JPH0543692A - ポリフエニレンスルフイドの硬化方法 - Google Patents

ポリフエニレンスルフイドの硬化方法

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JPH0543692A
JPH0543692A JP3223560A JP22356091A JPH0543692A JP H0543692 A JPH0543692 A JP H0543692A JP 3223560 A JP3223560 A JP 3223560A JP 22356091 A JP22356091 A JP 22356091A JP H0543692 A JPH0543692 A JP H0543692A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 脆性を改良した靭性、耐衝撃性に優れたPP
Sを提供する。 【構成】 酸化架橋前のメルトフローレートが500以
下のポリフェニレンスルフィドを酸化架橋後のメルトフ
ローレートが100以下に達するまで、1容量%以上2
0容量%未満の酸素を含む気相酸化性雰囲気下、200
℃以上PPSの融点未満の温度で酸化架橋を行なうこと
を特徴とするPPSの硬化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は靭性、耐衝撃性の改良さ
れたPPSの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PPSは耐薬品性、耐熱性、難燃性に優
れた高性能エンジニアリングプラスチックとして知られ
ている。
【0003】PPSは従来、特公昭45−3368号公
報等に基づく方法などで製造されているが、得られるポ
リマーは低分子量であり十分な強度を有さず、かつ低粘
度であるためペレットの製造さえ困難なことが知られて
いる。そこで合成されたポリマーの低分子量物をその融
点以下の温度の空気中で酸化架橋することにより分子量
を増大せしめ成形品の強度増大と成形加工性の向上を行
なう方法が行なわれており、現在、この方法による高分
子量化されたポリマーが工業的に用いられている。
【0004】しかしながら、この酸化架橋で得られた高
分子量化ポリマーは靭性に乏しいという重大な欠点を有
している。そこでかかる欠点を改良するため重合工程の
改良が数多く提案されている。例えば、特開昭50−8
4698号公報では重合触媒としてアルカリ金属カルボ
ン酸塩を添加している。しかし、この製造法は特別の重
合触媒が必要であるばかりか、200℃以下で溶解可能
な溶媒のないPPSにおいては、重合触媒除去のための
ポリマー精製工程が必要になるなどコスト高となり問題
である。
【0005】また、特開昭62−197422号公報に
は、ある値以下のメルトフローレートを持つ酸化架橋前
のPPSをある値以下のメルトフローレートになるまで
酸化架橋し、かつ酸化架橋前後のメルトフローレートの
値の比がある範囲内になるように酸化架橋するPPSの
製造法が提案されている。
【0006】しかしこれは、ウエルドクラック発生の防
止を目的としたものであり、靭性、耐衝撃性の改良には
不充分である。
【0007】更に、特開平1−121327号公報では
20容量%未満の酸素を含む気相酸化性雰囲気の存在下
でPPSを酸化架橋する、優れた熱安定性を有するPP
S製造法が提案されている。そしてこのようにして製造
されたPPSは20容量%の酸素を含む酸化性雰囲気中
で酸化架橋したPPSと物性の著しい差異のないことが
開示されている。すなわち、ここで開示されているPP
Sは酸化架橋前のPPSの粘度が低すぎるためPPSの
欠点として知られてきた脆性について本質的に何ら改良
されていないことが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来PPS
の欠点として知られてきた脆性を改良した靭性、耐衝撃
性に優れたPPSを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、靭性、耐衝撃性に優れた
PPSの製造方法を見出し、本発明に到達したものであ
る。
【0010】すなわち本発明は、PPSを1容量%以上
20容量%未満の酸素を含む気相酸化性雰囲気下、20
0℃以上PPSの融点未満の温度で酸化架橋前のメルト
フローレート(以下MFRoと略す)(ASTM D−
1238−70に準じ、温度315.6℃、荷重5Kg
にて測定。単位g/10分)が500以下のPPSを酸
化架橋後のメルトフローレート(以下MFRと略す)
(酸化架橋前のメルトフローレートと同一の測定方法)
が100以下に達するまで酸化架橋を行なうことを特徴
とするPPSの硬化方法に関するものである。
【0011】以下本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明に用いる酸化架橋前のPPSは、一
般式
【0013】
【化1】 で示される構成単位を70モル%以上含むPPSであ
り、共重合成分として、30モル%未満であれば、メタ
結合
【0014】
【化2】 オルト結合
【0015】
【化3】 エーテル結合
【0016】
【化4】 スルホン結合
【0017】
【化5】 ビフェニル結合
【0018】
【化6】 カルボニル結合
【0019】
【化7】 置換フェニルスルフィド結合
【0020】
【化8】 (ここでRはアルキル基、ニトロ基、フェニル基、アル
コキシ基、カルボン酸基またはカルボン酸の金属塩基を
示す)3官能結合
【0021】
【化9】 などを含有していても、ポリマーの結晶性に大きく影響
しない範囲であればかまわないが、好ましくは共重合成
分は10モル%以下がよい。
【0022】そして、かかるPPSはMFRo≦50
0、好ましくはMFRo≦400のMFRoを有するも
のであり、公知の方法で得られるものであれば特に制限
はない。しかしながらMFRo>500では靭性改良効
果が発現しないため好ましくない。
【0023】かかるPPSの具体的な製造法としては、
例えば(1)ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリ
