JPH0543525U - ガス絶縁変流器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ガス絶縁変流器の構造を簡単にし、コストを引
き下げる。 【構成】２次コイル１０の外周の一部にのみ沿う形状を
有する２次コイル支持金具３０を絶縁スペーサ５の貫通
金物６に一体化して設ける。２次コイル１０の外周の一
部を２次コイル支持金具３０に沿わせた状態で配置し、
２次コイル１０を２次コイル支持金具３０とともに覆う
ように樹脂モールド部３１を設ける。樹脂モールド部３
１の外面を覆うように導電層を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、絶縁ガスを充填した容器内に変流器本体を収納してなるガス絶縁変 流器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ガス絶縁変流器は、１次導体と、該１次導体を取り囲むリング状鉄心に巻回さ れた２次コイルとを含む変流器本体を、ＳＦ₆ ガス等の絶縁ガスが封入された容 器内に収納したものである。

【０００３】 図４は従来のこの種の変流器を示したもので、同図において１はカップを伏せ た形に形成された本体１ａと底板１ｂとからなる金属製のガス容器で、このガス 容器１は、ベース２に碍管３を介して支持されている。碍管３の内側にはＦＲＰ （繊維強化プラスチック）からなる筒体４が配置されて、該筒体により碍管が補 強されている。

【０００４】 ガス容器１内のガス空間と碍管３の内側のガス空間との境界部に絶縁スペーサ ５が配置され、この絶縁スペーサの貫通金物６の上端に変流器の２次コイルユニ ット７が支持されている。図示の例では絶縁スペーサ５がガス容器１の底板１ｂ に固定されているが、絶縁スペーサ５と底板１ｂとの間にはガス通路ｇが形成さ れ、ガス容器１内のガス空間と碍管３内のガス空間とがガス通路ｇを通して連通 させられている。

【０００５】 ２次コイルユニット７は、環状の鉄心８と、該鉄心に均一に分布巻きされたコ イル９とからなる２次コイル１０を３個並べてドーナツ状のシールドケース１１ 内に収納したものである。ケース１１と２次コイルとの間の隙間にはポリウレタ ン，エポキシ等の樹脂１２が充填され、該樹脂１２により２次コイル１０がシー ルドケース１１内に固定されている。シールドケース１１が２次コイルと鎖交す る方向に１ターンを形成しないようにするため、該シールドケースの外周部及び 内周部にそれぞれ絶縁リング１３及び１３´が設けられている。シールドケース １１は金属製のアダプタ１４を介して絶縁スペーサ５の貫通金物６の上端に接続 され、貫通金物６の下端は２次リード収納パイプ１５を介してベース２に接続さ れている。

【０００６】 ３つの２次コイル１０からそれぞれ引き出されたリード線はアダプタ１４の内 側の空間と、絶縁スペーサの貫通金物６の内側の空間と、貫通金物６に接続され た２次リード収納パイプ１５内の空間とを通してベース２内に設けられた端子盤 まで導かれている。

【０００７】 ガス容器１の側壁と２次コイルユニット７とを貫通して水平方向にのびる１次 導体１６が設けられ、この１次導体１６の一端は容器１の側壁部に取り付けられ た絶縁スペーサ１７を気密に貫通して外部に導出されている。１次導体１６の他 端は導電性を有する気密保持部１８を貫通して外部に導出され、１次導体１６の 両端にそれぞれ１次端子１９及び２０が取り付けられている。

【０００８】 容器１の上部には放圧装置２１が取り付けられている。ガス容器１内及び碍管 ３内には、ＳＦ₆ ガスが所定の圧力で封入されている。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来のガス絶縁変流器では、シールドケース１１が１次導体１６に近 接し、１次導体１６の回りを１ターンする構造となっているため、損失を低減す るために該シールドケースをアルミニウムまたはステンレス等の非磁性金属によ り形成する必要があり、しかも該シールドケースは２次コイル１０の重量を支え るために強固なものにしなければならないため、コストが高くなるのを避けられ なかった。

【００１０】 また従来のガス絶縁変流器では、２次コイルを収納したシールドケース１１を アダプタ１４を介して絶縁スペーサ５に接続していたため、組立作業に長時間を 要するという問題があった。

