JPH0547899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案に係るガスケツトは、自動車用エンジ
ンのシリンダヘツドとエキゾーストマニホールド
との間に挟持し、両部材同士の接続部からの排気
の漏洩を防止するのに利用する。

（従来の技術とその問題点） 自動車用エンジンのシリンダヘツドとエキゾー
ストマニホールドとの接続部にはガスケツトを挟
持して、この接続部からの排気の漏洩をを防止し
ている。

この様な部分に使用するガスケツトとして従来
は、アスベスト等を主成分とするシート材により
造られたものを広く使用していたが、発癌性の問
題からアスベストの使用が制限される様になつた
事と、エンジンの高出力化に伴なう耐熱性の要求
水準向上とにより、金属板を主体とするガスケツ
トを使用する場合が多くなつて来た。

金属板を主体とするガスケツトの内では、１枚
乃至は互いに積層された複数枚の金属板より成る
メタルガスケツトが広く使用されているが、メタ
ルガスケツトは、金属製のフランジ面に対する馴
染み性が必ずしも良好とは言えず、又、馴染み性
を良くする為にビードを形成した場合でも、ビー
ドが排気熱に曝されて焼鈍され（なまされ）る。
例えば、メタルガスケツトが排気熱により1000℃
に加熱された場合には、ビード形成部分に十分な
弾力性がなくなる為、使用状態によつては、必ず
しも十分なシール性を得られなくなる。

この為本考案者は、表裏１対の金属板の内外両
周縁部同士を結合し、両金属板の間に存在するカ
ーボン或は無機繊維等のクツシヨン材をくるむ事
により造られ、高温に曝された場合でも十分な弾
性を得られる、所謂くるみガスケツトにより、シ
リンダヘツドとエキゾーストマニホールドとの間
の気密保持を図る事を考えた。

ところが、エキゾーストマニホールドに形成さ
れるフランジ面の形状は複雑な場合が多く、従来
のくるみガスケツトの場合、フランジ面の形状に
合わせたものを製作するのに困難な場合が多い。
しかも、単にくるみガスケツトを１対のフランジ
面の間で挟持した場合、金属板の間に包み込んだ
クツシヨン材がへたり易く、シール性能が早期に
低下し易くなる。

本考案のガスケツトは、この様な不都合を解消
するものである。

（課題を解決する為の手段） 本考案のガスケツトは、従来のガスケツトと同
様に、互いに対向する１対のフランジ面同士の間
に挟持し、両面間の気密保持を図るのに利用す
る。

この様な用途に利用する本考案のガスケツト
は、上記フランジ面の間に挟持自在な大きさを有
し、このフランジ面に開口した流路よりも大きな
通孔を穿設した第一の金属板と、表裏１対とされ
た第二、第三の金属板の内外両周縁部同士を結合
し、これら第二、第三の金属板の間に存在するク
ツシヨン材をくるむ事により全体を環状に形成さ
れ、上記通孔に内嵌自在な外周形状と上記流路を
流れる流体が通過自在な内周形状とを有するシー
ル環とから構成されている。

上記シール環を構成する第二、第三の金属板の
重ね合わせ方向に亙る厚さ寸法の合計は、上記第
一の金属板の厚さ寸法未満としている。そして、
このシール環を、上記第一の金属板の通孔の内側
に係止して、両部品を一体的に取り扱える様にし
ている。

（作用） 上述の様に構成される本考案のガスケツトによ
り、自動車用エンジンのシリンダヘツドとエキゾ
ーストマニホールドとの間の気密保持を図る場
合、シール環をフランジ面に開口した流路に整合
させた状態で、ガスケツトを１対のフランジ面同
士の間に挟持する。

この状態で、上記１対のフランジ面を有する部
材同士をボルトとナツトとの締付けにより結合
し、１対のフランジ面同士の間隔を狭めた場合、
第一の金属板により位置決めを図られたシール環
が１対のフランジ面の間で圧縮され、このフラン
ジ面に開口した流路を流れる排気等の流体のシー
ルを図る。

この状態でシール環は、第一の金属板の厚さ以
上に圧縮される事がない為、第二、第三の金属板
の間に包み込んだクツシヨン材がへたり難く、良
好なシール性能を長期間に亙つて維持出来る。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ、本考案を更
に詳しく説明する。

第１〜２図は本考案の第一実施例を示してお
り、第１図は部分平面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ断面図である。

１は位置決め用の第一の金属板で、鉄板等を打
ち抜き形成する事で造られており、エンジンのシ
リンダヘツド側面とエキゾーストマニホールドの
端面とにそれぞれ形成されたフランジ面の間に、
挟持自在な大きさを有する。この第一の金属板１
には、上記各フランジ面に開口した排気流路より
も大きな通孔２と、シリンダヘツド側面にエキゾ
ーストマニホールドを結合固定する為のボルトを
挿通する小円孔３，３とを、それぞれ穿設してい
る。

