JPH0535126U - 紙おむつ - Google Patents

紙おむつ

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JPH0535126U
JPH0535126U JP8609291U JP8609291U JPH0535126U JP H0535126 U JPH0535126 U JP H0535126U JP 8609291 U JP8609291 U JP 8609291U JP 8609291 U JP8609291 U JP 8609291U JP H0535126 U JPH0535126 U JP H0535126U
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absorber
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Abstract

(57)【要約】 【目的】尿の拡散吸収性を高める。 【構成】不透液性シート1と透液性シート2A、2Bと
で吸収体31、32を包被した紙おむつにおいて、吸収
体は31、32は使用面側に対して中高であり、この吸
収体31、32の透液性シート2A、2B外面から吸収
体31の中高部分の表面に食い込んで、前後方向に沿う
エンボスが施され、このエンボス部分において、透液性
シート2A、2Bと吸収体31とが一体化されており、
エンボスによる拡散吸収溝Gが形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、優れた尿の拡散吸収性を示す紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の紙おむつにおいては、尿の吸収性が高いことが、着用者の肌カブレを 防止するために必要である。
【0003】 このために、特開昭59−207150号公報においては、吸収体の長手方向および幅 方向中間に前後方向に沿う拡散吸収溝を形成することを開示している。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、この公報例では、吸収体と不織布透液性シートとが離間しているため に、一旦透液性シートに吸収された尿のみが拡散吸収溝に達した時点で、その長 手方向に拡散し、吸収体内に吸収されるものである。したがって、表面シートを 伝わって拡散しようとする尿を拡散吸収する効果はなく、もって後述の実験例で 示すように、尿の拡散吸収性の点で劣るものであった。
【0005】 そこで、本考案の課題は、尿の拡散吸収性に優れる紙おむつを提供することに ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、不透液性シートと透液性シートとで吸収体を包被した紙おむつに おいて、 前記吸収体の長手方向および幅方向中間において、吸収体上方の1枚または複 数枚の透液性シートの最外面から吸収体のの表面に食い込んで、前後方向に沿う エンボスが施され、このエンボス部分において、全透液性シートと吸収体とが一 体化されており、エンボスを解放した状態においても、そのエンボスによる溝と なった拡散吸収溝が形成されていることで解決できる。
【0007】 また、前記吸収体は少なくとも長手方向中間部の尿の透過領域において、幅方 向中間が使用面側に対して中高であり、この中高部分より外方は低位であり、さ らに、この吸収体上方の1枚または複数枚の透液性シートの最外面から吸収体の 中高部分の表面に食い込んで、前後方向に沿うエンボスが施され、このエンボス 部分において、全透液性シートと吸収体とが一体化されており、エンボスを解放 した状態においても、そのエンボスによる溝が形成される拡散吸収溝が形成され ている構成とすることができる。
【0008】
【作用】
本考案においては、吸収体の長手方向および幅方向中間において、吸収体上方 の1枚または複数枚の透液性シートの最外面から吸収体のの表面に食い込んで、 前後方向に沿うエンボスを施こし、このエンボス部分において、全透液性シート と吸収体とを一体化し、エンボスを解放した状態においても、そのエンボスによ る溝が形成されている拡散吸収溝を形成したので、透液性シートを透過して拡散 吸収溝に達した尿は、この拡散吸収溝に沿って移動分散し、その過程で吸収体に 吸収されるので、溝が形成されていない場合に比較して、尿の拡散吸収性に優れ る。
