JPH0545919A - 電子写真式平版印刷用原版 - Google Patents

電子写真式平版印刷用原版

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JPH0545919A
JPH0545919A JP20050691A JP20050691A JPH0545919A JP H0545919 A JPH0545919 A JP H0545919A JP 20050691 A JP20050691 A JP 20050691A JP 20050691 A JP20050691 A JP 20050691A JP H0545919 A JPH0545919 A JP H0545919A
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JP
Japan
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group
resin
general formula
chemical
hydrocarbon group
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JP20050691A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Kiyosuke Kasai
清資 笠井
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の主な目的は、静電特性に優れ、原画
に対して忠実な複写画像を再現し、且つオフセット原版
として全面一様な地汚れは勿論、点状の地汚れをも発生
させない、不感脂化性の優れた平版印刷用原版を提供す
ることである。 【構成】 導電性支持体上に、分光増感色素と結着樹脂
とを含有してなる光導電層を設け、更にその最上層とし
て表面層を設けてなる電子写真式平版印刷用原版におい
て、該光導電層の結着樹脂として重合体主鎖の片末端に
特定の極性基を有する低分子量の樹脂〔A〕を含有し、
更に該表面層中に、非水溶媒中において、該非水溶媒に
は可溶であるが重合することにより不溶化する、分解に
よりチオール基、ホスホノ基、アミノ基、−PO(O
H)R1 基のいずれかを生成する官能基を少なくとも1
種含有する一官能性単量体(A)を、該非水溶媒に可溶
性の分散安定用樹脂の存在下に分散重合反応させること
により得られる非水溶媒系分散樹脂粒子を含有すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式で製版さ
れる電子写真式平版印刷用原版に関するものであり、特
に、光導電層上に特定の性質を有する表面層を設けるよ
うにした平版印刷用原版の光導電層や表面層を形成する
組成物の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】現在ダイレクト製版用のオフセット原版
には多種のものが提案され且つ実用化されている。近
年、通常の電子写真感光体上に特定の樹脂層を設けるこ
とにより製版が容易な非画像部表面親水処理型の印刷版
を作成する方法が特公昭45−5606号公報に示され
ている。すなわち、電子写真感光層上にビニルエーテル
−無水マレイン酸共重合体およびこれと相溶性の疎水性
樹脂とからなる表面層を設けた印刷版が開示されてい
る。この層はトナー像形成後、非画像部をアルカリで処
理することにより酸無水環部分を加水開環することによ
り親水化できる層(親水化可能層)である。そこで用い
られているビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体
は、開環して親水化された状態では水溶性となってしま
うため、たとえその他の疎水性の樹脂と相溶した状態で
層が形成されているとしても、その耐水性ははなはだし
く劣り、耐刷性はせいぜい500〜600枚が限度であ
った。
【0003】更に、特開昭60−90343、同60−
159756、同61−217292各号公報等では、
シリル化されたポリビニルアルコールを主成分とし、且
つ架橋剤を併用した表面層(親水化可能層)を設ける方
法が示されている。即ち、この層は、トナー像形成後非
画像部において、シリル化されたポリビニルアルコール
を加水分解処理して親水化するものである。また、親水
化後の膜強度を保持するため、ポリビニルアルコールの
シリル化度を調整し、残存水酸基を架橋剤を用いて架橋
している。そして、これらにより印刷物の地汚れ性が改
良され、耐刷枚数が向上すると記載されている。
【0004】しかしながら、現実に評価してみると、特
に地汚れにおいて未だ満足できるものではない。また、
シリル化ポリビニルアルコールはポリビニルアルコール
をシリル化剤で所望の割合にシリル化することで製造し
ているが、高分子反応であることから、安定して製造す
ることが難しい。更に親水化ポリマーの化学構造が限定
されているため、電子写真感光体としての機能を阻害し
ないように、1)帯電性、2)複写画像の品質(画像部
の網点再現性・解像力、非画像部の地カブリ等)、3)
露光感度、等に対して該表面層が影響しないようにする
ことが難しい等の問題があった。
【0005】本発明者等は、以上のような電子写真式平
版印刷用原版の有する問題点を改良するために、先に、
表面層の主成分として分解によりカルボキシル基を生成
する官能基を含有した樹脂を用いた電子写真式平版印刷
用原版を提案した(特願昭61−28345号明細
書)。更に、表面層樹脂として、分解により親水性基を
生成する官能基を含有する樹脂と、感光層中で樹脂が架
橋する化合物とを併用したものを検討し、例えば分解に
よりヒドロキシル基を生成する官能基を含有するもの
(特開平1−254970、同1−262556各号公
報)、分解によりカルボキシル基を生成する官能基を含
有するもの(特開平1−283572、同1−2848
60各号公報)、分解によりチオール基、アミノ基、ホ
スホノ基、スルホ基等を生成する官能基を含有するもの
(特開平1−304465、同1−306855各号公
報)等を提案した。
【0006】更には、表面層中に、分解により親水性基
を生成する官能基を含有し、更に高次の網目構造を形成
した微小粒径の樹脂粒子を少量併用するものが検討され
ており、例えば分解によりカルボキシル基を生成する官
能基を含有するもの(特開平2−13965号公報)、
分解によりヒドロキシル基を生成する官能基を含有する
もの(特開平2−13966号公報)、分解によりスル
ホ基、ホスホノ基等を生成する官能基を含有するもの
(特開平2−13967号公報)等が開示されている。
【0007】これらの結着樹脂あるいは樹脂粒子は不感
脂化液または印刷時に用いる浸し水により加水分解、加
水素分解又は水分解等をされて親水性基を生成するもの
である。これらを平版印刷用原版の表面層樹脂として用
いると、いずれの場合も、親水性基自身をはじめから含
有した際に生じる電子写真特性の悪化(暗電荷保持量や
光感度)等を回避できると共に、不感脂化液により親水
化される非画像部の親水性が、表面層中の結着樹脂中あ
るいは樹脂粒子中において分解により生成される上記親
水性基によってより発現することで、画像部の親油性と
非画像部の親水性が明確となり、印刷時に非画像部に印
刷インキが付着するのを防止し、且つ、表面層内が架橋
構造を形成していることにより、親水化した該樹脂が水
不溶性となり更に、架橋効果により、水を含有して該親
水性架橋樹脂が膨潤して、水保有性が生まれ、表面層の
親水性が充分に保持されるようになる。その結果として
地汚れのない印刷物を多数枚印刷することが可能とな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、公知の光導電
層から構成される電子写真式平版印刷用原版を、更に詳
細に評価してみると、環境変動(高温・高湿あるいは低
温・低湿)時に、電子写真特性(特に暗中電荷保持性、
光感度等)が変動し、安定した良好な複写画像が得られ
なくなる場合が生じた。その結果として、この様な原版
の表面層を不感脂化処理した印刷用原版で印刷した所、
印刷物の印刷画像の劣化あるいは、地汚れ防止効果の減
少となってしまった。
【0009】また、デジタルダイレクト平版印刷用原版
としての電子写真式平版印刷用原版において、半導体レ
ーザー光を用いたスキャニング露光方式を採用した場
合、可視光による全面同時露光方式に比べ時間が長くな
り、また露光強度にも制約があることから、静電特性、
特に暗電荷保持特性、光感度に対して、より高い性能が
要求される。
【0010】これに対し、上記公知の原版では電子写真
特性が劣化し、実際の複写画像も地カブリが発生し易く
なり、且つ細線の飛びや文字のツブレが生じてしまい、
結果として、平版印刷用原版として印刷すると、印刷物
の画質は低下してしまい、結着樹脂の非画像部分の親水
性向上による地汚れ防止の効果がなくなってしまった。
【0011】本発明は、以上のような従来の電子写真式
平版印刷用原版の有する問題点を改良するものである。
すなわち、本発明の目的の1は、静電特性(特に暗電荷
保持性及び光感度)に優れ、原画に対して忠実な複写画
像を再現し、且つオフセット原版として全面一様な地汚
れは勿論、点状の地汚れをも発生させない、不感脂化性
の優れた平版印刷用原版を提供することである。本発明
の目的の2は、複写画像形成時の環境が低温低湿あるい
は高温高湿のように変動する場合でも、鮮明で良質な画
像を有する平版印刷用原版を提供することである。本発
明の目的の3は、併用し得る増感色素の種類による影響
を受け難く、半導体レーザー光によるスキャニング露光
方式でも静電特性の優れた平版印刷用原版を提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を、導
電性支持体上に、少なくとも1層の光導電層を設け更に
その最上層として表面層を設けてなる電子写真式平版印
刷用原版において、該光導電層が分光増感色素と結着樹
脂として下記の樹脂〔A〕の少なくとも1種とを含有
し、更に該表面層中に下記の非水溶媒系分散樹脂粒子を
少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真式平
版印刷用原版によって達成することができる。
【0013】樹脂〔A〕:1×103 〜2×104 の重
量平均分子量を有し、下記一般式(I)で示される繰り
返し単位を重合体成分として30重量%以上含有し、且
つ重合体主鎖の片末端に−PO3 2 、−SO3 H、−
COOH、
【化8】 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を
表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選択される少な
くとも1種の極性基を含有してなる樹脂。 一般式(I)
【化9】 〔ただし上記一般式(I)において、a1 ,a2 は各
々、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基
を表す。R3 は炭化水素基を表す〕 非水溶媒系分散樹脂粒子:非水溶媒中において、該非水
溶媒には可溶であるが重合することにより不溶化する、
分解によりチオール基、ホスホノ基、アミノ基、
【化10】 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を
表す)を表す〕を生成する官能基を少なくとも1種含有
して成る一官能性単量体(A)を該溶媒に可溶性の分散
安定用樹脂の存在下に分散重合反応させることにより得
られる重合体樹脂粒子。更には、該樹脂粒子は、高次の
網目構造を形成しているものが好ましい。
【0014】更に樹脂〔A〕は好ましくは一般式(I)
で示される共重合体成分として下記一般式(Ia)又は
下記一般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタク
リレート成分のうちの少なくとも1つを含有する。 一般式(Ia)
【化11】 一般式(Ib)
【化12】 〔ただし、上記式(Ia)又は(Ib)において、T1
及びT2は互いに独立に各々水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、塩素原子、−COR4 又は−COOR5
(R4 及びR5 は各々炭素数1〜10の炭化水素基を表
す)を表し、L1 及びL2 は各々−COO−とベンゼン
環を結合する単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を
表す〕
【0015】また、本発明における上記分散安定用樹脂
とししては、高分子鎖中に、下記一般式(II) で示され
る重合性二重結合基部分を少なくとも1種含有している
ものが特に好ましいものとして挙げられる。 一般式(II)
【化13】 〔一般式(II) において、V0
【化14】 (但し、pは1〜4の整数を表わし、R6 は水素原子又
は炭素数1〜18の炭化水素基を表わす)、a3 ,a4
は、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−R7 又は炭
化水素基を介した−COO−R7 (R7 は水素原子又は
置換されてもよい炭化水素基を示す)を表わす〕
【0016】
【作用】本発明の平版印刷用原版は、光導電層を設けた
その最上層に更に表面層を設けて成るもので、電子写真
プロセスで画像を形成した後、表面層の表面を不感脂化
液で処理することにより親水化して平版印刷用原版とす
る方式の印刷用原版である。
【0017】本発明の光導電層は、少なくとも光導電
体、分光増感色素及び特定の共重合体成分から成る低分
子量の樹脂〔A〕を各々含有することを特徴とするもの
である。本発明の光導電層は結着樹脂として少なくとも
該樹脂〔A〕を含有し、光導電体粒子は、微粒子化され
且つ均一に分散される。分光増感色素を用いて増感する
が、本発明の光導電層では用いる分光増感色素の種類が
種々変わった場合でも、これらの色素は光導電体と充分
に相互作用をすることができる。特に半導体レーザー光
用分光増感に用いる色素では公知の結着樹脂の系ではこ
の相互作用が不充分となってしまうが、本発明の系で
は、この様な現像を生じない極めて優れたものである。
【0018】このことは、その詳細は不明であるが、光
導電体及び分光増感色素を樹脂〔A〕の共存下に分散し
た時に、色素と光導電体の吸着相互作用等を疎外しない
で光導電体表面に吸着し、しかも表面の被覆状態を適切
な状態に保持することによるものと思われる。こうした
事により、低温・低湿、高温・高湿と環境条件が著しく
変化した場合でも、良好で安定した電子写真特性を維持
できる様になったものと考えられる。
【0019】本発明では光導電層の上の最上層に表面層
を更にもう一層設けて成る電子写真感光材料であり、上
記した様な光導電層の電子写真特性の向上、すなわち忠
実な複写画像再現性はより一層重要なこととなる。本発
明の表面層は、粒径の揃った微小粒径から成り、加水分
解反応、レドックス反応、光分解反応等で保護されたカ
ルボキシル基が化学反応し、チオール基、ホスホノ基、
アミノ基、
【化15】 (以下チオール基等と総称することもある)を生成し、
これにより疎水性から親水性に変換することを特徴とす
る樹脂粒子を含有するものである。
【0020】本発明の感光材料は、このような樹脂粒子
を含有するので、電子写真プロセスで画像形成後の不感
脂化処理において、該樹脂粒子が親水性を発現し、該表
面層の非画像部は親水性化され、印刷時のインキ付着を
生じない高保水性を有する様になる。
【0021】具体的には、本発明の樹脂粒子は最大粒子
の粒子径が2μm以下であり、好ましくは0.5μm以
下である。そして、粒子の平均粒子径は0.8μm以下
であり、好ましくは0.5μm以下である。
【0022】なお、樹脂粒子は、粒子径が小さい程比表
面積が大きくなり、上記の良好な作用をもたらし、コロ
イド粒子(0.01μm以下)程度でも充分であるが、
余り小さくなり過ぎると分子分散の場合と類似してしま
い、保水力向上への粒子であることの効果が薄れてくる
ため、0.001μm以上で用いるのが好ましい。
【0023】また、本発明において樹脂粒子は疎水性の
重合体成分、即ち、分散安定用樹脂が相当する重合体成
分を結合したものであり、この疎水性部分が光導電層の
結着樹脂と相互作用していることから、この部分のアン
カー効果によって印刷時の湿し水で溶出することはな
く、かなり多数枚の印刷を行っても良好な印刷特性を維
持することができる。
【0024】更に、本発明において、高次の網目構造を
形成している樹脂粒子であれば更に水での溶出性が抑え
られ、他方水膨潤性が発現し、更に保水性が良好とな
る。
【0025】本発明において、上記のような高次の網目
構造を形成していない樹脂粒子又は高次の網目構造を形
成している樹脂粒子(以下、単に網目樹脂粒子)は、表
面層の全組成物中10〜90重量部の割合で含有され、
好ましくは15〜60重量部である。樹脂粒子又は網目
樹脂粒子が10重量部より少ないと非画像部の親水性が
充分とならず、逆に90重量部より多いと非画像部の親
水性の向上は更に図られるが、表面層とその下の層との
界面接着性が低下し、結果として、充分な印刷枚数が得
られなくなってしまう。電子写真式平版印刷用原版の方
式では、忠実な複写画像の形成と非画像部の不感脂化処
理による高保水性化が重要であり、本発明の原版によっ
て上記の内容により両者が満足できる様になるものであ
る。
【0026】以下に、本発明の電子写真感光材料の光導
電層について更に詳細に説明する。本発明の光導電層
は、結着樹脂として下記の樹脂〔A〕の少なくとも1種
を含有することを特徴とする。該結着樹脂〔A〕とは、
下記一般式(I)で示される特定の重合体成分を30重
量%以上を含有し、且つ重合体主鎖の片末端に−PO3
2 、−SO3 H、−COOH、
【化16】 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素
基)、環状酸無水物基から選ばれる極性基(以下、環状
酸無水物基も含めて極性基と称する)を結合してなる低
分子量の樹脂である。 一般式(I)
【化17】 〔式(I)中、a1 ,a2 は各々、水素原子、ハロゲン
原子、シアノ基又は炭化水素基を表し、R3 は炭化水素
基を表す〕
【0027】樹脂〔A〕において、重量平均分子量は1
×103 〜2×104 、好ましくは3×103 〜1×1
4 であり、樹脂〔A〕のガラス転移点は好ましくは−
30℃〜110℃、より好ましくは−20℃〜90℃で
ある。樹脂〔A〕の分子量が103 より小さくなると、
皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、一方分子量
が2×104 より大きくなると本発明の樹脂であって
も、特に近赤外〜赤外分光増感色素を用いた感光体にお
いて、高温・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下での暗減
衰保持率及び光感度の変動が多少大きくなり、安定した
複写画像が得られるという本発明の効果が薄れてしま
う。
【0028】樹脂〔A〕の一般式(I)の繰り返し単位
に相当する重合体成分の存在割合は30重量%以上、好
ましくは50〜97重量%、極性基を含有する共重合体
成分の割合は0.5〜20重量%、好ましくは1〜10
重量%である。樹脂〔A〕における極性基含有成分量が
0.5重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画
像濃度を得ることができない。一方該極性基含有成分量
が20重量%よりも多いと、いかに低分子量体といえど
も分散性が低下し、更にオフセットマスターとして用い
るときに地汚れが増大する。
【0029】また低分子量の樹脂〔A〕としては、前記
した一般式(Ia)又は一般式(Ib)で示される、2
