JPH0542675U - 中間歯車付始動電動機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中間歯車の内径部に固着された軸受を、大き
い負荷に耐え、損傷が減少され長寿命にする。 【構成】 中間歯車２７の内径部に金属裏金付軸受４０
を固着し、この軸受の軸方向の中間部に設けた潤滑剤だ
め４１に潤滑剤を充てんし、上記内径部両端にダストシ
ール４２、４３を装着したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車両に用いられる中間歯車付始動電動機に関し、特に中間歯車の 軸受部の封止にかかわる。

【０００２】

【従来の技術】

図３は従来の中間歯車付始動電動機の縦断面図である。１は直流電動機で、電 機子２から回転軸３が出され、固定子４の継鉄５内に界磁極６が取付けられてい る。７は継鉄５に結合された前ブラケットで、軸受８を介し回転軸３の前端部を 支持している。

【０００３】 １０は回転軸３に軸方向にしゅう動自在に支持されたオーバランニングクラッ チで、次のように構成されている。１１は回転軸３の外周部にヘリカルスプライ ン９により結合され、回転伝達するクラッチアウタ、１２はクラッチアウタ１１ にローラ１３を介し一方向回転が伝えられるクラッチインナで、スリーブ軸受１ ９を介し回転軸３に支持されている。クラッチインナ１２の前端部にはピニオン １４が一体に形成されている。１５は当て板１６を介しクラッチアウタ１１にか しめ付け固定されたクラッチカバー、１７はクラッチアウタ１１に取付けられた 係止環で、クラッチアウタ１１の段付部との間に係合溝１８を形成している。２ ０は回転軸３に取付けられ、オーバランニングクラッチ１０の前進位置を規制す るストッパである。

【０００４】 ２１は中間の支点部が前ブラケット７と、継鉄５に取付けられたグロメット２ ２に圧縮ばね２３を介し受けられた受け体２４とに支持されたシフトレバーで、 二またになった下端部が係合溝１８に軸方向に係合している。シフトレバー２１ は、電動機１上の電磁スイッチのプランジャ（図示しない）の先端部に、上端部 が軸方向に係合しており、支点部を中心として回動される。

【０００５】 ２５は回転軸３と平行に前ブラケット７に固定された中間軸、２６は前ブラケ ット７の中間軸用穴に連通する穴にはめられたグロメット、２７は内周部に固定 されたスリーブ軸受２８を介し中間軸２５に回転及び軸方向のしゅう動可能に支 持された中間歯車で、ピニオン１４とかみ合っている。スリーブ軸受２８は無給 油の焼結合金からなる。２９はクラッチカバー１５の外周に固着された環状連動 体で、つば部２９ａが中間歯車２７のボス部外周の係合溝２７ａに軸方向に係合 している。オーバランニングクラッチ１０の前進、後退に応じ、環状連動体２９ を介し中間歯車２７を前進、後退させる。３０は内燃機関のフライホイールに設 けられたリングギヤで、中間歯車２７の前進によりかみ合わされ、始動回転され る。

【０００６】 次に動作を説明する。電磁スイッチの励磁コイルに通電すると、プランジャが 吸引されシフトレバー２１を図３において反時計方向に回動させる。これにより 、オーバランニングクラッチ１０が前進移動され、ストッパ２０に受止められる 。オーバランニングクラッチ１０の前進で、環状連動体２９を介して中間歯車２ ７が前進移動され、リングギヤ３０にかみ合う。ついで、電磁スイッチの固定接 点が閉成され、直流電動機１の回路に通電され電機子２が始動回転し、回転軸３ の回転がオーバランニングクラッチ１０からピニオン１４を経て中間歯車２７に 伝達され、この回転がリングギヤ３０に伝達され内燃機関を始動させる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の中間歯車付始動電動機では、中間歯車２７にはピニオン１ ４とリングギヤ３０とのかみ合いで、スリーブ軸受２８には１対の歯車のかみ合 いに比べ約２倍の力が加わる。スリーブ軸受２８は焼結合金からなり、機械的強 度が一般の軸受より弱いので、寿命が低下するという問題点があった。特に電機 子２の回転を遊星歯車減速装置を介しオーバランニングクラッチに伝える手段の 場合、トルクが大きくなり、スリーブ軸受２８の寿命がいっそう低下することに なる。また、前ブラケット７は中間歯車２７部のため、大きな開口部を設けてあ り、外部のじんあいが中間軸２５に付着し、これがスリーブ軸受２８の軸受面に 侵入し、損傷するという問題点があった。

