JPH0538716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ミシンの糸切断保持装置に関する。

従来技術 ミシンの糸切断装置は通常、固定メスと、固定
メスに摺接して出入りするフツク状の可動メス
と、可動メスを固定メスに押付けるクランプバネ
とからなつており、可動メスの往復動によつて捕
捉牽引した糸を固定メスと協働して切断するとと
もにその切れ端を保持するようになつている。こ
うした装置ではクランプバネのバネ圧を強くする
程可動メスが固定メスに強く押付けられ、糸切断
が確実に行われる利点がある反面、切断された糸
端への糸保持力が増し、次の縫初め時に糸端が糸
保持部から抜けにくなつて布が引きつれたり針折
れを生ずることがある。

実公昭63−10149号に示されるように、可動メ
スを固定メスに押付けるクランプバネとは別に可
動メスに軽く弾接して糸を保持する糸保持バネを
設けたものもある。この装置によれば、それぞれ
のバネのバネ圧を適度にして糸切断が確実に行え
るようにするとともに切断された糸端を必要最小
限の押え圧で軽く保持することができるが、バネ
として板バネが使用されているためコンパクト化
ができず、しかもメスとの接触面積が小さく密着
性が低下するため糸端保持が不安定となり、常に
調整を必要とする。

考案が解決しようとする課題 本考案は、可動メスを固定メスに押付けるバネ
と、糸保持バネとを設けた上記糸切断保持装置に
ついて更に改良を加え、板バネに代わる別の押え
手段を設けることにより適正な圧力で糸を確実に
保持できるようにするとともに次の縫初め時の糸
抜けが容易であり、しかもコンパクトに構成され
る糸切断保持装置を提供することを目的とする。

課題の解決手段 本考案の糸切断保持装置はそのため、コイルバ
ネとバネ受けとからなる押圧体を２か所、コイル
バネのバネ力を異にして設け、バネ力の強い一方
の押圧体で可動メスを固定メスに押付けるととも
に他方の押圧体で糸端を保持するようにしたもの
である。

すなわち本考案は、固定メスと、固定メスに摺
接して進退するフツク状の可動メスと、可動メス
を固定メスに押付ける押え手段とを有し、可動メ
スの往復動によつて布の縫終わり端に連なる糸を
捕捉牽引し、固定メスと協働して切断するととも
にその切れ端を保持するようにしたミシンの糸切
断保持装置において、バネ力の強いコイルバネと
バネ受けとからなり、可動メスを固定メスに押付
ける第１の押圧体と、バネ力の弱いコイルバネと
バネ受けとからなり、第１の押圧体よりも可動メ
スの先端側に位置し、可動メスとの間で切断され
た糸の切れ端を保持する第２の押圧体とを設けた
ことを特徴とするものである。

ここで第１及び第２の押圧体は、例えば両者の
サイズを変えたり、色分けをしたりして見分けが
容易に行え、組付時に混同しないようにしておく
のが望ましい。

バネ受けは、例えば円形、角形等の筒状で、コ
イルバネに被されるように構成される。そして好
ましくは可動メスとの接合面が平坦で、密着性が
よく糸端の保持が安定して行われるようにされ
る。

作 用 第１の押圧体で可動メスが固定メスに強く押付
けられ、第２の押圧体で切断された糸の切れ端が
適正な押え力で軽く保持される。

実施例 第１図は本考案に係る糸切断保持装置Ａを偏平
縫いミシンに設け、上飾り糸の切断保持装置とし
て利用した例を示すもので、ミシンのヘツド１よ
り側方に突出する支持軸２に取着のブラケツト３
に止着し支持されている糸切断保持装置Ａは、ブ
ラケツト３に一対のネジ４によつて止着されるメ
ス支持フレーム５と、第２図に示されるように、
メス支持フレーム５の先端部にネジ６によつて止
着される固定メス７と、メス支持フレーム５に取
着のエアシリンダー８に支持され、エアシリンダ
ー８の作動により針９Ａ，９Ｂの左針９Ａの後方
より針９Ａ，９Ｂの手前まで斜めに固定メス７に
摺接して上下動する可動メス１１と、メス支持フ
レーム５に止めネジ１２によつて取着され、フレ
ーム５とで可動メス１１を挟むホルダー１３と、
ホルダー１３に装着され、可動メス１１を固定メ
ス７に強く押付ける第１の押圧体１４と、同じく
ホルダー１３に装置され、第１の押圧体１４より
も可動メス１１の先端側に位置して可動メス１１
に軽く弾接し、切断された糸の切れ端を必要最小
限の押え圧で軽く保持する第２の押圧体１５とか
らなつており、第１及び第２の押圧体１４及び１
５はそれぞれホルダー１３に穿設の盲孔状凹部１
６Ａ，１６Ｂに嵌合するＵ形断面の円筒状をな
し、かつ可動メスと接合する底面が平坦面をなす
バネ受け１７Ａ，１７Ｂと、凹部１６Ａ，１６Ｂ
に装着され、バネ受け１７Ａ，１７Ｂに押えられ
るコイルバネ１８Ａ，１８Ｂとよりなつている。
そして第１の押圧体１４のコイルバネ１８Ａのバ
ネ力は強く、第２の押圧体１５のコイルバネ１８
Ｂのバネ力は弱く形成され、しかも第１の押圧体
１４は第２の押圧体１５よりも大径でサイズが大
きく、組付時における第２の押圧体との見分けが
容易に行えるようにしてある。

