JPH0535348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 ［産業上の利用分野］ 本考案は時計の曜車送り構造に関し、詳しくは
曜日が記載された曜車を回転させて曜日を更新す
る曜車送り構造に関する。

［従来の技術］ 曜車送り構造を備える携帯時計のカレンダー送
り構造として、例えば第５図に示されるものがあ
る。図ではカレンダー送り構造の要部のみが概略
的に示されている。

このカレンダー送り構造は、本体内側の周囲に
沿つて設けられたリング形の日車ａと、曜日が記
載された円盤状の曜車（図示省略）をその中心軸
にて回転支持する曜星車ｃと、日車ａおよび曜星
車ｃの中間に位置しこれらを回転駆動する日回車
ｅと、曜星車ｃを早送りする曜早送りレバーｆと
を備えて構成されたもので、日付と曜日の双方を
表示する。

この携帯時計のカレンダー送り構造では、時針
が取り付けられた筒車（図示省略）が１日２回転
する際、筒車に連結された日回車ｅが１回転す
る。日回車ｅに設けられた日送り爪ｍが日車ａと
歯合し日車ａを１歯分回転して日付を更新する。
また、日回車ｅの一部としてその中心軸上に曜回
爪ｐが設けられており、その上面にはバネ部材か
らなる曜送り爪ｒが形成されている。したがつ
て、日回車ｅの回転に伴つて曜回爪ｐが回転する
と、曜送り爪ｒが曜星車ｃと歯合して、曜星車ｃ
を１日分回転させ曜日を更新する。

一方、曜日を早送りさせるときには、巻真（図
示省略）を手前に引いて、巻真と一体の修正車ｔ
に形成された係止突起ｑを曜早送りレバーｆ内側
の係止部ｕに係合して回転させることにより、曜
早送りレバーｆを支点ｈに沿つて図中矢印Ｘ方向
に移動させる。移動により曜早送りレバーｆ先端
に形成された係止片ｖが曜星車ｃに歯合して曜日
の早送りがなされる。曜日の早送りが終了し、修
正車ｔとの係合が解かれると、曜早送りレバーｆ
の末端部に設けられたバネ部ｗの復元力によつて
曜早送りレバーｆは元の位置に戻る。

このようなカレンダー送り構造は、上記したよ
うに、日回車ｅの回転による曜日の更新と曜早送
りレバーｆによる曜日の早送りとの両機構を備え
ている。万一、曜送り爪ｒが曜星車ｃと歯合して
曜日を更新している最中に、使用者が巻真を回し
て早送りを行おうとすると、係止片ｖに歯合され
る曜星車ｃが回転し、曜送り爪ｒが弾性変形して
逃げるようにされている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、以下に掲げる点において猶一層
の改善が要望される。

即ち、曜送り爪ｒは曜星車ｃを回転しうる程度
の強さを有するバネ部材から構成されていること
から、使用者が巻真を力強く回した場合には、曜
送り爪ｒが十分に弾性変形することができず、係
止片ｖと当接する曜星車ｃや、曜星車ｃと曜送り
爪ｒとの歯合面に疲労あるいは破壊をきたしてし
まう恐れがあつた。

本考案は上記問題点を解決し、曜日の早送りを
好適に行なうことを目的としてなされた。

考案の構成 かかる目的を達成する本考案の構成について以
下説明する。

［課題を解決するための手段］ 本考案の時計の曜車送り構造は、 曜日が記載された曜車を回転させる曜星車と、 指針の回転に同期して前記曜星車に歯合される
曜送り爪を有する曜回爪と、 巻真に係合される修正車が回転されることによ
り前記曜星車を回転する曜早送り機構と、 を備えた時計の曜車送り構造において、 前記曜早送り機構は、 前記修正車に係合され、該修正車の回転に従つ
て移動する曜早送りレバーと、 該曜早送りレバーと前記修正車との係合が解か
れたとき、該曜早送りレバーを復元させるバネ部
材と、 該曜早送りレバーに設けられ、前記バネ部材に
よる復元方向の移動時に前記曜星車と歯合する係
合部と、 を備えたことを特徴とする。

