JPH0433491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係るメタルシリンダヘツドガスケツ
トは、内燃機関のシリンダヘツド下面とシリンダ
ブロツク上面との間に挾持し、両面間の気密及び
液密を保持するのに利用する。

（従来の技術） 内燃機関のシリンダヘツド下面とシリンダブロ
ツク上面との間には、シリンダヘツドガスケツト
を挾持して、シリンダ内で発生する高圧の燃焼ガ
ス、或はシリンダブロツクとシリンダヘツドとの
間を流通する冷却水や潤滑油が、外部に漏洩する
のを防止している。

第３図はこの様なシリンダヘツドガスケツト１
の１例を示している。このシリンダヘツドガスケ
ツト１には、シリンダ頂部の開口形状に合せた円
形のボア孔２，２、シリンダヘツドをシリンダブ
ロツクに固定する為のボルトを挿通する小円孔
３，３、冷却水や潤滑油を通す為の透孔４，４が
穿設されている。５は各ボア孔２，２の内周縁部
に装着した金属薄板製のグロメツトである。

この様なシリンダヘツドガスケツト１は、従来
はフツク付鉄板或は金網の様な芯材の表裏面に、
アスベスト或は炭素等を主成分とするコンパウン
ドを塗布したり、或はこれらのシートを貼着して
造つていた。ところが、近年ターボチヤージヤの
普及等により、エンジンの熱負荷が高くなる傾向
が強くなつて、耐熱性の良好なメタルシリンダヘ
ツドガスケツトを使用する場合が多くなつた。

従来のメタルシリンダヘツドガスケツトは、ボ
ア孔等を打ち抜き形成した亜鉛メツキ鋼板、ステ
ンレス鋼板等の金属板６〜８を第４図に示す様に
３枚以上重ね合せると共に、中間の金属板７のボ
ア孔２の内周縁部にグロメツト５を、残りの金属
板６，８と重畳しない様にして装着する事で、シ
リンダヘツドガスケツト１をシリンダブロツク上
面とシリンダヘツド下面との間で挟持した場合
に、このボア孔２の周縁部の気密保持を図れる様
にしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上述の様な従来のメタルシリンダヘ
ツドガスケツトの場合、少なくとも３枚以上の金
属板を積層して構成していた為、低廉化を図り難
かつた。

又、ボア孔２の周縁部に装着したグロメツト５
による気密保持性能が必ずしも十分とは言えず、
エンジンを十分に高効率で運転出来ない場合が生
じた。

本考案のメタルシリンダヘツドガスケツトは、
上述の様な不都合を何れも解消するものである。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案のメタルシリンダヘツドガスケツトは、
金属板の表裏両面にゴム層を形成し、潤滑油や冷
却水を通過させる為の透孔とボルトを挿通する為
の小孔とシリンダ孔に整合するボア孔とを穿設し
た少なくとも１枚の基板と、円輪状の金属板を、
内周側が開口部となる様に外周側で180度折り返
し、上記ボア孔にがたつきなく内嵌自在な外径を
有する環状に形成したグロメツトとから成り、こ
のグロメツトの外周縁と上記金属板のボア孔の内
周縁とを互いに溶接する事で構成されている。

（作用） 上述の様に構成される本考案のメタルシリンダ
ヘツドガスケツトは、前述した従来のメタルシリ
ンダヘツドガスケツトと同様に、エンジンのシリ
ンダブロツク上面とシリンダヘツド下面との間に
挟持して、両面間の気密、液密を保持するのに使
用する。

ボア孔周縁部の気密保持は、このボア孔の内側
に溶接により固定されたグロメツトにより保持さ
れるが、金属板を断面がＵ字形となる様に180度
折り返す事で構成されたグロメツトは、内周縁側
が開口している為、エンジンのシリンダ内で発生
した高圧の燃焼ガスの一部は、このグロメツトの
内側に進入し、このグロメツトを内側から押し広
げる様に作用する。

この為、グロメツトとシリンダブロツク上面及
びシリンダヘツド下面との当接圧力が高くなり、
シリンダブロツク上面とシリンダヘツド下面との
間の気密保持が確実に図られる。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ、本考案を更
に詳しく説明する。

第１〜２図は本考案の実施例を示しており、第
１図は本考案のメタルシリンダヘツドガスケツト
を示す要部断面図、第２図は同平面図である。

鋼板、或はステンレス鋼板等の金属板９の表裏
両面にゴム層１０，１０を形成して成る基板１１
には、潤滑油や冷却水を通過させる為の透孔４
と、ボルトを挿通する為の小孔３，３（第３図参
照。第１〜２図には省略。）と、シリンダブロツ
クの上面に開口するシリンダ孔に整合するボア孔
２とを穿設している。透孔４の外周部分には全周
に亘つてビードを形成し、この透孔４の周囲の液
密保持が確実に図られる様にしている。

