JPH04127629U - ガス絶縁変流器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変流器の２次コイルユニットを支えるために
設けられた絶縁スペーサの両側のガス空間を連通させて
閃絡事故時の内圧の上昇を抑制する。 【構成】 ２次コイルユニット７を支持する絶縁スペー
サ１０を貫通させて通気孔１４を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、絶縁ガスを封入した容器内に変流器本体を収納してなるガス絶縁変 流器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ガス絶縁変流器は、１次導体と、該１次導体を取り囲むリング状鉄心及び該鉄 心に巻回された２次コイルを含む２次コイルユニットとを、ＳＦ₆ ガス等の絶縁 ガスが封入された容器内に収納したものである。通常２次コイルはシールドケー ス内に配置され、該シールドケースの電位は接地電位に固定されている。

【０００３】 図３は従来のこの種の変流器の要部を示したもので、同図において１は図示し ないベースの上に固定された碍管、２は碍管１の上に支持された金属容器である 。容器２内には、１次導体３と、１次導体を取囲むリング状鉄心４に巻回された ２次コイル５を中空環状のシールドケース６内に収納した構造の２次コイルユニ ット７とが配置され、シールドケース６は、斜めに配置された柱状の２本の絶縁 支持物８により支持されている。また碍管１内には金属パイプ９が配置されて、 該パイプの上端がシールドケース６に接続され、２次コイルから導出された２次 リード線がパイプ９内を通して、碍管１の下方に設けられたベース（図示せず。 ）内に導入されている。碍管１内及び容器２内には、ＳＦ₆ ガスが所定の圧力で 封入されている。１次導体３はその一端が容器２に電気的に接続され、容器２が １次導体と同電位に保たれている。

【０００４】 図３の変流器のように、２次コイルユニット７を斜めに配置された２本の絶縁 支持物８により支持する構造を採用すると、２次コイルユニット７の支持強度に 方向性が生じ、図の紙面と直角な方向への支持強度が弱くなるため、輸送の際に 特別の配慮が必要であった。

【０００５】 また図３の構造では、ＳＦ₆ ガスよりも誘電率が高い絶縁支持物８，８が局部 的に設けられているため、１次導体周辺の電界が複雑でその計算が困難であり、 絶縁設計が難しいという問題があった。

【０００６】 そこで、図４に示すように、容器２の底面にコニカル形の絶縁スペーサ１０の フランジ１０ａを当接させて、該フランジ１０ａをボルトにより容器２の底部に 固定し、絶縁スペーサ１０の中央部に設けられている管状の貫通導体１１に連結 金具１２を介してシールドケース６を固定するようにした変流器（特開昭６３− ２８９９１２号）が提案された。１次導体３はその両端が容器２を気密に貫通し た状態で支持され、該１次導体３の一端が容器２に電気的に接続されている。従 って容器２は１次導体３と同電位に保たれている。

【０００７】 図４に示した構造によれば、２次コイルユニットの支持強度の方向性をなくす ことができ、重量が大きい２次コイルユニットを強固に支持することができる。 また絶縁スペーサは周方向に均一な形状を有しているため、１次導体周辺の電界 分布が単純になる。従って電界の計算を容易にすることができ、絶縁設計を容易 にすることができる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

図４に示した従来のガス絶縁変流器では、絶縁スペーサ１０と容器２の底面と の接続部を通して多少のガスの流通は許容されるが、容器２内のガス空間と碍管 １内のガス空間との間で多量のガスを流通させることはできなかった。

【０００９】 そのため、内部で閃絡事故が生じた場合に、アーク熱により内部のガス圧が上 昇し、爆発事故が生じる恐れがあった。

【００１０】 本考案の目的は、２次コイルユニットを支える絶縁スペーサの両側のガス空間 を積極的に連通させることにより、絶縁スペーサの両側のガス空間のガスの流通 を容易にして、閃絡事故時に爆発事故が発生する恐れをなくすことができるよう にしたガス絶縁変流器を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は、絶縁ガスが充填された２つのガス空間の間の境界部に絶縁スペーサ が設けられて該絶縁スペーサの貫通導体に変流器の２次コイルユニットが支持さ れ、２つのガス空間が相互に連通させられているガス絶縁変流器に係わるもので ある。

【００１２】 本考案においては、内部で事故が生じた場合に内圧が上昇して爆発が生じるの を防ぐため、絶縁スペーサを貫通して通気孔を設けることにより、該絶縁スペー サの両側のガスを流通させるようにした。

