JP3643809B2 - プレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプレキャストコンクリート基礎ブロック、更に詳しくは、建築物等の土台を受ける基礎を構築するためのプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プレキャストコンクリート製品である基礎ブロックを使用して一体の基礎を構築する場合、内部に埋設した鉄筋の端部を基礎ブロックの接合部端面から突出させ、接合する基礎ブロック同士の接合部端面から突出した前記鉄筋を重ねて溶接する方法や、基礎ブロックの端部にアンカーを埋設し、該アンカーに螺合したボルトを締め付けで取付けた連結プレートを介して接合する基礎ブロック同士を連結する方法、或いは、基礎ブロックの接合部にフロントアンカー支柱を打ち込み、該フロントアンカー支柱の内部に連結金具を落とし込んで連結する方法等で行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基礎ブロックの接合部端面から突出する鉄筋同士を現場で溶接する方法は、接合する両基礎ブロックの前記鉄筋を互いに近接させなければならず、基礎ブロックの位置決めに熟練を要するといった問題点がある。また、連結プレート又は連結金具を介して連結する方法は、該連結プレート又は連結金具と基礎ブロックに埋設したアンカーの位置を現場において一致させることは困難であるとゝもに、金具の制作費も高価であるといった問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決した基礎ブロックの連結構造を提供することを目的としたものであり、その要旨は、垂直に立設した起立部と、該起立部の下端に一体に形成した水平なフーチング部とからなる縦断面がほゞ倒立T字型で、接合部端面に開口する縦溝部を備えたプレキャストコンクリート基礎ブロックを前記接合部端面を接合して配設し、対向配置した前記接合部端面の間に形成される空間部内にジョイント筋を配設 するとゝもに、コンクリート又はモルタルを打設して一体化するプレキャストコンクリート基礎ブロック同士の連結構造であって、前記縦溝部の深さは前記起立部の上端面から前記フーチング部の内部まで達する長さであり、且つ前記縦溝部の前記接合部端面からの長さは前記ジョイント筋の鉄筋径の20〜40倍の大きさである構成としたことを特徴とするプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造等にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態により詳細に説明する。図1乃至図4に示すものは本発明に係る基礎ブロックの一実施形態で、予め工場生産したプレキャストコンクリート製品であり、図中、A,B,C及びDはそれぞれ、平面視がI字型,L字型,T字型及び十字型の基礎ブロックである。これらの基礎ブロックA〜Dはいづれも、垂直に立設した起立部1と、該起立部1の下端に一体に形成した水平なフーチング部2とからなる縦断面がほゞ倒立T字型のブロックであり、該ブロックの内部には補強鉄筋(図示せず)が埋設されている。
【0006】
3は前記起立部1の幅方向中央に形成した縦溝部で、前記起立部1の全長にわたって形成されており、該起立部1と平面視が同一形状のI字型,L字型,T字型及び十字型にそれぞれ形成された前記縦溝部3の上方及び側方は、前記起立部1の上端面1a及び側端面1bにそれぞれ開口しているとゝもに、前記縦溝部3の下端3aは前記フーチング部2の内部の補強鉄筋上部まで延びている。すなわち、前記縦溝部3の深さ(H)は、前記起立部1の上端面1aからフーチング部2の内部の下端3aまでの長さとしている。
【0007】
図5乃至図8に示すものはそれぞれ基礎ブロックの他の実施形態で、同図において、A,B,C及びDはそれぞれ前記基礎ブロックA,B,C及びDと対応する実施形態のものである。これらの基礎ブロックA,B,C及びDと前記基礎ブロックA,B,C及びDとは基本的に同一構造のものであり、前記縦溝部3Aが起立部1の全長にわたって形成されていない点において相違するのみである。
【0008】
詳述すると、基礎ブロックAにあっては、その縦溝部3Aは前記起立部1の長手方向のほゞ中央において中実部4で仕切られており、その他の基礎ブロックB,C及びDにあっては、コーナー部に設けた中実部4で仕切られた縦溝部3Aがそれぞれ形成されている。従って、前記縦溝部3を仕切っている前記中実部4の縦溝部3方向の長さが長い場合には、図12に示す基礎ブロックAー2のように、前記縦溝部3より長さが短い縦溝部3Aが形成された構造、すなわち、基礎ブロックの接合部のみに縦溝部3Aを形成した構造のものとなる。
