JPH054571B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は循環ポンプを用いずバーナで加熱し
た温水を放熱器に供給することができる蒸気圧を
利用する温水循環装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来湯沸缶で加熱した温水を放熱器に循環させ
る循環ポンプに代つて蒸気圧を利用するものがあ
る。

即ち実公昭57−53929号には密閉した湯沸缶を
バーナで加熱し、発生した蒸気圧で放熱器を介し
て湯沸缶よりも高位置にある開放タンクに湯沸缶
の温水を押出すと共に、開放タンクに貯つた水は
開閉弁を介して湯沸缶に戻す構造が示されてい
る。そして開閉弁は電磁開閉弁で構成し、液位検
出器の信号で電磁開閉弁を開閉操作している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで開放タンクに貯つた水を湯沸缶に戻す
時、もし湯沸缶が完全に空焚状態となつておれ
ば、強制的に弁を開路にして湯沸缶へ水を送る
と、該湯沸缶内で水が瞬間的に気化して内圧を高
めるのでエアロツク現象が起こり、温水の循環が
不能になるものである。この為従来では湯沸缶が
空焚しないように温水が残つている間に液位検出
器で弁の切換をしているが、この確実性の高い液
位検出器を用いる方法はバーナが連続して加熱中
であるから蒸気圧を逃す為に弁の管路を太くした
り逃し管を追加するなどの工夫が必要で、蒸気圧
を逃す為にエネルギー損失が大きく効率低下はさ
けられなかつた。

また湯沸缶の温水が送り出されて空焚になつて
からバーナの燃焼を停止し、該湯沸缶が冷却して
から開放タンクの水を湯沸缶に流入する方法も考
えられるが、この場合エネルギー損失は防げるも
のの１サイクルに要する時間が非常に長くなり、
移動できる時間当りの熱エネルギーはごくわずか
となり、実用性が劣るものである。

〔問題点を解決する為の手段〕

この発明は従来の液位検出器に代る他の検出器
によつて開閉弁の開路操作を行うもので、開放タ
ンク１と、開放タンク１より低位置に設けたバー
ナ２で加熱される湯沸缶３と、湯沸缶３の温水が
供給される放熱器４とを設け、開放タンク１・湯
沸缶３・放熱器４・開放タンク１を循環パイプ５
で連通すると共に、開放タンク１・湯沸缶３を連
通する循環パイプ５′に弁６を取付け、弁６開路
時開放タンク１の水を湯沸缶３に流入せしめ、弁
６閉路時湯沸缶３の温水を放熱器４を介して開放
タンク１に圧送し、開閉を繰返す弁６によつて連
続して循環パイプ５に温水を流す循環装置に於
て、弁６は空焚開始時開路となる弁で構成し、か
つ湯沸缶３と放熱器４を連通する循環パイプ５の
湯沸缶３近傍に温度センサー７を取付け、該温度
センサー７が高温検出時バーナ２の発熱量を低下
させるようにしたものである。

また空焚開始を検出して弁を開く為には湯沸缶
３に連通して湯沸缶３の圧力を検出する圧力スイ
ツチ８を設け、該弁６は湯沸缶３の圧力スイツチ
８が低圧検出時開路となる電磁開閉弁で構成した
ものである。

更に空焚開始を検出して弁６を開く他の手段と
して、弁６を開放タンク１から湯沸缶３へ流入さ
せる逆止弁で構成し、弁６に空焚開始検出機能を
内蔵させたものである。

〔作用の説明〕

使用に先だつて開放タンク１に注水すると、水
は開路となつている弁６を介して湯沸缶３や放熱
器４や循環パイプ５に流入し、開放タンク１に小
量水が貯つた時に注水をやめる。そしてバーナ２
に着火すると、湯沸缶３は加熱され、発生した水
蒸気は湯沸缶３の圧力を高め、湯沸缶３の水面を
加圧して温水を放熱器４に圧送し、該放熱器４で
冷却した水が開放タンク１に戻される。この発明
の弁６は湯沸缶３が空焚を開始した時に開路とな
る様に設定してあり、空焚を開始すると発生する
水蒸気が減少し、かつ湯沸缶３は循環パイプ５・
放熱器４を介して開放タンク１に接続して大気開
放であるから、内圧が低下するものである。そし
てこの空焚を開始した時は湯沸缶３の底面に残つ
た水が水滴となつて飛びはねながら蒸発してお
り、細かく変動する湯沸缶３の圧力変化は循環パ
イプ５′に影響しており、循環パイプ５′内でエア
ロツクを起すことがない。