【0009】 また、透液性シートを未だ透過しない場合、たとえば局部的に大量の排尿があ った場合においては、透液性シートを透過するまでの間、その透液性シートを面 方向に拡散する尿が、拡散吸収溝に達すると、その溝内を長手方向に沿って端部 まで移動するようになる。この移動の過程で、尿が拡散吸収溝の壁面および底面 の透液性シートを通して吸収体に吸収される。逆に、一旦尿が吸収体に吸収され ると、尿の濃度が、拡散吸収溝の周囲が高いと、濃度勾配により、尿の拡散吸収 溝への移動が促進される。このようにして、拡散吸収溝による尿の拡散吸収がな される。
【0010】 しかも、直接、拡散吸収溝内に尿が入り込むことができるので、その入り込ん だ尿は、溢れることなく、吸収体へと浸透するようになる。これに対して、前述 の公報例の場合には、吸収溝部分に排尿があったとしても、かかる効果は期待で きない。
【0011】 さらに、本考案では、全透液性シートと吸収体とが一体化されているので、透 液性シートから吸収体内部への尿の移動が、離間している、あるいは単に接して いる場合に比較して、はるかに吸収体への浸透速度が速く、もって浸透吸収性に 優れる。
【0012】 一方、吸収体の長手方向中間部の尿の透過領域において、幅方向中間を使用面 側に対して中高とし、この中高部分より外方は低位とし、前記の中高部分に拡散 吸収溝を形成することが有効である。
【0013】 尿の吸収量を高める場合には、綿状パルプの量を多くする、通常は紙おむつの 寸法が規定されるので、綿状パルプの厚みを厚くすることで対処できる。しかし 、綿状パルプの厚みを厚くすると、そのコストが嵩む。そこで、ある限られた綿 状パルプ量の中で、幅方向中間を中高とすると、排尿は通常幅方向中間部分にお いて直接的になされるので、その部分の吸収量あるいは吸収速度を速めれば足り るので、きわめて合理的な設計となる。しかも、エンボスの際に、同時に中高部 分を圧縮することで、中高部分における尿の吸収速度を速めることができる。こ の圧縮中高部分に、より圧縮された拡散吸収溝が形成されると、透液性シートを 通しての尿の透過速度が速まり、かつ透過した尿が速やかに中高吸収体部分に浸 透吸収される。したがって、より尿の拡散吸収性に優れたものとなる。
【0014】
【実施例】
以下本考案を図面を参照しながら実施例によりさらに詳説する。 図1〜図7は第1実施例を示したもので、本考案に係る紙おむつでは、ポリエ チレン等からなる不透液性シート1と不織布などからなる、1枚の透液性シート 、または実施例に示すように、2枚の透液性第1シート2Aおよび透液性第2シ ート2Bとの間に、綿状パルプ等からなる、たとえば長方形または好ましくは図 示のように砂時計型のある程度剛性を有する吸収体3、実施例では第1吸収体3 1および第2吸収体32が介在されている。
【0015】 実施例での吸収体3は、単層でなく2層構造となっている。下層の第2吸収体 32は、砂時計形状をなし、これに対して上層の第1吸収体31は、第2吸収体 32の股間部の幅と同一の幅を有し、長方形をなしている。各吸収体31、32 の長さは同一である。さらに、図4および図5の股間部および前後端部の断面形 状により参照されるように、第1吸収体31および第2吸収体32はそれぞれ幅 方向中間が上方に中高となっている。これらの吸収体31、32間には高分子吸 水剤33が塗布され、両接触面に一体化されている。
【0016】 吸収体3はその形状保持のために吸収紙34により、図5に示されているよう に、たとえば横断面的には上方開口のリップ溝形の額巻き形態で包むことができ る。図5において、額巻きとなっていないのは、股間部のカットにより吸収紙3 4が切欠されるためである。
【0017】 不透液性シート1は吸収体3の周囲より外方に延在して砂時計形状をなしてい る。透液性シート2は長方形をなし、脚回り部分では吸収体3の側縁より若干外 方に延在し、不透液性シート1とホットメルト接着剤などにより固着されている 。不透液性シート1の側方の延在部は、後述するバリヤーシート4および透液性 シート2の側部とともに、フラップFを構成する。透液性シート2の長手方向端 縁は紙おむつと一致している。
【0018】 紙おむつの両側部には、使用面側に突出する脚周り用バリヤーカフスB1 、B1 が形成され、このバリヤーカフスB1 は、実質的に幅方向に連続したバリヤー シート4と一本のまたは複数本たとえば図示のように2本の脚周り用弾性伸縮部 材5とにより構成されている。さらに、バリヤーカフスB1 は、バリヤーシート 4を内折りして2重に形成され、紙おむつ本体に拘束された二つの近位端、すな わち内起立線51および外起立線52と自由の一つの遠位端60とを有し、バリ ヤーシート4の2重の部分内に弾性伸縮部材5が配置され、外起立線52はフラ ップFにあり、内起立線51は前記吸収体3の側縁の内方に位置している。
