JPH0543864A - ウレタン系接着剤組成物 - Google Patents
ウレタン系接着剤組成物Info
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Abstract
るとともに、プライマーを必要とせず、耐熱性に優れ、
室温(常態)および高温のいずれにおいても、良好な接
着強度を有するウレタン系接着剤組成物を提供する。 【構成】 ウレタンプレポリマーを主剤とし、ジメチル
チオトルエンジアミンを硬化剤とする。
Description
成物に関する。
に、ウレタンプレポリマーを含む樹脂液とポリオールを
含む硬化液からなるものが実用されている。使用時に樹
脂液と硬化液を混合し、対象物に塗布して貼り合わせ、
硬化を進行させて接着を行っている。硬化は、ウレタン
プレポリマーの両末端のイソシアネート基(−NCO)
とポリオールの水酸基(−OH)とが反応してウレタン
結合を生成して鎖延長するとともに、生成したウレタン
結合とイソシアネート基がさらに反応して、下式化3:
架橋していくことにより進行する。このような硬化反応
は、たとえば、室温で約24時間で完了する。したがっ
て、ポットライフが長く、塗布作業が容易で、作業性が
良い。
工業用途、一般家庭用途など種々の用途で利用されてお
り、接着後に高温にさらされる場合がある。このため、
接着剤の特性としては、常態接着強度だけではなく、耐
熱性、すなわち高温(たとえば、80〜100℃)での
接着強度も要求される。
ルを用いた従来のウレタン系接着剤は、充分な常態接着
強度を有するが、プライマーを必要とし、また、高温で
は接着強度が大きく低下し、耐熱性が低いため、これら
の面で改良が要望されていた。そこで、この発明は、ゲ
ル化までの時間が長く、作業性が良好であるとともに、
プライマーを必要とせず、耐熱性に優れ、室温(常態)
および高温のいずれにおいても、良好な接着強度を有す
るウレタン系接着剤組成物を提供することを課題とす
る。
接着剤の耐熱性を向上させるために、ポリオールの代わ
りに別の硬化剤を使用することを検討した。耐熱性の低
下は、架橋構造が前述したアロファネートにより形成さ
れているためである。このため、より耐熱性の高い結合
を形成する硬化剤を選択する必要がある。ポリアミンを
硬化剤として用いると、ポリアミンのアミノ基とウレタ
ンプレポリマーのイソシアネート基との反応で尿素結合
が生成し、この尿素結合とイソシアネート基との反応で
下式化4:
していく。このようにして形成された架橋構造は耐熱性
の非常に良いものである。しかし、アミノ基とイソシア
ネート基との反応性が著しく高いため、ウレタンプレポ
リマーと通常のポリアミンとを混合すると、極短時間で
反応が進行する。このため、混合中にゲル化が起こって
塗布が困難になり、接着剤として実用できない。
族ポリアミンがある。発明者らの知見によれば、芳香族
ポリアミンは、脂肪族ポリアミンに比べて、ウレタンプ
レポリマーとの反応性が若干低く、反応速度が緩和され
てゲル化時間が長くなるとともに、構造上、耐熱性がさ
らに向上することが予測される。実際、脂肪族ポリアミ
ンは、ウレタンプレポリマーとの反応性が極めて高く、
十数秒程度でゲル化を起こすのに対し、通常の芳香族ポ
リアミンを用いた場合は、ゲル化は1分間程度で起こ
り、ポットライフが延びる。しかし、1分間程度のゲル
化時間では、作業性が悪く、実用的ではない。また、通
常の芳香族ポリアミン、たとえば、3,3′−ジクロロ
−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(通称MOC
A)は、常温では粉体であり、融点が100〜109℃
で高く、通常、溶融して使用するので、作業性が悪く、
粉体の散乱や蒸気の発生といったまわりの環境に対する
取扱上の安全性の問題がある。
ンプレポリマーとの反応性がもっと低く、室温で液状の
ものを検討した。その結果、後述の特定の芳香族ポリア
ミンをウレタン系接着剤の硬化剤として用いると、ゲル
化時間がさらに長くなり、これによりポットライフを作
業性が良くなるまでに長くすることができ、また、接着
物性が良好になることを実験により確認して、この発明
を完成した。
接着剤組成物は、ウレタンプレポリマーを主剤とし、ポ
リアミンを硬化剤とするウレタン系接着剤組成物であっ
て、前記ポリアミンとして芳香族ポリアミンが用いら
れ、この芳香族ポリアミンが、下式化5で表される3,
5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよび/
または下式化6で表される3,5−ジメチルチオ−2,
6−トルエンジアミンであることを特徴とする。
ル化合物とポリイソシアネート化合物とから合成される
