次に、実施の形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
本実施の形態に係る使い捨ておむつ1は、着用者の肌等に当接し、体液を吸収する第1吸収層13を含む第1吸収体10と、第1吸収体10よりも非肌当接面側に配置され、第2吸収層(第2中央吸収層23及び第2サイド吸収層24)を含む第2吸収体20と、を有し、一度に大量の体液が排出された場合であっても、第1吸収体10と第2吸収体20とによって体液を迅速に引き込むことができるように構成されている。
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態において吸収性物品を構成する使い捨ておむつ1の概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開平面図である。図3は、図2に示すA-A線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。図4は、図2に示すB-B線に沿った使い捨ておむつの前後方向断面図である。使い捨ておむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつである。なお、以下、図2等の平面図においては、図1に示す使い捨ておむつを展開し、使い捨ておむつを構成する表面シートや外装シート等の皺が形成されない状態まで、弾性部材を伸長させた状態の図である。
使い捨ておむつ1は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、着用者に向かう内方向IN及び内方向と反対側に向かう外方向OUTを有する厚み方向Tと、を有する。
使い捨ておむつ1は、図2に示すように、使い捨ておむつ1の前後方向Lにおいて、着用者の前胴回りに当てられる前胴回り域S1と、着用者の後胴回りに当てられる後胴回り域S2と、着用者の股下に当てられ、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に位置する股下域S3と、を有する。
前胴回り域S1の使い捨ておむつ1の一方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4が、後胴回り域S2の一方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6と接合され、かつ他方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4’が、他方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6’と接合されることによって、使い捨ておむつ1がパンツ型に形成される。パンツ型の使い捨ておむつの前胴回り域及び後胴回り域には、互いの縁部が接合された接合部7が形成されており、股下域S3は、接合部7よりも前後方向内側の域である。
使い捨ておむつ1には、図1に示すように、パンツ型に形成された状態で、着用者の腰回りを囲んで配置される腰回り開口部8と、着用者の脚回りを囲んで配置される一対の脚回り開口部9と、が形成される。
使い捨ておむつ1は、吸収性本体1Aと、外装体1Bと、から構成されており、これらは互いに、接着剤や熱融着などによって接合されている。
(2)外装体の構成
外装体1Bは、吸収性本体1Aに接合され、かつ少なくとも前胴回り域に配置される前外装体1BFと、吸収性本体1Aに接合され、かつ少なくとも後胴回り域に配置される後外装体1BRと、前外装体1BFと後外装体1BRとを繋ぎ、かつ少なくとも股下域に配置されるセンター外装体1BCと、を有する。
前外装体1BFは、前側外装トップシート70F及び前側外装バックシート80Fを備えている。後外装体1BRは、後側外装トップシート70R及び後側外装バックシート80Rを備えている。センター外装体1BCは、センター外装シート100を有する。前外装体1BFと、後外装体1BRとは、前後方向に離間している。前外装体1BFと後外装体1BRとが離間した領域では、センター外装体1BCの非肌接側の面が露出している。
なお、外装体1Bは、センター外装体1BCを備えずに前外装体1BFと後外装体1BRとが分離されていてもよいし、前外装体1BFと後外装体1BRとが一体化されていてもよい。
前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rは、着用時において内側に位置する、つまり、着用者の肌側に配置される。前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rは、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、防水フィルムなどによって形成できる。本実施形態に係る前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rは、ポリプロピレンからなる目付15g/m2のSMS不織布によって構成されている。
前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rは、着用時において外側に位置する、つまり、着用者の肌から離れる側に配置される。前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rの前後方向外側端部は、肌当接面側に折り返され、前側外装トップシート70F(又は後側外装トップシート70R)の前後方向の外側端部を包むように配置される。前側外装バックシート80Fの前側端部、及び後側外装バックシート80Rの後側端部は、それぞれ折り返された状態で前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rに接合されている。
前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rは、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、防水フィルムなどによって形成できる。本実施形態に係る外装バックシートは、ポリプロピレンからなる目付17g/m2のスパンボンド不織布によって構成されている。
センター外装シート100は、不織布からなる。具体的には、センター外装シート100は、ポリプロピレンからなる目付19g/m2のスパンボンド不織布によって構成されている。
センター外装シート100は、前外装体1BFと後外装体1Bに跨がって配置されている。センター外装シート100の前側端部は、前側外装トップシート70Fと吸収性本体1Aとの間に配置され、センター外装シート100の後側端部は、後側外装トップシート70Rと吸収性本体1Aの間に配置される。
前胴回り域S1及び後胴回り域S2には、幅方向Wに沿って伸縮する合成ゴムなどの細長いウエスト弾性部材3Aとフィット弾性部材3Bが配置されている。ウエスト弾性部材3Aとフィット弾性部材3Bは、前胴回り域S1における使い捨ておむつ1の幅方向W外側に位置する一方の前胴回り縁部4から他方の前胴回り縁部4‘まで連続し、後胴回り域S2における使い捨ておむつ1の幅方向W外側に位置する一方の後胴回り縁部6から他方の後胴回り縁部6‘まで連続する。
ウエスト弾性部材3A及びフィット弾性部材3Bは、前側外装トップシート70Fと前側外装バックシート80Fの間、及び後側外装トップシート70Rと後側外装バックシート80Rの間に、伸長された状態で接着剤(例えばホットメルト型接着剤)によって固定されている。ホットメルト型接着剤は、0.03g/mの塗工量で塗工されている。
ウエスト弾性部材3A及びフィット弾性部材3Bは、スパンデックスによって構成されている。ウエスト弾性部材3Aは、780dtexの太さ、3.5倍の伸長倍率で伸長固定される。ウエスト弾性部材3Aの本数は、前胴回り域に5本、後胴回り域に5本である。フィット弾性部材3Bは、前胴回り域のウエスト弾性部材3Aの後側、及び後胴回り域のウエスト弾性部材3Aの前側に、それぞれ設けられる。フィット弾性部材3Bは、780dtexの太さ、3.0倍の伸長倍率で伸長固定される。フィット弾性部材3Bの本数は、前胴回り域に13本、後胴回り域に15本である。
脚回り開口部9の周囲には、レッグギャザーが設けられる。レッグギャザーの少なくとも一部は、脚回り開口部9に沿って配置されている。レッグギャザーは、前胴回り域S1に配置される前レッグ弾性部材5Fと、後胴回り域S2に配置される後レッグ弾性部材5Rと、によって構成されている。
後レッグ弾性部材5R及び前レッグ弾性部材5Fは、前後方向中心側に向かうにつれて幅方向外側から幅方向内側に向かうように配置されている。後レッグ弾性部材5Rと前レッグ弾性部材5Fの幅方向中央は、分断されている。後レッグ弾性部材5Rと前レッグ弾性部材5Fは、幅方向に非連続である。
