JPH0114762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は汎用エンジンに設けられるリコイル
スタータの取付け装置に関するものである。

（従来技術） 汎用エンジンのリコイルスタータケースは、エ
ンジン冷却フアンを覆つたフアンハウジングに設
けられ、かつスタータ用手動ロープの引出し口は
スタータケースの外周１か所に定められている。
したがつて、上記スタータケースがフアンハウジ
ングと別体品である場合には、エンジンの種類に
応じて、スタータケースを回転し、上記手動ロー
プの引出し方向を変更することができる。しか
し、部品点数が多くなり、またスタータケースの
塗装はスタータの主軸部に塗布される潤滑油やそ
の他の樹脂製品の関係で内蔵部品の組立前に実施
する必要がある他、フアンハウジングの塗装も別
途にする必要がある等塗装工程が繁雑になるなど
の不都合がある。これに対し、スタータケースを
スタータベースより分離し、フアンハウジングと
固着または一体品として、上記不都合を解消しよ
うとすれば、手動ロープの引出し方向を変更でき
なくなり、汎用性が失われる欠点がある。

なお、この種リコイルスタータの取付装置は、
実開昭51−19137号公報にも記載されている。

（考案の目的） この考案は上記欠点を解消するためになされた
もので、スタータケースをフアンハウジングに固
着または一体形成して、塗装の簡略化や部品点数
の減少を図りながらも、手動ロープの引出し方向
を自由に変更できるリコイルスタータの取付け装
置を提供することを目的としている。

（考案の構成） この考案は、スタータケースの外周部に複数の
エンジン冷却風取入孔が設けられることに着目し
て、そのうちの適当なエンジン冷却風取入孔から
スタータ用手動ロープを引出すものであり、した
がつて手動ロープの支持孔を備えるスタータベー
スはスタータケースに対し、スタータ回転軸線を
中心とする複数の回転位置のそれぞれで係止固定
可能とされている。

（考案の効果） 上記のように構成されるこの考案によれば、ス
タータケースとフアンハウジングを同時に塗装で
きる様になり、またスタータベースはケース内部
に組込まれるため、塗装が不要となるなど、塗装
工程が極めて簡略化される他、両者を一体形成し
た場合は部品点数の削減ともなつて大幅なコスト
低減が図れる。また、スタータベース組立時もス
タータケースがないので塗装の損傷に配慮を払う
必要なくなる等の効果がある。さらに、スタータ
ケースをフアンハウジングと固着又は一体品とし
ても、スタータベースのスタータケースに対する
取付角度を選択することにより、手動ロープの引
出方向を変更できる効果がある。

（実施例の説明） 以下、この考案の実施例を図面にもとづいて説
明する。

第１図はこの考案の一実施例にかかる汎用エン
ジンの一部切欠側面図である。この図において、
１はエンジン本体、２はエンジン本体１にボルト
３により固定されたフアンハウジングで、このフ
アンハウジング２は、ナツト４によりクランク軸
５に固定されたエンジン冷却フアン６を覆つてい
る。７はリコイルスタータで、そのスタータケー
ス８はフアンハウジング２に一体形成され、かつ
スタースプーリ９を回転自在に支持したスタータ
主軸１０の基部１０ａは、溶接によりスタータベ
ース１１の中央部１１ａに固定されている。１２
はスタータプーリ９に巻回された手動ロープで、
その外端部１２ａにはグリツプ１３が設けられて
いる。１４はスタータプーリ９の一側部に配置さ
れたうず巻ばねで、このうず巻ばね１４の内端は
スタータベースベース１１に、外端はスタータプ
ーリ９にそれぞれ係止されている。スタータプー
リ９の他側部には係合爪１６が支持され、また係
合爪１６の回動角を規制する係合筒１７が固定さ
れている。１８はクランク軸５に固定された被駆
動プーリである。

第２図はスタータベース１１のスタータケース
８に対する取付け構造を示す斜視図である。この
図のように、スタータケース８はボツクス形で、
周壁部８ａの周方向複数位置にエンジン冷却風取
入孔１９を備え、かつ各辺中央のエンジン冷却風
取入孔には折曲係止片２０が設けられている。ま
た、スタータベース１１はスタータケース８の最
奥部内面にほぼ一致する形状で、周縁部１１ｂの
各辺中央に、上記各折曲係止片２０と対応して係
止固定部（第１図）２１を形成する係止凹部２２
を備えている。すなわち、各折曲係止片２０は第
１図のように所定の係止凹所２２に折曲係止さ
れ、もつて、スタータケース８の立壁部８ｂ内面
に、スタータベース１１が係止固定されている。
さらに、スタータベース１１の１つの角部にはロ
ープ支持孔２３が設けられている。第１図では、
手動ロープ１２の外端部１２ａは上記ロープ支持
孔２３を通ることにより、第３図のように、スタ
ータプーリ９の接線方向に引出され、かつうず巻
ばね（第１図）１４の巻回力により引戻されたグ
リツプ１３は、上記ロープ支持孔２３の外端部に
当接して、その位置にあるエンジン冷却風取入孔
１９ａの外部に突出している。