【0019】 より詳しく説明すると、バリヤーシート4の外側部分は、たとえば4本のガス ケットカフス用弾性伸縮部材7、7…を挟んで不透液性シート1にホットメルト 接着剤(図面上×印により図示している)などにより固着され、内側部分は吸収 体3の側縁より若干内側の個所において透液性シート2にホットメルト接着剤な どにより脚周りシール線20をもって固着されている。
【0020】 さらに、脚周り用弾性伸縮部材5は内折り2重バリヤーシート4の内面にホッ トメルト接着剤などにより固定されている。この固定は、脚周り用弾性伸縮部材 5がその伸長状態において全長にわたって、あるいは両端部のみ固定することが できる。後者の場合には、中間がフリーとなる。
【0021】 また、バリヤーシート4の2重部分の前後端部は、その前記折り畳み内面が、 ホットメルト接着剤などにより、透液性シート2に対して、直接的には後述する バリヤーカフスB2 用シートの上面に固着され、紙おむつ本体に対して拘束され ている。したがって、この拘束部分を除くバリヤーシート4の2重部分の長手方 向中間は自由になっており、着用時に前後方向に船形となったときおいて、弾性 伸縮部材5、5の収縮力により、図7に示すように、起立するようになっている 。この起立により、脚周り用バリヤーカフスB1 が生成される。6は止着テープ である。
【0022】 このバリヤーカフスB1 、B1 は、着用者の脚周りに当接し、そのバリヤーカ フスB1 、B1 と透液性シート2とで囲まれる空間は、上方開放のほぼ台形の空 間であり、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると 、その尿は透液性シート1を通って吸収体3内に吸収されるとともに、軟便の固 形分については、バリヤーカフスB1 、B1 が(障壁)バリヤーとなり、その乗 り越えが防止される。万一、バリヤーカフスB1 、B1 の起立側縁を乗り越えて 横に漏れた尿は、弾性伸縮部材7、…によるガスケットカフスにより横漏れが防 止される。さらに、本考案においては、軟便が図7の矢印に示すように、横方 向に移動してバリヤーカフスB1 の内面に移行したとき、その軟便に対して、そ の下方に常に吸収体が存在するので、軟便中の水分が破線矢印に示すように、透 液性シートを通して吸収体内に浸透吸収される。もって、ある時間経過すると、 軟便中の水分が少なくなり、固形分が多くなるので、流動性を失い、紙おむつの 中央側に戻ることがなく、肌のカブレなどを防止できる。
【0023】 実施例でのバリヤーカフスB1 は、図7に示されているように、起立状態では 、バリヤーシート4の2重部分の前後端部は、その前記折り畳み内面が、ホット メルト接着剤などにより、透液性シート2の上面に対して固着され、紙おむつ本 体に対して拘束されているので、バリヤーカフスB1 の外壁B11および内壁B12 は、内側に傾斜して起立するようになり、着用時において、外方に反り返ること がなく、バリヤー性が良好となる。
【0024】 ところで、図7にも参照されるように、透液性シート2の側縁が、外起立線5 2の付近における不透液性シート1とバリヤーシート4との固着部より若干内方 寄りの位置まで延出しており、その下面を不透液性シート1に固着されている。
【0025】 バリヤーカフスB1 の外壁B11から外起立線52を境にして外方に延在するバリ ヤーカフスB1 (またはバリヤーシート4)の裾部分は、不透液性シート1に対 して、弾性伸縮部材7、…を途中に介在させながらホットメルト接着剤により相 互に固定されている。
【0026】 このように構成された紙おむつにおいては、前述のバリヤーカフスの外方への 反り返りが防止されるとの効果のほか、第1に吸収体3の側面が透液性シート2 により包まれるので、吸収体3の横ずれが防止される、第2に透液性シート2に 吸収された尿が幅方向に拡散したとき、透液性シート2が幅が広いので、拡散吸 収能力が高まる、第3に吸収体3から流出した尿は、バリヤーカフスB1 の起立 部分の下方にまで延在する透液性シート2により吸収されるので、長手方向の拡 散が防止され、前後漏れを防ぐ、第4に透液性シート2の側縁はバリヤーカフス B1 の外起立線52より外方に延在していないので、それ以上尿が横方向に拡散 せず、もって尿に横漏れを防止できるなどの効果がある。