この為、弁６が開くと開放タンク１の水が湯沸
缶３に流入し、また空焚開始時は湯沸缶３の温度
が完全に空焚になつてからと比べて低いので、流
入した水はただちに湯沸缶３内の水蒸気を凝縮し
て湯沸缶３の圧力が負圧力まで下がり、開放タン
ク１の水を吸引する様に流入させるものである。
そして弁６が閉路となると再び湯沸缶３の圧力が
上昇して温水を放熱器４に圧送する。

尚、運転開始時には湯沸缶３内に空気貯りがで
きているが、この空気は空焚開始時水蒸気と共に
放熱器４に送り出されてしまい、数回のポンピン
グの結果湯沸缶３内の上部空間は水蒸気だけにな
つてしまうものであり、温水循環の障害にはなら
ないものである。

ところで空焚開始の信号で弁６を開閉すれば、
理論的には温水の循環が可能であるが、完全に空
焚になつてから弁６を開くと、湯沸缶３の底面温
度がバーナ２の加熱によつて高温度になつている
から、湯沸缶３に流入した水が瞬間的に気化して
内圧を高め、エアロツク現象を起して水の流入を
止めてしまうものであり、この様な場合温水の循
環はできなくなる。

上記の問題点を発生させない手段は正確に空焚
開始を検出して弁６を開くことにあるが、この発
明では湯沸缶３と放熱器４とを連通する循環パイ
プ５に温度センサー７を取付け、循環する温水の
温度を監視しており、該温水温度が空焚を起す前
の沸騰間近の蒸気まじりの高温水となつた時にバ
ーナ２の発熱量を弱燃焼に切換ている。この為湯
沸缶３は沸騰から完全空焚に至る時間が長くなり
空焚開始を検出する時が多少バラついても完全空
焚になる前に湯沸缶３に開放タンク１の水を流入
させることができ、循環不能のトラブルが防止で
きた。

一方、空焚開始時開路となる弁６として、この
発明では湯沸缶３の圧力を検出する圧力スイツチ
８を設け、該圧力スイツチ８の信号で弁６を開く
ものである。

即ち、湯沸缶３は内部に水が残つている間は多
量の水蒸気を発生し高圧を保つているが、空焚を
開始すると発生する水蒸気が減少し、かつ湯沸缶
３は循環パイプ５・放熱器４を介して開放タンク
１に接続され大気開放であるから内圧が低下する
ものであり、湯沸缶３の空焚状態は圧力変で知る
ことができる。この為空焚を開始すると圧力スイ
ツチ８の検出圧力が低下するので、弁６を電磁駆
動させれば、タイミングよく開放タンク１の水を
湯沸缶３に流入できたものである。

更に、湯沸缶３の圧力を検出して弁６を閉ざす
構成として、上記の圧力スイツチ８と電磁弁６と
の組合せの代りに、開放タンク１から湯沸缶３へ
の流れを許す逆止弁で構成してもよく、空焚開始
時に湯沸缶３の圧力が低下すれば開放タンク１の
水が湯沸缶３に流入できたものである。

〔実施例〕

図に示すこの発明の実施例を説明すると、１は
開放タンク、３は開放タンク１の水位よりも低位
置に設けた湯沸缶、４は湯沸缶３で得た温水が供
給される放熱器であり、開放タンク１・湯沸缶
３・放熱器４・開放タンク１は循環パイプ５で閉
水路を構成している。６は開放タンク１・湯沸缶
３を連通する循環パイプ５′に取付けた缶、２は
湯沸缶３を加熱するバーナであり、該弁６は湯沸
缶３が空焚開始時開路となる。

該湯沸缶３の空焚開始は湯沸缶３や循環パイプ
５の温度変化によつて検出できるが、湯沸缶３の
圧力を検出による方法が正確である。８は湯沸缶
３の圧力を検出する圧力スイツチであり、弁６は
電磁開閉弁で構成され、切換圧力をほぼ大気圧と
する圧力スイツチ８が高圧検出時弁６を閉路と
し、ほぼ大気圧に低下した時開路とする。

また他の実施例として湯沸缶３の圧力スイツチ
８と電磁開閉弁の代りに、弁６を逆止弁で構成
し、湯沸缶３が高圧の時弁６を閉ざし低圧の時弁
６が開くようにしてもよい。

尚、湯沸缶３の温度を検出したり、圧力を検出
して湯沸缶３の空焚開始時に弁６を開く時、循環
パイプ５′の流路抵抗や弁６内の流路抵抗によつ
て、弁６を開いてから湯沸缶３に水が届くまでに
時間がかかる時がある。この様な時には温度や圧
力の設定値を早めに作動するようにセットしてお
くとよく、湯沸缶３がちようど空焚を開始した時
に水が届く様になる。