［作用］ 上記構成を有する本考案の時計の曜車送り構造
は、指針の回転に同期して曜回爪を回転し、曜送
り爪によつて曜星車を回転させて曜車に記載され
た曜日を更新する。

さらに、曜早送り機構において、巻真の回転に
より修正車に係合された曜早送りレバーを移動さ
せておいて、係合が解れたときにバネ部材によつ
て復元される曜早送りレバーの移動時に係合部を
曜星車と歯合させて曜日を早送りする。

［実施例］ 以上説明した本考案の構成・作用を一層明らか
にするために、以下本考案の時計の曜車送り構造
の好適な実施例について説明する。

第１図は、携帯時計のカレンダー送り構造の要
部を示す。第２図及び第３図は、巻真近傍の断面
及び側面を示す。

図示するように、本実施例の曜車送り構造を備
えるカレンダー送り構造は、本体５内側の周囲に
沿つて設けられたリング形の日車１０と、英語及
び日本語の一週間の曜日が記載された円盤状の曜
車（図示省略）をその中心軸にて回転支持する曜
星車１５と、日車１０および曜星車１５の中間に
位置しこれらを回転駆動する日回車２０と、曜星
車１５を早送りする曜早送りレバー３０とを備え
て構成されたもので、日付と曜日の双方を表示す
る。

曜星車１５は時針が取り付けられた筒車３５と
同軸上に回転自在に軸支されており、その回転方
向にそつて傾いた歯１５ａを多数備えている。

日回車２０は筒車３５と連結されており、筒車
３５が１日２回転すると１回転する。また、日回
車２０には日送り爪４１が設けられている。日送
り爪４１は、日回車２０の回転にしたがつて日車
１０と歯合し、日車１０を１歯分回転させて日付
を更新する。

日回車２０の中心軸上には、日回車２０の一部
として曜回爪４３が設けられている。曜回爪４３
の上面には、曜送り爪４４が形成されており、日
回車２０と共に回転する曜回爪４３の回転にした
がつて曜星車１５と歯合して曜日を更新する。

つぎに、巻真４５および曜早送りレバー３０の
近傍の構造について説明する。

第２図に示すように、巻真４５は、軸の中程に
径の太い圧入部４５ａ及びこれより一段低い遊嵌
部４５ｂを備えており、筒状に形成された修正車
４７の内側に遊嵌されている。修正車４７の内側
には内部の一周り狭い押圧部４７ａが形成されて
いる。図においては、巻真４５の遊嵌部４５ｂと
修正車４７の押圧部４７ａとが合致しているとこ
ろが示されている。このとき、巻真４５と修正車
４７とは係合状態になく、巻真４５を回転させて
も修正車４７は回転することなく止まつたままで
ある。また、修正車４７の側面には、修正車４７
の回転時に日車１０および曜早送りレバー３０の
それぞれと係合する係合突起４９，５０が形成さ
れている。

一方、曜早送りレバー３０は、修正車４７に係
合される係合部３０ａ、曜星車１５と歯合される
係止爪３０ｂ、曜早送りレバー３０を曜星車１５
側（図中Ｘ方向と反対方向）に付勢する細長いバ
ネ部３０ｃを有する。係止爪３０ｂは細長く形成
されており、長さ方向と垂直な方向に弾性変形可
能である。曜早送りレバー３０のＸ軸双方向の移
動量は支点５３，５５によつて規制されている。

以上の構造を有する曜早送りレバー３０の機能
について説明する。巻真４５を手前に引いて圧入
部４５ａを押圧部４７ａに嵌め合わせ、巻真４５
と修正車４７とを係合状態にしておいて、巻真４
５を回すと、第３図に示すように係合突起５０が
曜早送りレバー３０の係合部３０ａを押圧して、
曜早送りレバー３０をＸ方向と反対方向に移動す
る。移動された曜早送りレバー３０は支点５３に
当接して止まる。移動に際して、係止爪３０ｂは
曜星車１５の歯１５ａと当接するが、係止爪３０
ｂはＹ方向に若干弾性変形して歯１５ａを乗り越
える。