との反応(米国特許第2513188号公報、特公昭4
4−27671号公報および特公昭45−3368号公
報)、(2)チオフェノール類のアルカリ触媒または銅
塩等の共存下における結合反応(米国特許第32741
65号公報および英国特許第1160660号公報)、
(3)芳香族化合物と塩化硫黄とのルイス酸触媒共存下
における結合反応(特公昭46−27255号公報およ
びベルギー特許第29437号公報)等が挙げられる。
【0024】特に、本発明の目的にあうPPSは特公昭
52−12240公報、特公昭54−8719公報、特
公昭53−25588公報、特公昭57−334公報、
特開昭55−43139公報、米国特許第435081
0号公報、米国特許第4324886号公報に挙げられ
ているような高分子量PPSの製造法により得ることが
好ましい。
【0025】本発明では上記製造法により得られたPP
Sを1容量%以上20容量%未満の酸素を含む気相酸化
性雰囲気下、200℃以上PPSの融点未満の温度で酸
化架橋を行なう。
【0026】ここでいう1容量%以上20容量%未満の
酸素を含む気相酸化性雰囲気とは、1容量%以上20容
量%未満の酸素と不活性ガスとの混合気体のことであ
り、不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、二
酸化炭素、水蒸気等またはそれらの混合物が挙げられ、
経済的には窒素が好ましい。
【0027】また、酸素が20容量%未満になれば空気
と任意の不活性ガスの混合気体であっても構わない。
【0028】さらに、酸化架橋前のPPSを密閉容器中
で空気雰囲気下、酸化架橋を行なう際には、酸素が消費
されるため雰囲気中の酸素濃度は低下し続け、実質上2
0容量%未満となるので、これも本発明の範囲内であ
る。
【0029】気相酸化性雰囲気中の酸素濃度は、生産性
を考慮すると好ましくは3容量%以上18容量%未満、
さらに好ましくは5容量%以上15容量%未満が実用的
である。1容量%未満では硬化速度が遅く実用的でな
い。また、20容量%以上では靭性改良効果が少なく、
好ましくない。
【0030】酸化架橋を行なう際の温度は、200℃以
上PPSの融点未満であり、生産性を考慮すると好まし
くは220℃以上270℃未満である。200℃以下で
は硬化速度が遅く実用的でなく、またPPSの融点以上
ではPPS粒子の融着が生じ、好ましくない。
【0031】本発明では、上記の酸化架橋方法により限
定されたMFRoのPPSを酸化架橋しMFR≦10
0、好ましくは0.5≦MFR≦80に制御する。かか
るMFRが100を越えると本発明の効果が少なく、好
ましくない。
【0032】本発明は公知である種々の方法を用いて酸
化架橋することができる。例えばリボンブレンダー、流
動層、オーブン、容器回転式混合機による酸化架橋が挙
げられるが、なかでもリボンブレンダーを用いた方法が
好ましい。
【0033】また本発明により製造されたPPSには、
本発明の目的を逸脱しない範囲で、エチレン−プロピレ
ン−エチリデンノルボルネン共重合体(EPDMゴ
ム),エチレン−プロピレン共重合体(EPゴム),エ
チレン−ブテン−1共重合体,スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体,スチレン系ブロック共重合体エラスト
マー,アミド系エラストマー,エステル系エラストマ
ー,ウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマ
ー、共役ジエンゴム,アクリルゴム等のゴム質重合体を
添加することも可能である。さらに、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリブテン、ポリメチルスチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリアリレート等のポリエステル、ナイロン6,ナ
イロン66,ナイロン46,ナイロン12,ナイロン1
1,非晶性ナイロン,芳香族ナイロン等のポリアミド、
ポリウレタン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポ
リフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサ
ルホン、ポリアリルサルホン、ポリフェニレンスルフィ
ドサルホン、PPS、ポリエーテルケトン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、
ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂、フェ
ノキシ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などの単独重合
体、ランダム重合体またはブロック,グラフト共重合体
およびそれらの混合物等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
を添加することも可能である。
【0034】また、必要に応じてガラス繊維、炭素繊
維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、アラミド繊維、
全芳香族ポリエステル繊維、金属繊維、チタン酸カリウ
ムウィスカー、炭化珪素ウィスカー等の補強用充填剤や
炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフェラ
イト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、ネフェ
リンシナイト、アタパルジャイト、ウォラストナイト、
フェライト、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ド
ロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、
酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、
石膏、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルー
