JPH0547296A - 電界放出型電子源及びその製造方法 - Google Patents

電界放出型電子源及びその製造方法

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JPH0547296A
JPH0547296A JP20435091A JP20435091A JPH0547296A JP H0547296 A JPH0547296 A JP H0547296A JP 20435091 A JP20435091 A JP 20435091A JP 20435091 A JP20435091 A JP 20435091A JP H0547296 A JPH0547296 A JP H0547296A
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JP
Japan
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cold cathode
electron
layer
electric resistance
resistance layer
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JP20435091A
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English (en)
Inventor
Yuji Maruo
祐二 丸尾
Tomokazu Ise
智一 伊勢
Masao Urayama
雅夫 浦山
Yutaka Akagi
裕 赤木
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電界放出型電子源において、電子放出する電
子放出冷陰極チップの数を増加させて放出電流の増大及
び放出電流の安定化を計る。 【構成】 P型シリコン基板を使用した基板電極10と電
圧印加用電極として用いられるゲート電極11との間に、
絶縁層12が挟まれて積層されている。ゲート電極11及び
絶縁層12には多数の貫通穴13がアレイ状に形成されてい
る。これらの穴13の一端は基板電極10によって塞がれて
いる。各穴13の内部の基板電極10の上には、それぞれ電
気抵抗層15が形成されている。これらの電気抵抗層15
は、ほぼ円錐台の形状をしている。電気抵抗層15は、シ
リコン及びモリブデンを材料とする複合材料層であり、
その抵抗値は1k〜200kΩ の範囲で設定可能である。
基板電極10とは反対側で各電気抵抗層15の上に、モリブ
デン製で円錐形状の電子放出冷陰極チップ14がそれぞれ
形成されており、各電子放出冷陰極チップ14の先端はゲ
ート電極11の上面(絶縁層12と反対側の面)と同一レベ
ル程度の高さになるようになされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放出型電子源及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型電子源は、例えば薄型表示装
置や微小三極管の構成要素として考案されたものであ
り、構成及び製造方法については、スタンフォードリサ
ーチインスティチュート(Stanford Research Institut
e )のシー.エー.スピント(C.A.Spindt)らによっ
て、ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Jo
urnal of applied Physics)の第47巻、12号(1976年12
月)に発表された研究報告により公知であり、エイチ.
エフ.グレイ(H.F.Gray)等によって米国特許第4 307
507 号及び米国特許第4 513 308 号に開示されている。
【0003】図8に、従来のこの種の電界放出型電子源
の斜視図を示し、また、そのIX−IX線の断面図を図9に
示す。尚、図8は、構造を理解し易くするため一部を切
除した電界放出型電子源を示している。電界放出型電子
源には、基板電極100 と、この基板電極100 に対向して
おり電圧印加用電極として用いられるゲート電極101と
が具備されており、これら2つの電極の間に絶縁層102
が積層されている。ゲート電極101 及び絶縁層102 に
は、多数の貫通する穴103 が設けられており、これらの
穴103 の一端は基板電極100 によって塞がれている。各
穴103 の内部の基板電極100 の上には、円錐形状の電子
放出冷陰極チップ104 が1つづつ配置されている。基板
電極100 とゲート電極101 との間に電圧が印加される
と、電子放出冷陰極チップ104 とゲート電極101 との間
に電界が発生し、電界放出の原理にもとづいて各電子放