通常のウレタンプレポリマーを用いることができる。そ
の数平均分子量は、特に限定はされないが、1000〜
4000が好ましい。このウレタンプレポリマーを合成
するために用いられるポリオール化合物としては、特に
限定はされないが、たとえば、以下に列記するポリエス
テルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール等が挙げられる。
価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレ
ングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリ
メチロールプロパン等が挙げられる。また、多塩基性カ
ルボン酸としては、たとえば、アジピン酸、グルタル
酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、
テレフタル酸、これら酸類の二量体(ダイマー酸)、ピ
ロメリット酸等が挙げられる。
以上の活性水素を持つ化合物に付加重合させて得られた
生成物等。アルキレンオキサイドとしては、たとえば、
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ま
た、2個以上の活性水素を持つ化合物としては、たとえ
ば、先に述べた多価アルコール、多塩基性カルボン酸の
他に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の
アミン類、エタノールアミン、プロパノールアミン等の
アルカノールアミン、レゾルシン、ビスフェノール等の
多価フェノール等が挙げられる。
肪族ジオールとの間のエステル交換反応によって得られ
たもの等。有機カーボネートとしては、たとえば、ジメ
チルカーボネート等の脂肪族カーボネートや、ジフェニ
ルカーボネート等の芳香族カーボネート等が挙げられ
る。また、たとえば、脂肪族ジオールとしては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
めに用いられるポリイソシアネート化合物としては、有
機ポリイソシアネートであれば、芳香族系、脂肪族系
等、特に限定はされないが、たとえば、メチレンジフェ
ニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシア
ネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(I
PDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HDI)、前記MDI
の核水添物(MDI H12)等が挙げられる。
ポリアミンは、前述したように、前記化5で表される
3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンと、
前記化6で表される3,5−ジメチルチオ−2,6−ト
ルエンジアミンとのうちの一方または両方である必要が
ある(以下、これらを「ジメチルチオトルエンジアミ
ン」と総称する)。両方とも用いる場合、それらの間の
使用割合は、何ら限定されない。
量(2種類とも用いる場合は、その合計量)について
は、特に限定はされないが、たとえば、ウレタンプレポ
リマー中のイソシアネート基含有量に基づき、アミノ基
(−NH2 )1個に対してイソシアネート基(−NC
O)1個が反応するものとして算出された化学量論比量
のジメチルチオトルエンジアミンを使用することが好ま
しい。具体的には、−NH 2 /−NCOモル比が0.8
以上1.0以下になるような量が好ましく、0.9にな
るような量が最も好ましい。この−NH2 /−NCOモ
ル比が1.0を超える場合は、系に未反応の−NH2 基
が残存して系を可塑化し、その結果、力学的強度が低下
するからである。また、−NH2 /−NCOモル比が
0.8を下回る場合は、イソシアネート成分が過剰にな
るため、網目鎖が不均一になり理想的な架橋が生成しな
くなり、その結果、やはり力学的強度の低下を招く恐れ
があるからである。
要に応じて、接着強度を高める等の目的で、エポキシ樹
脂、たとえば、分子中に2個以上のエポキシ基を持つオ
リゴマーを含んでいてもよい。このエポキシ樹脂として
は、特に限定されるわけではないが、液状のものが好ま
しい。また、その使用量は、特に限定はされないが、た
とえば、ウレタンプレポリマー100重量部に対して6
重量部以下が好ましい。これは、エポキシ樹脂の使用量
が6重量部を超えると、経時的に接着性が低下する恐れ
があるからである。
の他、必要に応じて、充填材、着色剤、可塑剤、安定剤
等を含んでいてもよい。硬化条件については、従来のウ
