JPH0534584Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、口紅等棒状化粧料の容器として好適
な棒状化粧料容器に関し、とくに、身筒と袴筒が
一体に形成された螺旋筒式棒状化粧料容器に関す
る。

［従来の技術および考案が解決しようとする問題
点］ 従来の螺旋筒式棒状化粧料容器は、化粧料皿が
格納かつ摺嵌される身筒の下部に別体に成形され
た袴筒が強制的に嵌合されることにより組立てる
形式の容器が圧倒的に多かつた。しかし、かかる
形式の容器は、身筒と袴筒の中心を正確に合致す
るのが難しく、これが合致されていない場合は、
偏心のため回動時にがたつき、繰出し繰下げが円
滑にできなかつた。このため、回動時に袴筒と中
蓋が擦れ合うので、使用感が不良であり、また中
蓋の外周壁が損傷されるので製品の不良率が高く
なるという欠点があつた。

また、身筒と袴筒を一体成形する形式の容器と
して従来知られているものは、身筒の下部に回動
つまみとなる袴筒が連設されていた。このため、
次の如き欠点があつた。

即ち、口紅等の化粧料を収納する化粧料皿が摺
嵌される身筒が袴筒の上部に設けられており、袴
筒には化粧料が収納できないため、この部分がデ
ツドスペースとなつていた。これは、容器全体と
してみれば、袴筒の分だけ容器が大型化する欠点
となつていた。つまり、従来のこの種容器におい
ては、容器が小型化されると、袴筒の分だけ化粧
料皿のストローク長が小となるので、化粧料の収
納量が減少するという矛盾が生じ、化粧料容器の
小型化という要請に十分対処することができない
でいた。

また、この種容器においては、長孔及び螺旋孔
からなる摺動路を設けた容器下半部の強度が構造
上如何しても弱い。袴筒は軽量化のため中空とな
つているので、身筒との境界部も強度的に弱い。
このため、容器の落下時にこの部分から容器が折
損したり、強いねじれに対して簡単に折損すると
いう欠点があつた。

本考案は、上記欠点を解決した螺旋筒式棒状化
粧料容器を供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的達成のため、本考案は、筒体からなる
身筒の下半部に摺動孔を有する機構筒が形成さ
れ、かつ該身筒の外側に袴筒が一体に設けられた
回動体と、筒体の下半部に摺動孔を有する他の機
構筒が形成され、該他の機構筒が上記身筒と袴筒
の間に挿入される中蓋体と、上記身筒内に挿入さ
れ、上部に化粧料皿が形成された筒体からなる皿
体とからなり、上記回動体と中蓋体のいずれか一
方に筒体の円周に沿つて嵌合溝が設けられ、他方
に該嵌合溝に回動自在に摺嵌される突部が設けら
れ、上記両摺動孔のいずれか一方が螺旋孔とさ
れ、他方が筒体の両端部方向に沿つて形成された
長孔とされ、両摺動孔にて摺動路が形成され、上
記皿体の下端部に設けられた突起が上記両摺動孔
に昇降自在に摺嵌され、上記袴筒が上記摺動路を
全部被覆することを特徴とする螺旋筒式棒状化粧
料容器を供する。この螺旋筒式棒状化粧料容器
は、上記皿体の下部に摺動路と略同長に延長され
た昇降筒が形成された点、上記嵌合溝が中蓋体の
内側に設けられ、上記突部が身筒に設けられた
点、上記嵌合溝が身筒の外側に設けられ、上記突
部が中蓋体に設けられた点、上記嵌合溝が中蓋体
の外側に設けられ、上記突部が袴筒に設けられた
点、上記嵌合溝が袴筒の内側に設けられ、上記突
部が中蓋体に設けられた点、上記摺動孔は身筒側
に長孔が対設され、中蓋体側が螺旋孔である点お
よび上記摺動孔は中蓋体側に長孔が対設され、身
筒側が螺旋孔である点をも特徴とする。

［実施例］ 次に、本考案にかかる螺旋筒式棒状化粧料容器
を図面に示す実施例に基ずいて説明する。

身筒１は上部開放の断面円形の筒体からなり、
下半部に摺動孔２を有する機構筒３が形成され
る。身筒１の外側には後記中蓋体Ｂの下半部が挿
入できる程度の間〓４をあけて、適宜プラスチツ
クスの一体射出成形等により、袴筒５が身筒１と
一体に設けられる。上記身筒１及び袴筒５にて回
動自在の回動体Ａが構成される。袴筒５の内形状
は身筒１と同様断面円形に形成されるが、外形状
は任意である。袴筒５には、補強のため間〓４内
の下方にリブを突設することができる。リブは線
状のものでも環状のものでもよい。図示例はリブ
を設けない場合である。６は後記嵌合溝１３に回
動自在に摺嵌される突部、７は上記身筒１及び袴
筒５の共通の底部である。