この状態で、巻真４５をそのまま回し続ける
か、もしくは軸方向に押し戻すことによつて修正
車４７との係合を外すと、曜早送りレバー３０
は、バネ部３０ｃの復元力によつて元の位置に戻
ろうと移動する（図中Ｘ方向）。この復元時に係
止爪３０ｂは曜星車１５の歯１５ａと歯合し、曜
星車１５を１歯分回転させる。この結果、曜星車
１５が回転して曜日が早送りされる。

ところで、曜送り爪４４が曜星車１５に歯合し
て曜日を更新している最中に、上記した曜日の早
送りが行なわれた場合、係止爪３０ｂは曜星車１
５の歯１５ａと係合したままの状態となり、曜星
車１５は早送りされない。曜星車１５に掛かる係
止爪３０ｂの復元力は一定であり、曜星車１５に
無理な力が働かない。

したがつて、本実施例の時計の曜車送り構造に
よれば、曜送り爪４４が曜星車１５と歯合して曜
日を更新しようとしている最中に、使用者が巻真
４５を力強く回転させて早送りしようとしても、
曜星車１５にはバネ部３０ｃの復元力しか働かな
いので、使用者の必要以上の力の伝達を遮ること
ができる。この結果、曜星車１５と曜早送りレバ
ー３０との係合面あるいは曜星車１５と曜送り爪
４４との係合面の疲労や破壊を防止することがで
き、耐用期間が著しく向上する。

また、疲労や破壊が生じないので、曜星車１５
や曜早送りレバー３０などの材質に軽い合成樹脂
を適用することができる。

さらに、曜日の更新が曜日の早送りに優先する
ので、更新中に早送りしても２日先の曜日を指定
してしまうといつたことを回避できる。

またさらに、曜送り爪４４はバネ部材で構成し
なくても済むので、日回車２０と同一の材質で一
体成形することができ、部品点数を減らし製作の
単純化を図ることができる。

尚、巻真４５と修正車５０とは、上記した圧入
によつて係合させる構成の他、第４図に示すよう
に角部によつて係合させる構成であつてもよい。

考案の効果 以上詳述したように、本考案の時計の曜車早送
り構造によれば、曜送り爪が曜星車と歯合して曜
日を更新しようとしている最中に、使用者が巻真
を力強く回転させて早送りしようとしても、曜星
車にはバネ部材の復元力しか働かないので、使用
者の必要以上の力の伝達を遮ることができる。こ
の結果、曜星車と曜早送りレバーとの係合面ある
いは曜星車と曜送り爪との係合面の疲労や破壊を
防止することができ、耐用期間を向上させること
ができる。

また、疲労や破壊が生じないので、曜星車や曜
早送りレバー等の材質に軽い合成樹脂を適用する
ことができる。

さらに、曜日の更新が曜日の早送りに優先する
ので、更新中に早送りしても、２日先の曜日を指
定してしまうといつたことを回避できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は携帯時計のカレンダー送り構造の要部
を示す平面図、第２図は巻真近傍の構造を示す断
面図、第３図は修正車と曜早送りレバーとの係合
状態を示す側面図、第４図は変形例における巻真
と修正車との係合状態を説明する説明図、第５図
は従来の時計のカレンダー送り構造の要部を示す
平面図である。 １５……曜星車、２０……日回車、３０……曜
早送りレバー、４４……曜送り爪、４５……巻
真、５０……修正車。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 曜日が記載された曜車を回転させる曜星車と、 指針の回転に同期して前記曜星車に歯合される
   曜送り爪を有する曜回爪と、 巻真に係合される修正車が回転されることによ
   り前記曜星車を回転する曜早送り機構と、 を備えた時計の曜車送り構造において、 前記曜早送り機構は、 前記修正車に係合され、該修正車の回転に従つ
   て移動する曜早送りレバーと、 該曜早送りレバーと前記修正車との係合が解か
   れたとき、該曜早送りレバーを復元させるバネ部
   材と、 該曜早送りレバーに設けられ、前記バネ部材に
   よる復元方向の移動時に前記曜星車と歯合する係
   合部と、 を備えたことを特徴とする時計の曜車送り構造。