【0027】 ところで、バリヤーカフスB1 を一枚のシートにより形成してもよい。しかし 、この場合には、バリヤーカフスB1 がペラペラとなり、形状保持性が劣る。さ らに、バリヤーシート4を撥水性の材料により形成したとしても、尿が透過また は外側に滲み出す危険性が高くなる。したがって、これらの問題を解消するため には、前述の実施例で示すように、2重カフスとするのが望ましい。
【0028】 一方、実施例では、さらに紙おむつの前後端部、少なくとも後部端部に、腰周 り用弾性伸縮バンド8および腰周り用バリヤーカフスB2 を有する。腰周り用弾 性伸縮バンド8としては、たとえばウレタン発泡体のバンドとすることができ、 不透液性シート1と透液性シート2との間に挟んでホットメルト接着剤などによ り固定することができる。
【0029】 腰周り用バリヤーカフスB2 は好ましくは撥水性の不織布シートを紙おむつの 幅方向に沿って配設し、その前後方向端部をホットメルト接着剤により固定して ある。この固定部位は、バリヤーカフスB2 の起立線を規定する内方シール線5 3が吸収体3の上方にある限り、端縁までベタで塗布することもできるし、長手 方向に間欠的に塗布することもできる。内方シール線53より内方は自由部分と なっている。しかし、実施例では、脚周り用バリヤーカフスB1 の内起立線51 、51間の幅より長いので、その内起立線51を越えて幅方向に延在する。この 延在部分においては、脚周り用バリヤーカフスB1 を腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分の表面に重ねてホットメルト接着剤を塗布して内起立線51としよ うとしても、このままではバリヤーカフスB2 の自由部分に固定するのみである ために、その部分がペラペラしてしまうとともに、尿または軟便が入り込んだと き、一気に脚周り用バリヤーカフスB1 内に浸透してしまうので、ホットメルト 接着剤により区画シール線54を腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分の両端 部を透液性シート2に対して固定することが望ましい。
【0030】 腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分は図7に示すように、使用状態におい ては内方に斜めに起立するようになる。この起立力は、腰周り用弾性伸縮バンド 8の収縮力および脚周り用バリヤーカフスB1 の弾性伸縮部材5の収縮力の2者 の力による。すなわち、脚周り用バリヤーカフスB1 の弾性伸縮部材5の収縮力 が作用すると、紙おむつ全体が前後方向に舟形に湾曲する。また、腰周り用弾性 伸縮バンド8の収縮力によって、すなわちたとえ使用状態において腰周りが伸長 されたとしても、製品の製造段階に比較してみると収縮状態にあるので、紙おむ つの前後端部が幅方向に湾曲する。これらの湾曲により、吸収体3および透液性 シート2と腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分との間に空間が形成され、結 果的に使用状態においては、腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分が斜めに起 立する。
【0031】 その結果、脚周り用バリヤーカフスB1 の場合と同様に、尿および軟便の堰止 めを図ることができる。特に、内方シール線53が吸収体3の上方にあるために 、図7の矢印に示すように、腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分の下に入 り込んだ軟便の水分を速やかに透液性シート2を通して吸収体3内に浸透吸収で きる。
【0032】 上記例は、腰周り用バリヤーカフスB2 を脚周り用バリヤーカフスB1 の内面 に配設してあるが、脚周り用バリヤーカフスB1 の上面に配設することもできる 。しかし、前述の実施例の形態の方が、デザイン性などの点で好ましい。さらに 、腰周り用バリヤーカフスB2 は脚周り用バリヤーカフスB1 の突出端(遠位端 )間の幅より長ければよく、必ずしも内起立線51を越えて幅方向に延在する必 要はない。しかし、この場合においては、内方シール線53を少なくとも内起立 線51まで延ばす必要がある。さらに、この場合、腰周り用バリヤーカフスB2 の自由部分の一部を脚周り用バリヤーカフスB1 の起立部分の内面に固定するこ とができる。
【0033】 なお、本考案において、各バリヤーカフスを形成するバリヤーシートは、透液 性でなく不透水性であるので望ましい。また、透液性シートに対してシリコン処 理などにより撥水性とするようにしてもよい。さらに、前記の実施例では、脚周 り用バリヤーシート4の裾は不透液性シート1と固定したが、透液性シート1を 紙おむつの側縁またはその近くまで延在させて、その透液性シート1に対して固 定されることもできる。