上述の様な第一の金属板１の通孔２に内嵌支持
されるシール環７は、第２図に示す様に、表裏１
対となる第二、第三の金属板４，５の間に、カー
ボン、或は無機繊維等のクツシヨン材６を包み込
む事で、全体を環状（円環状に限らず、排気流通
用通路の形状に合わせて、任意の形状とされる。）
に形成されている。

上述の様なシール環７を構成する第二、第三の
金属板４，５の内、第二の金属板４の内外両周縁
部は、第三の金属板５の内外両周縁部に向け折り
返す事で、両金属板４，５の周縁部同士を結合し
ている。そして、このシール環７に、前記第一の
金属板１に形成した通孔２に内嵌自在な外周形状
と、フランジ面に開口した流路を流れる排気が、
抵抗なく通過自在な内周形状とを持たせている。

尚、上記第二、第三の金属板４，５の重ね合わ
せ方向に亙る厚さ寸法の合計は、上記第一の金属
板１の厚さ寸法未満としている。例えば、図示の
実施例の様に、第二の金属板４の内外両周縁部を
折り返し、この折り返し部分に於いて第三の金属
板５と、第二の金属板４とを重ね合わせた場合、
第二の金属板４の厚さ寸法T₄の２倍と第三の金
属薄板５の厚さ寸法T₅との合計を、上記第一の
金属板１の厚さ寸法T₁未満（T₁＞2T₄＋T₅）と
している。

そして、このシール環７は、前記第一の金属板
１に形成した通孔２の内側に弾性的に押し込む事
により、更には接着剤等を使用して互いに不離に
結合する事により、両部品１，７を一体的に取り
扱える様にしている。

上述の様に構成される本考案のガスケツトによ
り、自動車用エンジンのシリンダヘツドとエキゾ
ーストマニホールドとの間の気密保持を図る場
合、シール環７をフランジ面に開口した排気流路
に整合させた状態で、ガスケツトを１対のフラン
ジ面同士の間に挟持する。

この状態で、第一の金属板１に形成された小円
孔３，３は、上記１対のフランジ面に形成された
ボルト挿通用の孔、及び螺子孔に整合する。この
為、ボルト挿通用の孔並びに小円孔３，３に挿通
したボルトを螺子孔に螺合させ、更に緊締して、
上記フランジ面を有する部材同士を結合すれば、
１対のフランジ面同士の間隔が狭まり、第一の金
属板１により位置決めを図られたシール環７が１
対のフランジ面の間で圧縮され、このフランジ面
に開口した流路を流れる排気が外部に漏洩する事
を防止する。

１対のフランジ面の間で挟持されたシール環７
は、第一の金属板１の厚さ迄圧縮されるが、この
第一の金属板１の厚さは、シール環７の圧縮が適
度に行なわれる様に、予め定められている為、こ
のシール環７を構成するクツシヨン材６が過度に
押し潰され、早期にへたる事が防止される。この
為、シール環７によるシール作用は、長期間に亙
り良好な状態に保たれる。

次に、第３図は本考案の第二実施例を示してい
る。本実施例の場合、位置決め用の第一の金属板
１を２枚に分割すると共に、この第一の金属板１
の通孔２の内周縁部を傾斜させて、２枚の金属板
を重ね合わせた場合に、通孔２の内周縁に形成さ
れるＶ字状の溝８により、シール環７の外周縁部
を支持出来る様にしている。

重ね合わされた２枚の金属板はスポツト溶接に
より、或はフランジ面からはみ出す部分を折り返
す事により、互いに結合する。

（考案の効果） 本考案のガスケツトは、以上に述べた通り構成
され作用する為、高温に曝される様な条件で使用
した場合に於いても、へたる事がなく、長期間に
亙つて十分なシール性を得る事が出来るだけでな
く、製造が比較的簡単なガスケツトとして、実用
上有用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本考案の第一実施例を示してお
り、第１図は部分平面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ断面図、第３図は本考案の第二実施例を示す、
第２図同様の断面図である。 １……第一の金属板、２……通孔、３……小円
孔、４……第二の金属板、５……第三の金属板、
６……クツシヨン材、７……シール環、８……
溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに対向する１対のフランジ面同士の間に挟
   持し、両面間の気密保持を図るガスケツトであつ
   て、上記フランジ面の間に挟持自在な大きさを有
   し、このフランジ面に開口した流路よりも大きな
   通孔を穿設した第一の金属板と、表裏１対とされ
   た第二、第三の金属板の内外両周縁部同士を結合
   し、これら第二、第三の金属板の間に存在するク
   ツシヨン材をくるむ事により全体を環状に形成さ
   れ、上記通孔に内嵌自在な外周形状と上記流路を
   流れる流体が通過自在な内周形状とを有し、上記
   第二、第三の金属板の重ね合わせ方向に亙る厚さ
   寸法の合計を、上記第一の金属板の厚さ寸法未満
   としたシール環とから成り、このシール環を上記
   第一の金属板の通孔の内側に係止したガスケツ
   ト。