前レッグ弾性部材5Fは、前側外装トップシート70Fと前側外装バックシート80Fとの間に、伸長された状態で接着剤(例えばホットメルト型接着剤)によって固定されている。後レッグ弾性部材5Rは、後側外装トップシート70Rと後側外装バックシート80Rとの間に、伸長された状態で接着剤(例えばホットメルト型接着剤)によって固定されている。本実施形態では、スパイラル方式でホットメルト接着剤が塗工されている。
前レッグ弾性部材5F及び後レッグ弾性部材5Rは、スパンデックスによって構成されている。前レッグ弾性部材5F及び後レッグ弾性部材5Rは、780dtexの太さ、1.5〜3.5倍の伸長倍率で前後それぞれ3本伸長固定される。なお、前レッグ弾性部材5F及び後レッグ弾性部材5Rの太さ、伸長倍率及び本数は、上記に限られず、種々設定することができる。
(3)吸収性本体の構成
次いで、吸収性本体1Aの構成について説明する。図5は、吸収性本体の平面図である。図6は、第1吸収体の平面図である。図7は、第2吸収体の平面図である。
吸収性本体1Aは、股下域S3を跨ぎ、かつ前胴回り域S1及び後胴回り域S2に跨がって配置される。吸収性本体1Aは、外装体1Bの肌当接側の面に接合されている。例えば、吸収性本体1Aと外装体1Bは、ホットメルト型接着剤によって接合される。なお、吸収性本体は、着脱自在に外装体に接合されていてもよい。例えば、フックとループの係止システムにおける一方を外装体に設け、他方を吸収性本体に設け、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成してもよい。このように、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成することにより、吸収性本体のみを容易に着脱できる。
吸収性本体1Aは、第1吸収層を含む第1吸収体10と、第1吸収体10よりも外方向に配置され、第2吸収層を含む第2吸収体20と、を備える。第2吸収体20は、サイド連結部31を介して第1吸収体10の非肌当接面に接合されている。
(4)第1吸収体の構成
第1吸収体10は、第1表面シート11と、第1裏面シート12と、第1表面シート11と第1裏面シート12との間に配置された第1吸収層13と、前後方向に収縮する第1前後弾性部材15と、幅方向に収縮する第1幅弾性部材16と、第1幅弾性部材16を覆う第1カバーシート14と、第1吸収層13等の幅方向側部を覆うサイド防漏シート17と、サイド防漏シートを覆うサイドカバーシート18と、サイド防漏シート17とサイドカバーシート18との間に配置されたサイド防漏弾性部材19と、を有する。
第1表面シート11は、着用者の肌に直接的に接する肌当接面を構成する。第1表面シート11は、親水性の不織布シートからなる。第1表面シート11は、第1吸収層13よりも肌当接面側に配置される。第1表面シート11は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって構成されている。本実施の形態の第1表面シート11は、PP(ポリプロピレン)からなる目付18g/m2の親水性スパンボンド不織布18g/m2である。
第1裏面シート12は、第1吸収層13の外方向OUT側(非肌当接面側)に設けられている。第1裏面シート12は、親水性の不織布シートからなる。第1裏面シート12は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって構成されている。本実施の形態の第1裏面シート12は、PP(ポリプロピレン)からなる目付11g/m2の親水性SMS不織布である。
第1吸収層13は、粉砕パルプや高吸収性ポリマー(以下、SAPとする)などの混合粉体によって形成される。第1吸収層13は、熱可塑性繊維(短繊維,長繊維,連続)や発泡ポリウレタンを含んでいてもよい。本実施形態の第1吸収層13は、目付200g/m2のパルプ、目付100g/m2のSAPによって構成され、その厚みは、2.2mmである。第1吸収層13の構成は、これに限定されず、パルプ等の目付や厚みを適宜変更できる。また、第1吸収層13は、複数層で構成されていてもよいし、エアレイドシートによって構成されていてもよい。また、第1吸収層13は、コアラップを有していなくてもよい。
第1吸収層13は、略略砂時計型の形状である。第1吸収層13の形状は、当該形状に限られず、長方形であってもよいし、股下域の少なくとも一部に幅方向内側にくびれたくびれ部を有する形状であってもよい。
サイド防漏シート17、サイドカバーシート18及びサイド防漏弾性部材19は、吸収体の横漏れを防ぐ防漏カフを構成する。防漏カフは、第1吸収体10の幅方向の両端部において、前後方向に沿って設けられている。
サイド防漏シート17は、第1吸収層13等の幅方向側部を覆う液不透過性のシート材である。サイド防漏シート17の幅方向の両端部は、それぞれ第1表面シート11の肌当接面側に配置されている。サイド防漏シート17は、液不透過性フィルムなど(例えば、ポリエチレン)のシートによって構成されている。なお、サイド防漏シートは、必ずしも設けられていなくてもよい。本実施の形態のサイド防漏シート17は、通気性を有する目付20g/m2のPE(ポリエチレン)フィルムシートである。
サイドカバーシート18は、サイド防漏シート17を覆う液不透過性のシート材である。サイドカバーシート18の幅方向の両端部は、それぞれサイド防漏シート17と共に第1表面シート11の肌当接面側に折り返されている。サイドカバーシート18は、疎水性の不織布によって構成されている。サイドカバーシート18の一端は、第1表面シート11にホットメルト型接着材によって接合される。本実施の形態のサイドカバーシート18は、PPからなる目付15g/m2のSMS不織布である。
サイド防漏弾性部材19は、前後方向に伸長された状態で配置されている。サイド防漏弾性部材19は、第1吸収層13の非肌当接面側の両側部に配置されている。サイド防漏弾性部材19は、サイド防漏シート17とサイドカバーシート18との間にHMA型接着剤を介して伸長固定されている。本実施の形態のサイド防漏弾性部材19は、スパンデックスによって構成され、780dtexの太さ、3.0倍の伸張率であり、片側2本ずつ配置されている。
サイド防漏弾性部材19の前側は、第1吸収体10の前側端部付近まで延び、サイド防漏弾性部材19の後側は、吸収体の幅が略最大となる位置まで延びる。吸収体の幅方向の端部とサイド防漏弾性部材19との間領域が、着用時には上方に起立し、漏れモレを防ぐことができる。
第1吸収層13には、中央開口部13Aと、一対のサイドスリット13Bと、が形成されている。中央開口部13A及びサイドスリット13Bは、前後方向に沿って形成されている。中央開口部13Aは、第1吸収層13の幅方向中心を跨いで形成されている。サイドスリット13Bは、中央開口部13Aよりも幅方向外側に配置されている。第1吸収層13は、サイドスリット13Bの中央開口部側と、サイドスリット13Bの幅方向外側とに配置される。
サイドスリット13Bは、第1サイド曲部を構成する。第1吸収層13に形成された中央開口部13A及びサイドスリット13Bによって、使い捨ておむつ1が着用された際に、第1吸収体10が曲がるように構成されている。具体的には、第1吸収体は、中央開口部13Aを介して肌当接面側に凸状に変形し、サイドスリット13Bを介して非肌当接面側に凸形状に変形する。
中央開口部13Aの大きさは、後述する第1吸収体開口部10Aの大きさに応じて適宜設定できる。中央開口部の幅方向の長さは、例えば、30〜120mmである。中央開口部の前後方向の長さは、例えば、120〜320mmである。本実施の形態の中央開口部13Aの幅方向の長さは、60mmである。中央開口部13Aの前後方向の長さは、220mmである。
サイドスリット13Bの幅方向の長さは、例えば、3〜18mmである。サイドスリット13Bの前後方向の長さは、例えば、70〜250mmである。本実施の形態のサイドスリット13Bの幅方向の長さは、12mmである。サイドスリット13Bの前後方向の長さは、120mmである。
また、第1吸収層13は、着用時に、サイドスリット13Bを基点に起立するように構成されている。そのため、サイドスリット13Bの前後方向の長さが長すぎると、第1吸収層が起立する前後方向の長さが長くなり過ぎ、特に臀部側では、吸収体が内側によれて、その幅が狭くなることがある。よって、漏れが発生し易くなる。一方、サイドスリット13Bの前後方向の長さが短すぎると、第1吸収層が起立する前後方向の長さが短くなり過ぎ、吸収体を幅方向に折り畳み難くなったり、防漏カフの起立性が悪くなったりする。なお、中央開口部13A及びサイドスリット13Bは、湾曲する形であったり、斜め線であったりしてもよい。
