JPH0538400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、ダンパー機構をハンマー機構の支持
レールとは別個の支持レールによつて正しく強固
に支持できるように改良したアツプライトピアノ
のダンパー装置に関する。

【従来の技術】

一般にアツプライトピアノは、ハンマー機構と
ダンパー機構を共通の支持レールによつて支持
し、打鍵時にハンマーとダンパーが同調して作動
するように構成されているが、最近ではハンマー
機構とダンパー機構を別個の支持レール上にそれ
ぞれ支持し、ハンマー機構を左右方向に若干移動
できるようにする一方、ダンパー機構は個々のダ
ンパーを打鍵操作とは関係なく弦から引き離し、
演奏時に特定の音の余韻のみを残すことができる
アツプライトピアノの開発が進められている。

【考案が解決しようとする課題】

ダンパー機構の支持レールはピアノ本体の左右
両側板間に架設固定されているため、中間部分が
撓み易くて各ダンパーの取付け状態に狂いが生
じ、ダンパーを正しく支持することが困難とな
る。また、打鍵操作から独立して、総てのダンパ
ーの作動部材であるダンパーロツドの設置スペー
ス上の問題もあり、狭いスペース内にダンパーロ
ツドを安定させて設けることと相俟つて、ダンパ
ー機構の合理的な支持手段が要望されていた。 本考案はこのような点に鑑みてなされたもので
あつて、その目的はハンマー機構とは別個にダン
パー機構を支持する支持レールを特にピアノの中
音部と高音部の間の部分でピアノ本体のフレーム
に突設したリブにネジ止めして固定する一方、該
支持レールの架設状態を調節できる支持体によつ
てその支持レールのほぼ中央部分を支持し、か
つ、ダンパー機構の支持レールに添わせてダンパ
ーロツドをコンパクトに組付け、ダンパー機構全
体としての取付け状態が正しく確定できるように
改良したアツプライトピアノのダンパー装置を提
供することにある。

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の特徴とす
るアツプライトピアノのタンパー装置は、支持レ
ールと、ダンパーロツドと、ダンパーレバーとを
有し、支持レールは、ピアノ本体の左右両側板間
に架設され、ピアノの中音部と高音部の間に位置
する部分のフレームに突設したリブにボルトとナ
ツトによつて固定され、ほぼ中央部分がピアノ本
体の棚板上に立設した支持体によつて前後及び上
下方向に対し調節可能に支持され、ハンマー機構
を支持しておらず、ダンパーロツドは、支持レー
ルの長さ方向に沿つてその下面に配置されて該支
持レールに回動自在に取付けられており、ダンパ
ーレバーは、中間部分が支持レール上に枢着さ
れ、その下方部分がダンパーロツドの回動通路上
に位置して該ダンパーロツドによつて押圧可能で
あるように構成されている。