【0009】
図9乃至図11に示すものは、前記基礎ブロックA〜Dを連結する際に使用するジョイント筋の実施形態であり、図9(イ)は主筋5aとせん断筋5bとを溶接等によって形成した格子状のジョイント筋5、図10(イ)は主筋6aとせん断筋6bとを溶接等によって格子状に形成するとゝもに、上下に位置する主筋6a,6aの両端部をそれぞれ内側方向に直角に折り曲げてフック部6c,6cを形成したジョイント筋6であり、更に、図11に示すものは、各2本の鉄筋からなる主筋7aを所定の間隔をおいて平行に三段配設するとゝもに、該主筋7a間に巻き回したせん断筋7bを前記主筋7aに溶接等によって一体に成形した構造のジョイント筋7である。
【0010】
ここで、図10に示すフック部6cを形成した前記ジョイント筋6を使用した場合、図9に示すフック部6cのないジョイント筋5を使用する場合よりも前記縦溝部3Aの長さ(L)を約2/3倍まで縮小することができる。例えば、各基礎ブロックA〜Dの縦溝部3Aの長さ(L)を一定の長さにしなければならない場合、上部荷重の大小でジョイント筋の鉄筋径を変える必要が生じるが、太径の鉄筋を使用したジョイント筋の端部にフック部を形成することによりジョイント筋の長さを短くすることができるので、基礎ブロックに設ける縦溝部3Aの長さ(L)を上部荷重にあわせて変化させずに、同一長さの縦溝部3Aをそれぞれ備えた基礎ブロックを使用することができる。
【0011】
また、前記縦溝部3Aの長さ(L)は、前記基礎ブロックA〜Dの連結時に使用するジョイント筋5〜7を構成する主筋5a〜7aやせん断筋5b〜7bの鉄筋径の20〜40倍とする。これは、鉄筋コンクリート構造計算基準で規定された必要付着長さ1db=σ/Kfψ(σ:付着検定断面位置における短期、長期荷重時の鉄筋存在応力度、A:当該鉄筋の断面積、ψ:当該鉄筋の周長、f:許容付着応力度、K:鉄筋配置と横補強筋により修正係数)により重ね継手長さが決定されるが、この計算により、縦溝部3Aの長さ(L)が鉄筋径の20倍以上となるからである。しかし、40倍以上としてもジョイント筋の長さが必要以上に大きなものとなり経済的に好ましくない
【0012】
次に、本発明に係る基礎ブロックの連結方法を、前記図5乃至図8に示す実施形態の基礎ブロックA〜Dを組み合わせ、互いに隣接する基礎ブロックA〜Dを前記ジョイント筋6を介して連結し、一体とした建築物等の基礎を構築する場合について、図12により説明する。まず、地盤を掘削した後、該掘削溝内に投入した割栗石を転圧して水平な床Gを形成する。そして、該床Gの上に、接合する側端面1b同士を突き合わせながら前記基礎ブロックA〜Dを設計通りに敷設していく。
【0013】
基礎ブロックA〜Dを上記のようにして敷設した後、各基礎ブロックに形成した前記縦溝部3Aの接合部端面1b,1bをそれぞれ突き合わせ、該接合部端面1bにそれぞれ開口する縦溝部3Aの開口部を接合させることにより形成された空間部S内に、起立部1の上端面1a側の開口部から前記ジョイント筋6を挿入する。ここで、図9及び図10に示すジョイント筋5,6にあっては、同図の(ロ)に示すように、各ジョイント筋5,6をそれぞれ2枚重ね合わせて、又図11に示すジョイント筋7にあっては1枚をそれぞれ使用するが、各ジョイント筋5〜7は前記空間部S内で自立するので予め空間部内にスペーサーを取り付ける必要がない。
【0014】
次に、図13に示すように、前記ジョイント筋6を挿入した空間部S内にコンクリートKを打設し、隣接する各基礎ブロックA〜D同士をそれぞれ一体に接続することによって全体が一体に連結された基礎が形成されるが、各基礎ブロックA〜D内の補強鉄筋と前記空間部S内に設置されたジョイント筋6とが重なり合い、各基礎ブロックA〜Dの連結部における曲げ強度及びせん断力が飛躍的に向上する。
【0015】
また、前記ジョイント筋6の下端は、前記縦溝部3A内にあってフーチング部2の内部まで延びる縦溝部3Aの下端3aに位置するので、各基礎ブロックA〜Dは起立部1だけの連結ではなくフーチング部2も一体に連結されることになり、フーチング部2の連結作業が不要になる。なお、図14(イ)〜(ハ)に示すように、前記縦溝部3,3Aの内壁面に凹凸部8a〜8cを形成し、前記空間部S内に打設するコンクリートKとの付着性を向上させることができる。
【0016】