なお、長さの測定方法は、例えば、以下の方法によって測定できる。なお、使い捨ておむつの測定は、パッケージから取り出した状態であっても、所定の温度、湿度の条件下に置いた状態でも長さの測定値に影響が出ない。よって、任意の状態で測定可能である。吸収性本体1Aを前後方向に伸ばし、吸収性本体1Aを前後方向に伸ばした状態で測定する。外装体と吸収性本体が重なっていて、外装体の弾性部材で吸収性本体が縮んでいる場合は、外装体の資材の皺が伸びきるまでと、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまでは必ずしも一致しないので、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまで伸長する。
なお、本実施の形態の第1サイド曲部は、第1吸収層13に形成されたスリットであるが、第1サイド曲部の構成は、これに限定されない。例えば、第1サイド曲部は、第1吸収層において周囲の第1吸収層の目付よりも低い目付である低目付域、第1吸収層を厚み方向において圧搾した圧搾部及び第1吸収層において周囲の第1吸収層と目付が異なる目付境界部のうち、いずれかによって構成されていてもよい。
圧搾部は、第1吸収層の少なくとも一部が厚み方向に圧搾されていればよく、第1吸収層全体が厚み方向に圧搾されていてもよいし、第1表面シート及び第1吸収層が厚み方向に圧搾されていてもよい。
第1吸収体10には、第1吸収体開口部10Aが形成されている。第1吸収体開口部10Aは、着用時に着用者の股間部、女性の排泄口に当たる部分に配置される。第1吸収体開口部10Aは、第1表面シート11、第1裏面シート12に形成された開口である。第1吸収体開口部10Aは、吸収体の幅方向の中心を跨ぎ、前後方向に延びている。第1吸収体開口部10Aは、第1表面シート11及び第1裏面シート12を貫通する開口部であり、第1吸収体10の構成部材が全て組み立てられた後にカットされる。第1吸収体開口部10Aに重なる位置には、第1吸収層13の中央開口部13Aが形成されている。
第1吸収体開口部10Aの開口縁では、第1表面シート11及び第1裏面シート12が接合されている。第1表面シート11と第1裏面シート12が接合されているため、第1吸収層13が露出することを防止できる。例えば、第1表面シート又は第1裏面シートに接着剤を塗工してプレスすることにより、第1表面シートと第1裏面シートを強固に接合することが望ましい。又は、第1表面シートと第1裏面シートの開口部の周縁部を熱シールしてもよい。
第1吸収体開口部10Aは、前後方向に延びている。第1吸収体開口部10A幅方向の長さは、30mmである。第1吸収体開口部10Aの前後方向の長さは、190mmである。後述するように、第1吸収体開口部10Aを介して、第2吸収体が着用者側に突出する。よって、第1吸収体開口部10Aの大きさは、第2吸収体20の中央部分が肌当接面側に凸形状に変形した際に、第1吸収体開口部10Aから第2吸収体20が突起できる十分な大きさが必要である。しかし、第1吸収体開口部10Aが大き過ぎると、第1吸収層13の面積を十分に確保できず、第1吸収層13からの外漏れが発生しやすくなる。
また、第1吸収体開口部10Aの後側端部が後方に長過ぎると、臀部側で第2吸収体20が突出し、また第1吸収体開口部10Aを介して第2吸収体20が肌に触れる面積が広くなる。よって、一旦第2吸収層で拡散した体液が、肌側に逆戻りし易くなることがある。第1吸収体開口部10Aの面積をできるだけ小さく、かつ第1吸収体開口部10Aから第1吸収層へ溢れ出る体液を抑えることにより、液の逆戻りを少なくすることができ、肌の汚れを防ぐことができる。また、第1吸収体開口部10Aの後側端部が後方に長過ぎると、着用者のお尻によって第1吸収体開口部の後側端部が押さえられ、第1吸収体開口部10Aと第2吸収層との隙間が得られにくくなる。よって、着用者から排泄された体液が第2吸収層に流れずに第1吸収体に溢れやすくなる。
また、第1吸収体開口部10Aが小さすぎると、第2吸収体20が、第1吸収体開口部10Aから突出し難くなり、第2吸収体20に体液を円滑に移行できない。このような観点から、第1吸収体開口部10Aの幅方向の長さは、10〜100mm、第1吸収体開口部10Aの前後方向の長さは、100〜300mmの範囲であることが好ましい。また第1吸収体開口部10Aの形状は、略長方形であってもよいし、湾曲していてもよいし、幅方向に垂直方向にのびていてもよいし、斜め方向にのびていてもよい。さらに第1吸収体開口部10Aは、単に切り込みでもよく、その形状は、直線状であっても波線でも構わない。
第1表面シート11は、液透過性のシートであるため、当該第1表面シート11の下方に位置する第1吸収層13に体液を透過できる。第1裏面シート12は、液透過性のシートであるため、当該第1裏面シート12の下方に位置する第2吸収体20に体液を透過できる。
第1吸収体開口部10Aの周縁部には、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16が伸張固定されている。第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、開口弾性部材を構成する。第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16を配置することにより、第1吸収体開口部10Aと、第1吸収体開口部10Aから突起して露出する第2吸収体との間に隙間ができやすくなる。
第1前後弾性部材15は、第1吸収体開口部10Aの幅方向の側部において前後方向に沿って配置される。第1前後弾性部材15は、第1吸収体開口部10Aの縁部よりも幅方向外側であって、中央開口部13Aの縁部よりも幅方向内側に位置する。第1前後弾性部材15は、サイド防漏シート17とサイドカバーシート18の間に伸長固定されている。
第1幅弾性部材16は、第1吸収体開口部10Aの前後方向の側部において幅方向に沿って配置される。第1幅弾性部材16は、第1吸収体開口部10Aの縁部よりも前後方向外側であって、中央開口部13Aの縁部よりも前後方向内側に位置する。第1幅弾性部材16は、第1裏面シート12と第1カバーシート14との間に伸長固定されている。
第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、合成ゴムや、スパンデックス、また伸縮不織布シートなどが用いられる。本実施形態の第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、スパンデックスによって構成されている。第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、620dtexの太さ、2.5倍の伸長倍率で伸長固定される。第1前後弾性部材15の本数は2本である。第1幅弾性部材16の本数は、2本である。第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、ホットメルト接着剤によって固定される。本実施形態では、Vスロット方式で、0.03g/mの塗工量でホットメルト接着剤が塗工されている。
第1カバーシート14は、第1幅弾性部材16を被覆できるように部分的に配置される。第1カバーシート14には、不織布シートが用いられる。本実施形態の第1カバーシート14は、親水性の目付10g/m2のSMS不織布を用いた。第1カバーシート14は、第1裏面シート12の非肌当接面側に配置される。第1カバーシート14は、第1カバーシート14側にホットメルト接着剤を塗工することで、第1裏面シート及び第1幅弾性部材16に固定される。ホットメルト接着剤の塗工は、コントロールシーム方式であり、その塗工量は、1.5g/m2である。なお、第1幅弾性部材16が配置される部分は、非塗工領域としてもよい。
第1前後弾性部材15が収縮する長さは、第1吸収体開口部10Aの前後方向の長さと略同じ長さであることが好ましい。第1幅弾性部材16が収縮する長さは、第1吸収体開口部10Aの幅方向の長さよりも若干長めの長さであることが好ましい。第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16は、第1吸収体開口部10Aの前後方向全体を起立させるために設けられている。例えば、第1吸収体開口部10Aの長さに対して、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16の長さが短過ぎると、第1吸収体開口部10Aの周縁を十分に起立させることができない。第1吸収体開口部10Aの周縁が十分に起立しない場合には、第1吸収体開口部10Aと第2吸収層との隙間を確保できず、着用者から排泄された体液が第2吸収層に流れずに第1吸収体に溢れやすくなる。また、第1吸収体に液が溢れ出やすくなる。また、第1吸収体開口部10Aの長さに対して、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16の長さが長すぎると、第1吸収層と共に収縮し、第1吸収層に皺が生じることがある。よって、着用感が悪化したり、吸収性が悪化したりするおそれがある。
