JPH0549801B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】 本発明は空調用、冷凍用
圧縮機、空気圧縮機、ポンプ膨張機に適したスク
ロール流体機械に係り、特に旋回スクロールの自
転防止機構の改良に関する。

【0002】

【従来の技術】 一般にスクロール流体装置の構
造は図６に示す如く、主要部品としては、端板１
ａに直立した渦巻状ラツプ１ｂを形成してなる固
定スクロール１、端板２ａに直立した渦巻状ラツ
プ２ｂを形成してなる旋回スクロール２、自転防
止機構、フレーム３、駆動機構からなつており、
固定スクロール１と旋回スクロール２とを互に噛
み合せ、固定スクロールをフレーム３に固定し、
駆動機構としてフレーム３に軸受で支持されたク
ランク軸４のクランクピン４ａを旋回スクロール
２の背面の軸受ボス２ｃに嵌め、クランク軸４を
回転させることにより、旋回スクロール２をその
自転を自転防止機構で阻止しつつ固定スクロール
１に対して旋回運動させる様になつている。６お
よび７はクランク軸４を回転駆動するモータのロ
ータおよびステータ、８はチヤンバである。圧縮
機としての動作の場合、モータによりクランク軸
４を回転させて、上記の如く旋回スクロール２を
旋回運動させると、吸入管９から入つたガスは両
スクロールのラツプ間に形成される圧縮室５ａ，
５ｂで圧縮された固定スクロール１の中央の吐出
口１４から吐出し、チヤンバ８のモータ室を経て
吐出管１０から機外に吐出される。４０はクラン
ク軸４に取付けられたバランスウエイトである。

【0003】 上記の構成において、自転防止機構は
旋回スクロール２の自転を阻止しながら該スクロ
ールの旋回を許すためのもので、従来の構造は図
６乃至図８に示すように旋回スクロール２の背面
に直線状にキー１３を圧入固定し、これと相対す
る位置にて円形オルダムリング１１に溝１１ａを
設けてこれに沿つてキー１３をスライドさせ、円
形オルダムリング１１の反対面に同溝と直交する
位置に同様な溝１１ｂを設け、これと相対する位
置にフレーム３に径方向に突起部を設け、その突
起部上にキー１２を圧入固定してこれを溝１１ｂ
にスライドさせ、以てオルダムリング１１が溝１
１ａ，１１ｂ方向にスライドできるようにして、
旋回スクロール２の旋回運動を許しながらその自
転を阻止する機構となつている。

【0004】 また、他の従来例として、円形オルダ
ムリングに溝を設ける代りにオルダムリングの面
から直立したキーをオルダムリングに設け（すな
わち図８の１１ａ，１１ａ、又は１１ｂ，１１ｂ
で示す部分を溝でなくて直立したキーにする）、
相手方の部材である旋回スクロール又はフレーム
突起部に該キーの嵌まる溝を設けた構造のものも
ある。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】 前記のように
従来技術におけるオルダムリングは円形形状をな
しており、オルダムリングの小型・軽量化が図ら
れていないため、、高速運転時にその慣性力によ
り振動が大きくなるという問題があり、またスク
ロール流体機械全体の小型化に対する支障にもな
つていた。

【0006】 本発明の目的は、オルダムリングの小
型・軽量化を可能にし、以て、振動の発生の低減
を図り、またスクロール流体機械の小型化にも資
することにある。

【0007】

【課題を解決するための手段】 上記目的は、オ
ルダムリングを、相直交する２つの対称軸を有し
且つこれら対称軸方向に長径および短径を有する
非円形リングとなし、該非円形オルダムリングの
長径方向および短径方向に夫々設けた相対向する
対をなすキー（又はキー溝）を、夫々、相手部材
であるフレームおよび旋回スクロール端板に設け
た対応する対をなすキー溝（又はキー）に摺動自
在に係合させることによつて達成される。この非
円形オルダムリングに設ける上記短径方向の対を
なすキーは、該オルダムリングからその短径方向
に互いに反対側に突出したキーであつてよい。

【0008】

【作 用】 上記の非円形オルダムリングは、従
来の円形オルダムリングに比べて、より小型・軽
量化される。特に上記非円形オルダムリングにそ
の短径方向に突出したキーを設けた場合には、旋
回スクロールの自転トルクを受けとめて自転防止
をするためのキー荷重を直交二方向のキーについ
て同等もしくはほぼ同等としながら、オルダムリ
ングの小型・軽量化を達成し得る。