出冷陰極チップから電子が放出される。
【0004】電子放出に伴って放出電流が電極間を流れ
るが、放出電流Iとゲート電極101への印加電圧、即ち
ゲート電圧Vとの関係を示すI−V特性は、通常、図1
0に示すように各電子放出冷陰極チップに対して異なっ
たものとなる。記号D1 〜D6 で指示されている曲線
は、それぞれ電界放出開始電圧の異なる電子放出冷陰極
チップのI−V特性を示している。ここで、電界放出開
始電圧とは電界放出が開始されるゲート電圧、即ちゲー
ト電圧のしきい値を意味する。電界放出型電子源の構造
上の理由により、単体の電子放出冷陰極チップにおける
放出電流Iには限界値Imax が存在し、この限界値を越
えると電子放出冷陰極チップの破壊が起きる。ゲート電
圧が電界放出開始電圧に達すると電界放出が開始されて
放出電流が流れ始め、ゲート電圧の増加に伴って放出電
流は急激に増加する。そして、放出電流が限界値Imax
を越えると過電流によって電子放出冷陰極チップの破壊
が起きる。
【0005】現状技術の範囲内では、電子放出冷陰極チ
ップの特性のばらつきは製造上避けられず、特に同一基
板電極上に複数の電子放出冷陰極チップが形成されてい
る場合、電界放出開始電圧のばらつきを抑止することは
できない。このため、この種の電界放出型電子源が薄型
表示装置に使用される際には、1画素当り1000個以上の
電子放出冷陰極チップをアレイ状に配列して並列に駆動
することによって、電子放出冷陰極チップ特性のばらつ
きを全体として平均化するという方法が用いられてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成で従来の電界放出型電子源が薄型表示装置に使
用されると、例えば、図10に示すようなゲート電圧V
G が印加されたような場合、記号D1 ,D2 で示された
特性を有する電子放出冷陰極チップは過電流によって破
壊されてしまい、記号D6 で示された特性を有する電子
放出冷陰極チップでは、ゲート電圧が電界放出開始電圧
以下であるため放出電流が流れないこととなる。このた
め、電界放出が行われている電子放出冷陰極チップの総
数は減少し、放出電流が低下する及び放出電流が不安定
であるという問題が生じる。
【0007】従って、本発明は、このような問題点を解
決し、放出電流の増大及び放出電流の安定化を計った電
界放出型電子源及びその製造方法を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基板電
極と、この基板電極の上に形成された少なくとも1つの
電気抵抗層と、この電気抵抗層の上に形成されており、
電気抵抗層を介して基板電極に電気的に接続された複数
の電子放出冷陰極チップと、基板電極に対向して設けら
れた少なくとも1つの電圧印加用電極とを備えた電界放
出型電子源が提供される。
【0009】本発明による電界放出型電子源の製造方法
では、複数の蒸気源を含む真空蒸着法を使用することに
よって、基板電極の上に電気抵抗層が形成される。
【0010】本発明による電界放出型電子源の他の製造
方法では、基板電極の上に電気抵抗膜が形成され、この
電気抵抗膜の一部をエッチング除去することによって、
電気抵抗層が形成される。
【0011】本発明による電界放出型電子源のさらに他
の製造方法では、互いに異なる抵抗率を有する複数の層
を備えた多層構造のシリコン基板を用いて、エッチング
除去により基板電極の上に電気抵抗層を挟んで電子放出
冷陰極チップが形成される。
【0012】
【作用】基板電極と電圧印加用電極との間に所定の電圧
が印加されると、電子放出冷陰極チップから電界放出の
原理に基づいて電子が放出され放出電流が流れるが、基
板電極と電子放出冷陰極チップとの間に電気抵抗層が存
在しているために、電気抵抗層が無い場合と比較して放
出電流は減少し、I−V特性曲線の傾斜は緩やかにな
る。この結果、電子放出冷陰極チップの破壊は放出電流
がこの限界値Imax を越える際に起きるので、電界放出
開始電圧から電子放出冷陰極チップが破壊される電圧ま
での耐電圧範囲は拡大することになり、これによって電
圧設定範囲が拡がることになる。従って、電子放出冷陰
極アレイにおいて、製造上の限界から電子放出冷陰極チ
ップ毎に電界放出開始電圧にばらつきが存在しても、よ
り多くの電子放出冷陰極チップを電子放出状態にするこ
とができ、放出電流の増大及び放出電流の安定化が可能
となる。
【0013】また、本発明による電界放出型電子源の第
1の製造方法では、電気抵抗層を形成する際に、複数の
蒸着源による蒸着レートの比を制御することにより、電
気抵抗層の抵抗値を適切に設定することができ、本発明
による電界放出型電子源の第2及び第3の製造方法で
は、電気抵抗層を形成する材料の抵抗率を制御すること
により、電気抵抗層の抵抗値を適切に設定することがで