位に及び/又は6位に特定の置換基を有するベンゼン環
か無置換のベンゼン環、又は無置換のナフタレン環を有
する特定の置換基を持つメタクリレート成分を含有す
る、片末端に極性基を結合した樹脂〔A〕(以降、この
低分子量体を樹脂〔A′〕とする)であることが特に好
ましい。樹脂〔A′〕における式(Ia)及び/又は式
(Ib)の繰り返し単位に相当するメタクリレート共重
合成分の存在割合は30重量%以上、好ましくは50〜
97重量%、重合体主鎖の片末端に結合する存在割合は
樹脂〔A′〕100重量部に対して0.5〜15重量
%、好ましくは1〜10重量%である。
【0030】次に樹脂〔A〕中に30重量%以上含有さ
れる、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を更に
説明する。一般式(I)においてa1 ,a2 は、好まし
くは水素原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)、−COO−R8 又は炭化水素基を介した−COO
−R8 (R8 は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又はアリー
ル基を表し、これらは置換されていてもよく、具体的に
は、下記R3 について説明するものと同様の内容を表
す)を表す。上記炭化水素を介した−COO−R8 基に
おける炭化水素としては、メチレン基、エチレン基、プ
ロピレン基などが挙げられる。R3 は炭化水素基を表
し、具体的にはアルキル基、アラルキル基、芳香族基を
表し、好ましくはベンゼン環又はナフタレン環を含有す
る炭化水素基であるアラルキル基又は芳香族基である。
即ち、R3 は、炭素数1〜18の置換されてもよいアル
キル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、2−
クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチ
ル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基
等)、炭素数2〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテ
ニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル
基、2−ナフチルエチル基、メトキシベンジル基、エト
キシベンジル基、メチルベンジル基等)、炭素数5〜8
の置換されてもよいシクロアルキル基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、
置換されていてもよいアリール基(例えばフェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メト
キシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニ
ル基、ジフルオロフェニル基、ブロモフェニル基、クロ
ロフェニル基、ジクロロフェニル基、ヨードフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニ
ルフェニル基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
【0031】このような置換基R3 を有するメタクリレ
ート成分である一般式(I)の繰り返し単位に相当する
共重合体成分において、より好ましくは下記一般式(I
a)及び/又は一般式(Ib)で示される特定のアリー
ル基を含有するメタクリレート成分で表される重合体成
分が挙げられる。 一般式(Ia)
【化18】 一般式(Ib)
【化19】 〔式(Ia)及び(Ib)中、T1 及びT2 は互いに独
立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
子、臭素原子、−COR4 、−COOR5 (R4 とR5
は夫々炭素数1〜10の炭化水素基を表す)を表す。L
1 ,L2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する直接
結合又は連結原子数1〜4個の連結基を表す〕
【0032】式(Ia)において、好ましいT1 及びT
2 として、互に独立に各々水素原子、塩素原子及び臭素
原子の外に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好ま
しくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数7〜9のア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フ
ェニルプロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジ
ル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、クロロ−メチル−ベンジル基)及びアリー
ル基(例えばフェニル基、トリル基、シリル基、ブロモ
フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、
ジクロロフェニル基)、並びに−COR 4 及び−COO
5 (好ましいR4 及びR5 としては夫々上記の炭素数
1〜10の好ましい炭化水素基として記載したものを挙
げることができる)を挙げることができる。
【0033】式(Ia)及び(Ib)において、L1
びL2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する直接結
合又は−(CH2 n1−( n1 は1〜3の整数を表
す)、−CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−
(CH2 m1−( m1 は1又は2の整数を表す)、−C
2 CH2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基で
あり、より好ましくは直接結合又は結合原子数1〜2個
の連結基を挙げることができる。
【0034】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位に相当する共
重合体成分の具体例を以下に挙げる。しかし、本発明の
範囲はこれに限定されるものではない。以下の(a−
1)〜(a−20)において、nは1〜4の整数、mは
0又は1〜3の整数、p1 は1〜3の整数、R9 〜R12
はいずれも−Cn 2n+1又は−(CH2 m −C6 5
(ただし、n,mは上記と同じ)、X1 及びX2 は同じ
でも異なってもよく、水素原子、−Cl、−Br、−I
のいずれかを表す。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0035】次に低分子量の樹脂〔A〕に含有される特
定の極性基含有重合体成分について説明する。該極性基
は、−PO3 2 、−SO3 H、−COOH、
【化25】 及び環状酸無水物基から選ばれる少なくとも1種である
ことが好ましい。
【0036】
【化26】 基とは、上記R1 が炭化水素基又は−OR2 基(R2
炭化水素基を表す)を表し、具体的にはR1 は炭素数1
〜22の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2
−メトキシメチル基、3−エトキシプロピル基、アリル
基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、メ
チルベンジル基、クロロベンジル基、フルオロベンジル
基、メトキシベンジル基等)、又は置換されてもよいア
リー基(例えばフェニル基、トリル基、エチルフェニル
基、プロピルフェニル基、クロロフェニル基、フルオロ
フェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−メチル−フェ
ニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、シ
アノフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセチルフ
ェニル基、ブトキシフェニル基等)等であり、R2 はR
1 と同一の内容である。
【0037】また、環状酸無水物基とは、少なくとも1
つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される環状
酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族
ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸
無水物の例としては、コハク酸無水物環、グルタコン酸
無水物環、マレイン酸無水物環、シクロペンタン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2,2,2〕オ
クタジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環
は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチ
ル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基
等が置換されていてもよい。また、芳香族ジカルボン酸
無水物の例としては、フタル酸無水物環、ナフタレン−
ジカルボン酸無水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物
環、チオフェン−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、
これらの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ア
ルコキシカルボニル基(アルコキシ基としては、例えば
メトキシ基、エトキシ基等)等が置換されていてもよ
い。
【0038】これらの極性基は、重合体主鎖の片末端に
直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよ
い。連結基としては、いずれの結合する基でもよいが、
例えば具体的に挙げるとすれば、
【化27】 (d1 ,d2 は同じでも異なってもよく、各々水素原
子、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OH基、
シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、2−クロ
ロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基等)、アラルキル基(ベンジル基、
フェネチル基等)、フェニル基等)を表す)、
【化28】 (d3 ,d4 はd1 ,d2 と同一の内容を表す)、
【化29】 〔d5 は、水素原子又は炭化水素基を表す(炭化水素基
として具体的には炭素数1〜12の炭化水素基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−メトキシ
エチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、
ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、フェニ
ル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル
基、ブチルフェニル基等)が挙げられる)〕、−CO
−、−COO−、−OCO−、
【化30】 −SO2 −、−NHCONH−、−NHCOO−、−N
HSO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH
−、複素環(ヘテロ原子として、O、S、N等を少なく
とも1種含有する5〜6員環又はこれらの縮合環であれ
ばいずれでもよい:例えばチオフェン環、ピリジン環、
フラン環、イミダゾール環、ピペリジン環、モルホリン
環等が挙げられる)又は
【化31】 (d6 ,d7 は同じでも異なってもよく、炭化水素基又
は−Od8 (d8 は炭化水素基)を表す。これらの炭化
水素基としては、d5 で挙げたものと同一のものを挙げ
ることができる)等の結合基の単独又は、これらの組合
わせによる構成された連結基等が挙げられる。
【0039】更に本発明の低分子量体樹脂〔A〕
(〔A′〕を含む)は、前記した一般式(I)(Ia)
及び/又は(Ib)の単量体と共に、これら以外の単量
体を共重合成分として含有してもよい。更に、好ましく
は結着樹脂〔A〕では、上記一般式(I)で示される共
重合成分〔一般式(Ia)又は(Ib)で示されるもの
も含む〕とともに、これと共重合する重合体成分とし
て、−PO3 2 −、−SO3 H−、−COOH−、
【化32】 (R′は前記R1 と同じを意味する)及び環状酸無水物
基から選択される少なくとも1種の極性基を含有する共
重合成分を0.05〜10重量%含有することが、より
静電特性を向上する上で好ましい。特定の極性基は、前
記した重合体主鎖の片末端に結合してなる極性基と同一
の内容を表す。
【0040】樹脂〔A〕において、共重合体成分として
含有される極性基と、重合体主鎖の片末端に結合された
極性基の存在割合は、本発明の光導電層を構成する他の
結着樹脂、樹脂粒子、分光増感色素、化学増感剤あるい
はそれ以外の添加剤の種類・量によって異なり、その割
合は任意に調節することが好ましい。重要なことは、両
者の極性基含有成分の総量が0.5〜15重量%の範囲
の内で使用されることである。本発明の樹脂〔A〕にお
いて重要なことは、樹脂〔A〕全成分量100重量部に
おける、該特定の極性基含有成分の存在割合が、上記の
ように0.5〜10重量%の範囲内であることであり、
更に該樹脂〔A〕において、樹脂〔A〕の重合体主鎖成
分中と主鎖片末端の両者に存在する場合は、上記存在割
合の範囲内で任意に分割されるものである。好ましく
は、主鎖成分中の存在割合は、末端成分中のそれを1.
0とすると0.1〜1.0の比である。
【0041】本発明の極性基を含有する共重合成分は、
例えば一般式(I)〔一般式(Ia),(Ib)も含
む〕で示される繰り返し単位に相当する単量体と共重合
し得る該極性基を含有するビニル系化合物であればいず
れでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記
載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又は
β置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセ
トキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−ク
ロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチル
シリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ
体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体
等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケ
ニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、及
びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル誘導
体、アミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合
物等が挙げられる。
【0042】以下に極性基含有の共重合成分について例
示する。ここで、e1 はH又はCH 3 を示し、e2
H、CH3 又はCH2 COOCH3 を示し、R13は炭素
数1〜4のアルキル基を示し、R14は炭素数1〜6のア
ルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、cは1〜
3の整数を示し、dは2〜11の整数を示し、eは1〜
11の整数を示し、fは2〜4の整数を示し、gは2〜
10の整数を示す。
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0043】更に、本発明の低分子量樹脂〔A〕
(〔A′〕を含む)は、前記した一般式(I),(I
a)及び/又は(Ib)の単量体及び該極性基を含有し
た単量体とともに、これら以外の他の単量体を共重合成
分として含有してもよい。
【0044】このような他の共重合成分としては、例え
ば一般式(I)で説明した以外の置換基を含有するメタ
クリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン
酸エステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビ
ニル又はアクリル酸エステル類(例えばカルボン酸とし
て、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナ
フタレンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類
(例えばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、ア
クリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例
えばスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒド
ロキシスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレ
ン、メトキシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオ
キシスチレン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン
含有化合物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類
(例えばビニルピロリドン、ビニルビリジン、ビニルイ
ミダゾール、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、
ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリ
ン、ビニルテトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙
げられる。これら他の単量体は樹脂〔A〕中30重量%
を越えないことが望ましい。
【0045】樹脂〔A〕において、重合体主鎖の片末端
に極性基を結合する方法としては、従来公知のアニオン
重合あるいはカチオン重合によって得られるリビングポ
リマーの末端に種々の試薬を反応させる方法(イオン重
合法による方法)、分子中に特定の極性基を含有した重
合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いてラジカル重合さ
せる方法(ラジカル重合法による方法)、あるいは以上
の如きイオン重合本発明もしくはラジカル重合法によっ
て得られた末端に反応性基(例えばアミノ基、ハロゲン
原子、エポキシ基、酸ハライド基等)含有の重合体を高
分子反応によって本発明の特定の極性基に変換する方法
等の合成法によって容易に製造することができる。具体
的には、P.Dreyfuss, R.P.Quirk, Encycl. Polym. Sci.