【００１３】

【作用】

上記のように絶縁スペーサを貫通させて通気孔を設けると、該絶縁スペーサの 両側のガス空間を連通させることができるため、絶縁スペーサの両側のガスを流 通させることができる。従って内部で閃絡事故が生じたときにアーク熱により内 圧が上昇するのを防ぐことができ、爆発事故が発生する恐れをなくすことができ る。

【００１４】

【実施例】

図１は本考案の実施例を示したもので、同図においてＢはベース、１はベース の上に下端が固定された碍管である。２は碍管１の上端に固定されたガス容器で 、ガス容器２内の空間と碍管１内の空間とを仕切るように絶縁スペーサ１０が配 置され、絶縁スペーサ１０のフランジ１０ａが環状の固定金具１３により容器２ の底板に固定されている。

【００１５】 図２に示したように、絶縁スペーサ１０には、複数の通気孔１４，１４，…が 設けられ、これらの通気孔を通して碍管１内のガス空間と容器２内のガス空間と が連通させられている。

【００１６】 碍管１内にはアルミニウムなどからなる２次リード収納パイプ９が配置され、 該パイプの下端はベースＢに固定されている。パイプ９の上端は絶縁スペーサ１ ０の貫通導体１１に接続されている。

【００１７】 容器２内には、中空環状のシールドケース６が、その軸線を水平方向に向けた 状態で配置され、該シールドケース６は絶縁スペーサ１０の貫通導体１１に連結 金具１２を介して固定されている。

【００１８】 シールドケース６内には、リング状の鉄心４にトロイダル状に均一に分布巻き された２次コイル５が、複数個横方向に並べて配置され、これらの２次コイルか ら引き出された２次リード線は、絶縁スペーサの貫通導体１１の中空部と２次リ ード収納パイプ９内とを通してベースＢ内に設けられた端子箱２０まで導かれて いる。鉄心４、２次コイル５及びシールドケース６により２次コイルユニット７ が構成されている。

【００１９】 容器２内にはまた、シールドケース６の軸心部を貫通して水平方向にのびる１ 次導体３が収納され、該１次導体３の一端は容器２を気密に貫通して外部に導出 され、他端は容器２に絶縁ブッシング２１を介して取り付けられた導体２２に接 続されている。１次導体３の一端は容器２に電気的に接続され、これにより容器 ２が１次導体３と同電位に保たれている。容器２の上部には、放圧装置３４が取 付けられている。ガス容器２内及び碍管１内にはＳＦ₆ ガスが所定の圧力で封入 されている。

【００２０】 また碍管１の上端部の内側には環状の電界緩和用シールド２３が設けられ、こ の電界緩和用シールド２３の電位はガス容器２の電位に固定されている。

【００２１】 上記のように、絶縁スペーサ１０を貫通させて通気孔を設けると、絶縁スペー サ１０の両側のガス空間を連通させることができ、碍管１内と容器２内との間で ガスを流通させることができる。

【００２２】 そのため、内部で閃絡事故が生じた際の内圧の上昇を抑制することができ、爆 発事故が生じる恐れを無くすことができる。

【００２３】 上記の実施例では、コニカル形（円錐形）の絶縁スペーサを用いたが、ディス ク形（円盤形）の絶縁スペーサを用いる場合にも同様に本考案を適用できる。

【００２４】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、２次コイルユニットを支持する絶縁スペーサ を貫通させて通気孔を設けたので、絶縁スペーサの両側のガス空間を連通させる ことができ、両ガス空間の間でガスを流通させることができる。従って内部で閃 絡事故が生じたときの内圧の上昇を抑制することができ、爆発事故が生じる恐れ を無くすことができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示した縦断面図である。

【図２】本考案の実施例で用いる絶縁スペーサの斜視図
である。

【図３】従来の変流器の要部を示す断面図である。

【図４】従来の他の変流器の要部を示す断面図である。

【符号の説明】

１…碍管、２…容器、３…１次導体、４…鉄心、５…２
次コイル、６…シールドケース、７…２次コイルユニッ
ト、１０…絶縁スペーサ、１４…通気孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁ガスが充填された２つのガス空間の
   間の境界部に絶縁スペーサが設けられて該絶縁スペーサ
   の貫通導体に変流器の２次コイルユニットが支持され、
   前記２つのガス空間が相互に連通させられているガス絶
   縁変流器において、前記絶縁スペーサを貫通して通気孔
   が設けられていることを特徴とするガス絶縁変流器。