きる。
【0014】
【実施例】本発明による電界放出型電子源の実施例につ
いて図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例
である電界放出型電子源の電子放出冷陰極アレイの斜視
図であり、また図2は図1のII−II線の断面図である。
尚、図1には理解を容易にするために、一部を切除した
電子放出冷陰極アレイを示す。
【0015】P型シリコン基板を使用した基板電極10と
電圧印加用電極として用いられるゲート電極11との間
に、絶縁層12が積層されている。ゲート電極11及び絶縁
層12には多数の貫通穴13がアレイ状に形成されている。
これらの穴13の一端は基板電極10によって塞がれてい
る。ゲート電極11の材料としては、通常、モリブデンが
使用されるが、これに限られるものではなく、例えば、
金、銀、銅、アルミニウム等の従来からの電極材料を用
いてもよい。絶縁層12としては、シリコン酸化膜が使用
される。
【0016】各穴13の内部の基板電極10の上には、それ
ぞれ電気抵抗層15が形成されている。これらの電気抵抗
層15は、円錐台の形状をしている。また、電気抵抗層15
は、シリコン及びモリブデンを材料とする複合材料層で
あり、その抵抗値は1k〜200kΩの範囲で設定可能であ
る。
【0017】基板電極10とは反対側で各電気抵抗層15の
上に、モリブデン製で円錐形状の電子放出冷陰極チップ
14がそれぞれ形成されており、各電子放出冷陰極チップ
14の先端はゲート電極11の上面(絶縁層12と反対側の
面)と同一レベル程度の高さになるようになされてい
る。
【0018】尚、本実施例では、基板電極10としてP型
シリコン基板を使用したが、N型シリコン基板又は同等
の性能を有するものであればよい。また、電気抵抗層15
としてはシリコン及びモリブデンの複合材料に限られた
ものではなく、不純物をドープしたシリコン材料又は目
的とする抵抗率等を有する材料であれば使用できる。さ
らに、電子放出冷陰極チップ14の材料としては、熱的及
び機械的に優れ、並びに仕事関数の小さいものであれ
ば、特にモリブデンに限られるものではない。また、電
子放出冷陰極チップ14及び電気抵抗層15の形状は上記実
施例で示したものに限られるものではなく、同等な性能
を有する形状であればよい。
【0019】このように構成された電子放出冷陰極アレ
イにおいて、基板電極10とゲート電極11との間に100Vか
ら200Vの電圧が印加されると、電子放出冷陰極チップ14
の先端とゲート電極11との間に最大107 V/cm程度の強電
界が発生し、電子放出冷陰極チップ14の先端から電界放
出の原理に基づき電子が放出される。ひとたび電子放出
が始まると、電気抵抗層15において放出電流に応じた電
圧降下が発生するので、電子放出冷陰極チップ14とゲー
ト電極11との間の電圧は低下する。この結果、電子放出
冷陰極チップ14とゲート電極11との間の電界は減少し、
これによって放出電流は減少することになる。従って、
この電子放出冷陰極アレイでは、電気抵抗層が無い場合
と比較して印加電圧の変化に対する放出電流の変化の割
合は小さなものとなる。
【0020】本発明による電界放出型電子源における放
出電流Iとゲート電圧Vとの関係を図3に示す。図中、
記号C1 〜C6 で指示されている曲線はそれぞれ電界放
出開始電圧の異なる電子放出冷陰極チップのI−V特性
を示しており、またImax は放出電流の限界値を示して
いる。上記したように記号C1 〜C6 で指示されている
曲線の傾斜は、図10に示した従来の電界放出型電子源
の電気抵抗層15がない場合の記号D1 〜D6 で指示され
ている曲線の傾斜より緩やかであり、電子放出冷陰極チ
ップ破壊は放出電流の限界値Imax に依存しているの
で、電界放出開始電圧から電子放出冷陰極チップ破壊が
生じる電圧までの耐電圧範囲は拡大することになる。従
って、図3に示すようなゲート電圧VG が選択され、こ
の電圧が基板電極10とゲート電極11との間に印加される
際、各特性C1 〜C6 に対応する全ての電子放出冷陰極
チップで電子放出が発生し、かつ過電流による電子放出
冷陰極チップの破壊が発生することはない。
【0021】この様に、本実施例による電子放出冷陰極
アレイでは、電気抵抗層15が基板電極10と電子放出冷陰
極チップ14との間に設けられているので、各電子放出冷
陰極チップ14の耐電圧範囲が拡大し、これによってゲー
ト電圧印加時に電子放出状態となる電子放出冷陰極チッ
プ14の数が増大する。従って、製造上の限界による各電
子放出冷陰極チップ14の電界放出開始電圧のばらつきに
もかかわらず、放出電流の増大及び放出電流の安定化が
可能となる。
【0022】本実施例による電気抵抗層15を、異なる組
成を有する、即ち異なる抵抗率を有する層が複数積層さ
