JPH0542975B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は著しく剛性が改善された発泡体、特に
は発泡シートまたは板に関する。 〔従来の技術〕 従来から、熱可塑性樹脂を発泡して軽量化する
とともにヒケをなくする方法は例えばプラスチツ
クス、第28巻第５号（1977年）、P5〜17で、また
熱可塑性樹脂に鱗片状無機質充填材を配合して機
械的性質、特に剛性および寸法変化を改善する方
法は例えば特開昭54−39451号および同54−
161667号公報で公知である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかし、熱可塑性樹脂を発泡させ軽量化する方
法では剛性が不足し、剛性確保の為には肉厚を厚
くする必要があること、熱可塑性樹脂に鱗片状無
機質充填材を配合する方法は無機質充填により比
重が大きくなり、熱可塑性樹脂単独と同一重量に
するには肉厚を薄くする必要がある等の欠点があ
つた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者は上記欠点を排除すべく鋭意検討の結
果、ポリオレフインに適切な平均粒径、平均アス
ペクト比を持つ鱗片状無機質充填材を混合した組
成物を発泡せしめることにより、低比重で高剛性
かつ高耐衝撃性の発泡シートおよび板等の発泡体
が得られるという新しい事実を見出し、本発明を
完成するに至つた。 すなわち、本発明は、ポリオレフイン(A)と鱗片
状無機質充填材(B)との混合物を基材とする発泡体
であつて、前記鱗片状無機質充填材(B)の平均粒径
が10〜2000ミクロン、平均アスペクト比が10以上
であり、かつ前記ポリオレフイン(A)に対する鱗片
状無機質充填材(B)の重合割合（Ｂ／Ａ）が10／90
〜50／50である発泡体、特に発泡シートまたは板
にある。なお、ここでシートとは厚さ１ミリメー
トル未満のもの、板とは厚さ１ミリメートル以上
のものをいう。 上記発泡体は、例えば、ポリオレフイン(A)と鱗
片状無機質充填材(B)を混合する際空気等の気体を
圧入する、いわゆる物理発泡によつて、またポリ
オレフイン(A)、鱗片状無機質充填材(B)および発泡
剤の混合物をつくり、該混合物について発泡−成
形処理もしくは成形−発泡処理を行うことによつ
て得られる。 本発明において用いられる代表的なポリオレフ
インとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルペンテン等が挙げられる。ポリオレフイ
ンは単独で用いても２種以上混合して用いてもさ
しつかえない。 本発明において用いられる代表的な鱗片状無機
質充填材としてはガラスフレーク、タルク、雲
母、グラフアイト等を用いることが出来るが、中
でも白雲母（マスコバイト）、金雲母（フロゴバ
イト）等で代表される雲母が好適である。とりわ
けカナダ産金雲母が最適である。 上記の鱗片状無機質充填材の形状因子に関して
は10〜2000ミクロンの平均粒径で、10以上の平均
アスペクト比を持つものがよい。鱗片状無機質充
填材の平均粒径10ミクロン未満で、平均アスペク
ト比10未満の場合では発泡シートまたは板の剛性
向上が望めなく、一方平均粒径2000ミクロンを超
える場合では発泡体が硬くなりすぎてもろくな
る。 なお、上記鱗片状無機質充填材は、ポリオレフ
インとの親和性、界面接着性を良くする為にカツ
プリング剤、変性剤等で処理られていてもよい。 本発明の発泡体、特に発泡シートまたは板を製
造するにあたつて用いられるポリオレフイン(A)と
鱗片状無機質充填材(B)との混合物またはさらには
ポリオレフイン(A)、鱗片状無機質充填材(B)および
発泡剤との混合物は例えばタンブラー等の混合機
によつて製造することができる。 ここで用いられる代表的な発泡剤としてはアゾ
ジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテ
トラミン、アゾイソブチロジニトリル、アゾジカ
ルボン酸バリウム、トルエンスルホニルヒドラジ
ド、ｐ，p′オキシビスベンゼンスルホニルヒドラ
ジド、重炭酸ナトリウム等が挙げられ、必要に応
じて発泡助剤、安定剤と併用される。 上記混合物を製造する際には、必要に応じて炭
酸カルシウム、クレー、カオリン、水酸化アルミ
ニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ砂粉末、フライ
アツシユ、スラグ粉末、石膏、ガラスビーズ等の
無機粉末、木粉、もみがら粉等の有機粉末、他の
可撓性附与剤、着色剤、難燃剤、劣化防止剤、紫
外線吸収剤、内部離型剤等を添加してもよい。 本発明においてポリオレフイン(A)に対する鱗片
状無機質充填材(B)の混合重量割合（Ｂ／Ａ）は
10／90〜50／50であり、15／85〜50／50の範囲内
にあるのが望ましい。該割合が10／90より小さい
と得られる発泡対の剛性向上が望めなくなり、一
方50／50より大きくなると発泡体の製造が困難と
なりやすい。 本発明の発泡体は種々の方法によつて製造され
る。例えば発泡シートまたは板の製造方法として
は押出機−シート引取機による方法、加熱プレス
成形法による方法、型枠内で固める方法、射出成
形による方法が挙げられる。発泡は物理発泡また
は化学発泡によつて行なわれるが、発法剤を用い
る化学発泡が好ましい。 本発明において、発泡体の発泡倍率は２〜６
倍、好ましくは２〜４倍である。発泡倍率が小さ