【００１１】 本考案の目的は、２次コイル回りの構造を簡略にして、組立てを簡単にするこ とができるようにしたガス絶縁変流器を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案は、絶縁ガスが充填された２つのガス空間の間の境界部に絶縁スペーサ を配置し、環状の鉄心にコイルを巻回してなる変流器の２次コイルを２つのガス 空間の内の一方に配置して該２次コイルを絶縁スペーサにより支持し、２次コイ ルから引き出されたリード線を絶縁スペーサの貫通金物の内側に設けたリード線 導出孔を通して他方のガス空間側に導出し、２次コイルを貫通させて１次導体を 設けてなるガス絶縁変流器に係わるものである。

【００１３】 本考案においては、２次コイルの外周の一部にのみ沿う形状を有する２次コイ ル支持金具を絶縁スペーサの貫通金物に一体化しておく。そして２次コイルの外 周の一部を２次コイル支持金具に沿わせた状態で配置し、該２次コイルを２次コ イル支持金具とともに覆うように樹脂モールド部を設ける。また樹脂モールド部 の外面を覆うように導電塗料等により導電層を形成し、該導電層により２次コイ ルをシールドする。

【００１４】

【作用】

上記の構成において、２次コイル支持金具は２次コイルの一部にのみ沿う形状 に形成され、支持金具が１次導体に対して１ターンを形成することがないため、 支持金具を高価な非磁性金属により形成する必要がない。また支持金具が絶縁ス ペーサの貫通金物に一体化されている上に、樹脂モールド部の外面を覆うように 導電層を設けたことによりシールドケースが不要になるため、部品点数の削減を 図ることができ、組立を容易にすることができる。

【００１５】 更に、支持金具は従来用いられていたドーナツ状のシールドケースに比べては るかに構造が簡単で製作が容易であるため、部品点数の削減を図って組立を容易 にすることができることと相俟って、ガス絶縁変流器のコストを下げることがで きる。

【００１６】

【実施例】

以下添付図面を参照して本考案の実施例を説明する。

【００１７】 図１及び図２は本考案の実施例を示したもので、これらの図において、１は従 来用いられていたものと同様な金属製のガス容器、３はガス容器１をベース２に 対して支持する碍管、４は碍管３の内側には配置されたＦＲＰ製の筒体である。 ガス容器１内のガス空間と碍管３の内側のガス空間との境界部に絶縁スペーサ ５が配置されて、この絶縁スペーサがガス容器１の底板１ｂに固定されている。 絶縁スペーサ５とガス容器の底板１ｂとの間にはガス通路ｇが形成され、ガス容 器１内のガス空間と碍管３内のガス空間とがガス通路ｇを通して連通させられて いる。

【００１８】 絶縁スペーサ５は鉄等の金属からなる貫通金物６を有し、図３（Ａ），（Ｂ） に示したように、該貫通金物６に一体化された状態で２次コイル支持金具３０が 設けられている。２次コイル支持金具３０は、貫通金物６と同様に鉄等の安価な 金属からなっていて、２次コイルの半部にのみに沿うように半円筒状に形成され 、貫通金物６に溶接等により一体化されている。

【００１９】 ２次コイル支持金具３０の軸線方向寸法は、必要個数の２次コイルを支持する のに十分な大きさを有し、該支持金具３０の上に、所定個数の２次コイル１０が 配置されている。２次コイル１０は環状の鉄心８と該鉄心に均一に分布巻きされ たコイル９とからなっていて、図示の例ではこの２次コイルが３個設けられ、該 ３個の２次コイルが支持金具３０の上に並べて配置されている。

【００２０】 各２次コイル１０はエポキシ樹脂を含浸させて半硬化状態にしたガラスクロス テープ（エポキシセミキュアガラスクロステープ）により個々に被覆され、更に で３個の２次コイルが同様のテープにより一括して被覆されて一体化される。テ ープにより被覆されて一体化された３個の２次コイルは同様のテープにより２次 コイル支持金具３０に固定される。その後テープに含浸された樹脂が加熱硬化さ れて２次コイル１０が支持金具３０に対して固定される。図１及び図２において 、３１は、ガラスクロステープと、加熱硬化された樹脂により形成された樹脂モ ールド部を示している。樹脂モールド部３１の外面には導電塗料により導電層が 形成されている。絶縁スペーサ５の貫通金物６の外周面には、電界緩和用の湾曲 部６ａが形成されていて、樹脂モールド部３１はその外面が湾曲部６ａの外面に 自然につながるように形成され、モールド部３１の外面の導電層は、その一部が 貫通金物６の上に重なるように形成されている。

