断面図、第6図は第5
図の2層マルチコーテイングにおけるSiOの屈折
率と透過率の関係を示すグラフ図、第7図は3層
マルチコーテイングの分光透過率特性を示すグラ
フ図、第8図は本発明によるプラスチツク光学部
品の他の実施例を示す概略断面図、第9図は第8
図の3層マルチコーテイングにおけるSiOの屈折
率と透過率の関係を示すグラフ図、第10図は
SiOの屈折率と到達真空度の関係を示すグラフ図
である。 1,4……プラスチツクレンズ、2,5……
SiO層、3,7……MgF2層、6……ZrO2層。
を示すグラフ図、第3図はSiOの屈折率の減少の
傾きと1/Tの関係を示すグラフ図、第4図は2
層マルチコーテイングの分光透過率特性を示すグ
ラフ図、第5図は本発明によるプラスチツク光学
部品の一実施例を示す概要断面図、第6図は第5
図の2層マルチコーテイングにおけるSiOの屈折
率と透過率の関係を示すグラフ図、第7図は3層
マルチコーテイングの分光透過率特性を示すグラ
フ図、第8図は本発明によるプラスチツク光学部
品の他の実施例を示す概略断面図、第9図は第8
図の3層マルチコーテイングにおけるSiOの屈折
率と透過率の関係を示すグラフ図、第10図は
SiOの屈折率と到達真空度の関係を示すグラフ図
である。 1,4……プラスチツクレンズ、2,5……
SiO層、3,7……MgF2層、6……ZrO2層。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 アクリルからなるプラスチツク基材上に形成
された反射防止膜を有するプラスチツク光学部品
であつて、該反射防止膜は、該プラスチツク基材
側から、光学的膜厚がλ0/4(但し、λ0は設計波
長)、初期屈折率が1.69以上、1.74以下であるSiO
で形成された第1層膜と、光学的膜厚がλ0/4の
MgF2で形成された第2層膜とからなることを特
徴とするプラスチツク光学部品。 2 スチレンまたはポリカーボネートからなるプ
ラスチツク基材上に形成された反射防止膜を有す
るプラスチツク光学部品であつて、該反射防止膜
は、該プラスチツク基材側から、光学的膜厚が
λ0/4(但し、λ0は設計波長)、初期屈折率が1.69
以上、1.74以下であるSiOで形成された第1層膜
と、光学的膜厚がλ0/2のZrO2で形成された第
2層膜と、光学的膜厚がλ0/4のMgF2で形成さ
れた第3層膜とからなることを特徴とするプラス
チツク光学部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58204955A JPS6098401A (ja) | 1983-11-02 | 1983-11-02 | プラスチツク光学部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58204955A JPS6098401A (ja) | 1983-11-02 | 1983-11-02 | プラスチツク光学部品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6098401A JPS6098401A (ja) | 1985-06-01 |
JPH0549962B2 true JPH0549962B2 (ja) | 1993-07-27 |
Family
ID=16499077
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58204955A Granted JPS6098401A (ja) | 1983-11-02 | 1983-11-02 | プラスチツク光学部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6098401A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07115001B2 (ja) * | 1986-07-11 | 1995-12-13 | 理化学研究所 | プラスチックレンズの製造方法 |
JPS63298301A (ja) * | 1987-05-29 | 1988-12-06 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | プラスチック製光学部品の反射防止膜 |
US5725959A (en) * | 1993-03-18 | 1998-03-10 | Canon Kabushiki Kaisha | Antireflection film for plastic optical element |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55570A (en) * | 1979-04-06 | 1980-01-05 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Multilayer antireflection film containing antiabsorption layer |
JPS56121001A (en) * | 1980-02-27 | 1981-09-22 | Minolta Camera Co Ltd | Optical parts made of plastic |
JPS5842001A (ja) * | 1981-09-04 | 1983-03-11 | Daicel Chem Ind Ltd | プラスチツク光学部品の反射防止膜 |
-
1983
- 1983-11-02 JP JP58204955A patent/JPS6098401A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55570A (en) * | 1979-04-06 | 1980-01-05 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Multilayer antireflection film containing antiabsorption layer |
JPS56121001A (en) * | 1980-02-27 | 1981-09-22 | Minolta Camera Co Ltd | Optical parts made of plastic |
JPS5842001A (ja) * | 1981-09-04 | 1983-03-11 | Daicel Chem Ind Ltd | プラスチツク光学部品の反射防止膜 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6098401A (ja) | 1985-06-01 |
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