このように構成された第1吸収体は、第1前後弾性部材の収縮によってサイドスリットよりも幅方向内側に位置する第1吸収層13が肌当接面側に起立する。また、サイド防漏弾性部材19の収縮によって中央開口部13Aよりも前後方向外側に位置する第1吸収層13が肌当接面側に起立する。更に、第1吸収体は、第1幅弾性部材の収縮によってサイドスリットよりも幅方向外側に位置する第1吸収層13が肌当接面側に起立する。このように第1吸収層13が規則的に変形し、第1吸収層13が違和感なく身体にフィットする。
(5)第2吸収体の構成
次いで、第2吸収体20の構成について説明する。図7は、第2吸収体20の平面図である。第2吸収体20は、第2表面シート21と、第2裏面防漏シート22と、第2表面シート21と第2裏面防漏シート22との間に配置された第2吸収層(第2中央吸収層23、第2サイド吸収層24)と、第2吸収層裏面シート25と、補助シート26と、第2カバーシート27と、第2弾性部材28と、を有する。第2吸収体は、複数の折り基点が形成されている。第2吸収層は、第2中央吸収層23と、第2サイド吸収層24とから構成されている。
図7は、第2吸収体が折り畳まれた状態の平面図である。当該状態において、第2吸収体は、一対の折り目FLを介して幅方向内側に折り畳まれている。第2吸収体の前後方向の長さは、第1吸収体の前後方向の長さと同じである。第2吸収体20の幅方向の長さは、図7等に示す折り畳み状態では、第1吸収体の幅方向の長さよりも短い。第2吸収体を展開した状態では、第2吸収体の幅方向の長さは、第1吸収体の幅方向の長さよりも長い。
本実施の形態の第2吸収体の展開状態の幅方向の長さは、260mmであり、第2吸収体の折り畳み状態の幅方向の長さは、150mmである。第2吸収体の前後方向の長さは、500mmである。第2吸収層の展開状態の幅方向の長さは、200mmである。第2吸収層の前後方向の長さは、400mmである。なお、第2吸収体20及び第2吸収層の大きさは、適宜設定できる。
第2吸収層は、第2中央吸収層23と、第2サイド吸収層24と、から成る。第2中央吸収層23は、装着時に第1吸収体開口部10Aから肌当接面側に突起し、肌に密着する部分である。第2サイド吸収層24は、第2中央吸収層23の幅方向外側に位置する。
第2中央吸収層23は、パルプとSAPの混合体である。本実施形態の第2中央吸収層23は、目付200g/m2のパルプ、目付100g/m2のSAPによって構成されている。パルプによって、体液を瞬間吸収し、第1吸収体に体液が溢れ出ないようにするために、パルプとSAPとから第2中央吸収層23が構成される。
第2サイド吸収層24は、SAPのみで構成される。本実施形態の第2サイド吸収層24は、目付200g/m2のSAPによって構成されている。サイド連結部の間における第1吸収体の裏面側の幅方向長さに対して、第2吸収体の表面側の幅方向長さの方が長く、着用時には第2サイド吸収層24は第2吸収体の下方に位置し、第2サイド吸収層24と第1吸収体の裏面シートとの間には空間が設けられている。第2サイド吸収層に流れ込んだ体液を、一時空間に貯水することができるので、時間をかけて吸収することができる。空間ができているので、パルプに比べて吸収スピードが遅いSAPのみを配置していても、外モレすることなく吸収できる。また肌から離れた空間で貯水し吸収するので、吸収するまでの間、肌が濡れることもない。また、第2サイド吸収層24がSAPのみによって構成されているため、第2サイド吸収層24の厚みを抑え、装着時の嵩を抑えることができる。
本実施の形態の第2中央吸収層23の幅方向の長さは、80mm,前後方向の長さは400mmである。第2サイド吸収層24の幅方向の長さは、左右それぞれ60mmである。各第2サイド吸収層24の前後方向の長さは、400mmである。
なお、第2サイド吸収層のSAPの目付は、20〜550g/m2が好ましい。例えば、第2サイド吸収層のSAPの目付が低いと、吸収性能を十分に発揮できない。一方、第2サイド吸収層のSAPの目付が高すぎると、SAPが十分に膨れることができず、吸収効率が悪く(吸収倍率が低く)なる。対象とする使用者の排泄量や排泄スピードによって、第2吸収体の寸法や第2吸収層の吸収容量等を調整できる。例えば、一気に多量の排泄物を貯水する場合には、第2吸収体の寸法を大きくすることが好ましい。
本実施形態の第2中央吸収層のSAPの量は、3.2gであり、第2サイド吸収層のSAPの量は、左右両方で9.6gである。第2吸収体のSAPの量は、製品1個あたり、12.8gとなる。例えば、尿吸収倍率が30倍のSAPを用いた場合は、第2吸収層で約400gの尿を吸収可能となる。吸収量400g以上の高吸収量タイプの吸収性物品を対象にすると、本発明のモレにくく、着用時の違和感がなく、さらに排泄後に肌が濡れずに快適という効果をより実感できる。
第1吸収体と第2吸収体を合わせた吸収体の保水量は、400g以上である。本実施の形態における「保水量」とは、吸収体が吸収した水分を保持できる最大の水量を意味し、具体的には、150Gで脱水した場合であっても保持できる水量である。保水量は、具体的には次のような測定方法により求めることができる。
先ず、使用器具として、生理食塩水(0.9%NaCl溶液)、アクリル板(目安寸法320×545mm、厚み3mm〜5mm、重量400g〜600g)、脱水機(150G)、金網(標準金網:開孔5φ、孔間距離5mm)を準備する。次いで、測定対象の試料を採取する。具体的には、ウエスト弾性部材、フィット弾性部材、レッグ弾性部材等の弾性部材を切断して、おむつを平にし、その後で、おむつ1枚の重量を測定する。切断の際には、吸収体まで切断しないように十分注意する。また、試料の採取数は、n=5とする。
手順としては、先ず、おむつの吸収体を下に向けた状態で生理食塩水約20L中に手で押しながら浸漬させる。生理食塩水は、おむつ6枚まで測定が可能であり、それ以上は濃度が変化してしまうため、交換が必要である。おむつを浸漬させた後、その状態で30分間放置する。30分経過後、おむつを取り出し、外装体1Bが内側になるように折り返して、ウエストギャザーをクリップで挟み、竿につるす。この状態で10分間放置する。10分経過後、おむつの重量を測定し、初期の重量との差から、吸水量が求まる。次いで、上記の処置を施して吸水量を求めたおむつ(3枚まで)を、脱水機内に入れ、吸収体を外に向けておむつ同士が重ならないように並べ、90秒間、150Gの脱水を行う。脱水後、おむつの重量を測定し、初期の重量との差から、保水量が求まる。
第2中央吸収層23の非肌接面側には、第2弾性部材28が配置されている。第2弾性部材28は、中央曲部を構成する。第2弾性部材28は、第2吸収体20の幅方向における中央部において、第1吸収体開口部10Aと重なるように配置されている。第2弾性部材28は、厚み方向において第2カバーシート27と第2裏面防漏シート22の間に伸張固定されている。第2弾性部材28は、スパンデックスによって構成され、620dtexの太さ、2.0倍の伸長率である。第2弾性部材は、前後方向に沿って配置され、幅方向に間隔を空けて5本配置されている。第2弾性部材の前後方向の長さは、120mmである。第2弾性部材28が収縮することにより、第2弾性部材28と重なる第2中央吸収層23が肌当接面側に起立する。
第2中央吸収層23を肌当接面側により好適に起立させるために、第2弾性部材に重なるように、第2中央吸収層23にスリットを設けてもよい。特に、第2吸収層を2層以上で構成する場合には、スリットを形成することによって、第2吸収層がより変形しやすくなる。なお、第2吸収層にスリットを形成する構成に代えて、第2吸収層において周囲の第2吸収層の目付よりも低い目付である低目付領域を形成してもよいし、第2吸収層を厚み方向において圧搾した圧搾部を形成してもよいし、第2吸収層において周囲の第2吸収層と目付が異なる目付境界部を形成してもよい。
第2弾性部材28は、ホットメルト接着剤によって固定される。本実施形態では、Vスロット方式で、0.03g/mの塗工量でホットメルト接着剤が塗工されている。中央弾性部材は、スナップバック方式にて配置される。スナップバック方式は、以下の方式である。連続したシート上に中央弾性部材を構成する弾性部材を連続的に供給する。このとき、弾性部材の伸縮させる部分にのみに接着剤を塗工する。弾性部材の収縮させない部分には、接着剤は塗らないようにする。弾性部材を切断した状態で、弾性部材の長手方向端部に位置する部分は、口開き防止程度に低目付で接着剤を塗工する。吸収体をのせ別シートを重ね挟み込んだ後、1ピース分切断する。弾性部材は、切断されることによって伸縮させる部分を除き収縮し、切断された端部が内側に移動して、収縮させる部分に配置される。