【0009】

【実施例】 本発明の第１実施例のオルダムリン
グを組込んだスクロール流体機械の要部の縦断側
面図を図２に、また、そのオルダムリングとフレ
ームを上から見た平面図を図１に示す。このスク
ロール流体機械の他の部分の構造は図６と実質的
に同じである。本実施例では、長円形のオルダム
リング１５は、短径方向に互に反対向きに突出し
た１対のキー１５ａを有し、また、該リング１５
の面に長径方向の１対のキー（又はキー溝）１５
ｂを有する。短径方向の１対のキー１５ａは、フ
レーム３の内側突起３ａに形成された１対の対応
するキー溝３ｂと摺動自在に係合され、他方、長
径方向の１対のキー（又はキー溝）１５ｂは、旋
回スクロール２の端板２ａの下面に設けられた１
対の対応するキー溝（又はキー）２ｄと摺動自在
に係合される。旋回スクロール２ａに設けた該キ
ー（又はキー溝）２ｄは図２には現われていな
い。

【0010】 上記第１実施例において、オルダムリ
ング１５は、短径方向の運動に関しては、該リン
グ１５の中に在る旋回スクロール軸受ボス２ｃと
共に動くから、オルダムリング１５の短径方向の
内法寸法を軸受ボス２ｃの外径より若干大きい程
度に小さくし得る。

【0011】 図３および図４に示す第２実施例にお
いては、長円形のオルダムリング１５は、短径方
向に互に反対向きに突出した１対のキー１５ｃを
有し、また、該リング１５の面上に長径方向の１
対のキー１５ｄを有する。上記１対のキー１５ｃ
は旋回スクロール端板２ａの下面に設けられた対
応する１対のキー溝２d′に摺動自在に係合され、
他方の１対のキー１５ｄはフレーム３の内側突起
に形成された対応する１対のキー溝３b′と摺動自
在に係合される。本第２実施例では、オルダムリ
ング１５の短径方向に関してオルダムリング１５
とその中にある旋回スクロール軸受ボス２ｃとの
間には旋回スクロールの旋回運動半径に応じた相
対運動が起るから、それを妨げないために、オル
ダムリング１５の短径方向寸法は前記第１実施例
よりは大きい必要がある。

【0012】 前述の第１実施例の様に、フレーム３
側のキー溝と摺動係合するオルダムリング側のキ
ーがオルダムリングから径方向に突出していて且
つ側面図で見てオルダムリングの面内にある様な
キーである場合には、図２に示す如す。側面図で
見てフレーム側のキー溝とオルダムリング１５と
がほぼ一直線上に存在し、そのため旋回スクロー
ル端板２ａとフレーム３のキー溝との距離を小さ
くすることができ、その結果、旋回スクロールと
クランク軸４の主軸受４ｂとの間の距離を小さく
し得るので、主軸受４ｂにかかる軸受荷重を減ら
すことができ、また、旋回スクロールとバランス
ウエイト４０との間の距離を小さくし得るので、
バランスウエイトの機能向上および小型・軽量化
を図ることができるという利点がある。

【0013】 図５は更に他の実施例のオルダムリン
グを示すもので、平面図でａで示される長円形オ
ルダムリング１５には、短径方向に１対のキー溝
１５ｅ（又はキー１５e′）および長径方向に１対
のキー溝１５ｆ（又はキー１５f′）が設けられて
いる。その側面図はｂ又はｃで示される。これら
１対の短径方向キー（又はキー溝）はフレーム３
（又は旋回スクロール端板２ａ）に設けられた対
応する１対のキー溝（又はキー）に摺動係合さ
れ、短径方向の１対のキー（又はキー溝）は旋回
スクロール端板２ａ（又はフレーム３）に設けら
れた対応する１対のキー溝（又はキー）に摺動係
合される。本実施例では、旋回スクロールの自転
トルクを受けとめて自転防止をするためのキー荷
重は、短径方向キーの方が長径方向キーよりも大
きくなるけれども、従来の円形オルダムリングに
比べてオルダムリングの小型化・軽量化の効果は
得られる。これに対し、前述の第１又は第２実施
例の如く長円形オルダムリングから短径方向に突
出したキーを備える場合は、直交両方向のキーに
作用するキー荷重を同等もしくはほぼ同等にしな
がらオルダムリングの小型・軽量化が可能である
という利点がある。

