JPH0542938B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、射出筒内のスクリユーに背圧をかけ
た状態で、このスクリユーを回転させることによ
つて、射出筒内の樹脂を金型内のキヤビテイに充
填するフローモールデイング（イントルージヨ
ン）用射出成形機の運転方法に関する。

〔従来の技術〕

一般に、合成樹脂の射出成形法において、厚肉
成形品のヒケ、ボイド（気泡）、フローマーク
（年輪状のしま模様）、ウエルド等の成形不良を解
消する方法、あるいは射出容量の不足を補償する
方法として、フローモールデイング法を用いられ
ている。このフローモールデイング法は、射出筒
内のスクリユー回転により樹脂を金型内のキヤビ
テイの一部もしくは全部に充填し、さらに通常の
射出による樹脂の充填を行い、かつ保圧をかけて
成形品を得るものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上記フローモールデイング法は、特
殊な変形法に属するため、成形技術上難しい成形
法であるにもかかわらず、フローモールデイング
用射出成形機におけるフローモールデイング工程
中のスクリユー回転と背圧の条件設定は、それぞ
れ一段しか用意されておらず、条件設定に自由度
が乏しく、所望の品質の成形品を得にくいという
問題がある。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、フローモールデイング
工程中のスクリユー回転とスクリユーにかける背
圧を自由に選択することができ、キヤビテイ内へ
の樹脂の充填を円滑にかつ確実に行うことができ
る上に、各種の成形品の成形に柔軟に対応でき
て、所望の品質の成形品を得ることができるフロ
ーモールデイング用射出成形機の運転方法を提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は、射出筒
内に設けられたスクリユーに、射出する樹脂から
の押圧力を支える背圧をかけながら、このスクリ
ユーを前進移動させることなく回転させて樹脂を
射出するフローモールデイング射出成形機におい
て、上記スクリユーの回転数と、このスクリユー
にかける背圧とを複数段階に変化させて、キヤビ
テイ内への樹脂の充填を行い、充填終了時の背圧
状態でスクリユーが樹脂の押圧力により所定量後
退したとき、上記スクリユーに前進させる力を作
用させて金型のキヤビテイに保圧をかけるもので
ある。

〔作用〕

本発明のフローモールデイング用射出成形機の
運転方法にあつては、背圧をかけた状態のスクリ
ユーを回転することによつて金型内のキヤビテイ
に樹脂を充填する場合に、金型内を流動する樹脂
の状態に応じてスクリユー回転数及び背圧を適宜
切換えることにより、成形不良の発生を防止し、
かつキヤビテイ内に樹脂を確実に充填する。

〔実施例〕

以下、第１図と第２図に基づいて本発明の実施
例を説明する。

第１図は本発明の方法を実施するためのフロー
モールデイング用射出成形機の一例を示すもの
で、この図において符号１，２は、それぞれ、固
定盤３に取付けられた固定金型及び移動盤４に取
付けられた移動金型である。そして、この移動金
型２は、固定金型１に対して接近、離間自在に設
けられており、型締時に、両金型１，２間に製品
成形用のキヤビテイ５が形成されるようになつて
いる。また、固定盤３の射出入口６には射出筒７
の先端が嵌着されており、この射出入口６とキヤ
ビテイ５との間はスプルランナー８によつて連通
されている。そして、上記射出筒７の基端上部に
は、射出筒７内に樹脂を供給するホツパ９が配置
されている。さらに、射出筒７の内部にはスクリ
ユー１０が挿入されており、このスクリユー１０
の基端部は、支持板１１に取付けられた油圧モー
ター１２の回転軸１３に連結されている。さらに
また、上記射出筒７の基端部にはシリンダ１４が
配設されており、このシリンダ１４のピストンロ
ツド１５の先端部は上記支持板１１に取付けられ
ている。そして、上記シリンダ１４のピストンロ
ツド１５を前後進させることにより、支持板１
１、油圧モーター１２とともに、スクリユー１０
が射出筒７内を後退、前進するようになつてい
る。また、上記支持板１１に取付けられたラツク
１６には、ピニオン１７が噛合されており、この
ピニオン１７には、上記スクリユー１０の位置を
検出する検出器１８が連結されている。