【0034】 また、9は吸収体3を舟形に成形するために用いる形状保持用弾性伸縮部材で 、この弾性伸縮部材9を設けると、紙おむつの使用時において、ある程度剛性の ある吸収体3を舟形に折り曲げ着用者の体にフィットした形状に保持させること ができる。この場合において、弾性伸縮部材9の収縮力が吸収体3に作用するた めには、弾性伸縮部材9が吸収体3の側面に近接していることが重要であるが、 このためにも、本考案の実施例に従って、透液性シート2をバリヤーカフスB1 の下方の部分において不透液性シート1に対して固定する構造が、弾性伸縮部材 9を吸収体3の側面に近接して固定するために有効である。
【0035】 ところで、紙おむつの両側部にバリヤーカフスを形成し、もって特に軟便の横 漏れの防止を図るものとして、特開昭62−250201号公報には、フラップ部分に一 枚のバリヤーシートを固着して近位端とし、自由の遠位端に弾性伸縮部材を設け た構造、およびその変形例として、トップシートを延在させて、フラップ部分の 途中に折り畳んで起立させてバリヤーカフスとし、その折り畳み部分の側縁を遠 位端とし、起立個所を近位端とした構造も開示している。一方、特開昭63−1824 02号公報では、前記公報例をさらに発展させて、前後漏れ防止を図るべく、腰周 りにもバリヤーカフスを形成することが開示されている。 かかる、前述の両公報記載の紙おむつでは、脚周りおよび腰周りのバリヤーカ フスの近位端を、吸収体の側縁の外方のフラップに位置させることで、吸収ポケ ットを形成し、このポケット内に軟便を導き、保持しておくことが望ましいとす るものである。 しかし、一見、吸収ポケットの存在が有効であると考えられるものの、実際に その構造の紙おむつを使用してみると、軟便の堰止め効果があるものの、吸収ポ ケット内に入った軟便が、前述の実施例のように、吸収ポケットの下方に吸収体 がないために、水分が充分吸収体内に浸透せず、軟便のままその吸収ポケット内 に長時間滞留して、着用者の動きによっては、その軟便が紙おむつの中央側に逆 流することもあり、着用者の肌を荒らしまたは不快感を与える。
【0036】 したがって、前述の実施例のように、脚周りおよび腰周りのバリヤーカフスの 起立線は、それぞれ吸収体3の上方に位置しているのが望ましい。吸収体3、具 体的には透液性シート2とバリヤーカフスの内面側との間に入り込んだ軟便に対 して、その下方に常に吸収体3が存在すると、軟便中の水分が透液性シート2を 通して吸収体3内に浸透吸収される。もって、ある時間経過すると、軟便中の水 分が少なくなり、固形分が多くなるので、流動性を失い、紙おむつの中央側に戻 ることがなく、肌のカブレなどを防止できる。また適用者が紙おむつを取り替え る場合において、軟便そのままであることによる不便さから解放される。
【0037】 さて、本考案では、好ましくは図1、図2、図4および図6に示すように、吸 収体3は少なくとも長手方向中間部の尿の透過領域において、幅方向中間が使用 面側に対して中高であり、この中高部分より外方は低位とする。第1実施例では 、第1吸収体31および第2吸収体32の両者が中高となっている。この中高部 分の幅は、バリヤーカフスB1 、B1 の起立線51、51の間とされている。実 施例では、第2吸収体32の中高部分幅が第1吸収体31の中高部分幅より若干 幅広とされている。
【0038】 さらに、この第1吸収体31上方の1枚または、実施例のように複数枚、すな わち透液性第1シート2Aおよび透液性第2シート2Bの最外面から第1吸収体 31の中高部分の表面に食い込んで、前後方向に沿うエンボスが施され、このエ ンボス部分において、透液性第1シート2Aおよび透液性第2シート2Bと第1 吸収体31とが一体化されており、エンボスを解放した状態においても、図6に 示すように、そのエンボスによる溝が復元しない拡散吸収溝Gが形成されている 。
【0039】 このエンボスまたは拡散吸収溝Gの形成に際しては、図7の仮想線で示すよう に、たとえば台形の断面をもつエンボスフィンfを有する吸収体3の幅より幅広 のエンボスロールRにて、吸収体3全体を圧縮することにより形成することがで きる。この圧縮により、図6に示すように、第1吸収体31および第2吸収体3 2が、特にそれらの中高部分が圧縮されるとともに、エンボスフィンfにより拡 散吸収溝Gが形成される。