【００２１】 貫通金物６の下端は２次リード収納パイプ１５を介してベース２に接続され、 ３つの２次コイル１０からそれぞれ引き出されたリード線Ｌは貫通金物６の内側 の空間と、２次リード収納パイプ１５内の空間とを通してベース２内に設けられ た端子盤まで導かれている。

【００２２】 ガス容器１の側壁と２次コイル１０の軸芯部とを貫通させて水平方向にのびる １次導体１６が設けられている。１次導体１６の一端は容器１の側壁部に取り付 けられた絶縁スペーサ１７を気密に貫通して外部に導出され、１次導体１６の他 端は導電性を有する気密保持部１８を貫通して外部に導出されている。１次導体 １６は気密保持部１８を通してガス容器１に電気的に接続されている。１次導体 １６の両端にそれぞれ１次端子１９及び２０が取り付けられている。

【００２３】 ガス容器１内及び碍管３内にはＳＦ₆ ガスが所定の圧力で封入され、ガス容器 １の上部には放圧装置２１が取り付けられている。

【００２４】 上記の実施例では、２次コイル支持金具３０が半円筒状に形成されているが、 その円弧長を半円筒よりも短くすることもできる。

【００２５】 上記の実施例のように、エポキシセミキュアガラスクロステープにより樹脂モ ールド部を形成すると、樹脂モールド部を形成するために注型用の金型を必要と しないため、製造コストを安くすることができる。しかし本考案は上記実施例の ように樹脂モールド部を形成する場合に限定されるものではなく、注型用の金型 を用いて樹脂モールド部を形成するようにしても良い。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、２次コイルの一部にのみ沿う形状に形成され た２次コイル支持金具を用いて、２次コイルを支持するとともに、２次コイルを 被覆する樹脂モールド部の外面に導電層を形成して、該導電層により２次コイル をシールドするようにしたので、高価な非磁性金属により形成されたシールドケ ースを省略することができる。また２次コイル支持金具は絶縁スペーサの貫通金 物に一体化されているため、部品点数の削減を図ることができ、高価なシールド ケースが不要になることと相俟って、ガス絶縁変流器のコストを下げることがで きる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１の実施例の要部を示す断面図である。

【図３】（Ａ）本考案の実施例で用いる２次コイル支持
金具を絶縁スペーサとともに示した正面図である。
（Ｂ）は（Ａ）の側面図である。

【図４】従来のガス絶縁変流器の縦断面図である。

【符号の説明】

１…ガス容器、５…絶縁スペーサ、６…貫通金物、８…
環状鉄心、９…コイル、１０…２次コイル、３０…２次
コイル支持金具、３１…樹脂モールド部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁ガスが充填された２つのガス空間の間
   の境界部に絶縁スペーサを配置し、環状の鉄心にコイル
   を巻回してなる変流器の２次コイルを前記２つのガス空
   間の内の一方に配置して該２次コイルを前記絶縁スペー
   サにより支持し、前記２次コイルから引き出されたリー
   ド線を絶縁スペーサの貫通金物の内側に設けたリード線
   導出孔を通して他方のガス空間側に導出し、前記２次コ
   イルを貫通させて１次導体を設けてなるガス絶縁変流器
   において、 前記２次コイルの外周の一部にのみ沿う形状を有する２
   次コイル支持金具が前記絶縁スペーサの貫通金物に一体
   化され、 前記２次コイルは、その外周の一部を前記２次コイル支
   持金具に沿わせた状態で配置されていて、該２次コイル
   を前記２次コイル支持金具とともに覆うように樹脂モー
   ルド部が設けられ、 前記樹脂モールド部の外面を覆うように導電層が形成さ
   れていることを特徴とするガス絶縁変流器。