JPH0543748U - 回転磁界型電動機の回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型化させることなく、磁束を増大させて、
電動機の高出力化を図る。 【構成】 軸方向に着磁した円板形状の永久磁石の両側
面を、回転方向に偏在させたフランジ部を有する一対の
磁極板の対向する内面に固着し、軸方向両端側の磁極板
の外面に回転軸を固着して取り付け、永久磁石の回転軸
用軸穴を無くして、シャフトレス構造とすることで、回
転軸穴部分のスペースを利用して、表面積を増大させ、
よって、磁束の増している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転磁界型電動機の回転子に関し、詳しくは、クローポール式回転 子において永久磁石の表面積を増して磁束の増加を図り、よって、電動機の高出 力化を実現するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の回転子にクローポール式磁極板を有する回転磁界型電動機とし て、図３の分解斜視図に如き回転子を備えた電動機が提案されている。(実開平 １−１０１１６６号公報) 上記電動機の回転子１は、回転軸２の外周に軸方向に着磁した永久磁石３固定 すると共に、該永久磁石３を磁極板４,５で挟持して固定し、これら磁極板４,５ の外周フランジ部４ａ,５ａを回転方向に偏在させて磁極を形成している。

【０００３】 通常、回転磁界型電動機では、図４に示すように、上記回転子１のユニットを 複数個設けて、回転軸２の外周に軸方向に隣接して固定している。該構成からな る回転子の外周に間隔をあけて固定子(図示せず)を配置し、 永久磁石３から磁極 板４,５を介して固定子の巻線に磁束を流し、巻線により発生する回転磁界によ り回転子を回転させる力を生じさせている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記構成からなるクローポール式回転子において、電動機の高出力化を図るた めに、磁束を増加する方法として、永久磁石の外径を大きくして磁石の表面積を 増大する方法と、図３に示す１つの永久磁石と該永久磁石を挟持する一対の磁極 板からなる回転子ユニットの個数を増やす方法とが試みられている。

【０００５】 しかしながら、前記永久磁石の外径を大とする方法では、磁極板の外径も大き くしなければならず、電動機全体の外径が大きくなる。また、後者の回転子ユニ ットの個数を増加する方法では、軸方向の長さが長くなる。このように、いずれ の方法を採用しても、電動機が大型化する欠点があった。

【０００６】 本考案は、上記欠点を解消せんとするもので、径方向および軸方向の長さを増 大させることなく、磁束の増大を図り、よって、電動機の高出力化および小型化 を実現することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、軸方向に着磁した円板形状の永久磁石の 両側面を、回転方向に偏在させたフランジ部を有する一対の磁極板の対向する内 面に固着し、軸方向両端側の磁極板の外面に回転軸を固着して取り付け、永久磁 石の軸心部に回転軸を貫通させずに、即ち、シャフトレス構造として、回転軸用 軸穴のスペースを有効に使い、永久磁石の表面積を増大させていることを特徴と する回転磁界型電動機の回転子を提供するものである。

【０００８】 上記１個の永久磁石と該永久磁石を挟持する一対の磁極板からなる回転子ユニ ットを複数個設ける場合には、隣接する磁極板同士も固着している。 また、軸方向両端側の磁極板に固着する回転軸は、その端面に円板部を一体に 形成し、該円板部を磁極板の円板部に固着している。

【０００９】 上記永久磁石と磁極板の固着、磁極板同士の固着および磁極板と回転軸の円板 部との固着は、それぞれ接着剤あるいは溶接等により行っている。

【００１０】

【作用】

上記のように、永久磁石、磁極井田に回転軸を貫通させないで、シャフトレス 構造としているため、該回転軸部のスペースを永久磁石の表面積を増大させるこ とに利用出来る。よって、永久磁石の磁束を増大させて、電動機を小型化を保持 しつつ、高出力化を図ることが出来る。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案を図１および図２に示す実施例により詳細に説明する。 １組の回転子ユニット１０は、軸方向に着磁した１つの円板形状の永久磁石 １１と、該永久磁石１１の両側端面に固着する一対の磁極板１２,１３とからな り、図２に示す回転子１００は、この１組の回転子ユニット１０を複数組(図示 の実施例では４組)連結して、両側の磁極板１２,１３の外面を回転軸１４,１５ に固着している。

【００１２】 上記永久磁石１１の両側端面に固着する一対の磁極板１２,１３は、鉄等から なり、永久磁石１１と同形の円板部１２ａ,１３ａの外周縁に直径方向に対向し て扇形状の突出部１２ｂ,１３ｂを設け、各突出部から軸方向に屈折した外周フ ランジ部１２ｃ,１３ｃを設けている。磁極板１２,１３は同一部材からなり、 ９０度位相させて使用している。