中蓋体Ｂは上下部が開放の筒体８からなり、下
半部に摺動孔９を有する断面円形の他の機構筒１
０が形成される。上記摺動孔２と摺動孔９は、一
方が筒体の両端部方向に沿つて形成される長孔と
され、他方が螺旋孔とされる。上記摺動孔２と摺
動孔９にて摺動路ａが形成される。長孔たる摺動
孔は、皿体Ｃの昇降を円滑かつ安定にさせるた
め、対向して設けられるのが望ましい。また、長
孔たる摺動孔の上下端部は夫々反対方向に屈曲さ
れ、ストツパ孔１１，１２が形成される。上方の
ストツパ孔１１は、上死点における突起１７の過
度の移動を阻止し、下方のストツパ孔１２は、ハ
ンドバツグ収納時あるいは出荷輸送中の化粧料の
不測の繰出し、いわゆる頭突きを防止する。１３
は嵌合溝である。

皿体Ｃは筒体からなり、身筒１の内壁面に密接
に沿つて昇降されるよう身筒１内に挿入される。
皿体Ｃは上部が化粧料（図示省略）を搭載する化
粧料皿１４に形成され、該化粧料皿１４の底部１
５に下部開放の昇降筒１６が一体射出成形により
一体に連設される。昇降筒１６は化粧料皿１４と
は別体に形成し、化粧料皿１４に結合せしめても
よい。１５ａはエア抜き孔である。昇降筒１６の
下端部には、上記両摺動孔２，９に昇降自在に摺
嵌される突起１７が設けられる。突起１７の両脇
には、筒下端から上方にスリツト１８が設けられ
るのが望ましい。しかるときは、下端部を内方に
押圧すれば容易に縮径するので、身筒１内への皿
体Ｃの嵌合が円滑かつ容易に行なわれるからであ
る。しかし、昇降筒１６を高弾性材から構成した
り肉厚を薄くしたりすれば、スリツト１８を設け
なくとも両摺動孔２，９への突起１７の嵌合は可
能である。図中、１９は中蓋体Ｂを回動体Ａに嵌
合するとき筒径の調節をする切欠である（第３
図）。該切欠１９は摺動孔２と連続していてもよ
い。２０はキヤツプである。

上記回動体Ａと中蓋体Ｂとを回動自在に摺嵌す
る突部６及び嵌合溝１３は、いずれも各機構筒
３，１０の周壁に円周に沿つて設けられる。摺嵌
の位置は任意である。第１図は長孔たる摺動孔の
下方に設けられる場合、第２図は同中途に設けら
れる場合、第３図は同上方に設けられる場合であ
る。第３図の場合、嵌合溝１３は中蓋体Ｂの頂上
部内側に設けられる。突部６は鍔状に形成され、
身筒１の頂上部外側に設けられる。また、回動体
Ａ、中蓋体Ｂのいずれに突部６又は嵌合溝１３を
設けるかは任意である。第１図は嵌合溝１３が機
構筒１０の内側に設けられ、突部６が機構筒３の
外側に設けられた場合、第２図は嵌合溝１３が袴
筒５の上部内側に設けられ、突部６が機構筒１０
の外側に設けられた場合を示す。上記とは逆に、
嵌合溝１３を身筒１の外側に設け、突部６を機構
筒１０の内側に設けること、あるいは嵌合溝１３
を機構筒１０の外側に設け、突部６を袴筒５の内
側に設けることが可能である。また突部６は環状
とせず、複数の突起とすることも可能である。

上記皿体Ｃは、突起１７を両摺動孔２，９に昇
降自在に摺嵌することにより、身筒１に昇降自在
に嵌合される。突起１７及び長孔たる摺動孔は単
数でも複数でもよい。しかし、各図示例のよう
に、対向面に複数設けられる方が繰出し繰下げが
一層安定かつ円滑に行なわれるので望ましい。
尚、長孔たる摺動孔は突起１７より多くてもよ
い。この場合は、多く設けられた突起１７は遊ん
でいることになる。身筒１側の機構筒３と中蓋体
Ｂ側の機構筒１０に形成される摺動孔につき、い
ずれを長孔とし、いずれを螺旋孔とするかは任意
である。第１図乃至第３図は身筒１側の摺動孔が
長孔で中蓋体Ｂ側の摺動孔が螺旋孔の場合、第４
図は身筒１側の摺動孔が螺旋孔で中蓋体Ｂ側の摺
動孔が長孔の場合を示す。いずれの場合において
も、身筒１側の摺動孔は貫通孔であり、中蓋体Ｂ
側の摺動孔は貫通孔であつても非貫通孔（図示
例）であつてもよい。しかし、図示例のように非
貫通孔とする方が強度維持の上で望ましい。