上記シリンダ１４の上記支持板１１側の端部に
は、３位置切換弁１９のＡポートが連結されてお
り、シリンダ１４の固定盤３側の端部には油タン
クＴが連結されている。そして、上記油圧モータ
１２の一端には上記３位置切換弁１９のＢポート
が連結されており、油圧モータ１２の他端には油
タンクＴが連結されている。また、３位置切換弁
１９のＣポートには、油圧源２０から作動油を供
給されている比例電磁式流量制御弁２１が連結さ
れており、３位置切換弁１９のＤポートには比例
制御圧力制御弁２２が連結され、かつこの比例制
御圧力制御弁２２には油タンクＴが連結されてい
る。そして、上記３位置切換弁１９は、中立位置
において、ＢポートとＤポートとが連通され、か
つＡポートとＣポートとが遮断されると共に、ソ
レノイド１９ａの励磁により、ＡポートとＣポー
ト及びＢポートとＤポートがそれぞれ連通され
る。一方、ソレノイド１９ｂの励磁により、Ａポ
ートとＤポート及びＢポートとＣポートがそれぞ
れ連通されるように構成されている。

さらに、上記比例電磁式量制御弁２１には、ス
クリユー回転数設定部２３が電気的に接続されて
おり、このスクリユー回転数設定部２３には、ス
クリユー回転数を設定する回転数設定器Ｎ１，Ｎ
２，Ｎ３，Ｎ４と、これらの回転数設定器Ｎ１〜
Ｎ４によつて設定されたスクリユー回転数を順次
切換える時期を設定するタイマーＴ１，Ｔ２，Ｔ
３並びにスクリユーの位置を設定する位置設定器
Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３とが具備されている。また、上
記比例制御圧力制御弁２２には、背圧設定部２４
が電気的に接続されており、この背圧設定部２４
には、スクリユー１０にかける背圧を設定する背
圧設定器BP１，BP２，BP３，BP４と、これら
の背圧設定器BP１〜BP４によつて設定された背
圧を順次切換える時期を設定するタイマーＴ１
１，Ｔ１２，Ｔ１３並びにスクリユーの位置を設
定する位置設定器Ｓ１１，Ｓ１２，Ｓ１３とが具
備されている。さらにまた、符号SOは、通常射
出及び保圧工程に続く計量工程において、スクリ
ユー１０の後退位置を設定する位置設定器であ
る。

上記のように構成されたフローモールデイング
用射出成形機を用いて本発明の方法を実施する場
合には、型締完了後直ちに３位置切換弁１９のソ
レノイド１９ｂを励磁することにより、３位置切
換弁１９のＡポートとＤポート及びＢポートとＣ
ポートをそれぞれ連通させる。これにより、油圧
源２０から供給された作動油は、比例電磁式流量
制御弁２１によつて流量制御され、３位置切換弁
１９を介して油圧モータ１２に送られて、油圧モ
ータ１２を回転させながら、油圧モータ１２の回
転軸１３に連結されているスクリユー１０が回転
して、射出筒７内の溶融樹脂を、固定金型１内の
スプルランナー８を通つてキヤビテイ５内に注入
する。

この場合、あらかじめスクリユー回転数設定部
２３のタイマーＴ１に設定されている時間まで
は、回転数設定器Ｎ１に設定されたスクリユー回
転数に対応して、比例電磁式流量制御弁２１が制
御されることにより、上記スクリユー１０は、上
記回転数Ｎ１に設定された回転数で回転し、この
結果、射出筒７内から射出された溶融樹脂はスプ
ルランナー８内に充填される。次いで、上記タイ
マーＴ１に設定された時間が経過すると、スクリ
ユー１０は、回転数設定器Ｎ２に設定されたスク
リユー回転数に変更され、タイマーＴ２に設定さ
れた時間が経過するまでの間、このスクリユー回
転数によつて溶融樹脂を金型内に供給する。これ
により溶融樹脂は、スプルランナー８からキヤビ
テイ５の入口（ゲート）を通つて内部（第１図に
おいて符号２５で示す位置）に到達する。続い
て、上記タイマーＴ２に設定された時間経過後タ
イマーＴ３に設定された時間までは、回転数設定
器Ｎ３に設定されたスクリユー回転数によつてス
クリユー１０が制御されることにより、溶融樹脂
は、キヤビテイ５内の大部分（第１図において符
号２６で示す位置）に充填され、さらに、タイマ
ーＴ３に設定された時間経過後は、回転数設定器
Ｎ４に設定されたスクリユー回転数に変更され
て、キヤビテイ５内の残りの部分に溶融樹脂が充
填される。

一方、上記充填過程において、上記３位置切換
弁１９のソレノイド１９ｂが励磁され、３位置切
換弁１９のＡポートとＤポートとが連通すること
により、シリンダ１４内の作動油は、比例制御圧
力制御弁２２の設定圧力を越えると、シリンダ１
４の支持板１１側の端部から流出し、３位置切換
弁１９、比例制御圧力制御弁２２を通つて油タン
クＴに戻される。これにより、回転中のスクリユ
ー１０には、シリンダ１４のピストンロツド１
５、支持板１１、油圧モータ１２の回転軸１３を
介して上記設定圧力が背圧としてかかる。