【実施例】

以下に、本考案の実施例を添付図面を参照しな
がら説明する。 先ず、第１図を参照して本考案を適用するアツ
プライトピアノのアクシヨン機構を説明すると、
弦１の直前に位置してダンパー２の作動部材であ
るダンパー機構（総括的に符号３で示す）が支持
レール４上に支持され、この支持レール４の前面
側に臨んでハンマー５の支持レール６が設置され
ている。ハンマー５の作動部材であるハンマー機
構の詳細については省略したが、打鍵操作によつ
てウイペン７が傾動すると、ダンパー２とハンマ
ー５は連動的に作動する。８はウイペン７上に固
定したダンパー作動用スプーンである。 次に、第１図を含めた添付図面によつて本考案
装置を詳述すると、支持レール４は断面形状がコ
の字形であつて、ピアノ本体の左右両側板（親
板）１２，１２間に架設され、その両端部がＬ形
金具１１，１１の部分で左右両側板１２，１２に
ネジ１３止めされて固定されている一方、ピアノ
の中音部と高音部の間に位置する部分のフレーム
１４に突設したリブ１４ａに該リブ１４ａに埋め
込んだボルト１５にナツト１６締めして固定さ
れ、また、支持レール４のほぼ中央部分はピアノ
本体の棚板１７上にネジ１８止めされた支持体１
９により支持されている。支持体１９は棚板１７
上に固定された下部支持金具２１と支持レール４
側に取付ける上部支持金具２２とから成り、上下
両支持金具２２，２１にはその接合部分に縦孔２
１ａと横孔２２ａをそれぞれ穿設し、この縦孔２
１ａと横孔２２ａに通したネジ２３をナツト２４
止めすることにより上下両支持金具２２，２１は
固定される。上部支持金具２２の上下両端部はＬ
形に折り曲り、上端部２２ｂは支持レール４にネ
ジ２５止めされ、また下端部２２ｃは下部支持金
具２１の上端部２１ｂとネジ２３止めされる。２
１ｄは前述したネジ１８を差し込むネジ孔で、下
部支持金具２１の下端Ｌ形部２１ｃに穿設されて
いる。 支持レール４の下面には、該支持レール４の長
さ方向に沿つて断面形状がほぼ短形のダンパーロ
ツド２６が添設されており、このダンパーロツド
２６は複数箇所（図示の場合は３箇所）で支持レ
ール４に枢着されている。即ち、支持レール４の
底面部４ａには切欠き口２７を設け、一端がダン
パーロツド２６上に固定されている枢軸２８を切
欠き口２７より支持レール４内に突出させ、枢軸
２８のクランク部２８ａを支持レール４に固定し
た蝶番金具２９に挿着して、ダンパーロツド２６
を支持レール４に回動自在に取付けてある。 ダンパーロツド２６はダンパーペダル（図示せ
ず）の踏み込み操作によつて上昇する突き上げ棒
３１により作動され、後述するダンパーレバー３
３を押圧できる仕組になつている。なお、突き上
げ棒３１とダンパーロツド２６とは連結体３２に
より連結されている。 ダンパーロツド２６の回動通路上にはダンパー
２を上端部で支持したダンパーレバー３３の下方
部分３３ａが位置し、ダンパーロツド２６の回動
動作によつて総てのダンパー２を打鍵操作とは関
係なく弦１から引き離すことができる。そして、
ダンパーレバー３３の中間部分は支持レール４上
に枢着され、また、ダンパーレバー３３の下端に
形成された段差部３３ｂの前面側には前述したス
プーン８が位置し、打鍵操作によつて個々のダン
パーレバー３３を押圧できる仕組になつている。 以上の構成によれば、ダンパー機構３を支持す
る支持レール４をハンマー機構の支持レール６と
は別個に構成したので、ダンパー機構３を１個の
単位体として組立てできるし、また、支持レール
４の架設に際しては、支持体１９の上下両支持金
具２１，２２に設けた縦孔２１ａと横孔２２ａに
よつて前後及び上下方向の調節が可能であつて、
支持レール４の撓み等を修正して正しく強固に架
設することができる。

【考案の効果】

本考案は上記の如くであつて、組立て作業に有
利であるダンパー装置を提供でき、かつ、ピアノ
本体の左右両側板間に架設された支持レールの支
持状態は、一部をフレームのリブに固定すると共
にほぼ中央部分を調節自在な支持体により支持し
たことによつて、極めて強固なものとなり、ダン
パーを安定させて正しく支持することが可能であ
る。また、ダンパーロツドは狭いスペースを利用
してコンパクトに組付けできる構造上の利点があ
り、調整作業に便利である等、その実用的価値は
極めて多大である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
一部を省略した側断面図、第２図は支持レールの
架設状態を示す斜視図、第３図は支持レールとダ
ンパーロツドとの取付け状態を示す部分斜視図、
第４図は一部を省略した支持体の斜視図である。 図中、２はダンパー、４は支持レール、５はハ
ンマー、１２は側板、１４はフレーム、１４ａは
リブ、１５はボルト、１６はナツト、１７は棚
板、１９は支持体、２１は下部支持金具、２２は
上部支持金具、２６はダンパーロツド、２７は切
欠き口、２８は枢軸、２９は蝶番金具、３３はダ
ンパーレバー、３３ａは下方部分である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 支持レール４と、ダンパーロツド２６と、ダン
   パーレバー３３とを有するアツプライトピアノの
   ダンパー装置であつて、 支持レール４は、ピアノ本体の左右両側板１
   ２，１２間に架設され、ピアノの中音部と高音部
   の間に位置する部分のフレーム１４に突設したリ
   ブ１４ａにボルト１５とナツト１６によつて固定
   され、ほぼ中央部分がピアノ本体の棚板１７上に
   立設した支持体１９によつて前後及び上下方向に
   対し調節可能に支持され、ハンマー機構を支持し
   ておらず、 ダンパーロツド２６は、支持レール４の長さ方
   向に沿つてその下面に配置されて該支持レール４
   に回動自在に取付けられており、 ダンパーレバー３３は、中間部分が支持レール
   ４上に枢着され、その下方部分３３ａがダンパー
   ロツド２６の回動通路上に位置して該ダンパーロ
   ツド２６によつて押圧可能であるアツプライトピ
   アノのダンパー装置。