JPH0544921B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は新規なるゴキブリ忌避剤に関する。 従来の技術とその問題点 近年、ゴキブリの駆除に忌避剤を使用すること
が食品を扱う台所のような空間に好んで生息しが
ちなゴキブリに有効生の高い方法として注目され
ている。しかし昆虫忌避物質または誘引物質等の
行動制物質の多くは、一般に混虫の種類により異
なることが知られている。例えば繊維害虫の幼虫
に有効なフマル酸メチル（特開昭61−60602）、殺
ダニ剤として有効なオルトフエニルフエノール
は、いずれもゴキブリに対して忌避効果を示さな
い。 このような状況下でゴキブリに対する忌避効果
を有する化合物とし、例えばメントール、Ｎ，Ｎ
−ジエチル−ｍ−トルアミド、シンナミルアルコ
ール、シンナミルアセテート、オイゲノール、サ
フロール等が報告されているが、従来提案された
ゴキブリ忌避剤はいずれも満足すべきものではな
かつた。 即ち、ゴキブリは台所のような食品を扱う空間
に好んで棲息するために、その忌避剤は匂いが弱
く且つ毒性が低く安全に使用できるものでなけれ
ばならない。しかるに公知の忌避化合物の殆んど
は特有の強い匂いを有し、食品に好ましくない移
香を生ずるを避け得ず、また安全性に於いても必
ずしも充分とはいい得ないものであつた。更にゴ
キブリ忌避剤は出来る限り長期に亘つて持続性あ
る効果を有することが望まれるが、公知忌避化合
物の殆んどは液状で短期間に揮散し易く、メント
ールのように固体であつても揮散速度が早く、到
底長期に亘る持続効果を期待できない不利があつ
た。 問題点を解決するための手段 本発明は、従来の上記問題点を解決し、食品へ
の好ましくない移香現象を伴わず且つ安全に使用
でき、しかも忌避効果を長期に亘つて持続的に発
揮するゴキブリ忌避剤を提供することを目的とす
る。上記目的を達するために本発明者は種々の薬
剤のゴキブリ忌避効果につき検討を重ねてきた
が、その過程で食品添加剤として安全に広く用い
られている桂皮酸がゴキブリに対し優れた忌避効
果をを有することを見出し、本発明を完成した。 本発明は桂皮酸を有効成分として含有すること
を特徴とするゴキブリ忌避剤に係るものである。 桂皮酸については、これまでイガ幼虫に対し防
虫効果を示すことが報告されている（特開昭63−
145204）。しかし上記文献には桂皮酸と樟脳とを
併用した場合の防虫効果が記されているだけで、
桂皮酸単独で用いた場合の実験結果は記されてい
ない。本発明者は、桂皮酸単独で使用しイガ幼虫
に対する１週間の蒸気被毒試験を行つたが、イガ
幼虫はまつたく死亡せず、食害量も無薬剤の対象
と変わらないことを認めた。即ちイガ幼虫に対す
る桂皮酸の防虫効果は樟脳との併用等で初めて得
られるもので、単独では無効であることを認め
た。加えてゴキブリはイガ幼虫とは種を異にし、
従つて上記文献は桂皮酸のゴキブリに対する忌避
効果を全く示唆していない。そして本発明者らの
知る限り、桂皮酸がゴキブリの忌避剤として有効
あることを示唆する報告これまでに無い。 本発明に於いて用いられる桂皮酸は弱い芳香性
を有する化合物で食品添加剤として果物や野菜の
防腐保存等に広く用いられている実質的に無毒と
いえる化合物である。斯かる化合物を有効成分と
する本発明忌避剤は食品への好ましくない移香を
伴うことなく且つ全く安全にゴキブリの棲息する
食品等を取扱う台所の様な空間に適用することが
きる。更に桂皮酸は白色結晶性粉末で蒸気圧が小
さく、ゆつくりと揮散してその効果を実現する。
本発明者の実験によれば６ケ月以上のもの長期に
亘つて忌避効果を実質的に低下することなく持続
して発揮することが認められた。従つてゴキブリ
が活動を始める春季に一度適用すればゴキブリの
活動期間中忌避作用を発揮し続け、使用上きわめ
て有利となる。 桂皮酸はシス型及びトランス型が存在するが、
本発明に於てはその何れのものも使用できる。入
手の容易さからトランス型のものが好ましい。 本発明ゴキブリ忌避剤は、白色の針状結晶であ
る桂皮酸をそのまま使用することがきる。この場
合には粉末剤として和紙やフイルム等に包んで適
用すればよい。また適当な担体例ばタルク、クレ
ー、炭酸カルシウム、カオリン、珪藻土等と混合
し更に必要に応じ適当な賦形剤を混合して任意の
形態の固形剤とすることもできる。固形剤とする
に当つては担体の１部又は全部として適当な昇華
性担体例えばトリオキサン等を用いてもよい。桂
皮酸は高い融点を有し、環境温度が50℃になつて
も融解することはないから、固形剤として特に有
利に使用できる。またプラスチツクに練り込んで
板状やペレツト状にして用いることもきる。更に
桂皮酸を適当な有機溶剤に溶解させ液剤として所
望個所に塗布、スプレー等により適用することも
できる。液剤には常法に従い塗膜形成剤、噴射剤
等を適宜配合できる。 本発明ゴキブリ忌避剤には必要に応じ他の公知
のゴキブリを始めとする各種害虫に対する忌避
剤、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、着香剤、着色剤等
を配合できる。 発明の効果 本発明ゴキブリ忌避剤によれば長期に亘り持続
する優れたゴキブリ忌避効果が得られ、匂いも強
くなく好ましくない移香の問題を伴わず、しかも
毒性が低く食物に混入されても安全であり、ゴキ
ブリの棲息する台所やタンス等に簡単に且つ安全
に適用できる。しかも有効成分化合物である桂皮
酸は融点が高く40−50℃の環境温度も融解せず、
終了時期が明瞭で且つ使用が簡単な固形剤として
有効に使用できる。 実施例 次に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明す
る。 実施例 １ 下記第１表に示す供試薬剤の粉末3gを入れた
直径５cm、深さ７cmの容器を縦、横45cm、高さ15
cmの木製引き出し内に設置し、ゴキブリが多く出
没する暗所に３個放置した。数日後には、ゴキブ
リが歩きまわつた痕跡や糞が引き出しの内側や、
他の薬剤の入つた容器の中に認められたが、桂皮
酸を入れた容器中には全く認められなかつた。10
日後、各瓶中に残された糞の数により薬剤の忌避
効力を判定し、３個の容器の平均した結果を第１
表に示した。

【表】 第１表中効力の評価は下記基準に従つた。 ○ 糞の数 なし △ 糞の数 若干 × 糞の数 多数 実施例 ２ 実施例１と同一方法にて行つた桂皮酸とメント
ールとの４カ月経過後と６ケ月経過後の比較結果
を第２表に示した。

【表】 比較例 メントール × ×

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 桂皮酸を有効成分として含有することを特徴
   とするゴキブリ忌避剤。