Eng.,,551(1987)、中條善樹,山下雄也
「染料と薬品」30,232(1985)、上田明,永
井進「化学と工業」60,57(1986)等の総説及
びそれに引用の文献等に記載の方法によって製造するこ
とができる。
【0046】具体的には、用いる連鎖移動剤としては、
例えば、該極性基あるいは上記反応性基(即ち該極性基
に誘導しうる基)を含有するメルカプト化合物(例えば
チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2
−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン
酸、3−メルカプト酢酸、N−(2−メルカプトプロピ
オニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−
〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピ
オン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕
プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)ア
ラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカ
プトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3
−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカ
プト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノ
ール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルア
ミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−
3−ピリジノール、4−(2−メルカプトエチルオキシ
カルボニル)フタル酸無水物、2−メルカプトエチルホ
スホノ酸、2−メルカプトエチルホスホノ酸モノメチル
エステル等)、あるいは上記極性基又は置換基を含有す
るヨード化アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨード
プロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタ
ンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)が挙
げられる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
【0047】該極性基、あるいは特定の反応基を含有す
る重合開始剤としては、具体的には、4,4′−アゾビ
ス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シ
アノ吉草酸クロライド)、2,2′−アゾビス(2−シ
アノプロパノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノ
ペンタノール)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N
−(2−ヒドロキシルエチル)−プロピオアミド〕、
2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−〔1,1−ビス
(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピ
オアミド〕、2,2′−アゾビス〔2−〔1−(2−ヒ
ドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロ
パン〕、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン
−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−
(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジア
ゾピン−2−イル)プロパン〕等が挙げられる。これら
の連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々全単量体10
0重量部に対して、0.5〜15重量部であり、好まし
くは2〜10重量部である。
【0048】以上の如き低分子量の樹脂〔A〕
(〔A′〕を含む)は、従来の光導電体用の公知の樹脂
と併用することが好ましい。低分子量体の樹脂と他の樹
脂との使用割合は5〜50/95〜50(重量比)が好
ましい。
【0049】併用する他の樹脂としては、重量平均分子
量3×104 〜1×106 、好ましくは5×104 〜5
×105 の中〜高分子量体である。また、併用する樹脂
のガラス転移点は−10℃〜120℃、好ましくは0℃
〜90℃である。例えば、柴田隆治・石渡次郎,高分
子、第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視,
武井秀彦、イメージング,1973(No. 8)第9頁、
中村孝一編,「記録材料用バインダーの実際技術」第1
0章、C.H.C.出版(1985年刊)、D. Tatt ,
S. C. Heidecker , Tappi , 49(No. 10),439
(1966)、E. S. Baltazzi , R. G. Blanclotte et
al , Phot.Sci. Eng. 16(No. 5),354(19
72)、グエン・チャン・ケー,清水勇,井上英一,電
子写真学会誌18(No. 2),22(1980)、特公
昭50−51011、特開昭53−54027、同54
−20735、同57−202544各号公報等に開示
の材料が挙げられる。具体的には、オレフィン重合体及
び共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重
合体、アルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン
酸アリル重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導
体、重合体及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合
体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽
和カルボン酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重
合体、メタクリロニトリル共重合体、アルキルビニルエ
ーテル共重合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合
体、メタクリル酸エステル重合体及び共重合体、スチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリ
ル酸エステル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及
び共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド
共重合体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリ
コン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、アミド
樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル樹
脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環化
ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アク
リル酸エステル共重合体、窒素原子を含有しない複素環
を含有する共重合体(複素環として例えば、フラン環、
テトラヒドロフラン環、チオフェン環、ジオキサン環、
ジオキソフラン環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベン
ゾチオフェン環、1,3−ジオキセタン環等)、エポキ
シ樹脂等が挙げられる。
【0050】更に併用する中〜高分子量体の樹脂とし
て、前記した物性を満たし、好ましくは下記一般式(II
I)で示される繰り返し単位の重合体成分を30重量部以
上含有する重合体が挙げられる。 一般式(III)
【化45】 〔式(III)中、V1 は−COO−、−OCO−、−(C
2 h −OCO−、−(CH2 h −COO−、−O
−または−SO2 −を表す。但しhは1〜4の整数を表
す〕一般式(III)において、b1 及びb2 は式(I)中
のa1 ,a2 と同一の内容を表す。R15は式(I)中の
3 と同一の内容を表す。一般式(III)で示される重合
体成分を含有する中〜高分子量の結着樹脂(以降、樹脂
〔B〕と称する)としては、例えば式(III)で示される
重合体成分含有のランダム共重合体の樹脂(特開昭63
−49817、同63−220149、同63−220
148各号公報等)、該ランダム共重合体と架橋性樹脂
との併用樹脂(特開平1−102573号等)、グラフ
ト型共重合体(特開平2−53064、同2−5655
8各号公報等)等の各号明細書記載の中〜高分子量体の
もの等が挙げられる。
【0051】本発明では、樹脂〔A〕が特定の置換基を
持つメタクリレート共重合成分と特定の極性基を重合体
主鎖の片末端に結合した低分子量の共重合体であり、該
極性基が光導電層の光導電体の化学量論的な欠陥に吸着
し、且つ低分子量体であることから、光導電体の表面の
被覆性を向上させることで光導電体のトラップを補償す
ると共に、温度特性を飛躍的に向上させることが判っ
た。そのことにより、電子写真感光体としての電子写真
特性が優れたものとなり、特に、半導体レーザー光用の
分光増感色素を用いた場合でも、極めて優れた性能を発
揮することが見い出された。
【0052】そして中〜高分子量の樹脂〔B〕を併用す
れば、樹脂〔A〕を用いたことによる電子写真特性の高
性能を全く阻害せずに、樹脂〔A〕のみの場合より光導
電層の機械的強度を十分に向上できるものと判った。す
なわち、光導電体と結着樹脂の吸着・被覆の相互作用が
適切に行われ、且つ被覆導電層の膜強度が保持されるも
のである。これは、本発明に係る結着樹脂の下記のよう
な作用によるものと考えられる。即ち、本発明において
は、結着樹脂として樹脂〔A〕と樹脂〔B〕を併用し、
各々の樹脂の重量平均分子量(M)及び樹脂中の極性基
の含有量を特定することで、光導電体と樹脂との相互作
用の強さを変えることができる。これにより相互作用の
より強い樹脂〔A〕が選択的且つ適切に光導電体に吸着
し、樹脂〔A〕に比べ相互作用の弱い樹脂〔B〕は、樹
脂中の重合体主鎖に対して、特定の位置に結合した極性
基が電子写真特定を阻害しない程度に光導電体とゆるや
かに相互作用し且つ長い分子鎖及びグラフト分子鎖を有
する樹脂〔B〕の分子鎖同士の相互作用もすることで、
上記した如く電子写真特性及び膜の機械的強度を共に著
しく向上させることができたと考えられる。
【0053】本発明において用いられる光導電体は無機
化合物あるいは有機化合物のいずれでもよい。無機化合
物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜
鉛、硫化カドミウム、セレン、セレン−テルル、硫化鉛
等従来公知の無機光導電性化合物が挙げられ、公害性の
観点から、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましい。光導電性
化合物として、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性
化合物を用いる場合は、無機光導電性化合物100重量
部に対して上記した結合樹脂を10〜60重量部なる割
合、好ましくは15〜40重量部なる割合で使用する。
【0054】一方、有機化合物としては、従来公知の化
合物のいずれでもよく、具体的に電子写真式平版印刷用
原版としてはつぎの二種が従来公知の例として知られて
いる。第一は、特公昭37−17162、同62−51
462、特開昭52−2437、同54−19803、
同56−107246、同57−161863各号公報
などに記載のような、有機光導電性化合物、増感染料、
結合樹脂を主体とする光導電層を有するものであり、第
二は、特開昭56−146145、同60−1775
1、同60−17752、同60−17760、同60
−254142、同62−54266各号公報などに記
載のような電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主体と
する光導電層を有するものである。第二の例の特別な場
合として特開昭60−230147、同60−2301
48、同60−238853各号公報などに記載のよう
な電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の層に含有し
た二層構成の光導電層も知られている。本発明の電子写
真式平版印刷用原版は上記の二種の光導電層のいずれの
形態をとってもよい。第二の例の場合には、本発明でい
う有機光導電性化合物が電荷輸送剤としての機能をはた
す。
【0055】本発明における、有機光導電性化合物とし
ては、(a) 米国特許第3112197号明細書などに記
載されているトリアゾール誘導体、(b) 米国特許第31
89447号明細書などに記載されているオキサジアゾ
ール誘導体、(c) 特公昭37−16096号公報などに
記載されているイミダゾール誘導体、(d) 米国特許第3
615402、同3820989、同3542544各
号明細書、特公昭45−555、同51−10983、
特開昭51−93224、同55−108667、同5
5−156953、同56−36656各号公報などに
記載のポリアリールアルカン誘導体、(e) 米国特許第3
180729、同4278746各号明細書、特開昭5
5−88064、同55−88065、同49−105
537、同55−51086、同56−80051、同
56−88141、同57−45545、同 54−
112637、同55−74546各号公報などに記載
されているピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、
(f) 米国特許第3615404号明細書、特公昭51−
10105、同46−3712、同 47−2833
6、特開昭54−83435、同54−110836、
同54−119925各号公報などに記載されているフ
ェニレンジアミン誘導体、(g) 米国特許第356745
0、同3180703、同3240597、同3658
520、同4232103、同4175961、同40
12376各号明細書、西独国特許(DAS)1110
518号明細書、特公昭49−35702、同39−2
7577、特開昭55−144250、同56−119
132、同56−22437各号公報などに記載されて
いるアリールアミン誘導体、(h) 米国特許第35265
01号明細書記載のアミノ置換カルコン誘導体、(i) 米
国特許第3542546号明細書などに記載のN,N−
ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許第3257203号
明細書などに記載のオキサゾール誘導体、(k) 特開昭5
6−46234号公報などに記載のスチリルアントラセ
ン誘導体、(l) 特開昭54−110837号公報等に記
載されているフルオレノン誘導体、(m) 米国特許第37
17462号明細書、特開昭54−59143(米国特
許第4150987号明細書に対応)、同55−520
63、同55−52064、同55−46760、同
55−85495、同57−11350、同 57−1
48749、同57−104144各号公報などに記載
されているヒドラゾン誘導体、(n) 米国特許第4047
948、同4047949、同4265990、同42
73846、同4299897、同4306008各号
明細書などに記載のベンジジン誘導体、(o) 特開昭58
−190953、同59−95540、同59−971
48、同59−195658、同62−36674各号
公報などに記載されているスチルベン誘導体、(p) 特公
昭34−10966号公報記載のポリビニルカルバゾー
ル及びその誘導体、(q) 特公昭43−18674、同4
3−19192各号公報記載のポリビニルピレン、ポリ
ビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−(4′−
ジメチルアミノフェニル)−5−フェニルオキサゾー
ル、ポリ−3−ビニル−N−エチルカルバゾール等のビ
ニル重合体、(s) 特公昭43−19193号公報記載の
ポリアセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレンと
スチレンの共重合体等の重合体、(t) 特公昭56−13
940号公報などに記載のピレン−ホルムアルデヒド樹
脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカル
バゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(u) 特
開昭56−90883、同56−161550各号公報
に記載された各種のトリフェニルメタンポリマー、など
がある。
【0056】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a) 〜(u) に挙げられた化合物に限定されず、これ
まで公知の全ての有機光導電性化合物を用いることがで
きる。これらの有機光導電性化合物は場合により2種類
以上を併用することが可能である。
【0057】第一の例の光導電層に含有される増感色素
としては、電子写真感光体に使用される従来公知の増感
色素が使用可能である。これらは、「電子写真」12
9,(1973)、「有機合成化学」24(11),1
010,(1966)等に記載されている。例えば、米
国特許第3141770号、同4283475各号明細
書、特開昭48−25658、特開昭62−71965
各号公報等に記載のピリリウム系染料、Applied Optics
Supplement 3 50(1969)、特開昭50−39
548号公報等に記載のトリアリールメタン系染料、米
国特許第3597196号明細書等に記載のシアニン系
染料、特開昭60−163047号、同59−1645
88号、同60−252517各号公報等に記載のスチ
リル系染料などが有利に使用される。
【0058】第二の例の光導電層に含有される電荷発生
剤としては、電子写真感光体において従来公知の有機及
び無機の各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレ
ン、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、およ
び、以下(1)〜(9) に示す有機顔料を使用することがで
きる。 (1) 米国特許第4436800、同4439506各号
明細書、特開昭47−37543、同58−12354
1、同58−192042、同58−219263、同
59−78356、同60−179746、同61−1
48453、同61−238063、特公昭60−59
41、同60−45664各号公報等に記載されたモノ
アゾ、ビスアゾ、トリスアゾ顔料などのアゾ顔料、(2)
米国特許第3397086、同4666802各号明細
書、特開昭51−90827、同52−55643各号
公報等に記載の無金属あるいは金属フタロシアニン等の
フタロシアニン顔料、(3) 米国特許第3371884号
明細書、特開昭47−30330号公報等に記載のペリ
レン系顔料、(4) 英国特許第2237680号明細書、
特開昭47−30331号公報等に記載のインジゴ、チ
オインジゴ誘導体、(5) 英国特許第2237679号明
細書、特開昭47−30332号公報等に記載のキナク
リドン系顔料、(6) 英国特許第2237678号明細
書、特開昭59−184348、同62−28738、
同47−18544各号公報等に記載の多環キノン系顔
料、(7) 特開昭47−30331、同47−18543
各号公報等に記載のビスベンズイミダゾール系顔料、
(8) 米国特許第4396610、同4644082各号
明細書等に記載のスクアリウム塩系顔料、(9) 特開昭5
9−53850、同61−212542各号公報等に記
載のアズレニウム塩系顔料、などである。これらは単独
もしくは2種以上を併用して用いることもできる。
【0059】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
おこり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲内でできるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は、有機光導電性化合物10〜100重量部である。ま
た、有機光導電性化合物、単独であるいは2種以上混合
して使用してもよい。
【0060】本発明において供せられる分光増感色素
は、可視光〜赤外光に対して増感作用を有する色素であ
ればいずれでもよい。目的に応じて各種の色素を分光増
感剤として併用することができる。例えば、宮本晴視,
武井秀彦:イメージング1973(No.8)第12頁、C.
J.Young 等,RCA Review 15,469(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌 J63−C(N
o.2),97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学
雑誌 66,78及び188頁(1963年)、谷忠
昭,日本写真学会誌 35、208頁(1972年)等
の総説引例のカーボニウム系色素、ジフェニルメタン色
素、トリフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタ
レイン系色素、ポリメチン色素(例えばオキソノール色
素、メロシアニン色素、シアニン色素、ロダシアニン色
素、スチリル色素等) 、フタロシアニン色素( 金属を含
有してもよい)等が挙げられる。
【0061】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−4
52、特開昭50−90334、同50−11422
7、同53−39130、同53−82353各号公
報、米国特許第3,052,540、同第4,054,450各
号明細書、特開昭57−16456号公報等に記載のも
のが挙げられる。
【0062】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Harmmer 「 The Cyanine Dyesand Rela
tedCompounds 」等に記載の色素類が使用可能であり、
更に具体的には、米国特許第3047384、同311
0591、同3121008、同3125447、同3
128179、同3132942、同3622,317
各号明細書、英国特許第1226892、同13092
74、同1405898各号明細書、特公昭48−78
14、同55−18892各号公報等に記載の色素が挙
げられる。
【0063】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜
赤外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭
47−840、同47−44180、特公昭51−41
061、特開昭49−5034、同49−45122、
同57−46245、同56−35141、同57−1
57254、同61−26044、同61−27551
各号公報、米国特許第3619154、同417595
6各号明細書、「 Research Disclosure 」1982
年,216,第117〜118頁等に記載のものが挙げ
られる。
【0064】本発明の電子写真平版印刷用原版の光導電
層には、電子写真感光体に従来使用されてきた種々の公
知の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤
としては、電子写真感度を改良するための化学増感剤、
皮膜性を改良するための各種の可塑剤、界面活性剤など
が含まれる。化学増感剤としては、例えば、p−ベンゾ
キノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、ジニ
トロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロルベン
ゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロルフタル
酸、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノ
ン、ジニトロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、
テトラシアノエチレン等の電子吸引性化合物、特開昭5
8−65439号、同58−102239、同58−1
29439、同62−71965号各公報等に記載の化
合物等を挙げることができる。可塑剤としては、たとえ
ば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオク
チルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソ
ブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバ
ケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールエチルグ
リコレート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導
電層の可撓性を向上するために添加できる。これらの可
塑剤は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有さ
せることができる。
【0065】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。
【0066】光導電層の厚さは1〜100μ、特に10
〜50μが好適である。
【0067】また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感
光体の電荷発生層として光導電層を使用する場合は電荷
発生層の厚さは0.01〜1μ、特には0.05〜0.