上記回動体Ａ、中蓋体Ｂ及び皿体Ｃ各間の嵌合
の組合せは、任意である。

各筒体の筒長につき、身筒１は格納される化粧
料の容量に応じ決定される。袴筒５は摺動路ａを
全部被覆する程度の筒長とされる。中蓋体Ｂは身
筒１と略同長に形成される。機構筒３及び機構筒
１０は各々摺動路ａを設けられる程度の筒長とさ
れる。摺動路ａは化粧料皿１４に搭載される化粧
料の長さに応じて決定される。化粧料皿１４の下
部は摺動路ａと略同長に延長され、昇降筒１６が
形成される。但、身筒１の上半部の筒長が比較的
短い場合は、下部を延長せず、化粧料皿１４の筒
長を長くして、化粧料皿１４の昇降時の動揺を防
止することができる（第２図）。

回動体Ａ、中蓋体Ｂ及び皿体Ｃの素材は、いず
れも任意である。合成樹脂製とすれば、一体射出
成形が可能だから、コスト低減上有利であり、金
属製とすれば容器全体を細身に製作する上で一層
有利である。本実施例では、いずれも適宜プラス
チツクスにより一体成形される。

［作用］ 本考案にかかる螺旋筒式棒状化粧料容器におい
ては、皿体Ｃを身筒１に挿入して突起１７を摺動
孔２に嵌合後、中蓋体Ｂを回動体Ａに嵌合すれ
ば、容器の組立てが完了する。第３図において
は、皿体Ｃを身筒１に挿入するに際し、皿体Ｃの
切欠１９を内方に押圧しながら行なう。このよう
に、本考案にかかる螺旋筒式棒状化粧料容器は、
袴筒５が身筒１に一体に設けられているため、袴
筒５と身筒１の中心合わせをする必要がなく、し
かも部材が回動体Ａ、中蓋体Ｂ及び皿体Ｃの３部
材のみからなるため、組立てが極めて容易であ
り、かつ組立て不良を生ずるおそれがない。

次に、繰出し繰下げ回動についてみる。中蓋体
Ｂをもち、袴筒５を回動させれば、袴筒５と一体
の身筒１が回動するため、摺動孔２及び摺動孔９
に摺嵌されている突起１７は長孔の規制を受け昇
降するので、皿体Ｃが昇降する。この化粧料皿１
４の繰出し又は繰下げ時において、摺動孔２，９
に摺動自在に嵌合されている昇降筒１６は、化粧
料皿１４のストローク長を決定する長孔たる摺動
孔（第１図及び第３図の摺動孔２、第４図の摺動
孔９）と略同長に延長されており、この昇降筒１
６が摺動路ａを昇降し、かつ身筒１が化粧料皿１
４の昇降に対しガイド作用を司どるため、身筒１
内を昇降する化粧料皿１４は動揺しない。また、
第２図の場合は、化粧料皿１４が比較的筒長に形
成されているため、身筒１内を昇降する皿体Ｃは
動揺しない。加えて、袴筒５は身筒１と一体であ
るため、偏心のおそれがないから、上記と相まつ
て、化粧料皿１４のがたつきが防止される。した
がつて、ストローク長が比較的長尺な棒状化粧料
の繰出し繰下げも円滑かつ安定となる。

次に、化粧料皿１４のストローク長と容器の全
体長について考える。化粧料皿１４の繰出し繰下
げはストローク長が長い程動揺し易くなり、これ
を防止しようとすると、繰出機構が複雑となつた
り、容器が大型化する。しかし、本考案にかかる
螺旋筒式棒状化粧料容器においては、回動つまみ
となる袴筒５が身筒１の外側に一体に設けられて
いるため、身筒１の筒長限りで、容器の全長が納
まるのである。したがつて、ストローク長を一定
とすれば、容器全長は回動つまみの分だけ小型化
されることになり、容器全長を一定とすれば、回
動つまみの分だけ化粧料皿１４のストローク長が
増え、化粧料の収納量が増大されるのである。

この種螺旋筒式棒状化粧料容器においては、長
孔及び螺旋孔からなる摺動路ａを設けた容器の下
半部が強度上弱い。しかしながら、本考案にかか
る螺旋筒式棒状化粧料容器においては、摺動孔２
及び摺動孔９を有する機構筒３及び機構筒１０
が、袴筒５にて全部被覆されており、繰出機構を
内蔵する容器下半部は二重筒構造となつている。
したがつて、容器の強度が増大し、ねじれあるい
は落下時の衝撃に対しても強い強度を有し、折損
が防止される。