レタン系接着剤組成物の場合と同様で構わないが、たと
えば、130℃、1時間の条件で硬化を行うことが好ま
しい。これは、このような条件で硬化を行うと、架橋が
促進され、架橋密度が密になり、その結果、強靱な網目
構造が形成されるからである。
系接着剤組成物の場合と同様であり、特に限定はされな
いが、たとえば、鋼板、アルミニウム板、亜鉛板、銅
板、ステンレス板等の金属材や木材、プラスチック等が
挙げられる。この発明のウレタン系接着剤組成物は、通
常、ウレタンプレポリマーを含む樹脂液と、ジメチルチ
オトルエンジアミンからなる液状の硬化剤とが混合され
ていない状態で流通、保存され、使用の際に、これら樹
脂液と硬化剤とを混合し、対象物に塗布し、硬化させる
ようにして用いられる。
用いるようにすると、前述したビウレット架橋構造の形
成により硬化が進行するため、耐熱性が向上し、室温お
よび高温のいずれにおいても接着強度が良好になり、プ
ライマーを必要としなくなる。また、ジメチルチオトル
エンジアミンは、常温で液体であるため、粉体の硬化剤
を用いた場合のような欠点がなくなる。さらに、ゲル化
時間が長くなり、ポットライフが長くなるので、作業性
が向上する。ゲル化時間が長くなる理由は定かではない
が、ジメチルチオトルエンジアミン分子中のCH3 S基
の立体障害やこの硬化剤自体の塩基性の低さが原因であ
ると推定される。
説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。
まず、以下に示す合成例A〜Cによりウレタンプレポリ
マーA〜Cを合成した。
テルポリオール〔PTMG−2000、三洋化成(株)
製〕200gを仕込み、105℃で4時間、減圧(4mm
Hg以下)下で脱水を行った。その後、80℃付近まで冷
却し、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)
〔ミリオネートMT、日本ポリウレタン(株)製〕4
9.9gをすみやかに添加した。なお、この時のMDI
の添加量は、MDI中の−NCO基とポリエーテルポリ
オール中の−OH基とのモル比(−NCO/−OH)が
2.0となるような量に相当する。これは、ポリエーテ
ルポリオールの両末端に理想的にMDIを付加させるた
めであった。
で反応させることによって、ポリエーテル系ウレタンプ
レポリマーA(−NCO基含有率3.26%、数平均分
子量2500を得た。 −合成例B− 合成例Aにおいて、ポリエーテルポリオール200gの
代わりに数平均分子量2000のポリエステルポリオー
ル〔ニッポランN−4040、日本ポリウレタン(株)
製〕を同量用いるとともに、MDIの添加量を24.5
g(−NCO/−OHモル比=2.0)に変更した以外
は合成例Aと同様にして、ポリエステル系ウレタンプレ
ポリマーB(−NCO基含有率3.36%、数平均分子
量2500)を得た。
代わりに数平均分子量2000のポリカーボネートジオ
ール〔ニッポランN−982R、日本ポリウレタン
(株)製〕を同量用いるとともに、MDIの添加量を2
5g(−NCO/−OHモル比=2.0)に変更した以
外は合成例Aと同様にして、ポリカーボネート系ウレタ
ンプレポリマーC(−NCO基含有率3.37%、数平
均分子量2500)を得た。
レポリマーA〜Cのいずれかを用い、以下の実施例およ
び比較例を行った。 −実施例1− 合成例Aで得られたウレタンプレポリマーA9.5g
に、エポキシ樹脂〔エポキシ当量190、エピクロンE
−850、大日本インキ化学(株)製〕0.5gと、潜
在性硬化剤としてDICY〔ジシアンジアミド、日本カ
ーバイド(株)製〕0.1gを添加混合して、樹脂液を
調製した。
トルエンジアミン〔3,5−ジメチルチオ−2,4−ト
ルエンジアミン(x1)と3,5−ジメチルチオ−2,6−
トルエンジアミン(x2)とのモル比(x1/x2) 8/2の混合
物:商品名エタキュア300、エチルコーポレーション
(株)製〕0.7gを室温で添加混合して、ウレタン系
接着剤組成物を作製した。
材料を用いるようにした以外は実施例1と同様にして、
各ウレタン系接着剤組成物を作製した。ただし、下記表
1中、ジアミノジフェニルメタン変成物は、チバガイギ
ー(株)製のハードナーHY−932(液状芳香族ジア
ミン)である。また、MOCAは、イハラケミカル
(株)製のキュアミンMT(粉体状芳香族ジアミン;
3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメ
タン)であり、予め溶融しておいたものを配合するよう
にした。
製したウレタン系接着剤組成物について、以下に示す方
法によりゲル化試験とT形剥離強度試験を行った。それ