【0040】 このように構成された紙おむつにおいて、透液性シート2A、2Bを透過して 拡散吸収溝Gに達した尿は、この拡散吸収溝Gに沿って移動分散し、その過程で 吸収体31に吸収されるので、溝Gが形成されていない場合に比較して、尿の拡 散吸収性に優れる。 また、透液性シート2A、2Bを未だ透過しない場合、たとえば局部的に大量 の排尿があった場合においては、透液性シート2A、2Bを透過するまでの間、 その透液性シート2A、2Bを面方向に拡散する尿が、拡散吸収溝Gに達すると 、その溝G内を長手方向に沿って端部まで移動するようになる。この移動の過程 で、尿が拡散吸収溝Gの壁面および底面の透液性シート2A、2Bを通して吸収 体31に吸収される。逆に、一旦尿が吸収体31に吸収されると、尿の濃度が、 拡散吸収溝Gの周囲が高いと、濃度勾配により、尿の拡散吸収溝Gへの移動が促 進される。このようにして、拡散吸収溝Gによる尿の拡散吸収がなされる。
【0041】 しかも、直接、拡散吸収溝G内に尿が入り込むことができるので、その入り込 んだ尿は、溢れることなく、吸収体31、32へと浸透するようになる。これに 対して、前述の特開昭59−207150号公報例の場合には、吸収溝部分に排尿があっ たとしても、かかる効果は期待できない。
【0042】 さらに、本考案では、全透液性シートと吸収体とが一体化される。この一体化 手段としては、透液性第1および第2シート2A、2Bがポリプロピレン不織布 などの熱溶融性の場合、または第1吸収体31中にポリエチレンなどのがなどの 熱溶融性材料を含む場合には、少なくとも前記のエンボスフィンfを加熱してヒ ートシールにより一体化できる。なお、一体化は、拡散吸収溝Gの部分のみでな く、透液性第1および第2シート2A、2Bと第1吸収体31の少なくとも尿吸 収用露出表面領域全体において行うのが望ましい。さらに、好適には第1吸収体 31を第2吸収体32とも一体化する。かかる圧縮および一体化は、吸収体全体 の強度を高め、その形態保持性を高めることにもなる。一体化手段として、ホッ トメルト接着剤(塗布量は吸収性を阻害しないためにスパイラル塗布などにより 7g/m2以下が好ましい)による接合でもよい。第1吸収体31、さらに第2吸 収体32に望ましくは水溶性のバインダーを混入させて接合することもできる。
【0043】 このように、透液性シートと吸収体とを、実施例では、少なくとも透液性第1 および第2シート2A、2Bと第1吸収体31とを一体化させているので、透液 性シートから吸収体内部への尿の移動が、離間している、あるいは単に接してい る場合に比較して、はるかに吸収体への浸透速度が速く、もって浸透吸収性に優 れる。
【0044】 さらに、拡散吸収溝Gの形成は、この拡散吸収溝Gに沿って、すなわち幅方向 中間の線に沿って折れ曲がるために、装着時および着用後において、股間部に対 するフィット性が良好となる。このフィット性の改善により、吸収体の横ずれお よび縦ずれを抑制し、ずれに伴う吸収面積の減少を防止できる。
【0045】 上記実施例の拡散吸収溝Gは、単純に細長の溝であるが、特開昭59−207150号 公報例のように、たとえば図8に示すように、その両端に面積を拡大した尿溜ま り部gを形成することもできる。拡散吸収溝Gは長手方向に平行に複数本形成し てもよい。
【0046】 拡散吸収溝Gの形成位置としては、男子および女子の違いはあるものの、前側 であるのが好ましい。寸法的に、図1に示す符号で、L=70〜200mm 、W=1〜 6mm、Fr=70〜150mm 、Ba=140 〜250mm 、Fr/Ba=0.4 〜0.7 、深さ 0.5 mm以上、特に1 mm以上が好ましい。
【0047】 前記の透液性第1シートとしては、たとえば親水性処理した、好適には坪量18 〜25g/m2のポリプロピレン系不織布を、透液性第2シートとしては、同不織布 または好適には坪量15〜30g/m2のティッシュ紙を用いることができる。透液性 シートは前述のように、1層でもよいし、3層以上とすることもできる。
【0048】 なお、前記の高分子吸水剤は前記拡散吸収溝に相当する個所には、塗布しない ことが、吸尿に伴って膨出して拡散吸収溝の平坦化または崩れを防止するために 望ましい。
【0049】 吸収体3の構造の他の例を図9以下に示した。図9〜図12は第2実施例を示 したもので、第1吸収体31の中高が全長にわたることなく、一部であり、第2 吸収体32に中高部分が形成されていない例である。図13〜図16は第3実施 例を示したもので、第1吸収体31の中高が全長にわたることなく、一部である とともに、鳥が羽根を開いた形状をなし、かつ第2吸収体32に中高部分が形成 されていない例である。図17〜図20は第3実施例を示したもので、第1吸収 体31の中高が全長にわたることなく、一部であるとともに、鳥が羽根を開いた 形状をなし、かつ第2吸収体32に中高部分が形成されておらずかつ括れ部分を 形成した例である。