このようなスナップバック方式では、弾性部材が配置されない部分(切断される端部近傍)には、接着剤が多く塗工されない。よって、弾性部材が配置されない部分(切断される端部近傍)から排泄物(液)が滲み出すおそれがある。排泄物(液)がにじみ出ることを抑制するために、第2裏面防漏シート22の非肌当接面側に第2カバーシート27を配置し、第2裏面防漏シート22と第2カバーシート27の間に配置することにより、使い捨ておむつの外側に排泄物(液)がにじみ出ることを抑制できる。第なお、中央弾性部材の断面方向における位置はみ、実施形態の位置に限らない。
また、第2弾性部材28を伸縮不織布によって構成し、第2弾性部材28を部分的に配置する場合には、第2表面シート21と第2吸収層裏面シート25の間、あるいは第2吸収層裏面シート25と第2裏面防漏シート22の間であってもよい。なお、第2中央吸収層23の内面又は外面に、吸収シート(ティッシュ)を設けてもよいし、第2サイド吸収層24の内面又は外面に、吸収シート(ティッシュ)を設けてもよい。吸収シート(ティッシュ)を設けることにより、体液の拡散効果を得ることができ、第2中央吸収層23等の全面で体液を吸収し易くなる。
第2表面シート21は、第1表面シート11と同様に、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成される。本実施形態の第2表面シート21は、PP(ポリプロピレン)からなる親水性スパンボンド不織布18g/m2が用いられる。
第2裏面防漏シート22は通気性を有する目付20g/m2のポリエチレンフィルムシートを用いた。本実施形態の第2吸収層裏面シート25は、ポリプロピレンからなる目付10g/m2の親水性SMS不織布を用いた。
補助シート26は、第1吸収体開口部10Aと重なる部分に配置されている。補助シート26は、体液の引き込み性を高めるように構成されている。補助シート26を配置することによって、体液の吸収スピードを速くでき、リウェット性(吸収後の液逆戻り)を向上させることができる。本実施形態の補助シート26は、親水性の目付30g/m2のエアスルー不織布を用いた。体液を受け止める場所に補助シートを配置することにより、瞬間的に体液を引き込み、第2表面シート上の液流れを抑え、速やかに第2吸収層へと移行,拡散させることができる。補助シート26は、例えば、第2表面シート21の非肌当接面と補助シートに塗工したホットメルト接着剤によって接合される。
第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24は、それぞれ前後方向に連続して配置される。第2中央吸収層23の幅方向外側端部に、第2サイド吸収層24の幅方向内側端部が隣接している。このような構成によれば、第1吸収体開口部と重なる位置で一旦受け止めた体液を、前後方向に拡散しつつ幅方向外側に移行させ、第2吸収層全面で保水することができる。
第2中央吸収層23の幅方向の外側端部には、折り基点となる一対の第2吸収層折り基点23Aが形成されている。第2吸収層折り基点23Aは、第2サイド曲部を構成する。折り基点は、第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24との境界である。折り基点は、補助シート26の幅方向端部に一致している。第2吸収層折り基点23Aは、第2中央吸収層の前後方向全域に形成されている。第2吸収層折り基点23Aを形成することにより、第2吸収層折り基点23Aを起点に、すなわち第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24との境界線を起点に、第2吸収層が変形し易くなる。
なお、第2吸収層折り基点23Aは、第2吸収層に形成される吸収体スリットや、第2吸収層において周囲の第2吸収層の目付よりも低い目付である低目付領域、第2吸収層において厚み方向において圧搾した圧搾部、及び第2吸収層と目付が異なる目付境界部などによって構成されていてもよい。
更に、補助シート26の幅方向外側端部は、第2吸収層折り基点23Aと幅方向において略一致している。よって、更に、第2吸収層折り基点23Aを起点に第2吸収層を折り易くできる。なお、一対の第2吸収層折り基点23A間の距離は、80mmであり、補助シートの幅方向の長さは、80mmである。
第2吸収体は、第2吸収層折り基点23Aよりも幅方向外側の一対の折り目FLを起点に、幅方向内側に折り返されている。具体的には、第2吸収体を構成する第2表面シート21,第2サイド吸収層24、第2吸収層裏面シート25、及び第2裏面防漏シート22が折り畳まれている。折り目FLを起点に折り返された第2吸収体の幅方向外側端部(折り返された部分の幅方向内側端部)は、サイド連結部31を介して第1吸収体にホットメルト接着剤で接合されている。一対のサイド連結部間の第2吸収体の幅方向の長さは、一対のサイド連結部間の第1吸収体の幅方向の長さよりも長い。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離及び第1吸収体の裏面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、シワなく伸ばした状態で測定する。
サイド連結部31のホットメルト接着剤は、スロットコーター方式で、15g/m2の塗工量で塗工される。なお、ビード方式で0.1g/mなどの量で、片側複数本、塗工してもよい。外れないように液がにじみ出ないように、十分な接着力が必要である。
(6)装着時の変形態様
次いで、図8から図11を用いて、装着時の変形態様について説明する。図8から図11は、図2のA−A線基準とした使い捨ておむつの着用状態を示す図である。図8は、体液吸収前の脚を開いた状態である。図9は、体液吸収後の脚を開いた状態を示している。図10は、体液吸収前の脚を閉じた状態を示している。図11は、体液吸収後の脚を閉じた状態を示している。
第1吸収体10と第2吸収体20は、足の動きに応じて、規則的に変形する。着用者が足を閉じると、第1吸収体10と第2吸収体20が幅方向に折り畳まれる。具体的には、第1吸収体は、中央開口部13A及びサイドスリット13Bを起点に変形し、第2吸収体は、第2吸収層折り基点23A及び折り目FLを起点に変形する。
着用時には、第1吸収体の第1吸収体開口部10Aから、第2吸収体が着用者側に突出する。第1吸収体開口部10Aの周囲は、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16によって収縮する。また、第1吸収体開口部10Aに重なる位置の第2吸収体は、第2弾性部材によって収縮する。第2吸収体は、第2弾性部材によって収縮して肌当接面側に起立し、第1吸収体開口部10Aよりも肌当接面側に突出する。よって、第2吸収体が肌に密着する。
第1吸収体は、サイドスリット13B部分が非肌当接面側に凸形状に変形し、サイド防漏弾性部材19部分と第1前後弾性部材部分が内方向に凸状に変形する。よって、第1吸収体は、”略V字の形状が2つ幅方向に並んだ断面形状となる。
第2吸収体の幅方向中央は、第2吸収層折り基点部分を起点に凸形状に変形する。第2吸収体の幅方向外側端部は、サイド連結部31を介して第1吸収体に接合されている。第2吸収体は、幅方向中央(第2弾性部材が配置された部分)及び幅方向外側端部が肌当接面側に凸状に変形する。第2吸収体の他の部分は、固定されてなく、体液を吸収する前の状態では、図8及び図10に示すように、折り目FLを起点に折り畳まれた状態を維持する。着用時に寝姿勢や座姿勢などで体圧のかからない、股下部に空間を設けることで、排泄物を吸収膨張することが可能となり、吸収することが可能となる。
図10及び図11に示すように、着用者が脚を閉じると、着用者の肌には、第1吸収体及び第2吸収体の上方部が当接する。また、第1吸収体10及び第2吸収体20は、幅方向に折り畳まれており、装着時、おむつが装着者の股間部で折り畳められたときの断面の幅方向寸法が小さい。よって、着用者の股間部にコンパクトに配置できる。例えば、おむつが股間部で折り畳められたときの使い捨ておむつの幅方向の断面寸法が大きくなりすぎると、着用者の股下に収まらず、肌から離れることがある。それによって、排泄時には排泄速度の遅い尿などは、肌を伝ってしまい、第1吸収体開口部10Aから突出した第2吸収体20によって体液を迅速に吸収できなくなる。なお、吸収体の幅方向の断面寸法は、15mm未満がよく、より望ましくは、12mm以下である。
また、第2サイド吸収層は、第2吸収体の幅方向中央よりも外方向側に位置する。体液が排出された際には、第2中央吸収層23から下方の第2サイド吸収層に体液が移行し、当該第2サイド吸収層が吸収主体となる。第2サイド吸収層24は、第2中央吸収層23よりも多くのSAPを有しており、多くの体液を吸収して膨らむ。第2吸収層の第2吸収層折り基点からサイドスリット13B辺りの領域は、着用者から離れているため、幅方向の断面寸法が大きくなった場合であっても、フィット性に対する影響は少ない。よって、第2吸収層の第2吸収層折り基点からサイドスリット13B辺りの領域(着用時に肌から離れる領域)に、SAPを多く配置するとよい。
