JPH0547738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、前輪操向用の複動型油圧シリンダ
と、後輪操向用の複動型油圧シリンダとが設けら
れ、それら油圧シリンダが、パワーステアリング
ユニツトの一対のシリンダ操作用ポートの間に、
直列に介装された油圧式のパワーステアリング装
置に関する。

〔従来の技術〕

かかる全油圧式のパワーステアリング装置にお
いて、従前では、前記両油圧シリンダを接続する
中継油路に対して、パワーステアリングユニツト
からの吐出油を供給するための手段は、何ら備え
られていなかつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

油圧シリンダにおける油漏れ等に起因して、前
記中継油路とそれが接続される各油圧シリンダの
油室とからなる密閉回路部分に、充填保持すべき
油量が減少する虞れがある。そして、このような
事態が生じると、両油圧シリンダの相対伸縮位置
が適正位置から外れるため、所望通りのステアリ
ングを行なえないものとなる。

つまり、前輪が直進に対応する中立位置に位置
しているにも拘らず、後輪が中立位置を外れた位
置となつて、例えば、所望通り直進できないトラ
ブルを招くことになる。

従つて、上述の如く、充填保持すべき油量が減
少した場合には、油の補充を行なう必要がある
が、従来では、油補充の特別な手段が備えられて
いないため、適当に油補充を行なわせることがで
きないものであつた。

又、前述の密閉回路部分に、使用に伴い空気が
混入する虞れがあり、この場合にも、密閉回路部
分に油を供給しながら、エア抜きを行なう必要が
あるが、上述と同様に、適切に油供給を行なわせ
ることができないものであつた。

本考案は、上記実状に鑑みて為されたものであ
つて、簡単な改造によつて、前述の密閉回路部分
に油を供給できるようにする点にある。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案による油圧式のパワーステアリング装置
の特徴構成は、前輪操向用の複動型油圧シリンダ
と後輪操向用の複動型油圧シリンダとを接続する
中継油路に対して、パワーステアリングユニツト
からの吐出油を供給するバイパス油路が設けら
れ、そのバイパス油路を開閉する弁が設けられて
いる点にあり、その作用及び効果は次の通りであ
る。

〔作用〕

すなわち、バイパス油路を開いて、パワーステ
アリングユニツトを作動させれば、中継油路とそ
れが接続される各油圧シリンダの油室とからなる
密閉回路部分に、油を供給できることになり、そ
の油供給機能を利用して、油の補充やエア抜きを
行なわせることができる。

ちなみに、エア抜きに行なうに、各油圧シリン
ダにドレンボードを備えさせている場合には、そ
のドレンボードを閉じるプラグを外して、油を供
給すればよい。

又、後述の実施例においても説明するように、
バイパス油路に接続される絞り付きのドレン油路
と、そのドレン油路を開閉する弁とを備えさせて
おく場合には、ドレン油路を開いて、油を供給す
ればよい。

〔考案の効果〕

従つて、中継油路とそれが接続される各油圧シ
リンダの油室とからなる密閉回路部分に、油補充
やエア抜きのために油を供給することを、本来備
えているパワーステアリングユニツトを利用しな
がら適切に行なわせることができるのであり、も
つて、保守面においても優れた油圧式のパワース
テアリング装置を得るに至つた。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

作業車に装備する左右一対の前輪１及び左右一
対の後輪２に対して、前輪操向用の複動型油圧シ
リンダ３Ｆや、後輪操向用の複動型油圧シリンダ
３Ｒが付設されている。

すなわち、それら油圧シリンダ３Ｆ，３Ｒは、
ピストンロツドが車体側に固着されるものであつ
て、シリンダチユーブが、タイロツド４を介して
ナツクルアーム５に連係されている。

前記両油圧シリンダ３Ｆ，３Ｒが、ステアリン
グハンドル（図示せず）に連係されたパワーステ
アリングユニツト６に、直列に接続されている。

すなわち、両油圧シリンダ３Ｆ，３Ｒが、パワ
ーステアリングユニツト６の一対のシリンダ操作
用ポートＬ，Ｒの間に、直列に介装されている。
但し、前輪３Ｆの向き変更方向と後輪３Ｒの向き
変更方向とを逆にする、いわゆるハの字ステアリ
ング形式にて操向できるように配管されている。

前記パワーステアリングユニツト６は、一般に
は、オービツトロール（登録商標）式とも呼称さ
れるものであつて、メータリングポンプＰ、弁
Ｖ、及び、メカニカルリンク機構７を主要部とし
て構成されている。

尚、図中８は、パワーステアリングユニツト６
に対する油圧ポンプである。

前記両油圧シリンダ３Ｆ，３Ｒを接続する中継
油路U₁に対してパワーステアリングユニツト６
からの吐出油を供給するバイパス油路U₂が、パ
ワーステアリングユニツト６の一対のシリンダ操
作用ポートＬ，Ｒのうちの一方Ｌからの吐出油を
供給するように設けられると共に、そのバイパス
油路Ｌを開閉する弁９が設けられている。

又、前記バイパス油路U₂に接続されるドレン
油路U₃が設けられると共に、そのドレン油路U₃
を開閉する弁１０が設けられている。

但し、図中１１，１２は、バイパス油路U₂や
ドレン油路U₃に組込まれる絞り弁である。

従つて、バイパス油路U₂を開いて、パワース
テアリングユニツト６から圧油を吐出させれば、
中継油路U₁とそれが接続される各油圧シリンダ
３Ｆ，３Ｒの油室とからなる密閉回路部分に油を
供給できるのであり、そして、ドレン油路U₃を
開けば、エア抜きのために油を流動させることも
できる。

〔別実施例〕

第２図は、パワーステアリングユニツト６の２
つのシリンダ操作用ポートＬ，Ｒ夫々からの吐出
油を、中継油路U₁に供給できるようにすべく、
２つの分岐油路ｒをバイパス油路U₂に備えさせ
てある。

但し、各分岐油路ｒに逆止弁１３を組込んであ
る。

本考案のパワーステアリング装置は、芝刈機、
トラクタ、運搬車等の各種作業車に適用できるも
のであり、そして、各部の具体構成は、使用対象
に合わせて各種変更できる。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
象を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る油圧式のパワーステアリン
グ装置の実施例を示し、第１図は回路図、第２図
は別の実施例の回路図である。 ３Ｆ，３Ｒ……油圧シリンダ、６……パワース
テアリングユニツト、９……弁、Ｌ，Ｒ……シリ
ンダ操作用ポート、U₁……中継油路、U₂……バ
イパス油路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪操向用の複動型油圧シリンダ３Ｆと、後輪
   操向用の複動型油圧シリンダ３Ｒとが設けられ、
   それら油圧シリンダ３Ｆ，３Ｒが、パワーステア
   リングユニツト６の一対のシリンダ操作用ポート
   Ｌ，Ｒの間に、直列に介装された油圧式のパワー
   ステアリング装置であつて、前記両油圧シリンダ
   ３Ｆ，３Ｒを接続する中継油路U₁に対して前記
   パワーステアリングユニツト６からの吐出油を供
   給するバイパス油路U₂と、そのバイパス油路U₂
   を開閉する弁９とが設けられている油圧式のパワ
   ーステアリング装置。