れた多層構造の抵抗層に置き換えてもよい。
【0023】さらに、本実施例の変形として、複数の電
子放出冷陰極チップと基板電極との間に共通の電気抵抗
層が備えられているものも可能であり、この場合にも同
様の効果が得られる。
【0024】本発明の他の実施例について図4を参照し
て説明する。第1の実施例と同様に、P型シリコン基板
を使用した基板電極10と電圧印加用電極として用いられ
るゲート電極11との間に、絶縁層12が挟まれて積層され
ている。ゲート電極11及び絶縁層12には多数の貫通穴13
がアレイ状に形成されている。これらの穴13の一端は基
板電極10によって塞がれている。各穴13の内部の基板電
極10の上には、電気抵抗層を内に含んだ円錐状の電子放
出冷陰極チップ20がそれぞれ配置されている。
【0025】この電子放出冷陰極チップ20においては、
第1の実施例に見られる電気抵抗層と電子放出冷陰極チ
ップとの明確な境界はなく、電子放出冷陰極チップ20の
基板電極10の近傍から電子放出冷陰極チップ20の先端へ
と、その抵抗率がほぼ連続的に減少している。即ち、電
子放出冷陰極チップ20は、多数の抵抗率の互いに異なる
層から成る積層構造を有している。各層は、シリコン及
びモリブデンを材料とする複合材料層であり、特に電子
放出冷陰極チップ20の先端部はモリブデンのみから成る
層で形成されている。各電子放出冷陰極チップ20の先端
はゲート電極11の上面(絶縁層12と反対側の面)と
同一レベル程度の高さになるようになされている。
【0026】本発明による電界放出型電子源の製造方法
の第1の実施例を図5を参照して説明する。図5の
(A)〜(F)の断面図は製造工程の各段階を示してい
る。まず、同図(A)に示すように、基板電極23である
P型シリコン基板(抵抗率0.005〜0.02Ω・cm)の上
に、熱酸化によって厚さ 1μm程度のシリコン酸化膜の
絶縁層25が形成される。この絶縁層25の上に、真空蒸着
法によってモリブデンが 0.3〜0.5 μmの厚さに蒸着さ
れてゲート電極24の層が形成され、さらに、レジストに
よって、穴13(図1参照)に対応する部分を除いてゲー
ト電極24の層の上にマスク28が形成される。
【0027】次に、同図(B)に示すように、マスク28
を除く部分のゲート電極24の層及び絶縁層25が選択的に
エッチング除去され、これにより電子放出冷陰極チップ
が配置されるための穴13が形成され、その後マスク28が
取り除かれる(図(C)参照)。次に、同図(D)に示
すように、穴13の中心軸を回転軸として、P型シリコン
基板が回転されている間、矢印Aで示す斜めの方向から
アルミニウムが真空蒸着されてアルミニウム除去層27が
図に示すように堆積される。以上は、前記したシー.エ
ー.スピント(C.A.Spindt)らの文献などに開示された
公知の製造方法による工程である。次に、同図(E)に
示すように、シリコンの蒸着源と電子放出冷陰極チップ
材料であるモリブデンの蒸着源とを用いる2源同時真空
蒸着法によって、厚さ0.3 μm程度の複合材料層が堆積
されて電気抵抗層22が形成され、引き続いて電子放出冷
陰極チップ材料のみを蒸着源として用いる真空蒸着法に
よって電気抵抗層22の上にモリブデンが堆積され、高さ
1μm程度の電子放出冷陰極チップ21が形成される。
【0028】好ましい実施例では、複合材料層形成時の
2つの蒸着源の成分割合、即ち蒸着レートを、シリコ
ン:モリブデン= 9:1 〜 7:3 の範囲で制御すること
により、電気抵抗層22の抵抗率としては1〜 20Ω・cm
の範囲で設定可能である。
【0029】最後に、アルミニウム除去層27と、このア
ルミニウム除去層27の上に堆積した複合材料層22a及び
電子放出冷陰極チップ材料層21aとが共に除去されるこ
とにより、同図(F)に示すような目的とする電界放出
型電子源が得られる。この方法により電気抵抗層22の抵
抗値を1k〜200 kΩの範囲で設定でき、電子放出冷陰
極チップ21の耐電圧範囲の拡大が可能となる。
【0030】尚、本実施例では、電気抵抗層形成に際し
て2つの蒸着源を用いるとしたが、蒸着源の数はこれに
限定されるものではない。また、電気抵抗層が複数の異
なる組成の層から成る多層構造を具備するべく電気抵抗
層が形成されるか、若しくは電気抵抗層と電子放出冷陰
極チップとの明確な区別がなく、電子放出冷陰極チップ
の先端部に向かって抵抗率がほぼ連続的に変化している
構造を具備するべく電子放出冷陰極チップが形成されて
もよい。
【0031】次に電界放出型電子源の製造方法の第2の
実施例について、図6(A)〜(F)を参照して説明す
る。同図(A)に示すように、基板電極33であるP型シ
リコン基板(抵抗率0.005 〜0.02Ω・cm)を用いて、こ
の基板上にCVD法によって電気抵抗層材料膜32aが0.
