JPH0538361U - リコイルスタータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 リコイルスタータの組み立て作業を簡単にす
るとともに、ハウジングを合成樹脂による成型品とした
場合でもその形態面に与える影響を少なくしたリコイル
スタータを提供する。 【構成】 リコイルスタータにおけるうず巻きバネ６を
バネケース１５に収嵌し、該バネケース１５に設けた筒
軸部１６に、手動ロープ５を巻装したリール４を回転自
在に支持し、うず巻きバネ６の一端をバネケース１５
に、他端をリール４に固定し、バネケース１５をハウジ
ングに挿入して不回動に係合取着したことを特徴とする
リコイルスタータである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、エンジン始動用のリコイルスタータに関する。

【０００２】

【従来の技術】

リコイルスタータは、リールに巻装された手動ロープを引き出すと、そのリー ルが回転してエンジンのクランク軸に設けたプーリに係合し、同プーリが回転す るように構成されている。

【０００３】 リコイルスタータの一例として実公平１−１４７６１号公報に記載のものがあ る。

【０００４】 図３はこの従来のリコイルスタータの断面図である。

【０００５】 図において、１はリコイルスタータのハウジングで、エンジンのフアンケース ２にビスなどの止具３で固定される。４はハウジング１内にボス部２１を軸とし て回転自在に支持されたリールで、このリール４には、手動ロープ５がその一端 を固定して巻装され、他端はハウジング１外に導出して把手（図示せず）が取着 される。６はハウジング内でリール４とハウジング内底との間に配装したうず巻 きバネで、その内端をリール４に、外端をハウジング１にそれぞれ固定し、手動 ロープ５を巻き込み方向に附勢している。７はハウジング内に突出させたクラン ク軸で、その端部にプーリ８が取着されている。９はプーリ８とリール間に配装 した係合機構で、この係合機構９は、プーリ８の外周近傍に回動自在に支持した 係合部材１０と、この係合部材１０に対応してプーリ８の中央部に設けられ、外 周面に凸部１２を有する筒部１１と、係合部材１０の支持軸１３に取り付らたね じりバネ１４などからなり、常態において、ねじりバネ１４のバネ力によって係 合部材１０の先端部を筒部１１の外周面に当接させるようにしている。

【０００６】 上記構成において、リール４に巻装された手動ロープ５をうず巻きバネ６に抗 して引き出すと、リール４がボス部２１を軸に回転して係合機構９を介してリー ル４からプーリ８へ回転力が伝達されてクランク軸７が回転してエンジンが始動 する。

【０００７】 エンジンが始動してプーリ８の回転数が増加してくると、係合部材１０に掛か る遠心力の作用で係合機構９によるリール４とプーリ８との係合関係が解除され 、そして、エンジン始動後に手動ロープ５を放すと、この手動ロープ５はうず巻 きバネ６の作用で自動的にリール４に巻き戻される。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

上記する構成のリコイルスタータで、ハウジングに対するうず巻きバネの配装 位置はハウジングの内底部の最も深いところにあり、リコイルスタータを組み立 てるに当たってこのうず巻きバネに関連して、大要、次のような作業を必要とす る。

【０００９】 (ａ) うず巻きバネをハウジング内へ挿入するために、自由に伸びきってい るうず巻きバネをハウジング内に挿入可能な大きさまでその弾力に抗して巻き込 んで形態を小さくする作業。

【００１０】 (ｂ) 形態を小さくした状態でうず巻きバネを保持してハウジング内に挿入 し、その外端をハウジング内底部に設けた固定部に固定する作業。

【００１１】 (ｃ) ハウジング内に挿入されたうず巻きバネの中央部にリールの筒軸部を 挿入してうず巻きバネの内端を固定する作業。

【００１２】 上記するように、うず巻きバネを直接的にハウジングに組み込む構成のリコイ ルスタータの組み立て作業では、うず巻きバネの取り扱い面から面倒がある上に 、うず巻きバネに関連する多くの作業が狭隘なハウジング内部での作業となって 作業がし難く、時間が掛かるものである。

【００１３】 また、最近では軽量化を目的としてハウジングを合成樹脂で成型されるが、始 動時、ロープ引き力をハウジングのボス部が直接に受け止めるため、ハウジング が合成樹脂などの材料からなる場合には、所定の強度を得るのにハウジングの肉 厚を比較的分厚くする必要があり、従って、形態面に影響を与えると共に、肉厚 差に起因して樹脂成型時に「ヒケ」などが生じ易くなる場合がある。