【００１３】 一方の磁極板１２の円板部１２ａは、その内端面を、永久磁石１１のＮ極側の 一端面１１ａに接着剤１６を介して固着し、他方の磁極板１２の円板部１３ａの 内端面を永久磁石１１のＳ極側の他端面１１ｂに接着剤１６を介して固着してい る。その際、上記したように、磁極板１２と１３のフランジ部１２ｃと１３ｃを ９０度位相させて取り付けている。

【００１４】 回転軸１４,１５は、軸部１４ａ,１５ａの一端面に、磁極板１２,１３の突出 部１２ｂ,１３ｂを含めた外径に相当する外径を有する円板部１４ｂ,１５ｂを一 体に形成しており、上記円板部１４ｂ,１５ｂを磁極板１２,１３の円板部１２ａ ,１３ａおよび突出部１２ｂ,１３ｂに接着剤１６で固着している。

【００１５】 回転子ユニット１０を複数組積層する図２に示す回転子１００では、永久磁石 １１の着磁方向が図示のように交互に逆となるように、軸方向に回転子ユニット １０を隣接して積層している。

【００１６】 上記複数組の回転子ユニット１０を積層する場合、図示のように、第１組の回 転子ユニット１０−Iに対して隣接する第２組の回転子ユニット１０−IIをフラ ンジ部１３ｃが同一周方向に突出する磁極板１３を背中合わせに接着剤１６で固 着し、他方の磁極板１２のフランジ部１２ｃの突出端を接合して接着剤１６で固 着している。同様に、第３組の回転子ユニット１０−IIIを第２組の回転子ユニ ット１０−IIに対して、磁極板１２同士を背中合わせで固着し、該第３組の回転 子供ユニット１０−IIIに対して第４組の回転子ユニット１０−IVを、磁極板 １３同士を背中合わせで固着して、第１組から第４組の回転子ユニットを一体に 固着している。

【００１７】 上記一体に固着した回転子ユニットに対して、軸方向両端の磁極板１２,１２ の外端面に対して、前記した回転軸１４,１５の円板部１４ｂ,１５ｂを接着剤 １６で固着している。

【００１８】 上記永久磁石と磁極板、磁極板と回転軸、磁極板同士の固着は接着剤を用いて 固着する以外に、溶接等の従来公知の種々の固着方法が適宜に採用出来る。

【００１９】 上記したように、回転子の構造を、回転軸が永久磁石１１および磁極板１２， １３を貫通しないシャフトレス構造とすることにより、従来回転軸用貫通穴のス ペースを永久磁石のスペースとして利用することができ、当該部分の永久磁石の 表面積を増やすことが出来る。 本実施例においては、上記表面積の増加により、１つの永久磁極において、軸 穴を設けていた場合と比較して、２０％程度磁束を増加させることが出来た。 上記増加率は従来設けられていた軸穴の大きさによって変わるが、通常、１０ 〜３０％程度の増加を図ることが出来る。

【００２０】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案では、シャフトレス構造とすることで 、従来、回転軸のあった部分のスペースを有効に使って、磁石表面積を増大させ て磁束を増すことができる、よって、回転子の外径および軸方向の長さを変えず 、電動機の高出力化を達成でき、かつ、電動機の小型化および軽量化も達成出来 る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の回転子の分解斜視図である。

【図２】 本考案の回転子の断面図である。

【図３】 従来の回転子の分解斜視図である。

【図４】 従来の回転子の断面図である。

【符号の説明】

１０ 回転子ユニット １１ 永久磁石 １２，１３ 磁極板 １４,１５ 回転軸 １６ 接着剤

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に着磁した円板形状の永久磁石の
   両側面を、回転方向に偏在させたフランジ部を有する一
   対の磁極板の対向する内面に固着し、軸方向両端側の磁
   極板の外面に回転軸を固着して取り付け、永久磁石の回
   転軸用軸穴を無くして表面積を増大させていることを特
   徴とする回転磁界型電動機の回転子。
2. 【請求項２】 上記軸方向に隣接して配置する磁極板同
   士を固着すると共に、軸方向両端側の磁極板に固着する
   回転軸の端面に円板部を一体に形成し、該円板部を磁極
   板の円板部に固着し、かつ、上記固着は接着剤あるいは
   溶接により行っていることを特徴とする請求項１記載の
   回転子。