以上は、接合端面部1bに縦溝部3Aを形成した実施形態の基礎ブロックA〜Dを組み合わせて連結することにより基礎を構築する場合について説明したが、図1乃至図4に示すような、起立部1の全長にわたって縦溝部3を形成した実施形態の基礎ブロックA〜Dを組み合わせることにより基礎を構築する場合には、基礎ブロックA〜Dの接合部にジョイント筋5〜7を設置し、連続する縦溝部3内にコンクリートKを打設することによって全体が一体に連結された基礎が形成されることになり、連結部における曲げ強度及びせん断力が向上することは前記の場合と同じである。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上述のような構成であるから、次のような効果を奏する。(1)各基礎ブロック同士の連結は、接合部に形成された空間部にジョイント筋を挿入し、コンクリート又はモルタルを打設することにより施工するので、継手金具を使用する場合に比べて細やかな位置決めの必要がない。(2)ジョイント筋は縦溝部内にあってその下端上面に自立するので、予めスペーサーを空間内部に設置しておく必要が無い。(3)前記空間部は起立部の上端面からフーチング部の内部まで達しているので、起立部とフーチング部それぞれの接続作業が一回で済み、作業が軽減され工期の短縮が可能となる。(4)ジョイント筋は主筋とせん断筋により構成されているので、基礎ブロック内の配筋と重なり合い、従来の突出した鉄筋を溶接する方法や連結金具を介して接続する方法より、連結部における曲げ強度およびせん断力が向上する。(5)本発明に係る基礎ブロックの形状は単純な構造であるため、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る平面視I字型基礎ブロックの斜視図である。
【図2】 同平面視L字型基礎ブロックの斜視図である。
【図3】 同平面視T字型基礎ブロックの斜視図である。
【図4】 同平面視十字型基礎ブロックの斜視図である。
【図5】 同平面視I字型基礎ブロックの他実施形態の斜視図である。
【図6】 同平面視L字型基礎ブロックの他実施形態の斜視図である。
【図7】 同平面視T字型基礎ブロックの他実施形態の斜視図である。
【図8】 同平面視十字型基礎ブロックの他実施形態の斜視図である。
【図9】 本発明で使用するジョイント筋の斜視図(イ)と二枚一組としたジョイント筋の使用状
態の斜視図(ロ)である。
【図10】 同ジョイント筋の他実施形態の斜視図(イ)と二枚一組としたジョイント筋の使用状態
の斜視図(ロ)である。
【図11】 同ジョイント筋の更に他の実施形態の斜視図である。
【図12】 同基礎ブロックの敷設状態を示す説明斜視図である。
【図13】 同基礎ブロックの連結部の縦断面拡大図である。
【図14】 同基礎ブロックにおける縦溝部の内壁面の異なる実施形態を示す一部切欠部分斜視図で
ある。
【符号の説明】
1, 平面視I字型の基礎ブロック
1, 平面視L字型の基礎ブロック
1, 平面視T字型の基礎ブロック
1, 平面視十字型の基礎ブロック
1 起立部
1a 上端面
1b 接合部端面
2 フーチング部
3,3A 縦溝部
3a 下端
4 中実部
5,6,7 ジョイント筋
5a,6a,7a 主筋
5b,6b,7b せん断筋
S 空間部
L 縦溝部の長さ
H 縦溝部の深さ

Claims (4)

  1. 垂直に立設した起立部と、該起立部の下端に一体に形成した水平なフーチング部とからなる縦断面がほゞ倒立T字型で、接合部端面に開口する縦溝部を備えたプレキャストコンクリート基礎ブロックを前記接合部端面を接合して配設し、対向配置した前記接合部端面の間に形成される空間部内にジョイント筋を配設するとゝもに、コンクリート又はモルタルを打設して一体化するプレキャストコンクリート基礎ブロック同士の連結構造であって、前記縦溝部の深さは前記起立部の上端面から前記フーチング部の内部まで達する長さであり、且つ前記縦溝部の前記接合部端面からの長さは前記ジョイント筋の鉄筋径の20〜40倍の大きさである構成としたことを特徴とするプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造
  2. 前記ジョイント筋は、主筋とせん断筋を構成する鉄筋で格子状に成形したものであることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造。
  3. 前記ジョイント筋は、各2本の鉄筋からなる主筋を所定の間隔をおいて複数段平行に配設するとゝもに、該主筋間に巻き回したせん断筋を前記主筋に溶接等により一体に成形したことを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造。
  4. 前記縦溝部の内壁面に凹凸部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちいづれか一つに記載のプレキャストコンクリート基礎ブロックの連結構造。
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