【0014】

【発明の効果】 本発明のスクロール流体機械に
おいては、オルダムリングを直交二方向の対称軸
を有し且つ該対称軸方向に長径および短径を有す
る非円形リングとしたので、従来の円形オルダム
リングを用いる場合に比べて、オルダムリングの
小型・軽量化が可能であり、その結果、振動の発
生を減らし、ひいてはスクロール流体機械の小型
化にも寄与し得る。特に、上記非円形オルダムリ
ングに短径方向に突出したキーを設けた場合に
は、直交両方向キー荷重をほぼ同等にしながらオ
ルダムリングの小型・軽量化が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例のオルダムリングと
フレームの上面図、

【図２】該第１実施例のスクロール流体機械の要
部縦断面図、

【図３】本発明の第２実施例のオルダムリングと
フレームの上面図、

【図４】該第２実施例のスクロール流体機械の要
部の縦断面図、

【図５】本発明の他の実施例のオルダムリングの
平面図と側面図、

【図６】従来例のスクロール流体機械の縦断面
図、

【図７】図６における旋回スクロールの下面図、

【図８】図６におけるオルダムリングの平面図。

【符号の説明】

１…固定スクロール、２…旋回スクロール、２ａ
…旋回スクロール端板、３…フレーム ４…クランク転、１５…オルダムリング ４０…バランスウエイト

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【１】 端板およびそれに直立した渦巻状のラツ
   プを有する固定スクロールと；固定スクロール端
   板周部を固定するフレームと；端板およびそれに
   直立した渦巻状のラツプを有し、ラツプを互に内
   側にして固定スクロールと噛み合つて固定スクロ
   ールとフレームとに囲まれて配置された旋回スク
   ロールと；旋回スクロール端板とフレームとの間
   において旋回スクロール端板と平行に配置された
   オルダムリング、ならびに、オルダムリングをフ
   レームに対しては第１の径方向のみに、および旋
   回スクロールに対しては上記第１の径方向とは直
   角な第２の径方向のみに移動可能とする様にオル
   ダムリングとフレームおよび旋回スクロール端板
   とを夫々係合させるオルダムリング−フレーム間
   係合手段およびオルダムリング−旋回スクロール
   端板間係合手段からなり、旋回スクロールの自転
   を阻止しながら固定スクロールに対するその旋回
   運動を許す自動防止機構と；旋回スクロールを固
   定スクロールに対して旋回運動させる駆動機構
   と；を備えたスクロール流体機械において、 前記オルダムリングは相直交する２つの対称軸
   を有し且つそのうちの１つの対称軸方向（短径方
   向）におけるリング径が他の１つの対称軸方向
   （長径方向）におけるリング径よりも短い非円形
   リングであり、該非円形オルダムリングはその短
   径方向および長径方向のうちの一者および他者が
   前記第１の径方向および第２の径方向に夫々一致
   する様に配置され、 前記オルダムリング−フレーム間係合手段は、
   オルダムリングおよびフレームの両者のうちの１
   者に設けられた前記第１の径方向の一対のキー溝
   と；該両者のうちの他者に設けられ、該第１の径
   方向の１対のキー溝に夫々挿入されて該キー溝に
   沿つて摺動する第１の１対のキーと；からなり、 前記オルダムリング−旋回スクロール端板間係
   合手段は、オルダムリングおよび旋回スクロール
   端板の両者のうちの１者に設けられた前記第２の
   径方向の１対のキー溝と；該両者のうちの他者に
   設けられ、該第２の径方向の１対のキー溝に夫々
   挿入されて該キー溝に沿つて摺動する第２の１対
   のキーと；からなる ことを特徴とするスクロール流体機械。 【２】 前記オルダムリング−フレーム間係合手
   段における前記第１の１対のキーは、前記非円形
   オルダムリングから互に反対側に短径方向に突出
   した１対のキーである特許請求の範囲第１項記載
   のスクロール流体機械。 【３】 前記オルダムリング−旋回スクロール端
   板間係合手段における前記第２の１対のキーは、
   前記非円形オルダムリングから互に反対側に短径
   方向に突出した１対のキーである特許請求の範囲
   第１項記載のスクロール流体機械。