なお、第２図において、２５はスタータベース
１１に設けられたスタータ主軸嵌着孔である。

上記構成において、第１図のグリツプ１３にて
手動ロープ１２を引出すと、スタータプーリ９が
うず巻ばね１４に抗して回転する。このとき、係
合爪１６は遠心力または係合筒との摩擦力により
復帰ばね（図示せず）に抗して外周方向へ回動し
て、係合筒１７の係合孔１７ａに支持され、被駆
動プーリ１８の係合孔１８ａに係合し、クランク
軸５を回転させる。その結果、エンジン冷却フア
ン６により、スタータケース８の各冷却風取入孔
１９からエンジン冷却風が取入れられ、エンジン
本体１が冷却される。エンジン始動後は、上記係
合爪１６は図示しない復帰ばねにより復帰し、ま
た手動ロープ１２はうず巻ばね１４によりスター
タプーリ９に巻取られる。

一方、第２図において、スタータ組立前のスタ
ータベース１１の各係止凹部２２は、スタータ回
転軸線２４を中心とする複数の回転位置で、つま
り90゜毎の回転位置で、スタータケース８の各折
曲係止片２０に一致し、かつスタータベース１１
のロープ支持孔２３はスタータケース８の各角部
のエンジン冷却風取入孔１９ａの１つに対応する
よう構成されており、したがつて、スタータベー
ス１１のスタータケース８に対する90゜毎の取付
角度の選択にて、すなわち４か所の係止凹部２２
をどの位置の折曲係止片２０に折曲係止するかど
うかの配慮により、手動ロープ１２の引出し方向
を、この実施例では、スタータケース８の４つの
角部として、その範囲において自由に選定し、変
更することができる。もちろん、そのときのグリ
ツプ１３は、そのときのロープ支持孔２３が対応
したエンジン冷却風取入孔１９ａから引出すよう
に配置される。

第４図は第２図に示されたスタータベース及び
スタータケースの形状を円形にしたものである。
第２図と同じ機能を有する部分は同一符号を示し
ている。本スタータケース８はフアンハウジング
２への固着式で、第５図は固着部の概略断面図で
ある。スタータケース８のフアンハウジング２と
接するフランジ部に固着用の突起２８をバーリン
グによつて形成し、これをフアンハウジング２の
取付孔２９に嵌め込み、フアンハウジング２内側
より該突起２８を加締て固着している。

第２図および第３図に示された折曲係止片２０
の代りに、第６図のように、スタータケース８の
周壁部８ａの内面に、プレス加工などにより係止
凸片２６を形成することができる。すなわち、ス
タータベース１１を、係止凸片２６に抗して矢印
Ａ方向に押し込んで、その係止凸片２６とスター
タケース８の立壁部８ｂとの間で挟持するよう構
成してもよい。この場合、スタータベース１１と
スタータケース８とは、第２図のように、互いに
四角形で嵌合するので、スタータベース１１の回
り止めは不要である。

また、第７図のように、スタータベース１１は
スタータケース８に対してビスやタツピングスク
リユー２７により固定することもできる。

なお、従来では、スタータベース１１はスター
タケース８に溶接により固定されており、しかも
ロープ支持孔２３はスタータケース壁上に設けら
れていた。したがつてスタータケース８を除くス
タータアセンブリ７ａはスタータケース８から独
立した完全なアセンブリとはいえなかつた。これ
に対し、この考案では、スタータアセンブリ（第
１図）７ａは、フアンハウジング２（スタータケ
ース８）から独立した状態で、スタータ主軸１０
をも含めた完全なアセンブリとして、フアンハウ
ジング２に装着されるので、スタータアセンブリ
７ａのみのライン組立が可能になり、エンジン全
体の組立容易化に寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例にかかるリコイル
スタータを備えたエンジンの一部切欠側面図、第
２図はリコイルスタータの取付け構造の斜視図、
第３図は第１図の−線矢視図、第４図は他の
実施例を示す斜視図、第５図は第４図の要部を示
す縦断面図、第６図、第７図はスタータベースを
スタータケースへ取り付ける構造の変形例を示す
断面図である。 ２……フアンハウジング、６……エンジン冷却
フアン、８……スタータケース、８ａ……周壁
部、１０……スタータ主軸、１１……スタータベ
ース、１１ｂ……周壁部、１２……手動ロープ、
１９……エンジン冷却風取入孔、２１……係止固
定部、２３……ロープ支持孔、２４……スタータ
回転軸線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン冷却フアンを覆つたフアンハウジング
   に、外周部に複数のエンジン冷却風取入孔を設け
   たスタータケースを固着または一体形成し、スタ
   ータ主軸を設けたスタータベースと上記スタータ
   ケースとに、上記スタータベースを、スタータ回
   転軸線を中心とする複数の回転位置のそれぞれで
   係止固定可能な係止固定部を設け、上記スタータ
   ベースの周縁部にロープ支持孔を設け、スタータ
   プーリに巻回された手動ロープを、上記ロープ支
   持孔を通して上記スタータケースのエンジン冷却
   風取入孔からスタータケース外に引き出したこと
   を特徴とするリコイルスタータの取付け装置。