JPH0542346A - 異種金属の連続鋳造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 異種金属の連続鋳造において、成分混合域の
極少量管理を容易かつ的確に行うことができて、生産性
の向上並びに品質の高安定化を図る。 【構成】 鋼種Ａの溶鋼をタンディッシュ１からモール
ド７に注入する前チャージと、続けて同様に行う鋼種Ｂ
の後チャージとの境界に継ぎブロック８を使用し、レー
ドル３のみの交換を行う異種金属の連続鋳造に際し、湯
溜まり部２を有するタンディッシュ１を用いて、前チャ
ージの残溶鋼を湯溜まり部２内に残す一方、湯溜まり部
２の残溶鋼量を検出する溶鋼レベル計９を付設して、残
溶鋼量が一定になるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、同一の連続鋳造機を用
いて成分の異なった異種金属を連続鋳造する鋳造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の連続鋳造方法の典型的な先行技
術としては、特開昭58−157556号公報、特開昭61−1458
号公報に開示されたものがある。

【０００３】この両例は、タンディッシュをそのまま使
用しレードルのみ替える点で同じであり、単に連続して
異種金属を連続鋳造するのではタンディッシュに前チャ
ージの溶鋼が残ることにより、異種金属の混合部である
不良鋳片部分が大量に生じるため歩留まりが悪くなるの
を改善する方法である。そのために前者は、鋳造を一旦
停止してダミーバーを装入した後、異種金属の鋳込みを
再開する方法である。また、後者は、タンディッシュの
受湯部と注湯部との間に移動堰を配置し、前チャージの
溶鋼と後チャージの溶鋼との混合を防止する方法であ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述する先行技術のう
ち、前者は、連続鋳造の長所である生産性において悪く
なる問題があり、さらに、ダミーバーの装入に長時間を
要し、前チャージの残溶鋼が固まることなく後チャージ
の溶鋼を受鋼後、鋳造を再開させるには、前チャージの
残溶鋼が多量であることが必要であり、後チャージの成
分混合範囲が長くなり、不良鋳片が多くなって歩留まり
が悪くなる。一方、後者は、操業が技術的に難しく鋳造
の安定性の面から問題が多い。

【０００５】本発明は、かかる従来の問題点の解消を図
るために成されたものであり、成分混合域の極少量管理
を容易かつ的確に行うことができて、生産性の向上並び
に品質の高安定化を図ることを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下に述べる構成としたものである。すな
わち、鋼種Ａの溶鋼をタンディッシュからモールドに注
入する前チャージと、続けて同様に行う鋼種Ｂの後チャ
ージとの境界に継ぎブロックを使用し、レードルのみの
交換を行う異種金属の連続鋳造に際し、湯溜まり部を有
するタンディッシュを用いて、前チャージの残溶鋼を湯
溜まり部内に残す一方、湯溜まり部の残溶鋼量を検出す
る溶鋼レベル計を付設して、残溶鋼量が一定になるよう
に制御することを特徴とする異種金属の連続鋳造方法で
ある。

【０００７】

【作用】本発明によれば、継ぎブロックを用いることに
よって、次のチャージへの切り換えが短時間に行えて、
連続鋳造の生産性を低下させずに操業可能であり、ま
た、前チャージへの成分混合を防止出来る。また、前チ
ャージの溶鋼を湯溜まり部に適当少量残すことにより、
後チャージへの成分混合域を極小に出来る。しかも、こ
の残溶鋼量を一定にすることにより、希釈率、すなわち
鋳込み開始時のタンディッシュ内溶鋼総重量に対する前
チャージの残鋼量百分比をほぼ一定にコントロールで
き、前後チャージ間の成分差のみにより成分混合域の管
理ができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図１は本発明方法を順序的に示す実施例装置
概要図である。２段底で深底側が湯溜まり部２に形成さ
れているタンディッシュ１の溶鋼注湯口には、モールド
７内に先端部が臨む浸漬ノズル５が接続されるととも
に、ストッパー４が介設されている。

【０００９】図１ａは初期湯溜めを示し、ストッパー４
を閉じさせて、レードル３から注湯される５トン以上の
鋼種Ａの溶鋼をタンディッシュ１内に溜めている。次い
で、図１ｂに示すように、ストッパー４を全開して浸漬
ノズル５のスライドバルブ６を開弁し、先発チャージを
モールド７に注入しスラグぎりぎりまで鋳造する。そし
て、図１ｃに示す通り、湯溜まり部２に約１トン残った
ところでストッパー４を全閉する。

【００１０】この後に、モールド７内に継ぎブロック８
を挿入して、後発チャージの鋼種Ｂの溶鋼と鋼種Ａのト
ップ部との成分混合を抑える（図１ｄ参照）。次いで、
図１ｅに図示するように、鋼種Ｂをレードル３に受鋼し
先発チャージの残鋼の希釈と残スラグの浮上分離が十分
できるまで、１０トン以上の湯溜めをした後、ストッパ
ー４を再開孔する。以後は、ストッパー４は開のまま
で、スライドバルブ６により流量制御をして鋳造を行
う。

【００１１】図２は本発明の他の実施例に係るタンディ
ッシュ１の断面図である。湯溜まり部２が２個所設けら
れて、さらに、この湯溜まり部２に残溶鋼量を検出する
溶鋼レベル計９を付設していて、残溶鋼量が一定になる
ように制御する制御系が設けられる。このように残溶鋼
量の一定制御を行うことによって、図３に対比するごと
く、希釈率の一定化が容易な本発明では、前後チャージ
間の成分差のみにより成分混合域が管理できる。

【００１２】

【発明の効果】以上のように本発明に従えば、連続鋳造
の生産性は向上安定し、継ぎブロックを用いることによ
り前チャージへの成分混合を防止出来る。又、前チャー
ジの溶鋼を湯溜まり部に一定少量残すことで、後チャー
ジへの成分混合域を極力少なく出来るとともに、希釈率
を一定化出来て前後チャージ間の成分差のみによって成
分混合域が管理可能である。さらに、残鋼量をモールド
内へのスラグ流出限界量以上にすることにより、タンデ
ィッシュスラグのモールド内への流出が防止でき、品質
面でも安定化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を順序的に示す実施例装置概要図で
ある。

【図２】本発明の他の実施例に係るタンディッシュの断
面図である。

【図３】本発明方法と従来の方法とを対比示する前後チ
ャージ境界部のマンガン混合率変化図である。

【符号の説明】

１：タンディッシュ ２：湯溜まり部
３：レードル ４：ストッパー ５：浸漬ノズル
６：スライドバルブ ７：モールド ８：継ぎブロック
９：溶鋼レベル計

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼種Ａの溶鋼をタンディッシュからモー
   ルドに注入する前チャージと、続けて同様に行う鋼種Ｂ
   の後チャージとの境界に継ぎブロックを使用し、レード
   ルのみの交換を行う異種金属の連続鋳造に際し、湯溜ま
   り部を有するタンディッシュを用いて、前チャージの残
   溶鋼を湯溜まり部内に残す一方、湯溜まり部の残溶鋼量
   を検出する溶鋼レベル計を付設して、残溶鋼量が一定に
   なるように制御することを特徴とする異種金属の連続鋳
   造方法。