７は湯沸缶３と放熱器４とを連通する循環パイ
プ５の湯沸缶３との接続部の近傍に取付けた温度
センサーであり、該温度センサー７は放熱器４に
送られる温水の温度を監視しており、湯沸缶３が
沸騰間近で高温の温水検出時バーナ２の発熱量を
弱燃焼に切換する。また開放タンク１の水が湯沸
缶３に流入し、低温の温水が放熱器４に送られ始
めるとバーナ２の発熱量を強燃焼に切換する。

９は湯沸缶３を装置する燃焼室、１０は開放タ
ンク１の下部を構成する水室であり、該水室１０
は湯沸缶３の側方に位置して湯沸缶３に供給する
水を予熱している。

〔効果の説明〕

この発明は湯沸缶３の空焚開始時に弁６を開路
にして、水を開放タンク１から湯沸缶３に供給す
る様にしたから、加熱蒸気の放出によるエネルギ
ーロスもなく、また循環水量が多くなり、強制循
環ポンプを用いない温水循環装置が実用化できた
ものである。

この温水循環装置は空焚開始時に弁６を開くタ
イミングがずれて、空焚状態になつてから水が湯
沸缶３に流入する時には、エアロツク現象によつ
て温水循環装置が停止するトラブルを発生する。
この発明は湯沸缶３の空焚に先だつて循環パイプ
に蒸気まじりの高温水が流れることに着目し、湯
沸缶３と放熱器４とを連通する循環パイプ５に温
度センサー７を取付け、該温度センサー７が高温
検出時にバーナ２の発熱量を弱燃焼に切換えたも
のである。この為、湯沸缶３は空焚の開始から完
全な空焚に至る時間が長くなり、空焚開始時に弁
６を開くタイミングが変化しても開放タンク１の
水は湯沸缶３が完全空焚状態になる前に給水でき
る様になり、温水循環装置の異常停止を防ぐこと
ができた。

また湯沸缶３の空焚を検出する為に圧力スイツ
チ８を使つたから、湯沸缶３と圧力スイツチ８と
が連通する条件さえ満足すれば、湯沸缶３から離
れた位置に圧力スイツチ８を設置してもよく、圧
力変化を検出して精度よく弁６を開くと共に、圧
力スイツチ８の固定位置の選択に巾ができて便利
なものである。

また、逆止弁の作動は圧力スイツチと電磁弁と
を組合せたものに類似するが、弁の開閉タイミン
グは圧力差によつて行なわれるからエアロツク現
象がすぐに発生して運転不能になる。しかしこの
発明と組合せることによつて、空焚の開始から完
全な空焚になるまでの時間が長くなつており、逆
止弁を使つた時にもエアロツク現象は発生せず、
安価な逆止弁を使つて温水循環装置が実現できた
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明品の実施例を示す断面図であ
る。 １……開放タンク、２……バーナ、３……湯沸
缶、４……放熱器、５，５′……循環パイプ、６
……弁、７……温度センサー、８……圧力スイツ
チ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 開放タンク１と、開放タンク１より低位置に
   設けたバーナ２で加熱される湯沸缶３と、湯沸缶
   ３の温水が供給される放熱器４とを設け、開放タ
   ンク１・湯沸缶３・放熱器４・開放タンク１を循
   環パイプ５で連通すると共に、開放タンク１・湯
   沸缶３を連通する循環パイプ５′に弁６を取付け、
   弁６開路時開放タンク１の水を湯沸缶３に流入せ
   しめ、弁６閉路時湯沸缶３の温水を放熱器４を介
   して開放タンク１に圧送し、開閉を繰返す弁６に
   よつて連続して循環パイプ５に温水を流す循環装
   置に於て、弁６は空焚開始時開路となる弁で構成
   し、かつ湯沸缶３と放熱器４を連通する循環パイ
   プ５の湯沸缶３近傍に温度センサー７を取付け、
   該温度センサー７が高温検出時バーナ２の発熱量
   を低下させることを特徴とする温水循環装置。 ２ 弁６は湯沸缶３に付設した圧力スイツチ８で
   制御される電磁開閉弁で構成し、該圧力スイツチ
   ８が低圧検出時電磁開閉弁を開路にすることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の温水循環装
   置。 ３ 弁６は開放タンク１から湯沸缶３へ流入させ
   る逆止弁で構成し、弁６に空焚開始検出機能を内
   蔵したことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の温水循環装置。