図中、１９は固定メス７に突当り、その先端位
置を図の上下方向に調節する調整ネジであり、ま
た第１図において符号２１で示すものはスプレツ
ダー、２２は上飾り糸案内、２３は上飾り糸、２
４は上糸、２５は押え金である。

本装置は以上のように構成され、上飾り糸の切
断保持は次のようにして行われる。

縫製が終了し、足踏ペダル（図示しない）が踏
込み操作されると、針定位置停止装置により針９
Ａ，９Ｂが上死点に、かつスプレツダー２１が上
飾り糸２３を捕捉牽引して左死点付近に達し停止
する。ついでエアシリンダー８の作動により可動
メス１１が左針９Ａの左斜め後方より手前に突き
出す。そして復動し引込むときにスプレツダー２
１と上飾り糸案内２２との間の上飾り糸を２３を
捕捉し、（第１図）左斜め後方に牽引する。これ
により上飾り糸２３が左針９Ａと右針９Ｂとの間
に入り、左針９Ａに掛かつて左斜め後方に屈折す
る。可動メス１１が上飾り糸２３を固定メス７ま
で牽引し、更に引込むときに上飾り糸２３が固定
メス７及び可動メス１１によつて切断され、切断
された糸の切れ端が第２の押圧体１５と可動メス
１１とで挟持される。この状態で上飾り糸案内２
２より引出される上飾り糸２３は右針９Ｂに後側
より掛かり、かつ左針９Ａに前側より掛かつて保
持されるため次の縫いを開始するときに第１針目
から上飾り糸２３が縫込まれていく。

上記実施例では、本考案に係る糸切断保持装置
を多本針ミシンの上飾り糸切断保持装置として利
用した例を示したが、針板下に配置し、上糸及び
下糸用の糸切断装置として利用することも可能で
ある。

考案の効果 本考案の糸切断保持装置は以上のように構成さ
れ、第１の押圧体で可動メスが固定メスに強く押
付けられることにより糸切断が確実に行われると
ともに第２の押圧体で糸が必要最小限の押え圧で
軽く保持されることにより次の縫初め時の縫い目
形成が支障なく確実に行えること、バネとして使
用されるコイルバネは板バネと異なり、常に一定
のバネ圧を可動メスに作用するようになり、バネ
力を調整する必要がないこと、板バネよりもコン
パクトで小型化できることなどの効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は偏平縫いミシンに設けた本考案に係る
上飾り糸切断保持装置の斜視図、第２図は同切断
保持装置の要部の部分断面側面図である。 ５……メス支持フレーム、７……固定メス、８
……エアシリンダー、１１……可動メス、１３…
…ホルダー、１４……第１の押圧体、１５……第
２の押圧体、１６Ａ，１６Ｂ……凹部、１７Ａ，
１７Ｂ……バネ受け、１８Ａ，１８Ｂ……コイル
バネ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 固定メスと、固定メスに摺接して進退するフ
   ツク状の可動メスと、可動メスを固定メスに押
   付ける押え手段とを有し、可動メスの往復動に
   よつて布の縫終わり端に連なる糸を捕捉牽引
   し、固定メスと協働して切断するとともにその
   切れ端を保持するようにしたミシンの糸切断保
   持装置において、バネ力の強いコイルバネとバ
   ネ受けとからなり、可動メスを固定メスに押付
   ける第１の押圧体と、バネ力の弱いコイルバネ
   とバネ受けとからなり、第１の押圧体よりも可
   動メスの先端側に位置し、可動メスとの間で切
   断された糸の切れ端を保持する第２の押圧体と
   を設けたことを特徴とするミシンの糸切断保持
   装置。 (2) 第１及び第２の押圧体はそれぞれ、ホルダー
   に設けた凹部に装着されるコイルバネと、コイ
   ルバネに被せて上記凹部に嵌合され、可動メス
   に接合する底面が平坦面をなすＵ形断面のバネ
   押えとからなる請求項第１記載のミシンの糸切
   断保持装置。 (3) 多本針ミシンの上飾り糸切断保持装置に使用
   される請求項第１記載のミシンの糸切断保持装
   置。