5μが好適である。
【0068】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層を設けたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラ
スチックを紙にラミネートしたもの等、が使用できる。
具体的に、導電性基体あるいは導電化材料の例として、
坂本幸男,電子写真、14、(No. 1)、p2〜11
(1975)、森賀弘之,「入門特殊紙の化学」高分子
刊行会(1975)、M. F. Hoover, J. Macromol. Sc
i. Chem. A−4(6),第1327〜1417頁(1
970)等に記載されているもの等を用いる。
【0069】次に本発明の表面層で用いられる非水溶媒
系分散樹脂粒子について詳細に説明する。本発明の樹脂
粒子は、いわゆる非水系分散重合によって製造されたも
のである。まず、非水溶媒には可溶であるが重合するこ
とによって不溶化する一官能性単量体(A)が含有す
る、分解して少なくとも1個のチオール基、ホスホノ
基、アミノ基、−PO(OH)R1 基等の親水性基を生
成する官能基(以下単に、親水性基生成官能基と称する
こともある)について説明する。本発明の親水性基生成
官能基は、分解によって少なくとも1つの親水性基を生
成するが、1つの官能基から生成する親水性基は1個で
も2個以上でもよい。
【0070】以下、分解により少なくとも1個のチオ−
ル基を生成する官能基(チオール基生成官能基)につい
て詳述する。本発明の1つの好ましい態様によれば、チ
オール基生成官能基含有単量体は、例えば下記一般式
(IV)〔−S−LA 〕で示される官能基を少なくとも1
種含有するものである。 一般式(IV):〔−S−LA 〕 式中、LA は、
【化46】 但し、RA 1 ,RA 2 及びRA 3 は互いに同じでも異な
ってもよく、各々炭化水素基又は−O−RAI(RAIは炭
化水素基を示す)を表わし、RA 4 、RA 5 、RA 6
A 7 、RA 8 、RA 9 及びRA 10、RA 11、RA 12
A 13は各々独立に炭化水素基を表わす。
【0071】上記一般式〔−S−LA 〕の官能基は、分
解によって、チオール基を生成するものであり、以下更
に詳しく説明する。LA
【化47】 を表す場合において、RA 1 、RA 2及びRA 3 は互い
に同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子、置換
されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、
メトキシプロピル基等)、置換されてもよい脂環式基
(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置
換されてもよい炭素数7〜12のアラルキル基(例えば
ベンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、メトシ
キベンジル基等)又は置換されてもよい芳香族基(例え
ばフェニル基、ナフチル基、クロロフェニル基、トリル
基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、ジクロロフェニル基等)又は−O−RAI(RAIは炭
化水素基を表わし、具体的には上記RA 1 、RA 2 、R
A 3 の炭化水素基の置換基類を例として挙げることがで
きる)を表わす。
【0072】LA
【化48】 又は−S−RA 8 を表す場合において、RA 4
A 5 、RA 6 、RA 7 、RA 8 は各々好ましくは置換
されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキ
ル基(例えばメチル基、トリクロロメチル基、トリフル
オロメチル基、メトキシメチル基、エチル基、プロピル
基、n−ブチル基、ヘキシル基、3−クロロプロピル
基、フェノキシメチル基、2,2,2−トリフルオロエ
チル基、t−ブチル基、ヘキサフルオロ−i−プロピル
基、オクチル基、デシル基等)、置換されてもよい炭素
数7〜9のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチ
ル基、メチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ヘプ
タメチルベンジル基、メトキシベンジル基等)、置換さ
れてもよい炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニ
ル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、メタンス
ルホニルフェニル基、メトキシフェニル基、ブトキシフ
ェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ト
リフルオロメチルフェニル基等)を表わす。
【0073】LA
【化49】 を表す場合において、RA 9 及びRA 10は各々同じでも
異なっていてもよく、好ましい例としては前記RA 4
A 8 で好ましいとした置換基を表わす。
【0074】LA
【化50】 を表す場合において、Y1 は酸素原子又はイオウ原子を
表す。RA 11、RA 12、RA 13は互いに同じでも異なっ
ていてもよく、好ましくは水素原子、置換されてもよい
炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。
好ましい例としては前記RA 4 〜RA 8 と同じ内容を表
す。またp2 は5又は6の整数を表す。
【0075】本発明の他の好ましいチオール基生成官能
基含有単量体は、一般式(V)又は一般式(VI)で示さ
れるチイラン環を少なくとも1種含有するものである。 一般式(V)
【化51】 一般式(VI)
【化52】 式(V)において、RA 14及びRA 15は互いに同じでも
異なってもよく、各々水素原子又は炭化水素基を表す。
好ましくは、水素原子又は前記RA 4 〜RA 7 で好まし
いとした置換基を表わす。式(VI)において、XA は水
素原子又は脂肪族基を表す。脂肪族基として好ましく
は、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基等)を表わす。
【0076】本発明の更に他の好ましいチオール基生成
官能基含有単量体は、一般式(VII)で示されるイオウ原
子含有のヘテロ環基を少なくとも1種含有する単量体で
ある。 一般式(VII)
【化53】 式(VII)において、YA は酸素原子又は−NH−基を表
わす。RA 16、RA 17及びRA 18は同じでも異なってい
てもよく、各々水素原子又は炭化水素基を表す。好まし
くは、水素原子又は前記RA 4 〜RA 7 で好ましいとし
た置換基を表す。RA 19及びRA 20は同じでも異なって
いてもよく、水素原子、炭化水素基又は−O−R
AII (RAII は炭化水素基を表す)を表す。好ましく
は、前記RA 1 〜RA 3 で好ましいとした置換基を表
す。
【0077】本発明の更にもう一つの好ましい態様によ
れば、チオール基生成官能基含有単量体は、互いに立体
的に近い位置にある少なくとも2つのチオール基を1つ
の保護基で同時に保護した形で有する官能基を少なくと
も1種含有する単量体である。互いに立体的に近い位置
にある少なくとも2つのチオール基を1つの保護基で同
時に保護した形で有する官能基としては、例えば下記一
般式(VIII)、(IX)及び(X)で表わされるものを挙
げることができる。 一般式(VIII)
【化54】 一般式(IX)
【化55】 一般式(X)
【化56】 式(VIII)及び式(IX)において、ZA はヘテロ原子を
介してもよい炭素−炭素結合又はC−S結合同志を直接
連結する化学結合を表す(但し、イオウ原子間の原子数
は4個以内である)。更に一方の−(ZA ・・・C) −
結合が単なる結合のみを表わし、例えば下記の様になっ
ていてもよい。
【化57】 式(IX)において、RA 21、RA 22は同じでも異なって
いてもよく、水素原子、炭化水素基又は−O−R
AII (RAII は炭化水素基を表わす)を表わす。式(I
X)において、RA 21及びRA 22は好ましくは互いに同
じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12
の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−メトキ
シエチル基、オクチル基等)、炭素数7〜9の置換され
てもよいアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル
基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベ
ンジル基等)、炭素数5〜7の脂環式基(例えばシクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基等)又は置換されてもよ
いアリール基(例えばフェニル基、クロロフェニル基、
メトキシフェニル基、メチルフェニル基、シアノフェニ
ル基等)又は−O−R AII (RAII はRA 21、RA 22
おける炭化水素基と同義である)を表す。式(X)にお
いて、RA 23、RA 24、RA 25、RA 26は互いに同じで
も異なっていてもよく、各々水素原子又は炭化水素基を
表わす。好ましくは、水素原子又は上記RA 21、RA 22
において好ましいとした炭化水素基と同義の内容を表わ
す。
【0078】本発明に用いられる上記のような一般式
(IV)〜(X)で示される官能基を少なくとも1種含有
する単量体(A)は、例えば岩倉義男・栗田恵輔著「反
応性高分子」230頁〜237頁(講談社:1977年
刊)、日本化学会編「新実験化学講座第14巻、有機化
合物の合成と反応〔III 〕」第8章、第1700頁〜1
713頁(丸善株式会社、1978年刊)、J.F.W.McOm
ie「Protective Groupsin Organic Chemistry 」第7
章(Plenum Press. 1973年刊)、S.Patai 「The Ch
emistry of the thiol group Part 2 」第12章、第1
4章(John Wiley& Sons , 1974年刊)等に記載の
方法等を適用することができる。
【0079】更に具体的には、一般式(IV)〜(X)の
官能基を含有する単量体(A)として、例えば以下の様
な化合物を挙げることができる。
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【0080】次に、分解により少なくとも1個のホスホ
ノ基、例えば下記一般式(XI)又は(XII)の基を生成す
る官能基について詳しく説明する。 一般式(XI)
【化68】 一般式(XII)
【化69】 式(XI)において、RB は炭化水素基又は−ZB 2 −R
BI (ここでRBIは炭化水素を示し、ZB 2 は酸素原子又
はイオウ原子を示す)を表わす。QB 1 は酸素原子又は
イオウ原子を表わす。ZB 1 は酸素原子又はイオウ原子
を表わす。式(XII)において、QB 2 、ZB 3 及びZB
4 は各々独立に酸素原子又はイオウ原子を表わす。好ま
しくは、RB は置換されてもよい炭素数1〜4のアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基)又は−ZB 2 −RBI (ここでZB 2 は酸素原子又
はイオウ原子を表す。RBIはRB と同一の内容を表
す。)QB 1 、QB 2 、ZB 1 、ZB 3 、ZB 4 は各々
独立に酸素原子又はイオウ原子を表す。
【0081】以上の如き分解により式(XI)又は(XII)
で示されるホスホノ基を生成する官能基としては、一般
式(XIII) 及び/又は(XIV)で示される官能基が挙げら
れる。 一般式(XIII)
【化70】 一般式(XIV)
【化71】 式(XIII) 及び(XIV)において、QB 1 、QB 2 、ZB
1 、ZB 3 、ZB 4 及びRB はそれぞれ式(XI)及び
(XII)で定義した通りの内容を表す。LB 1 、LB 2
びLB 3 は互いに独立にそれぞれ
【化72】 を表す。LB 1 〜LB 3
【化73】 を表わす場合において、RB 1 〜RB 2 は互いに同じで
も異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば塩
素原子、臭素原子、フッ素原子等)又はメチル基を表
す。XB 1 及びXB 2 は電子吸引性基(ここで、電子吸
引性基とは、ハメットの置換基定数が正値を示す置換基
であり、例えばハロゲン原子、
【化74】 等が挙げられる)を表し、好ましくはハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、−CN−、
−CONH2 、−NO2 又は−SO2 BII (R BII
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、
メシチル基等の如き炭化水素基を表す)を表す。nは1
又は2を表わす。更にXB 1 がメチル基の場合には、R
B 1 及びR B 2 がメチル基でn=1を表す。
【0082】LB 1 〜LB 3
【化75】 を表す場合において、RB 3 、RB 4及びRB 5 は互い
に同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、
置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状ア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基、オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル
基、メトキシプロピル基等)、置換されてもよい脂環式
基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、
置換されてもよい炭素数7〜12のアラルキル基(例え
ばベンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、メト
キシベンジル基等)、置換されてもよい芳香族基(例え
ばフェニル基、ナフチル基、クロロフェニル基、トリル
基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、ジクロロフェニル基等)又は−O−RBIII(RBIII
は炭化水素基を表し、具体的には、上記RB 3
B 4 、RB 5 の置換基類を例として挙げることができ
る)を表す。
【0083】LB 1 〜LB 3
【化76】 を表す場合において、RB 6 、RB 7 、RB 8 、RB 9
及びRB 10は各々独立に炭化水基を表す。好ましくは置
換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状ア
ルキル基(例えばメチル基、トリクロロメチル基、トリ
フルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチ
ル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、エチル基、
プロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、ヘキサフルオ
ロ−i−プロピル基等)、置換されてもよい炭素数7〜
9のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、
メチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ヘプタメチ
ルベンジル基、メトキシベンジル基等)、置換されても
よい炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニル基、
トリル基、キシリル基、ニトロフェニル基、シアノフェ
ニル基、メタンスルホニルフェニル基、メトキシフェニ
ル基、ブトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基等)を表
す。
【0084】更にLB 1 〜LB 3
【化77】 を表す場合において、YB 1 及びYB 2 は酸素原子又は
イオウ原子を表す。
【0085】本発明に用いられる官能基を少なくとも1
種含有する単量体は、従来公知の方法に従い、保護基を
導入することにより合成することができる。保護基を導
入する方法としては、同様の合成反応を用いることがで
きる。具体的には、J.F.W.McOmie「Protective groups
in Organic Chemistry」第6章(Plenum Press ,197
3年刊)に記載の方法、あるいは日本化学会編「新実験
化学講座第14巻、有機化合物の合成と反応〔V〕」第
2497頁(丸善株式会社刊、1978年)等に記載の
ヒドロキシル基への保護基導入の方法と同様の合成反
応、あるいは S.Patai「 The Chemistry of the Triol
Group Part 2 」第13章、第14章(Wiley-Intersci
ence 1974年刊)、T.W.Greene「Protective group
s in Organic Synthesis 」第6章(Wiley-Interscien
ce1981年刊)等に記載のチオール基への保護基導入
の方法と同様の合成反応により製造できる。
【0086】保護基に用いられる一般式(XIII)及び/
又は(XIV)の官能基を含有する重合成分の繰り返し単位
となり得る具体的な化合物例として以下の様な例を挙げ
ることができる。
【化78】
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【0087】次に、分解によりアミノ基、例えば−NH
2 基及び/又は−NHRC 基を生成する官能基として
は、例えば下記一般式(XV)〜(XVII) で表わされる基
を挙げることができる。 一般式(XV)
【化83】 一般式(XVI)
【化84】 一般式(XVII)
【化85】 式(XV)及び式(XVII) 中、RC 0 は各々水素原子、炭
素数1〜12の置換されてもよいアルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−クロロエ
チル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、
2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、2−エト
キシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−
メトキシプロピル基、6−クロロヘキシル基等)、炭素
数5〜8の脂環式基 (例えばシクロペンチル基、シク
ロヘキシル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよい
アラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−
フェニルプロピル基、1−フェニルプロピル基、クロロ
ベンジル基、メトキシベンジル基、ブロモベンジル基、
メチルベンジル基等)、炭素数6〜12の置換されても
よいアリール基(例えばフェニル基、クロロフェニル
基、ジクロロフェニル基、トリル基、キシリル基、メシ
チル基、クロロメチル基、クロロフェニル基、メトキシ
フェニル基、エトキシフェニル基、クロロメトキシフェ
ニル基等)等を表す。好ましくはRC 0 が該炭化水素基
を表す場合は、炭素数1〜8の炭化水素基類が挙げられ
る。
【0088】式(XV)で表される官能基において、RC
1 は炭素数2〜12の置換されてもよい脂肪族基を表
し、更に具体的にはRC 1 は下記式(XVIII)で示される
基を表す。 式(XVIII)
【化86】 式(XVIII)中、a6 , a7 は各々水素原子、ハロゲン原
子(例えば弗素原子、塩素原子等)又は炭素数1〜12
の置換されてもよい炭化水素基(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、メトキシメ
チル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2
−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基、シクロヘキ
シル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メトキシベン
ジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、3−フェニ
ルプロピル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メ
シチル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ジ
クロロフェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル
基等)を表わし、YC は水素原子、ハロゲン原子(例え
ば弗素原子、塩素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4の
アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基等)、置換基を含有してもよい芳香族基(例え
ばフェニル基、トリル基、シアノフェニル基、2,6−
ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル
基、ヘプタメチルフェニル基、2,6−ジメトキシフェ
ニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、2−プ
ロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、2−クロロ
−6−メチルフェニル基、フラニル基等)又は−SO2
−RC 6 (RC 6 はYC の炭化水素基と同様の内容を表
す)等を表す。nは1又は2を表す。
【0089】より好ましくは、YC が水素原子又はアル
キル基の場合には、ウレタン結合の酸素原子に隣接する
炭素上のa6 及びa7 は水素原子以外の置換基を表す。
C が水素原子又はアルキル基でない場合には、a6
びa7 は上記内容のいずれの基でもよい。即ち、
【化87】 において、少なくとも1つ以上の電子吸引性基を含有す
る基を形成する場合あるいはウレタン結合の酸素原子に
隣接する炭素が立体的にかさ高い基を形成する場合が好
ましい例であることを示すものである。
【0090】又、RC 1 は脂環式基{例えば単環式炭化
水素基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロヘキ
シル基、1−メチルシクロブチル基等)又は架橋環式炭
化水素基(ビシクロオクタン基、ビシクロオクテン基、
ビシクロノナン基、トリシクロヘプタン基等)等}を表
す。
【0091】一般式(XVI)において、RC 2 及びRC 3
は同じでも異なっていてもよく、各々炭素数1〜12の
炭化水素基を表わし、具体的には、式(XV)のYC にお
ける脂肪族基又は芳香族基と同様の内容を表す。一般式
(XVII)において、XC 1 及びXC 2 は同じでも異なっ
ていてもよく、各々酸素原子又はイオウ原子を表わす。
C 4 及びRC 5 は同じでも異なっていてもよく、各々
炭素数1〜8の炭化水素基を表し、具体的には、式(X
V)のYC における脂肪族基又は芳香族基を表す。
【0092】式(XV)〜(XVII)の官能基の具体例を以
下に示す。
【化88】
【化89】
【化90】
【化91】
【化92】
【化93】
【0093】本発明に用いられる分解によりアミノ基
(例えば−NH2基及び/又は−NHR基)を生成する
官能基、例えば上記一般式(XV)〜(XVII)の群から選
択される官能基を少なくとも1種含有する単量体は、例
えば日本化学編「新実験化学講座第14巻、有機化合物
の合成と反応〔V〕」第2555頁(丸善株式会社
刊)、J.F.W.McOmie「Protective groups in Organic C
hemistry」第2章( PlenumPress 1973年刊)、「P
rotective groups in Organic Sinthesis」第7章(Joh