らの結果を下記表2に示した。ゲル化試験 接着剤組成物を作製するために樹脂液に硬化剤を添加混
合する際、スパチュラで糸ひきを観察して、混合開始か
ら糸ひきがなくなるまでの時間をゲル化時間として室温
で測定した。T形剥離強度試験 ゲル化前の接着剤組成物を、JIS−G3141のSP
CC−SBの鋼板に塗布し、接着面を貼り合わせ、下記
表2に示す温度および時間で加熱することにより接着剤
組成物の硬化を行った。ただし、比較例4では、接着剤
組成物を鋼板に塗布する前に、鋼板の前処理のためにシ
ランカップリング剤をプライマーとして鋼板に予め塗布
しておくとともに、接着剤組成物を硬化させるための加
熱は、接着剤組成物を塗布し貼り合わせた鋼板を、一
旦、室温で24時間放置した後で行うようにした。
み0.3mm)を切断して幅25mmの試験片を5個作製
し、これらの試験片について、室温および100℃にお
ける接着剤のT形剥離強度を、JIS−K6854に準
じて、クロスヘッドスピード300mm/分の条件で測定
し、これら試験片5個の平均値を求めた。なお、この場
合のクロスヘッドスピードとは、引っ張り速度、すなわ
ち、試験片をつかんだ時のつかみ移動速さを意味する。
また、剥離後の接着剤の破壊状態を観察し、接着剤と鋼
板との界面で接着剤の破壊が生じた場合は「A」で、接
着剤の凝集破壊が生じた場合は「C」で、これら界面破
壊と凝集破壊とが混合した破壊状態の場合は「AC」で
それぞれ評価した。
(c)が確認された。 (a)硬化剤としてジメチルチオトルエンジアミンを用
いた場合は、硬化剤としてジアミノジフェニルメタン変
成物を用いた場合に比べて、接着剤のT形剥離強度が、
室温ではほぼ同等であり、100℃では若干高く、接着
性能が良好であるとともに、ゲル化時間がはるかに長
く、そのため、塗布作業が簡便であり、作業性が良好で
ある(実施例1〜4と比較例1〜3および6との対
比)。
ジアミンを用いた場合は、硬化剤として2,3−ブタン
ジオールを用いた場合に比べて、プライマーを必要とし
ないとともに、100℃における剥離強度が約2〜3倍
であり、耐熱性に優れている(実施例1〜4と比較例4
との対比)。 (c)硬化剤としてMOCAを用いた場合は、この硬化
剤が室温で粉体であり、ゲル化時間が短いという点で労
働環境上良くなく、また、この硬化剤は予め溶融してお
く必要があるため、作業が煩雑になり使用しづらい。こ
れに対し、硬化剤としてジメチルチオトルエンジアミン
を用いた場合は、この硬化剤が室温で液状であり、しか
もゲル化時間が長く、そのため、上述のMOCAを用い
た場合の欠点が改善される(実施例1〜4と比較例5お
よび7との対比)。
物は、ゲル化時間が長く、作業性が良好であるととも
に、耐熱性に優れ、室温および高温のいずれにおいて
も、良好な接着強度を有し、プライマーを必要としな
い。また、用いられる硬化剤が液状であるため、粉体の
硬化剤を用いた場合のような欠点がない。
Claims (1)
- 【請求項1】 ウレタンプレポリマーを主剤とし、ポリ
アミンを硬化剤とするウレタン系接着剤組成物であっ
て、前記ポリアミンとして芳香族ポリアミンが用いら
れ、この芳香族ポリアミンが、下式化1で表される3,
5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよび/
または化2で表される3,5−ジメチルチオ−2,6−
トルエンジアミンであることを特徴とするウレタン系接
着剤組成物。 【化1】 【化2】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3202017A JP2613991B2 (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | ウレタン系接着剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3202017A JP2613991B2 (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | ウレタン系接着剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0543864A true JPH0543864A (ja) | 1993-02-23 |
JP2613991B2 JP2613991B2 (ja) | 1997-05-28 |
Family
ID=16450548
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2613991B2 (ja) |
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