3 μm程度の厚さに形成される。電気抵抗層材料として
は不純物をドープしたシリコンが用いられ、その抵抗率
はおよそ10Ω・cmである。さらに、電気抵抗層材料膜32
aの上の穴13に対応する部分(図1参照)即ち電子放出
冷陰極チップが配置される場所に対応する部分にレジス
トによるマスク38が施される。
【0032】次に、電気抵抗層材料膜32aの不要部がマ
スクに従ってエッチング除去され、電気抵抗層32が得ら
れる。その後、同図(B)に示すように、電子ビーム真
空蒸着法によって 1μm程度の厚さの絶縁層35が形成さ
れ、さらにゲート電極金属材料であるモリブデンが0.3
〜 0.5 μm程度堆積されてゲート電極34が形成され
る。そして、穴13に対応する部分の絶縁層材料部35a及
びゲート電極金属材料部34aがレジストによるマスク38
のエッチング除去と共に取り除かれることにより、同図
(C)に示すような電子放出冷陰極チップが配置される
穴13が得られる。
【0033】この様に形成された電気抵抗層32を有する
穴13に、前記したシー.エー.スピント(C.A.Spindt)
らの文献などにより公知である製造方法によって電子放
出冷陰極チップが形成される。即ち、同図(D)に示す
ように、穴13の中心軸を回転軸として基板が回転されて
いる間、矢印Aで示す斜めの方向からアルミニウムが蒸
着されてアルミニウム除去層37が堆積される。次に、同
図(E)に示すように、電子ビーム真空蒸着法によって
電子放出冷陰極チップ材料のモリブデンが堆積され、こ
れにより、穴13の内部の電気抵抗層32の上に電子放出冷
陰極チップ31が形成される。その後、アルミニウム除去
層37の除去と共に電子放出冷陰極チップ材料層31aが除
去され、同図(F)に示す目的の電界放出型電子源が得
られる。
【0034】本実施例では電気抵抗層の材料として不純
物をドープしたシリコン系材料が使用されたが、材料と
してはこれに限られるものではなく目的とする抵抗率の
値等を考慮して、材料は選定されてもよい。また、電気
抵抗層の成膜についてはCVD法が使用されたが、電気
抵抗層の材料に合わせてスパッタリング法、電子ビーム
真空蒸着法等が使用され得る。
【0035】電界放出型電子源の製造方法の第3の実施
例について、図7(A)〜(F)を参照して説明する。
この方法では、予め基板電極の上に電気抵抗層に適した
比抵抗値を有する層を含む3つの層が形成され、その
後、前記したエイチ.エフ.グレイ(H.F.Gray)らの文
献に示された公知の製造方法に準じた方法が用いられ
る。
【0036】初めに、同図(A)に示すように、基板電
極43であるN型シリコン基板(抵抗率0.005〜0.02Ω・
cm)の上に、CVD法によって基板電極43とは比抵抗値
の異なるシリコン層42a( 10 〜20Ω・cm)が0.3 μm
程度の厚さに形成され、さらにシリコン層41a(0.005
〜0.02Ω・cm)が1.2〜1.5 μm程度の厚さに形成され
る。その後、シリコン層41aの表面が熱酸化され、これ
によりシリコン酸化膜の層47aが0.3〜0.5 μmの厚さ
に形成される。
【0037】さらに、このシリコン酸化膜の層47aの上
の穴13に対応する部分(図1参照)即ち電子放出冷陰極
チップが配置される場所に対応する部分にレジストでマ
スク48が形成される。次に、同図(B)に示すように、
シリコン酸化膜の層47aの不要部がマスク48に従ってエ
ッチング除去され、さらにマスク48が取り除かれて、酸
化シリコンのキャップ47が得られる。そして、シリコン
層41a、42aのエッチング除去が行なわれ、同図(C)
に示すような電子放出冷陰極チップの基礎となる形状が
形成される。その後、同図(D)に示すように、シリコ
ン層41b、42b及び基板電極43の表面が熱酸化され、こ
れにより酸化シリコン層49が形成され、かつシリコン層
41bの先端部が尖鋭化される。
【0038】次に、同図(E)に示すように、電子ビー
ム真空蒸着法によって絶縁層45が0.8〜1.0 μm程度の
厚さに堆積形成され、さらにモリブデンが堆積されてゲ
ート電極44が0.3〜0.5 μm程度の厚さに形成される。
そして、ゲート金属材料部44a及び絶縁層材料部45aと
共に電子放出冷陰極チップ41及び電気抵抗層42の表面の
酸化シリコン層49がエッチング除去され、同図(F)に
示すように、基板電極43との間に電気抵抗層42が挟まれ
た電子放出冷陰極チップ41を有する電界放出型電子源が
得られる。
【0039】上述の電界放出型電子源の製造方法の各実
施例では、ゲート電極金属材料としてモリブデンが用い
られているが、ゲート電極金属材料はこれに限られるも