n Wiley & Sons 、1981年刊)等に記載の方法によ
って製造することができる。
【0094】更に又、分解により少なくとも1つのスル
ホ基を生成する官能基としては、例えば一般式(XIX)又
は(XX)で表わされる官能基が挙げられる。 一般式(XIX) −SO2 −O−RD 1 一般式(XX) −SO2 −S−RD 2 式(XIX)中RD 1
【化94】 又は−NHCORD 7 を表す。式(XX)中、RD 2 は、
炭素数1〜18の置換されてもよい脂肪族基、又は炭素
数6〜22の置換基を有してもよいアリール基を表わ
す。
【0095】上記一般式(XIX)、(XX)の官能基は分解
によって、スルホ基を生成するものであり、以下に更に
詳しく説明する。RD 1
【化95】 を表す場合において、RD 3 、RD 4は同じでも異なっ
てもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば弗素原子、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜6のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基)を表わす。YD は炭素数1〜
18の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシ
ル基、トリフロロメチル基、メタンスルホニルメチル
基、シアノメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシ
メチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリク
ロロメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−
プロポキシカルボニルエチル基、メチルチオメチル基、
エチルチオメチル基等)、炭素数2〜18の置換されて
もよいアルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)、
炭素数6〜12の置換基を含有してもよいアリール基
(例えばフェニル基、ナフチル基、ニトロフェニル基、
ジニトロフェニル基、シアノフェニル基、トリフロロメ
チルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、メタンスルホニルフェニル
基、ベンゼンスルホニルフェニル基、トリル基、キシリ
ル基、アセトキシフェニル基、ニトロナフチル基等)又
【化96】 (RD 8 は脂肪族基又は芳香族基を表し、具体的には上
記YD の置換基の内容と同一のものを表す)を表す。n
は0、1又は2を表す。より好ましくは、置換基:
【化97】 において、少なくとも1つの電子吸引性基を含有する官
能基が挙げられる。具体的には、nが0で、YD が置換
基として電子吸引性基を含有しない炭化水素基の場合、
【化98】 において、少なくとも1ケ以上のハロゲン原子を含有す
る。又nが0、1又は2で、YD が電子吸引性基を少な
くとも1つ含有する。更には、n=1又は2で、
【化99】 等が挙げられる。
【0096】もう1つの好ましい置換基として、−SO
2 −O−RD において酸素原子に隣接する炭素原子に少
なくとも2つの炭化水素基が置換するかあるいは、n=
0又は1で、YD がアリール基の場合に、アリール基の
2−位及び6−位に置換基を有する場合が挙げられる。
【0097】RD 1
【化100】 を表す場合において、ZD は、環状イミド基を形成する
有機残基を表す。好ましくは、一般式(XXI)又は(XXI
I)で示される有機残基を表す。 一般式(XXI)
【化101】 一般式(XXII)
【化102】 式(XXI)中、RD 9 、RD 10は各々同じでも異なっても
よく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、
臭素原子等)、炭素数1〜18の置換されてもよいアル
キル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、3
−クロロプロピル基、2−(メタンスルホニル)エチル
基、2−(エトキシオキシ)エチル基等)、炭素数7〜
12の置換されてもよいアラルキル基(例えばベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、メチルベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、メトキシベンジル基、
クロロベンジル基、ブロモベンジル基等)、炭素数3〜
18の置換されてもよいアルケニル基(例えばアリル
基、3−メチル−2−プロペニル基等)、
【0098】RD 1
【化103】 を表す場合において、RD 5 、RD 6は各々水素原子、
脂肪族基(具体的にはR D 3 、RD 4 のそれと同一の内
容を表す)又はアリール基(具体的にはRD 3 、RD 4
のそれと同一の内容を表す)を表す。但し、RD 5 及び
D 6 がともに水素原子を表すことはない。RD 1 が−
NHCORD 7 を表す場合において、RD 7 は脂肪族基
又はアリール基を表し、具体的にはRD 3 、RD 4 のそ
れと同一の内容を各々表す。式(XX)中、RD 2 は炭素
数1〜18の置換されてもよい脂肪族基又は炭素数6〜
22の置換基を有してもよいアリール基を表す。更に具
体的には前記した式(XIX)で表されるYD における脂肪
族基又はアリール基と同様の内容を表す。
【0099】本発明に用いられる一般式〔−SO2 −O
−RD 1 〕又は〔−SO2 −O−R D 2 〕群から選択さ
れる官能基を少なくとも1種含有する単量体は、従来公
知の有機反応の見知に基づいて合成する事ができる。例
えばJ.F.W.McOmie、「Protective Groups in Organic C
hemistry」;PlenumPress(1973年刊)、T.W.Green
e、「Protective Groupsin Organic Sinthesis」John W
iley & Sons (1980年刊)等のカルボキシル基の保
護反応と同様にして合成できる。
【0100】更に具体的に一般式(XIX)−SO2 −O−
D 1 又は一般式(XX)−SO2 −O−RD 2 の官能基
として以下の様な例を挙げることができるが、本発明の
範囲はこれらに限定されるものではない。
【化104】
【化105】
【化106】
【化107】
【化108】
【0101】本発明の樹脂粒子は、単量体〔A〕ととも
に他の単量体を共存下に重合されてもよい。他の単量体
は、単量体〔A〕と共重合しうること及び共重合体が該
非水溶媒に不溶性重合体となるものであればいずれでも
よい。これらの単量体と共重合しうる他の単量体として
は、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の如き脂肪族カ
ルボン酸ビニルあるいはアリルエステル類、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマール酸等の如き不飽和カルボン酸のエステル類
又はアミド類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレンの如きスチレン誘導体、α−オレフィン類、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルピロ
リドンの如きビニル基置換のヘテロ環化合物等が挙げら
れる。これら他の単量体は不溶化する全重合体成分10
0重量部中60重量部以下であり、好ましくは50重量
部以下である。他の単量体が60重量部を越えると、オ
フセット印刷用原版としての保水性向上効果が低下す
る。
【0102】次に本発明の分散安定用樹脂について説明
する。該分散安定用樹脂は非水溶媒と溶媒和し可溶性で
あることが重要であり、いわゆる非水系分散重合におけ
る分散安定化作用を担うものであり、具体的には該溶媒
100重量部に対し、温度25℃において少なくとも5
重量%溶解するものであればよい。
【0103】該分散安定用樹脂の重量平均分子量は1×
103 〜1×105 であり、好ましくは2×103 〜1
×105 であり、特に好ましくは2×103 〜1×10
4 である。該樹脂の重量平均分子量が1×103 未満に
なると、生成した分散樹脂粒子の凝集が発生し、平均粒
径が揃った微粒子が得られなくなってしまう。一方5×
105 を越えると、光導電層中に添加した時に電子写真
特性を満足しつつ保水性向上するという本発明の効果が
薄れてしまう。
【0104】本発明の分散安定用樹脂は該非水溶媒に可
溶性の重合体であればいずれでもよいが、具体的には、
K. E. J. Barrett「 Dispersion Polymerization in Or
ganic Media 」John Wiley and Sons (1975年
刊)、R. Dowpenco , D. P. Hart, Ind. Eng. Chem. Pr
od. Res. Develop. 12,(No. 1)、14(197
3)、丹下豊吉、日本接着協会誌 23(1),26
(1987)、D. J. Walbridge 、NATO. Adv. Study I
nst. Ser.E. No.67,40(1983)、Y. Sasakia
nd M. Yabuta , Proc, 10th, Int. Conf. Org. Coat. S
ci. Technol, 10,263(1984)等の総説に引
例の各重合体が挙げられる。
【0105】例えばオレフィン重合体、変性オレフィン
重合体、スチレン−オレフィン共重合体、脂肪族カルボ
ン酸ビニルエステル共重合体、変性無水マレイン酸共重
合体、ポリエステル重合体、ポリエーテル重合体、メタ
クリレートホモ重合体、アクリレートホモ重合体、メタ
クリレート共重合体、アクリレート共重合体、アルキッ
ド樹脂等である。
【0106】より具体的には、本発明の分散安定用樹脂
の繰り返し単位として供される重合体成分としては、下
記一般式(XXIII)で表される成分が挙げられる。 一般式(XXIII)
【化109】 式(XXIII)中、V2 は式(II)のV0 と同一の内容を表
わし、詳細は式(II)のV0 の説明に記載されている。
【0107】R16は、炭素数1〜22の置換されてもよ
いアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、
ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テト
ラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドサコ
ニル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2
−(N−モルホリノ)エチル基、2−クロロエチル基、
2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シ
アノエチル基、2−(α−チエニル)エチル基、2−カ
ルボキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、
2,3−エポキシプロピル基、2,3−ジアセトキシプ
ロピル基、3−クロロプロピル基、4−エトキシカルボ
ニルブチル基等)、炭素数3〜22の置換されてもよい
アルケニル基(例えばアリル基、ヘキセニル基、オクテ
ニル基、ドセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、
オクタデセニル基、オレイル基、リノレイル基等)、炭
素数7〜22の置換されてもよいアラルキル基(例えば
ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、
2−ナフチルメチル基、2−(2′−ナフチル)エチル
基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベン
ジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、
メトキシベンジル基、ジメトキシベンジル基、ブチルベ
ンジル基、メトキシカルボニルベンジル基等)、炭素数
4〜12の置換されてもよい脂環式基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダ
マンチル基、クロロシクロヘキシル基、メチルシクロヘ
キシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜
22の置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アン
トラニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ブ
チルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニ
ル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキ
シフェニル基、エトキシフェニル基、オクチルオキシフ
ェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、アセチルフ
ェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、ブチルメチ
ルフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、N
−メチル−N−ドデシルフェニル基、チエニル基、ヒラ
ニル基等)等が挙げられる。c1 , c2 は式(II)中の
3 , a4 と同一の内容を表わし、詳細は式(I)のa
1 , a2 の説明に記載される。
【0108】本発明の分散安定用樹脂中の重合体成分と
して、以上述べた成分とともに、他の重合体成分を含有
してもよい。他の重合体成分としては、一般式(XXIII)
で示される成分に相当する単量体と共重合するものであ
ればいずれでもよく、相当する単量体としては、例え
ば、α−オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、ビニル含有複素環類(複素環としては例えば
ピラン環、ピロリドン環、イミダゾール環、ピリジン環
等)、ビニル基含有のカルボン酸類(例えばアクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸等)、ビニル基含有のカルボキシアミド類(例えばア
クリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、
イタコン酸アミド、イタコン酸半アミド、イタコン酸ジ
アミド等)等が挙げられる。
【0109】本発明の分散安定用樹脂において、一般式
(XXIII)で示される重合体成分は、該樹脂の全重合体1
00重量部中30重量部以上、好ましくは50重量部以
上である。
【0110】更には、本発明の分散安定用樹脂が、高分
子鎖中に前記した一般式(II)で示される重合性二重結
合基部分を少なくとも1種含有して成ることが好まし
い。以下に、該重合性二重結合基部分について説明す
る。 一般式(II)
【化110】 一般式(II)において、V0 は−O−、−COO−、−
OCO−、−(CH 2 p −OCO−、−(CH2p
−COO−、−SO2 −、
【化111】 −CONHCOO−、又は−CONHCONH−を表わ
す(pは1〜4の整数を表す)。
【0111】ここでR6 は水素原子のほか、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シ
アノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−
メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数
4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば2−
メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペン
テニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテ
ニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メ
チル−2−ヘキセニル基、等)、炭素数7〜12の置換
されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、
フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチ
ル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロ
モベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、
メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシ
ベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい
脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、等)、又
は、炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基
(例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル
基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチル
フェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシル
オキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチル
フェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシ
カルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0112】V0 が、
【化112】 を表わす場合、ベンゼン環は、置換基を有してもよい。
置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素
原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチ
ル基、等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキ
シ基、プロピオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられ
る。
【0113】a3 及びa4 は、互いに同じでも異なって
いてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4の
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等)−COO−R 7 又は炭化水素を介した
COOR7 (R7 は、水素原子又は炭素数1〜18のア
ルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又は
アリール基を表わし、これらは置換されていてもよく、
具体的には、上記R6 について説明したものと同様の内
容を表わす)を表わす。
【0114】上記炭化水素を介した−COOR7 基にお
ける炭化水素としては、メチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基等が挙げられる。更に好ましくは、一般式(I
I)において、V0 は、−COO−、−OCO−、−C
2 OCO−、−CH2 COO−、−O−、−CONH
−、−SO2 NH−、−CONHCOO−又は
【化113】 を表わし、a3 及びa4 は互いに同じでも異なっていて
もよく、水素原子、メチル基、−COOR7 又は−CH
2 COOR7 を表し、(R7 は水素原子又は炭素数1〜
6のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基等を表わす)を表わす。更に
より好ましくはa3 及びa4 においていずれか一方が必
ず水素原子を表わす。
【0115】即ち、一般式(II) で表わされる重合性二
重結合基含有部分として、具体的には
【化114】 等が挙げられる。
【0116】これらの重合性二重結合基含有部分は高分
子鎖の主鎖に直接結合されるか又は任意の連結基で結合
されたものである。連結する基として具体的には二価の
有機残基であって、−O−、−S−、
【化115】 から選ばれた結合基を介在させてもよい、二価の脂肪族
基もしくは二価の芳香族基、又はこれらの二価の残基の
組合せにより構成された有機残基を表わす。ここで、d
1 〜d5 は式(II)におけるR6 と同一の内容を表わ
す。
【0117】二価の脂肪族基として、例えば
【化116】 が挙げられる{e3 及びe4 は、互いに同じでも異なっ
てもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ク
ロロメチル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘシキル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Q
は−O−、−S−又は−NR''−を表わし、R''は炭素
数1〜4のアルキル基、−CH2 Cl又は−CH2 Br
を表わす}。
【0118】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例として挙げられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピラジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフ
ラン環、ピロール環、テトラヒドロピラン環、1,3−
オキサゾリン環等が挙げられる。
【0119】以上のような重合性二重結合基含有部分
は、具体的には高分子鎖中にランダム結合されている
か、又は高分子鎖の主鎖の片末端にのみ結合されてい
る。好ましくは、高分子鎖主鎖の片末端にのみ重合性二
重結合基含有部分が結合された重合体(以下、一官能性
重合体〔M〕と略記する)が挙げられる。
【0120】上記一官能性重合体〔M〕の一般式(II)
で示される重合性二重結合基含有部分と、これに連結す
る有機残基で構成される部分の具体例として各々次のも
のが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
但し、以下の各例において、P1 は−H、−CH3 、−
CH2 COOCH3 、−Cl、−Br又は−CNを示
し、P2 は−H又は−CH3 を示し、X4 は−Cl又は
−Brを示し、n2 は2〜12の整数を示し、m2 は1
〜4の整数を示す。
【化117】
【化118】
【化119】
【化120】
【化121】
【化122】
【0121】好ましくは本発明の分散安定用樹脂は重合
性二重結合基部分を高分子中の側鎖に含有するが、この
重合体の合成は従来公知の方法によって製造することが
できる。例えば、重合反応性の異なる重合性二重結合
基を分子中に2個含有した単量体を共重合させる方法、
分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ
基、エポキシ基等の反応性基を含有した一官能性単量体
を共重合させて高分子を得た後、この高分子側鎖中の反
応基と化学結合しうる他の反応性基を含有した重合性二
重結合基を含む有機低分子化合物との反応を行う、いわ
ゆる高分子反応によって導入する方法、等が通常よく知
られた方法として挙げられる。
【0122】上記の方法として、例えば特開昭60−
185962号公報に記載の方法等が挙げられる。 上記の方法として、具体的には岩倉義男,栗田恵輔
「反応性高分子」講談社(1977年刊)、小田良平
「高分子ファインケミカル」講談社(1976年刊)、
特開昭61−43757号公報、特願平1−14930
5号として出願した明細書等に詳細に記載されている。
【0123】例えば、下記表−1のA群の官能基とB群
の官能基の組み合わせによる高分子反応が、通常よく知
られた方法として挙げられる。なお表−1のR17, R18
