JPH0538132Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、地山保護と植生の侵入を両立させる
と共に、端部の破袋を防止した植生用袋体、特に
土のう用袋に関する。

（従来の技術及びその問題点） 従来、道路建設、土地造成等に伴つて形成され
る山腹法面の保護及び緑化工事においては、法面
の土質、勾配等の条件あるいは美観上要求される
条件等により種々の工法が開発されてきた。

例えば、比較的緑化に適した土質、勾配の法面
については種子吹付け工法が、岩盤法面や急勾配
法面については厚層客土吹付け工法や格子枠との
組み合わせが行なわれている。

この他にも多くの法面保護緑化資材及び工法が
開発されてきたが旧来から現在まで普遍的に使わ
れ続けてきたものに土のう用袋がある。

従来、土のう用袋の素材としては、当初は麻袋
等の腐蝕性繊維で形成されたものであつたが、近
年主流となつているのはポリプロピレン等の化学
合成繊維の耐腐蝕性繊維で形成されたものとなつ
ている。

これらの各々の特徴として、腐蝕性繊維で形成
されているものは、全体が完全に腐食して残留物
が無いが、土のうの形状を保持するものが全く無
くなる為、袋体の口紐部や端部周縁部が破袋して
内容物が流失してしまう欠点があつた。

一方耐腐蝕性繊維で形成されたものは、前記の
欠点を補うものであり、土のう内部に充填された
客土類の流失、崩落を長期間防止し、法面保護を
行なうと共に、植生の導入を図ることを目的とし
ている。

しかしながら土のう表面の腐蝕が遅い為、凹凸
の激しい場所では地山との密着性が悪く、また、
植生根が地山へ入りにくい、地山から浮き上がつ
て乾燥してしまうといつた問題点であつた。

また、段積みした場合にも、袋体が長期間残留
して、土のう袋相互が植生根で連結されて一体化
するのを妨げていた。

一方、特に盛土法面において、近年採用される
様になつた方法として、法面に広げた布製袋状物
の内部に客土材料を機械注入して客土層を形成す
る植生マツト工法がある。

特に出願人等は植生面と、法面保護を兼ね備え
た植生マツトを実公昭63−828号公報にて提案し
た。

しかしながらこの考案に係る植生工用袋体は、
法面へ張設後客土材料を注入することから注入後
の客土厚を見込んだ張設を必要とし、スムーズな
注入を行なえるような客土材料の配合を難しく、
熟練を必要としていた。また、法面に凹凸がある
場合は、客土注入して布帛内が客土材料で一杯に
なると凹凸から浮き上がつてしまい、乾燥しやす
く、植生が阻害されるといつた問題があり、この
ような問題が予想される場合には、土のうを適用
して問題発生を予防していた。

また、この植生工用袋体は張設後に植生材料の
流動物を注入する為、袋体を構成する布帛は流失
防止の為、おのずと目合いが密なものである必要
があり、布帛が腐食する以前の種子の発芽性に劣
り、植生の初期成育が阻害されることもしばしば
あつた。

よつて、この植生用袋体の構成をそのまま土の
うに適用することでは植生面と客土流出防止を兼
ね備えた土のう用袋とはなり得ないのである。

更に注入式の袋体の場合、法面全体を被覆する
よう張設することを前提としており、土のうの段
積みのように複数層に積み重ねることについては
全く考慮されていなかつた。

また、注入式の袋体の場合、複数枚の布帛間隔
を一定に保持する為の連結部の強度については考
えられているが、土のう用袋の場合は、先ず内容
物である植生材料即ち客土を内部に充填した後
に、人や機械で吊下げたり、運搬する為に、袋体
端部周縁部の破袋防止対策は必要不可欠であり、
この点についても注入式の袋体では全く考慮され
ていなかつた。

一方、地表面に土のうを敷設すると、土のう自
体に厚みがある為、土のうの周縁部は地表より浮
き上がつた形になり、そき浮き上がつた部分が腐
食すると内容物が落下してしまい、客土の流失や
崩壊を防止する為にも周縁部の破袋防止が必要不
可欠であり、連続した袋体である注入式の袋体は
この点についても全く考慮されていなかつた。

そこで本考案者等は植生マツト及び土のう用袋
の改良につき種々検討したが、土のう用袋の軽便
性と施工性の良さが何といつても魅力であり、土
のう用袋の地山への密着性と植生の侵入性及び袋
体端部周縁部の破袋の改良を行ない本考案を完成
した。