図10に示す状態で体液を吸収すると、図11に示すように、第2吸収体が変形する。第2中央吸収層23は、第2弾性部材28によって起立性を維持し、第2中央吸収層23が膨らんだ後も肌に密着し続ける。第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24の境界からサイド連結部31までの領域は、大きく袋状になって膨らむ。
(7)作用・効果
第2中央吸収層23は、第2弾性部材28の収縮によって着用者の肌当接面側に隆起し、第1吸収体の第1吸収体開口部10Aより内方向に突出して、着用者の肌(排泄口)に密着する。第2中央吸収層23が着用者の股間部に密着しているので、肌伝いするような排泄スピードが遅い尿であっても、第2中央吸収層23に引き込まれ、漏れが生じ難い。更に、第2吸収体の第2弾性部材28の収縮によって、排泄物を吸収後も、第2吸収層中央部の肌方向へ起立状態を維持し、第2中央吸収層23が肌に密着し続ける。よって、着用者から排出された体液の引き込み性を高め、装着感の悪化や漏れの発生を抑制することができる。第2吸収体20は、第2弾性部材28によって持ち上げ続けられているため、非肌当接面側に大きく膨らまない。よって、使い捨ておむつの外観を良好に保つことができる。
第1吸収体開口部10Aの周縁部には、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16が配置されて内方向に起立する立体ギャザーを形成している。肌側に密着した第2中央吸収層23と、第1吸収体開口部10Aの周縁部との間に隙間が形成されている。よって、一度に吸収されない尿は、第2中央吸収層23の表面上を流れ、第2中央吸収層23の幅方向や前後方向に拡散する。
第2弾性部材28よりも幅方向外側には、サイド曲部としての第2吸収層折り基点23Aが設けられている。第2吸収層の第2吸収層折り基点23A部分は、外方向に凸形状に曲がる。第2中央吸収層に排出された体液は、下方に流れ、第2吸収層折り基点23A側に導かれる。第2吸収層折り基点23Aは、第1吸収体10と離間しており、第2吸収層折り基点23Aと第1吸収体10との間には、空間が形成されている。当該空間によって一度に吸収しきれない尿を一時的に保水させ、徐々に体液を拡散させつつ吸収できる。
第1吸収体開口部10Aを介して露出する第2表面シートとして、厚みが0.35mm以上のエアスルー不織布を用いることで、中央開口部と重なる第2吸収層からの体液の逆戻りが少なくなり、吸収性本体の肌側全面において体液の逆戻りを抑制できる。
また、第1吸収体の第1吸収体開口部10Aの後部に隣接した領域は、第1幅弾性部材16によって幅方向に収縮し、上方へ起立するギャザーとなる。第1吸収体の第1吸収体開口部10Aの後部に隣接した領域にギャザーがあるため、排泄物が第2吸収層から第1吸収体に流れ出し難くなる。
また、第2中央吸収層23における吸収スピードが尿の排出スピードに対して追いつかなくなると、体液が第1吸収体に溢れ出す。第1吸収体の幅方向両側部は、防漏カフによって肌側に起立している。よって、体液が第1吸収体に溢れ出した場合であっても、第1吸収体の両側部からの漏れを防止できる。また、体液が第1吸収体に溢れ出した場合には、第1吸収体開口部10Aの周囲に体液が流れる。その際、第1吸収体開口部10Aの前後方向外側及び幅方向外側に位置する第1吸収層13によって排泄物を吸収でき、第1吸収体の端部からの漏れを防ぐことができる。
第1吸収体10は、第1吸収体開口部10A以外の領域で第2吸収体20を覆っている。排泄された尿,(あるいは便)は、まず、外方向に位置する第2吸収層に吸収され、その後、第1吸収層13に吸収される。よって、肌に直接触れる第1吸収体の濡れる面積は小さい。よって、肌が濡れる面積も小さくできる。
また、第2中央吸収層23で吸収されない尿は、第1吸収体の非肌当接側の面に位置する第1裏面シートに接触する。第1裏面シート12が親水性のシートであるため、第1裏面シート12を介して第1吸収層13に体液が移行する。第1表面シート側からら第1吸収層13に体液が移行するだけでなく、第1裏面シート側から第1吸収層13に体液が移行するため、第1吸収層13を有効に活用できる。
第2吸収層のSAPの比率が第1吸収層13より高く構成されている。また、第2吸収層が第2弾性部材や第2吸収層折り基点によって規則的に変形する。よって、吸収前の第2吸収層は、薄く、身体にフィットする。吸収後の第2吸収層は、大きく膨らむが、第2弾性部材28の収縮によって肌側に当て続けられる。肌から離れた第2サイド吸収体のSAPの比率が第1吸収体のSAPの比率よりも高いため、使い捨ておむつの肌に近い部分は、吸収後に厚くなり過ぎない。よって、肌への密着性を保つことができる。肌から離れた第2サイド吸収層24で体液を吸収するため、当該第2サイド吸収層24が膨らんだ場合であっても、装着感を損なうことなく、衣類の外から目立ち難くできる。更に、肌から離れた第2サイド吸収層24で体液を吸収できるため、吸収された排泄物の臭いが着用者側に届きにくく、防臭効果を得ることができる。
また、第1吸収体と第2吸収体が着用時に規則的に折り畳まれるため、装着時、おむつが装着者の股間部で折り畳められたときの断面の幅方向寸法が小さくなる。着用者の股間部に配置される使い捨ておむつの厚み(幅方向の寸法)が小さくなるため、装着時の違和感を抑制できる。
第2吸収層の第2吸収層折り基点部分が外方向に凸状に変形するため、当該第2吸収層折り基点側に体液が移行する。体液は、第2吸収層の第2吸収層折り基点部で吸収される。第2吸収層の第2吸収層折り基点部分は、身体から離れているため、吸収した後に第2吸収層の第2吸収層折り基点部分が膨らんだ場合であっても、違和感を抑えることができる。
第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24の境界からサイド連結部31までの領域は、着用者の肌から離れており、かつ着用者の内股の圧力のかかりにくい位置にある。よって、第2中央吸収層23と第2サイド吸収層24の境界からサイド連結部31までの領域が膨らんだ場合であっても、装着時の違和感は少ない。
体液の吸収前及び体液の吸収後の両方において、使い捨ておむつの幅方向の断面形状は、肌に近い側の寸法が肌から遠い側の寸法よりも小さい略三角形となる。このような観点から第2中央吸収層の幅方向中央部の厚みは、薄い方が好ましい。第2中央吸収層23のパルプの合計目付は、350g/m2未満であることが好ましい。
また、第1吸収体10と第2吸収体20とが接合されていない領域があるため、第1吸収体10と第2吸収体20との間に,第2吸収層のSAPが膨らむための空間を確保できる。第1吸収体10と第2吸収体20の間の空間は、第2吸収体の面積や第2吸収体のたくれ度合い等によって適宜調整できる。第1吸収体10と第2吸収体20の間の空間の容積が大きいほど、第2吸収体で体液を吸収し終えるまでの(貯水)時間をかせぐことができる。
また、装着ずれ等の要因によって、例えば、第1吸収体開口部10Aが着用者の排泄口とずれてしまうことがある。このような場合には、従来の吸収性物品と同じように、第1吸収体10によって体液を吸収できる。更に、第1吸収体の第1裏面シート12が透液性であるため、第1裏面シートを介して、第1吸収層13から第2吸収層に排泄物を移行できる。より好適には、第1吸収層のサイドスリット13B周辺において第1吸収体に開口部や切り込みを形成することにより、非肌当接面側に凸状に変形するサイドスリット13B側に移動した排泄物を第2吸収体へスムーズに移行させて、効率的に吸収できる。
本実施形態の使い捨ておむつは、吸収体の吸収性能を有効活用でき、使い捨ておむつの股下域において集中的に吸収できるため、従来の使い捨ておむつよりも吸収体をコンパクトにできる。材料コストを低減でき、かつ重量が軽くなる。更に、使用前の使い捨ておむつがコンパクトであり、使い捨ておむつのパッケージもコンパクトとなり、携帯性を向上できる。
使い捨ておむつは、着用者から排出された体液を外方向に位置する第2吸収層によってまず吸収する。従来おむつにおいて、排尿があった場合の濡れを検知するためのインジケータ(濡れると色が変わる等)を、おむつの裏面シート側に配置しているものが知られている。本実施形態の使い捨ておむつにおいて、第2吸収体の裏面側(非肌当接面側)であり、かつ第1吸収体開口部10Aに重なる位置にインジケータを設けることにより、少量の排泄量であって排泄物を検知し外側から濡れを認識し易くなる。
(8)その他の実施形態
次いで、図12〜図18に基づいて変形例に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の変形例の説明は、上述の実施の形態と異なる部分を説明し、実施の形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