過ぎると発泡体の相対曲げ剛性が小さくなり、一
方発泡倍率が大き過ぎると曲げ弾性率が小さくま
た衝撃強度が小さくなり、もろい発泡体となり、
いずれにしても軽量化がはかれる効果を殺してし
まい、問題である。なお、本発明の発泡体の製造
にあたつては一度所望とする発泡倍率の数倍まで
発泡させたのち、プレス、延伸等により発泡倍率
を低下させ、２〜６倍の範囲内の所望の発泡倍率
としてもよい。 本発明の発泡体は種々の用途に用いられる。特
に発泡シートまたは板は、高剛性および高耐衝撃
性であること、さらには発泡による制振性、断熱
性に優れること、加えて鱗片状無機質充填材の使
用のために制振性、耐薬品性に優れること等を生
かして音響用振動板、自動車用内装材、断熱材お
よび建材等に好適に用いられる。 〔実施例〕 以下、実施例および比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はそれらに何ら限定され
るものではない。 実施例 １ ポリプロピレン樹脂〔宇部興産(株)製 Ｂ−
101H〕60重量部、平均粒径90ミクロン、アスペ
クト比50の雲母〔カナダ酸金雲母、(株)クラレ製ス
ゾライトマイカ200HK〕40重量部およびアゾジ
カルボンアミド系発泡剤〔大塚化学(株)製、ユニフ
オームAZ〕0.8重量部を良くブレンドし、単軸
押出機およびシート引取機を用いて厚さ３ミリメ
ートル、発泡倍率2.0倍の発泡シートを作成した。 得られたシートの性能を測定した結果を表１に
示す。比較例１、２、３および市販シート１と比
較して明らかに相対曲げ剛性が高いことがわか
る。 実施例 ２ ポリエチレン樹脂〔三井石油化学(株)製ハイゼツ
クス5000H〕85重量部、平均粒径1500ミクロン、
アスペクト比100の雲母〔カナダ産金雲母、(株)ク
ラレ製スゾライトマイカ20S〕15重量部、発泡剤
（ユニフオームAZ〕４重量部およびステアリン
酸亜鉛２重量部を良くブレンドし、単軸押出機で
短時間で厚さ４ミリメートル、発泡倍率２倍にシ
ート化した後、該シートを200℃に加熱し、すば
やくプレス機に取り付けた金型中に移し金型中で
発泡させて厚さ12ミリメートル、発泡倍率６倍の
板を作成した。 性能測定した結果を表１に示す。比較例３、市
販シート２と比較して明らかに相対曲げ剛性が高
いことがわかる。 実施例 ３ 金型中で圧縮して厚さ６ミリメートル、発泡倍
率３倍とすること以外は実施例２と同様にして発
泡板を作成した。 この板について性能測定した結果を表１に示
す。比較例４、市販シート２と較べて明らかに曲
げ弾性率、相対曲げ剛性が高いことがわかる。 比較例 １ ポリプロピレン樹脂（Ｂ−101H）95重量部、
雲母（スゾライトマイカ200HK）５重量部およ
び発泡剤（ユニフオームAZ）0.8重量部を良く
ブレンドし実施例１と同様な方法でシート化し厚
さ３ミリメートル、発泡倍率２倍の発泡シートを
作成した。 性能測定した結果を表１に示す。実施例１と比
較して明らかに曲げ弾性率が低く、相対曲げ剛性
が低いことがわかる。 比較例 ２ ポリプロピレン樹脂（Ｂ−101H）25重量部、
雲母（スゾライトマイカ200HK）75重量部およ
び発泡剤（ユニフオームAZ）1.0重量部をカワ
タ製作所製スーパーミキサーを用いて溶融混合し
た後210℃に加温された厚さ80ミリメートルのボ
ツクスの中に入れて発泡後急冷することにより厚
さ80ミリメートル発泡倍率２倍の板を作成した。 この板よりサンプルを切り出して性能測定した
結果を表１に示す。実施例１に較べて曲げ弾性率
は高いが相対曲げ剛性が低く、アイゾツト衝撃強
度が低いことがわかる。 比較例 ３ ポリプロピレン樹脂（Ｂ−101H）70重量部、
平均粒径３ミクロン、アスペクト比７の雲母粉砕
物〔カナダ酸雲母、(株)クラレ製スゾライトマイカ
粉砕品〕30重量部および発泡剤（ユニフオーム
AZ）0.8重量部を良く混合して実施例１と同様
な方法でシート化し厚さ３ミリメートル、発泡倍
率２倍の発泡シートを作成した。 この板に関して性能測定した結果を表１に示
す。実施例１に較べて明らかに曲げ弾性率および
相対曲げ剛性が低いことがわかる。 比較例 ４ ポリエチレン樹脂（ハイゼツクス5000H）85重
量部、５メツシユパス〜７メツシユオンで平均粒
径4000ミクロン、アスペクト比200の雲母〔(株)ク
ラレ製、スゾライトマイカ4S〕15重量部、ユニ
フオームAZ５重量部およびステアリン酸亜鉛
２重量部を実施例２と同様な方法で発泡させ、厚
さ12ミリメートル、発泡倍率12倍の板を作成し
た。 この板について性能を測定した結果を表１に示
す実施例２および３に較べて明らかに曲げ弾性
率、相対曲げ剛性、アイゾツト衝撃強度が低いこ
とがわかる。

〔発明の効果〕

本発明により、低比重、高剛性でしかも高耐衝
撃性の発泡体が得られる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ポリオレフイン(A)と鱗片状無機質充填材(B)と
   の混合物を基材とする発泡倍率２〜６倍の発泡体
   であつて、前記鱗片状無機質充填材(B)の平均粒径
   が10〜2000ミクロン、平均アスペクト比が10以上
   であり、かつ前記ポリオレフイン(A)に対する鱗片
   状無機質充填材(B)の重量割合（Ｂ／Ａ）が10／90
   〜50／50である発泡体。 ２ 発泡体が、厚さ0.2〜100ミリメートルのシー
   トまたは板である特許請求の範囲第１項記載の発
   泡体。