（問題点を解決する為の手段） 即ち本考案は、袋体を構成する表裏の織布が少
なくとも一部腐食する繊維で織られており、横糸
としてフラツトヤーン、縦糸としてモノフイラメ
ントにより構成されており、且つ周縁部の少なく
とも一部が耐腐蝕性繊維で帯状に織られてなる植
生用袋体である。

（実施例） 本考案の実施例につき、図面を参照しながら詳
細に説明する。

第１図、第２図、第３図は本考案の植生用袋体
を構成する織布の耐腐蝕性繊維の配置の実施例を
示す平面図である。

織布は横糸として腐蝕性の耐腐蝕性のフラツト
ヤーン、縦糸として耐腐蝕性のモノフイラメント
により構成されており、腐蝕性繊維としては動物
性、植物性、化学性等種々のものが使用でき、動
物性、植物性繊維としては皮や毛、綿や麻、パル
プといつた天然繊維が代表的であり、化学性繊維
としては薬品で易腐蝕化したポリオレフイン系の
繊維や微生物分解性プラスチツクが使用できる。

工業生産上利用が適しているものとしては、化
学性の易腐蝕性ポリオレフインがあげられる。ま
たその他には一般的に再生繊維と呼ばれるものの
フラツトヤーンがあげられ、特にビスコースレー
ヨンは、袋体を機械製造する際に従来の耐腐蝕繊
維性の土のうと同様に製造できると共に、吸水性
に優れた素材であり、植生にとつて有効である。

これらを単独で用いるか、あるいはデニール数
の異なるものや異なる繊維を混織して腐蝕時期を
調整することも出来るが、強度面からは1000〜
3000デニール、好ましくは2000デニール前後が望
ましい。

耐腐蝕性繊維としてはポリプロピレンやポリエ
チレンと言つた化学性繊維が適している。

これらを横糸間隔６〜12本／インチ、縦糸間隔
１〜４本／インチとして織成され、袋体を形成し
た時に開口部となる一辺（Ａ−A′）及びそれに
対向する一辺（Ｂ−B′）を耐腐蝕性繊維で帯状
に織る場合には、３〜15cmの幅で耐腐蝕性繊維の
横糸１のみで帯状に織成する。

そして残る二辺の周縁部２を耐腐蝕性繊維で帯
状に織る場合には、縦糸間隔を３〜８本／インチ
程度に密に打ち込む。

以上の様に織成された織布を表裏二枚を重ね合
せ、開口部を残して両側部３及び底部４を表裏を
縦糸間隔６〜15／インチに密に編み込んで袋体５
を形成する。

更に植生の導入を確実とするため、袋体には種
子、肥料、土壌改良材、保水材等の植生材料を直
接、または薄綿を介して貼着したり、あるいは紙
布片に前記植生材料を挟着した張芝を貼着しても
良い。

以上の様にして形成された土のう用袋に植生材
料あるいは現地土壌を充填し、土のう６として第
５図に示す様に法面７あるいは格子枠８内に敷設
し、または第６図に示す様に、段積みなどして法
面保護及び緑化の目的に供する。

この場合、その施工目的に合わせて敷設あるい
は段積みの方法を変えることが必要である。

例えば、法面に敷設する場合、地山が硬質土壌
で、土のうと地山との間に滑り面が形成されるこ
とが予想される場合には、少なくとも一部腐蝕性
繊維を含む側を法面側にして、地山と完全に密着
するように施工するのが望ましい。

あるいは、施工後に耐腐蝕性繊維が表面に残留
して美観を損ねるのを避けたいという場合には腐
蝕性繊維で織られた側を表面になるように施工す
ればよい。

また、段積みする場合には腐蝕性繊維の比率の
高い側と耐腐蝕性繊維の比率の高い側が接するよ
うに積層してゆく。

（作用） 法面に敷設あるいは段積みされた土のうを構成
する織布は、時間と共に腐蝕性繊維が腐食する。

耐腐蝕性繊維を含む側を表面にして敷設された
土のうの場合、残留した耐腐蝕性繊維側が法面全
体を被覆して、法面を保護する。

一方、段積みされた土のうの場合、耐腐蝕性繊
維は法面に層状に残留して、盛土全体を補強す
る。また、植生根が残留した耐腐蝕性繊維に絡み
付き、土のう相互が強固に連結される。

（考案の効果） 本考案は、袋体を構成する表裏の織布が少なく
とも一部腐食する繊維で織られており、横糸とし
てフラツトヤーン、縦糸としてモノフイラメント
により構成されており、かつ周縁部の少なくとも
一部が耐腐蝕性繊維で帯状に織られてなる植生用
袋体であるから、以下のような効果を有する。