図12及び図13に基づいて、変形例1に係る使い捨ておむつ100Aについて説明する。図12は、変形例1に係る使い捨ておむつ100Aの展開裏面図であり、図13は、図12に示すC−C線に沿った断面図である。
変形例1に係る使い捨ておむつ100Aが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)前外装体1BFと後外装体1BRとが分離している点、(2)第2吸収体の非肌当接側の面に接合手段を備える点、(3)第2カバーシートの幅が広く、第2吸収層裏面シートを備えていない点、(4)第2吸収体の折り畳み状態の幅方向の長さが長く、折り返し幅が小さい点、(5)サイド連結部の位置が実施の形態のサイド連結部よりも幅方向外側である点である。
(1)について具体的には、使い捨ておむつ100Aは、センター外装体を備えずに、前外装体と後外装体とが前後方向に離間している。また、前外装体と後外装体は、吸収性本体よりも肌当接面側に配置されている。
(2)について具体的には、使い捨ておむつは、第2裏面防漏シート22の非外方向側の面に、一対の接合手段32と、当該接合手段32を覆う離型シート33と、を備える。接合手段32は、使用前には、離型シート33によって覆われている。使用時に離型シート33が剥がされることによって、接合手段32が露出する。接合手段32は、中央曲部である第2弾性部材28を介して第2吸収層が収縮した状態を維持するために、第2裏面防漏シート22同士を接合するように構成されている。
また、変形例1に係る使い捨ておむつ100Aは、第2吸収層裏面シート25を備えていない。第2弾性部材28は、第2裏面防漏シート22と第2カバーシート27の間に配置されている。第2弾性部材28が収縮すると、第2弾性部材28と重なる第2中央吸収層23が肌当接面側に起立して、第1吸収体開口部10Aを介して第2吸収体20が着用者側に露出する。このとき、第2裏面防漏シート22の外方向側の面は、折り畳まれて第2裏面防漏シート22同士が対向して配置される。第2裏面防漏シート22の外方向側の面に接合手段32が設けられているため、接合手段32同士又は接合手段32と第2裏面防漏シート22が接合する。よって、第2中央吸収層23が肌当接面側に起立した状態を維持し易くなる。接合手段32によって、第2中央吸収層23が肌当接面側に起立するように縮められた状態で保持できるので、このとき第2弾性部材28はなくてもよい。
なお、接合手段32は、第2裏面防漏シート同士を接合できるものであればよく、例えば、接着剤によって構成される。変形例1に係る接合手段は、ホットメルト型接着剤によって構成されている。
また、変形例1に係る使い捨ておむつ100Aは、サイド防漏シート17及びサイドカバーシート18の端部のうち、第1吸収層13の裏面側に位置する端部が、サイドスリット13Bよりも幅方向外側に位置する。サイド連結部31も、サイドスリット13Bよりも幅方向外側に位置する。第1カバーシート14は、第1前後弾性部材15を覆うように配置されている。
第2吸収体の折り畳み状態の幅方向の長さが長く、また折返し後、幅方向外側(実施形態ではサイドスリット13Bの内側であるのに対しサイドスリット13Bより外側)にサイド連結部が設けられているが、第1吸収体のサイド防漏シートと、第2吸収体の防漏シートとの重なり部、またサイド連結部が実施形態1よりも幅方向外側に位置しているため、第1吸収体の裏面側から第2表面シートに液移行できる面積が広く、かつ第2吸収体の表面側で吸収しきれない排泄物を、第1吸収体裏面側より第1吸収層で吸収できる面積が広いので、吸収体をより有効的に使用できる。
図14及び図15に基づいて、変形例2に係る使い捨ておむつ100Bについて説明する。図14は、変形例2に係る使い捨ておむつ100Bの展開平面図であり、図15は、図14に示すD−D線に沿った断面図である。
変形例2に係る使い捨ておむつ100Bが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)第1吸収層にサイドスリットが形成されてない点、(2)第1吸収体の第1吸収体開口部近傍に立体ギャザーを備える点、(3)前外装体1BFと後外装体1BRとが分離している点、である。
立体ギャザーは、第1前後弾性部材15及び第1幅弾性部材16の代わりに設けられている。立体ギャザーは、立体ギャザーシート34と、立体ギャザー弾性部材35と、によって構成されている。立体ギャザーシート34は、第1表面シートの肌当接側の面にホットメルト型接着剤を介して接合されている。立体ギャザーシート34は、吸収性本体の前後方向の全領域に配置されており、左右に離間して配置されている。立体ギャザーシート34は、例えば、親水性のSMS不織布15g/m2によって構成される。なお、立体ギャザーシート34は、親水性のシートであってもよいし、疎水性のシートであってもよい。立体ギャザーシート34の幅方向内側端部は、前後方向に沿った折り目を基点に折り畳まれている。立体ギャザー弾性部材35は、折り畳まれた立体ギャザーシート34間に配置されている。また、立体ギャザー弾性部材35は、スパンデックスによって構成されている。立体ギャザー弾性部材35は、620dtexの太さ、2.0倍の伸長率で左右それぞれ2本ずつ伸長固定されている。
当該立体ギャザーが収縮することによって、第1吸収体開口部10Aの周縁が起立し、かつ第1吸収体開口部10Aを介して第2吸収体20が露出し易くなる。また、第1吸収層13の中央開口部13Aは、第1吸収体開口部10Aのよりも一回り大きい。第1吸収層13の中央開口部13Aの縁部と、第1吸収体開口部10Aの縁部との間の領域では、第1表面シート11と第1裏面シート12とが接着されている。よって、第1吸収層13の側部が露出することを抑制できる。
立体ギャザーの幅方向内側端部は、第1吸収体開口部10Aの前後方向に延びる縁部よりも幅方向内側に20mmずつ延出している。このような使い捨ておむつを着用した状態では、立体ギャザーの立ち上がり基点となる基端部(立体ギャザーシート34が第1表面シートに固定された部分)辺りが、第1吸収体が変形する曲部となる。すなわち、立体ギャザーの立ち上がり基点となる基端部は、第1サイド曲部を構成する。第1吸収体は、立体ギャザーの立ち上がり基点が非肌当接面側に凸状に変形する。第1吸収体の幅方向両端部は、サイド防漏弾性部材19の収縮によって着用者側に起立する。なお、第1吸収体をより変形させ易くするために、第1サイド曲部としての立体ギャザーの基端部と第1吸収体の非肌当接面(本変形例2の形態では、第1裏面シート12)を第2吸収体の肌当接面側に接合してもよい。
また、使い捨ておむつ100Bは、センター外装体を備えずに、前外装体と後外装体とが前後方向に離間している。また、前外装体と後外装体は、吸収性本体よりも肌当接面側に配置されている。
次いで、変形例3に係る使い捨ておむつ100Cについて、説明する。図16は、変形例3に係る使い捨ておむつ100Cの展開平面図である。変形例3に係る使い捨ておむつ100Cが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)前外装体と後外装体とが分離している点、(2)第1吸収体開口部の前側端部及び第1吸収層の中央開口部13Aの前側端部が、前外装体1BFと重なって配置されている点である。
(1)について具体的には、使い捨ておむつ100Aは、センター外装体1BCを備えずに、前外装体と後外装体とが前後方向に離間している。また、前外装体と後外装体は、吸収性本体よりも肌当接面側に配置されている。
(2)について具体的には、第1吸収体開口部10Aの前側端部は、前外装体1BFと重なる位置まで延びている。吸収性本体1Aの前側端部の内方向側の面は、前外装体及び後外装体に固定されている。よって、第1吸収体開口部10Aの幅方向外側には、第1前後弾性部材15が配置され、第1吸収体開口部10Aの前後方向外側の前方には胴回り弾性部材を含む胴回り外装シートが配置され、第1吸収体開口部10Aの後方には、第1幅弾性部材16が配置されている。第1吸収体開口部10Aは、各弾性部材が収縮することによるギャザーによって四方を囲まれる。よって、第1吸収体開口部10Aの周縁が、身体に押し当てられ易くなる。
第1吸収体開口部と重なる領域のうち、第2弾性部材と重なる領域は、第2中央吸収層が着用者の肌に当接するように装着される。少なくとも、第1吸収体開口部10Aと前外装体とが重なる部分の前後方向内側には、前記第2弾性部材が収縮するように配置されていないので、前記第1吸収体開口部10Aと前外装体とが重なる部分の前後方向内側では、第1吸収体と第2吸収体の間に空間が形成される。
また、着用者が男性の場合、男性性器は、第1吸収と第2吸収体の間の隙間に収容され、また一旦収納された後に空間からはみ出し難い。よって、第2吸収体に対して直接排泄することができる。例えば、吸収スピードが排泄スピードより遅い場合であっても、第1吸収体と第2吸収体との間の空間において一時的に貯水でき、漏れを抑制しつつ吸収できる。