は炭化水素基で、前出の式(II)におけるR6 と同一の
内容を表す。
【表1】
【0124】本発明の分散安定用樹脂として更に好まし
い、重合性二重結合基部分を主鎖の片末端に含有する一
官能性重合体〔M〕は、従来公知の合成方法によって製
造することができる。例えば、イ)アニオン重合あるい
はカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末
端に種々の試薬を反応させて一官能性重合体〔M〕を得
る、イオン重合法による方法、ロ)分子中にカルボキシ
ル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の反応性基を含有し
た重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル
重合して得られる末端反応性基結合の重合体と種々の試
薬を反応させて一官能性重合体〔M〕を得るラジカル重
合法による方法、ハ)重付加あるいは重縮合反応により
得られた重合体に上記ラジカル重合法と同様にして、重
合性二重結合基を導入する重付加縮合法による方法等が
挙げられる。
【0125】具体的には、P. Dreyfuss & R. P. Quirk
, Encycl. Polym. Sci. Eng., ,551(198
7)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Polym. Sci.,
,1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sci.,
85,95(1984)、R. Asami, M. Takari, Macro
mol. Chem. Suppl.,12,163(1985)、P. Rem
pp., et al, Macromol. Chem. Suppl., ,3(198
4)、川上雄資,化学工業,38,56(1987)、
山下雄也,高分子,31,988(1982)、小林四
郎,高分子,30,625(1981)、東村敏延,日
本接着協会誌,18,536(1982)、伊藤浩一,
高分子加工,35,262(1986)、東貴四郎,津
田隆,機能材料,1987,No. 10,5等の総説及び
それに引例の文献・特許等に記載の方法に従って合成す
ることができる。
【0126】以上の如き一官能性重合体〔M〕の合成方
法として更に具体的には、ラジカル重合性単量体に相当
する繰り返し単位を含有する重合体〔M〕は、特開平2
−67563号公報、特願昭63−64970、特願平
1−206989、同1−69011各号として出願の
明細書等に記載されており、又、ポリエステル構造又は
ポリエーテル構造を繰り返し単位として含有する重合体
〔M〕は、特願平1−56379、同1−58989、
同1−56380各号として出願の明細書等に各々記載
されている方法と同様にして得られる。
【0127】本発明の分散樹脂粒子は以上説明した様
に、極性基含有の一官能性単量体(A)を上記分散安定
用樹脂の存在下で分散重合させて得られる共重合体樹脂
粒子である。更に、本発明の分散樹脂粒子が網目構造を
有する場合は、上記した極性基含有一官能性単量体
(A)を主成分とする重合体成分〔重合体成分(A)と
略記する〕として成る重合体の重合体間が橋架けされて
おり、高次の網目構造を形成している。
【0128】すなわち、本発明の分散樹脂粒子は、重合
体成分(A)から構成される非水分散溶媒に不溶な部分
と、該溶媒に可溶となる重合体とで構成される、非水系
ラテックスであり、網目構造を有する場合は、この該溶
媒に不溶な部分を形成している重合体成分(A)の分子
間が橋架けされているものである。これにより、網目樹
脂粒子は水に対して難溶性あるいは不溶性となったもの
である。具体的には、該樹脂の水への溶解性は、80重
量%以下好ましくは50重量%以下である。
【0129】本発明の架橋は、従来公知の架橋方法によ
って行うことができる。即ち、(a)該重合体成分
(A)を含有する重合体を種々の架橋剤あるいは硬化剤
によって架橋する方法、(b)該重合体成分(A)に相
当する単量体を少なくとも含有させて重合反応を行う際
に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体あ
るいは多官能性オリゴマーを共存させることにより分子
間に網目構造を形成する方法、及び(c)該重合体成分
(A)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等の
方法によって行うことができる。
【0130】上記(a)の方法の架橋剤としては、通常
架橋剤として用いられる化合物を挙げることができる。
具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年),高分子学会編「高分子デ
ータハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記
載されている化合物を用いることができる。
【0131】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤
等)、ポリイソシアナート系化合物(例えば、トルイレ
ンジイソシアナート、o−トルイレンジイソシアナー
ト、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリフェニル
メタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニル
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イ
ソホロンジイソシアナート、高分子ポリイソシアナート
等)、ポリオール系化合物(例えば、1,4−ブタンジ
オール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシ
アルキレングリコール、1,1,1−トリメチロールプ
ロパン等)、ポリアミン系化合物(例えば、エチレンジ
アミン、γ−ヒドロキシプロピル化エチレンジアミン、
フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−ア
ミノエチルピペラジン、変性脂肪族ポリアミン類等)、
ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、
垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年
刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン
樹脂(例えば,三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラ
ミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載さ
れた化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物
(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマ
ー」講談社(1976年刊)、大森英三「機能性アクリ
ル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載さ
れた化合物類が挙げられ、具体的には、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタ
エリスリトールポリアクリレート、ビスフエノールA−
ジグリシジルエーテルジアクリレート、オリゴエステル
アクリレート及びこれらのメタクリレート体等がある。
【0132】又、上記(b)の方法で共存させる重合性
官能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単
量体(D)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの
重合性官能基としては、具体的には
【化123】 等を挙げることができる。これらの重合性官能基の同一
のものあるいは異なったものを2個以上有した単量体あ
るいはオリゴマーであればよい。
【0133】重合性官能基を2個以上有した単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール♯20
0、♯400、♯600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0134】又、異なる重合性官能基を有する単量体あ
るいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有す
るカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メタ
クリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプ
ロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロイ
ル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水
物等)とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリル
オキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニ
ル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリル
アミノカルボニルプロピオン酸等)等のビニル基を含有
したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタクリ
ル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メ
タクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリ
ル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピ
オン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メ
タクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、ア
クリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニ
ルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−
アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミ
ド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又は
アミノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−ア
ミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノ
ヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を
含有したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。
【0135】本発明に用いられる2個以上の重合性官能
基を有する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(A)
及び(A)と共存する他の単量体との総量に対して10
モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹
脂を形成する。
【0136】更には、上記(c)の方法の高分子間の反
応性基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋
架けを行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と
同様に行うことができる。具体的には、分散安定用樹脂
の合成法において記載したと同様の方法に従って合成す
ることができる。分散重合において、粒子の粒径が揃っ
た単分散性の粒子が得られること及び0.5μm 以下の
微小粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法
としては、多官能性単量体を用いる(b)の方法が好ま
しい。以上の如く、本発明の網目分散樹脂粒子は、極性
基を含有する繰り返し単位と、フッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有置換基を有する繰り返し単位とを含む重合
体成分と、該非水溶媒に可溶性の重合体成分とを含有
し、且つ分子鎖間が高次に橋架けされた構造を有する重
合体の粒子である。
【0137】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、それは単独であるいは2種以上を
混合して使用してもよい。この有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。
【0138】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm 以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。具体的に
は、K. E. J. Barrett「 Dispersion Polymerization i
n Organic Media 」John Wiley(1975年)、村田耕
一郎、高分子加工、23、20(1974)、松本恒隆
・丹下豊吉、日本接着協会誌、183(1973)、
丹下豊吉、日本接着協会誌23、26(1987)、D.
J. Walbridge 、NATO. Adv. study. Inst. Ser. E. N
o. 67、40(1983)、英国特許第89342
9、同934038各号明細書、米国特許第11223
97、同3900412、同4606989各号明細
書、特開昭60−179751、同60−185963
各号公報等にその方法が開示されている。
【0139】本発明の分散樹脂は、単量体(A)と分散
安定用樹脂の少なくとも各々1種以上から成り、網目構
造を形成する場合には必要に応じて多官能性単量体
(D)を共存させて成り、いずれにしても重要な事は、
これら単量体から合成された樹脂が該非水溶媒に不溶で
あれば、所望の分散樹脂を得ることができる。より具体
的には、不溶化する単量体(A)に対して分散安定用樹
脂を1〜50重量%使用することが好ましく、さらに好
ましくは2〜30重量%である。又本発明の分散樹脂粒
子の分子量は104 〜106 であり、好ましくは104
〜5×105 である。
【0140】以上の如き本発明で用いられる分散樹脂粒
子を製造するには、一般に、単量体(A),分散安定用
樹脂、更には、多官能性単量体(D)とを非水溶媒中で
過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ブチ
ルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合させれば
よい。具体的には、(i)単量体(A),分散安定用樹
脂及び多官能性単量体(D)の混合溶液中に重合開始剤
を添加する方法、(ii)非水溶媒中に、上記重合性化合
物及び重合開始剤の混合物を滴下又は任意に添加する方
法等があり、これらに限定されずいかなる方法を用いて
も製造することができる。
【0141】重合性化合物の総量は非水溶媒100重量
部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10
〜50重量部である。重合開始剤の量は、重合性化合物
の総量の0.1〜5重量%である。又、重合温度は30
〜180℃程度であり、好ましくは40〜120℃であ
る。反応時間は1〜15時間が好ましい。
【0142】以上の如くして本発明により製造された非
水系分散樹脂は、微細でかつ粒度分布が均一な粒子とな
る。
【0143】本発明の樹脂粒子〔L〕を含有する表面層
の他の組成物としては、表面層形成用の結着樹脂を少な
くとも含有し、公知の表面層用樹脂のいずれでもよい。
具体的には、前記した光導電層用の結着樹脂と同様の内
容のものが挙げられる。そき使用量は全組成物100重
量部中の5重量部〜90重量部である。
【0144】更に、本発明の親水性可能な表面層自体の
強度、光導電層との接着性あるいは電子写真特性等の改
善のために、前記した本発明の樹脂以外の樹脂を添加し
たり、架橋剤あるいは可塑剤等を添加してもよい。架橋
剤としては、通常用いられる有機過酸化物、金属セッケ
ン、有機シラン、ポリウレタンの如き架橋剤、エポキシ
樹脂の如き硬化剤等を用いることができる。例えば山下
晋三・金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1
981年)等る記載されている。より具体的には、樹脂
粒子〔L〕の架橋において用いられると同様の化合物が
挙げられる。更に、親水化可能な表面層は、トナー現像
の現像特性、トナー像の接着性あるいは親水化処理後の
保水性などを向上させる目的で、その表面が機械的マッ
ト化さていたり、層にマット剤が含有されていてもよ
い。マット剤としては、二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チ
タン、酸化ジルコニウム、ガラス粒子、アルミナ、クレ
ーなどの充填剤や、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、フェノール樹脂などの重合体粒子などが例示で
きる。
【0145】本発明の親水化可能な表面層の厚さは10
μm以下であり、特にカールソンプロセス用としては、
0.1〜5μmであることが好ましい。5μmより厚い
と、平版印刷用原版の電子写真用感光体としての感度の
低下や残留電位が高くなるといった不都合が生じ得る。
【0146】実際に本発明の平版印刷用原版を作るに
は、一般的に、まず常法に従って導電性支持体上に電子
写真感光層(光導電層)を形成する。 本発明による光
導電層は、従来公知の支持体上に設けることができる。
一般に云って電子写真感光層の支持体は、導電性である
ことが好ましく、導電性支持体としては、従来と全く同
様、例えば、金属、紙、プラスチックシート等の基体に
低抵抗性物質を含浸させるなどして導電処理したもの、
基体の裏面(感光層を設ける面と反対面)に導電性を付
与し、更にはカール防止を図る等の目的で少なくとも1
層以上をコートしたもの、前記支持体の表面に耐水性接
着層を設けたもの、前記支持体の表面層に必要に応じて
少なくとも1層以上のプレコート層を設けたもの、Al
等を蒸着した基体導電化プラスチックを紙にラミネート
したもの等が使用できる。具体的に、導電性基体あるい
は導電化材料の例として、坂本幸男,電子写真、14、
(No. 1)、p2〜11(1975)、森賀弘之,「入
門特殊紙の化学」高分子刊行会(1975)、M. F. Ho
over, J. Macromol. Sci. Chem. A−4(6),第13
27〜1417頁(1970)等に記載されているもの
等を用いる。
【0147】次いで、この層の上に、本発明の樹脂、更
には必要により前記した添加剤等を沸点が200℃以下
の揮発性炭化水素溶剤に溶解又は分散し、これを塗布・
乾燥することによって製造することができる。用いるる
有機溶剤としては、具体的には特にジクロロメタン、ク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエ
タン、ジクロロプロパン又はトリクロロエタンなどの如
き、炭素数1〜3のハロゲン化炭化水素が好ましい。そ
の他クロロベンゼン、トルエン、キシレン又はベンゼン
などの如き芳香族炭化水素、アセトンまたは2−ブタノ
ン等の如きケトン類、テトラヒドロフラン等の如きエー
テル及びソチレンクロリドなど、塗布用組成物に用いら
れる各種の溶剤及び上記溶剤の混合物も使用可能であ
る。
【0148】以上のようにして得られた本発明の平版印
刷用原版を用いた印刷版は、上記した構成から成る電子
写真用原版に常法により複写画像を形成後、非画像部を
不感脂化処理することで作製される。本発明の分解によ
り親水性基を精製する官能基含有の樹脂粒子を不感脂化
する(即ち親水性の発現)方法としては、処理液を通す
ことで加水分解する方法、あるいは光照射して分解する
方法が挙げられる。
【0149】該処理液は所定のpHに調節するpH調整
剤を含有する水溶液であり、設定するpHは、本発明の
親水性基生成官能基の種類によって異なり、pH1〜1
3まで適宜用いることができる。更に、他の化合物を含
有してもよく、例えば水に可溶性の有機溶媒を水100
重量部中に1〜50重量部含有してもよい。このような
水に可溶性の有機溶媒としては、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、プロパギル
アルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコー
ル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、ア
セトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、トリオキ
サン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テト
ラヒドロピラン等)、アミド類(ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等)、エステル類(酢酸メチ
ル、酢酸エチル、ギ酸エチル等)等が挙げられ、これら
は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。また、界
面活性剤を水100重量部中に0.1〜20重量部含有
してもよい。界面活性剤としては、従来公知のアニオン
性、カチオン性あるいはノニオン性の各界面活性剤が挙
げられる。例えば、堀口博「新界面活性剤」三共出版
(株),(1975年刊)、小田良平,寺村一広、「界
面活性剤の合成とその応用」槇書店(1980年刊)等
に記載される化合物を用いることができる。本発明の範
囲は、上記した具体的化合物例に限定されるものではな
い。処理の条件は、温度15〜60℃で浸漬時間は10
秒〜5分間が好ましい。
【0150】本発明の樹脂中の特定の官能基を光照射で
分解する方法としては、製版におけるトナー画像を得た
後のいずれかの間で「化学的活性光線」で光照射する工
程を入れる様にすればよい。即ち、電子写真現像後、ト
ナー画像の定着時に定着を兼ねて光照射を行ってもよい
し、或いは従来公知の他の定着法、例えば加熱定着、圧
力定着、溶剤定着などにより定着した後、光照射を行う
ものである。
【0151】本発明に用いられる「化学的活性光線」と
しては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、
γ線、α線などいずれでもよいが、好ましくは紫外線が
挙げられる。より好ましくは波長310nmから波長50
0nmの範囲での光線を発しうるものが好ましく、一般に
は低圧,高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲンラ
ンプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜50cm
の距離から10秒〜10分間の照射で充分に行うことが
できる。
【0152】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 結着樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 ベンジルメタクリレート96g、チオサリチル酸4g及
びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に温度75
℃に加温した後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル(略称A.I.B.N.)1.0gを加え4時間反応させた。
更にA.I.B.N.0.4gを加え2時間、その後更にA.I.B.