【００１４】 この考案は上述の点に鑑みなされたものであって、リコイルスタータの組み立 て作業を簡単にするとともに、ハウジングを合成樹脂による成型品とした場合で もその形態面に与える影響を少なくしたリコイルスタータを提供することを目的 とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するためのこの考案の要旨とするところは、ハウジング内に 回転自在に支持され、手動ロープが巻装されるリールと、一端をハウジングに、 他端をリールに固定したうず巻きバネと、前記リールとエンジンのクランク軸に 設けたプーリとの間に係合機構を配装したリコイルスタータにおいて、前記うず 巻きバネをバネケースに収嵌し、該バネケースの中央部に設けた筒軸部に、前記 リールを回転自在に支持し、うず巻きバネの一端をバネケースに、他端をリール に固定し、バネケースをハウジングに挿入して不回動に係合取着したことを特徴 とするリコイルスタータにある。

【００１６】

【作用】

うず巻きバネはハウジングに組み込む前にバネケースに収嵌され、リールもま たこのバネケースに組み付けられるので、うず巻きバネの両端部の固定が簡単に できる。バネケースとリールは一体でハウジング内に組み込まれるので、ハウジ ング内部での狭隘な作業を必要とせず、リコイルスタータの組み立て作業が簡単 に能率よく行われる。

【００１７】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１８】 図１はこの考案のリコイルスタータの断面図、図２は図１のＡ−Ａ線における 断面図である。

【００１９】 この考案の説明において、上述の図３と共通もしくは対等部分については同一 符号を付けて説明する。

【００２０】 この考案において、うず巻きバネ６はバネケース１５に収嵌する。

【００２１】 バネケース１５はその中央部に筒軸部１６が設けられ、周縁にはうず巻きバネ ６の外周部を受ける囲壁１７がうず巻きバネ６とほぼ同じ高さで設けられている 。

【００２２】 前記リール４は、その中央部に設けた筒軸部１８をバネケース１５の筒軸部１ ６に外嵌して回転自在に支持される。

【００２３】 うず巻きバネ６をバネケース１５に収嵌して、うず巻きバネ６の外端部をバネ ケース１５の囲壁１７に設けた固定溝１９に係合固定し、また、リール４の筒軸 部１８をバネケース１５の筒軸部１６とうず巻きバネ６の隙間に入り込ませてう ず巻きバネ６の内端部をリール４の筒軸部１８に設けた係止部２０に係合固定す る。

【００２４】 バネケース１５とリール４は一体でハウジング１内に挿入してバネケース１５ をハウジング１に対して回転不能に係合させ、バネケース１５の筒軸部１６に対 応してハウジング１に突設したボス部２１に取着したボルト２２と座金２３によ ってバネケース１５とリール４がボス部２１から離脱しないように取着される。

【００２５】 なお、図中２４はバネケース１５の外周部とハウジング４の内壁に設けた係合 部である。

【００２６】

【考案の効果】

上記のように構成したこの考案によれば、次のような効果を奏する。

【００２７】 (ａ) うず巻きバネを収嵌するバネケースを用いることで、うず巻きバネに 関連する組み立て作業がハウジング外で簡単にでき、全体として製造工程が簡略 化される。また、組み立て作業上からの熟練の必要性なども排除できて作業性を 向上する。

【００２８】 (ｂ) 強度的に余裕のあるハウジングの内壁部で直接にロープ引き力を受け るため、ハウジングのボス部はロープの引き力から完全に開放され、ハウジング を合成樹脂製としても特別肉厚を分厚くするような必要がなくなり形態面から有 利になり、樹脂成型時の「ヒケ」なども生じ難く、また、合成樹脂の着色による 強度面からの影響もなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案のリコイルスタータの断面図であ
る。

【図２】 図１のＡ−Ａ線における断面図である。

【図３】 従来のリコイルスタータの断面図である。

【符号の説明】 １…ハウジング ４…リール ５…手動ロープ ６…うず巻きバネ ７…クランク軸 ８…プーリ ９…係合機構 １５…バネケース １６…バネケースの筒軸部 １７…囲壁 １８…リールの筒軸部 １９…固定溝 ２０…係止部 ２１…ボス部 ２２…ボルト ２３…座金 ２４…係合部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング内に回転自在に支持され、手
   動ロープが巻装されるリールと、一端をハウジングに、
   他端をリールに固定したうず巻きバネと、前記リールと
   エンジンのクランク軸に設けたプーリとの間に係合機構
   を配装したリコイルスタータにおいて、前記うず巻きバ
   ネをバネケースに収嵌し、該バネケースの中央部に設け
   た筒軸部に、前記リールを回転自在に支持し、うず巻き
   バネの一端をバネケースに、他端をリールに固定し、バ
   ネケースをハウジングに挿入して不回動に係合取着した
   ことを特徴とするリコイルスタータ。