即ち、植生面からみると、植生用袋を構成する
織布が、横糸がフラツトヤーン、縦糸がモノフイ
ラメントにより構成されていることから、従来の
注入式の植生用袋体のように目合いをとりたてて
密にする必要はなくなり、扁平な横糸で内容物の
流失を防止した袋体を形成でき、植生の初期の発
芽性、侵入性が良好である。

更に、経時的変化に伴つて、植生用袋を構成す
る織布は腐蝕性繊維部分が腐食してゆき、袋形状
が崩れる為、法面に敷設した場合には法面の凹凸
に密着して乾燥を防止し、植生根の地山への侵入
を容易にすると共に、耐腐蝕性繊維が法面全体を
被覆して法面を保護する。

あるいは、段積みした場合にも従来の土のう用
袋のように長期間腐食せずに残留するといつたこ
とがなくなり、層状に残留した耐腐蝕性繊維で盛
土を補強すると共に、植生根が耐腐蝕性繊維に格
み付き、土のう相互が連結されて一体化した強固
な盛土を形成する。

また客土流失防止面から見ると、植生用袋の開
口部及び底部、更に周縁部に密に打ち込まれた耐
腐蝕性繊維の縦糸により、客土充填後の運搬時あ
るいは法面への敷設後も袋体端部周縁部の破袋を
防止すると共に、土のうの形状を保持し、内容物
の流失及び崩壊を防止する。

即ち本考案の構成によつて初めて、従来の土の
う用袋及び注入式の植生工用袋体では成し得なか
つた、植生面と客土流失防止面を兼ね備えた植生
用袋体を供給できたのである。

また、1000〜3000デニールの同一あるいは二種
以上の腐蝕性繊維を使用して腐蝕時期の調整をす
ることにより、運搬時の強度を保つと共に植生の
成長に伴つて腐蝕して、植生の成長を阻害しない
植生用袋を供給できた。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本考案の植生用袋体
を構成する織布の耐腐蝕性繊維の配置の実施例を
示す平面図。第４図は本考案の植生用袋を示す斜
視図。第５図は土のうの敷設状況を示す部分断面
図。第６図は土のうの段積み状況を示す部分断面
図である。 図中１は横糸、２は周縁部、３は両側部、４は
底部、５は袋体、６は土のう、７は法面、８は格
子枠である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 袋体を構成する表裏の織布が少なくとも一部
   が腐蝕する繊維で織られており、横糸としてフ
   ラツトヤーン、縦糸としてモノフイラメントに
   より構成されており、且つ周縁部の少なくとも
   一部が耐腐蝕性繊維で帯状に織られてなる植生
   用袋体。 ２ 袋体を構成する表裏の織布の内、片面が耐腐
   蝕性繊維で織られ、残る片面が一部腐蝕する繊
   維で織られてなる請求項１記載の植生用袋体。 ３ 袋体を構成する表裏の織布の内、片面が腐蝕
   性繊維で織られ、残る片面が一部腐蝕する繊維
   で織られてなる請求項１記載の植生用袋体。 ４ 袋体を構成する表裏の織布が共に、一部腐蝕
   する繊維で織られてなる請求項１記載の植生用
   袋体。 ５ 袋体を構成する腐蝕性繊維が、再生繊維のフ
   ラツトヤーンである請求項１記載の植生用袋
   体。 ６ 袋体を構成する腐蝕性繊維が、腐蝕性の異な
   る二種以上の素材の繊維である請求項１記載の
   植生用袋体。 ７ 袋体を構成する腐蝕性繊維が、デニール数を
   変えて腐蝕性を変更した同一素材の繊維である
   請求項１記載の植生用袋体。 ８ 袋体を構成する腐蝕性繊維が、デニール数が
   1000〜3000の腐蝕性繊維である請求項１記載の
   植生用袋体。 ９ 袋体を構成する腐蝕性繊維が、ビスコースレ
   ーヨンである請求項１記載の植生用袋体。 10 袋体を構成する表裏の織布の少なくとも一部
   に、種子、肥料、土壌改良材、保水材の一種以
   上を水溶性糊剤で貼着してなる請求項１記載の
   植生用袋体。 11 袋体を構成する織布の少なくとも一部に、薄
   綿を重合し、該薄綿上に種子、肥料、土壌改良
   材、保水材の一種以上を貼着してなる請求項１
   記載の植生用袋体。 12 袋体を構成する織布の少なくとも一部に、種
   子、肥料、土壌改良材、保水材の一種以上を挟
   着した張芝を貼着してなる請求項１記載の植生
   用袋体。