なお、着用者が男性の場合には、排泄口から股間に流れてきた尿を第2吸収層によって吸収できる。例えば、男性性器が入るように開口部の長さを調整し、男性性器の位置に第2弾性部材28を配置しないように構成してもよい。当該構成によれば、男性性器が第1吸収体と第2吸収体の間にできるポケット空間に収まり、尿が直接第2吸収層に吸収される。体液を第2吸収体にて吸収でき、第1吸収体からの漏れを防ぐことができる。このときサイド連結部のみならず、吸収性本体の前側と後側に第1吸収体と第2吸収体を連結する連結部を設けることにより、第1吸収体と第2吸収体の間から外漏れすることを防止できる。なお、男性専用の使い捨ておむつにあっては、後胴回り領域までは必要なく、製品股下領域まででよい。さらには、男性専用の使い捨ておむつにあっては、製品前後方向中心線の近傍まで短くすることが可能である。また、男性専用の吸収性パッドにおいても、吸収体長さ(製品長さ)を短くすることができる。よりコンパクトになり、コスト低減すると共に着用感を向上できる。
次いで、変形例4に係る吸収性物品としての吸収パッド100Dについて、説明する。図17は、変形例4に係る吸収パッド100Dの展開平面図である。図18は、図17に示すE−E線に沿った断面図である。変形例4に係る吸収パッド100Dが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)外装体を備えていない点、(2)第2吸収体が左右それぞれにおいて2回折り畳まれている点、(3)第1前後弾性部材及び第1幅弾性部材としての伸縮性シートを有する点である。
(1)について具体的には、変形例に係る吸収パッドは、吸収性本体のみから構成され外装体を備えていない。吸収パッド100Dは、下着等の衣服に止着することによって使用される。
(2)について具体的には、第2吸収体20の幅方向両端部は、それぞれ第1吸収体10の幅方向両端部にサイド連結部31を介して接合され、サイド連結部31よりも幅方向内側において第1折り目FL1を基点に幅方向外側に向かって折り返されている。第1折り目FL1を基点に折り返された第2吸収体20は、サイド連結部31よりも幅方向外側において第2折り目FL2を基点に幅方向外側から幅方向内側に向かって折り返されている。よって、第2吸収体20は、第1吸収体10に対してたくれ部を有しており、第2吸収体20が展開することにより、第2吸収体20が袋状に変形する。
第2折り目(FL2)の幅方向の位置は、サイドスリット13Bの幅方向の位置とほぼ同じである。なお、第2折り目の幅方向の位置は、サイドスリット13Bよりも幅方向内側であってもよいし、幅方向外側であってもよい。また、第2折り目の幅方向の位置がサイドスリット13Bの幅方向の位置よりも外側であると、第1折り目部分が外方向に伸び難くなることがある。しかし、第2折り目の幅方向の位置がサイドスリット13Bの位置に同じか、内側にあれば、着用者の足を内方向に動かすことで、第2折線となる第2吸収層サイド屈曲部が、非肌側に向いて折れ曲がり、第1吸収体との間に空間を形成しやすくなる。
(3)について具体的には、第1裏面シート12の外方向側の面に接合された伸縮性シート36を有する。伸縮性シート36は、幅方向及び前後方向に伸縮する伸縮不織布である。伸縮性シート36は、第1吸収体開口部10Aを形成する前に、第1吸収層13の中央開口部13Aを覆って接合される。その後に、第1吸収体開口部10Aを形成する。伸長状態における伸縮不織布の幅方向の長さは、75mmであり、伸長状態における伸縮不織布の前後方向の長さは、280mmとした。伸縮不織布の伸張倍率は、前後方向において2.0倍,幅方向において1.8倍である。
第1裏面シート12は、透水性である。よって、下方に位置する第2吸収体側に体液を透過させることができる。また、更に、透水性を高めるために、第1裏面シート12の一部(例えば、非肌当接面側に凸形状となるサイドスリット13Bと重なる位置)に、開口や切込みを設けてもよい。当該開口や切込みを介して、第2吸収体側への体液の透過性をさらに促進できる。なお、第1裏面シートに開口を形成する場合には、開口の周縁が口開きしないように、接着剤や熱シールによって開口周縁の第1表面シートと第1裏面シートとの間を、また第1裏面シートと第1吸収層13との間を接合することが好ましい。
なお、第1吸収層13には、サイドスリット13Bが形成されていなくてもよい。
また、第1吸収体は、装着時にサイドスリット13Bを基点に外方向に凸状に変形するため、第1表面シートのサイドスリット13Bと重なる位置に体液が流れ込み易い。例えば、サイドスリット13Bに重なるように第1表面シート11または第1裏面シート12に第1吸収体開口部10Aを形成してもよい。第1表面シート11の開口部を介して、第1吸収層に体液をより円滑に導くことができる。また、開口部は、切り込みであってもよい。
なお、第1前後弾性部材15と第1幅弾性部材16は、必ずしも設けられていなくてもよい。また、第1前後弾性部材15と第1幅弾性部材16は本実施の形態のように、別々に設けてもよいし、開口部を含む大きさの伸縮性シートを1枚配置し、第1吸収体開口部10Aの周縁部を幅方向又は前後方向に収縮させてもよい。また、第1前後弾性部材15のみを配置してもよいし、第1幅弾性部材16のみを配置してもよい。更に、第1吸収体開口部10Aの前側に第1幅弾性部材16を設けてもよい。
第1前後弾性部材15と第1幅弾性部材16の位置は、サイド防漏シート17とサイドカバーシート18の間や第1裏面シート12と第1カバーシート14の間に限られない。例えば、第1カバーシート14を設けずに、当該第1前後弾性部材等を直接、第1表面シート11や第1裏面シート12に取り付けてもよい。
第2吸収層は、パルプとSAPを混合した第2中央吸収層と、SAPのみで構成された第2サイド吸収層と、によって構成されているが、当該構成に限られない。例えば、第2吸収層を上下の2層構造として、パルプとSAPを混合した上層と、SAPのみならなる下層と、によって構成してもよい。また、第2吸収層全体をSAPのみで構成してもよいし、第2吸収層全体をパルプのみで構成してもよい。
更に、吸収スピードが異なる2種類以上のSAPを用い、配置する部位によって、SAPを使い分けてもよい。具体的には、第2吸収層の中央に、吸収スピードが速いSAPを配置し、第2吸収層の側部に、吸収スピードが遅いSAPを配置できる。また、第2吸収層は、熱可塑性繊維(短繊維,長繊維,連続) や発泡ポリウレタンを含んでいてもよいし、エアレイドシートによって構成されていてもよい。
吸収性本体の大きさ、吸収体の吸収量、及び第1吸収体と第2吸収体との間にできる隙間(袋)の容積等は、対象とする使用者の排泄量や排泄スピードによって適宜調整することが望ましい。
また、本実施の形態の第2吸収体は、サイド連結部31よりも幅方向外側に延出していてもよい。
第2吸収体20の前後方向の長さは、第1吸収体10の前後方向の長さと同じであってもよいし、第1吸収体の前後方向の長さよりも長くてもよいし、第1吸収体の前後方向の長さよりも短くてもよい。
第2吸収層裏面シートは、幅方向又は前後方向に伸長する伸長性を有し、第2吸収層が体液を吸収することによって幅方向又は前後方向に伸長するように構成されていてもよい。第2吸収層裏面シートが伸長性を有することにより、第2吸収層において体液を吸収し、2吸収層の重量や膨らみが大きくなった場合に、第2吸収層裏面シートが幅方向又は前後方向に伸びて、第1吸収体と第2吸収体との間の空間を大きく形成できる。よって、更に排泄物を貯水し、且つ吸収する空間を設けることができる。このような第2裏面防漏シートとしては、防水性フィルムと伸縮性不織布を貼り合わせた複合シートを例示できる。
また、サイド連結部間の距離は、後方から前方に向かうにつれて長くなるように構成してもよい。当該構成によれば、後方よりも股間部において空間が大きくなる。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、皺なく伸ばした状態で測定する。第1吸収体の裏面側のサイド連結部間の距離を、第1吸収体を皺なく伸ばした状態で測定し、第2吸収体の表面シート側において測定した距離と比較する。
なお、本実施の形態では、防漏カフを第1吸収体に設けているが、この構成に限られない。例えば、第1吸収体に防漏カフを設けずに、第2吸収体20に防漏カフを設けてもよいし、第1吸収体と第2吸収体20の両方に防漏カフを設けてもよい。また、第1吸収体と第2吸収体20の両方に防漏カフを設けなくてもよい。
例えば、上述した実施の形態では、パンツ型の使い捨ておむつとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、オープン型の使い捨ておむつ、失禁用パッド及び生理用ナプキンなどに適用してもよい。