例えば、溶融樹脂がスプルランナー８に充填さ
れる時間（タイマーＴ１１に設定された時間）ま
では、背圧設定器BP１に設定された背圧によつ
てスクリユー１０を制御した後、溶融樹脂がゲー
ト近傍を通過する間（タイマーＴ１２に設定され
た時間）は、上記背圧設定器BP１に設定された
背圧より低い背圧を背圧設定器BP２に設定する
ことにより、スクリユー１０を後退させながら金
型内に溶融樹脂を少しずつ供給する。これによ
り、ゲート近傍において、溶融樹脂の超低速低圧
充填が行われ、フローマーク等の成形不良が確実
に防止される。次いで、溶融樹脂がキヤビテイ５
内に供給された後（タイマーＴ１２に設定された
時間経過後）は、背圧を背圧設定器BP３に設定
された圧力まで上昇させることにより、キヤビテ
イ５の末端まで溶融樹脂を充填していく過程にお
いては、スクリユー１０が後退しない背圧をスク
リユー１０にかける。タイマーＴ１３に設定され
た時間経過時点でキヤビテイ５が充填完了する。
次いで、背圧設定器BP４に設定された背圧でキ
ヤビテイ５に圧力をかけつつ溶融樹脂を充填して
行くが、既にキヤビテイ５は充填完了しているた
め溶融樹脂の圧力は上昇しスクリユーは後退して
行く。この後退時、スクリユー位置がSOに一致
した時点でスクリユー回転を停止せしめ即時射出
工程に移しキヤビテイ５に保圧をかける（３位置
切換弁１９のソレノイド１９ｂを消磁し、ソレノ
イド１９ａを励磁する）。

このようにして、フローモールデイング法によ
る溶融樹脂のキヤビテイ５内への充填と通常射出
による若干の保圧を行つた後に、金型内を冷却す
る。次いで、金型内の成形品の冷却が完了した
後、両金型１，２間を開いて成形品を取り出す。

上述したように成形品を成形した場合には、フ
ローモールデイング工程において、タイマーＴ１
〜Ｔ３、Ｔ１１〜Ｔ１３によつて、順次、回転数
設定器Ｎ１〜Ｎ４、背圧設定器BP１〜BP４に設
定されたスクリユー１０の回転数及びスクリユー
１０にかかる背圧を切換えることにより、ゲート
近傍における溶融樹脂の超低圧速充填の実施等、
樹脂の性状あるいはキヤビテイ５の構造に応じた
樹脂の充填操作が円滑に行え、成形不良が生じる
ことがなく、かつ所望の品質の成形品を確実に得
られる。

なお、より高度な油圧制御を行う場合には、上
記比例電磁式流量制御弁２１、比例制御圧力制御
弁２２の代わりにサーボ弁を使用してもよい。さ
らに、スクリユー回転設定部２３及び背圧設定部
２４の各設定器Ｎ１〜Ｎ４、BP１〜BP４、Ｓ１
〜Ｓ３、Ｓ１１〜Ｓ１３、各タイマーＴ１〜Ｔ
３、Ｔ１１〜Ｔ１３の個数は、この実施例に限ら
れることなく、要するにスクリユー回転数及び背
圧が複数段に変更できればよい。

また、第２図は本発明の第２実施例を示すもの
で、この第２実施例は、第１図に示す上記第１実
施例の比例電磁式流量制御弁２１と比例制御圧力
制御弁２２のに代わりに、２つの３位置切換弁３
０，３１と、これらの３位置切換弁３０，３１に
より切換制御される３つずつの手動設定式の流量
調整弁３２，３３，３４及び圧力制御弁３５，３
６，３７とを設けたものである。そして、上記３
位置切換弁３０が中立位置の場合に、上記３位置
切換弁１９のＢポートと第１の流量調整弁３２と
が連通され、３位置切換弁３０のソレノイド３０
ａ，３０ｂがそれぞれ励磁された場合に、３位置
切換弁１９のＢポートと第２、第３の流量調整弁
３３，３４とがそれぞれ連通されるように構成さ
れている。また、上記３位置切換弁３１が中立位
置、ソレノイド３１ａ，３１ｂの励磁位置におい
て、３位置切換弁１９のＤポートと各圧力制御弁
３５，３６，３７とがそれぞれ連通されるように
なつている。