［考案の効果］ このように、本考案にかかる螺旋筒式棒状化粧
料容器によれば、筒体からなる身筒の下半部に摺
動孔を有する機構筒が形成され、かつ該身筒の外
側に袴筒が一体に設けられた回動体と、筒体の下
半部に摺動孔を有する他の機構筒が形成され、該
他の機構筒が上記身筒と袴筒の間に挿入される中
蓋体と、上記身筒内に挿入され、上部に化粧料皿
が形成された筒体からなる皿体とからなり、上記
回動体と中蓋体のいずれか一方に筒体の円周に沿
つて嵌合溝が設けられ、他方に該嵌合溝が回動自
在に摺嵌される突部が設けられ、上記両摺動孔の
いずれか一方が螺旋孔とされ、他方が筒体の両端
部方向に沿つて形成された長孔とされ、両摺動孔
にて摺動路が形成され、上記皿体の下端部に設け
られた突起が上記両摺動孔に昇降自在に摺嵌さ
れ、上記袴筒が上記摺動路を全部被覆しており、
部品点数が少ないから、組立てが容易であり、組
立て不良が防止される効果がある。また化粧料皿
の円滑な繰出し繰下げをすることができるので、
化粧料の削れを防止し、袴筒と中蓋体が擦れ合う
ことがないので、使用感を良好とし、製品不良も
起こさないという効果がある。しかも、ストロー
ク長の長い容器においても、容器の大型化を可及
的に小としつつ、上記繰出し繰下げを円滑にする
効果を維持することができる。さらに、落下強度
等容器の強度が増強される等の効果がある。

本考案にかかる螺旋筒式棒状化粧料容器は、紅
差し式のほか、充填式の化粧料にも適用可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案にかかる螺旋筒式棒
状化粧料容器の各実施例を示す、イは正面断面
図、ロは組立前の一部切欠斜面図である。第４図
は螺旋筒式棒状化粧料容器の他の実施例を示す正
面断面図である。 Ａ……回動体、Ｂ……中蓋体、Ｃ……皿体、ａ
……摺動路、１……身筒、２……摺動孔、３……
機構筒、４……間〓、５……袴筒、６……突部、
７……底部、８……筒体、９……摺動孔、１０…
…機構筒、１１……ストツパ孔、１２……ストツ
パ孔、１３……嵌合溝、１４……化粧料皿、１５
……底部、１５ａ……エア抜き孔、１６……昇降
筒、１７……突起、１８……スリツト、１９……
切欠、２０……キヤツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 筒体からなる身筒の下半部に摺動孔を有する
   機構筒が形成され、かつ該身筒の外側に袴筒が
   一体に設けられた回動体と、筒体の下半部に摺
   動孔を有する他の機構筒が形成され、該他の機
   構筒が上記身筒と袴筒の間に挿入される中蓋体
   と、上記身筒内に挿入され、上部に化粧料皿が
   形成された筒体からなる皿体とからなり、上記
   回動体と中蓋体のいずれか一方に筒体の円周に
   沿つて嵌合溝が設けられ、他方に該嵌合溝に回
   動自在に摺嵌される突部が設けられ、上記両摺
   動孔のいずれか一方が螺旋孔とされ、他方が筒
   体の両端部方向に沿つて形成された長孔とさ
   れ、両摺動孔にて摺動路が形成され、上記皿体
   の下端部に設けられた突起が上記両摺動孔に昇
   降自在に摺嵌され、上記袴筒が上記摺動路を全
   部被覆することを特徴とする螺旋筒式棒状化粧
   料容器。 上記皿体は下部に摺動路と略同長に延長され
   た昇降筒が形成された実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の螺旋筒式棒状化粧料容器。 上記嵌合溝が中蓋体の内側に設けられ、上記
   突部が身筒に設けられた実用新案登録請求の範
   囲第１項または第２項記載の螺旋筒式棒状化粧
   料容器。 上記嵌合溝が身筒の外側に設けられ、上記突
   部が中蓋体に設けられた実用新案登録請求の範
   囲第１項または第２項記載の螺旋筒式棒状化粧
   料容器。 上記嵌合溝が中蓋体の外側に設けられ、上記
   突部が袴筒に設けられた実用新案登録請求の範
   囲第１項または第２項記載の螺旋筒式棒状化粧
   料容器。 上記嵌合溝が袴筒の内側に設けられ、上記突
   部が中蓋体に設けられた実用新案登録請求の範
   囲第１項または第２項記載の螺旋筒式棒状化粧
   料容器。 上記摺動孔は身筒側に長孔が対設され、中蓋
   体側が螺旋孔である実用新案登録請求の範囲第
   １項乃至第６項のいずれか記載の螺旋筒式棒状
   化粧料容器。 上記摺動孔は中蓋体側に長孔が対設され、身
   筒側が螺旋孔である実用新案登録請求の範囲第
   １項乃至第６項のいずれか記載の螺旋筒式棒状
   化粧料容器。