のではなく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等の従
来からの電極材料が使用されてもよい。また、電子放出
冷陰極チップ材料にもモリブデンが使用されているが、
これに限らず、熱的及び機械的に優れ、仕事関数の小さ
いものであれば良好な電子放出冷陰極チップ材料として
使用され得る。
【0040】
【発明の効果】本発明による電界放出型電子源におい
て、基板電極と電子放出冷陰極チップとの間に電気抵抗
層が備えられたので、電気抵抗層が無い場合と比較して
放出電流は減少し、I−V特性曲線の傾斜は緩やかにな
る。この結果、電子放出冷陰極チップの破壊は放出電流
がこの限界値Imax を越える際に起きるので、電界放出
開始電圧から電子放出冷陰極チップが破壊される電圧ま
での耐電圧範囲は拡大することになり、これによって電
圧設定範囲が拡がることになる。従って、電子放出冷陰
極アレイにおいて、製造上の限界から電子放出冷陰極チ
ップ毎に電界放出開始電圧にばらつきがあっても、従来
より多くの電子放出冷陰極チップを電子放出状態にする
ことができ、放出電流の増大及び放出電流の安定化が可
能となる。そして上記した3つの電界放出型電子源の製
造方法のいづれかにより、電気抵抗層が具備されてお
り、このような効果を発する電界放出型電子源の製造が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電界放出型電子源の一実施例の
斜視図である。
【図2】図1の電界放出型電子源のII−II線の断面図で
ある。
【図3】図1の電界放出型電子源の特性を示すグラフで
ある。
【図4】本発明に係わる電界放出型電子源の他の実施例
の部分断面図である。
【図5】本発明に係わる電界放出型電子源の製造方法の
第1の実施例の各工程における、電界放出型電子源の部
分断面図である。
【図6】本発明に係わる電界放出型電子源の製造方法の
第2の実施例の各工程における、電界放出型電子源の部
分断面図である。
【図7】本発明に係わる電界放出型電子源の製造方法の
第3の実施例の各工程における、電界放出型電子源の部
分断面図である。
【図8】従来の電界放出型電子源の斜視図である。
【図9】図8の電界放出型電子源のIX−IX線の断面図で
ある。
【図10】図8の電界放出型電子源の特性を示すグラフ
である。
【符号の説明】
10,23,33,43 基板電極 11,24,34,44 ゲート電極 12,25,35,45 絶縁層 13 穴 14,21,31,41 電子放出冷陰極チップ 15,22,32,42 電気抵抗層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤木 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ヤープ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板電極と、該基板電極の上に形成され
    た少なくとも1つの電気抵抗層と、該電気抵抗層の上に
    形成されており、該電気抵抗層を介して前記基板電極に
    電気的に接続された複数の電子放出冷陰極チップと、前
    記基板電極に対向して設けられた少なくとも1つの電圧
    印加用電極とを備えたことを特徴とする電界放出型電子
    源。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電界放出型電子源の製
    造方法であって、複数の蒸気源を含む真空蒸着法を使用
    することによって、前記基板電極の上に前記電気抵抗層
    を形成することを特徴とする製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の電界放出型電子源の製
    造方法であって、前記基板電極の上に電気抵抗膜を形成
    し、該電気抵抗膜の一部をエッチング除去することによ
    って、前記電気抵抗層を形成することを特徴とする製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電界放出型電子源の製
    造方法であって、互いに異なる抵抗率を有する複数の層
    を備えた多層構造のシリコン基板を用いて、エッチング
    除去により前記基板電極の上に前記電気抵抗層を挟んで
    前記電子放出冷陰極チップを形成することを特徴とする
    製造方法。
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