そして、型示完了後、３位置切換弁１９のソレ
ノイド１９ｂを励磁して、３位置切換弁１９のＡ
ポートとＤポート、ＢポートとＣポートをそれぞ
れ連通させた状態において、タイマーにより、順
次、各３位置切換弁３０，３１を中立位置、ソレ
ノイド３０ａ，３１ａの励磁位置、ソレノイド３
０ｂ，３１ｂの励磁位置に切換えると、油圧源２
０から供給された作動油が、各３位置切換弁１
９，３０を介して、順に、各流量調整弁３２，３
３，３４で流量調整されて油圧モータ１２に送ら
れ油圧モータ１２（スクリユー１０）を回転させ
ると共に、シリンダ１４内の作動油が、各圧力制
御弁３５，３６，３７の設定圧力を越えると、各
３位置切換弁１９，３１を介して、順に各圧力制
御弁３５，３６，３７を通つて油タンクＴに戻さ
れて、回転中のスクリユー１０に、各圧力制御弁
３５，３６，３７にあらじめ手動設定された圧力
に応じた背圧がかかる。これにより、上記第１実
施例と同様にして、フローモールデイング工程中
のスクリユー１０の回転数及びスクリユー１０に
かかる背圧が適宜最適の値に変更され、各種の成
形品に柔軟に対応して所望の品質の製品が得られ
る。

なお、上記各実施例においては、スクリユー回
転数及び背圧の切換をタイマーによつて行つてい
るが、位置設定器Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ１１，Ｓ
１２，Ｓ１３によつて設定されたスクリユー位置
によつて切換えてもよい。

この場合には、検出器１８によつて検出される
スクリユーの移動位置が回転数設定部２３、背圧
設定部２４に入力され、該スクリユーの位置が予
め位置設定器Ｓ１〜Ｓ３，Ｓ１１〜Ｓ１３に設定
された位置に達すると、該位置に対応したスクリ
ユーの回転数及び背圧に変更されてスクリユー１
０が自動的に制御される。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は、射出筒内に設
けられたスクリユーに、射出する樹脂からの押圧
力を支える背圧をかけながら、このスクリユーを
前進移動させることなく回転させて樹脂を射出す
るフローモールデイング射出成形機において、上
記スクリユーの回転数と、このスクリユーにおけ
る背圧とを複数段階に変化させて、キヤビテイ内
への樹脂の充填を行い、充填終了時の背圧状態で
スクリユーが樹脂の押圧力により所定量後退した
とき、上記スクリユーに前進させる力を作用させ
て、金型のキヤビテイに保圧をかけるものである
から、金型内のキヤビテイに充填するものである
から、金型内を流動する樹脂の状態に応じてスク
リユー回転数及び背圧を適宜切換えることによ
り、キヤビテイ内への樹脂の充填を円滑にかつ確
実に行うことができる上に、例えば、ゲート近傍
において超低速低圧の樹脂充填が可能となると共
に、それ以降の樹脂の充填を比較的早く行うこと
ができることにより、成形不良を防止でき、かつ
成形サイクル時間を短縮でき、しかも各種の成形
品の形状に柔軟に対応できて所望の品質の成形品
を容易に得ることができる。また、充填抵抗に見
合つた背圧設定が可能となるから、スクリユー関
係部品への負荷の軽減を図ることができると共
に、樹脂に無用な高剪断力をかけることなく成形
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す概略構成
図、第２図は本発明の第２実施例を示す油圧制御
部の回路図である。 １……固定金型、２……移動金型、５……キヤ
ビテイ、７……射出筒、１０……スクリユー、２
１……比例電磁式流量制御弁、２２……比例制御
圧力制御弁、３０，３１……３位置切換弁、３
２，３３，３４……流量調整弁、３５，３６，３
７……圧力制御弁、Ｎ１〜Ｎ４……回転数設定
器、BP１〜BP４……背圧設定器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 射出筒内に設けられたスクリユーに対し、そ
   の基端部方向に作用する樹脂の押圧力を支える背
   圧をかけながら、このスクリユーを軸方向に前進
   移動させることなく回転させることにより、ホツ
   パより上記射出筒に供給される樹脂を、スクリユ
   ーの先端側に可塑化しながら移送して、上記射出
   筒に連結された金型のキヤビテイに充填するフロ
   ーモールデイング用射出成形機の運転方法におい
   て、 上記スクリユーの回転数と、このスクリユーに
   かける背圧とを複数段階に変化させて、キヤビテ
   イ内への樹脂の充填を行い、充填終了時の背圧状
   態でスクリユーが樹脂の押圧力により所定量後退
   したとき、上記スクリユーに前進させる力を作用
   させて、金型のキヤビテイに保圧をかけることを
   特徴とするフローモールデイング用射出成形機の
   運転方法。