JPH0542538B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は原子炉建屋等大規模建物の耐力壁
を、プレキヤストした鋼板コンクリート壁を現場
で接合して構成するプレキヤスト鋼板コンクリー
ト壁の接合方法に関するものである。

（発明が解決しようとする問題点） 原子炉建屋等壁厚の大きい耐力壁は現場施工さ
れるのが一般的であるが、現場作業の能率向上の
ためプレキヤスト鋼板コンクリート壁を現場で接
合する方法が採られる。この場合の接合は、壁面
から接合端面に突出した鋼板同士を溶接すること
により行なわれる。

ところがこの鋼板を溶接する方法では作業が煩
雑となり、工程が増すため工期の短縮、能率の向
上を図ることが難しく、プレキヤスト造としての
利点を十分に生かせない。

この発明はプレキヤスト造の利点を生かす目的
からなされたもので、簡便な手段で現場作業の迅
速化を図ろうとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明ではプレキヤスト鋼板コンクリート壁相
互の接合部に鉄筋籠を設置し、次いでコンクリー
トを打設することにより接合を行なう。

鉄筋籠は主筋である縦筋とフープ及びスパイラ
ル筋からなり、鋼板コンクリート壁の接合端面に
はループ筋が水平に突設されており、接合は鉄筋
籠と鋼板コンクリート壁を所定の位置に設置後、
通し筋をループ筋、フープ及びスパイラル筋に挿
通させて配筋し、コンクリートを打設するもので
ある。

（実施例） 以下この発明を実施例を示す図面とともに説明
する。

この接合方法は鉄筋籠Ａを所定の接合部ａに設
置し、プレキヤスト鋼板コンクリート壁Ｂ（以下
SC壁Ｂ）を鉄筋籠Ａを挾んで相互に突合せて配
置するとともに、通し筋Ｃを配筋してコンクリー
トＤを打設するものである。

鉄筋籠Ａは主筋である縦筋１を取り巻くように
フープ２及びスパイラル筋３を配して形成され、
縦筋１の継手部にはカプラー４を装着している。

SC壁Ｂは両壁面５，５が鋼板であり、この鋼
板が型枠となり、壁面５，５間にコンクリート６
を充てんして構成される。また接合端面７にはル
ープ筋８が水平に突設され、縦に複数配列してい
る。このSC壁Ｂは主に工場においてコンクリー
ト６を充てんして製作されるが、コンクリート６
は現場で接合部ａのコンクリートＤ打設時と同時
に打設してもよい。

通し筋ＣはSC壁Ｂをループ筋８において鉄筋
籠Ａに係合させるために配筋され、縦筋１と平行
にループ筋８、フープ２及びスパイラル筋３に挿
通する。

接合手順は次の通りである。

第２図に示すようにまず鉄筋籠Ａを接合部ａに
吊込んで設置し、SC壁Ｂをループ筋８がフープ
２及びスパイラル筋３と互い違いとなるように、
ループ筋８をフープ２，２間及びスパイラル筋３
のピツチ間に挿入して配置する。次いで通し筋Ｃ
を配筋し型枠を組んでコンクリートＤを打設す
る。

接合部ａにおけるSC壁Ｂの配置の仕方は建物
の形状、接合箇所に応じ、第３図乃至第８図に示
す通りとなる。

第３図は直線部、第４図はコーナー部、第５図
はＴ字型部、第６図及び第７図は十字型部、第８
図は八字型部の接合例をそれぞれ示したものであ
る。各接合部ａ、すなわちSC壁Ｂの配置の仕方
に応じて通し筋Ｃの本数、配筋箇所を、またそれ
に伴い鉄筋籠Ａの組み方を調整する。また第４
図、第７図のように壁面５の鋼板を接合端面７か
ら突出させてSC壁Ｂを製作し、コンクリートＤ
の打設の際に突出した鋼板を型枠として使用する
ことができる。

第９図、第１０図は接合端面７の詳細を示した
ものである。

SC壁Ｂの接合端面７は両壁面５，５と同じく
鋼板で構成され、また製作の際の型枠を兼ねてい
る。接合端面７にはコンクリートＤとの付着を高
めるジベル９と水平に突設されるループ筋８が溶
接等により接合される。第１０図はループ筋８の
接合例を示したもので、ここでは両壁面５，５の
内側に接合された形鋼１０に、ループ筋８のアン
カー部８ａを接合端面７に貫通させて溶接してあ
る。ループ筋８は接合端面７に強固に接合されて
いればよいので他の溶接手段でも勿論よく、また
アンカー部８ａを接合端面７に貫通させてコンク
リート６中に埋設して設ける方法でもよい。ジベ
ル９についても同様である。

（発明の効果） この発明は以上の構成からなり、現場作業はプ
レキヤスト製の鉄筋籠と鋼板コンクリート壁の設
置と通し筋の配筋及びコンクリートの打設のみで
あるから、施工は合理化され、それにより工期の
短縮化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施による建物例を示した概
略図であり、第２図は施工手順を示した正面図と
断面図である。第３図は本発明の実施例を示した
断面図と正面図であり、第４図乃至第８図は他の
実施例を示した断面図である。第９図−は鋼板
コンクリート壁の接合部を示した平面図であり、
はその縦断面図、は正面図である。第１０図
はループ筋の溶接例を示した断面図である。 Ａ：鉄筋籠、Ｂ：プレキヤスト鋼板コンクリー
ト壁、Ｃ：通し筋、Ｄ：コンクリート、ａ：接合
部、１：縦筋、２：フープ、３：スパイラル筋、
４：カプラー、５：壁面、６：コンクリート、
７：接合端面、８：ループ筋、８ａ：ループ筋の
アンカー部、９：ジベル、１０：形鋼。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 縦筋とフープ及びスパイラル筋で形成された
   鉄筋籠を所定の接合部に設置した後、両壁面が鋼
   板で構成され、壁面間にコンクリートが充てんさ
   れるとともに、接合端面に複数のループ筋が水平
   に突設されたプレキヤスト鋼板コンクリート壁を
   接合部に相互に突合せて配置し、次いで通し筋を
   フープ、スパイラル筋及びループ筋に挿通してコ
   ンクリートを打設することを特徴とするプレキヤ
   スト鋼板コンクリート壁の接合方法。