N.を0.2g加え3時間攪拌した。得られた共重合体
〔A−1〕のMwは6.8×103 であった。 樹脂〔A−1〕
【化124】
【0153】結着樹脂〔A〕の合成例2〜13:〔A−
2〕〜〔A−13〕 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレー
ト96gに代えて、下記表−2の単量体を用いて、その
他は合成例1と同様に操作して下記表−2の各樹脂〔A
−2〕〜〔A−13〕を合成した。各樹脂〔A〕のMw
は、6.0×103 〜8×103 であった。
【表2】
【表3】
【表4】
【0154】結着樹脂〔A〕の合成例14〜24:〔A
−14〕〜〔A−24〕 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレー
ト96g、チオサリチル酸4gに代えて、下記表3に示
すメタクリレート、メルカプト化合物を用い、またトル
エン200gに代えてトルエン150g及びイソプロパ
ノール50gとした以外は合成例1と同様に反応して、
下記表−3の各樹脂〔A−14〕〜〔A−24〕を合成
した。得られた各共重合体樹脂〔A〕のMwは6.8×
103 であった。
【表5】
【表6】
【表7】
【0155】結着樹脂〔A〕の合成例25:〔A−2
5〕 1−ナフチルメタクリレート95.5g、メタクリル酸
0.5g、トルエン150g及びイソプロパノール50
gの混合溶液を窒素気流下に温度80℃に加温した。
4,4′−アゾビス(4−シアノ)吉草酸(略称A.C.
V.)5.0gを加え5時間攪拌した。更にA.C.V.を1g
加え3時間攪拌した。得られた重合体のMwは7.5×
103 であった。 樹脂〔A−25〕
【化125】
【0156】結着樹脂〔A〕の合成例26:〔A−2
6〕 メチルメタクリレート50g及び塩化メチレン150g
のの混合溶液を窒素気流下に−20℃に冷却した。直前
に調製した10%1,1−ジフェニルヘキシルリチウム
ヘキサン溶液を1.0g加え、5時間攪拌した。これに
二酸化炭素を流量10ml/ccで10分間攪拌下に流
した後、冷却を止めて、反応混合物が室温になるまで攪
拌放置した。次にこの反応混合物を、1N塩酸50cc
をメタノール1リットル中に溶かした溶液中に再沈し、
白色粉末を濾集した。この粉末を中性になるまで水洗し
た後、減圧乾燥した。収量18gで、Mwは6.5×1
3 であった。 樹脂〔A−26〕
【化126】
【0157】結着樹脂〔A〕の合成例27:〔A−2
7〕 ベンジルメタクリレート95g、チオグリコール酸4g
及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に温度7
5℃に加温した。A.C.V. 1.0gを加え6時間反応し
た後、更にA.C.V. 0.4gを加え3時間攪拌した。得
られた共重合体のMwは7.8×103 であった。 樹脂〔A−27〕
【化127】
【0158】分散安定用樹脂の製造例1:〔P−1〕 ドデシルメタクリレート97g、グリシジルメタクリレ
ート3g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流
下攪拌しながら、温度75℃に加温した。A.I.B.N.
1.0gを加え4時間攪拌し、更にA.I.B.N.0.5gを
加え4時間攪拌した。次に、この反応混合物にメタアク
リル酸5g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.0
g、t−ブチルハイドロキノン0.5gを加え、温度1
10℃にて8時間攪拌した。冷却後、メタノール2リッ
トル中に再沈し、やや褐色気味の油状物を補集後、乾燥
した。収量73gで重量平均分子量(Mw)3.6×1
4 であった。 樹脂〔P−1〕
【化128】
【0159】分散安定用樹脂の製造例2:〔P−2〕 2−エチルヘキシルメタクリレート100g、トルエン
150g及びイソプロパノール50gの混合溶液を、窒
素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。2,2′
−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(略称A.C.V.) を2g
加え4時間反応し、更にA.C.V. 0.8gを加えて4時
間反応した。冷却後、メタノール2リットル中に再沈
し、油状物を補集し乾燥した。得られた油状物50g、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート6g、テトラヒド
ロフラン150gの混合物を溶解し、これにジシクロヘ
キシルカルボンジイミド(D.C.C.) 8g、4−(N,N
−ジメチルアミノ)ピリジン0.2g及び塩化メチレン
20gの混合溶液を温度25〜30℃で滴下し、更にそ
のまま4時間攪拌した。次にこの反応混合物にギ酸5g
を加え1時間攪拌した。析出した不溶物を濾別した後、
濾液をメタノール1リットル中に再沈し油状物を濾集し
た。更に、この油状物をテトラヒドロフラン200gに
溶解し、不溶物を濾別後再びメタノール1リットル中に
再沈し、油状物を補集し乾燥した。収量32gで、Mw
4.2×104 であった。 樹脂〔P−2〕
【化129】
【0160】分散安定用樹脂の製造例3:〔P−3〕 ブチルメタクリレート96g、チオグリコール酸4g及
びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら、温度70℃に加温した。A.I.B.N.を1.0gを加
え8時間反応した。次にこの反応溶液にグリシジルメタ
クリレート8g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.
0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを加え、温
度100℃にて12時間攪拌した。冷却後この反応溶液
をメタノール2リットル中に再沈し、油状物を82g得
た。重合体の数平均分子量は5600であった。 樹脂〔P−3〕
【化130】
【0161】分散安定用樹脂の製造例4:〔P−4〕 n−ブチルメタクリレート100g、β−メルカプトプ
ロピオン酸4g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。これにA.
I.B.N. 1gを加え6時間反応させた。この反応混合物
を冷却し、温度25℃に設定した後、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート10g及びD.C.C.8g、4−(N,
N−ジメチルアミノ)ピリジン0.2g及び塩化メチレ
ン20gの混合溶液を温度25〜30℃で滴下し、更に
そのまま4時間攪拌した。次にこの反応混合物にギ酸5
gを加え1時間攪拌した。析出した不溶物を濾別した
後、濾液をメタノール1リットル中に再沈し油状物を濾
集した。更に、この油状物をテトラヒドロフラン200
gに溶解し、不溶物を濾別後再びメタノール2リットル
中に再沈し、油状物を補集し乾燥した。収量68gでM
w 6.6×103 であった。 樹脂〔P−4〕
【化131】
【0162】分散安定用樹脂の製造例5〜12:〔P−
5〕〜〔P−12〕 製造例4において、n−ブチルメタクリレート100g
の代わりに下記表−4に相当する単量体群に代えた他
は、製造例4と同様にして各樹脂〔P〕を製造した。各
樹脂〔P〕のMwは5.5×103 〜7×103 の範囲
であった。
【表8】
【0163】分散安定用樹脂の製造例13〜16:〔P
−13〕〜〔P−16〕 製造例4において、2−ヒドロキシメタクリレートの代
わりに下記の表−5に相当する化合物を用いた他は、製
造例4と同様に操作して各樹脂〔P〕を製造した。各樹
脂〔P〕のMwは6×103 〜7×103 の範囲であっ
た。
【表9】
【0164】分散安定用樹脂の製造例17:〔P−1
7〕 オクチルメタクリレート97g、グリシジルメタクリレ
ート3g及びベンゾトリフルオリド200gの混合溶液
を、窒素気流下攪拌しながら、温度75℃に加温した。
A.I.B.N. 1.0gを加え4時間反応させた。更にA.I.
B.N. 0.5gを加え4時間反応した。次にこの反応混
合物に、メタクリル酸5g、N,N−ジメチルドデシル
アミン1.0g、t−ブチルハイドロキノン0.5gを
加え、温度110℃にて8時間攪拌した。冷却後メタノ
ール2リットル中に再沈し、やや褐色気味の油状物を補
集後、乾燥した。収量73gで重量平均分子量(Mw)
3.6×104 であった。 樹脂〔P−17〕
【化132】
【0165】分散安定用樹脂の製造例18:〔P−1
8〕 ブチルメタクリレート85g、グリシジルメタクリレー
ト15g、2−メルカプトエタノール2g及びテトラヒ
ドロフラン300gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら、温度60℃に加温した。これに2,2′−アゾビ
ス(イソバレロニトリル)(略称:A.I.V.N.)0.8g
を加え4時間反応し、更にA.I.V.N. 0.4gを加えて
4時間反応した。この反応物を温度25℃に冷却した
後、メタクリル酸4gを加え、攪拌下にD.C.C. 6g、
4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及び
塩化メチレン15gの混合溶液を1時間で滴下し、その
まま更に3時間攪拌した。次に水10gを加え、1時間
攪拌し析出した不溶物を濾別後、濾液をメタノール1リ
ットル中に再沈し油状物を補集した。更にこの油状物を
ベンゼン150gに溶解し、不溶物を濾別後再びメタノ
ール1リットル中に再沈し油状物を補集し乾燥した。収
量は56gでMw 8×103 であった。 樹脂〔P−18〕
【化133】
【0166】分散安定用樹脂の製造例19〜25:〔P
−19〕〜〔P−25〕 製造例18に示した様な反応を行うことで下記の表−6
の分散安定用樹脂を各々合成した。各樹脂のMwは6×
103 〜9×103 の範囲であった。
【表10】
【表11】
【0167】樹脂粒子の製造例1:〔L−1〕 分散安定用樹脂〔P−1〕10g及びメチルエチルケト
ン200gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度6
0℃に加温した。これに、下記単量体〔A−1〕40
g、エチレングリコールジメタクリレート10g、A.I.
V.N. 0.5g及びメチルエチルケトン240gの混合
溶液を2時間で滴下し、そのまま2時間反応した。更に
A.I.V.N. 0.5gを加え2時間反応した。冷却後、2
00メッシュのナイロン布を通して白色分散物を得た。
平均粒子径0.20μm のラテックスであった。(CA
PA−500 堀場製作所(株)製で粒径測定)。 単量体〔A−1〕
【化134】
【0168】樹脂粒子の製造例2〜12:〔L−2〕〜
〔L−12〕 樹脂粒子の製造例1において、樹脂〔P−18〕及び単
量体(A−1)の代わりに下記表−7の各化合物に代え
た他は、製造例1と同様にして樹脂粒子を製造した。各
粒子の平均粒径は0.15〜0.30μm の範囲内であ
った。
【表12】
【表13】
【0169】樹脂粒子の製造例13〜23:〔L−1
3〕〜〔L−23〕 樹脂粒子の製造例1において、エチレングリコールジメ
タクリレートに代えて、下記表−8の多官能性化合物を
用いた他は製造例1と同様にして樹脂粒子〔L−13〕
〜〔L−23〕を製造した。各粒子とも重合率は95〜
98%で平均粒径は0.15〜0.25μm であった。
【表14】
【0170】樹脂粒子の製造例24:〔L−24〕 分散安定用樹脂〔P−21〕8g及びメチルエチルケト
ン130gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら60℃
に加温した。これに、下記単量体(A−13)45g、
ジエチレングリコールジメタクリレート5g、A.I.V.N.
0.5g及びメチルエチルケトン150gの混合溶液
を1時間で滴下し更にA.I.V.N. 0.25gを加えて2
時間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を
通して得られた分散物の平均粒径は0.25μm であっ
た。 単量体(A−13)
【化135】
【0171】樹脂粒子の製造例25:〔L−25〕 分散安定用樹脂〔P−12〕7.5g及びメチルエチル
ケトン230gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら6
0℃に加温した。これに、前記単量体(A−10)25
g、アクリルアミド15g、A.I.V.N. 0.5g及びメ
チルエチルケトン200gの混合溶液を2時間で滴下
し、更にそのまま1時間反応した。更に、A.I.V.N.
0.25gを加え、2時間反応した後、冷却し、200
メッシュのナイロン布を通して得られた分散物の平均粒
径は0.25μm であった。
【0172】樹脂粒子の製造例26:〔L−26〕 下記の単量体(A−14)42g、エチレングリコール
ジアクリレート8g、分散安定用樹脂〔P−23〕8g
及びジプロピルケトン230gを窒素気流下温度60℃
に加温した。これをジプロピルケトン200gの溶液中
に攪拌しながら2時間で滴下した。そのまま1時間反応
後、更にA.I.V.N. 0.3gを加え2時間反応した。冷
却後、200メッシュのナイロン布を通して得られた分
散物の平均粒径は0.20μm であった。 単量体(A−14)
【化136】
【0173】樹脂粒子の製造例27〜36:〔L−2
7〕〜〔L−36〕 樹脂粒子の製造例26において、分散安定用樹脂〔P−
23〕の代わりに下記表−9の各分散安定用樹脂を用い
た他は製造例12と同様にして各粒子を製造した。各粒
子の平均粒径は0.20μm 〜0.25μm の範囲であ
った。
【表15】
【0174】樹脂粒子の製造例37〜42:〔L−3
7〕〜〔L−42〕 樹脂粒子の製造例25において、単量体(A−10)、
アクリルアミド及び反応溶媒、メチルエチルケトンの代
わりに下記表−10の各々の化合物を用いた他は製造例
13と同様にして各粒子を製造した。各粒子の平均粒径
は0.15μm〜0.30μm の範囲であった。
【表16】
【表17】
【0175】実施例1及び比較例A,B 実施例1 樹脂〔A−5〕6g(固形分量として)、下記構造の樹
脂〔B−1〕34g(固形分量として)、光導電性酸化
亜鉛200g、下記構造のヘプタメチンシアニン色素
〔I〕0.15g、フタル酸無水物0.05g及びトル
エン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機
(株)製)中で6×103 r.p.m.の回転数で15分間分
散した。得られた感光層形成用分散物を導電処理した紙
に乾燥付着量が18g/m2 となるようにワイヤーバー
で塗布し、110℃で1分間乾燥した。 樹脂〔B−1〕
【化137】 シアニン色素〔I〕
【化138】 この感光体上に、樹脂粒子〔L−26〕4重量%(固形
分量として)、下記構造の樹脂〔C−1〕2重量%及び
1,4キシリレンジイソシアナート0.5重量%及びテ
トラ(n−ブトキシ)チタネート0.001重量%を含
有するトルエン分散液を上記感光層上にドクターブレー
ドで塗布後、120℃で1時間加熱して約2μmの表面
層を形成した。次いで暗所で20℃、65%RHの条件
下で24時間放置することにより電子写真感光材料を作
成した。 樹脂〔C−1〕
【化139】
【0176】比較例A 実施例1で作成した感光体上にに、下記構造の樹脂〔R
−1〕4重量%、樹脂〔C−1〕2重量%及び1,4キ
シリレンジイソシアナート0.5重量%を含有するトル
エン溶液を、実施例1と同様に塗布し、電子写真感光材
料を作製した。 樹脂〔R−1〕
【化140】
【0177】比較例B 実施例1の電子写真感光体の光導電層を作成する条件に
おいて、樹脂〔A−5〕及び樹脂〔B−1〕の代わり
に、下記構造の樹脂〔R−2〕40gを用いた他は実施
例1と同様に操作して電子写真感光体を作製した。 樹脂〔R−2〕
【化141】
【0178】これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑
度)、静電特性、撮像性及び環境条件を30℃、80%
RHとした時の撮像性を調べた。更にこれらの感光材料
をオフセットマスター用原版として用いた時の光導電層
の不感脂化性(不感脂化処理後の光導電層の水との接触
角で表わす)及び印刷性を調べた。以上の結果をまとめ
て、表−11に示す。
【表18】
【0179】表−11に記した評価項目の実施の態様は
以下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:得られた感光材料を、ベック
平滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1
ccの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。
【0180】注2) 静電特性:温度20℃、65%RH
の暗室中で、各感光材料にペーパーアナライザー(川口
電機(株)製ペーパーアナライザー−SP−428型)
を用いて−6kVで20秒間コロナ放電をさせた後10秒
間放置し、この時の表面電位をV10を測定した。次いで
そのまま暗中で120秒間静置した後の電位V130 を測
定し、120秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即
ち、暗減衰保持率〔DRR(%) 〕を〔(V 130 /V10
×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電により光
導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長780nm
の単色光で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰する
までの時間を求め、これから露光量E1/10 (erg/cm2 )
を算出する。撮像時の環境条件はI(20℃、65%R
H)と、II(30℃、80%RH)で実施した。
【0181】注3) 撮像性:各感光材料を環境条件I又
はIIで1昼夜放置した。次に−5kVで帯電し、光源と
して2.8mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素半
導体レーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材料
表面上で50erg/cm2 の照射量下、ピッチ25μm 及び
スキャニング速度330m/sec のスピード露光後、液