上記基板１１に穿設したボア孔２の周縁部の気
密保持を図る為のグロメツト１２は、円輪状の金
属板を、内周側が開口部となる様に外周側で180
度折り返す事で、全体を環状に形成している。こ
の環状のグロメツト１２の外径は、上記ボア孔２
の内径と同じか僅かに大きくして、グロメツト１
２をボア孔２にがたつきなく内嵌自在としてい
る。

グロメツト１２の外周縁と、金属板９のボア孔
２の内周縁に露出した部分とは、互いに溶接する
事でグロメツト１２と基板１１とを不離に結合し
ている。

ボア孔２の周囲部分複数個所には、このグロメ
ツト１２と金属板９との溶接作業を容易に行なえ
る様にする為、スポツト溶接機の端子１３を挿入
自在な小通孔１４が形成されている。溶接を行な
う場合には、スポツト溶接機に設けた１対の端子
１３，１３の内、一方の端子１３を小通孔１４内
に挿入して金属板９と接触させ、他方の端子１３
をボア孔２の内側に挿入してグロメツト１２に接
触させ、両端子１３，１３間に電流を流して、金
属板９とグロメツト１２とを溶接する。但し、ボ
ア孔２の近くに透孔４や小孔３が存在する場合、
小通孔１４を省略し、代りに一方の端子を透孔４
や小孔３に挿入しても良い。

上述の様に構成される本考案のメタルシリンダ
ヘツドガスケツトを、エンジンのシリンダブロツ
ク上面とシリンダヘツド下面との間に挟持して、
エンジンを運転した場合、エンジンのシリンダ内
で発生した高圧の燃焼ガスの一部が、このグロメ
ツト１２の内側に進入し、このグロメツト１２の
内側から押し広げてその厚さを大きくしようとす
る。この為、グロメツト１２とシリンダブロツク
上面及びシリンダヘツド下面との当接圧力が高く
なり、シリンダブロツク上面とシリンダヘツド下
面との間の気密保持が確実に図られる。

尚、グロメツト１２の外周縁部を単に180度折
り返しただけでは、この折り返し部の曲率が小さ
くなり過ぎ、折り返し部に亀裂が発生し易いと考
えられる場合は、グロメツト１２の内側に環状の
金属板を挿入し、この金属板の厚さ分だけ、グロ
メツト１２の外周縁部に於ける曲率を大きくする
事も出来る。但し、この場合は、基板１１を構成
する金属板９の厚さもその分だけ厚くして（或
は、基板１１を２枚以上積層して）、基板１１と
グロメツト１２部分との板厚に極端な差が生じな
い様にする。

ｃ 考案の効果 本考案のメタルシリンダヘツドガスケツトは、
以上に述べた通り構成され作用するが、少なくと
も１枚の基板とボア孔の数に見合うだけのグロメ
ツトとのみで構成される為、製作費が低廉とな
り、しかもボア孔周縁部の気密保持が確実に図れ
る為、エンジンのシリンダ内で発生する高圧の燃
焼ガスの漏洩を確実に防止して、エンジンの出力
向上を図れる等、実用上の効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のメタルシリンダヘツドガスケ
ツトを示す要部断面図、第２図は同平面図、第３
図は本考案の対象となるメタルシリンダヘツドガ
スケツトの１例を示す平面図、第４図は従来のメ
タルシリンダヘツドガスケツトの１例を示す、第
３図の拡大Ａ−Ａ断面図である。 １……シリンダヘツドガスケツト、２……ボア
孔、３……小円孔、４……透孔、５……グロメツ
ト、６，７，８，９……金属板、１０……ゴム
層、１１……基板、１２……グロメツト、１３…
…端子、１４……小通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板の表裏両面にゴム層を形成し、潤滑油や
   冷却水を通過させる為の透孔とボルトを挿通する
   為の小孔とシリンダ孔に整合するボア孔とを穿設
   した少なくとも１枚の基板と、円輪状の金属板
   を、内周側が開口部となる様に外周側で180度折
   り返し、上記ボア孔にがたつきなく内嵌自在な外
   径を有する環状に形成したグロメツトとから成
   り、このグロメツトの外周縁と上記金属板のボア
   孔の内周縁とを互いに溶接した、メタルシリンダ
   ヘツドガスケツト。