【０００８】 この考案は、このような問題点を解決するためになされたもので、中間歯車の 内径部の軸受を、機械的強度が大で、損傷が低減され長寿命にした中間歯車付始 動電動機を得ることを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案にかかる中間歯車付始動電動機は、中間歯車の内径部に金属裏金付軸 受を固着し、この軸受の軸方向中間部にグリースだめを設け、中間歯車の内径部 両端にダストシールを装着したものである。

【００１０】

【作用】

この考案においては、中間歯車を支持する金属裏金付軸受は、機械的強度が大 きく、充てんされた潤滑剤がダストシールにより漏れがなくされ、かつ、じんあ いの侵入が防止され、損傷が減少され、長寿命になる。

【００１１】

【実施例】

実施例１． 図１はこの考案による中間歯車付始動電動機の要部縦断面図であり、１〜２７ 、２９、３０、２７ａ、２９ａは図３と同様である。４０は中間歯車２７の内径 部に固着された金属裏金付軸受で、従来の焼結合金からなるスリーブ軸受２７に 比べ機械的強度が大である。４２、４３は中間歯車２６の内径部の両端に装着さ れたダストシールで、外部のじんあいの侵入を防止するとともに、内部のグリー スなどの潤滑剤の漏れを防いでいる。金属裏金としては例えば鋼管、黄銅管など を用いる。

【００１２】 金属裏金付軸受４０及びダストシール４２、４３を装着した中間歯車２７内径 部を、図２に拡大図で示す。軸受４０は軸方向に２分割され、双方間に潤滑剤だ め４１が設けられ、グリースなどの潤滑剤が充てんされている。なお、軸受４０ として分割せず一体のものにし、軸方向の中間部に、軸受金に環状溝を設け、潤 滑剤だめとしてもよい。ダストシール４２はゴム材からなるリップル４２ａが１ 箇所設けられ内方に向けられ、潤滑剤を封止するとともにじんあいの侵入を防い でいる。ダストシール４３はゴム材からなるリップル４３ａと４３ｂとが設けら れ、リップル３４ａは内方に向けられ潤滑剤を封止し、リップル３４ｂは外方に 向けられじんあいの侵入を防いでいる。なお、両方ともダストシール４３を用い てもよい。

【００１３】 これらダストシール４２、４３により、じんあいの侵入を防止するとともに、 潤滑剤の漏出が防がれ、軸受４０の損傷が減少され、長寿命に使用される。特に 遊星歯車減速装置が設けられた場合、中間歯車２７に大きいトルクが加わり、軸 受４０に大きい力が作用するが、これに耐え信頼度高く使用される。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、中間歯車の内径部に金属裏金付軸受を固着 し、この軸受の軸方向の中間部に潤滑剤だめを設け潤滑剤を充てんし、中間歯車 の内径部両端にダストシールを装着したので、上記軸受が中間歯車の大きい負荷 に耐え、損傷が減少され寿命が延長される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による中間歯車付始動電動機の一実施
例の要部縦断面図である。

【図２】図１の金属裏金付軸受を固着した中間歯車の内
径部の拡大断面図である。

【図３】従来の中間歯車付始動機の要部縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 直流電動機 ３ 回転軸 10 オーバランニングクラッチ 14 ピニオン 21 シフトレバー 25 中間軸 27 中間歯車 30 リングギヤ 40 金属裏金付軸受 41 潤滑油だめ 42、43 ダストシール

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直流電動機の回転軸の回転を、オーバラ
   ンニングクラッチにより一方向回転でピニオンに伝え、
   前ブラケットに保持された中間軸に、軸受を介し回転及
   び前進、後退可能に支持され、上記ピニオンにかみ合っ
   た中間歯車を、前進により内燃機関のリングギヤにかみ
   合わさせ始動させるようにした始動電動機において、 上記中間歯車の内径部に固着され、軸方向の中間部に潤
   滑剤だめが設けられており、上記中間軸に支持された金
   属裏金付軸受、及び中間歯車の内径部両端に装着された
   ダストシールを備えたことを特徴とする中間歯車付始動
   電動機。