【0050】 本考案は、バリヤーカフスを有しない紙おむつにも当然に適用できる。吸収体 に中高部分を成形することを必須としない。
【0051】 (実験例) 図2〜図5に示す吸収体を使用し、尿の拡散吸収性を調べた。この場合、拡散 吸収溝の側壁および底壁のみを第1吸収体と熱溶融により一体化した場合(第1 実験例)と、50mm×50の範囲も熱溶融により一体化した場合(第2実験例)の両 者のついて調べた。また、比較として、拡散吸収溝を形成していない場合(第1 比較例)、および吸収体に同一断面形状の拡散吸収溝は形成するものの、特開昭 59−207150号公報のように透液性シートはその拡散吸収溝から離間して面一とな っている場合(第2比較例)についても調べた。結果は、第1比較例、第2比較 例、第1実施例、第2実施例の順に、尿の拡散吸収性が良好であることを知見し た。
【0052】
【考案の効果】
以上の通り、本考案によれば、尿の拡散吸収性に優れたものを得ることができ る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る第1実施例の紙おむつの展開状態
一部破断平面図である。
【図2】第1吸収体(上層用吸収体)の平面図である。
【図3】第2吸収体(下層用吸収体)の平面図である。
【図4】図1の4−4線矢視図である。
【図5】図1の5−5線矢視図である。
【図6】図1の4−4線に沿う要部斜視図である。
【図7】第1実施例の要部斜視図である。
【図8】拡散吸収溝の他の例の要部平面図である。
【図9】第2実施例の第1吸収体(上層用吸収体)の平
面図である。
【図10】その第2吸収体(下層用吸収体)の平面図で
ある。
【図11】図1の4−4線相当部分の横断面図である。
【図12】図1の5−5線相当部分の横断面図である。
【図13】第3実施例の第1吸収体(上層用吸収体)の
平面図である。
【図14】その第2吸収体(下層用吸収体)の平面図で
ある。
【図15】図1の4−4線相当部分の横断面図である。
【図16】図1の5−5線相当部分の横断面図である。
【図17】第4実施例の第1吸収体(上層用吸収体)の
平面図である。
【図18】その第2吸収体(下層用吸収体)の平面図で
ある。
【図19】図1の4−4線相当部分の横断面図である。
【図20】図1の5−5線相当部分の横断面図である。
【符号の説明】
1…不透液性シート、2A…透液性第1シート、2B…
透液性第2シート、3…吸収体、4…バリヤーシート、
5…弾性伸縮部材、31…第1吸収体、32…第2吸収
体、33…高分子吸水剤、34…吸収紙、B1 …脚周り
用バリヤーカフス、B2 …腰周り用バリヤーカフス、G
…拡散吸収溝、g…尿溜まり部、R…エンボスロール、
f…エンボスフィン。

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】不透液性シートと透液性シートとで吸収体
    を包被した紙おむつにおいて、 前記吸収体の長手方向および幅方向中間において、吸収
    体上方の1枚または複数枚の透液性シートの最外面から
    吸収体のの表面に食い込んで、前後方向に沿うエンボス
    が施され、このエンボス部分において、全透液性シート
    と吸収体とが一体化されており、エンボスを解放した状
    態においても、そのエンボスによる溝が形成されている
    拡散吸収溝が形成されていることを特徴とする紙おむ
    つ。
  2. 【請求項2】不透液性シートと透液性シートとで吸収体
    を包被した紙おむつにおいて、 前記吸収体は少なくとも長手方向中間部の尿の透過領域
    において、幅方向中間が使用面側に対して中高であり、
    この中高部分より外方は低位であり、 さらに、この吸収体上方の1枚または複数枚の透液性シ
    ートの最外面から吸収体の中高部分の表面に食い込ん
    で、前後方向に沿うエンボスが施され、このエンボス部
    分において、全透液性シートと吸収体とが一体化されて
    おり、エンボスを解放した状態においても、そのエンボ
    スによる溝が形成されている拡散吸収溝が形成されてい
    ることを特徴とする紙おむつ。
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