体現像剤としてELP−T(富士写真フイルム(株)
製)を用いて現像し、定着することで得られた複写画像
につき、カブリ、画像の画質を目視で評価した。撮像時
の環境条件はI(20℃、60%RH)、又はII(30
℃、80%RH)で実施した。
【0182】注4) 生版保水性:感光材料を印刷用原版
として用いる際の不感脂化処理による親水化の程度を、
下記の強制条件で処理して調べた。各感光材料そのもの
を(製版しない原版:即ち、生版と略称)下記しょうほ
で調製された不感脂化処理液(E−1)を用いて、温度
30℃で3分間この液に浸した後水洗した。 不感脂化処理液(E−1) ジエタノールアミン 60g ネオソープ(竹本油脂(株)製) 15g ベンジルアルコール 100g これらを蒸留水に溶解し、全量を1.0リットルとした
後、水酸化カリウムでpH11.0に調整した。不感脂
化処理したこのプレートを、オフセット印刷機(桜井製
作所(株)製、オリバー52型)にかけ、印刷物の地汚
れの程度を目視にて評価した。
【0183】注5) 耐刷性:各感光材料を上記注3)と同
条件で製版してトナー画像を形成し、上記注4)と同条
件で印刷し、印刷物の非画像部の地汚れ及び画像部の画
質に問題が生じないで印刷できる枚数を調べた(印刷枚
数が多いほど、耐刷性が良好なことを表す)。
【0184】表−11に示すように、実施例1(本発
明)及び比較例Aの静電特性及び撮像性は環境条件が変
わっても良好な結果を示した。しかし、光導電層の結着
樹脂として、従来の樹脂を用いた比較例Bは静電特性の
低下を称し、その結果得られる複写画像も満足なもので
はなかった。更に、不感脂化処理をしてオフセットマス
ター原版として親水化の度合いを調べてみると、本発明
の原版等に比較例Bは製版前のものでは充分に親水化さ
れ印刷インキの汚れが見られず良好な保水性を示した。
しかし親水化を促進する樹脂粒子が添加されていない比
較例Aは、僅かに汚れの発生が認められた。実際に製版
して複写画像を形成した原版を同じように不感脂化処理
して印刷してみたところ、刷り出しから非画像部の地汚
れもなく且つ印刷画質も良好な印刷物を与えるものは本
発明の原版のみであった。即ち、比較例Aは保水性の能
力が不十分なため、又比較例Bは電子写真特性の低下に
よる複写画質の悪化のため、印刷物は良好なものが得ら
れなかった。以上のように、本発明の感光材料のみが優
れた電子写真特性と印刷特性を有するものが得られる。
【0185】実施例2 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
樹脂〔A−1〕1g(固形分量として)、下記構造の樹
脂〔B−2〕3g、下記構造式の分光増感色素〔II〕4
0mg、化学増感剤として下記構造式のアニリド化合物
(A)0.2gを、メチレンクロライド30mlとエチ
レンクロライド30mlとの混合物に溶解し、感光液と
した。 樹脂〔B−2〕
【化142】 分光増感色素〔II〕
【化143】 アニリド化合物(A)
【化144】 この感光液を、ワイヤーラウンドロッドを用いて導電性
透明支持体(100μmのポリエチレンテレフタレート
支持体上に、酸化インジウムの蒸着膜を有する。表面抵
抗103 Ω)上に塗布して約4μmの感光層を有する有
機薄膜を得た。この電子写真感光体の表面に、樹脂粒子
〔L−11〕3重量%(固形分量として)、下記構造の
樹脂〔C−2〕2重量%、無水フタル酸0.1重量%及
び2−クロロフェノール0.01重量%を含有するトル
エン分散物液を、ドクターブレードで塗布後、100℃
で20秒間乾燥し、更に130℃で1時間加熱して、約
2μmの表面層を形成した。ついで暗所で20℃、65
%RHの条件下で24時間放置することにより電子写真
感光材料を作製した。 樹脂〔C−2〕
【化145】
【0186】この感光材料を下記処方で調製した不感脂
化処理液(E−2)に3分間浸して不感脂化処理した。 不感脂化処理液(E−2) ニューコールB4SN(日本乳化剤(株)製) 10g メチルエチルケトン 100g これらを蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウムでpH1
0.5に調整し全量1.0リットルとした。これに蒸留
水2μlの水滴を載せ、形成された水との接触角をゴニ
オメーターで測定したところ10°以下であった。尚、
不感脂化処理前の接触角は88°であり、明らかに、本
感光材料の表面層が非常に良好に親水化されていた。
又、この不感脂化処理した原版を、実施例1の注4)の
条件で印刷し、印刷物の地汚れを見た所、本発明の実施
例2には汚れは認められなかった。
【0187】一方、この電子写真感光材料を、負荷電性
の液体現像剤を用いて全自動製版機ELP404V(富
士写真フィルム(株)製)で製版して、トナー画像を形
成し、上記と同条件で不感脂化処理しこれをオフセット
マスターとして、オフセット印刷機(桜井製作所(株)
製、52型)にかけ、上質紙上に印刷した。印刷物の非
画像部の地汚れ及び画像部の画質に問題を生じないで印
刷できる枚数は6000枚であった。更にこの感光材料
を(45℃,75%RH)の環境条件下に3週間放置し
た後全く同様の処理を行ったが、経時前と全く変わらな
かった。
【0188】前記した静電特性の評価項目の測定方法は
以下の通りである。温度20℃、65%RHの暗室中
で、各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機
(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用い
て−6kVで20秒間コロナ放電をさせた後、10秒間放
置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそのま
ま暗中で60秒間静置した後の電位V70を測定し、60
秒間暗減衰させた後の電位を保持性即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、(V70/V10)×100
(%)で求めた。又コロナ放電により光導電層表面を−
400Vに帯電させた後、該光導電層表面を照度2.0
ルックスの可視光で照射し、表面電位(V10)が1/10に
減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10(ル
ックス・秒)を算出する。
【0189】実施例3 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95
g及び樹脂〔A−1〕0.8重量%及び樹脂〔B−1〕
4.2重量%のテトラヒドロフラン溶液30gの混合物
をボールミル中で充分に粉砕した。次いで、この混合物
を取り出し、攪拌下、テトラヒドロフラン520gを加
えた。この分散物をワイヤーラウンドロッドを用いて実
施例1で用いた導電性透明支持体上に塗布して約0.7
μmの電荷発生層を形成した。 (ビスアゾ顔料)
【化146】
【0190】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合
溶液をワイヤーラウンドロッドを用いて上記電荷発生層
の上に塗布して約18μmの電荷輸送層を形成し、2層
から成る感光層を有する電子写真感光体を得た。 (ヒドラゾン化合物)
【化147】
【0191】この感光体上に、実施例2で用いた表面層
形成用分散物において、樹脂粒子〔L−11〕3重量%
の代わりに樹脂粒子〔L−23〕3重量%を用いた他
は、実施例2と同様にして表面層を形成し、電子写真感
光材料を作製した。
【0192】このように作製した感光材料をペーパーア
ナライザー(川口電機製、SP−428)で−6kVに
帯電し、初期電位(V0 )、暗電荷保持率(D.R.
R.)及び光減衰露光量(E1/10) を測定したところ、
各々V0 =−560V、D.R.R.=85%及びE
1/10=9.8〔 lux・sec 〕であった。
【0193】更に、これを実施例1と同様に、全自動製
版機ELP404VでELP−Tトナーを用いて製版し
たところ、得られたオフセット印刷用のマスター用原版
の濃度は1.0以上で画質は鮮明であった。
【0194】更に、下記処方で調製した不感脂化処理液
(E−3)中にこの製版後のマスター用原版を30秒間
浸した後水洗して、不感脂化処理をした。 不感脂化処理液(E−3) モノエタノールアミン 60g ベンジルアルコール 100g これらを蒸留水に溶解し、全量で1.0リットルとし更
に水酸化ナトリウムでこの液がpH11.0となる様に
調整した。非画像部の蒸留水での接触角は10°以下で
充分に親水化されていた。このオフセット印刷用原版を
印刷機で印刷したところ、6000枚印刷後の印刷物
は、非画像部のカブリがなく、画像も鮮明であった。
【0195】実施例4 有機光導電性化合物として、X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株) 製) ・・・・ 1.9部 添加剤として、下記に示すチオバルビツール酸 下記の化合物 ・・・・ 0.15部
【化148】 樹脂〔A−2〕 ・・・・ 2部 樹脂〔B−1〕 ・・・ 15部 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン (8/2)重量比混合溶液 ・・・100部 を、500mlのガラス製容器にガラスビーズと共に入
れ、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で60分
間分散した後、ガラスビーズを濾別して光導電層用分散
液とした。次にこの光導電層用分散液を導電処理した紙
に、乾燥付着量が10g/m2 になるようにワイヤーバ
ーで塗布し、110℃で1分間乾燥した。
【0196】次に、この感光体上に下記処方の組成物
を、ペイントシェーカー中でガラスビーズとともに5分
間分散した後、200メッシュのナイロン布で濾過して
得た分散物を、表面層として塗布し、100℃で30秒
間乾燥し、更に120℃で2時間加熱した。 表面層用組成物 樹脂粒子〔L−26〕 4部 コロイダルシリカ 0.5部 下記構造の樹脂〔B−3〕 2部 無水フタル酸 0.1部 o−クロロフェノール 0.001部 トルエン 100部 樹脂〔B−3〕
【化149】 更にこれを(20℃、65%RH)の条件下に暗中で2
4時間静置して、電子写真感光材料を作製した。
【0197】この様にして得られた感光材料の静電特
性、撮像性、印刷性について実施例1と同様に操作して
調べた。 静電特性 (20℃、65%RH(30℃、80%RH)10 (−V) −580V −565V D.R.R(%) 84% 78% E1/10 (erg/cm2 ) 32 35 撮像性は、非画像部の地汚れもなく画質は鮮明で良好で
あった。又不感脂化処理したオフセットマスター用原版
としての保水性は、地汚れがなく、又、製版後の原版の
耐刷性も6000枚で良好であった。
【0198】実施例5 樹脂〔A−3〕8g、樹脂〔B−1〕28g、酸化亜鉛
200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル0.0
4g、ブロムフェノールブルー0.03g、無水フタル
酸0.40g及びトルエン300gの混合物をホモジナ
イザー中、1×104 r.p.m.の回転数で5分間分散し
た。これを導電処理した紙に、乾燥付着量が18g/m
2 となる様にワイヤーバーで塗布し、110℃で30分
間乾燥した。この感光体上に、実施例2で用いた表面層
用の組成物を実施例2と同様にして塗布し、電子写真感
光材料を作製した。
【0199】この感光材料の静電特性、撮像性及び印刷
性を実施例2と同様にして調べた。この感光材料をペー
パーアナライザーで−6kVに帯電し、初期電位
(V0 )−670V、暗電荷保持率(D.R.R.)8
8%、及び光減衰露光量(E1/10) 15.0〔 lux・se
c 〕の値を各々得た。更に、これを実施例2と同様に製
版し、得られたオフセット印刷用マスタープレートの濃
度は1.0以上で画質は鮮明であった。
【0200】更に、この製版後のマスター用原版を、実
施例2で用いた不感脂化処理液(E−2)を用いて、温
度35℃で3分間この液中に浸した後、水洗し、不感脂
化処理をした。得られた印刷用原版の非画像部の蒸留水
との接触角は10°以下で充分に親水化されていた。次
にこのオフセト印刷用原版を、処理液(E−2)を蒸留
水で50倍に希釈した液を浸し水として用いて、印刷機
で印刷したところ、1万枚印刷後の印刷物は、非画像部
のカブリがなく、画像は鮮明であった。
【0201】実施例6〜17 実施例1において、光導電層の樹脂〔A−5〕6g及び
表面層の樹脂粒子〔L−26〕4重量%の代わりに下記
表−12の各樹脂〔A〕6g(固形分量として)、樹脂
粒子4重量%(固形分量として)を用いた他は、実施例
1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製した。
【表19】
【0202】これを実施例1と同様の装置で製版したと
ころ、得られたオフセット印刷用マスター用原版の濃度
は1.0以上で画質は鮮明であった。更に、不感脂化処
理をして印刷機で印刷したところ、7000枚印刷後の
印刷物は非画像部のカブリがなく、画像も鮮明であっ
た。
【0203】実施例18〜27 実施例5において、光導電層中の樹脂〔A−5〕及び表
面層中の樹脂粒子〔L−26〕の代わりに、下記表−1
3の樹脂〔A〕及び樹脂粒子〔L〕を各々用いた他は実
施例5と同様に操作して、各平版印刷用原版を作製し
た。
【表20】
【0204】各感光体を製版した後、下記処方の処理液
中に3分間浸漬して不感脂化した。 樹脂粒子不感脂化液: ジエタノールアミン 80g ニューコールBSN(日本乳化剤(株)製) 6g ベンジルアルコール 100g を蒸留水に溶解して全量を1リットルとした後水酸化カ
リウムでpH10.5に調整した水溶液。これらを、実
施例5と同様にして印刷した所、各原版とも地汚れ発生
のない鮮明な画質の印刷物が各々6000枚以上得られ
た。
【0205】
【発明の効果】本発明によれば、苛酷な条件下において
も、優れた印刷画像と高耐刷性を有する電子写真式平版
印刷用原版を得ることができる。また、本発明の平版印
刷用原版は、半導体レーザー光を用いたスキャニング露
光方式に有効である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも1層の光導
    電層を設け更にその最上層として表面層を設けてなる電
    子写真式平版印刷用原版において、該光導電層が分光増
    感色素と結着樹脂として下記の樹脂〔A〕の少なくとも
    1種とを含有し、更に該表面層中に下記の非水溶媒系分
    散樹脂粒子を少なくとも1種含有することを特徴とする
    電子写真式平版印刷用原版。 樹脂〔A〕:1×103 〜2×104 の重量平均分子量
    を有し、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を重
    合体成分として30重量%以上含有し、且つ重合体主鎖
    の片末端に−PO3 2 、−SO3 H、−COOH、 【化1】 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を
    表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選択される少な
    くとも1種の極性基を含有してなる樹脂。 一般式(I) 【化2】 〔ただし上記式(I)において、a1 ,a2 は各々、水
    素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表
    し、R3 は炭化水素基を表す〕 非水溶媒系分散樹脂粒子:非水溶媒中において、該非水
    溶媒には可溶であるが重合することにより不溶化する、
    分解によりチオール基、ホスホノ基、アミノ基、 【化3】 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基
    を表す)を表す〕を生成する官能基から選ばれる官能基
    を少なくとも1種含有する一官能性単量体(A)を、該
    非水溶媒に可溶性の分散安定用樹脂の存在下に分散重合
    反応させることにより得られる重合体樹脂粒子。
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合体成分として下記一般式(Ia)又は下記一
    般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレー
    ト成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真式平版印刷用原版。 一般式(Ia) 【化4】 一般式(Ib) 【化5】 〔ただし上記式(Ia)及び(Ib)において、T1
    びT2 は互いに独立に各々水素原子、炭素数1〜10の
    炭化水素基、塩素原子、−COR4 又は−COOR5
    (R4 及びR5 は各々炭素数1〜10の炭化水素基を表
    す)を表し、L1 及びL2 は各々−COO−とベンゼン
    環を結合する単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を
    表す〕
  3. 【請求項3】 上記非水溶媒系分散樹脂粒子が高次の網
    目構造を形成していることを特徴とする請求項1又は請
    求項2記載の電子写真式平版印刷用原版。
  4. 【請求項4】 上記分散安定用樹脂が、高分子鎖中に、
    下記一般式(II) で示される重合性二重結合基部分を少
    なくとも1種含有していることを特徴とする請求項1な
    いし請求項3のいずれかに記載の電子写真式平版印刷用
    原版。 一般式(II) 【化6】 〔一般式(II) において、V0 は 【化7】 を表し(但し、pは1〜4の整数を表わし、R6 は水素
    原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表わす)、
    3 ,a4 は、互いに同じでも異なってもよく、水素原
    子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−
    7 又は炭化水素基を介した−COO−R7 (R7 は水
    素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表わ
    す〕
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