ン、石英、石英ガラス等の無機充填剤や有機,無機顔料
を配合することもできる。
【0035】ガラス繊維としては、例えば繊維長1.5
〜12mm,繊維径3〜20μmのチョップドストラン
ド、繊維長30〜500μm,繊維径3〜20μmのミ
ルドファイバー、325メッシュ以下のガラスフレーク
やガラスパウダーを挙げることができる。
【0036】また、芳香族ヒドロキシ誘導体などの可塑
剤、離型剤、シラン系,チタネート系のカップリング
剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、結晶核剤、発砲
剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定
剤、着色剤及びアミノ基含有PPSの架橋度を制御する
目的で架橋促進剤としてチオホスフィン酸金属塩や架橋
防止剤のジアルキル錫ジカルボキシレート、アミノトリ
アゾール等を必要に応じて添加してもよい。
【0037】本発明により製造されたPPSは上記した
各成分を加えて、種々の公知の方法によりペレット化で
きる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ブ
ラベンダー等による加熱溶融混練方法が最も好ましい。
この際の混練温度は、特に限定されるものではないが通
常200〜400℃の中から任意に選ぶことができる。
【0038】
【発明の効果】本発明により製造されるPPSは、靭
性、耐衝撃性に優れるため従来より公知の種々の方法に
よりプリント配線用基盤、電子部品封止材料、各種コネ
クター部品、耐熱塗料、薄肉成形品、繊維、シート、フ
ィルム、チューブ等種々の形状の成形品に成形すること
ができ、射出成形、押出成形、ブロー成形、発砲成形等
の加工方法が可能であり、具体的な用途分野としては自
動車、電気、電子、機械等の工業材料分野で耐熱性、難
燃性及び成形加工性に優れた成形素材として広範囲に使
用することができる。
【0039】
【実施例】本発明を実施例によってさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
【0040】参考例1 (PPSの合成)攪拌機、脱水塔及びジャケットを装備
する内容積530リットルの反応器にN−メチルピロリ
ドン110リットル及び硫化ナトリウム(純度:Na
S 60.2重量%)61.1Kgを仕込み、攪拌下ジ
ャケットにより加熱し、内温が約200℃に達するま
で、蒸留を脱水塔を通じて行った。この際、13.5リ
ットルの主として水からなる抽出液を留去した。次い
で、P−ジクロルベンゼン68.7Kg及びN−メチル
ピロリドン48リットルを添加し、2時間かけて225
℃まで昇温し、225℃にて2時間反応させた後、30
分かけて250℃に昇温し、さらに250℃で3時間反
応させた。
【0041】反応終了後、反応混合液を攪拌機、ジャケ
ット及び減圧ラインを装備する溶媒回収器に移した。こ
の際、N−メチルピロリドン30リットルを追加した。
続いて、減圧下で加熱して、主としてN−メチルピロリ
ドンからなる留出液210リットルを留去した。
【0042】続いて、水200リットルを添加して、水
スラリーとし、80℃で15分間加熱攪拌した後、遠心
分離してポリマーを回収した。
【0043】更に、ポリマーを溶媒回収器に戻し、水2
00リットルを添加し、100℃で30分間加熱攪拌を
行い、冷却後、遠心分離機でポリマー粉末を回収した。
尚、この操作を2回繰り返した。
【0044】得られたポリマーをジャケット付きリボン
ブレンダーに移し、乾燥を行った。このようにして得ら
れたポリマーのMFRoは580であり、これをPPS
−Iとする。
【0045】参考例2 参考例1におけるP−ジクロルベンゼン68.7Kgの
代わりにP−ジクロルベンゼン69.0Kgを使用し、
250℃での反応時間を4時間とすること以外は参考例
1と同様にPPSを合成した。このようにして得られた
ポリマーのMFRoは380であり、これをPPS−I
Iとする。
【0046】実施例1〜5,比較例1〜3 参考例1,2で得られたPPSを内容量110リットル
のリボンブレンダーに15Kg仕込み、回転数60rp
mで攪拌し、表1に示す酸素濃度の気体を10リットル
/分で送り込み、265℃でそれぞれ酸化架橋を行なっ
た。表1にMFRo、MFR、酸化架橋時間を示す。
【0047】このようにして得られたPPSを250〜
300℃に設定した同方向回転二軸押出機を用いてスク
リュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、押出し
たストランドをペレット化した。ここで得たペレットを
290〜330℃に設定したスクリューインライン式射
出成形機に供給し、金型温度135℃の条件で引張試験
用テストピースを射出成形した。これらのテストピース
を用いて引張試験(ASTM D−638)を行なっ
た。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】 比較例4 酸素濃度0.5容量%の気体を使用する以外は、実施例
1と同様にPPS−IIの酸化架橋を試みたが、20時
間後でもMFRは350にしかならなかった。
【0049】比較例5 190℃で20時間酸化架橋すること以外は、実施例3
と同様にPPS−IIを用いて酸化架橋を行なったが、
MFRは330にしかならなかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化架橋前のメルトフローレートが500
    以下のポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)
    を酸化架橋後のメルトフローレートが100以下に達す
    るまで、1容量%以上20容量%未満の酸素を含む気相
    酸化性雰囲気下、200℃以上PPSの融点未満の温度
    で酸化架橋を行なうことを特徴とするPPSの硬化方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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